特許 6092001 遊技機

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6092001

(24)【登録日】2017年2月17日

(45)【発行日】2017年3月8日

(54)【発明の名称】遊技機

(51)【国際特許分類】

   A63F 7/02 20060101AFI20170227BHJP

【ＦＩ】

   A63F7/02 320

【請求項の数】4

【全頁数】33

(21)【出願番号】特願2013-113223(P2013-113223)

(22)【出願日】2013年5月29日

(65)【公開番号】特開2014-230660(P2014-230660A)

(43)【公開日】2014年12月11日

【審査請求日】2015年10月2日

(73)【特許権者】

【識別番号】000135210

【氏名又は名称】株式会社ニューギン

(74)【代理人】

【識別番号】100105957

【弁理士】

【氏名又は名称】恩田 誠

(74)【代理人】

【識別番号】100068755

【弁理士】

【氏名又は名称】恩田 博宣

(72)【発明者】

【氏名】丹野 孝紀

(72)【発明者】

【氏名】原 憲文

(72)【発明者】

【氏名】大島 健志

(72)【発明者】

【氏名】清水 雅之

(72)【発明者】

【氏名】武沢 学

【審査官】 中村 祐一

(56)【参考文献】

【文献】 特許第５１４０４８０（ＪＰ，Ｂ２）

【文献】 特開２００９−０４５１７２（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２００４−３３７３６６（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１３−０５２１７６（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１２−２４９８７８（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１１−１５６０４６（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ａ６３Ｆ ７／０２

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

始動入球手段に遊技球が入球したことを契機に、当り判定用乱数の値を取得する乱数取得手段と、
前記乱数取得手段が当り判定用乱数の値を取得したことを契機に、当該当り判定用乱数の値を記憶して、図柄変動ゲームの実行を保留する保留記憶手段と、
前記乱数取得手段が取得した当り判定用乱数の値が大当り判定値と一致するか否かの大当り抽選を行う大当り抽選手段と、
前記乱数取得手段が取得した当り判定用乱数の値が小当り判定値と一致するか否かの小当り抽選を行う小当り抽選手段と、
前記大当り抽選に当選したこと又は前記小当り抽選に当選したことを契機に、特別入賞手段の開放状態及び閉鎖状態を制御して当り遊技を生起させる当り遊技生起手段と、
表示手段と、
前記表示手段に表示させる演出の実行を制御する演出制御手段と、を備え、
前記表示手段には、前記大当り抽選の抽選結果又は前記小当り抽選の抽選結果を導出する図柄変動ゲームが表示されるとともに、図柄変動ゲームの実行回数が所定回数に達したことを契機に背景画像が切り替えられる背景演出が表示され、
保留中の図柄変動ゲームがある場合、前記表示手段では、表示中の図柄変動ゲームが終了すると、当該図柄変動ゲームで導出された図柄をインターバル時間が経過するまで停止表示させ、前記インターバル時間の経過後に次の図柄変動ゲームの表示が開始され、
前記所定回数にて前記小当り抽選に当選した場合の当り遊技中、前記表示手段では、前記小当り抽選の当選対象となった図柄変動ゲームで導出された図柄が前記インターバル時間中と同じ態様で停止表示されているとともに、前記背景画像が切り替えられることを特徴とする遊技機。

【請求項2】

始動入球手段に遊技球が入球したことを契機に、当り判定用乱数の値を取得する乱数取得手段と、
前記乱数取得手段が当り判定用乱数の値を取得したことを契機に、当該当り判定用乱数の値を記憶して、図柄変動ゲームの実行を保留する保留記憶手段と、
前記乱数取得手段が取得した当り判定用乱数の値が大当り判定値と一致するか否かの大当り抽選を行う大当り抽選手段と、
前記乱数取得手段が取得した当り判定用乱数の値が小当り判定値と一致するか否かの小当り抽選を行う小当り抽選手段と、
前記大当り抽選に当選したこと又は前記小当り抽選に当選したことを契機に、特別入賞手段の開放状態及び閉鎖状態を制御して当り遊技を生起させる当り遊技生起手段と、
表示手段と、
前記表示手段に表示させる演出の実行を制御する演出制御手段と、を備え、
前記表示手段には、前記大当り抽選の抽選結果又は前記小当り抽選の抽選結果を導出する図柄変動ゲームが表示されるとともに、図柄変動ゲームの実行回数が所定回数に達したことを契機に背景画像が切り替えられる背景演出が表示され、
保留中の図柄変動ゲームがない場合、前記表示手段では、表示中の図柄変動ゲームが終了すると、当該図柄変動ゲームで導出された図柄を停止表示させた状態でデモンストレーション演出の表示が開始され、
前記所定回数にて前記小当り抽選に当選した場合の当り遊技中、前記表示手段では、前記小当り抽選の当選対象となった図柄変動ゲームで導出された図柄が前記デモンストレーション演出と同じ態様で停止表示されているとともに、前記背景画像が切り替えられることを特徴とする遊技機。

【請求項3】

前記大当り抽選に当選したことに基づく当り遊技終了後から終了条件が成立するまでの間、前記始動入球手段へ遊技球が入球する確率を通常よりも高確率とする入球率向上状態を生起させる入球率向上状態生起手段を備え、
前記終了条件には、前記大当り抽選の当選を契機とする当り遊技が生起されることを契機として成立する第１の終了条件と、前記大当り抽選の当選を契機とする当り遊技の終了後から前記大当り抽選に当選することなく連続して実行された図柄変動ゲームの実行回数が規定回数に達したことを契機として成立する第２の終了条件と、が含まれ、
前記表示手段では、前記当り遊技の終了後から前記入球率向上状態が生起される場合、当該入球率向上状態であることを特定可能な背景画像が表示され、前記第２の終了条件が成立したことを契機に他の背景画像に切り替えられることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の遊技機。

【請求項4】

前記大当り抽選の当選を契機とする当り遊技終了後から抽選率移行条件が成立するまでの間、前記大当り抽選に当選する確率を通常よりも高確率とする高確率抽選状態を生起させる高確率抽選状態生起手段を備え、
前記抽選率移行条件には、前記大当り抽選の当選を契機とする当り遊技が生起されることを契機として成立する第１の抽選率移行条件と、前記大当り抽選の当選を契機とする当り遊技の終了後から前記大当り抽選に当選することなく連続して実行された図柄変動ゲームの回数が上限回数に達したことを契機として成立する第２の抽選率移行条件と、が含まれ、
前記表示手段では、前記当り遊技の終了後から前記高確率抽選状態が生起される場合、当該高確率抽選状態であることを特定可能な背景画像が表示され、前記第２の抽選率移行条件が成立したことを契機に他の背景画像に切り替えられることを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の遊技機。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、内部抽選の抽選結果に応じて特別入賞手段を開放状態とすることの可能な遊技機に関するものである。

【背景技術】

【0002】

従来、遊技機の一種であるパチンコ遊技機では、始動入球手段に遊技球が入球したことを契機として、各種の内部抽選を行う。この内部抽選には、特許文献１に記載の遊技機のように、大当り抽選の他に、小当り抽選を行うものがある。この小当り抽選に当選した場合には、生起されることを契機として遊技状態が変化し得ない小当り遊技が生起される。このような小当り抽選を行うことにより遊技性の幅を広げることができるため、近年では、特許文献１に記載の遊技機に限らず、多くのパチンコ遊技機で小当り抽選が行われている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０１０−８８７８９号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

ところで、各種の演出モードを実行可能な遊技機において、演出モードの種類が切り替えられる場面で小当り遊技が生起されてしまうと、当該小当り遊技前後で異なる演出モードが行われることになる。この場合、小当り遊技の生起を要因として演出モードの種類が切り替わったかのようにみえてしまい、演出モードの切り替わりに違和感を抱かせてしまう虞がある。

【0005】

この発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、小当り遊技の生起によって違和感を抱かせてしまうことを抑制することのできる遊技機を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0006】

上記課題を解決する遊技機は、始動入球手段に遊技球が入球したことを契機に、当り判定用乱数の値を取得する乱数取得手段と、前記乱数取得手段が当り判定用乱数の値を取得したことを契機に、当該当り判定用乱数の値を記憶して、図柄変動ゲームの実行を保留する保留記憶手段と、前記乱数取得手段が取得した当り判定用乱数の値が大当り判定値と一致するか否かの大当り抽選を行う大当り抽選手段と、前記乱数取得手段が取得した当り判定用乱数の値が小当り判定値と一致するか否かの小当り抽選を行う小当り抽選手段と、前記大当り抽選に当選したこと又は前記小当り抽選に当選したことを契機に、特別入賞手段の開放状態及び閉鎖状態を制御して当り遊技を生起させる当り遊技生起手段と、表示手段と、前記表示手段に表示させる演出の実行を制御する演出制御手段と、を備え、前記表示手段には、前記大当り抽選の抽選結果又は前記小当り抽選の抽選結果を導出する図柄変動ゲームが表示されるとともに、図柄変動ゲームの実行回数が所定回数に達したことを契機に背景画像が切り替えられる背景演出が表示され、保留中の図柄変動ゲームがある場合、前記表示手段では、表示中の図柄変動ゲームが終了すると、当該図柄変動ゲームで導出された図柄をインターバル時間が経過するまで停止表示させ、前記インターバル時間の経過後に次の図柄変動ゲームの表示が開始され、前記所定回数にて前記小当り抽選に当選した場合の当り遊技中、前記表示手段では、前記小当り抽選の当選対象となった図柄変動ゲームで導出された図柄が前記インターバル時間中と同じ態様で停止表示されているとともに、前記背景画像が切り替えられることを特徴とする。

【0007】

上記課題を解決する遊技機は、始動入球手段に遊技球が入球したことを契機に、当り判定用乱数の値を取得する乱数取得手段と、前記乱数取得手段が当り判定用乱数の値を取得したことを契機に、当該当り判定用乱数の値を記憶して、図柄変動ゲームの実行を保留する保留記憶手段と、前記乱数取得手段が取得した当り判定用乱数の値が大当り判定値と一致するか否かの大当り抽選を行う大当り抽選手段と、前記乱数取得手段が取得した当り判定用乱数の値が小当り判定値と一致するか否かの小当り抽選を行う小当り抽選手段と、前記大当り抽選に当選したこと又は前記小当り抽選に当選したことを契機に、特別入賞手段の開放状態及び閉鎖状態を制御して当り遊技を生起させる当り遊技生起手段と、表示手段と、前記表示手段に表示させる演出の実行を制御する演出制御手段と、を備え、前記表示手段には、前記大当り抽選の抽選結果又は前記小当り抽選の抽選結果を導出する図柄変動ゲームが表示されるとともに、図柄変動ゲームの実行回数が所定回数に達したことを契機に背景画像が切り替えられる背景演出が表示され、保留中の図柄変動ゲームがない場合、前記表示手段では、表示中の図柄変動ゲームが終了すると、当該図柄変動ゲームで導出された図柄を停止表示させた状態でデモンストレーション演出の表示が開始され、前記所定回数にて前記小当り抽選に当選した場合の当り遊技中、前記表示手段では、前記小当り抽選の当選対象となった図柄変動ゲームで導出された図柄が前記デモンストレーション演出と同じ態様で停止表示されているとともに、前記背景画像が切り替えられることを特徴とする。

【0008】

上記遊技機について、前記大当り抽選に当選したことに基づく当り遊技終了後から終了条件が成立するまでの間、前記始動入球手段へ遊技球が入球する確率を通常よりも高確率とする入球率向上状態を生起させる入球率向上状態生起手段を備え、前記終了条件には、前記大当り抽選の当選を契機とする当り遊技が生起されることを契機として成立する第１の終了条件と、前記大当り抽選の当選を契機とする当り遊技の終了後から前記大当り抽選に当選することなく連続して実行された図柄変動ゲームの実行回数が規定回数に達したことを契機として成立する第２の終了条件と、が含まれ、前記表示手段では、前記当り遊技の終了後から前記入球率向上状態が生起される場合、当該入球率向上状態であることを特定可能な背景画像が表示され、前記第２の終了条件が成立したことを契機に他の背景画像に切り替えられるようにしてもよい。

【0009】

上記遊技機について、前記大当り抽選の当選を契機とする当り遊技終了後から抽選率移行条件が成立するまでの間、前記大当り抽選に当選する確率を通常よりも高確率とする高確率抽選状態を生起させる高確率抽選状態生起手段を備え、前記抽選率移行条件には、前記大当り抽選の当選を契機とする当り遊技が生起されることを契機として成立する第１の抽選率移行条件と、前記大当り抽選の当選を契機とする当り遊技の終了後から前記大当り抽選に当選することなく連続して実行された図柄変動ゲームの回数が上限回数に達したことを契機として成立する第２の抽選率移行条件と、が含まれ、前記表示手段では、前記当り遊技の終了後から前記高確率抽選状態が生起される場合、当該高確率抽選状態であることを特定可能な背景画像が表示され、前記第２の抽選率移行条件が成立したことを契機に他の背景画像に切り替えられるようにしてもよい。

【発明の効果】

【0010】

本発明によれば、小当り遊技の生起によって違和感を抱かせてしまうことを抑制することができる。

【図面の簡単な説明】

【0011】

【図1】パチンコ遊技機の表側を示す正面図。

【図2】（ａ）は第１の背景画像を示す模式図、（ｂ）は第２の背景画像を示す模式図、（ｃ）は各図柄列の装飾図柄画像を示す模式図、（ｄ）は背景画像と装飾図柄画像の表示態様を示す模式図、（ｅ）はデモンストレーション演出中の各装飾図柄画像の表示態様を示す模式図、（ｆ）はゲーム間インターバル中の各装飾図柄画像の表示態様を示す模式図。

【図3】（ａ）は第１の大当り抽選当選時に決定される大当りの種類を示す模式図、（ｂ）は第２の大当り抽選当選時に決定される大当りの種類を示す模式図、（ｃ）は小当り抽選当選に伴う小当り遊技における大入賞装置の開放状態を示す模式図。

【図4】演出モードの移行態様を示す模式図。

【図5】パチンコ遊技機の電気的構成を示すブロック図。

【図6】（ａ）は左打ち画像を示す模式図、（ｂ）は第１演出領域を示す模式図、（ｃ）は右打ち画像を示す模式図、（ｄ）は第２演出領域を示す模式図。

【図7】（ａ）〜（ｅ）は、終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームが小当り抽選の当選対象となる際の演出表示装置の表示内容を示す模式図。

【図8】（ａ）〜（ｅ）は、第２実施形態において、終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームが小当り抽選の当選対象となる際の演出表示装置の表示内容を示す模式図。

【発明を実施するための形態】

【0012】

（第１実施形態）
以下、遊技機の一実施形態を図１〜図７にしたがって説明する。
図１に示すように、パチンコ遊技機１０には、遊技盤ＹＢが装備されている。遊技盤ＹＢには、パチンコ遊技機１０に装備されている発射ハンドルＨの回動操作によって、遊技球が発射される。

【0013】

また、発射ハンドルＨの回動操作によって発射された遊技球は、誘導レールＲａにて形成される非遊技領域ＹＲ１を通って、誘導レールＲａの最下流に配置された逆戻り防止弁Ｂｎを介して、遊技盤ＹＢに定められる遊技領域ＹＲ２へと発射される。そして、遊技領域ＹＲ２へと発射された遊技球は、遊技領域ＹＲ２を流下する。

【0014】

また、遊技盤ＹＢにおける遊技領域ＹＲ２の略中央には、液晶ディスプレイ型の画像表示部ＧＨを有し、表示演出を行う表示手段としての演出表示装置１１が配設されている。演出表示装置１１では、複数の図柄列（本実施形態では、３列）の装飾図柄を変動させて行う図柄変動ゲームと、当該図柄変動ゲームに関連して実行される各種の表示演出が実行される。本実施形態の図柄変動ゲームでは、複数列（本実施形態では、３列）の装飾図柄からなる図柄組み合わせ（表示結果）を導出する。図柄変動ゲームは、遊技盤ＹＢに配置されている上始動入球装置１５又は下始動入球装置１７へ遊技球が入球することを契機に、実行される。

【0015】

また、本実施形態において演出表示装置１１には、各図柄列に［１］〜［８］の８種類の数字が装飾図柄として表示される。そして、大当り抽選に当選する場合、原則として、演出表示装置１１には、大当りの図柄組み合わせが確定停止表示される。また、小当り抽選に当選する場合や、大当り抽選に当選するとともに特定の種類の大当りが決定された場合、演出表示装置１１には、特定図柄組み合わせが確定停止表示される。また、大当り抽選及び小当り抽選に非当選する場合、演出表示装置１１には、はずれの図柄組み合わせが確定停止表示される。因みに、本実施形態の大当りの図柄組み合わせは、全列の装飾図柄が同一の図柄組み合わせ（［２２２］や［７７７］等）である。また、本実施形態のはずれの図柄組み合わせは、全列の装飾図柄が異なる図柄組み合わせ（［３４５］や［４２６］等）、又は１列の装飾図柄が他の２列の装飾図柄と異なる図柄組み合わせ（［１２２］や［３２３］等）である。また、本実施形態の特定図柄組み合わせは、全列の装飾図柄が異なる図柄組み合わせの中でも所定の図柄組み合わせ（本実施形態では、［１２３］及び［４５６］）である。

【0016】

また、始動入球手段としての上始動入球装置１５は、演出表示装置１１の下方に配置されている。上始動入球装置１５は、当該上始動入球装置１５へ遊技球が入球したことを検知可能な上始動スイッチＳＷ１（図５に示す）を有している。上始動入球装置１５へ遊技球が入球すると、大当りか否かを決めるための大当り抽選や小当りか否かを決めるための小当り抽選が行われる。以下の説明において、上始動入球装置１５への遊技球の入球を契機として行われる大当り抽選を、「第１の大当り抽選」という場合がある。また、上始動入球装置１５への遊技球の入球を契機として行われる小当り抽選を、「第１の小当り抽選」という場合がある。

【0017】

また、始動入球手段としての下始動入球装置１７は、上始動入球装置１５の下方に配置されている。下始動入球装置１７は、開閉部材１８を有している。また、下始動入球装置１７は、当該下始動入球装置１７へ遊技球が入球したことを検知可能な下始動スイッチＳＷ２（図５に示す）を有している。下始動入球装置１７へ遊技球が入球すると、大当り抽選や小当り抽選が行われる。また、下始動入球装置１７の開閉部材１８は、電動役物ソレノイドＳＯＬ１（図５に示す）の作動によって開状態と閉状態に変位可能に構成されている。そして、開閉部材１８が開状態となるとき下始動入球装置１７の入口が拡大されて遊技球が入球し易い開放状態となる。一方、開閉部材１８が閉状態となるとき下始動入球装置１７の入口は閉鎖されて遊技球が入球し難い閉鎖状態となる。以下の説明において、下始動入球装置１７への遊技球の入球を契機として行われる大当り抽選を、「第２の大当り抽選」という場合がある。また、下始動入球装置１７への遊技球の入球を契機として行われる小当り抽選を、「第２の小当り抽選」という場合がある。

【0018】

また、下始動入球装置１７の下方には、大入賞扉を有する特別入賞手段としての大入賞装置２０が配設されている。大入賞装置２０は、当該大入賞装置２０へ遊技球が入球したことを検知可能なカウントスイッチＳＷ３（図５に示す）を有している。また、大入賞装置２０の大入賞扉は、大入賞ソレノイドＳＯＬ２（図５に示す）の作動によって開状態と閉状態に変位可能に構成されている。そして、大入賞扉が開状態となるとき大入賞装置２０が開放状態となり、大入賞装置２０への遊技球の入球が許容される。一方、大入賞扉が閉状態となるとき大入賞装置２０が閉鎖状態となり、大入賞装置２０への遊技球の入球が許容されない。

【0019】

本実施形態のパチンコ遊技機１０では、大当り抽選に当選した場合、当該当選の対象となる図柄変動ゲームの終了後に、大入賞装置２０が開放状態となる大当り遊技が生起される。また、本実施形態のパチンコ遊技機１０では、大入賞装置２０へ遊技球が入球すると、予め決められた個数の遊技球が賞球として払い出される。

【0020】

また、大当り遊技では、複数回の開放遊技が行われる。大当り遊技における開放遊技では、大入賞装置２０が開放状態となる。１回の開放遊技は、開放遊技の終了条件が成立するまでの間、行われる。開放遊技の終了条件は、規定時間が経過すること又は規定個数の遊技球が大入賞装置２０へ入球することによって成立する。

【0021】

また、本実施形態のパチンコ遊技機１０では、小当り抽選に当選した場合、当該当選の対象となる図柄変動ゲームの終了後に、大入賞装置２０が開放状態となる小当り遊技が生起される。小当り遊技では、大入賞装置２０が予め決められた回数だけ開放状態となる。しかし、小当り遊技の生起が開始されてから、予め決められた回数だけ大入賞装置２０が開放状態となるよりも前に、大入賞装置２０へ規定個数の遊技球が入球すると小当り遊技は終了する。

【0022】

また、遊技盤ＹＢには、ゲート２３が配設されている。ゲート２３は、当該ゲート２３へ遊技球が入球したことを検知可能なゲートスイッチＳＷ４（図５に示す）を有している。また、ゲート２３に遊技球が入球すると、普通当りか否かを決めるための普通当り抽選が行われ得る。また、普通当り抽選に当選すると、下始動入球装置１７が開放状態となる普通当り遊技が生起される。

【0023】

また、遊技盤ＹＢには、ＬＥＤ等の発光部材が複数配置された発光部配置部材ＨＳが配設されている。この発光部配置部材ＨＳには、複数の発光部材から構成される第１特別図柄表示装置２５ａと第２特別図柄表示装置２５ｂが配設されている。また、発光部配置部材ＨＳには、複数の発光部材から構成される第１保留表示装置２６ａと第２保留表示装置２６ｂが配設されている。また、発光部配置部材ＨＳには、複数の発光部材から構成される普通図柄表示装置２７が配設されている。

【0024】

第１特別図柄表示装置２５ａには、当該第１特別図柄表示装置２５ａを構成する発光部材の点灯及び消灯の組み合わせによる特別図柄が、第１の当り抽選（第１の大当り抽選や第１の小当り抽選）の対象となる図柄変動ゲームが終了するタイミングで確定停止表示される。第１の大当り抽選に当選した場合、第１特別図柄表示装置２５ａには、第１の当り抽選の対象となる図柄変動ゲームが終了するタイミングで大当り図柄に分類される特別図柄が確定停止表示される。また、第１の小当り抽選に当選した場合、第１特別図柄表示装置２５ａには、第１の当り抽選の対象となる図柄変動ゲームが終了するタイミングで小当り図柄に分類される特別図柄が確定停止表示される。また、第１の大当り抽選及び第１の小当り抽選に非当選した場合、第１特別図柄表示装置２５ａには、第１の当り抽選の対象となる図柄変動ゲームが終了するタイミングではずれ図柄に分類される特別図柄が確定停止表示される。また、第１の当り抽選の対象となる図柄変動ゲームの実行中、第１特別図柄表示装置２５ａには、特別図柄が変動表示される。

【0025】

同様に、第２特別図柄表示装置２５ｂには、当該第２特別図柄表示装置２５ｂを構成する発光部材の点灯及び消灯の組み合わせによる特別図柄が、第２の当り抽選（第２の大当り抽選や第２の小当り抽選）の対象となる図柄変動ゲームが終了するタイミングで確定停止表示される。第２の大当り抽選に当選した場合、第２特別図柄表示装置２５ｂには、第２の当り抽選の対象となる図柄変動ゲームが終了するタイミングで大当り図柄に分類される特別図柄が確定停止表示される。また、第２の小当り抽選に当選した場合、第２特別図柄表示装置２５ｂには、第２の当り抽選の対象となる図柄変動ゲームが終了するタイミングで小当り図柄に分類される特別図柄が確定停止表示される。また、第２の大当り抽選及び第２の小当り抽選に非当選した場合、第２特別図柄表示装置２５ｂには、第２の当り抽選の対象となる図柄変動ゲームが終了するタイミングではずれ図柄に分類される特別図柄が確定停止表示される。また、第２の当り抽選の対象となる図柄変動ゲームの実行中、第２特別図柄表示装置２５ｂには、特別図柄が変動表示される。

【0026】

また、本実施形態のパチンコ遊技機１０では、第１の当り抽選の対象となる図柄変動ゲームの実行と、第２の当り抽選の対象となる図柄変動ゲームの実行と、をそれぞれ保留可能に構成されている。そして、第１保留表示装置２６ａでは、当該第１保留表示装置２６ａを構成する発光部材の点灯や点滅、消灯によって、実行が保留されている第１の当り抽選の対象となる図柄変動ゲームの回数（以下、「第１保留記憶数」という）が示される。同様に、第２保留表示装置２６ｂでは、当該第２保留表示装置２６ｂを構成する発光部材の点灯や点滅、消灯によって、実行が保留されている第２の当り抽選の対象となる図柄変動ゲームの回数（以下、「第２保留記憶数」という）が示される。

【0027】

また、普通図柄表示装置２７には、当該普通図柄表示装置２７を構成する発光部材の点灯及び消灯の組み合わせによる普通図柄が確定停止表示される。普通当り抽選に当選した場合、普通図柄表示装置２７には、普通当り図柄に分類される普通図柄が確定停止表示される。一方、普通当り抽選に非当選した場合、普通図柄表示装置２７には、普通はずれ図柄に分類される普通図柄が確定停止表示される。

【0028】

また、遊技盤ＹＢの遊技領域ＹＲ２の中央であって最下部には、入球した遊技球をパチンコ遊技機１０の外部へと排出するアウト口ＨＫが形成されている。本実施形態のパチンコ遊技機１０において、遊技球の入球可能な装置（大入賞装置２０等）へ入球しなかった遊技球は、アウト口ＨＫに入球し、パチンコ遊技機１０の外部へと排出されることになる。

【0029】

また、図１に示すように遊技盤ＹＢには、発射された遊技球がアウト口ＨＫに向かって流下する第１のルートとしての第１流下ルートＲ１と、当該第１流下ルートＲ１とは異なるルートであって発射された遊技球がアウト口ＨＫに向かって流下する第２のルートとしての第２流下ルートＲ２と、が規定される。

【0030】

本実施形態において第１流下ルートＲ１は、遊技盤ＹＢの略中央に配設された演出表示装置１１の左側を流下するとともに、アウト口ＨＫに向かって流下するルートである。また、本実施形態において第２流下ルートＲ２は、演出表示装置１１の右側を流下するとともに、アウト口ＨＫに向かって流下するルートである。なお、図１では、第１流下ルートＲ１と第２流下ルートＲ２を矢印で示したが、第１流下ルートＲ１を流下する遊技球及び第２流下ルートＲ２を流下する遊技球が必ずしも矢印に沿って流下することを示すものではない。

【0031】

ここで、上始動入球装置１５、下始動入球装置１７、大入賞装置２０及びゲート２３の配置について説明する。
図１に示すように、遊技盤ＹＢを正面視において左右に２等分することにより、左領域ＶＬと右領域ＶＲの２つの領域に区画したとする。この場合、第１流下ルートＲ１を流下する遊技球は、主に左領域ＶＬを流下する。一方、第２流下ルートＲ２を流下する遊技球は、主に右領域ＶＲを流下する。

【0032】

そして、本実施形態における上始動入球装置１５は、左領域ＶＬと右領域ＶＲを跨いで配置されている。但し、第２流下ルートＲ２を流下する遊技球は、演出表示装置１１の右側を流下した後、右排出ルートＲ２ａを流下し、上始動入球装置１５の遊技球が入球可能な入球口よりも下部へと流下する。このため、第２流下ルートＲ２を流下する遊技球は、上始動入球装置１５へ入球することが想定されていない。一方、第１流下ルートＲ１を流下する遊技球は、上始動入球装置１５の遊技球が入球可能な入球口よりも上部へと流下する場合がある。このため、第１流下ルートＲ１を流下する遊技球は、上始動入球装置１５へ入球することが想定されている。

【0033】

また、本実施形態における下始動入球装置１７は、左領域ＶＬと右領域ＶＲを跨いで配置されている。このため、第１流下ルートＲ１を流下する遊技球は、下始動入球装置１７が開放状態となれば、当該下始動入球装置１７へ遊技球が入球し得る。更に、右排出ルートＲ２ａを流下した遊技球は、下始動入球装置１７よりも上部へと流下する。このため、第２流下ルートＲ２を流下する遊技球は、下始動入球装置１７が開放状態となれば、当該下始動入球装置１７へ遊技球が入球し得る。

【0034】

しかし、ゲート２３は、右領域ＶＲに配置されている。このため、第１流下ルートＲ１を遊技球が流下する場合には、ゲート２３へ入球することがなく、普通当り抽選を行う機会を得ることができない。したがって、第１流下ルートＲ１を流下するように遊技球が発射され続けても、当該第１流下ルートＲ１を流下する遊技球は、下始動入球装置１７へ入球することが想定されていない。一方、第２流下ルートＲ２を流下する遊技球は、ゲート２３へ入球し得るため、普通当り抽選を行う機会を得ることができる。したがって、第２流下ルートＲ２を流下する遊技球は、下始動入球装置１７へ入球することが想定されている。

【0035】

また、本実施形態における大入賞装置２０は、左領域ＶＬと右領域ＶＲを跨いで配置されている。このため、第１流下ルートＲ１を流下する遊技球は、大入賞装置２０が開放状態となれば、当該大入賞装置２０へ遊技球が入球し得る。更に、右排出ルートＲ２ａを流下する遊技球は、大入賞装置２０よりも上部へと流下する。このため、第２流下ルートＲ２を流下する遊技球は、大入賞装置２０が開放状態となれば、当該大入賞装置２０へ遊技球が入球し得る。したがって、第１流下ルートＲ１と第２流下ルートＲ２のうち何れを流下する遊技球も、大入賞装置２０へ入球することが想定されている。

【0036】

また、本実施形態のパチンコ遊技機１０において、逆戻り防止弁Ｂｎから第１流下ルートＲ１を流下して大入賞装置２０へ到達するまでに配置されている遊技釘等の流下方向変更手段の配置量は、逆戻り防止弁Ｂｎから第２流下ルートＲ２を流下して大入賞装置２０へ到達するまでに配置されている流下方向変更手段の配置量よりも多い。つまり、逆戻り防止弁Ｂｎから第２流下ルートＲ２を流下して大入賞装置２０へ到達するまでに、遊技球が流下するにあたって障害物となり得る流下方向変更手段の配置量が少なくなっている。したがって、本実施形態の遊技盤ＹＢでは、第１流下ルートＲ１を流下させるよりも、第２流下ルートＲ２を流下させた方が、発射させた遊技球が大入賞装置２０に到達するまでの到達時間が早くなる。これにより、第１流下ルートＲ１へ遊技球を流下させるよりも第２流下ルートＲ２へ遊技球を流下させた方が、規定個数の遊技球の入球によって開放遊技の終了条件が成立するまでの時間が短くなり易いため、当り遊技に要する時間が短くなる（又は、短くなる可能性が高い）。

【0037】

また、本実施形態のパチンコ遊技機１０において、逆戻り防止弁Ｂｎから第１流下ルートＲ１を流下する遊技球のうち開放状態となっている大入賞装置２０へ入球する遊技球の割合を第１の割合とする。この場合、逆戻り防止弁Ｂｎから第２流下ルートＲ２を流下する遊技球のうち開放状態となっている大入賞装置２０へ入球する遊技球の割合を第２の割合とすれば、当該第２の割合よりも第１の割合の方が小さくなる。つまり、本実施形態のパチンコ遊技機１０では、第２流下ルートＲ２へ遊技球を流下させた方が、第１流下ルートＲ１へ遊技球を流下させるよりも、大入賞装置２０へ効率的に遊技球を入球させることができる。なお、「大入賞装置２０へ効率的に遊技球を入球させること」とは、大入賞装置２０へ遊技球が入球しない遊技球の数が少なくなり易いことを意味する。この結果からも、第１流下ルートＲ１へ遊技球を流下させるよりも第２流下ルートＲ２へ遊技球を流下させた方が、規定個数の遊技球の入球によって開放遊技の終了条件が成立するまでの時間が短くなり易いため、当り遊技に要する時間が短くなる（又は、短くなる可能性が高い）。

【0038】

次に、本実施形態の演出表示装置１１における画像表示部ＧＨの表示構成について説明する。
図２（ａ），（ｂ）に示すように、本実施形態の演出表示装置１１には、背景画像として、第１の背景画像Ｈｇ１又は第２の背景画像Ｈｇ２が表示される。第１の背景画像Ｈｇ１は、「雲」を模した画像Ｋｇ１及び「山」を模した画像Ｋｇ２によって構成されている。また、第１の背景画像Ｈｇ１は、空の色が「青色」で構成されている。また、第２の背景画像Ｈｇ２は、「雲」を模した画像Ｋｇ１及び「家」を模した画像Ｋｇ３によって構成されている。また、第２の背景画像Ｈｇ２は、空の色が「橙色」で構成されている。各背景画像Ｈｇ１，Ｈｇ２における画像Ｋｇ１は、画像表示部ＧＨ内の左右方向に移動して表示可能に構成されている。

【0039】

また、図２（ｃ）に示すように、本実施形態において装飾図柄を示す装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３は、それぞれ左列、中列及び右列の装飾図柄を示す画像である。装飾図柄画像Ｚｇ１が左列の装飾図柄を示す画像、装飾図柄画像Ｚｇ２が中列の装飾図柄を示す画像、装飾図柄画像Ｚｇ３が右列の装飾図柄を示す画像となる。また、これら装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３は、装飾図柄を区別する［１］〜［８］の数字を示す主図柄Ｍｇと副図柄Ｓｇから構成されている。例えば、［１］の数字を示す装飾図柄は、［１］を模した主図柄Ｍｇが中央に配置され、［１］を模した副図柄Ｓｇが左上部と右下部に主図柄Ｍｇよりも小さく配置された装飾図柄画像によって示される。なお、副図柄Ｓｇは、回転して表示される場合と、回転することなく表示される場合と、がある。

【0040】

そして、図２（ｄ）に示すように、各図柄列の装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３は、背景画像として表示される第１の背景画像Ｈｇ１の前面に重なるように表示される。なお、図示しないが、第１の背景画像Ｈｇ１が表示されるときに限らず、第２の背景画像Ｈｇ２が背景画像として表示される場合であっても、当該第２の背景画像Ｈｇ２の前面に重なるように装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３が表示される。

【0041】

また、図２（ｅ）に示すように、デモンストレーション演出が行われるときの演出表示装置１１では、デモンストレーション演出開始直前に実行された図柄変動ゲームにて確定停止表示された各図柄列の装飾図柄が停止表示されたまま、各装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３を構成する副図柄Ｓｇが回転して表示される。このとき、背景画像として表示される画像Ｋｇ１は移動して表示される。なお、デモンストレーション演出は、図柄変動ゲームの実行が保留されていないときに行われる。なお、図示しないが、第１の背景画像Ｈｇ１が表示されるときに限らず、第２の背景画像Ｈｇ２が背景画像として表示される場合であっても、デモンストレーション演出中の演出表示装置１１の表示態様は同様の表示態様となる。

【0042】

また、図２（ｆ）に示すように、ゲーム間インターバルが設定されているときの演出表示装置１１では、ゲーム間インターバルの設定直前に実行された図柄変動ゲームにて確定停止表示された各図柄列の装飾図柄が停止表示されたまま、各装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３を構成する副図柄Ｓｇが回転して表示されない。このとき、背景画像として表示される画像Ｋｇ１は移動して表示される。なお、ゲーム間インターバルは、図柄変動ゲームの実行が保留されている場合であって、図柄変動ゲームの終了後から次の図柄変動ゲームが開始されるまでの間に設定される。なお、図示しないが、第１の背景画像Ｈｇ１が表示されるときに限らず、第２の背景画像Ｈｇ２が背景画像として表示される場合であっても、ゲーム間インターバル設定中の演出表示装置１１の表示態様は同様の表示態様となる。

【0043】

また、本実施形態のパチンコ遊技機１０では、大当り抽選の当選確率が通常よりも高確率となる高確率抽選状態を生起可能に構成されている。本実施形態において、高確率抽選状態は、高確率抽選状態の終了条件が成立するまでの間、継続して生起される。なお、本実施形態における「高確率抽選状態の終了条件」は、大当り遊技が生起されること又は大当り抽選に当選することなく予め定められた確率向上回数の図柄変動ゲームの実行が終了することによって成立する。本実施形態においては、高確率抽選状態の終了条件のうち、大当り遊技が生起されることにより成立する終了条件が第１の抽選率移行条件に相当し、大当り抽選に当選することなく確率向上回数の図柄変動ゲームの実行が終了することにより成立する終了条件が第２の抽選率移行条件に相当する。

【0044】

なお、高確率抽選状態が生起されていないときにおいて、第１の大当り抽選の当選確率と第２の大当り抽選の当選確率は、同一である。また、高確率抽選状態が生起されているときにおいて、第１の大当り抽選の当選確率と第２の大当り抽選の当選確率は、同一である。

【0045】

因みに、本実施形態のパチンコ遊技機１０では、第１の小当り抽選の当選確率は、第２の小当り抽選の当選確率よりも高く定められている。一方、各小当り抽選の当選確率は、高確率抽選状態が生起されているか否かによって変化しない。

【0046】

また、本実施形態のパチンコ遊技機１０では、下始動入球装置１７へ遊技球が入球する確率が通常よりも高確率となる入球率向上状態を生起可能に構成されている。入球率向上状態の生起中、入球率向上状態が生起されていないときと比較して、単位時間あたりに下始動入球装置１７が開放状態となる機会（回数や時間）を増加させることで、下始動入球装置１７へ遊技球が入球する確率を高めている。本実施形態において、入球率向上状態は、入球率向上状態の終了条件が成立するまでの間、継続して生起される。なお、本実施形態における「入球率向上状態の終了条件」は、大当り遊技が生起されること又は大当り抽選に当選することなく予め定められた入球率向上回数の図柄変動ゲームの実行が終了することによって成立する。因みに、本実施形態のパチンコ遊技機１０では、確率向上回数と入球率向上回数は、同一回数と定めている。本実施形態においては、入球率向上状態の終了条件のうち、大当り遊技が生起されることにより成立する終了条件が第１の終了条件に相当し、大当り抽選に当選することなく入球率向上回数の図柄変動ゲームの実行が終了することにより成立する終了条件が第２の終了条件に相当する。

【0047】

また、本実施形態のパチンコ遊技機１０では、第１の大当り抽選と第２の大当り抽選で、当選した際に決定され得る大当りの種類を異ならせている。ここで、各大当り抽選に当選した際に決定され得る大当りの種類についての説明とともに、小当り抽選に当選した際に生起される小当り遊技について説明する。

【0048】

まず、図３（ａ）に基づき、第１の大当り抽選に当選した際に決定され得る大当りの種類について説明する。第１の大当り抽選に当選した場合には、実質５Ｒ特定大当り、実質５Ｒ非特定大当り及び短縮特定大当りのうち何れかの種類の大当りが決定される。

【0049】

実質５Ｒ特定大当り、実質５Ｒ非特定大当り及び短縮特定大当りのうち何れかの大当りに基づく大当り遊技が生起された場合、１５回の開放遊技が行われる。実質５Ｒ特定大当り、実質５Ｒ非特定大当り及び短縮特定大当りに基づく大当り遊技における全ての開放遊技では、開放遊技が終了するまでの間、大入賞装置２０が開放状態となる。また、実質５Ｒ特定大当り及び実質５Ｒ非特定大当りに基づく大当り遊技の開放遊技のうち、１回目〜５回目の開放遊技では規定時間として第１時間が定められ、６回目〜１５回目の開放遊技では規定時間として第２時間が定められている。一方、短縮特定大当りに基づく大当り遊技の全て（１回目〜１５回目）の開放遊技では、規定時間として第２時間が定められている。

【0050】

本実施形態において「第１時間」は、当該第１時間が経過するまでの間に規定個数の遊技球を大入賞装置２０へ入球させることが容易な時間（例えば、「２５秒」）としている。一方、本実施形態において「第２時間」は、第１時間よりも短い時間としている。また、本実施形態において「第２時間」は、当該第２時間が経過するまでの間に規定個数の遊技球を大入賞装置２０へ入球させることが困難な時間としている。更に、本実施形態において「第２時間」は、当該第２時間が経過するまでの間に１個の遊技球さえ大入賞装置２０へ入球させることが困難な時間（例えば、「０．０２４秒」）としている。

【0051】

また、実質５Ｒ特定大当り又は短縮特定大当りに基づく大当り遊技の終了後には、高確率抽選状態が生起される。一方、実質５Ｒ非特定大当りに基づく大当り遊技の終了後には、高確率抽選状態が生起されない（図面では、「非生起」と示す）。

【0052】

また、実質５Ｒ特定大当り又は実質５Ｒ非特定大当りに基づく大当り遊技の終了後は、当該大当りを決定した際に入球率向上状態が生起されているか否かに関係なく、入球率向上状態が生起される。

【0053】

また、短縮特定大当りに基づく大当り遊技の終了後は、当該大当りを決定した際に入球率向上状態が生起されていない場合には、入球率向上状態が生起されない（図面では、「非生起」と示す）。一方、短縮特定大当りに基づく大当り遊技の終了後は、当該大当りを決定した際に入球率向上状態が生起されている場合には、入球率向上状態が生起される。

【0054】

次に、図３（ｂ）に基づき、第２の大当り抽選に当選した際に決定され得る大当りの種類について説明する。第２の大当り抽選に当選した場合には、１５Ｒ特定大当りと１５Ｒ非特定大当りのうち何れかの種類の大当りが決定される。

【0055】

１５Ｒ特定大当り又は１５Ｒ非特定大当りに基づく大当り遊技が生起された場合、１５回の開放遊技が行われる。１５Ｒ特定大当り及び１５Ｒ非特定大当りに基づく大当り遊技における開放遊技では、開放遊技が終了するまでの間、大入賞装置２０が開放状態となる。１５Ｒ特定大当り及び１５Ｒ非特定大当りに基づく大当り遊技における開放遊技のうち、全ての開放遊技では規定時間として第１時間が定められている。

【0056】

また、１５Ｒ特定大当りに基づく大当り遊技の終了後には、高確率抽選状態が生起される。一方、１５Ｒ非特定大当りに基づく大当り遊技の終了後には、高確率抽選状態が生起されない。

【0057】

また、１５Ｒ特定大当りに基づく大当り遊技の終了後は、当該１５Ｒ特定大当りを決定した際に入球率向上状態が生起されているか否かに関係なく、入球率向上状態が生起される。同様に、１５Ｒ非特定大当りに基づく大当りの終了後は、当該１５Ｒ非特定大当りを決定した際に入球率向上状態が生起されているか否かに関係なく、入球率向上状態が生起される。

【0058】

次に、図３（ｃ）に基づき、小当り抽選に当選した際に生起される小当り遊技中の大入賞装置２０の開放状態と、各種遊技状態について説明する。
小当り遊技が生起された際には、当該生起を契機として遊技状態を変更しない（図面では、「現状維持」と示す）。すなわち、入球率向上状態が生起されているときに小当り遊技が生起されたとしても、当該小当り遊技の生起を契機として入球率向上状態が終了したり、改めて入球率向上状態の生起が開始されたりすることはない。同様に、入球率向上状態が生起されていないときに小当り遊技が生起されたとしても、当該小当り遊技の生起を契機として入球率向上状態が生起されることはない。

【0059】

また、高確率抽選状態も同様に、高確率抽選状態が生起されているときに小当り遊技が生起されたとしても、当該小当り遊技の生起を契機として高確率抽選状態が終了したり、改めて高確率抽選状態の生起が開始されたりすることはない。また、高確率抽選状態が生起されていないときに小当り遊技が生起されたとしても、当該小当り遊技の生起を契機として高確率抽選状態が生起されることはない。

【0060】

また、小当り遊技が生起された際には、大入賞装置２０が最大で１５回開放状態となる。本実施形態の小当り遊技では、各開放状態の時間として「第２時間」が定められている。

【0061】

本実施形態のパチンコ遊技機１０は、演出表示装置１１にて各種の演出モードを実行可能に構成されている。
図４に示すように、本実施形態のパチンコ遊技機１０では、入球率向上状態が生起されていることを遊技者に報知する「入球率向上モード」を演出表示装置１１にて実行可能に構成されている。また、本実施形態では、入球率向上状態が生起されていないことを遊技者に報知する「通常演出モード」を演出表示装置１１にて実行可能に構成されている。

【0062】

本実施形態において、通常演出モードの実行中は、第１の背景画像Ｈｇ１が演出表示装置１１に表示される。また、入球率向上モードの実行中は、第２の背景画像Ｈｇ２が演出表示装置１１に表示される。

【0063】

本実施形態において通常演出モードは、入球率向上状態が生起されていないときに実行される演出モードである。通常演出モードの実行中、大当り遊技が生起され、当該大当り遊技終了後に入球率向上状態が生起される場合には、当該大当り遊技終了後、入球率向上モードへ移行する。また、通常演出モードの実行中、大当り遊技又は小当り遊技が生起され、当該当り遊技終了後に入球率向上状態が生起されない場合には、当該当り遊技の終了後も通常演出モードが継続する。

【0064】

なお、本実施形態において、通常演出モードの実行中に大当り遊技が生起された後に入球率向上状態が生起される状況とは、実質５Ｒ特定大当り、実質５Ｒ非特定大当り、１５Ｒ特定大当り及び１５Ｒ非特定大当りのうち何れかに基づく大当り遊技が生起される状況をいう。また、本実施形態において、通常演出モードの実行中に大当り遊技が生起された後に入球率向上状態が生起されない状況とは、短縮特定大当りに基づく大当り遊技が生起される状況をいう。

【0065】

本実施形態において入球率向上モードは、入球率向上状態が生起されているときに実行される演出モードである。入球率向上モードの実行中、大当り遊技が生起されると、当該大当り遊技終了後も入球率向上モードが継続する。また、入球率向上モードの実行中、小当り遊技が生起されると、原則として、当該小当り遊技終了後も入球率向上モードが継続する。また、入球率向上モードの実行中、入球率向上状態の終了条件が成立すると、通常演出モードへ移行する。

【0066】

次に、図５に基づき、パチンコ遊技機１０の制御構成について説明する。
パチンコ遊技機１０の裏側には、パチンコ遊技機１０全体を制御する主制御基板３０が装着されている。主制御基板３０は、パチンコ遊技機１０全体を制御するための各種処理を実行するとともに、該処理結果に応じた各種の制御指令（制御コマンド）を出力する。また、パチンコ遊技機１０の裏側には、演出制御基板３１が装着されている。演出制御基板３１は、主制御基板３０が出力した制御信号（制御コマンド）に基づき、演出表示装置１１の表示態様（図柄、背景、文字等の表示画像等）や、装飾ランプＬａの発光態様、スピーカＳｐの音声出力態様を制御する。

【0067】

以下、主制御基板３０及び演出制御基板３１の具体的構成を説明する。
まず、主制御基板３０について説明する。
図５に示すように、主制御基板３０には、制御動作を所定の手順で実行する主制御用ＣＰＵ３０ａ、主制御用ＣＰＵ３０ａの制御プログラムを格納する主制御用ＲＯＭ３０ｂ及び必要なデータの書き込み及び読み出しができる主制御用ＲＡＭ３０ｃが設けられている。そして、主制御用ＣＰＵ３０ａには、各種スイッチＳＷ１〜ＳＷ４が接続されている。また、各種スイッチＳＷ１〜ＳＷ４は、各種スイッチが遊技球を検知した際に出力する検知信号を主制御用ＣＰＵ３０ａが入力できるように、主制御用ＣＰＵ３０ａに接続されている。また、主制御用ＣＰＵ３０ａには、各特別図柄表示装置２５ａ，２５ｂ、各保留表示装置２６ａ，２６ｂ及び普通図柄表示装置２７が接続されている。また、主制御用ＣＰＵ３０ａには、電動役物ソレノイドＳＯＬ１及び大入賞ソレノイドＳＯＬ２が接続されている。

【0068】

また、主制御用ＲＯＭ３０ｂには、複数種類の変動パターンが記憶されている。変動パターンは、図柄変動ゲームが開始してから当該図柄変動ゲームが終了するまでの変動時間を特定し得る。また、本実施形態における変動パターンは、演出表示装置１１、装飾ランプＬａ及びスピーカＳｐにて行われる演出の演出内容を特定し得る。変動パターンには、大当り演出用の変動パターンと、特定演出用の変動パターンと、はずれ演出用の変動パターンと、がある。大当り演出用の変動パターンは、大当りのときであって所定の種類の大当り（本実施形態では、実質５Ｒ特定大当り、実質５Ｒ非特定大当り、１５Ｒ特定大当り及び１５Ｒ非特定大当りのうち何れか）が決定されたときに決定される変動パターンである。また、特定演出用の変動パターンは、大当りのときであって特定の種類の大当り（本実施形態では、短縮特定大当り）が決定されたときや、小当りのときに決定される変動パターンである。また、はずれ演出用の変動パターンは、主にはずれのときに決定されるはずれ演出用の変動パターンである。

【0069】

また、主制御用ＲＯＭ３０ｂには、各種の判定値が記憶されている。例えば、主制御用ＲＯＭ３０ｂには、大当り判定値が記憶されている。大当り判定値は、大当り抽選で用いる判定値である。高確率抽選状態が生起されているときの大当り判定値の個数は、高確率抽選状態が生起されていないときの大当り判定値の個数よりも多くなっている。

【0070】

また、主制御用ＲＯＭ３０ｂには、小当り判定値が記憶されている。小当り判定値は、小当り抽選で用いる判定値である。第１の小当り抽選にて用いられる小当り判定値（第１の小当り抽選用の小当り判定値）の個数は、第２の小当り抽選にて用いられる小当り判定値（第２の小当り抽選用の小当り判定値）の個数よりも、多くなっている。また、各小当り判定値は、大当り判定値とは異なる値で定められている。また、主制御用ＲＯＭ３０ｂには、普通当り判定値が記憶されている。普通当り判定値は、普通当り抽選で用いる判定値である。

【0071】

また、主制御用ＲＡＭ３０ｃには、パチンコ遊技機１０の動作中に適宜書き換えられる各種情報（乱数値、タイマ値、フラグ等）が記憶（設定）される。例えば、主制御用ＲＡＭ３０ｃには、高確率抽選状態の生起中であるか否かを示す主制御用高確率抽選状態フラグが記憶される。また、主制御用ＲＡＭ３０ｃには、入球率向上状態の生起中であるか否かを示す主制御用入球率向上状態フラグが記憶される。

【0072】

また、主制御基板３０内では、当り判定用乱数や、特別図柄振分用乱数、変動パターン振分用乱数として使用される各種乱数が生成される。因みに、当り判定用乱数は、大当り抽選や小当り抽選に用いる乱数である。特別図柄振分用乱数は、大当りの種類を決定する際に用いる乱数である。変動パターン振分用乱数は、変動パターンを決定する際に用いる乱数である。なお、各種乱数として使用される乱数は、ハードウェア乱数であってもよいし、ソフトウェア乱数であってもよい。

【0073】

次に、図５に基づき、演出制御基板３１について説明する。
演出制御基板３１には、制御動作を所定の手順で実行する演出制御用ＣＰＵ３１ａと、演出制御用ＣＰＵ３１ａの制御プログラムを格納する演出制御用ＲＯＭ３１ｂと、必要なデータの書き込み及び読み出しができる演出制御用ＲＡＭ３１ｃが設けられている。また、演出制御用ＣＰＵ３１ａには、演出表示装置１１が接続されている。また、演出制御用ＣＰＵ３１ａには、装飾ランプＬａが接続されている。また、演出制御用ＣＰＵ３１ａには、スピーカＳｐが接続されている。

【0074】

また、演出制御用ＲＯＭ３１ｂには、各種画像表示データ（装飾図柄、背景画像、文字等の画像データ）、各種の発光用データ及び各種の音声用データが記憶されている。
また、演出制御用ＲＡＭ３１ｃには、パチンコ遊技機１０の動作中に適宜書き換えられる各種情報（乱数値、タイマ値、フラグ等）が記憶（設定）される。例えば、演出制御用ＲＡＭ３１ｃには、高確率抽選状態の生起中であるか否かを示す演出制御用高確率抽選状態フラグが記憶される。また、演出制御用ＲＡＭ３１ｃには、入球率向上状態の生起中であるか否かを示す演出制御用入球率向上状態フラグが記憶される。

【0075】

以下、主制御基板３０及び演出制御基板３１が実行する制御内容を説明する。
まず、主制御基板３０の主制御用ＣＰＵ３０ａが、メイン制御プログラムに基づき実行する各種処理について説明する。本実施形態において主制御用ＣＰＵ３０ａは、所定の制御周期毎に、各種処理を実行する。

【0076】

最初に、特別図柄入力処理について説明する。
主制御用ＣＰＵ３０ａは、上始動入球装置１５へ入球した遊技球を検知した際に上始動スイッチＳＷ１が出力する検知信号を入力すると、主制御用ＲＡＭ３０ｃに記憶されている第１保留記憶数が上限数（本実施形態では、「４」）未満であるか否かの第１保留判定を行う。この第１保留判定の判定結果が肯定の場合、主制御用ＣＰＵ３０ａは、第１保留記憶数に１加算し、第１保留記憶数を書き換える。それとともに、主制御用ＣＰＵ３０ａは、１加算後の第１保留記憶数を表すように第１保留表示装置２６ａの表示内容を制御する。

【0077】

また、第１保留判定を肯定判定した主制御用ＣＰＵ３０ａは、主制御基板３０内で生成されている各種乱数（当り判定用乱数、特別図柄振分用乱数及び変動パターン振分用乱数）の値を取得し、その値を第１保留記憶数に対応付けて主制御用ＲＡＭ３０ｃの所定の記憶領域に記憶（格納）し、特別図柄入力処理を終了する。このように第１保留記憶数に対応付けて各種乱数の値を主制御用ＲＡＭ３０ｃに記憶することにより、第１の当り抽選の対象となる図柄変動ゲームの実行が保留される。

【0078】

また、主制御用ＣＰＵ３０ａは、下始動入球装置１７へ入球した遊技球を検知した際に下始動スイッチＳＷ２が出力する検知信号を入力すると、主制御用ＲＡＭ３０ｃに記憶されている第２保留記憶数が上限数（本実施形態では、「４」）未満であるか否かの第２保留判定を行う。この第２保留判定の判定結果が肯定の場合、主制御用ＣＰＵ３０ａは、第２保留記憶数に１加算し、第２保留記憶数を書き換える。それとともに、主制御用ＣＰＵ３０ａは、１加算後の第２保留記憶数を表すように第２保留表示装置２６ｂの表示内容を制御する。

【0079】

また、第２保留判定を肯定判定した主制御用ＣＰＵ３０ａは、主制御基板３０内で生成されている各種乱数（当り判定用乱数、特別図柄振分用乱数及び変動パターン振分用乱数）の値を取得し、その値を第２保留記憶数に対応付けて主制御用ＲＡＭ３０ｃの所定の記憶領域に記憶（格納）し、特別図柄入力処理を終了する。このように第２保留記憶数に対応付けて各種乱数の値を主制御用ＲＡＭ３０ｃに記憶することにより、第２の当り抽選の対象となる図柄変動ゲームの実行が保留される。

【0080】

なお、主制御用ＣＰＵ３０ａは、第１保留判定の判定結果が否定の場合、及び第２保留判定の判定結果が否定の場合、上限数を超える保留記憶数の書き換えを行わないとともに、前述した各種乱数の値も取得することなく、特別図柄入力処理を終了する。

【0081】

このように、本実施形態において、上始動入球装置１５や下始動入球装置１７への遊技球の入球を契機に当り判定用乱数の値を取得する主制御用ＣＰＵ３０ａが、乱数取得手段として機能する。また、本実施形態において、主制御用ＣＰＵ３０ａが取得した当り判定用乱数の値を記憶して、図柄変動ゲームの実行を保留する主制御用ＲＡＭ３０ｃが、保留記憶手段として機能する。

【0082】

次に、特別図柄開始処理について説明する。
主制御用ＣＰＵ３０ａは、図柄変動ゲームの実行中又は当り遊技（大当り遊技、小当り遊技）の生起中か否かの実行条件判定を実行する。実行条件判定の判定結果が肯定の場合、主制御用ＣＰＵ３０ａは、特別図柄開始処理を終了する。一方、実行条件判定の判定結果が否定の場合、第２保留記憶数を読み出し、当該第２保留記憶数が「０（零）」よりも大きいか否かの第２保留数判定を実行する。この第２保留数判定の判定結果が否定の場合、主制御用ＣＰＵ３０ａは、第１保留記憶数を読み出し、当該第１保留記憶数が「０（零）」よりも大きいか否かの第１保留数判定を実行する。この第１保留数判定の判定結果が否定の場合、主制御用ＣＰＵ３０ａは、デモンストレーション演出の実行を指示するデモ信号を演出制御用ＣＰＵ３１ａに出力する。すなわち、主制御用ＣＰＵ３０ａは、図柄変動ゲームの実行が保留されていないとき、デモンストレーション演出の実行を演出制御用ＣＰＵ３１ａに指示する。

【0083】

また、第２保留数判定の判定結果が肯定の場合、主制御用ＣＰＵ３０ａは、第２の当り抽選の対象となる図柄変動ゲームを実行させるための第２ゲーム処理を行う。また、第１保留数判定の判定結果が肯定の場合、主制御用ＣＰＵ３０ａは、第１の当り抽選の対象となる図柄変動ゲームを実行させるための第１ゲーム処理を行う。

【0084】

第１ゲーム処理において、主制御用ＣＰＵ３０ａは、第１保留記憶数から１減算し、主制御用ＲＡＭ３０ｃの所定の記憶領域に記憶されている（当り判定用乱数、特別図柄振分用乱数及び変動パターン振分用乱数）の値を読み出す。更に、主制御用ＣＰＵ３０ａは、１減算後の第１保留記憶数を表すように第１保留表示装置２６ａの表示内容を制御する。

【0085】

また、第１ゲーム処理において、各種乱数の値を読み出した主制御用ＣＰＵ３０ａは、読み出した当り判定用乱数の値が、主制御用ＲＯＭ３０ｂに記憶されている大当り判定値と一致するか否かを判定して大当り判定（第１の大当り抽選）を行う。このとき、主制御用ＣＰＵ３０ａは、高確率抽選状態の生起中であるか否かに応じた大当り判定値を用いて第１の大当り抽選を行う。

【0086】

そして、第１の大当り抽選に当選した場合、主制御用ＣＰＵ３０ａは、読み出した特別図柄振分用乱数の値に基づき、第１特別図柄表示装置２５ａに確定停止表示させる大当り図柄を決定する。このとき、主制御用ＣＰＵ３０ａは、実質５Ｒ特定大当りに対応する大当り図柄、実質５Ｒ非特定大当りに対応する大当り図柄及び短縮特定大当りに対応する大当り図柄の中から大当り図柄を決定する。また、本実施形態の主制御用ＣＰＵ３０ａは、大当り図柄を決定することにより、大当りの種類も決定する。

【0087】

その後、主制御用ＣＰＵ３０ａは、読み出した変動パターン振分用乱数の値に基づき、変動パターンを決定し、特別図柄開始処理を終了する。このとき、主制御用ＣＰＵ３０ａは、実質５Ｒ特定大当り又は実質５Ｒ非特定大当りを決定している際、変動パターン振分用乱数の値に基づき、複数種類の大当り演出用の変動パターンの中から変動パターンを決定する。一方、主制御用ＣＰＵ３０ａは、短縮特定大当りを決定している際、変動パターン振分用乱数の値に基づき、複数種類の特定演出用の変動パターンの中から変動パターンを決定する。

【0088】

一方、第１の大当り抽選に非当選した場合、主制御用ＣＰＵ３０ａは、読み出した当り判定用乱数の値が、主制御用ＲＯＭ３０ｂに記憶されている小当り判定値と一致するか否かを判定して小当り判定（第１の小当り抽選）を行う。このとき、主制御用ＣＰＵ３０ａは、第１の小当り抽選用の小当り判定値を用いて第１の小当り抽選を行う。

【0089】

そして、第１の小当り抽選に当選した場合、主制御用ＣＰＵ３０ａは、読み出した特別図柄振分用乱数の値に基づき、第１特別図柄表示装置２５ａに確定停止表示させる小当り図柄を決定する。その後、主制御用ＣＰＵ３０ａは、読み出した変動パターン振分用乱数の値に基づき、変動パターンを決定し、特別図柄開始処理を終了する。このとき、主制御用ＣＰＵ３０ａは、変動パターン振分用乱数に基づき、原則として、複数種類の特定演出用の変動パターンの中から変動パターンの中から変動パターンを決定する。なお、本実施形態において、主制御用ＣＰＵ３０ａは、小当り抽選に当選した場合であっても、はずれ演出用の変動パターンを決定する場合もある。小当り抽選に当選した際に、はずれ演出用の変動パターンを決定する状況については、後ほど説明する。

【0090】

また、第１の大当り抽選と第１の小当り抽選の何れにも非当選した場合、主制御用ＣＰＵ３０ａは、第１特別図柄表示装置２５ａに確定停止表示させる特別図柄としてはずれ図柄を決定する。その後、主制御用ＣＰＵ３０ａは、読み出した変動パターン振分用乱数の値に基づき、複数種類のはずれ演出用の変動パターンの中から変動パターンを決定し、特別図柄開始処理を終了する。

【0091】

また、第２ゲーム処理において、主制御用ＣＰＵ３０ａは、第２保留記憶数から１減算し、主制御用ＲＡＭ３０ｃの所定の記憶領域に記憶されている各種乱数（当り判定用乱数、特別図柄振分用乱数及び変動パターン振分用乱数）の値を読み出す。更に、主制御用ＣＰＵ３０ａは、１減算後の第２保留記憶数を表すように第２保留表示装置２６ｂの表示内容を制御する。

【0092】

また、各種乱数の値を読み出した主制御用ＣＰＵ３０ａは、読み出した当り判定用乱数の値が、主制御用ＲＯＭ３０ｂに記憶されている大当り判定値と一致するか否かを判定して大当り判定（第２の大当り抽選）を行う。このとき、主制御用ＣＰＵ３０ａは、高確率抽選状態の生起中であるか否かに応じた大当り判定値を用いて第２の大当り抽選を行う。

【0093】

そして、この第２の大当り抽選に当選した場合、主制御用ＣＰＵ３０ａは、読み出した特別図柄振分用乱数の値に基づき、第２特別図柄表示装置２５ｂに確定停止表示させる大当り図柄を決定する。このとき、主制御用ＣＰＵ３０ａは、１５Ｒ特定大当りに対応する大当り図柄と、１５Ｒ非特定大当りに対応する大当り図柄の中から大当り図柄を決定する。その後、主制御用ＣＰＵ３０ａは、読み出した変動パターン振分用乱数の値に基づき、複数種類の大当り演出用の変動パターンの中から変動パターンを決定し、特別図柄開始処理を終了する。

【0094】

一方、第２の大当り抽選に非当選した場合、主制御用ＣＰＵ３０ａは、読み出した当り判定用乱数の値が、主制御用ＲＯＭ３０ｂに記憶されている小当り判定値と一致するか否かを判定して小当り判定（第２の小当り抽選）を行う。このとき、主制御用ＣＰＵ３０ａは、第２の小当り抽選用の小当り判定値を用いて第２の小当り抽選を行う。

【0095】

そして、第２の小当り抽選に当選した場合、主制御用ＣＰＵ３０ａは、読み出した特別図柄振分用乱数の値に基づき、第２特別図柄表示装置２５ｂに確定停止表示させる小当り図柄を決定する。その後、主制御用ＣＰＵ３０ａは、読み出した変動パターン振分用乱数の値に基づき、変動パターンを決定し、特別図柄開始処理を終了する。このとき、主制御用ＣＰＵ３０ａは、変動パターン振分用乱数に基づき、原則として、複数種類の特定演出用の変動パターンの中から変動パターンの中から変動パターンを決定する。なお、前述したように、主制御用ＣＰＵ３０ａは、小当り抽選に当選した場合であっても、はずれ演出用の変動パターンを決定する場合もある。

【0096】

また、第２の大当り抽選と第２の小当り抽選の何れにも非当選した場合、主制御用ＣＰＵ３０ａは、第２特別図柄表示装置２５ｂに確定停止表示させる特別図柄としてはずれ図柄を決定する。その後、主制御用ＣＰＵ３０ａは、読み出した変動パターン振分用乱数の値に基づき、複数種類のはずれ演出用の変動パターンの中から変動パターンを決定し、特別図柄開始処理を終了する。

【0097】

また、特別図柄開始処理において特別図柄及び変動パターンを決定した主制御用ＣＰＵ３０ａは、決定した内容にしたがって生成した制御コマンドを所定のタイミングで演出制御用ＣＰＵ３１ａに出力する。具体的に言えば、主制御用ＣＰＵ３０ａは、変動パターンを指定するとともに図柄変動ゲームの開始を指示する変動パターン指定コマンドを図柄変動ゲームの開始に際して最初に出力する。同時に、主制御用ＣＰＵ３０ａは、特別図柄開始処理にて決定した特別図柄を指定する特別図柄指定コマンドを演出制御用ＣＰＵ３１ａに出力する。そして、主制御用ＣＰＵ３０ａは、指示した変動パターンに定められている変動時間の経過時に図柄変動ゲームの終了を指示する全図柄停止コマンドを前記変動時間の経過に伴って出力するとともに、決定した特別図柄を確定停止表示させるように第１特別図柄表示装置２５ａ又は第２特別図柄表示装置２５ｂの表示内容を制御する。

【0098】

なお、本実施形態において大当り抽選を行う主制御用ＣＰＵ３０ａが、大当り抽選手段として機能する。また、本実施形態において小当り抽選を行う主制御用ＣＰＵ３０ａが、小当り抽選手段として機能する。

【0099】

また、主制御用ＣＰＵ３０ａは、全図柄停止コマンドの出力後、次の図柄変動ゲームの実行を開始するまでのゲーム間インターバルを設定する。そして、主制御用ＣＰＵ３０ａは、ゲーム間インターバル終了後から、再び特別図柄開始処理を行い、実行が保留されている図柄変動ゲームを実行させるための制御を行う。

【0100】

また、主制御用ＣＰＵ３０ａは、大当り抽選に当選した場合、当該大当り抽選の当選対象となる図柄変動ゲームの終了後、大入賞装置２０の開放状態及び閉鎖状態を制御し、大当り遊技を生起させる。また、主制御用ＣＰＵ３０ａは、小当り抽選に当選した場合、当該小当り抽選の当選対象となる図柄変動ゲームの終了後、大入賞装置２０の開放状態及び閉鎖状態を制御し、小当り遊技を生起させる。このように、本実施形態において、大当り抽選又は小当り抽選に当選した際に、当該当選の対象となる図柄変動ゲームの終了後に当り遊技を生起させる主制御用ＣＰＵ３０ａが当り遊技生起手段として機能する。

【0101】

また、主制御用ＣＰＵ３０ａは、主制御用高確率抽選状態フラグや主制御用入球率向上状態フラグの管理によって、遊技状態を制御する。具体的には、高確率抽選状態を生起させるとき、主制御用ＣＰＵ３０ａは、高確率抽選状態の生起中であることを示す情報を主制御用高確率抽選状態フラグに設定する。また、高確率抽選状態を生起させないとき、主制御用ＣＰＵ３０ａは、高確率抽選状態の生起中でないことを示す情報を主制御用高確率抽選状態フラグに設定する。

【0102】

また、入球率向上状態を生起させるとき、主制御用ＣＰＵ３０ａは、入球率向上状態の生起中であることを示す情報を主制御用入球率向上状態フラグに設定する。また、入球率向上状態を生起させないとき、主制御用ＣＰＵ３０ａは、入球率向上状態の生起中でないことを示す情報を主制御用入球率向上状態フラグに設定する。

【0103】

なお、主制御用ＣＰＵ３０ａは、小当り遊技を生起させた場合、当該生起を契機として主制御用入球率向上状態フラグや主制御用高確率抽選状態フラグに設定されている情報の書き換えを行わない。

【0104】

このように、本実施形態において、主制御用入球率向上状態フラグに情報を設定することによって入球率向上状態を生起させる主制御用ＣＰＵ３０ａが、入球率向上状態生起手段として機能する。また、本実施形態において、主制御用高確率抽選状態フラグに情報を設定することによって高確率抽選状態を生起させる主制御用ＣＰＵ３０ａが、高確率抽選状態生起手段として機能する。

【0105】

次に、普通当り遊技の生起に係る制御について説明する。
主制御用ＣＰＵ３０ａは、ゲート２３へ遊技球が入球したことをゲートスイッチＳＷ４からの検知信号の入力によって特定すると、主制御基板３０内で生成される普通当り判定用乱数の値を取得する。そして、主制御用ＣＰＵ３０ａは、普通当り遊技の生起中でない場合、取得した普通当り判定用乱数の値が、主制御用ＲＯＭ３０ｂに記憶されている普通当り判定値と一致するか否かの普通当り抽選を行う。そして、普通当り抽選に当選した場合、主制御用ＣＰＵ３０ａは、普通図柄表示装置２７にて所定時間だけ普通図柄を変動表示させた後に普通当り図柄を確定停止表示させる。一方、普通当り抽選に非当選した場合、主制御用ＣＰＵ３０ａは、普通図柄表示装置２７にて所定時間だけ普通図柄を変動表示させた後に普通はずれ図柄を確定停止表示させる。

【0106】

また、主制御用ＣＰＵ３０ａは、普通当り図柄を普通図柄表示装置２７に確定停止表示させた後、下始動入球装置１７の開放状態と閉鎖状態を制御して、普通当り遊技を生起させる。

【0107】

次に、演出制御基板３１の演出制御用ＣＰＵ３１ａが制御プログラムに基づき実行する各種の処理について説明する。
演出制御基板３１の演出制御用ＣＰＵ３１ａは、変動パターン指定コマンド及び特別図柄指定コマンドを入力すると、当該コマンドの指示内容に応じて演出表示装置１１に確定停止表示させる装飾図柄の図柄組み合わせを決定する。

【0108】

具体的に、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、実質５Ｒ特定大当り、実質５Ｒ非特定大当り、１５Ｒ特定大当り及び１５Ｒ非特定大当りのうち何れかに対応する大当り図柄が指定された場合、大当りの図柄組み合わせの中から確定停止表示させる装飾図柄の図柄組み合わせを決定する。また、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、短縮特定大当りに対応する大当り図柄又は小当り図柄が指定された場合、特定図柄組み合わせの中から確定停止表示させる装飾図柄の図柄組み合わせを決定する。また、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、はずれ図柄が指定された場合、はずれの図柄組み合わせの中から確定停止表示させる装飾図柄の図柄組み合わせを決定する。

【0109】

演出制御用ＣＰＵ３１ａは、変動パターン指定コマンドを入力すると、各図柄列の装飾図柄を変動表示させて図柄変動ゲームを開始するように、装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３の演出表示装置１１における表示内容を制御する。そして、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、全図柄停止コマンドを入力すると、確定停止表示させると決定した装飾図柄の図柄組み合わせを確定停止表示させるように装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３の演出表示装置１１における表示内容を制御する。このように、本実施形態において、図柄変動ゲームが行われる演出表示装置１１が演出実行手段として機能する。また、本実施形態において、演出表示装置１１に図柄変動ゲームを実行させる演出制御用ＣＰＵ３１ａが、ゲーム制御手段として機能する。

【0110】

また、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、全図柄停止コマンドの入力後、ゲーム間インターバルが設定されている間は、直前に確定停止表示させた装飾図柄を停止表示させたまま表示するように装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３の演出表示装置１１における表示内容を制御する。

【0111】

また、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、デモ信号を入力すると、直前に確定停止表示させた装飾図柄を停止表示させたまま、各装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３を構成する副図柄Ｓｇを回転させて表示させるように装飾図柄Ｚｇ１〜Ｚｇ３の演出表示装置１１における表示内容を制御し、デモンストレーション演出を実行させる。

【0112】

また、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、大当り遊技が生起されると、当該大当り遊技の生起中、大当りの種類に応じた当り中演出を実行させるように、演出表示装置１１の表示態様、スピーカＳｐの音声出力態様及び装飾ランプＬａの発光態様を制御する。

【0113】

また、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、小当り遊技が生起されると、小当りに対応する当り中演出を実行させるように、演出表示装置１１の表示内容、スピーカＳｐの音声出力態様及び装飾ランプＬａの発光態様を制御する。このように、本実施形態において、当り遊技（大当り遊技や小当り遊技）が生起されているときの演出表示装置１１に実行させる各種演出を制御する演出制御用ＣＰＵ３１ａが、遊技中演出制御手段として機能する。

【0114】

また、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、演出制御用高確率抽選状態フラグや演出制御用入球率向上状態フラグの管理によって、遊技状態を特定できるようにする。具体的に、高確率抽選状態が生起されるとき、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、高確率抽選状態の生起中であることを特定可能な情報を演出制御用高確率抽選状態フラグに設定する。また、高確率抽選状態が生起されないとき、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、高確率抽選状態の生起中でないことを特定可能な情報を演出制御用高確率抽選状態フラグに設定する。

【0115】

また、入球率向上状態が生起されるとき、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、入球率向上状態の生起中であることを特定可能な情報を演出制御用入球率向上状態フラグに設定する。また、入球率向上状態が生起されないとき、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、入球率向上状態の生起中でないことを特定可能な情報を演出制御用入球率向上状態フラグに設定する。

【0116】

また、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、原則として、入球率向上状態の生起中でないときは、通常演出モードを実行させるように、演出表示装置１１の表示内容を制御する。例えば、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、第１の背景画像Ｈｇ１を表示させるとともに、画像Ｋｇ１を移動させて表示させるように演出表示装置１１の表示内容を制御する。

【0117】

また、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、原則として、入球率向上状態の生起中は、入球率向上モードを実行させるように、演出表示装置１１の表示内容を制御する。例えば、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、第２の背景画像Ｈｇ２を表示させるとともに、画像Ｋｇ１を移動させて表示させるように演出表示装置１１の表示内容を制御する。このように、本実施形態において、演出モードの実行を制御する演出制御用ＣＰＵ３１ａが演出モード制御手段として機能する。また、本実施形態では、入球率向上モードの制御を開始してから、大当り抽選に当選することなく入球率向上回数の図柄変動ゲームが実行されることによって、通常演出モードへと移行することから、入球率向上回数が切替回数に相当する。

【0118】

本実施形態のパチンコ遊技機１０では、演出表示装置１１にて報知演出を実行可能に構成されている。この報知演出は、第１流下ルートＲ１を流下させるように遊技球の発射を促す第１内容と、第２流下ルートＲ２を流下させるように遊技球の発射を促す第２内容と、のうち何れかの内容で実行される。

【0119】

図６（ａ）に示すように、第１流下ルートＲ１を流下させるために演出表示装置１１の左側へ遊技球を流下させるように遊技球の発射を促す左打ち画像Ｌｇを演出表示装置１１に表示させて、第１内容の報知演出が行われる。なお、本実施形態において、左打ち画像Ｌｇは、第１のルートとなる第１流下ルートＲ１を流下させるように遊技球の発射を促すために表示させる画像に相当する。

【0120】

また、図６（ｂ）に示すように、左打ち画像Ｌｇは、演出表示装置１１の画像表示部ＧＨ全体の演出領域のうち第１演出領域Ｔｒ１内に表示される。更に、第１演出領域Ｔｒ１に左打ち画像Ｌｇが表示される場合、左打ち画像Ｌｇは、第１演出領域Ｔｒ１に収まる大きさのうち最大の大きさで表示される。

【0121】

また、図６（ｃ）に示すように、第２流下ルートＲ２を流下させるために演出表示装置１１の右側へ遊技球を流下させるように遊技球の発射を促す右打ち画像Ｒｇを演出表示装置１１に表示させて、第２内容の報知演出が行われる。なお、本実施形態において、右打ち画像Ｒｇは、第２のルートとなる第２流下ルートＲ２を流下させるように遊技球の発射を促すために表示させる画像に相当する。

【0122】

また、図６（ｄ）に示すように、右打ち画像Ｒｇは、演出表示装置１１の画像表示部ＧＨ全体の演出領域のうち第２演出領域Ｔｒ２内に表示される。更に、第２演出領域Ｔｒ２に右打ち画像Ｒｇが表示される場合、右打ち画像Ｒｇは、第２演出領域Ｔｒ２に収まる大きさのうち最大の大きさで表示される。

【0123】

また、第２演出領域Ｔｒ２の面積は、第１演出領域Ｔｒ１の面積よりも小さく定められている。したがって、左打ち画像Ｌｇが表示される場合、右打ち画像Ｒｇが表示されるよりも、画像が大きく表示される。また、本実施形態において、左打ち画像Ｌｇと右打ち画像Ｒｇは、装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３よりも前面に表示される。

【0124】

因みに、本実施形態のパチンコ遊技機１０では、入球率向上状態が生起されていない状態が、主な状態であり、通常時の遊技状態といえる。このため、通常時の遊技状態においては、原則、演出表示装置１１に左打ち画像Ｌｇや右打ち画像Ｒｇを表示させない態様で、第１内容の報知演出が行われる。したがって、本実施形態においては、左打ち画像Ｌｇが演出表示装置１１にて表示される態様で行われる第１内容の報知演出と、左打ち画像Ｌｇ及び右打ち画像Ｒｇが演出表示装置１１にて表示されない態様で行われる第１内容の報知演出と、がある。なお、本実施形態において、第１演出領域Ｔｒ１に収まる大きさのうち最大の大きさが、第１の大きさに相当する。また、本実施形態において、左打ち画像Ｌｇと右打ち画像Ｒｇが表示されない場合において、左打ち画像Ｌｇが表示されない状態の当該左打ち画像Ｌｇの大きさが第２の大きさに相当する。

【0125】

以下、報知演出を実行させるための制御について説明する。
演出制御用ＣＰＵ３１ａは、大当り遊技が生起されると、当該大当り遊技の生起中は、第２内容の報知演出を実行させるように演出表示装置１１の表示内容を制御する。また、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、入球率向上状態の生起中、第２内容の報知演出を実行させるように演出表示装置１１の表示内容を制御する。

【0126】

また、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、大当り遊技終了後から大当り抽選に当選することなく入球率向上回数の図柄変動ゲームの実行が終了したことを契機として入球率向上状態が終了する場合、左打ち画像Ｌｇを表示させて第１内容の報知演出を実行させるように演出表示装置１１の表示内容を制御する。

【0127】

また、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、左打ち画像Ｌｇを表示させて第１内容の報知演出を実行させてから、所定時間（例えば、１０秒）が経過すると、左打ち画像Ｌｇ及び右打ち画像Ｒｇを表示させずに第１内容の報知演出を実行させる。すなわち、左打ち画像Ｌｇが表示された後、所定時間が経過すると、左打ち画像Ｌｇの表示が終了する。このように、本実施形態において報知演出を実行する演出表示装置１１が、報知演出実行手段として機能する。

【0128】

本実施形態では、大当り遊技の終了後から大当り抽選に当選することなく入球率向上回数の図柄変動ゲームの実行が終了したことにより入球率向上状態の終了条件が成立する場合、当該終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームが、小当り抽選の当選対象となる場合には通常とは異なる態様で各種の演出が行われる。なお、「終了条件の成立対象となる図柄変動ゲーム」とは、大当り遊技終了後に入球率向上状態が生起されてから大当り抽選に当選することなく連続して実行される図柄変動ゲームのうち、前記大当り遊技終了後から入球率向上回数目に実行される図柄変動ゲームを意味する。また、「小当り抽選の当選対象となる図柄変動ゲーム」とは、小当り抽選に当選したことに基づき実行される図柄変動ゲームを意味する。

【0129】

本実施形態のパチンコ遊技機１０では、終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームが小当り抽選の当選対象となる場合、当該図柄変動ゲームは、特定演出用の変動パターンではなく、はずれ演出用の変動パターンに基づき図柄変動ゲームが展開される。すなわち、主制御用ＣＰＵ３０ａは、小当り抽選に当選した場合であっても、当該当選の対象となる図柄変動ゲームが終了条件の成立対象となる場合には、変動パターン振分用乱数の値に基づき、複数種類のはずれ演出用の変動パターンの中から変動パターンを決定する。

【0130】

また、終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームが小当り抽選の当選対象となる場合、当該図柄変動ゲーム終了後に生起される小当り遊技では、ゲーム間インターバルの設定中と同じ態様で装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３が表示される。

【0131】

また、終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームが小当り抽選の当選対象となる場合、当該図柄変動ゲーム終了後に生起される小当り遊技では、第１内容の報知演出が実行される。このとき、演出表示装置１１では、左打ち画像Ｌｇが表示される態様で第１内容の報知演出が行われる。

【0132】

また、終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームが小当り抽選の当選対象となる場合、当該図柄変動ゲーム終了後に生起される小当り遊技では、当該小当り遊技終了後の次の図柄変動ゲームで実行される演出モードが実行される。この小当り遊技終了後の次の図柄変動ゲームでは、通常演出モードが実行される。したがって、終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームが小当り抽選の当選対象となる場合、当該図柄変動ゲーム終了後に生起される小当り遊技では、通常演出モードが実行される。

【0133】

ここで、終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームが小当り抽選の当選対象となる場合に、演出制御用ＣＰＵ３１ａが行う制御について説明する。
演出制御用ＣＰＵ３１ａは、終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームが小当り抽選の当選対象となる場合、変動パターン指定コマンドで指定されるはずれ演出用の変動パターンに基づき図柄変動ゲームを実行させる。

【0134】

また、終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームが小当り抽選の当選対象となる場合、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、前記図柄変動ゲーム終了後の小当り遊技の生起に伴い、左打ち画像Ｌｇを表示させて第１内容の報知演出を実行させるように演出表示装置１１の表示内容を制御する。更に、左打ち画像Ｌｇを表示させて第１内容の報知演出を実行開始してから所定時間が経過すると、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、左打ち画像Ｌｇの表示を止め、左打ち画像Ｌｇと右打ち画像Ｒｇを表示せずに第１内容の報知演出を実行させるように演出表示装置１１の表示内容を制御する。

【0135】

また、終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームが小当り抽選の当選対象となる場合、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、前記図柄変動ゲームの終了後の小当り遊技の生起中、ゲーム間インターバルの設定中と同じ態様で装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３を表示させるように演出表示装置１１の表示内容を制御する。具体的に、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、直前に確定停止表示させた装飾図柄を停止表示させたまま、各装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３を構成する副図柄Ｓｇを回転して表示させないように装飾図柄Ｚｇ１〜Ｚｇ３の演出表示装置１１における表示内容を制御する。

【0136】

また、終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームが小当り抽選の当選対象となる場合、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、前記図柄変動ゲーム終了後の小当り遊技の生起中に、入球率向上モードから通常演出モードへと移行させるように演出表示装置１１の表示内容を制御する。このとき、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、演出表示装置１１に第２の背景画像Ｈｇ２を表示させるように演出表示装置１１の表示内容を制御する。更に、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、第１の背景画像Ｈｇ１から第２の背景画像Ｈｇ２へ切り替える際、各背景画像Ｈｇ１，Ｈｇ２において共通する画像Ｋｇ１の表示位置を引き継ぎ、前記画像Ｋｇ１を移動させて表示させるように演出表示装置１１の表示内容を制御する。

【0137】

ここで、図７（ａ）〜（ｅ）に基づき、終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームが小当り抽選の当選対象となる際の演出表示装置１１の表示内容について、説明する。
図７（ａ）に示すように、終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームの実行中は、入球率向上状態の生起中であることから、右打ち画像Ｒｇが第２演出領域Ｔｒ２内に表示され、第２内容の報知演出が演出表示装置１１にて行われる。また、入球率向上状態の生起中であることから、背景画像として第２の背景画像Ｈｇ２が演出表示装置１１に表示され、入球率向上モードが実行されている。

【0138】

また、図７（ｂ）に示すように、終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームの終了時には、第２内容の報知演出が演出表示装置１１にて継続して行われるとともに、特定図柄組み合わせが確定停止表示される。

【0139】

その後、図７（ｃ）に示すように、小当り遊技の生起が開始されると、左打ち画像Ｌｇが第１演出領域Ｔｒ１内に表示され、第１内容の報知演出が演出表示装置１１にて行われる。

【0140】

また、図７（ｄ）に示すように、小当り遊技の生起中、演出表示装置１１に表示される背景画像が第２の背景画像Ｈｇ２から第１の背景画像Ｈｇ１に切り替えられ、入球率向上モードから通常演出モードへと移行する。

【0141】

更に、図７（ｃ），（ｄ）に示すように、小当り遊技の生起中には、ゲーム間インターバルの設定中と同じ態様で装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３が表示される。具体的には、直前に確定停止表示させた装飾図柄が停止表示されたまま、各装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３を構成する副図柄Ｓｇが回転して表示されないように各装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３が表示される。それとともに、演出表示装置１１では、各背景画像Ｈｇ１，Ｈｇ２で共通する画像Ｋｇ１が移動して表示される。

【0142】

また、小当り遊技生起中の左打ち画像Ｌｇの表示開始から、所定時間が経過すると、当該左打ち画像Ｌｇの表示が終了し、左打ち画像Ｌｇと右打ち画像Ｒｇを表示させない態様での第１内容の報知演出が行われる。また、小当り遊技終了前に所定時間が経過したとする。

【0143】

この場合、図７（ｅ）に示すように、小当り遊技終了直後の図柄変動ゲームでは、左打ち画像Ｌｇの表示が終了した状態で行われる。更に、背景画像として第１の背景画像Ｈｇ１が表示された状態、つまり、通常演出モードが実行されている状態で、図柄変動ゲームが行われる。

【0144】

以上詳述したように、本実施形態は、以下の効果を有する。
（１）一般的なパチンコ遊技機のうち、大当り抽選以外に小当り抽選を行う遊技機として、例えば、特開２０１０−８８７８９号公報に記載の遊技機（以下、「第１の従来遊技機」という）がある。このような小当り抽選を行うことにより遊技性の幅を広げることができるため、近年では、第１の従来遊技機に限らず、多くのパチンコ遊技機で小当り抽選が行われている。ところで、各種の演出モードを実行可能なパチンコ遊技機において、演出モードの種類が切り替えられる場面で小当り遊技が生起されてしまうと、当該小当り遊技前後で異なる演出モードが行われることになる。この場合、小当り遊技の生起を要因として演出モードの種類が切り替わったかのようにみえてしまい、演出モードの切り替わりに違和感を抱かせてしまう虞がある。

【0145】

そこで、小当り抽選の当選を契機として生起される当り遊技（小当り遊技）の生起中は、実行が保留されている次の図柄変動ゲームが行われるまでのゲーム間インターバル設定中と同じように装飾図柄が停止したまま表示される。更に、小当り遊技の生起中は、当該小当り遊技終了後の次の図柄変動ゲームで実行（制御）される演出モードを実行するように構成した。このため、演出モードの種類が切り替わる場面で小当り遊技が生起されたとしても、当該小当り遊技が生起されていることを遊技者に気付かせ難くするとともに、演出モードの切り替わりに違和感を抱かせてしまうことを抑制することができる。

【0146】

（２）大当り抽選に当選したことを契機とする当り遊技（大当り遊技）の終了後、大当り抽選に当選することなく連続して実行された図柄変動ゲームの回数が入球率向上回数（規定回数）に達したことを契機として第２の終了条件が成立すると、前記大当り遊技終了後から生起された入球率向上状態は終了する。また、入球率向上状態の生起中は、入球率向上モードが実行される（特定演出モードが制御される）。また、入球率向上状態が第２の終了条件の成立を契機として終了した際には、入球率向上モードとは異なる通常演出モードの実行へと切り替わる。このように、入球率向上状態の切り替わりに対応して演出モードの種類が切り替わるため、入球率向上状態が終了する場面で小当り遊技が生起されたとしても、演出モードの切り替わりに違和感を抱かせてしまうことを抑制することができる。

【0147】

（３）大当り抽選に当選したことを契機とする当り遊技（大当り遊技）の終了後、大当り抽選に当選することなく連続して実行された図柄変動ゲームの回数が確率向上回数（上限回数）に達したことを契機として第２の抽選率移行条件が成立すると、大当り遊技終了後から生起された高確率抽選状態が終了する。また、高確率向上状態の生起中は、入球率向上モードが実行される（特定演出モードが制御される）。また、高確率抽選状態が第２抽選率移行条件の成立を契機として終了した際には、入球率向上モードとは異なる通常演出モードの実行へと切り替わるため、高確率抽選状態が終了する場面で小当り遊技が生起されたとしても、演出モードの切り替わりに違和感を抱かせてしまうことを抑制することができる。

【0148】

（４）第２始動入球手段となる下始動入球装置１７へ遊技球が入球するときよりも、第１始動入球手段となる上始動入球装置１５へ遊技球が入球するときの方が小当り抽選に当選し易いように構成した。そして、下始動入球装置１７へ遊技球が入球する確率が高確率となる入球率向上状態の生起中であるにもかかわらず小当り抽選に当選した場合、当該小当り抽選が上始動入球装置１５への入球を契機として行われたものである可能性が高い。このような入球率向上状態であるにもかかわらず上始動入球装置１５への入球にも基づく図柄変動ゲームが行われる状況では、下始動入球装置１７へ遊技球が入球していない状況であって、遊技者が有利に遊技を進行できていない可能性がある。ただ、このような状況であっても、上始動入球装置１５への入球を契機とする大当り抽選が行われたことを遊技者に気付かせ難くすることで、遊技者が有利に遊技を進行できていないことに対して落胆してしまうことを抑制することができる。

【0149】

（５）第１始動入球手段となる上始動入球装置１５への入球を契機とする大当り抽選に当選するよりも、第２始動入球手段となる第２始動入球手段となる下始動入球装置１７への入球を契機とする大当り抽選に当選した方が、遊技者によって有利に構成した。この場合、入球率向上状態の生起中において上始動入球装置１５への入球を契機として大当り抽選（第１の大当り抽選）が行われたことに対しての落胆が更に大きくなる。このような状況で、第１の大当り抽選が行われたことを遊技者に気付かせ難くすることで、遊技者が大きく落胆してしまうことを抑制できる。

【0150】

（６）一般的なパチンコ遊技機のうち、遊技球を流下させることが好ましいとされるルートが変化する遊技機として、例えば、特開２００７−８２６１０号公報に記載の遊技機（以下、「第２の従来遊技機」という）がある。第２の従来遊技機では、遊技球を流下させることが好ましいルートへの遊技球の発射を促す報知演出が行われる。ところで、第２の従来遊技機では、遊技状態の変更契機となり得ない小当り遊技が生起された際には、当該生起中に遊技盤の右側を流下させるように遊技球の発射を促す内容で報知演出が行われる。しかし、入球率向上状態における最終回の図柄変動ゲーム終了直後に小当り遊技が生起される場合、次の図柄変動ゲームでは入球率向上状態が終了している。このため、入球率向上状態の最終回の図柄変動ゲーム終了直後の小当り遊技生起中は、遊技盤の右側を流下させるように遊技球の発射を促す内容の報知演出を行う必要がない。むしろ、遊技盤の右側を流下させるように遊技球の発射を促す内容の報知演出を小当り遊技生起中に実行することで、当該小当り遊技の生起を契機として入球率向上状態が終了したかのようにみえてしまい遊技者に違和感を与えてしまう虞がある。

【0151】

そこで、終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームが、小当り抽選の当選対象となるとき、当該図柄変動ゲームの終了後に生起される当り遊技（小当り遊技）では、入球率向上状態が生起されていないときに行われる内容（第１のルートとなる第１流下ルートＲ１を流下するように遊技球の発射を促す第１内容）で報知演出を行う。これにより、入球率向上状態が終了する際に小当り遊技が生起された場合であっても、遊技者に対して、遊技球の発射態様の変更をスムーズに報知することができるとともに、当該小当り遊技の生起によって違和感を抱かせてしまうことを抑制することができる。

【0152】

（７）遊技盤ＹＢにおいて大入賞装置２０（特別入賞手段）は、第１のルートとなる第１流下ルートＲ１と、第２のルートとなる第２流下ルートＲ２のうち何れを流下する遊技球も入球可能に配置されている。このため、小当り遊技の生起中に、第１流下ルートＲ１を流下させるように遊技球が発射された場合であっても、大入賞装置２０へ遊技球を入球させることができる。よって、小当り遊技生起中、遊技球の発射態様の変更により、遊技球が大入賞装置２０へ入球しなくなる等の不利な状況が生じることを防止できる。

【0153】

（８）左打ち画像Ｌｇを第１演出領域Ｔｒ１に表示させて第１内容の報知演出の実行を開始した後、所定時間の経過を契機に、左打ち画像Ｌｇの表示を消す（左打ち画像Ｌｇを小さくする）ように構成した。これにより、報知演出の実行が、遊技を行う上で煩わしい演出となってしまうことを抑制することができる。

【0154】

（第２実施形態）
次に、遊技機の第２実施形態を図８に基づき説明する。なお、第１実施形態と同様の構成は、第１実施形態と同じ符号を付してその詳細な説明及び図面は省略する。

【0155】

第２実施形態では、終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームが小当り抽選の当選対象となる場合、当該図柄変動ゲーム終了後に生起される小当り遊技では、デモンストレーション演出と同じ態様で装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３が表示される。

【0156】

したがって、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームが小当り抽選の当選対象となる場合、当該図柄変動ゲームの終了後の小当り遊技の生起中、デモンストレーション演出と同じ態様で装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３を表示させるように演出表示装置１１の表示内容を制御する。具体的に、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、直前に確定停止表示させた装飾図柄を停止表示させたまま、各装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３を構成する副図柄Ｓｇを回転して表示させるように装飾図柄Ｚｇ１〜Ｚｇ３の演出表示装置１１における表示内容を制御する。

【0157】

ここで、図８（ａ）〜（ｅ）に基づき、終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームが小当り抽選の当選対象となる際の演出表示装置１１の表示内容について、説明する。
図８（ａ）に示すように、終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームの実行中は、入球率向上状態の生起中であることから、右打ち画像Ｒｇが第２演出領域Ｔｒ２に表示され、第２内容の報知演出が演出表示装置１１にて行われる。また、入球率向上状態の生起中であることから、背景画像として第２の背景画像Ｈｇ２が演出表示装置１１に表示され、入球率向上モードが実行されている。

【0158】

また、図８（ｂ）に示すように、終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームの終了時には、第２内容の報知演出が演出表示装置１１にて継続して行われるとともに、特定図柄組み合わせが確定停止表示される。

【0159】

その後、図８（ｃ）に示すように、小当り遊技の生起が開始されると、左打ち画像Ｌｇが第１演出領域Ｔｒ１に表示され、第１内容の報知演出が演出表示装置１１にて行われる。

【0160】

また、図８（ｄ）に示すように、小当り遊技の生起中、演出表示装置１１に表示される背景画像が第２の背景画像Ｈｇ２から第１の背景画像Ｈｇ１に切り替えられ、入球率向上モードから通常演出モードへと移行する。

【0161】

更に、図８（ｃ），（ｄ）に示すように、小当り遊技の生起中には、ゲーム間インターバルの設定中と同じ態様で装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３が表示される。具体的には、直前に確定停止表示させた装飾図柄が停止表示されたまま、各装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３を構成する副図柄Ｓｇが回転して表示されるように各装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３が表示される。それとともに、演出表示装置１１では、各背景画像Ｈｇ１，Ｈｇ２で共通する画像Ｋｇ１が移動して表示される。

【0162】

また、小当り遊技生起中の左打ち画像Ｌｇの表示開始から、所定時間が経過すると、当該左打ち画像Ｌｇの表示が終了し、左打ち画像Ｌｇと右打ち画像Ｒｇを表示させない態様での第１内容の報知演出が行われる。また、小当り遊技終了前に所定時間が経過したとする。

【0163】

この場合、図８（ｅ）に示すように、小当り遊技終了直後の図柄変動ゲームでは、左打ち画像Ｌｇの表示が終了した状態で行われる。更に、背景画像として第１の背景画像Ｈｇ１が表示された状態、つまり、通常演出モードが実行されている状態で、図柄変動ゲームが行われる。

【0164】

以上詳述したように、本実施形態は、第１実施形態の効果（２）〜（８）に加えて、以下の効果を得ることができる。
（９）小当り抽選の当選を契機として生起される当り遊技（小当り遊技）の生起中は、図柄変動ゲームの実行が保留されていないときのデモンストレーション演出と同じように装飾図柄が停止したまま表示される。更に、小当り遊技の生起中は、当該小当り遊技終了後の次の図柄変動ゲームで実行（制御）される演出モードを実行するように構成した。このため、演出モードの種類が切り替わる場面で小当り遊技が生起されたとしても、当該小当り遊技が生起されていることを遊技者に気付かせ難くするとともに、演出モードの切り替わりに違和感を抱かせてしまうことを抑制することができる。

【0165】

なお、上記実施形態は、次のような別の実施形態（別例）にて具体化できる。
・上記実施形態において、第１流下ルートＲ１を流下するように遊技球が発射されていることを特定可能に構成してもよい。例えば、第１流下ルートＲ１を流下するように遊技球が発射されるときにのみ入球が想定されている上始動入球装置１５への入球を上始動スイッチＳＷ１によって検知することにより、第１流下ルートＲ１を流下するように遊技球が発射されていることを特定するように構成してもよい。更に、左打ち画像Ｌｇを表示させる第１内容の報知演出の実行は、第１流下ルートＲ１を流下するように遊技球が発射されていることを特定するまで継続するように構成してもよい。このように構成する場合には、第１流下ルートＲ１を流下させるように遊技球が発射されるまで、大きく左打ち画像Ｌｇを表示して第１流下ルートＲ１を流下させるように遊技球の発射を確実に促すことができる。

【0166】

・上記実施形態において、終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームが小当り抽選の当選対象となる場合、図柄変動ゲームの実行が保留されているときと、図柄変動ゲームの実行が保留されていないときと、で前記図柄変動ゲーム終了後の小当り遊技生起中の装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３の表示態様を異ならせてもよい。例えば、図柄変動ゲームの実行が保留されているときには、ゲーム間インターバルの設定中と同じ態様で装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３が表示される。一方、図柄変動ゲームの実行が保留されていないときには、デモンストレーション演出と同じ態様で装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３が表示されるように構成してもよい。このように構成する場合、図柄変動ゲームの実行が保留されているか否かを確認しても、装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３の表示態様から小当り遊技が生起されていることを認識し難くすることができる。

【0167】

・上記実施形態において、例えば、通常演出モードの種類を複数種類として、同一種類の通常演出モードにおいて連続して実行された図柄変動ゲームの回数が切替回数に達したことを契機に異なる種類の通常演出モードが実行（制御）されるように構成してもよい。そして、同一種類の通常演出モードで実行される最後の図柄変動ゲーム（切替回数目の図柄変動ゲーム）が小当り抽選の当選対象となる場合には、当該図柄変動ゲーム終了後の小当り遊技の生起中、次の図柄変動ゲームで実行される種類の通常演出モードを実行するように構成してもよい。このように構成する場合、小当り遊技が生起されたとしても、演出モードの種類の切り替わりに違和感を抱かせてしまうことを抑制することができる。

【0168】

・上記実施形態において、第１流下ルートＲ１を流下する遊技球がゲート２３へ入球し得るように、遊技盤ＹＢにおけるゲート２３の配置を変更してもよい。このように構成する場合には、第１流下ルートＲ１を流下するように遊技球を発射させた場合でも、当該遊技球が下始動入球装置１７へ入球することが想定可能となる。

【0169】

・上記実施形態において、第２流下ルートＲ２を流下する遊技球が上始動入球装置１５へ入球し得るように、遊技盤ＹＢにおける上始動入球装置１５の配置を変更してもよい。
・上記実施形態において、第２流下ルートＲ２を流下する遊技球のみが下始動入球装置１７へ入球し得るように、遊技盤ＹＢにおける下始動入球装置１７の配置を変更してもよい。

【0170】

・上記実施形態の遊技盤ＹＢにおいて、特別入賞手段となる大入賞装置２０を、第１流下ルートＲ１と第２流下ルートＲ２のうち何れか一方のルートを流下する遊技球のみ入球可能な位置に配設してもよい。例えば、遊技盤ＹＢにおいて、第２流下ルートＲ２を流下する遊技球のみ入球可能に大入賞装置２０を配置してもよい。

【0171】

・上記実施形態において、第１の小当り抽選の当選確率と、第２の小当り抽選の当選確率と、を同一確率としてもよい。また、第１の小当り抽選の当選確率を、第２の小当り抽選の当選確率よりも低確率に定めてもよい。

【0172】

・上記実施形態において、報知演出は、演出表示装置１１における画像表示によるものでなくても、例えば、スピーカＳｐによって行われるように構成してもよい。その他にも、装飾ランプＬａのような発光装置を用いて、報知演出を実行するように構成してもよい。

【0173】

・上記実施形態における第１演出領域Ｔｒ１と第２演出領域Ｔｒ２は、四角形で示したが、表示される画像Ｌｇ，Ｒｇの外形に沿った形状であってもよい。また、演出領域の大きさや形状は、表示される画像の大きさや形状と、一緒であってもよい。但し、第１演出領域Ｔｒ１の面積は、第２演出領域Ｔｒ２の面積よりも小さいことが望ましい。

【0174】

・上記実施形態において、入球率向上状態が生起されていない通常時の遊技状態において、左打ち画像Ｌｇを継続的に表示するように構成してもよい。このように構成する場合、図柄変動ゲームの邪魔にならないように、左打ち画像Ｌｇを表示する演出領域の大きさや位置を変更することが好ましい。例えば、入球率向上状態が終了してから所定時間が経過するまでは第１演出領域Ｔｒ１に左打ち画像Ｌｇを表示させ、前記所定時間の経過後は、第１演出領域Ｔｒ１とは異なる演出領域に左打ち画像Ｌｇを表示させたり、左打ち画像Ｌｇの大きさを小さくしたりしてもよい。なお、「第１演出領域Ｔｒ１とは異なる演出領域」としては、例えば、図柄変動ゲームを行う上で煩わしくない領域等（例えば、画像表示部ＧＨの左下端の領域）が考えられる。

【0175】

・上記実施形態において、左打ち画像Ｌｇが表示される大きさは、第１演出領域Ｔｒ１に収まる大きさであれば、第１演出領域Ｔｒ１に収まる大きさのうち最大の大きさに限らない。同様に、右打ち画像Ｒｇが表示される大きさは、第２演出領域Ｔｒ２に収まる大きさであれば、第２演出領域Ｔｒ２に収まる大きさのうち最大の大きさに限らない。

【0176】

・上記実施形態において、報知演出を行わなくてもよい。
・上記実施形態において、１回の開放遊技において大入賞装置２０が開放状態となる回数が複数回であってもよい。

【0177】

・上記実施形態において、入球率向上状態が生起されているときと、入球率向上状態が生起されていないときと、で実行される演出モードの種類が同一種類であってもよい。
・上記実施形態において、高確率抽選状態が生起されているか否かに応じて、実行される演出モードの種類を異ならせてもよい。

【0178】

・上記実施形態において、演出モードの種類を変更してもよい。例えば、入球率向上状態が生起されていないときに、短縮特定大当りに基づく大当り遊技や小当り遊技が生起された後は、通常演出モードとは異なるチャンスモードが所定期間実行されるように構成してもよい。なお、このように構成する場合、チャンスモードの実行中は、高確率抽選状態が生起されていることを期待することのできる演出モードとなる。また、演出モードの種類は、１種類であってもよい。

【0179】

・上記実施形態において、高確率抽選状態の終了条件を変更してもよい。例えば、大当り遊技が生起されることによって成立する終了条件のみを高確率抽選状態の終了条件として定めてもよい。

【0180】

・上記実施形態において、演出モードの種類によって背景画像以外を異ならせてもよい。例えば、装飾図柄の態様を異ならせたり、装飾ランプＬａの発光色を異ならせたり、スピーカＳｐによって音声出力される楽曲を異ならせても良い。

【0181】

・上記実施形態において、左打ち画像Ｌｇを変更してもよい。また、左打ち画像Ｌｇを表示させる第１演出領域Ｔｒ１の大きさや、第１演出領域Ｔｒ１の位置を変更してもよい。

【0182】

・上記実施形態において、第１の背景画像Ｈｇ１と第２の背景画像Ｈｇ２において共通する画像Ｋｇ１を表示するように構成したが、各背景画像Ｈｇ１，Ｈｇ２において表示される全ての画像を異ならせてもよい。

【0183】

・上記実施形態において、ゲーム間インターバルの設定中における装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３の表示態様と、デモンストレーション演出における装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３の表示態様と、が同じであってもよい。また、各状態における装飾図柄画像Ｚｇ１〜Ｚｇ３の表示態様を、上記実施形態とは異なる表示態様に変更してもよい。

【0184】

・上記実施形態において、演出制御用ＣＰＵ３１ａは、図柄変動ゲームの実行が終了してから所定時間が経過するまでの間、変動パターン指定コマンドを入力しなかった場合、デモンストレーション演出の実行を開始するように構成してもよい。この場合、デモ信号を主制御用ＣＰＵ３０ａが出力するように構成しなくてもよい。

【0185】

・上記実施形態における特定図柄組み合わせは、はずれの図柄組み合わせに含まれない図柄組み合わせであってもよい。
・上記実施形態において、右打ち画像Ｒｇを変更してもよい。また、右打ち画像Ｒｇを表示させる第２演出領域Ｔｒ２の大きさや、第２演出領域Ｔｒ２の位置を変更してもよい。

【0186】

・上記実施形態において、第１の大当り抽選と第２の大当り抽選で決定される大当りの種類が同じであってもよい。
・上記実施形態において、小当り抽選を行わなくてもよい。

【0187】

・上記実施形態において、小当り抽選に非当選した後に、大当り抽選を行うように構成してもよい。
・上記実施形態において、大当りの種類を変更してもよい。例えば、大当り遊技における大入賞装置２０の開放状態と閉鎖状態の態様を１種類としてもよい。また、短縮特定大当りを備えなくてもよい。

【0188】

・上記実施形態の遊技盤ＹＢにおいて、アウト口ＨＫを複数形成してもよい。例えば、遊技盤ＹＢにおいて、第１流下ルートＲ１を流下する遊技球が主に入球する第１のアウト口と、第２流下ルートＲ２を流下する遊技球が主に入球する第２のアウト口と、を形成してもよい。

【0189】

・上記実施形態において、演出表示装置１１、装飾ランプＬａ及びスピーカＳｐをそれぞれ専用のＣＰＵによって制御するように構成してもよい。このとき、各ＣＰＵは、単一の制御基板上に設けてもよいし、異なる制御基板上に設けてもよい。また、各ＣＰＵを設けることに伴い、各ＣＰＵがそれぞれ管理するＲＯＭやＲＡＭを設けてもよい。

【0190】

次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
（イ）前記始動入球手段には、第１始動入球手段と、前記第１始動入球手段とは異なる第２始動入球手段と、を含み、前記大当り抽選の当選を契機とする当り遊技終了後から終了条件が成立するまでの間、前記始動入球手段のうち前記第２始動入球手段へ遊技球が入球する確率を通常よりも高確率とする入球率向上状態を生起させる入球率向上状態生起手段を備え、前記第１始動入球手段への遊技球の入球を契機として前記乱数取得手段が取得した当り判定用乱数の値を用いて行われる小当り抽選の当選確率は、前記第２始動入球手段への遊技球の入球を契機として前記乱数取得手段が取得した当り判定用乱数の値を用いて行われる小当り抽選の当選確率よりも高く設定されていることを特徴とする遊技機。

【0191】

（ロ）前記当り遊技生起手段は、前記第２始動入球手段への遊技球の入球を契機として前記乱数取得手段が取得した当り判定用乱数の値を用いて行われる大当り抽選に当選した際、前記第１始動入球手段への遊技球の入球を契機として前記乱数取得手段が取得した当り判定用乱数の値を用いて行われる大当り抽選に当選するよりも遊技者にとって有利に前記特別入賞手段の開放状態及び閉鎖状態を制御することを特徴とする遊技機。

【0192】

（ハ）遊技盤と、前記遊技盤に配置された始動入球手段と、前記始動入球手段へ遊技球が入球したことを契機として、大当りか否かの大当り抽選を行う大当り抽選手段と、前記始動入球手段へ遊技球が入球したことを契機として、小当りか否かの小当り抽選を行う小当り抽選手段と、前記遊技盤に配置された特別入賞手段と、前記大当り抽選又は前記小当り抽選に当選した場合、当該当選の対象となる図柄変動ゲームの終了後、前記特別入賞手段の開放状態及び閉鎖状態を制御して当り遊技を生起させる当り遊技生起手段と、報知演出を実行する報知演出実行手段と、前記大当り抽選の当選を契機とする当り遊技の終了後から終了条件の成立対象となる図柄変動ゲームの実行が終了するまでの間、前記始動入球手段へ遊技球が入球する確率が通常よりも高確率となる入球率向上状態を生起させる入球率向上状態生起手段と、を備え、前記遊技盤には、発射された遊技球がアウト口に向かって流下する第１のルートと、前記第１のルートとは異なるルートであってアウト口に向かって流下する第２のルートと、が規定され、前記遊技盤には、前記第１のルートで流下する遊技球が入球可能な始動入球手段と、前記第２のルートで流下する遊技球が入球可能な始動入球手段と、が配置されており、前記報知演出実行手段は、前記入球率向上状態が生起されていないときは前記第１のルートを流下させるように遊技球の発射を促す第１内容の報知演出を実行し、前記入球率向上状態が生起されているときは前記第２のルートを流下させるように遊技球の発射を促す第２内容の報知演出を実行し、前記小当り抽選の当選対象となる図柄変動ゲームが前記終了条件の成立対象となる場合には、当該図柄変動ゲームの終了後に生起される当り遊技中、前記第１内容の報知演出を実行することを特徴とする遊技機。

【符号の説明】

【0193】

ＧＨ…画像表示部、Ｈｇ１…第１の背景画像、Ｈｇ２…第２の背景画像、ＨＫ…アウト口、ＨＳ…発光部配置部材、Ｌａ…装飾ランプ、Ｌｇ…左打ち画像、Ｒｇ…右打ち画像、Ｒ１…第１流下ルート、Ｒ２…第２流下ルート、Ｒ２ａ…右排出ルート、Ｓｐ…スピーカ、Ｔｒ１…第１演出領域、Ｔｒ２…第２演出領域、ＹＢ…遊技盤、１０…パチンコ遊技機、１１…演出表示装置、１５…上始動入球装置、１７…下始動入球装置、２０…大入賞装置、２３…ゲート、２５ａ…第１特別図柄表示装置、２５ｂ…第２特別図柄表示装置、２６ａ…第１保留表示装置、２６ｂ…第２保留表示装置、２７…普通図柄表示装置、３０…主制御基板、３０ａ…主制御用ＣＰＵ、３０ｂ…主制御用ＲＯＭ、３０ｃ…主制御用ＲＡＭ、３１…演出制御基板、３１ａ…演出制御用ＣＰＵ、３１ｂ…演出制御用ＲＯＭ、３１ｃ…演出制御用ＲＡＭ。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】