【実施例】
【0067】
以下に本発明の実施例及び比較例について説明する。なお、以下において、配合量を示す「部」は「質量部」を示し、「%」は「質量%」を示す。また、構造式中、EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表し、BOはオキシブチレン基を表す。但し、本発明は下記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において適宜変更や修正が可能である。
【0068】
<分散剤の合成>
[製造例1(本発明品1)]
3−ブテン−1−オール72g(1モル)をオートクレーブに入れ、水酸化カリウムを触媒とし、圧力1.5kg/cm
3、温度130℃の条件にて、ブチレンオキサイド504g(7モル)を付加させた後、エチレンオキサイド440g(10モル)を付加させ、中間体Aを得た。次に、この中間体A1016g(1モル)及びモノクロロ酢酸ナトリウム151g(1.3モル)を反応器にとり、トルエンを溶媒とし、均一になるよう撹拌した。その後、反応系の温度が60℃の条件で、水酸化ナトリウム52g(1.3モル)を添加した後、反応系の温度を80℃に昇温させ、3時間反応させた。反応後、98%硫酸120g(1.2モル)を滴下することにより、白色懸濁溶液を得た。次いで、この白色懸濁溶液を蒸留水で洗浄し、溶媒を減圧留去することにより、次の一般式(1)で表される化合物本(発明品1)を得た。
【化12】
【0069】
[製造例2(本発明品2)]
3−ブテン−1−オール72g(1モル)の代わりに7−オクテン−1−オール128g(1モル)を用い、ブチレンオキサイドの量を504g(7モル)から360g(5モル)に減らした他は、製造例1に準じて次の一般式(1)で表される化合物(本発明品2)を得た。
【化13】
【0070】
[製造例3(本発明品3)]
3−ブテン−1−オール72g(1モル)の代わりに11−ドデセン−1−オール184g(1モル)を用い、ブチレンオキサイド504g(7モル)の代わりにプロピレンオキサイド174g(3モル)を用いた他は、製造例1に準じて次の一般式(1)で表される化合物(本発明品3)を得た。
【化14】
【0071】
[製造例4(本発明品4)]
ブチレンオキサイドの量を504g(7モル)から144g(2モル)に減らした他は、製造例1に準じて次の一般式(1)で表される化合物(本発明品4)を得た。
【化15】
【0072】
[製造例5(本発明品5)]
プロピレンオキサイド174g(3モル)の代わりにブチレンオキサイド504g(7モル)を用いた他は、製造例3に準じて次の一般式(1)で表される化合物(本発明品5)を得た。
【化16】
【0074】
[製造例7(本発明品7)]
7−オクテン−1−オール128g(1モル)の代わりに2−プロペニルフェノール134g(1モル)を用いた他は、製造例2に準じて次の一般式(1)で表される化合物(本発明品7)を得た。
【化18】
【0075】
[製造例8(本発明品8)]
2−プロペニルフェノール134g(1モル)の代わりに2,6−ジプロペニルフェノール174g(1モル)を用いた他は、製造例2に準じて次の一般式(1)で表される化合物(本発明品8)を得た。
【化19】
【0076】
[製造例9(本発明品9)]
2−プロペニルフェノール134g(1モル)の代わりに4−ビニルフェノール120g(1モル)を用いた他は、製造例2に準じて次の一般式(1)で表される化合物(本発明品8)を得た。
【化20】
【0077】
[製造例10(本発明品10)]
中間体A1016g(1モル)にコハク酸無水物100g(1モル)を120℃で2時間反応させることで次の一般式(1)で表される化合物(本発明品10)を得た。
【化21】
【0078】
[製造例11(本発明品11)]
中間体A1016g(1モル)に無水マレイン酸198g(1モル)を120℃で2時間反応させることで次の一般式(1)で表される化合物(本発明品11)を得た。
【化22】
【0079】
[製造例12(本発明品12)]
中間体A1016g(1モル)に無水リン酸47g(0.33モル)を80℃で5時間反応させることで次の一般式(1)で表される化合物(本発明品12)を得た。本組成物をNMRにて確認したところ、モノエステル/ジエステルの比率は56/44であった。
【化23】
【0080】
[製造例13(本発明品13)]
中間体A1016g(1モル)にスルファミン酸97g(1モル)を110℃で2時間反応させた後、精製して次の一般式(1)で表される化合物(本発明品13)を得た。
【化24】
【0081】
以下の比較例で用いた比較品は以下の通りである。
【0082】
(比較品1)
【化25】
【0083】
(比較品2)
【化26】
【0084】
(比較品3)
【化27】
【0085】
(比較品4)ポリオキシエチレン(10)イソデシルエーテル酢酸Na(20%水溶液)
(比較品5)オクチルアミン
(比較品6)ブタン酸
(比較品7)2−エチルへキサン酸
(比較品8)デカン酸
(比較品9)安息香酸
(比較品10)ポリエチレングリコール(600)二酢酸
(比較品11)ポリオキシエチレン(6)イソトリデシルエーテルリン酸エステル
(比較品12)ドデシルベンゼンスルホン酸
(比較品13)ドデシルベンゼンスルホン酸Ca塩
(比較品14)ポリビニルピロリドン(第一工業製薬(株)製、商品名ピッツコールK−30)
(比較品15)ポリビニルアルコール部分けん化物((株)クラレ製、商品名クラレポバールPVA403)
(比較品16)スチレンマレイン酸共重合体(ATOFINA社製、商品名SMA1000)
(比較品17)高分子系顔料分散剤(BYKChemie社製、商品名DISPERBYK−163)
(比較品18)高分子系顔料分散剤(BYKChemie社製、商品名DISPERBYK−2001)
(比較品19)高分子系顔料分散剤(味の素ファインテクノ(株)製、商品名アジスパーPB−822)
【0086】
[分散試験1]
以下の表1に示す本発明品の分散剤1.5部(固形分換算)及び比較例の分散剤1.5部(固形分換算)を、分散媒として表1に示す溶剤68.5部に溶解し、さらに、分散質としての酸化マグネシウム(MgO)30部及び直径0.5mmのジルコニアビーズ100mlを加えたものに、ペイントシェーカーで12時間微細化処理を実施した。その結果、得られた処理液を透明の容器に移して容器内の処理液の分散性について、その処理液を目視にて観察することによって、以下の基準で評価した。その結果を表1に示す。
◎:すべての分散質が液中に分散し、容器の底部に沈降物は見られない
○:ほとんどの分散質が液中に分散しているが、容器の底部にごくわずかの沈降物が見られる
×:ほとんどの分散質が底部に沈降している
【0087】
【表1】
【0088】
表1に示した結果から、本発明の分散剤を用いた分散体は比較例のものと比較して分散性がより優れていることが分かる。
【0089】
[分散試験2]
<酸化ジルコニウムの溶剤分散体の作製及び評価>
以下の表2に示す本発明分散剤の所定量又は比較例の分散剤の所定量を、分散媒としてのメチルエチルケトンに溶解し、さらに分散質としての酸化ジルコニウム(ZrO
2)5部を加えたものに、ビーズミル(寿工業(株)製、商品名ウルトラアペックスミルUAM−005、直径50μmのジルコニアビーズ使用、周速10m/秒)で2時間微細化処理を実施した。その結果、得られた処理液を透明の容器に移して、微細化処理直後の容器内の処理液の分散性と、24時間後の容器内の処理液(分散剤が0.25部で分散質が5部の処理液)の分散安定性とについて、処理液を目視にて観察することによって、同上基準で評価した。また、一部の処理液(分散剤が0.25部で分散質が5部の処理液)について、粒度分布計(日機装株式会社製、マイクロトラックUPA MODEL 9230)を使用し、微細化処理直後の酸化ジルコニウムの粒子径を測定した。なお、分散剤に対するメチルエチルケトンの配合量は、分散剤0.5部、0.25部、0.15部、0.05部に対して、それぞれメチルエチルケトン94.5部、94.75部、94.85部、94.95部である。また、表3における分散剤使用量(対酸化ジルコニウム)は、10%が分散剤0.5部、5%が分散剤0.25部、3%が分散剤0.15部、1%が分散剤0.05部にそれぞれ対応する。上記分散性と分散安定性の目視評価と酸化ジルコニウムの粒子径測定結果を表2に示す。
【0090】
<酸化ジルコニウムの溶剤分散体アクリル樹脂混合液の作製及び評価>
以下の表2に示す組成を有する本発明の分散剤又は比較例の分散剤と、酸化ジルコニウム、メチルエチルケトンからなる上記酸化ジルコニウム分散体(分散剤0.25部、酸化ジルコニウム5.00部、メチルエチルケトン94.75部)の70部を、アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製、商品名アクリペットVH)25部を溶解させたメチルエチルケトン溶液70部に混合してなる分散液について、ビーズミル(寿工業(株)製、商品名ウルトラアペックスミルUAM−005、直径50μmのジルコニアビーズ使用、周速10m/秒)で2時間微細化処理を実施した。その結果、得られた処理液を透明の容器に移して容器内の処理液の分散性について、処理液を目視にて観察することによって、同上基準で評価した。
【0091】
また、上記分散液(2時間の微細化処理後のもの)を厚さ10mmの清浄なガラス板上に塗布した後、120℃の乾燥機で1時間乾燥して塗膜を得た。次いで、上記ガラス板の下に12ポイントで印字したアルファベットを記した紙を置き、ガラス板上に得られた塗膜の透明性について、その塗膜越しにアルファベットを判別できるかどうかの点から、以下の基準で評価した。
◎:12ポイントのアルファベット文字を鮮明に判別することができる
○:塗膜にごく僅かの濁りを生じているが、12ポイントのアルファベット文字を判別することができる
×:塗膜に濁りがあり、12ポイントのアルファベット文字を判別することができない
【0092】
【表2】
【0093】
表2に示された結果から、本発明の分散剤を用いたものの分散性と分散安定性は優れていることが分かる。また、同表に示すように、本発明の分散剤を用いてなる分散体中の分散質の粒径は比較例の分散体中の分散質の粒径に比べてはるかに小さく、これは本発明の分散剤の効果は明らかである。さらに、同表に示すように、本発明の分散体からなる塗膜の透明性は優れており、本発明の分散体の優れた分散性が実証されている。
【0094】
[分散試験3]
<酸化ジルコニウムのアクリレートモノマー分散体の作製>
酸化ジルコニウム粉末(日本電工(株)製、商品名PCS、一次粒子径30nmのもの)100部とメチルエチルケトン400部とを混合したものに、以下の表3に示す本発明の分散剤又は比較例の分散剤10部を添加したものに、ビーズミル(寿工業(株)製、商品名ウルトラアペックスミルUAM−005、直径50μmのジルコニアのビーズ使用、周速10m/秒)で4時間微細化処理を実施して、酸化ジルコニウム分散体を作製した。得られた酸化ジルコニウム分散体100部に、フェノキシエチルアクリレート(第一工業製薬(株)製、商品名ニューフロンティアPHE)10部と、ペンタエリスリトールトリアクリレート(第一工業製薬(株)製、商品名ニューフロンティアPET−3)10部とを添加して混合した後、溶媒のメチルエチルケトンはロータリーエバポレーターを用いて減圧除去し、酸化ジルコニウムのアクリレートモノマー分散体(1)を得た。得られた分散体について、外観の透明性、粘度、屈折率を評価した。評価結果を表3に示す。
【0095】
<分散体評価>
a.外観の透明性 酸化ジルコニウムのアクリレートモノマー分散体を透明のガラス容器に入れ、上記ガラス容器の下に12ポイントで印字したアルファベットを記した紙を置き、分散体の透明性について、その分散体越しにアルファベットを判別できるかどうかの点から、以下の基準で評価した。
◎:分散体を5cm深さのガラス容器に入れたときに、12ポイントのアルファベット文字が見える(分散体が透明である)
○:分散体を1cm深さのガラス容器に入れたときに、12ポイントのアルファベット文字がはっきり見える(分散体に僅かな濁りがある)
×:分散体を1cm深さのガラス容器に入れたときに、12ポイントのアルファベット文字がはっきり見えない(分散体に濁りがある)
【0096】
b.粘度 酸化ジルコニウムのアクリレートモノマー分散体の粘度を、E型粘度計(東機産業(株)製、商品名RE−80R)を用いて25℃で測定した。
【0097】
c.屈折率 酸化ジルコニウムのアクリレートモノマー分散体の屈折率を、アッベ屈折率計(アタゴ(株)製、商品名NAR−1T)を用いて25℃で測定した。
【0098】
<酸化ジルコニウムの光重合硬化膜の作製>
上記酸化ジルコニウムのアクリレートモノマー分散体100部に、光重合開始剤(BASF社製、商品名IRGACURE184)1部を添加して混合し、酸化ジルコニウムペーストを得た。その酸化ジルコニウムペーストを、ポリエチレンテレフタレートフィルム上にアプリケーター(小平製作所製 YA型)を用いて約50μmの膜厚で塗布した後、高圧水銀灯を用いて80W/cmの強さで約200mJ/cm
2のエネルギーの紫外線を照射することにより、酸化ジルコニウムのアクリレートモノマー分散体の光重合硬化膜を得た。得られた分散体について、外観の透明性、屈折率、鉛筆硬度、耐水性を評価した。評価結果を表3に示す。
【0099】
<光重合硬化後の塗膜評価>
a.外観の透明性 上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの下に12ポイントで印字したアルファベットを記した紙を置き、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に得られた光重合硬化膜の透明性について、その硬化膜越しにアルファベットを判別できるかどうかの点から、以下の基準で評価した。
◎:12ポイントのアルファベット文字を鮮明に判別することができる
○:硬化膜にごく僅かの濁りを生じているが、12ポイントのアルファベット文字を判別することができる
×:硬化膜に濁りがあり、12ポイントのアルファベット文字を判別することができない
【0100】
b.屈折率 光重合硬化膜の屈折率を、プリズムカプラ(セキテクノトロン社製、MODEL 2010/M)を用いて25℃で測定した。
【0101】
c.鉛筆硬度 光重合硬化膜の鉛筆硬度を、JIS K5400に準拠して所定硬さの鉛筆で引っ掻き試験により測定した。
【0102】
d.耐水性 光重合硬化膜を60℃の恒温水槽で3日間浸漬し、光重合硬化膜の透明性について、上記a.外観の透明性と同様の基準で評価した。
【0103】
【表3】
【0104】
表3に示すように、本発明の分散体は優れた分散性(外観の透明性)と高い屈折率を有し、本発明の分散体の光重合硬化膜は優れた透明性と高い屈折率と良好な鉛筆硬度と高い耐水性を備えている。
【0105】
[分散試験4]
<酸化ジルコニウムのアクリレートモノマー分散体の作製>
市販の酸化ジルコニウム分散体(堺化学(株)製、商品名SZR−M、一次粒子径3nm、30質量%のメタノールを含有する分散体)100部に、以下の表4に示す本発明の分散剤又は比較例の分散剤3部と、フェノキシエチルアクリレート(第一工業製薬(株)製、商品名ニューフロンティアPHE)15部と、ペンタエリスリトールトリアクリレート(第一工業製薬(株)製、商品名ニューフロンティアPET−3)15部とを添加して混合した後、溶媒のメタノールをロータリーエバポレーターを用いて減圧除去し、酸化ジルコニウムのアクリレートモノマー分散体(2)を得た。得られた分散体について、外観の透明性、粘度、屈折率を評価した。評価方法は上記分散試験3と同様である。評価結果を表4に示す。
【0106】
【表4】
【0107】
表4に示すように、本発明の分散体は優れた分散性(外観の透明性)と高い屈折率を有し、本発明の分散体の光重合硬化膜は優れた透明性と高い屈折率と良好な鉛筆硬度と高い耐水性を備えている。
【0108】
[分散試験5]
<酸化ジルコニウムのアクリレートモノマー分散体の作製>
市販の酸化ジルコニウム分散体(堺化学(株)製、商品名SZR−M、一次粒子径3nm、30質量%のメタノールを含有する分散体)100部に、以下の表5に示す本発明の分散剤又は比較例の分散剤3部と、o−フェニルフェノキシエチルアクリレート(第一工業製薬(株)製、商品名KAYARAD OPP−1)28.5部を添加して混合した後、溶媒のメタノールはロータリーエバポレーターを用いて減圧除去し、酸化ジルコニウムのアクリレートモノマー分散体(3)を得た。得られた分散体について、外観の透明性、粘度、屈折率を評価した。得られた分散体について、外観の透明性、粘度、屈折率を評価した。評価方法は上記分散試験3と同様である。評価結果を表5に示す。
【0109】
【表5】
【0110】
表5に示すように、本発明の分散体は優れた分散性(外観の透明性)と高い屈折率を有し、本発明の分散体の光重合硬化膜は優れた透明性と高い屈折率と良好な鉛筆硬度と高い耐水性を備えていることが分かる。