(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ヒンジ部は、前記ヒンジ軸の両端側のそれぞれを保持する2個の前記側板側軸保持部と、前記ヒンジ軸の両端側のそれぞれを保持する2個の前記蓋板側軸保持部と、2個の前記側板側軸保持部および前記蓋板側軸保持部の間に配置される筒状の筒状部材とを備え、
前記筒状部材の外径は、前記側板側軸挿通孔の内径および前記蓋板側軸挿通孔の内径よりも大きくなっており、
前記ヒンジ軸は、前記筒状部材に挿通され、
前記抜止めネジまたは前記抜止めピンは、前記筒状部材に対する前記ヒンジ軸の前記軸方向への相対移動を防止することで前記側板側軸保持部および前記蓋板側軸保持部からの前記軸方向への前記ヒンジ軸の抜けを防止し、かつ、前記筒状部材に対する前記ヒンジ軸の前記軸中心を回動の中心とする相対回動を防止するとともに、前記開口部を前記蓋板が塞いでいるときに前記軸中心を回動の中心とする前記筒状部材および前記ヒンジ軸の回動範囲を規制することを特徴とする請求項1記載のカード収容カセット。
前記ヒンジ部は、前記ヒンジ軸の両端側のそれぞれを保持する2個の前記側板側軸保持部と、前記ヒンジ軸の両端側のそれぞれを保持する2個の前記蓋板側軸保持部とを備え、
前記抜止めネジまたは前記抜止めピンは、前記ヒンジ軸の外周面から前記径方向の外側へ突出するように前記ヒンジ軸に取り付けられるとともに、前記側板側軸保持部または前記蓋板側軸保持部に接触することで前記側板側軸保持部および前記蓋板側軸保持部からの前記軸方向への前記ヒンジ軸の抜けを防止することを特徴とする請求項1記載のカード収容カセット。
前記ヒンジ部は、前記ヒンジ軸の両端側のそれぞれを保持する2個の前記側板側軸保持部と、前記ヒンジ軸の両端側のそれぞれを保持する2個の前記蓋板側軸保持部とを備え、
前記ヒンジ軸の一端側には、2個の前記側板側軸保持部のうちの一方の前記側板側軸保持部または2個の前記蓋板側軸保持部のうちの一方の前記蓋板側軸保持部の、前記軸方向における内側面に当接する段差面が形成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のカード収容カセット。
前記側板側軸保持部および前記蓋板側軸保持部は、前記側板の外周面よりも前記カード収容カセットの外周側へ突出していることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載のカード収容カセット。
前記蓋板に取り付けられ、前記側板に対して前記蓋板が開かないように前記蓋板をロックする錠を備えることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のカード収容カセット。
請求項1から7のいずれかに記載のカード収容カセットと、前記カード収容カセットが着脱可能なカード収容部本体と、前記カード収容カセットの外部へ前記カードを送り出すカード送出機構とを備えることを特徴とするカード発行装置。
【背景技術】
【0002】
従来、複数枚のカードが積層されて収容されるカード収容カセットが知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のカード収容カセットは、カード発行装置に取り付けられて使用されている。また、このカード収容カセットは、
図10に示すように、カードの四辺を規制して鉛直方向へカードを整列させる側板101と、側板101の上端に形成されるカードの入口を塞ぐ蓋板102とを備えている。側板101と蓋板102とは、ヒンジ部103によって連結されており、蓋板102は、側板101に対して開閉可能となっている。蓋板102には、側板101に対して蓋板102が開かないように蓋板102をロックする錠104が取り付けられている。また、蓋板102には、取手(図示省略)が取り付けられている。
【0003】
ヒンジ部103は、側板101に対する蓋板102の回動中心となるヒンジ軸105を備えている。側板101には、ヒンジ軸105の両端側のそれぞれを保持する2個の保持部101aが形成され、蓋板102には、ヒンジ軸105の両端側のそれぞれを保持する2個の保持部102aが形成されている。保持部101a、102aは、側板101の外周面よりも外側へ突出している。また、保持部101a、102aには、ヒンジ軸105が挿通される貫通孔が形成されている。保持部101a、102aからヒンジ軸105を簡単に取り外すことができないように、ヒンジ軸105の一端側は、たとえば、保持部101aにカシメ固定されている。
【0004】
特許文献1に記載のカード収容カセットでは、錠104を開けなければ、蓋板102を開いてカード収容カセットの中からカードを取り出すことができない。また、特許文献1に記載のカード収容カセットでは、側板101と蓋板102とを連結するヒンジ部103のヒンジ軸105が側板101の保持部101aにカシメ固定されているため、ドリル等の工具を用いてヒンジ軸105等を破壊しなければ、側板101から蓋板102を取り外してカード収容カセットの中からカードを取り出すことができない。したがって、特許文献1に記載のカード収容カセットを用いれば、カード発行装置が設置される現場で作業を行う作業者等によるカード収容カセットからのカードの不正な抜取りを防止することが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、特許文献1に記載のカード収容カセットを用いれば、カード収容カセットからのカードの不正な抜取りを防止することが可能になる。一方、特許文献1に記載のカード収容カセットは、カード発行装置から取り外されて輸送されることがあるため、カード収容カセットを輸送する際の振動や衝撃等によって、蓋板102や取手に変形等の不具合が生じることがある。しかしながら、特許文献1に記載のカード収容カセットでは、ヒンジ軸105の一端側が保持部101aにカシメ固定されているため、蓋板102や取手に不具合が生じたときに、蓋板102を簡単に交換することができない。
【0007】
そこで、本発明の課題は、蓋板の交換を容易に行うことが可能であっても、カードの不正な抜取りを防止することが可能なカード収容カセットを提供することにある。また、本発明の課題は、かかるカード収容カセットを備えるカード発行装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のカード収容カセットは、複数枚のカードが積層されて収容されるカード収容カセットにおいて、少なくともカード収容カセットの側面の一部を構成する側板と、側板で画定されるとともにカード収容カセット内へのカードの入り口となる開口部と、開口部を塞ぐ蓋板と、側板に対して蓋板が開閉可能となるように側板と蓋板とを連結するヒンジ部とを備え、ヒンジ部は、側板に対する蓋板の回動中心となるヒンジ軸と、側板に形成されるとともにヒンジ軸を保持する側板側軸保持部と、蓋板に形成されるとともにヒンジ軸を保持する蓋板側軸保持部とを備え、側板側軸保持部には、ヒンジ軸が挿通される側板側軸挿通孔が形成され、蓋板側軸保持部には、ヒンジ軸が挿通される蓋板側軸挿通孔が形成され、ヒンジ部は、さらに、側板側軸保持部および蓋板側軸保持部からのヒンジ軸の軸方向へのヒンジ軸の抜けを防止するための抜止めネジまたはスプリングピンからなる抜止めピンを備え、ヒンジ部を構成する抜止めネジまたは抜止めピンは、開口部を蓋板が塞いでいるときにカード収容カセットの内部に配置されるとともに、ヒンジ軸の径方向の外側へ突出しており、開口部を蓋板が塞いでいるときに抜止めネジまたは抜止めピンがカード収容カセットの外部に露出しないように側板および蓋板に接触してヒンジ軸の軸中心を回動の中心とするヒンジ軸の回動範囲を規制することを特徴とする。
【0009】
本発明のカード収容カセットでは、ヒンジ軸を保持する側板側軸保持部が側板に形成され、ヒンジ軸を保持する蓋板側軸保持部が蓋板に形成されている。また、側板側軸保持部には、ヒンジ軸が挿通される側板側軸挿通孔が形成され、蓋板側軸保持部には、ヒンジ軸が挿通される蓋板側軸挿通孔が形成されている。さらに、ヒンジ軸の径方向の外側へ突出する抜止めネジまたは抜止めピンによって、側板側軸保持部および蓋板側軸保持部からのヒンジ軸の軸方向へのヒンジ軸の抜けが防止されている。そのため、本発明では、抜止めネジまたはスプリングピンである抜止めピンを取り外せば、側板側軸保持部および蓋板側軸保持部から軸方向へヒンジ軸を抜くことが可能になり、また、ヒンジ軸を抜くことで、側板から蓋板を取り外すことが可能になる。すなわち、本発明では、ヒンジ軸等を破壊しなくても、抜止めネジまたは抜止めピンを取り外せば、側板から蓋板を取り外すことが可能になる。したがって、本発明では、蓋板の交換を容易に行うことが可能になる。
【0010】
また、本発明のカード収容カセットでは、抜止めネジまたは抜止めピンが、開口部を蓋板が塞いでいるときにカード収容カセットの内部に配置されるとともに、ヒンジ軸の径方向の外側へ突出しており、開口部を蓋板が塞いでいるときに抜止めネジまたは抜止めピンがカード収容カセットの外部に露出しないように側板および蓋板に接触してヒンジ軸の軸中心を回動の中心とするヒンジ軸の回動範囲を規制する。そのため、本発明では、開口部を蓋板が塞いでいるときに、抜止めネジまたは抜止めピンはカード収容カセットの外部に露出しない。したがって、本発明では、開口部を蓋板が塞いでいる状態で、抜止めネジまたは抜止めピンを取り外して側板側軸保持部および蓋板側軸保持部からヒンジ軸を抜き、側板から蓋板を取り外すことはできない。その結果、本発明では、蓋板の交換を容易に行うことが可能であっても、カード収容カセットからのカードの不正な抜取りを防止することが可能になる。
【0011】
本発明において、たとえば、ヒンジ部は、ヒンジ軸の両端側のそれぞれを保持する2個の側板側軸保持部と、ヒンジ軸の両端側のそれぞれを保持する2個の蓋板側軸保持部と、2個の側板側軸保持部および蓋板側軸保持部の間に配置される筒状の筒状部材とを備え、筒状部材の外径は、側板側軸挿通孔の内径および蓋板側軸挿通孔の内径よりも大きくなっており、ヒンジ軸は、筒状部材に挿通され、抜止めネジまたは抜止めピンは、筒状部材に対するヒンジ軸の軸方向への相対移動を防止することで側板側軸保持部および蓋板側軸保持部からの軸方向へのヒンジ軸の抜けを防止し、かつ、筒状部材に対するヒンジ軸の軸中心を回動の中心とする相対回動を防止するとともに、開口部を蓋板が塞いでいるときにヒンジ軸の軸中心を回動の中心とする筒状部材およびヒンジ軸の回動範囲を規制する。
【0012】
この場合には、ヒンジ部は、抜止めネジを備え、筒状部材には、抜止めネジに係合するメネジが形成されるネジ孔が、筒状部材の外周面と内周面との間で径方向に貫通するように形成され、ヒンジ軸には、抜止めネジの先端が接触する平面状の接触面が形成されていることが好ましい。このように構成すると、抜止めネジが係合するネジ孔がヒンジ軸に形成されている場合や、抜止めピンが差し込まれる差込孔がヒンジ軸に形成されている場合と比較して、ヒンジ軸を細くすることが可能になる。したがって、ヒンジ軸を保持する側板側軸保持部および蓋板側軸保持部を小さくすることが可能になり、その結果、ヒンジ部を小型化することが可能になる。また、このように構成すると、ヒンジ軸に平面状の接触面が形成されているため、抜止めネジの先端とヒンジ軸との接触面積を大きくすることが可能になる。したがって、抜止めネジを用いて、筒状部材に対するヒンジ軸の軸方向への相対移動を確実に防止することが可能になる。また、抜止めネジを用いて、ヒンジ軸の軸中心を回動の中心とする筒状部材に対するヒンジ軸の相対回動を確実に防止することが可能になる。
【0013】
本発明において、ヒンジ部は、ヒンジ軸の両端側のそれぞれを保持する2個の側板側軸保持部と、ヒンジ軸の両端側のそれぞれを保持する2個の蓋板側軸保持部とを備え、抜止めネジまたは抜止めピンは、ヒンジ軸の外周面から径方向の外側へ突出するようにヒンジ軸に取り付けられるとともに、側板側軸保持部または蓋板側軸保持部に接触することで側板側軸保持部および蓋板側軸保持部からの軸方向へのヒンジ軸の抜けを防止しても良い。この場合には、ヒンジ部が筒状部材を備えている場合と比較して、ヒンジ部を構成する部品の数を低減することが可能になる。
【0014】
本発明において、ヒンジ部は、ヒンジ軸の両端側のそれぞれを保持する2個の側板側軸保持部と、ヒンジ軸の両端側のそれぞれを保持する2個の蓋板側軸保持部とを備え、ヒンジ軸の一端側には、2個の側板側軸保持部のうちの一方の側板側軸保持部または2個の蓋板側軸保持部のうちの一方の蓋板側軸保持部の、ヒンジ軸の軸方向における内側面に当接する段差面が形成されていることが好ましい。
【0015】
このように構成すると、ヒンジ部の組立時に、段差面を用いて、軸方向におけるヒンジ軸の位置決めを容易に行うことが可能になる。したがって、たとえば、ヒンジ軸が挿通される筒状部材をヒンジ部が備え、筒状部材に、抜止めネジに係合するメネジが形成されるネジ孔が径方向に貫通するように形成され、ヒンジ軸に、抜止めネジの先端が接触する平面状の接触面が形成されている場合には、軸方向におけるネジ孔と接触面との位置合わせを容易に行うことが可能になる。
【0016】
また、このように構成すると、段差面によって、側板側軸保持部および蓋板側軸保持部からのヒンジ軸の一端側への抜けを防止することが可能になるため、たとえば、筒状部材、抜止めネジまたは抜止めピンを用いて、側板側軸保持部および蓋板側軸保持部からのヒンジ軸の他端側への抜けを防止すれば良い。したがって、ヒンジ軸が挿通される筒状部材を用いて、側板側軸保持部および蓋板側軸保持部からのヒンジ軸の両側への抜けが防止される場合と比較して、筒状部材を軸方向で小型化することが可能になる。また、ヒンジ軸に取り付けられる抜止めネジまたは抜止めピンによって、側板側軸保持部および蓋板側軸保持部からのヒンジ軸の両側への抜けが防止される場合には、2本の抜止めネジまたは抜止めピンをヒンジ軸に取り付けなければならないが、このように構成すると、1本の抜止めネジまたは抜止めピンをヒンジ軸に取り付ければ良い。したがって、ヒンジ部を構成する部品の数を低減することが可能になる。
【0017】
本発明において、側板側軸保持部および蓋板側軸保持部は、側板の外周面よりもカード収容カセットの外周側へ突出していることが好ましい。このように構成すると、カード収容カセットに収容されるカードと側板側軸保持部および蓋板側軸保持部との干渉を防止して、カード収容カセットに収容されるカードの枚数を増やすことが可能になる。また、このように構成すると、外周側へ突出する側板側軸保持部および蓋板側軸保持部を目印にして、カード収容カセットを、たとえば、カード発行装置に取り付けることが可能になるため、カード収容カセットの取付方向を間違えることなく、カード発行装置にカード収容カセットを容易に取り付けることが可能になる。
【0018】
本発明において、カード収容カセットは、蓋板に取り付けられ、側板に対して蓋板が開かないように蓋板をロックする錠を備えることが好ましい。このように構成すると、錠を開けなければ、蓋板を開いてカード収容カセットの中からカードを取り出すことができない。したがって、カード収容カセットからのカードの不正な抜取りを確実に防止することが可能になる。
【0019】
本発明において、カード収容カセットは、たとえば、カード収容カセットが着脱可能なカード収容部本体と、カード収容カセットの外部へカードを送り出すカード送出機構とを備えるカード発行装置に用いられる。このカード発行装置では、蓋板の交換を容易に行うことが可能であっても、カード収容カセットからのカードの不正な抜取りを防止することが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明では、蓋板の交換を容易に行うことが可能であっても、カード収容カセットからのカードの不正な抜取りを防止することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0023】
(カード発行装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカード発行装置1の斜視図である。本形態のカード発行装置1は、内部に収容されたカード(図示省略)を発行する機能と、不要、使用済み、あるいは、エラーとなったカード(以下、「不要なカード」とする。)を回収する機能とを備えている。このカード発行装置1は、カードに記録された情報の再生および/またはカードへの情報の記録を行うカードリーダ3と、収容されたカードを発行するとともに、不要なカードを回収するカード発行回収部4とを備えている。
【0024】
以下の説明では、互いに直交する3方向をX方向、Y方向およびZ方向とする。本形態では、上下方向とZ方向とが一致している。また、Y方向を左右方向とし、X方向を前後方向とするとともに、X1方向側を「前」側、X2方向側を「後(後ろ)」側、Y1方向側を「右」側、Y2方向側を「左」側とする。また、本形態では、Z方向は、カード発行回収部4に収容されたカードの厚さ方向と一致し、Y方向は、カード発行回収部4に収容されたカードの幅方向(短手幅方向)と一致し、X方向は、カード発行回収部4に収容されたカードの長さ方向(長手幅方向)と一致している。
【0025】
本形態のカードは、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。このカードには、たとえば、磁気情報が記録される磁気ストライプが形成されている。なお、カードには、ICチップが内蔵されても良いし、通信用のアンテナが内蔵されても良い。また、カードには、感熱方式によって印字が行われる印字部が形成されても良い。さらに、カードは、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0026】
カードリーダ3は、カード発行回収部4の前側に配置されている。カード発行回収部4は、発行前のカードが収容されるカード収容部7と、不要なカードが回収されるカード回収部8とを備えている。カード回収部8は、上下方向でカード収容部7に重なるようにカード収容部7の下側に配置されている。
【0027】
また、カード発行回収部4は、カード発行回収部4の左右の側面を構成する2枚の側面部10と、カード発行回収部4の上端側の前面を構成する前面部11と、カード発行回収部4の上端側の後面を構成する後面部12と、上下方向に平行な平面状に形成され上下方向におけるカード発行回収部4の中間位置に配置されるベース部13とを備えている。側面部10の上端側部分と前面部11と後面部12とベース部13とによって、カード収容部7の本体であるカード収容部本体14が構成されている。また、側面部10の下端側部分とカード発行装置1のベース板15の後端側部分とベース部13とによって、カード回収部8が構成されている。
【0028】
カード収容部7は、カード収容部本体14に加え、発行前の複数枚のカードが上下方向に積層されて収容されるカード収容カセット17と、カード収容カセット17に収容された複数枚のカードの中で一番下に収容されているカードをカード収容カセット17の外部へ送り出すカード送出機構とを備えている。カード送出機構は、たとえば、カード収容カセット17に収容された一番下のカードの後端に係合するとともに、カード収容カセット17からカードを1枚ずつ送り出す送出爪およびこの送出爪を駆動する爪駆動機構等によって構成されている。
【0029】
カード収容カセット17は、略直方体状に形成されるとともに、内部にカードが収容可能となるように中空状に形成されている。このカード収容カセット17は、カード収容部本体14に着脱可能となっている。また、カード収容カセット17は、カード収容カセット17の底面を構成するとともに収容されたカードが載る底板22と、カード収容カセット17の前後左右の側面を構成する側板23と、カード収容カセット17の上面を構成する蓋板24とを備えている。側板23の上端には、開口部が形成されている。すなわち、側板23の上端によって開口部が画定されている。蓋板24は、この開口部を塞いでいる。
【0030】
底板22には、カード送出機構を構成する送出爪が通過する通過溝が形成されている。側板23は、カード収容カセット17の右側面を構成する側面部26と、カード収容カセット17の左側面を構成する側面部27と、カード収容カセット17の前面を構成する前面部28と、カード収容カセット17の後面を構成する後面部29(
図3参照)とを備えている。側板23の上端に形成される開口部は、カード収容カセット17内へのカードの入り口となっている。蓋板24は、側面部26に回動可能に取り付けられており、側板23に対して開閉可能となっている。すなわち、カード収容カセット17の上面は、開閉可能となっている。
【0031】
前面部28は、上下方向へ移動可能なシャッタ部材32を備えている。シャッタ部材32は、前面部28の下端側に配置されている。カード収容カセット17がカード収容部本体14から取り外されているときには、シャッタ部材32の下端が底板22の下面よりも下側へ下がった状態で、シャッタ部材32がロックされており、カード収容カセット17の前側へカードを取り出すことができないようになっている。一方、カード収容カセット17がカード収容部本体14に取り付けられると、カード収容部本体14の前面部11に設けられたシャッタ開放部材(図示省略)の作用で、シャッタ部材32が上側へ移動して、底板22とシャッタ部材32の下端との間に、カード収容カセット17に収容されるカードがカード収容カセット17の外側へ向かって(前側に向かって)通過するゲートが形成される。このゲートの上下方向の隙間は、1枚のカードは通過できるが、2枚のカードが重なった状態で通過できないように設定されている。
【0032】
(カード収容カセットの上端側の構成)
図2は、
図1のE部の拡大図である。
図3は、
図1に示すカード収容カセット17の平面図である。
図4は、
図3のF−F方向からカード収容カセット17の上端側を示す側面図である。
図5は、
図3のG−G断面の断面図である。
図6は、
図5のH−H断面の断面図である。
図7は、
図5のJ−J断面の断面図である。
【0033】
上述のように、蓋板24は、側板23に対して開閉可能となっている。カード収容カセット17は、側板23に対して蓋板24が開閉可能となるように、側板23の側面部26と蓋板24とを繋ぐヒンジ部35を備えている。また、カード収容カセット17は、側板23に対して蓋板24が開かないように蓋板24をロックする錠36と、カード収容カセット17を持ち運びするための取手37とを備えている。錠36は、蓋板24に取り付けられており、図示を省略する鍵によって開閉される。取手37は、蓋板24の上面に取り付けられている。
【0034】
ヒンジ部35は、側面部26に対する蓋板24の回動中心となるヒンジ軸38と、側面部26に形成されるとともにヒンジ軸38を保持する側板側軸保持部としての2個の軸保持部26aと、蓋板24に形成されるとともにヒンジ軸38を保持する蓋板側軸保持部としての2個の軸保持部24aとを備えている。ヒンジ軸38は、前後方向を軸方向として軸保持部24a、26aに保持されている。軸保持部26aには、ヒンジ軸38が挿通される側板側軸挿通孔としての軸挿通孔26bが形成され、軸保持部24aには、ヒンジ軸38が挿通される蓋板側軸挿通孔としての軸挿通孔24bが形成されている。また、ヒンジ部35は、2個の軸保持部24a、26aの間に配置される筒状部材としてのスリーブ39と、軸保持部24a、26aからの前後方向へのヒンジ軸38の抜けを防止するための抜止めネジ40とを備えている。
【0035】
ヒンジ軸38は、段付きの細長い略円柱状に形成されており、大径部38aと、大径部38aよりも外径の小さな小径部38bとから構成されている。小径部38bの長さは、大径部38aの長さよりも大幅に短くなっており、小径部38bは、ヒンジ軸38の前端部分を構成している。大径部38aと小径部38bとの境界には、前後方向に直交する段差面38cが形成されている。ヒンジ軸38の軸方向の略中心位置には、抜止めネジ40の先端が接触する平面状の接触面38dが形成されている。接触面38dは、大径部38aの外周面の一部を削ることで形成されている。
【0036】
軸保持部26aは、側面部26の上端側に形成されている。また、軸保持部26aは、前後方向に直交する平板状に形成されている。2個の軸保持部26aは、前後方向に所定の間隔をあけた状態で形成されており、2個の軸保持部26aのそれぞれは、ヒンジ軸38の両端側のそれぞれを保持している。また、2個の軸保持部26aは、側面部26の上端側の一部が右側に向かって直角に切り起こされることで形成されており、側板23の外周面よりも右側へ突出している。すなわち、2個の軸保持部26aは、側板23の外周面よりもカード収容カセット17の外周側へ突出している。
【0037】
前側に配置される軸保持部26aに形成される軸挿通孔26bの内径の大きさは、ヒンジ軸38の小径部38bの外径に応じた大きさとなっている。具体的には、この軸挿通孔26bの内径は、小径部38bの外径よりもわずかに大きくなっている。前側に配置される軸保持部26aの、前後方向における内側面(すなわち、後面)には、ヒンジ軸38の段差面38cが当接可能となっている。また、後ろ側に配置される軸保持部26aに形成される軸挿通孔26bの内径の大きさは、ヒンジ軸38の大径部38aの外径に応じた大きさとなっている。具体的には、この軸挿通孔26bの内径は、大径部38aの外径よりもわずかに大きくなっている。
【0038】
側面部26の上端側には、蓋板24が開く方向(
図7の反時計方向)における蓋板24の回動範囲を規制するためのストッパ部26cが形成されている。ストッパ部26cは、上下方向に直交する平面状に形成されている。また、ストッパ部26cは、側面部26の上端側の一部が右側に向かって直角に切り起こされることで形成されており、側板23の外周面よりも右側へ突出している。このストッパ部26cは、前後方向において、2個の軸保持部26aの間に配置されるとともに、2個の軸保持部26aよりも下側に配置されている。側面部26の上端側には、
図4に示すように、軸保持部26aおよびストッパ部26cを形成するための切欠き部26dが形成されている。
【0039】
蓋板24には、蓋板24が閉じている状態において、右側へ突出する突出部24cが形成されている。2個の軸保持部24aのそれぞれは、蓋板24が閉じている状態において、突出部24cの前後の両端のそれぞれから下側へ突出するように形成されている。軸保持部24aは、前後方向に直交する平板状に形成されている。2個の軸保持部24aは、前後方向に所定の間隔をあけた状態で形成されており、2個の軸保持部24aのそれぞれは、ヒンジ軸38の両端側のそれぞれを保持している。前後方向における2個の軸保持部24aの間隔は、前後方向における2個の軸保持部26aの間隔よりもわずかに狭くなっており、2個の軸保持部24aは、前後方向において、2個の軸保持部26aの間に配置されている。
【0040】
2個の軸保持部24aに形成される軸挿通孔24bの内径の大きさは、ヒンジ軸38の大径部38aの外径に応じた大きさとなっている。具体的には、軸挿通孔24bの内径は、大径部38aの外径よりもわずかに大きくなっている。突出部24cは、側板23の外周面よりも右側へ突出しており、2個の軸保持部24aも、側板23の外周面よりも右側へ突出している。すなわち、2個の軸保持部24aは、側板23の外周面よりもカード収容カセット17の外周側へ突出している。
【0041】
スリーブ39は、略円筒状に形成されている。このスリーブ39は、前後方向を軸方向として、2個の軸保持部24aの間に配置されている。スリーブ39の長さ(前後方向の長さ)は、前後方向における2個の軸保持部24aの間隔よりもわずかに狭くなっている。スリーブ39には、ヒンジ軸38が挿通されており、スリーブ39の内径は、ヒンジ軸38の大径部38aの外径よりも大きくなっている。すなわち、スリーブ39の外径は、軸保持部24a、26aに形成される軸挿通孔24b、26bの内径よりも大きくなっている。前後方向におけるスリーブ39の略中心位置には、スリーブ39の外周面と内周面との間でスリーブ39の径方向へ貫通するネジ孔39aが形成されている。ネジ孔39aには、抜止めネジ40に係合するメネジが形成されている。
【0042】
抜止めネジ40は、オネジが形成されるネジ部の外径とネジ頭部の外径とが等しい六角穴付き止めネジである。この抜止めネジ40は、スリーブ39のネジ孔39aに係合しており、抜止めネジ40の先端は、ヒンジ軸38の接触面38dに接触している。そのため、抜止めネジ40によって、スリーブ39に対するヒンジ軸38の前後方向への相対移動が防止されるとともに、ヒンジ軸38の軸中心を回動の中心とするスリーブ39に対するヒンジ軸38の相対回動が防止されている。なお、抜止めネジ40は、ネジ部の外径よりもネジ頭部の外径が大きな十字穴付きネジであっても良い。
【0043】
上述のように、2個の軸保持部24aの間に配置されるスリーブ39の長さは、前後方向における2個の軸保持部24aの間隔よりもわずかに狭くなっている。本形態では、前後方向における軸保持部24aの内側面にスリーブ39の端部が当接することで、スリーブ39の前後方向への移動が規制されている。また、抜止めネジ40によって、スリーブ39に対するヒンジ軸38の前後方向への相対移動が防止されているため、軸保持部24a、26aからの前後両方向へのヒンジ軸38の抜けが防止される。すなわち、本形態では、抜止めネジ40は、スリーブ39に対するヒンジ軸38の前後方向への相対移動を防止することで軸保持部24a、26aからの前後方向へのヒンジ軸38の抜けを防止している。
【0044】
抜止めネジ40は、側板23の上端の開口部を蓋板24が塞いでいるときに、カード収容カセット17の内部に配置されている。また、
図6、
図7に示すように、抜止めネジ40のネジ頭部側は、スリーブ39の外周面よりも外周側へ突出している。本形態では、ヒンジ軸38およびスリーブ39が軸保持部24a、26aに対してヒンジ軸38の軸中心を回動の中心とする相対回動をしたときに、抜止めネジ40のネジ頭部側が側面部26のストッパ部26cおよび蓋板24の突出部24cに接触可能となるように、抜止めネジ40はスリーブ39に取り付けられている。
【0045】
そのため、抜止めネジ40と、ストッパ部26cおよび突出部24cとによって、ヒンジ軸38の軸中心を回動の中心とするヒンジ軸38およびスリーブ39の回動範囲が規制されており、側板23の上端の開口部を蓋板24が塞いでいるときに、抜止めネジ40がカード収容カセット17の外部に露出することはない。すなわち、抜止めネジ40は、側板23の上端の開口部を蓋板24が塞いでいるときに抜止めネジ40がカード収容カセット17の外部に露出しないように側板23および蓋板24に接触してヒンジ軸38の軸中心を回動の中心とするヒンジ軸38およびスリーブ39の回動範囲を規制する。
【0046】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ヒンジ軸38を保持する軸保持部26aが側板23に形成され、ヒンジ軸38を保持する軸保持部24aが蓋板24に形成されている。また、本形態では、軸保持部24a、26aに、ヒンジ軸38が挿通される軸挿通孔24b、26bが形成され、抜止めネジ40によって、軸保持部24a、26aからの前後方向へのヒンジ軸38の抜けが防止されている。そのため、本形態では、蓋板24を開いた状態で、抜止めネジ40を取り外せば、軸保持部24a、26aから後ろ方向へヒンジ軸38を抜くことができ、また、ヒンジ軸38を抜くことで、側板23から蓋板24を取り外すことができる。すなわち、本形態では、ヒンジ軸38等を破壊しなくても、抜止めネジ40を取り外せば、側板23から蓋板24を取り外すことができる。したがって、本形態では、蓋板24の交換を容易に行うことが可能になる。
【0047】
本形態では、抜止めネジ40は、側板23の上端の開口部を蓋板24が塞いでいるときにカード収容カセット17の内部に配置されるとともに、抜止めネジ40のネジ頭部側は、スリーブ39の外周面よりも外周側へ突出している。また、本形態では、抜止めネジ40は、側板23の上端の開口部を蓋板24が塞いでいるときに抜止めネジ40がカード収容カセット17の外部に露出しないようにストッパ部26cおよび突出部24cに接触してヒンジ軸38の軸中心を回動の中心とするヒンジ軸38およびスリーブ39の回動範囲を規制する。そのため、本形態では、蓋板24が閉じているときに、抜止めネジ40がカード収容カセット17の外部に露出しない。したがって、本形態では、蓋板24が閉じている状態で、抜止めネジ40を取り外して軸保持部24a、26aからヒンジ軸38を抜き、側板23から蓋板24を取り外すことはできない。また、本形態では、カード収容カセット17に錠36が設けられているため、鍵がなければ、蓋板24を開けることはできない。その結果、本形態では、蓋板24の交換を容易に行うことが可能であっても、カード収容カセット17からのカードの不正な抜取りを防止することが可能になる。
【0048】
本形態では、スリーブ39にネジ孔39aが形成され、ヒンジ軸38に接触面38dが形成されている。そのため、本形態では、抜止めネジ40が係合するネジ孔がヒンジ軸38に形成されている場合と比較して、ヒンジ軸38を細くすることが可能になる。すなわち、ネジ孔がヒンジ軸38に形成される場合には、ヒンジ軸38の外径が大きくなければ、ヒンジ軸38にネジ孔を形成することは困難であるが、本形態では、ヒンジ軸38にネジ孔を形成する必要がないため、ヒンジ軸38を細くすることが可能になる。したがって、本形態では、ヒンジ軸38を保持する軸保持部24a、26aを小さくすることが可能になり、その結果、ヒンジ部35を小型化することが可能になる。
【0049】
また、本形態では、ヒンジ軸38に平面状の接触面38dが形成されているため、抜止めネジ40の先端とヒンジ軸38との接触面積を大きくすることが可能になる。したがって、本形態では、抜止めネジ40を用いて、スリーブ39に対するヒンジ軸38の前後方向への相対移動を確実に防止することが可能になるとともに、ヒンジ軸38の軸中心を回動の中心とするスリーブ39に対するヒンジ軸38の相対回動を確実に防止することが可能になる。
【0050】
本形態では、ヒンジ軸38に段差面38cが形成されており、この段差面38cは、前側に配置される軸保持部26aの後面に当接可能となっている。そのため、本形態では、ヒンジ部35の組立時に、段差面38cを用いて、前後方向におけるヒンジ軸38の位置決めを容易に行うことが可能になる。したがって、本形態では、スリーブ39のネジ孔39aとヒンジ軸38の接触面38dとの前後方向の位置合わせを容易に行うことが可能になる。その結果、本形態では、抜止めネジ40の取付作業が容易になる。
【0051】
本形態では、軸保持部24a、26aは、側板23の外周面よりも右側へ突出している。そのため、本形態では、カード収容カセット17に収容されるカードと軸保持部24a、26aとの干渉を防止して、カード収容カセット17に収容されるカードの枚数を増やすことが可能になる。また、本形態では、軸保持部24a、26aを目印にして、カード収容カセット17をカード収容部本体14に取り付けることができるため、カード収容カセット17の取付方向を間違えることなく、カード収容部本体14にカード収容カセット17を容易に取り付けることが可能になる。
【0052】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0053】
上述した形態では、2個の軸保持部24aの間に配置されるスリーブ39の長さが、前後方向における2個の軸保持部24aの間隔よりもわずかに狭くなっており、かつ、抜止めネジ40によって、スリーブ39に対するヒンジ軸38の前後方向への相対移動が防止されることで、軸保持部24a、26aからの前後両方向へのヒンジ軸38の抜けが防止されている。この他にもたとえば、上述した形態においては、ヒンジ軸38に形成される段差面38cと前側に配置される軸保持部26aの後面とによって、軸保持部24a、26aからの前方向へのヒンジ軸38の抜けを防止することが可能であるため、スリーブ39よりも長さの短いスリーブが、後ろ側に配置される軸保持部26aの前側に配置されても良い。この場合には、スリーブ39よりも長さの短いスリーブと後ろ側に配置される軸保持部26aの前面とが当接することで軸保持部24a、26aからの後ろ方向へのヒンジ軸38の抜けが防止される。すなわち、前側に配置される軸保持部26aの後面と段差面38cを用いて、軸保持部24a、26aからの前方向へのヒンジ軸38の抜けを防止するとともに、スリーブ39よりも長さの短いスリーブと後ろ側に配置される軸保持部26aの前面とを用いて、軸保持部24a、26aからの後ろ方向へのヒンジ軸38の抜けを防止しても良い。
【0054】
また、
図8に示すように、スリーブ39を設けずに、ヒンジ軸38の外周面から径方向の外側へ突出するようにヒンジ軸38の後端側の1箇所に抜止めネジ40を取り付けても良い。この場合には、抜止めネジ40と後ろ側に配置される軸保持部26aの前面とが接触することで軸保持部24a、26aからの後ろ方向へのヒンジ軸38の抜けが防止される。すなわち、前側に配置される軸保持部26aの後面と段差面38cを用いて、軸保持部24a、26aからの前方向へのヒンジ軸38の抜けを防止するとともに、ヒンジ軸38の後端側に取り付けられる抜止めネジ40と後ろ側に配置される軸保持部26aの前面とを用いて、軸保持部24a、26aからの前方向へのヒンジ軸38の抜けを防止しても良い。この場合であっても、抜止めネジ40は、側板23の上端の開口部を蓋板24が塞いでいるときに抜止めネジ40がカード収容カセット17の外部に露出しないように側板23および蓋板24に接触してヒンジ軸38の軸中心を回動の中心とするヒンジ軸38およびスリーブ39の回動範囲を規制する。また、この場合には、スリーブ39を設ける場合と比較して、ヒンジ部35を構成する部品の数を低減することが可能になる。
【0055】
上述した形態では、ヒンジ軸38は、段付きの細長い略円柱状に形成されている。この他にもたとえば、ヒンジ軸38は、外径が一定な細長い略円柱状に形成されても良い。この場合には、上述した形態と同様に、スリーブ39を設けても良いし、
図9に示すように、スリーブ39を設けずに、ヒンジ軸38の外周面から径方向の外側へ突出するようにヒンジ軸38の前端側と後端側の2箇所に抜止めネジ40を取り付けても良い。この場合には、前側に配置される抜止めネジ40と前側に配置される軸保持部26aの後面とが接触することで軸保持部24a、26aからの前方向へのヒンジ軸38の抜けが防止され、後ろ側に配置される抜止めネジ40と後ろ側に配置される軸保持部26aの前面とが接触することで軸保持部24a、26aからの後ろ方向へのヒンジ軸38の抜けが防止される。この場合であっても、抜止めネジ40は、側板23の上端の開口部を蓋板24が塞いでいるときに抜止めネジ40がカード収容カセット17の外部に露出しないように側板23および蓋板24に接触してヒンジ軸38の軸中心を回動の中心とするヒンジ軸38およびスリーブ39の回動範囲を規制する。
【0056】
上述した形態では、抜止めネジ40のオネジが係合するネジ孔39aがスリーブ39に形成され、ヒンジ軸38に接触面38dが形成されている。この他にもたとえば、抜止めネジ40のネジ部が挿通される挿通孔がスリーブ39に形成され、抜止めネジ40のオネジが係合するネジ孔がヒンジ軸38に形成されても良い。
【0057】
上述した形態では、ヒンジ部35は、軸保持部24a、26aからの前後方向へのヒンジ軸38の抜けを防止するための抜止めネジ40を備えている。この他にもたとえば、ヒンジ部35は、抜止めネジ40に代えて、スプリングピンからなる抜止めピンを備えていても良い。この場合には、スリーブ39の外周面と内周面との間でスリーブ39の径方向へ貫通する抜止めピンの挿入孔がスリーブ39に形成され、抜止めピンの先端側が挿入される挿入孔がヒンジ軸38に形成される。この場合であっても、抜止めピンを取り外せば、軸保持部24a、26aから後ろ方向へヒンジ軸38を抜くことができ、また、ヒンジ軸38を抜くことで、側板23から蓋板24を取り外すことができるため、蓋板24の交換を容易に行うことが可能になる。また、
図8、
図9に示す変形例において、抜止めネジ40に代えて、スプリングピンからなる抜止めピンが使用されても良い。
【0058】
上述した形態では、2個の軸保持部24aに形成される軸挿通孔24bの内径の大きさは、ヒンジ軸38の大径部38aの外径に応じた大きさとなっている。この他にもたとえば、前側に配置される軸保持部24aに形成される軸挿通孔24bの内径の大きさが、ヒンジ軸38の小径部38bの外径に応じた大きさとなり、後ろ側に配置される軸保持部24aに形成される軸挿通孔24bの内径の大きさが、ヒンジ軸38の大径部38aの外径に応じた大きさとなっていても良い。この場合には、前側に配置される軸保持部24aの後面にヒンジ軸38の段差面38cが当接可能となる。
【0059】
上述した形態では、2個の軸保持部24aは、前後方向において、2個の軸保持部26aの間に配置されている。この他にもたとえば、2個の軸保持部26aが、前後方向において、2個の軸保持部24aの間に配置されても良い。この場合には、たとえば、前側に配置される軸保持部24aに形成される軸挿通孔24bの内径の大きさが、ヒンジ軸38の小径部38bの外径に応じた大きさとなり、後ろ側に配置される軸保持部24aに形成される軸挿通孔24bの内径の大きさが、ヒンジ軸38の大径部38aの外径に応じた大きさとなる。また、たとえば、2個の軸保持部26aに形成される軸挿通孔26bの内径の大きさは、大径部38aの外径に応じた大きさとなる。この場合には、前側に配置される軸保持部24aの後面にヒンジ軸38の段差面38cが当接可能となる。
【0060】
上述した形態では、カード収容カセット17は、カード収容カセット17の前後左右の側面を構成する側板23と、カード収容カセット17の上面を構成するとともに側板23の上端の開口部を塞ぐ蓋板24とを備えている。この他にもたとえば、カード収容カセット17の前後左右の側面およびカード収容カセット17の上面を構成するとともに前後左右の側面の一部にカード収容カセット17内へのカードの入り口となる開口部が形成される側板と、側板に形成された開口部を塞ぐ蓋板とをカード収容カセット17が備えていても良い。この場合には、この側板と蓋板とは、上述した形態のヒンジ部35と同様に構成されるヒンジ部によって連結される。
【0061】
上述した形態では、カード発行装置1は、カードリーダ3を備えている。この他にもたとえば、カード発行装置1は、カードリーダ3に代えて、カードの搬送方向を切り替える切替装置、カードの表面に印字を行うプリンタ、カードの表面の印字等を読み取るイメージセンサ、あるいは、カードの搬送のみを行う搬送路を備えていても良い。