(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記粉体成分及び油性成分に溶媒を添加してスラリー状とし、容器に充填した後、前記溶媒を除去することにより得られることを特徴とする請求項1〜3に記載の固形粉末化粧料。
粉体成分を40〜70質量%、油性成分を30〜60質量%配合し、前記粉体中に下記成分(a)及び(b)を含むことを特徴とする化粧料基材に溶媒を添加してスラリー状とし、容器に充填成型した後、溶媒を除去することにより得られることを特徴とする固形粉末化粧料の製造方法。
(a)見掛け比重が0.01〜0.5の中空樹脂粉体
(b)吸油量50〜80mL/100gのシリカ
【背景技術】
【0002】
固形粉末化粧料は、一般的に粉体を主成分とする化粧料基剤を、容器に充填し、成型固化したものである。このような化粧料は、鏡や小道具を収納したコンパクト容器に装填されることが多く、携帯性が良いため、ファンデーションやアイシャドウ等のメーキャップ化粧料に汎用され、外出先でも手軽に化粧できるために広く用いられている。が、携帯使用が多いために、持ち運びの振動、落下等の衝撃を受ける機会も多く、成型物が割れたり、化粧料が容器から抜けてしまう等の不具合が起こり易く、耐衝撃性が重要な品質である。
【0003】
固形粉末化粧料は、粉体を主成分とする化粧料基剤を金属や樹脂の皿状容器に圧縮成型する乾式成型法が一般的に用いられてきたが、近年では、粉体と油剤を含有する粉末組成物と揮発性溶媒等とを混合してスラリーを調製し、これを容器に充填し、溶媒を除去して成型する湿式成型法用いたものが、なめらかでしっとりとした感触を有することから好まれている。湿式成型法は、光輝性粉体や弾力を有するポリウレタン、ポリメチルメタクリレート、シリコーン、ナイロン等の粉体を多量に含有する場合に、乾式成型法と比較して衝撃を受けた時の強度に優れた成型物を得ることができ、感触や発色の幅が広いものを提供することができる。
【0004】
一方、湿式成型法においては、溶媒の除去時に内容物が収縮することによる、ひび割れが生じることがあり、そのため、スラリーを容器に充填した後、軽くプレスすることで、ある程度溶剤を除去し、その後乾燥して残存溶剤を除去することにより固形粉末化粧料を得る技術が用いられている。具体的には、プレス時に吸収体により溶剤を吸収するなどの、乾燥前の残存溶剤量を減らす工夫をしている(非特許文献1)。さらに、乾燥時のヒビ割れを防止として、高アスペクト比の粉体と球状粉体を組み合わせる技術(特許文献1)や、耐衝撃性を高める方法として薄片状シリカと板状粉体を組み合わせる技術(特許文献2)が知られている。加えて、粉体類の分散安定性に優れ使用感に優れた粉体含有メークアップ化粧料を得るために、高粘度シリコーンと多孔質粉体を組み合わせる技術(特許文献5)が知られている。さらには、使用感の向上の為に、固形粉末化粧料にしっとり感を与える為に油剤を多量に配合した技術(特許文献4)や、中空発泡樹脂粉体を配合して、のび広がりが軽くソフトな使用感に優れた固形化粧料の技術(特許文献5)もある。しかしながら、油性成分を多量に配合した固形粉末化粧料は、化粧料が振動や衝撃により容器内でずれを生じ、容器壁との間に隙間ができたり、中空樹脂粉体を配合した技術では油性成分の量が多くなると、化粧料に弾力が生じ、容器からの脱落などが起きる場合があった。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の固形粉末化粧料には、粉体成分が40〜70質量%(以下、単に「%」と略す。)、油性成分が30〜60%の範囲で配合される。この範囲であれば、ふんわりとしたタッチや肌への伸び拡がりといった使用性はそのままに、落下した際の成型物のずれ、抜けなど容器に対する保持強度の点で好ましい。
【0013】
本発明における粉体成分としては、化粧料に一般に使用される酸化チタン、黒色酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、無水ケイ酸、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、雲母、合成金雲母、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス等の無機粉体類や、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸アルキル、オルガノポリシロキサンエラストマー、ポリメチルセスキオキサン、架橋型シリコーン・網状シリコーンブロック共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体、ポリエチレン、ウレタン、ウール、シルク、結晶セルロース、N−アシルリジン等の有機粉体類や、有機タール系顔料、有機色素等のレーキ顔料等の色素粉体類や、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有無水ケイ酸、酸化亜鉛含有無水ケイ酸、酸化チタン被覆ガラス末、酸化チタン被覆合成金雲母、雲母チタン、酸化鉄被覆雲母チタン、紺青被覆雲母チタン、カルミン被覆雲母チタン等の複合粉体類や、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層末などの積層フィルム末類、これら粉体をフッ素系化合物、シリコーン系化合物、金属石鹸、レシチン、水素添加レシチン、コラーゲン、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、ワックス、ロウ、界面活性剤等の1種または2種以上を用いて表面処理を施した表面被覆粉体等を挙げることができ、これら粉体は1種または2種以上を用いることができる。本発明において粉体成分は40〜70%の範囲で配合される。
【0014】
本発明における油性成分としては、化粧料に一般に使用されるものであれば、動物油、植物油、合成油等の起源、固型油、半固型油、液体油、揮発性油等の性状を問わずに使用することができる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、α−オレフィンオリゴマー、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、ワセリン、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ホホバ油、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ポリイソステアリン酸ポリグリセリル、2−エチルヘキサン酸セチル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、テトライソステアリン酸ペンタエリスリチル、ロジン酸ペンタエリスリチル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル、トリグリセライド、リンゴ酸ジイソステアリル、トリメリト酸トリトリデシル、炭酸ジアルキル等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、高重合度メチルフェニルポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、オレイル変性オルガノポリシロキサン、ベヘニル変性オルガノポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、アルコキシ変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体、蔗糖脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、12−ヒドロキシステアリン酸等の油性ゲル化剤類等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。本発明において油性成分は30〜60%の範囲で配合される。
【0015】
本発明において、粉体成分中には成分(a)の中空樹脂粉体が含まれる。成分(a)は内部に空隙を有する見掛け比重が0.01〜0.5の粉体である。
【0016】
成分(a)の基体となる樹脂としては、例えば、塩化ビニル、酢酸ビニル、メチルビニルエーテル等のビニル系モノマー、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のアクリル系モノマー、スチレン、塩化ビニリデン、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート等から選択される一種以上のモノマーを重合して得られるホモポリマーまたは、コポリマーが挙げられ、これらより一種または二種以上用いることができる。これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸あるいはそのエステル類、アクリロニトリル、塩化ビニリデン、メタクリロニトリル等から選ばれるモノマーの一種または二種以上を重合してなるホモポリマーまたはコポリマーが好ましい。さらに、このような重合体は、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、トリアクリルフォルマール等の架橋剤で架橋されていてもよい。
【0017】
前記基体中に中空を設ける方法としては、特に限定されないが、例えば、特公昭59−53290号に開示されている如く、揮発性発泡剤を内包した熱可塑性樹脂粉体を加熱、発泡させる方法があげられる。揮発性発泡剤としては、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、イソブテン、イソペンタン、ネオペンタン、ネオヘキサン、アセチレン、ヘキサン、ヘプタン等の炭化水素、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン化炭化水素、テトラアルキルシラン等の低沸点化合物当の揮発性を有する液体が用いられる。
【0018】
前記により得られた中空樹脂粉体は、必要に応じて無機粉体を被覆して、感触を調整したり、着色したりすることができる。被覆する無機粉体は特に限定されないが、通常化粧料に使用されるものであり、目的とする効果からその都度選択される。例えば、タルク、セリサイト、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、窒化ホウ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、アルミナ、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、シリカ等が挙げられる。無機粉体を被覆する方法としては、例えば、特開平04−009319号公報に開示されている如く、発泡前または発泡途中の揮発性発泡剤内包熱可塑性樹脂粉体と無機粉体を混合し、加熱して被覆する方法がある。また、その他の被覆方法としては、無機粉体の水またはエタノール等の溶媒中に分散させた分散液を中空樹脂粉体と混合し乾燥する方法や、この無機粉体を分散させた分散液を中空樹脂粉体に噴霧し乾燥する方法などに例示される湿式処理法、高い衝撃力等の物理的な力により被覆する乾式処理法等が挙げられる。この様な被覆において、中空樹脂粉体と、無機酸化物の好ましい質量比は5:95〜50:50が好ましい。無機粉体により被覆された中空樹脂粉体は、化粧料中での分散性の点で好ましい。
【0019】
成分(a)は、市販品を用いることもできる。例えば、エクスパンセル(KEMANORDPLAST AB社製)、マツモトマイクロスフェアFシリーズ、マツモトマイクロスフェアMFLシリーズ(いずれも松本油脂製薬社製)等が好適に例示でき、中でもマツモトマイクロスフェアMFLシリーズが好ましく、シリーズ中ではMFL80GTA(タルク被覆ポリアクリロニトリル中空状粉体;平均粒径30μm、見掛け比重約0.2)、MFL50STI(シリカ・酸化チタン被覆ポリアクリロニトリル中空状粉体;平均粒径20μm、見掛け比重約0.2)、MFL30STI(酸化チタン被覆ポリアクリロニトリル中空粉体;平均粒径20μm、見掛け比重0.2)が、ふんわりとしたタッチや肌への伸び拡がりはそのままに、落下した際の成型物のずれ、抜けなど容器に対する保持強度に優れる点で特に好ましく例示できる。
【0020】
本発明でいう見掛け比重は、化粧品原料基準の一般試験法に収載されている比重測定法の第2法、すなわち、JIS K2203の1号(比重びんと灯油)を用いて、20℃において測定した値であり、成分(a)はこの方法により測定された値が、0.01〜0.5のものである。この見掛け比重が0.01未満であると、固形粉末化粧料に均一に分散することが難しくなり、製造時の飛散性も生じるため好ましくない。また、見掛け比重が0.5を超えた粉体は、充填成型した固形粉末化粧料がソフトな使用感に劣り、携帯時の耐衝撃性に関する優位性が低下するため好ましくない。
【0021】
本発明において、中空樹脂粉体の平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定でき、化粧料中への分散や、塗布時の感触の点で1〜50μmが好ましく、10〜40μmがより好ましい。本発明における成分(a)の配合量は化粧料中に0.1〜10%が好ましく、より好ましくは、0.5〜5%である。
【0022】
本発明において、粉体成分は成分(b)吸油量50〜80mL/100gのシリカを含む。吸油量がこの範囲であれば、多孔質、無孔質、中空状のいずれのものも用いられる。
本発明でいう吸油量は、JIS K5101(煮アマニ油)により求められる。また、成分(b)は平均粒径は10〜60μmのものが、肌への感触の点で好適である。
【0023】
成分(b)の市販品としては、シリカマイクロビードP−1500(平均粒径5μm、吸油量60mL/100g)、シリカマイクロビードP−1505(平均粒径15μm、吸油量60mL/100g)、シリカマイクロビードP−1000(平均粒径5μm、吸油量60mL/100g)、シリカマイクロビードP−500(平均粒径2μm、吸油量60mL/100g)、シリカマイクロビードP−4000(平均粒径20μm、吸油量60mL/100g)、シリカマイクロビードBA−1(平均粒径16μm、吸油量70mL/100g)(いずれも日揮触媒化成社製)、コスメシリカBQ−60(平均粒径55μm、吸油量70mL/100g)(富士シリシア化学社製)が好適に例示され、中でも、シリカマイクロビードP1505、シリカマイクロビードBA−1、コスメシリカBQ−60が落下した際の成型物のずれ、抜けなど容器に対する保持強度に優れる点で特に好ましく例示できる。
【0024】
本発明の固形粉末化粧料における成分(b)の配合量は化粧料中に0.2〜8%が好ましく、より好ましくは、0.5〜5%である。
【0025】
本発明において、成分(a)と成分(b)の配合量の質量比(a):(b)が1:10〜10:1であるとき、特にふんわりとしたタッチや肌への伸び拡がりといった使用性を有し、落下した際の成型物のずれ、抜けなど容器に対する保持強度の点で好ましい。
【0026】
本発明の固形粉末化粧料においては、油性成分中に成分(c)25℃における動粘度が10000mm
2/s以上の液状油を配合すると、耐衝撃性にさらに優れた化粧料が得られる。成分(c)は、固形粉末化粧料の容器と化粧料基材との付着性を付与し、落下時の耐衝撃性が向上する。成分(c)は室温液状であり、前記動粘度を有するものであれば、特に限定されず、ポリブテン、水添ポリイソブテン、ジメチコンなどが挙げられ、これらより一種または二種以上を用いることができる。市販品としては、パールリーム18(動粘度25℃;約30000mm
2/s)、パールリーム24(動粘度25℃;約100000mm
2/s)、(いずれも日油社製)、KF−96H−10万cs(動粘度25℃;約100000mm
2/s)(信越シリコーン社製)が挙げられる。、
【0027】
本発明における動粘度は、日本工業規格に規定される原油及び石油製品動粘度試験方法および粘度指数算出方法(JIS K2283)に準拠して行う。
【0028】
本発明における成分(c)の配合量は化粧料中1〜8%が好ましく、より好ましくは2〜5%である。この範囲であると、べたつきのない感触と良好な耐衝撃性が得られる。
【0029】
本発明の固形粉末化粧料には、上記必須成分の他に、通常化粧料に配合される成分として、界面活性剤、水や多価アルコール、低級アルコール、水溶性高分子、保湿剤等の水性成分、糖類、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、リパーゼやプロテアーゼ等の酵素類、レゾルシンやイオウ等の各種薬剤、清涼剤、色素、香料等を本発明の効果を妨げない範囲で配合することができる。
【0030】
上記界面活性剤としては、メークアップ化粧料に一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものでも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。例えば、グリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびそのアルキレングリコール付加物、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキル共変性オルガノポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、レシチン等を挙げることができ、これらを1種または2種以上用いることができる。
【0031】
上記水性成分は、モイスチャー効果を付与する目的で用いることができ、水および水に可溶な成分であれば何れでもよく、水の他に、例えば、エチルアルコール等のアルコール類、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液が挙げられる。水溶性高分子としては、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、カルボキシビニルポリマー、アルキル付加カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のもの、他にタンパク質、ムコ多糖類、コラーゲン、エラスチン、ケラチン等が挙げることができ、これらを1種または2種以上用いることができる。
【0032】
上記酸化防止剤としては、例えば、α−トコフェロール、アスコルビン酸等を挙げることができ、美容成分としては例えばビタミン類、消炎剤、生薬等を挙げることができ、防腐剤としては、例えばパラオキシ安息香酸エステル、フェノキシエタノール等を挙げることができ、これらを1種または2種以上用いることができる。
【0033】
上記紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系、4−tert−ブチル−4’−メトキシベンゾイルメタン、オキシベンゾン等を挙げることができ、これらを1種または2種以上用いることができる。
【0034】
本発明の固形粉末化粧料は、特に限定されないが、化粧料基材を溶媒に分散しスラリー状とし、これを容器又は中皿に充填した後、溶媒を除去することにより得ることができる。ここでいう化粧料基材とは、上記成分(a)(b)を含む粉体成分と油性成分の混合物であり、その混合方法は特に制約を受けるものではなく、通常公知の混合方法でよい。また成型の方法は、通常公知の方法、例えばスラリー状混合物を充填後に加圧した後、乾燥する方法、溶媒を紙や不織布等の吸収体を用いて、あるいは排出孔を通して除去するする方法等の通常公知の方法を用いることができる。本発明に用いる化粧料基剤に添加する溶媒は、特に限定されないが、沸点が200℃以下である水、低沸点アルコール、低沸点炭化水素、低沸点の鎖状もしくは環状シリコーン、低沸点フッ素化合物等の揮発性溶媒のほか、非揮発性の、エステル油、炭化水素、鎖状もしくは環状シリコーン等も使用することができる。これらを1種又は2種以上の混合物、これらの溶媒を配合した乳化物を用いることもできる。これら溶媒の使用量は特に規定されるものではないが、粘度を低下させ充填しやすくし、均一な化粧料が得られる点で、化粧料基剤に対して20〜150%、好ましくは30〜90%をもの範囲が好ましい。
【0035】
本発明の固形粉末化粧料は、特に限定されないが、携帯されることの多いアイカラー、チークカラー、アイブロウ、ファンデーション等のメークアップ化粧料においてより好適に用いられ、ふんわりとした使用感の点からアイカラーもしくはチークカラーであることが好ましい。
【0036】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
【実施例】
【0037】
実施例1〜6および比較例1〜5:アイシャドウ
表1に示す組成のアイシャドウを下記の製造方法により調製し、各試料について下記評価方法にて評価し、その結果も併せて表1に示した。
【0038】
【表1】
【0039】
※1:MFL−50STI(松本油脂製薬社製)
(メタクリル酸メチル/アクリロニトリル)コポリマーの中空樹脂粉体を酸化チタン70%及びシリカ0.3%で被覆したもの
※2:シリカマイクロビードBA−1(日揮触媒化成社製)
※3:コスメシリカBQ−60(富士シリシア化学社製)
※4:シリカマイクロビードP1505(日揮触媒化成社製)
※5:シリカマイクロビードN1505(日揮触媒化成社製)
※6:MX3000(平均粒径30μm、綜研化学社製)
※7:ORGASOL2002EXD(アルケマ社製)
※8:KSG−16(信越化学工業社製)
※9:KSG−43(信越化学工業社製)
※10:パールリーム18(日油社製)
【0040】
(製造方法)
A:成分18〜22を均一に混合する。
B:成分1〜17を均一に攪拌混合する。
C:BにAを加え均一に攪拌混合する。
D:Cに溶媒として軽質流動イソパラフィン(IPソルベント1620MU、出光興産社製)をC100質量部に対して50質量部を加え、均一に攪拌混合してスラリーバルクを調製する。
E:Dを皿状容器に充填し、化粧料と圧縮用ヘッドの間に溶媒吸取り用の紙を挟み、添加した溶媒を吸取りながら圧縮成型する。
F:Eを70℃にて10時間乾燥する。
【0041】
(評価方法)
下記評価項目について各々下記評価方法により評価を行った。
イ、ロは専門パネル20名が各試料を使用し、イは使用時の化粧料の取れのふんわり感を、ロは塗布時のふんわりとしたソフトな使用感があるか、について下記絶対評価基準にて6段階に評価し評点をつけ、各試料のパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
ハ、ニは圧縮成型後の化粧料をコンパクト容器にセットし、コンパクト容器のフック方向を下にして、高さ50cmの位置から硬質な素材を用いた床材であるプラスチックタイルに落下させ、ハは目視にて1回落下させた後の内容物のずれの程度を、ニについては皿状容器から内容物が抜けるまでに要した落下回数を計数した。ハ、ニの耐衝撃性については、5回評価を行い下記絶対評価基準にて判定した。
【0042】
(評価項目)
イ.使用時の取れのふんわり感
ロ.塗布時のふんわりとした使用感
ハ.1回落下後の容器からのずれ
ニ.皿状容器から内容物が抜けるまでに要した落下回数
【0043】
(評価項目イ、ロの絶対評価基準)
評点 :評価
6点:非常に良好
5点:良好
4点:やや良好
3点:普通
2点:やや不良
1点:不良
(評価項目イ、ロの判定基準)
判定 :評点の平均点
◎:5点を越える
○:3.5点を越える5点以下
△:2点を越える3.5点以下
×:2点以下
【0044】
(評価項目ハの判定基準)
判定 :化粧料の状態
◎:変化が見られない
○:表面にわずかに変化が見られる
△:容器壁との間にわずかな隙間が見られる
×:容器壁との間に明らかに隙間が見られる
【0045】
表1の結果から明らかな如く、本発明の実施例1〜5のアイシャドウは比較例1〜6に比べ、使用時の取れのふんわり感、塗布時のふんわりとした使用感、落下後の内容物のずれ、内容物の容器からの脱落のすべての項目において優れるものであった。一方、成分(b)を配合しない比較例1及び成分(a)を配合しない比較例2は落下後の内容物のずれのなさ、内容物が皿状容器から脱落した落下回数といった耐衝撃性に著しく劣るものであり、成分(a)の代わりに中空ではない樹脂粉体を配合した比較例3、成分(a)の代わりに吸油量の少ないシリカを配合した比較例4は対衝撃性と使用時感も十分なものではなかった。粉体成分が少なく油性成分の多い比較例5では、全ての項目に劣り、さらには粉体化粧料特有の感触がなくベタツキを感じるものであった。
【0046】
実施例7:チークカラー
(成分) (%)
1.中空樹脂粉体(見掛け比重約0.2)※1 3
2.中空シリカ(吸油量70mL/g)※2 2
3.セリサイト 残量
4.タルク 5
5.合成金雲母 5
6.パラオキシ安息香酸メチル 0.3
7.赤色202 0.7
8.シリコーン処理群青 0.3
9.ベンガラ 2
10.雲母チタン 40
11.ワセリン 8
12.流動パラフィン 17
13.水添ポリイソブテン(25℃ 粘度10万mm
2/S)※11 5
※11パールリーム24(日油社製)
(製造方法)
A:成分11〜13を70℃に加温し、混合溶解する。
B:成分1〜10を均一に攪拌混合する。
C:BにAを加え均一に攪拌混合する。
D:Cに溶媒としてC100質量部に対して5%エチルアルコール水溶液を100質量部を加え、均一に攪拌混合してスラリーバルクを調製する。
E:Dを皿状容器に充填し、化粧料と圧縮用ヘッドの間に溶媒吸取り用の紙を挟み、添加した溶媒を吸取りながら圧縮成型する。
F:Eを室温にて10時間乾燥する。
実施例7は、使用時の取れのふんわり感、塗布時のふんわりとした使用感、落下後の内容物のずれ、内容物の容器からの脱落のすべての項目において優れるチークカラーであった。
【0047】
実施例8 アイシャドウ
(成分) (%)
1.中空樹脂粉体(見掛け比重約0.2)※1 3
2.中空シリカ(吸油量70mL/g)※2 3
3.マイカ 残量
4.タルク 5
5.合成金雲母 5
6.ナイロン末 2
7.パラオキシ安息香酸メチル 0.3
8.カオリン 5
9.ベンガラ 4
10.群青 0.5
11.黒酸化鉄 3
10.黄酸化鉄 1
11.酸化チタン 2
12.黒酸化鉄被覆雲母チタン 15
13.ベンガラ被覆雲母 5
14.ベンガラ被覆雲母チタン 3
15.雲母チタン 7
16.ワセリン 2
17.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル※12 2
18.スクワラン 2
19.ジメチルポリシロキサン(25℃ 粘度10万mm
2/S)※13 4
20.ジメチルポリシロキサン(25℃ 粘度100mm
2/S)※14 7
21.シリコーンゲル(I)※8 15
22.香料 0.2
※12:T.I.O(日清オイリオグループ社製)
※13:KF−96−10万cs(信越シリコーン社製)
※14:KF−96−100cs(信越シリコーン社製)
(製造方法)
A:成分16〜21を70℃に加温し、混合溶解する。
B:Aに成分22を加え均一に攪拌混合する。
C:成分1〜15を均一に攪拌混合する。
D:BにCを加え均一に攪拌混合する。
E:Dに溶媒としてDの100質量部に対して2−エチルヘキサン酸セチル(CETIOL SN−1(BASF社製))を70質量部を加え、均一に攪拌混合してスラリーバルクを調製する。
F:Dを皿状容器に充填し、化粧料と圧縮用ヘッドの間に溶媒吸取り用の紙を挟み、添加した溶媒を吸取りながら圧縮成型する。成形後の化粧料には前記溶媒約30質量部が残存する。
実施例8は、使用時の取れのふんわり感、塗布時のふんわりとした使用感、落下後の内容物のずれ、内容物の容器からの脱落のすべての項目において優れるアイシャドウであった。