(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
刈刃に回転駆動を付与するものとして、エンジンを採用した草刈機、或いは、電動モータを採用した草刈機が開発されているが、エンジンや電動モータは定格回転数で作動させていたため、草等のボリュームの変化に対して適正な刈刃の回転が得られないことがあった。また、回転数が定格で一定であったため、草刈り作業における作業者の歩行感覚に合わせることができないこともあった。
【0005】
そこで、本発明は、前記問題点に鑑み、電動モータの回転数を調整可能とすることにより草刈り時の刈刃の回転や走行機体の速度の変更を行うことができる草刈機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記技術的課題を解決するために本発明が講じた技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。
草刈機は、刈刃
を回転させる回転軸に動力を伝達する電動モータと、前記回転軸から分岐された動力により走行する走行機体と
、前記電動モータの回転数を制御する制御装置とを備え、前記走行機体に取り付けられた操縦ハンドルに、前記電動モータの目標回転数を調整する回転数調整部を備え
、前記制御装置は、電動モータを制御するための制御マップを有し、前記制御マップは、前記電動モータのトルクを示すトルク曲線であって、前記電動モータの実回転数が、前記回転数調整部で設定する目標回転数の設定範囲内であるときに、前記トルクは前記実回転数が減少するに従って増加し、前記実回転数が、前記回転数調整部で設定する目標回転数の最小値よりも下回ったときには、前記トルクは、前記最小値のときにおける値から前記実回転数が下がるに従って増加し且つ前記設定範囲内における増加の割合よりも緩やかな割合で増加するトルク曲線を有することを特徴とする。
【0007】
また、前記制御マップは、前記実回転数が前記回転数調整部で設定する目標回転数の最小値よりも下回ったときに前記トルクを制御する領域である低下時運転領域に対応する電動モータの回転数の範囲と、前記実回転数が前記回転数調整部で設定する目標回転数の範囲内であるときに前記トルクを弱め磁界制御によって制御する領域である弱め磁界領域に対応する電動モータの回転数の範囲とを有し、前記回転数調整部は、前記目標回転数を、前記弱め磁界領域に対応する電動モータの回転数の範囲で調整することを特徴とする。
【0008】
また、前記回転数調整部は回動又は移動によって前記目標回転数を調整する操作部材と、操作部材を回動又は移動自在に支持する支持部を備えており、
前記支持部は、前記操作部材で設定する目標回転数が最も低いことを示す低表示部と、前記操作部材で設定する目標回転数が最も高いことを示す高表示部と、前記操作部材で設定する目標回転数が前記低表示部が示す目標回転数と前記高表示部が示す目標回転数との間の回転数であることを示す推奨マークであって、前記走行機体の速度を草刈り作業時に推奨される推奨速度にするための前記目標回転数を指し示す推奨マーク
とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
電動モータの回転数を調整することによって刈刃の回転や走行機体の走行速度を適宜変更することができ、例えば、草等のボリュームの変化に応じて刈刃の回転を増減させたり、草刈り作業において作業者の歩行速度に合わせて走行機体の走行速度を増減させることができる。
【0010】
また、電動モータを高速回転させながら草刈り作業を行うことができ、草刈り跡の仕上がりを綺麗にすることができる。
また、草刈り作業において負荷が係ったときには高トルクを維持して草刈り作業を行うことができる。
また、作業者の草刈り時の歩行感覚に合った快適な速度で草刈り作業を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1及び2に示すように、法面の草を刈り取り可能な歩行型草刈機1は、大別して、前後車輪2を縣架した走行機体Fと、電動モータMと、電動モータMの動力により回転する刈刃体3とを備えている。走行機体Fには、操縦ハンドルHが回動自在に取り付けられている。
【0013】
なお、
図2に示すように操縦ハンドルHを2点鎖線で示す向きにセットした状態が、作業者が伴走し易い標準作業状態であり、説明の便宜上、走行方向を前後方向(
図2の左右方向)とし、操縦ハンドルHが偏在する側を走行機体Fの左側、その反対側を右側と呼称する。
走行機体Fは、左右側壁20を連結板21及び前後取っ手22で連結し、連結板21に駆動ケース23を挿入配置する開口24を形成し、駆動ケース23を側方から跨ぐように平面視略V字状のパイプ枠25を連結板21の上面に固定して形成されている。連結板21は前後方向複数枚で形成してもよい。パイプ枠25は一方(左側)の側壁20から突出しており、この突出部に操縦ハンドルHを取り付ける支持台26が設けられている。支持台26に操縦ハンドルHが縦軸11回り及び横軸12回り揺動自在に支持されている。
【0014】
操縦ハンドルHは、丸パイプ材からなり中途部で折畳み可能に形成されたハンドル本体H1にループ状のハンドル部H2を連結することにより構成されている。ハンドル部H2には、作業操作レバー7が回動自在に支持され、この作業操作レバー7は、ループハンドル部H2から離れるようにスプリング等により付勢されている。例えば、作業者が作業操作レバー7を把持し、当該作業操作レバー7をスプリング力に抗してループハンドル部H2の把持部に近づけるように揺動させると、操縦ハンドルHに設けられた始動スイッチSがオン(ON)し、作業操作レバー7を離すと当該作業操作レバー7は、ループハンドル部H2から離れて始動スイッチSがオフ(OFF)する。
【0015】
図2に示すように、駆動ケース23は上方から開口24に挿入して左右側壁20及び連結板21に取り付けており、該駆動ケース23の上部に電動モータMが取り付けられている。電動モータMの
後側には、制御装置50が設けられ、
前側には電動モータM及び制御装置50等に電力を供給するバッテリー51が設けられている。電動モータM、制御装置50、バッテリー51は、走行機体Fの前側から後側までに亘るカバーにより覆われている。
【0016】
次に、
図1〜3を用いて歩行型草刈機の駆動系について詳しく説明する。
図3に示すように、駆動ケース23には、駆動伝達軸13と刈刃軸4とが回転自在に支持されている。駆動伝達軸13の上部は、筒カップリング27を介して電動モータMの出力軸M1が連結されている。即ち、電動モータMの出力軸M1は減速器を介さずに駆動伝達軸13に接続している。駆動伝達軸13の下部は、刈刃クラッチCを介して刈刃軸4が連結されている。刈刃軸4の下部は、駆動伝達軸13から下方に突出しており、当該刈刃軸4の下部に刈刃体3が着脱自在に取り付けられている。即ち、駆動伝達軸13及び刈刃
軸4によって、刈刃体3(刈刃3C)に回転動力を伝達する回転軸が構成されていて、電動モータMの動力が回転軸(駆動伝達軸13及び刈刃軸4)を介して直接、刈刃体3(刈刃3C)に伝達される構造となっている。
【0017】
図1に示すように、刈刃体3は、円板に形成されて中央部が刈刃軸4に取り付けられた支持体3Aと、この支持体3Aの上面に周方向等間隔に立設された羽根3Bと、支持体3Aの外周部に取り付けられた刈刃3Cとで構成されている。したがって、刈刃クラッチCによって駆動伝達軸13及び刈刃軸4を接続した状態で、駆動伝達軸13を回転駆動することによって、刈刃体3(刈刃3C)を回転させることができる。
【0018】
さて、走行機体Fには、当該走行機体Fを走行させる走行装置30が搭載されている。走行装置30は、左右側壁20の前後に貫通支持された前後軸5に、前後車輪2を装着して構成されている。走行機械Fには、駆動伝達軸13からの動力を前後軸5に伝達する伝達機構31が設けられている。
伝達機構31は、駆動伝達軸13の動力を取り出す動力取出部32と、動力取出部32から取り出された動力を前後軸5に伝達する動力伝達部33とを備えている。
【0019】
動力取出部32は、駆動伝達軸13の上下中途部であって電動モータMの出力軸M1と刈刃クラッチCとの間に設けられたウオームギヤ32Aと、このウオームギヤ32Aに噛合したウオームホイール32Bと、このウオームホイール32Bの出力軸34に回転自在に設けられた第1ギヤ34Aと、この第1ギヤ34Aに噛合した第2ギヤ34Bとを備えている。動力取出部32では、駆動伝達軸13の動力を、ウオームギヤ32A、ウオームホイール32B、第1ギヤ34A及び第2ギヤ34Bを介して第2ギヤ34Bに設けたベベルピニオン軸35へ動力伝達する。
【0020】
動力伝達部33は、前後車輪2の前後進を切り換えると共に、チェーン駆動によって動力を伝達するものである。詳しくは、動力伝達部33は、ベベルピニオン軸35と一体回転する前後進噛合体38と、シフタを介して択一的に噛み合うベベルギア39A、39Bとを備えている。シフタによってベベルギア39A、39Bに対する前後進噛合体38の噛み合いを切り換えることにより、ベベルギア39A、39Bと一体回転する伝達軸40の回転方向(前進回転方向、後進回転方向)を変えて、前後進の切換を行う。
【0021】
また、動力伝達部33は、一体回転する伝達軸40と一体回転する駆動スプロケット37Aを設けると共に、前後軸5と一体回転する従動スプロケット37Bを設けて、駆動スプロケット37A及び従動スプロケット37Bをチェーンによって駆動する構成となっている。
以上、伝達機構31によれば、ウオームギヤ32A、ウオームホイール32B、第1ギヤ34A及び第2ギヤ34B、ベベルピニオン軸35、前後進噛合体38、ベベルギア39A、39B、伝達軸40、駆動スプロケット37A、従動スプロケット37B、チェーンを介して、駆動伝達軸13の回転駆動力が伝えられる。
【0022】
次に、歩行型草刈機1の電気制御系について説明する。
図3に示すように、歩行型草刈機1には、制御装置50と、この制御装置50や電動モータ等に電力を供給するバッテリー51が搭載されている。
電動モータMは、三相誘導電動機で構成されている。例えば、電動モータMは、多極(10極)のブラシレスモータで構成されたものである。電動モータMにはインバータ52が接続され、このインバータ52には制御装置50が接続されている。インバータ52は、バッテリー51の直流電圧をスイッチングによって形成された三相の交流電圧を電動モータMに供給することにより電動モータMの回転数を設定する。
【0023】
制御装置50は、電動モータM等の駆動を制御するもので、CPU等から構成されている。この制御装置50には、電動モータMの目標回転数を設定する回転数調整部53が接続され、当該制御装置50は回転数調整部53によって設定された目標回転数等に基づいてインバータ52(電動モータM)を制御する。
図2に示すように、回転数調整部53は、操縦ハンドルHに取り付けられている。詳しくは、回転数調整部53は、ハンドル本体H1であって作業者がハンドル部H2を持った状態で操作できる位置(ハンドル部H2の近傍)に取り付けられている。この回転数調整
部53は、回動位置によって抵抗値が変わる可変抵抗であって、回動して目標回転数の調整(設定)を行う操作部材53aと、この操作部材53の回動を支持する矩形状の支持部53bとを備えている。
【0024】
詳しくは、操作部材53aは、縦軸54を中心として回動する円柱状のつまみ部で構成され、支持部53bは、縦軸54の回動位置によって抵抗値が変化する可変抵抗素子を内部に備えた矩形状のフレーム体で構成されている。
つまみ部53aは、所定範囲内で回動可能となっていて、その上面には回動位置(操作位置)を示す指標部56が示されている。支持部53bは、つまみ部53aの中心部を縦軸54に装着することにより当該つまみ部53aを支持している。支持部53bの上面には、つまみ部53aの指標部56が指し示している目標回転数の程度(度合い)を示す回転表示部55が設けられている。
【0025】
回転表示部55は、支持部53bの上面であってつまみ部53aの外周に沿うように電動モータMの目標回転数の大きさを示す帯状のレベル表示体55aを設けると共に、帯状のレベル表示体55aの一端側に電動モータMの目標回転数が最も低いことを示す低表示部55bを表示し、レベル表示体55aの他端側に目標回転数が最も高いことを示す高表示部55cを表示することにより構成されている。また、レベル表示体55aの中途部には推奨マーク55dが表示されている。この推奨マーク55dは、草刈り作業おいて電動モータMの回転数を推奨する回転数(推奨回転数)にする位置を指し示すもので、後述するように、推奨回転数にすると草刈り時における走行機体Fの速度が作業者の草刈り時の歩行感覚に合った快適な速度になる。
【0026】
回転数調整部53によれば、つまみ部53aの指標部56(つまみ部53aの操作位置)を低表示部55bに合わすと、回転数調整部53によって設定する目標回転数の中で、電動モータMの目標回転数が最も低い回転数に設定され、つまみ部53aの指標部56を高表示部55cに合わすと、回転数調整部53によって設定する目標回転数の中で、電動モータMの目標回転数が最も高い回転数に設定され、つまみ部53aの指標部56を推奨マーク55dに合わすと、回転数調整部53によって設定する目標回転数の中で、電動モータMの目標回転数が推奨する回転数に設定される。これら低表示部55bの位置、高表示部55cの位置、推奨マーク55dの位置は、電動モータMの特性や草刈り作業等の様々な状況に基づいて設定されている。
【0027】
次に、電動モータMの目標回転数の設定について説明する。
電動モータMの目標回転数やその制御方式を決定するに際しては、エンジンを搭載した草刈機を参考にしていて、特にエンジンの出力、回転数、トルク等を考慮したものとなっている。
図4は、本発明の草刈機に搭載した電動モータMの回転数、出力及びトルクの特性、従来のエンジンの回転数、出力及びトルクの特性を表示したものである。
図4に示すように、従来のエンジンを搭載した草刈機では、エンジン回転数を最高回転数の9000rpmまで上昇させて草刈り作業を行うこととしており、出力及びトルクは
図4に示したものとなる。これに対して、後述する低下時運転領域では、電動モータの出力特性(回転数に対するトルクや出力の増加傾向)は、エンジンとほぼ同じ傾向を示すものとしている。詳しくは、電動モータMにおいて、回転数が2200rpm〜3700rpmとなる領域(低下時運転領域)では、出力及びトルクを示す曲線はエンジンの出力及びトルクを示す曲線とほぼ相似している。
【0028】
これに加え、電動モータMを搭載した本発明の草刈機では、従来のエンジンを搭載したものに比べ、さらに高回転の領域、即ち、回転数が3700rpmを超えた範囲でも出力及びトルクを得られるようにしている。つまり、
図4に示すように、従来のエンジンでは、最高回転数が9000rpmであったが、電動モータMでは、エンジン回転数の9000rpmに相当する3700rpmを超えて、4600rpm回転まで回転数を上げることができるようにしている。
【0029】
電動モータMを搭載した本発明の草刈機では、従来のエンジンの最高回転数(9000rpm)に相当する3700rpmを超えた回転数は回転数調整部53によって調整(設定)する。
さらに詳しくは、低表示部55b(回転数調整部53において最も低い回転数に設定することを示す部分)は、電動モータMの目標回転数が「3700rpm」となる位置に設けられ、高表示部55c(回転数調整部53において最も高い回転数に設定することを示す部分)は、電動モータMの目標回転数が「4600rpm」となる位置に設けられている。
【0030】
したがって、つまみ部53aの指標部56を低表示部55bに合わせると、電動モータMの目標回転数が3700rpmに設定され、エンジン型での最高回転数(9000rpm)と同じようなトルクを出力することが可能となる。なお、つまみ部53aの指標部56を低表示部55bに合わて電動モータMの回転数を3700rpmにした状態において、電動モータMを搭載した草刈機では、エンジン型の草刈機と比べて刈刃3C(草刈り時)のエンジンと同じようなトルクは確保できるものの、若干、走行機体F(走行装置30)の草刈作業時の走行(草刈速度)が遅くなる。
【0031】
そこで、走行機体F(走行装置30)の草刈速度が推奨される推奨速度、即ち、エンジン型の草刈機とほぼ同様の速度となる電動モータMの回転数(目標回転数)を、推奨マーク55dによって示している。即ち、電動モータMの目標回転数を推奨マーク55dで示した回転数に合わせると、草刈り作業において走行機体の速度が推奨速度となる。それゆえ、作業者がちょうど良いと感じる速度でボリュームの大きな草等を効率よく刈ることができる。
【0032】
一方、回転数調整部53の指標部56を高表示部55cに合わせた状態では、電動モータMの回転数をさらに高速にすることができるため、例えば、草刈り作業において、草刈りの面積や草刈りのボリュームが大きいとき等に電動モータMを高速回転にして素早く草刈りを行うことができる。また、電動モータMの回転数を高表示部55c側(4600rpm)にすることにより、草刈り時の草刈速度や路上で移動中の移動速度を早くすることができる。
【0033】
上述したように、電動モータMを搭載した本発明の草刈機によれば、つまみ部53aを低表示部55bから高表示部55cに亘って回動させることにより、電動モータMの目標回転数を3700rpm〜4600rpmの間で変更しながら草刈り作業を行うことができる。
さて、草刈り作業を行っている状況において、刈刃3Cに掛かる負荷は変動し、その結果、つまみ部53aによって電動モータMの目標回転数を合わせていたとしても、実際の電動モータMの回転数は変化する。電動モータの実際の回転数のことを実回転数という。
【0034】
次に、電動モータMの目標回転数よりも実回転数が低下したときの制御について説明する。
図5に示すように、制御装置50は、電動モータMを制御するための制御マップ60を備えている。
図5は、
図4のエンジンの特性を除いたもので電動モータのトルクや出力特性は同じである。
図5において、電動モータMを制御するにあたって制御装置50で弱め磁界制御を行うことにより、電動モータMの回転数を3700rpm以上にして回転数を上昇させる。
【0035】
さて、草刈り作業を行っているときに、電動モータMの実回転数が回転数調整部53で設定する目標回転数の範囲内であるときは、制御装置50は、弱め磁界制御によって電動モータM、即ち、インバータ52を制御する。例えば、電動モータMの実回転数が、低表示部55bによって示される3700rpm(低速側)から高表示部55cによって示される4600rpmの範囲内であるとき、制御装置50は、制御マップ60の弱め磁界領域に示された曲線Q1に応じて、電動モータMのトルク及び出力を制御する。つまり、刈刃3Cに掛かる負荷が小さく電動モータMの実回転数が回転数調整部53で設定する目標回転数の範囲内に収まる場合は、弱め磁界ベクトル制御で電動モータMの回転数を3700rpm以上に維持する。
【0036】
このように、電動モータの実回転数が回転数調整部53で設定する目標回転数の範囲内では弱め磁界制御によって電動モータMを制御しているため、負荷の小さいときは高速回転を維持して草刈り作業を行うことができ、仕上がりをきれいにすることができる。
一方、草刈り作業を行っているときに、電動モータMの実回転数が、回転数調整部53で設定する目標回転数の最小値を下回ったとき、即ち、低表示部55bによって示される3700rpm(低速側)よりも低下したとき、制御装置50は弱め磁界制御を行わず、電動モータMを低回転高トルクで制御する。制御装置50は、制御マップ60の弱め磁界領域ではなく低下時運転領域に示された曲線Q2に応じて、電動モータMのトルク及び出力を制御する。この低下時運転領域(2200〜3699rpm)は、低回転でもトルクを比較的維持できる領域であり、例えば、出力を示す曲線(出力曲線)は、回転数が2200rpmを超えて増加するにつれて3699rpm回転まで増加し、トルクを示す曲線(トルク曲線)は、2200rpm〜3699rpmまでは緩やかに減少していて回転数の増加に対するトルクの減少幅は小さく、低回転高トルクである。つまり、刈刃3Cに掛かる負荷が大きく電動モータMの実回転数が回転数調整部53で設定する目標回転数の最小値を下回った場合は、通常運転域の制御マップ60に基づいたベクトル制御で電動モータMの回転数を2200〜3699pmの範囲に維持する。
【0037】
このように、電動モータMの実回転数が、回転数調整部53で設定する目標回転数の最小値を下回ったときには、電動モータMを低回転高トルクで制御しているため、負荷の大きいときは低速回転でトルクにして力強く草刈り作業を行うことができる。
上述した実施形態では、操作部材53aを回動することによって目標回転数を調整するつまみ部で構成していたが、これに代え、操作部材53aを支持部53bに対して左右方向(水平方向)に移動(スライド)することによって目標回転数を調整するスライダで構成してもよい。また、電動モータMの回転数、トルク、出力特性は、
図4及び5に示した回転数に限定されない。