特許第6091978号(P6091978)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6091978
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】射出成形機
(51)【国際特許分類】
   B29C 45/64 20060101AFI20170227BHJP
   B29C 45/76 20060101ALI20170227BHJP
   B22D 17/26 20060101ALN20170227BHJP
【FI】
   B29C45/64
   B29C45/76
   !B22D17/26 J
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-90490(P2013-90490)
(22)【出願日】2013年4月23日
(65)【公開番号】特開2014-213476(P2014-213476A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2016年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002107
【氏名又は名称】住友重機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】宮武 勤
【審査官】 内藤 康彰
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−060812(JP,A)
【文献】 特開2008−194851(JP,A)
【文献】 特開2012−166523(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0084544(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C33/00−51/44
B22D15/00−17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金型が取り付けられるプラテンと、
型厚調整を行う型厚調整部とを備え、
該型厚調整部は、前記プラテンに対して型開閉方向に間隔をおいて連結される本体部と、該本体部を支持する支持部とを有し、
該支持部が前記本体部よりも型開閉方向に長く、
前記プラテンを型開閉方向に移動自在に支持する支持ガイドが設けられ、
前記支持ガイドが前記支持部に固定される射出成形機。
【請求項2】
固定金型が取り付けられる固定プラテンに対する、可動金型が取り付けられる可動プラテンの移動を制限するロック状態と、制限を解除するロック解除状態とに切り替えられるプラテンロック機構を備える、請求項に記載の射出成形機。
【請求項3】
金型が取り付けられるプラテンと、
型厚調整を行う型厚調整部とを備え、
該型厚調整部は、前記プラテンに対して型開閉方向に間隔をおいて連結される本体部と、該本体部を支持する支持部とを有し、
該支持部が前記本体部よりも型開閉方向に長く、
固定金型が取り付けられる固定プラテンに対する、可動金型が取り付けられる可動プラテンの移動を制限するロック状態と、制限を解除するロック解除状態とに切り替えられるプラテンロック機構を備える、射出成形機。
【請求項4】
金型が取り付けられるプラテンと、
型厚調整を行う型厚調整部とを備え、
該型厚調整部は、前記プラテンに対して型開閉方向に間隔をおいて連結される本体部と、該本体部を支持する支持部とを有し、
前記プラテンを型開閉方向に移動自在に支持する支持ガイドが設けられ
固定金型が取り付けられる固定プラテンに対する、可動金型が取り付けられる可動プラテンの移動を制限するロック状態と、制限を解除するロック解除状態とに切り替えられるプラテンロック機構を備える、射出成形機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形機に関する。
【背景技術】
【0002】
射出成形機は、金型装置のキャビティ空間に溶融した樹脂を充填し、固化させることによって成形品を製造する。金型装置は固定金型および可動金型で構成され、型締め時に固定金型と可動金型との間にキャビティ空間が形成される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−305945号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
型締力のバランスに改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、型締力のバランスを改善できる射出成形機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の一態様によれば、
金型が取り付けられるプラテンと、
型厚調整を行う型厚調整部とを備え、
該型厚調整部は、前記プラテンに対して型開閉方向に間隔をおいて連結される本体部と、該本体部を支持する支持部とを有し、
該支持部が前記本体部よりも型開閉方向に長く、
前記プラテンを型開閉方向に移動自在に支持する支持ガイドが設けられ、
前記支持ガイドが前記支持部に固定される、射出成形機が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、型締力のバランスを改善できる射出成形機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態による射出成形機の型開き完了時の状態を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態による射出成形機の型閉じ完了時の状態を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態による射出成形機の型締め完了時の状態を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態による射出成形機の金型交換時の状態を示す図である。
図5】本発明の第2実施形態による型厚調整部および可動プラテンを示す図である。
図6】本発明の第3実施形態による型厚調整部および可動プラテンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明するが、各図面において、同一の又は対応する構成については同一の又は対応する符号を付して説明を省略する。また、型閉じを行う際の可動プラテンの移動方向(各図面において右方向)を前方とし、型開きを行う際の可動プラテンの移動方向(各図面において左方向)を後方として説明する。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態による射出成形機の型開き完了時の状態を示す図である。図2は、本発明の第1実施形態による射出成形機の型閉じ完了時の状態を示す図である。図3は、本発明の第1実施形態による射出成形機の型締め完了時の状態を示す図である。図4は、本発明の第1実施形態による射出成形機の金型交換時の状態を示す図である。
【0011】
射出成形機10は、フレーム11、固定プラテン12、可動プラテン13、短リンク21、長リンク22、プッシュロッド23、型締モータ31、型厚調整部40、第1リンクロック機構60、およびプラテンロック機構70を備える。
【0012】
固定プラテン12は、フレーム11に固定される。固定プラテン12における可動プラテン13との対向面に固定金型14が取り付けられる。
【0013】
可動プラテン13は、固定プラテン12に対して進退自在とされる。可動プラテン13における固定プラテン12との対向面に可動金型15が取り付けられる。固定金型14と可動金型15とで金型装置16が構成される。
【0014】
型厚調整部40は、型閉じ完了時の金型装置16の厚さに応じて型厚調整を行うものであって、例えば型閉じ完了時の短リンク21と長リンク22とのなす角を所望の角度に調整する。
【0015】
型厚調整部40は、フレーム11に敷設されるメインガイド17に沿って移動自在な支持ブロック42を有し、型開閉時に可動プラテン13と共に進退する。
【0016】
短リンク21は、固定側ピン24を介して固定プラテン12に連結され、固定プラテン12に対して固定側ピン24を中心に回動自在とされる。短リンク21は、リンクピン26を介して、短リンク21よりも長い長リンク22と連結される。短リンク21と長リンク22とは、リンクピン26を中心に相対的に回動自在とされる。
【0017】
長リンク22は、例えば第1リンク22aおよび第2リンク22bで構成される。第1リンク22aと第2リンク22bとは、連結ピン27を介して連結され、連結ピン27を中心に相対的に回動自在とされる。
【0018】
第1リンク22aは、リンクピン26を介して短リンク21と連結され、短リンク21に対してリンクピン26を中心に相対的に回動自在とされる。第1リンク22aは、短リンク21よりも長くてよい。
【0019】
第2リンク22bは、可動側ピン25を介して型厚調整部40に連結され、型厚調整部40に対して可動側ピン25を中心に回動自在とされる。第2リンク22bは、短リンク21と同程度の長さを有してよい。第2リンク22bには、第2リンク22bの長手方向に対して垂直な突起部22cが設けられてよい。
【0020】
尚、短リンク21と長リンク22との配置は逆であってもよい。つまり、短リンク21が可動側ピン25を介して型厚調整部40に連結され、長リンク22が固定側ピン24を介して固定プラテン12に連結されてもよい。
【0021】
プッシュロッド23は、短リンク21および長リンク22のそれぞれに対してリンクピン26を中心に相対的に回動自在とされる。また、プッシュロッド23は、スライダピン34を介してスライダ32に連結され、スライダ32に対してスライダピン34を中心に回動自在とされる。プッシュロッド23は、短リンク21と同程度の長さを有してよい。
【0022】
型締モータ31は、回転運動を直線運動に変換する運動変換部としてのボールねじ機構を含み、フレーム11に敷設されるスライダガイド33に沿ってスライダ32を進退させ、短リンク21と長リンク22とをリンクピン26を中心に相対的に回動させる。
【0023】
第1リンクロック機構60は、型厚調整部40に対する第2リンク22bの回動を制限するロック位置と、制限を解除するロック解除位置との間で移動自在な係止部63などで構成される。係止部63の移動方向は例えば図において紙面垂直方向である。係止部63をロック解除位置からロック位置に移動させると、係止部63の傾斜面63a(図4参照)が突起部22cと接触し、型厚調整部40の本体部41に形成されるストッパ部41bに第2リンク22bを押し付ける。これにより、型厚調整部40に対する第2リンク22bの回動が制限される。一方、係止部63をロック位置からロック解除位置に移動させると、係止部63が第2リンク22bの回動経路から退避する。これにより、型厚調整部40に対する第2リンク22bの回動が許容される。
【0024】
第1リンクロック機構60は、射出成形時に型厚調整部40に対する第2リンク22bの回動を制限するロック状態とされ、金型交換時にロック解除状態とされてよい。図3に示すように型締め時に側方視で長リンク22と短リンク21とが一直線上に重なり、回転モーメントの発生が抑制できる。また、図4に示すように金型交換時に第1リンク22aが金型装置16よりも下方に退避でき、可動プラテン13と固定プラテン12との間に側方から別の金型装置が挿入できる。金型装置をクレーンなどで吊り下げる手間が省け、金型交換が短時間で済む。
【0025】
プラテンロック機構70は、固定プラテン12に対する可動プラテン13の移動を制限するロック状態と、制限を解除するロック解除状態とに切り替え可能である。プラテンロック機構70は、例えば型厚調整部40に設けられ、メインガイド17をクランプするガイドクランパなどで構成される。
【0026】
プラテンロック機構70は、射出成形時にロック解除状態とされ、金型交換時にロック状態とされてよい。射出成形時に可動プラテン13が進退でき、型閉じ、型締め、および型開きが実施できる。また、金型交換時に、可動プラテン13と固定プラテン12との間隔が一定のまま、第1リンク22aが金型装置16よりも下方に退避できる。固定プラテン12と可動プラテン13との間隔が最小限で済み、可動プラテン13の移動時間が少なく、金型交換が短時間で済む。
【0027】
次に、図1図3を再度参照して、上記構成の射出成形機10の射出成形時の動作について説明する。射出成形時には、第1リンクロック機構60はロック状態とされ、プラテンロック機構70はロック解除状態とされる。
【0028】
図1に示す型開き完了の状態で、型締モータ31を駆動してスライダ32を前進させると、短リンク21が固定側ピン24を中心に回動する。このとき、第1リンク22aが連結ピン27を中心に回動しながら前進し、可動プラテン13が前進し、型閉じが行われる。可動金型15が固定金型14と当接すると、型閉じが完了する。
【0029】
型閉じ完了時に、短リンク21と第1リンク22aとは、図2に示すように略一直線上に重なる直前の状態である。短リンク21および長リンク22は、型閉じ完了時に、長手方向にほとんど伸縮しておらず、自然長となる。
【0030】
型閉じ完了の状態で、型締モータ31を駆動してスライダ32をさらに前進させると、短リンク21と長リンク22とは、図3に示すように略一直線上に重なる。短リンク21は自然長よりも縮み、長リンク22は自然長よりも伸びる。型締モータ31の駆動力にトグル倍率を乗じた型締力が生じる。
【0031】
型締め完了の状態で、固定金型14と可動金型15との間にキャビティ空間が形成される。射出装置がキャビティ空間に液状の成形材料(例えば溶融樹脂)を充填し、充填された成形材料が固化されて成形品となる。
【0032】
続いて、型締モータ31を駆動してスライダ32を後退させると、短リンク21が固定側ピン24を中心に回動する。このとき、第1リンク22aが連結ピン27を中心に回動しながら後退し、可動プラテン13が後退し、型開きが行われる。
【0033】
型開き完了後、エジェクタ装置が金型装置16から成形品を突き出す。突き出された成形品は、取り出し機によって射出成形機10の外部に取り出される。
【0034】
次に、図4などを参照して、上記構成の射出成形機10の金型交換時の動作について説明する。先ず、型閉じ完了の状態(図2に示す状態)で、第1リンクロック機構60がロック状態からロック解除状態へ切り替えられ、プラテンロック機構70がロック解除状態からロック状態へ切り替えられる。
【0035】
その後、型締モータ31がスライダ32を後退させると、短リンク21が固定側ピン24を中心に回動する。このとき、第2リンク22bが可動側ピン25を中心に回動し、図4に示すように第1リンク22aが重力によって金型装置16の下方に退避する。
【0036】
次いで、作業者は、可動プラテン13に対する可動金型15の固定を解除し、固定プラテン12に対する固定金型14の固定を解除する。その後、作業者は、可動プラテン13と固定プラテン12との間に側方から別の金型装置を挿入し、別の金型装置で元の金型装置を押し出す。続いて、作業者は、挿入した可動金型を可動プラテン13に、挿入した固定金型を固定プラテン12にそれぞれボルトなどで固定する。
【0037】
尚、本実施形態では、型閉じ完了の状態で金型交換が行われるが、金型装置16が僅かに開いた状態で金型交換が行われてもよい。
【0038】
金型交換に伴い、型厚調整部40が型厚調整を行う。型厚調整部40は、例えば本体部41、本体部41を支持する支持部としての支持ブロック42、本体部41と可動プラテン13とを型開閉方向に間隔をおいて連結する調整ロッド43、調整ロッド43に形成されるねじ軸部44と螺合される調整ナット45、および調整ナット45を回転させる調整モータ等で構成される。
【0039】
本体部41は、可動プラテン13の後方に配設される。本体部41は、長リンク22(詳細には第2リンク22b)が可動側ピン25を介して回動自在に取り付けられる荷重受け部41aを有する。型締モータ31を駆動させると、荷重受け部41aが押され、可動プラテン13が押される。
【0040】
本体部41と可動プラテン13との型開閉方向における間隔を可変とするため、本体部41と可動プラテン13とは別々に形成される。そのため、型締力や熱応力による本体部41の歪みの影響が可動プラテン13に及び難い。可動プラテン13の歪みが抑制でき、可動プラテン13と固定プラテン12との平行度が良好である。
【0041】
調整ロッド43は、可動プラテン13に取り付けられる可動金型15を型開閉方向(前後方向)に延長した領域内に配設されてよい。型締め時に、調整ロッド43が可動プラテン13を前方に押す部分が可動金型15によって後方に押し返され、可動プラテン13の反りが抑制できる。複数の調整ロッド43が可動金型15の中心線を中心に対称に配設されてよい。尚、調整ロッド43の数は1つでもよく、この場合、調整ロッドの中心線と可動金型15の中心線とが同軸的に配設されてよい。
【0042】
調整ナット45は、調整ロッド43毎に設けられ、本体部41に対して回転自在に且つ進退不能に取り付けられる。各調整ナット45を回転させると、各調整ロッド43に対する本体部41の位置が調整でき、本体部41と可動プラテン13との間隔が調整できる。よって、型閉じ完了時の短リンク21と長リンク22とのなす角が所望の角度に調整できる。
【0043】
支持ブロック42は、本体部41とフレーム11との間に設けられ、フレーム11に敷設されるメインガイド17に沿って移動自在とされる。支持ブロック42上に本体部41が固定され、支持ブロック42は本体部41を下方から支持する。
【0044】
支持ブロック42は、本体部41よりも型開閉方向(前後方向)に長い。よって、支持ブロックの前後方向の長さが本体部の前後方向の長さと同程度の場合に比べて、フレーム11に対する支持ブロック42の姿勢が安定化する。フレーム11に対する本体部41の傾倒が抑制でき、フレーム11に対する可動プラテン13の傾倒が抑制できる。可動金型15と固定金型14との平行度が良く、型締力のバランスが良い。
【0045】
支持ブロック42の一部は可動プラテン13とフレーム11との間に配設され、可動プラテン13を型開閉方向に移動自在に支持する支持ガイド46が支持ブロック42の上面に固定される。可動プラテンが調整ロッドを介して本体部で片持ち支持される場合に比べて、フレーム11に対する可動プラテン13の姿勢が安定化し、型締力のバランスが良い。また、可動プラテン13の重量および本体部41の重量が支持ブロック42上の複数の位置に作用し、フレーム11に対する支持ブロック42の姿勢がより安定化する。
【0046】
[第2実施形態]
上記第1実施形態では支持ガイド46が可動プラテン13を下方から支持するのに対して、本実施形態では支持ガイドが可動プラテンを側方から支持する点で相違する。以下、相違点について主に説明する。
【0047】
図5は、本発明の第2実施形態による型厚調整部および可動プラテンを示す図である。
型厚調整部140は、例えば本体部141、本体部141を支持する支持部としての支持ブロック142、本体部141と可動プラテン113とを型開閉方向に間隔をおいて連結する調整ロッド143、調整ロッド143に形成されるねじ軸部144と螺合される調整ナット145、および調整ナット145を回転させる調整モータ等で構成される。
【0048】
本体部141は、可動プラテン113の後方に配設される。本体部141は、長リンクが可動側ピン125を介して回動自在に取り付けられる荷重受け部141aを有する。型締モータを駆動させると、荷重受け部141aが押され、可動プラテン113が押される。
【0049】
本体部141と可動プラテン113との型開閉方向における間隔を可変とするため、本体部141と可動プラテン113とは別々に形成される。そのため、型締力や熱応力による本体部141の歪みの影響が可動プラテン113に及び難い。可動プラテン113の歪みが抑制でき、可動プラテン113と固定プラテンとの平行度が良好である。
【0050】
調整ロッド143は、可動プラテン113に取り付けられる可動金型115を型開閉方向(前後方向)に延長した領域内に配設されてよい。型締め時に、調整ロッド143が可動プラテン113を前方に押す部分が可動金型115によって後方に押し返され、可動プラテン113の反りが抑制できる。複数の調整ロッド143が可動金型115の中心線を中心に対称に配設されてよい。尚、調整ロッド143の数は1つでもよく、この場合、調整ロッドの中心線と可動金型115の中心線とが同軸的に配設されてよい。
【0051】
調整ナット145は、調整ロッド143毎に設けられ、本体部141に対して回転自在に且つ進退不能に取り付けられる。各調整ナット145を回転させると、各調整ロッド143に対する本体部141の位置が調整でき、本体部141と可動プラテン113との間隔が調整できる。よって、型閉じ完了時の短リンクと長リンクとのなす角が所望の角度に調整できる。
【0052】
支持ブロック142は、本体部141とフレーム111との間に設けられ、フレーム111に敷設されるメインガイド117に沿って移動自在とされる。支持ブロック142上に本体部141が固定され、支持ブロック142は本体部141を下方から支持する。
【0053】
支持ブロック142は、本体部141よりも型開閉方向(前後方向)に長い。よって、支持ブロックの前後方向の長さが本体部の前後方向の長さと同程度の場合に比べて、フレーム111に対する支持ブロック142の姿勢が安定化する。フレーム111に対する本体部141の傾倒が抑制でき、フレーム111に対する可動プラテン113の傾倒が抑制できる。可動金型115と固定金型との平行度が良く、型締力のバランスが良い。
【0054】
支持ブロック142の一部は可動プラテン113とフレーム111との間に配設され、可動プラテン113を型開閉方向に移動自在に支持する支持ガイド146が支持ブロック142に固定される。可動プラテン113の重量および本体部141の重量が支持ブロック142上の複数の位置に作用し、フレーム111に対する支持ブロック142の姿勢が安定化する。
【0055】
支持ガイド146は、例えば、本体部141から型開閉方向(前方)に延びる梁部146aと、梁部146aの先端部と支持ブロック142とを連結する柱部146bとで構成される。梁部146aが可動プラテン113を側方から支持する。可動プラテン113の側面には梁部146aを挿入するガイド溝が形成される。可動プラテンが調整ロッドのみで片持ち支持される場合に比べて、フレーム111に対する可動プラテン113の姿勢が安定化し、型締力のバランスが良い。
【0056】
尚、本実施形態では、可動プラテン113の側面に梁部146aを挿入するガイド溝が形成されるが、可動プラテン113の側面に形成される凸部を挿入するガイド溝が梁部146aの側面に形成されてもよい。
【0057】
尚、本実施形態では、支持ガイド146が梁部146aと柱部146bで構成されるが、柱部146bがなく、梁部146のみで支持ガイドが構成されてもよい。梁部146の存在によって、可動プラテンが調整ロッドのみで片持ち支持される場合に比べて、フレーム111に対する可動プラテン113の姿勢が安定化し、型締力のバランスが良い。
【0058】
[第3実施形態]
上記第1実施形態では可動プラテン13を型開閉方向に移動自在に支持する支持ガイド46が支持ブロック42上に設けられるのに対して、本実施形態では支持ガイドがフレーム上に設けられる点で相違する。以下、相違点について主に説明する。
【0059】
図6は、本発明の第3実施形態による型厚調整部および可動プラテンを示す図である。
型厚調整部240は、例えば本体部241、本体部241を支持する支持部としての支持ブロック242、本体部241と可動プラテン213とを型開閉方向に間隔をおいて連結する調整ロッド243、調整ロッド243に形成されるねじ軸部244と螺合される調整ナット245、および調整ナット245を回転させる調整モータ等で構成される。
【0060】
本体部241は、長リンクが可動側ピン225を介して回動自在に取り付けられる荷重受け部241aを有する。型締モータを駆動させると、荷重受け部241aが押され、可動プラテン213が押される。
【0061】
本体部241と可動プラテン213との型開閉方向における間隔を可変とするため、本体部241と可動プラテン213とは別々に形成される。そのため、型締力や熱応力による本体部241の歪みの影響が可動プラテン213に及び難い。可動プラテン213の歪みが抑制でき、可動プラテン213と固定プラテンとの平行度が良好である。
【0062】
調整ロッド243は、可動プラテン213に取り付けられる可動金型215を型開閉方向(前後方向)に延長した領域内に配設されてよい。型締め時に、調整ロッド243が可動プラテン213を前方に押す部分が可動金型215によって後方に押し返され、可動プラテン213の反りが抑制できる。複数の調整ロッド243が可動金型215の中心線を中心に対称に配設されてよい。尚、調整ロッド243の数は1つでもよく、この場合、調整ロッドの中心線と可動金型215の中心線とが同軸的に配設されてよい。
【0063】
調整ナット245は、調整ロッド243毎に設けられ、本体部241に対して回転自在に且つ進退不能に取り付けられる。各調整ナット245を回転させると、各調整ロッド243に対する本体部241の位置が調整でき、本体部241と可動プラテン213との間隔が調整できる。よって、型閉じ完了時の短リンクと長リンクとのなす角が所望の角度に調整できる。
【0064】
支持ブロック242は、本体部241とフレーム211との間に設けられ、フレーム211に敷設される支持ガイド246に沿って移動自在とされる。支持ブロック242上に本体部241が固定される。
【0065】
支持ガイド246は、可動プラテン213を型開閉方向に移動自在に支持する。支持ガイドと可動プラテンとの間に隙間があって可動プラテンが調整ロッドを介して本体部で片持ち支持される場合に比べて、フレーム211に対する可動プラテン213の姿勢が安定化し、型締力のバランスが良い。
【0066】
支持ガイド246は、可動プラテン213と本体部241とを独立に移動自在に支持する。支持ガイド246をクランプするガイドクランパなどで構成されるプラテンロック機構270は、例えば図に示すように型厚調整部240に設けられてもよいし、可動プラテン213に設けられてもよい。
【0067】
以上、射出成形機の実施形態等について説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。
【0068】
例えば、上記実施形態の型厚調整部は、可動プラテンに対して型開閉方向に間隔をおいて連結される本体部を有するものであるが、固定プラテンに対して型開閉方向に間隔をおいて連結される本体部を有するものでもよい。この場合、型厚調整部の本体部は固定プラテンの前方に配設されてよい。この場合、短リンクが固定側ピンを介して回動自在に型厚調整部の本体部に取り付けられ、当該本体部を下方から支持する支持部がフレームに固定される。固定プラテンを型開閉方向に移動自在に支持するガイドは、例えばフレームに固定される型厚調整部の支持部に固定されてよい。射出成形機は、可動プラテンと連結される型厚調整部、および固定プラテンと連結される型厚調整部の両方を有してもよい。
【0069】
また、上記実施形態の射出成形機は、型締モータの駆動力を可動プラテンに伝達する伝達機構として、短リンク、長リンクおよびプッシュロッド等を有するが、伝達機構の構成は特に限定されない。例えば、上記実施形態のプッシュロッド23は、短リンク21および長リンク22のそれぞれに対してリンクピン26を中心に相対的に回動自在に連結されるが、短リンク21および長リンク22の一方に対してリンクピン26と別のピンを中心に相対的に回動自在に連結されてもよい。また、上記実施形態の長リンク22は、第1リンク22aおよび第2リンク22bで構成されるが、1本のリンクで構成されてもよい。さらに、射出成形機は、伝達機構として、短リンク21、長リンク22およびプッシュロッド23の代わりに、トグル機構を有してよい。例えば型厚調整部の本体部が可動プラテンに対して型開閉方向に間隔をおいて連結される場合、トグル機構は型厚調整部の本体部とトグルサポートとの間に配設される。また、型厚調整部の本体部が固定プラテンに対して型開閉方向に間隔をおいて連結される場合、トグル機構は可動プラテンとトグルサポートとの間に配設される。また、トグル機構はC型のフレームの一端部と可動プラテンとの間に配設されてもよく、この場合、型厚調整部の本体部はトグル機構と可動プラテンとの間に配設されてもよいし、C型フレームの他端部と固定プラテンとの間に配設されてもよい。
【0070】
また、上記実施形態の射出成形機は、第1リンクロック機構60に代えて、第1リンク22aと第2リンク22bとの相対的な回動を制限するロック状態とロック解除状態とに切り替えられる第2リンクロック機構を備えてもよい。第2リンクロック機構は、射出成形時にロック状態とされ、金型交換時にロック解除状態とされる。型締め時に側方視で長リンク22と短リンク21とが一直線上に重なる。また、金型交換時に第1リンク22aが金型装置16よりも下方に退避でき、可動プラテン13と固定プラテン12との間に側方から別の金型装置が挿入できる。金型装置をクレーンなどで吊り下げる手間が省け、金型交換が短時間で済む。射出成形機は、第1リンクロック機構60と、第2リンクロック機構とを両方備えてもよい。
【符号の説明】
【0071】
10 射出成形機
11 フレーム
12 固定プラテン
13 可動プラテン
14 固定金型
15 可動金型
16 金型装置
21 短リンク
22 長リンク
22a 第1リンク
22b 第2リンク
31 型締モータ
40 型厚調整部
図1
図2
図3
図4
図5
図6