(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092037
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】レンズフォーカス機構のベース構造及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 7/02 20060101AFI20170227BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20170227BHJP
H04N 5/232 20060101ALI20170227BHJP
G02B 7/04 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
G02B7/02 Z
H04N5/225 D
H04N5/232 A
G02B7/04 D
G02B7/04 E
G02B7/02 E
【請求項の数】24
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-161686(P2013-161686)
(22)【出願日】2013年8月2日
(65)【公開番号】特開2015-31838(P2015-31838A)
(43)【公開日】2015年2月16日
【審査請求日】2015年4月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】505259022
【氏名又は名称】台湾東電化股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】▲ご▼ 富源
(72)【発明者】
【氏名】林 坤仕
(72)【発明者】
【氏名】王 弘臨
(72)【発明者】
【氏名】徐 尚▲ゆ▼
【審査官】
登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】
特開2012−247654(JP,A)
【文献】
特開2011−158824(JP,A)
【文献】
特開2010−066286(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2013/0135762(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G02B 7/04
H04N 5/225
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの導電部と2つの導電端子と2つの電極接点とを含み、前記導電端子のそれぞれは、対応する前記導電部によって対応する前記電極接点に電気的に接続してある導電部材と、
前記導電部を覆い、しかも、前記導電端子及び前記電極接点を露出するように形成してある絶縁台座と、を含み、
2つの前記導電部の間には、互いに分離しかつ入り組むようにそれぞれ近接端部が形成してあり、
前記導電部材において、2つの前記導電部を電気的に分離する切断溝が、前記絶縁台座の外側に配置される、レンズフォーカス機構のベース構造。
【請求項2】
前記絶縁台座は、樹脂の射出成形により前記導電部材の外側に形成される、請求項1に記載のレンズフォーカス機構のベース構造。
【請求項3】
前記導電端子は、前記導電部の1つから一体に延出して形成される、請求項1または2に記載のレンズフォーカス機構のベース構造。
【請求項4】
前記導電部は平板状であり、前記導電端子と前記導電部とが同一平面上に存在しない、請求項1〜3のいずれかに記載のレンズフォーカス機構のベース構造。
【請求項5】
隣り合う前記近接端部は、互いに対応するL字状、S字状、凹凸、または歯車状である、請求項1〜4のいずれかに記載のレンズフォーカス機構のベース構造。
【請求項6】
前記絶縁台座に装着され、前記電極接点と電気的に接続し、前記導電端子との間を電気的に接続する1つの弾性部材をさらに含む、請求項1〜5のいずれかに記載のレンズフォーカス機構のベース構造。
【請求項7】
前記弾性部材は第1弾性部及び第2弾性部を含み、前記第1弾性部は前記電極接点の1つに電気的に接続し、前記第2弾性部は前記電極接点の他の1つに電気的に接続してある、請求項6に記載のレンズフォーカス機構のベース構造。
【請求項8】
前記弾性部材は複数の位置決め孔を有し、
前記絶縁台座は複数の位置決め柱を有し、
前記位置決め柱は前記位置決め孔に対応して嵌め込まれて、前記弾性部材を前記絶縁台座に装着する、請求項6または7に記載のレンズフォーカス機構のベース構造。
【請求項9】
前記絶縁台座は前記電極接点に対応する複数の孔を有し、前記電極接点は前記絶縁台座の前記孔から露出させてあり、
前記弾性部材は前記電極接点に対応する複数の電接孔を有し、前記電極接点を前記電接孔に嵌め込み、前記弾性部材と前記電極接点とを電気的に接続する、請求項6〜8のいずれかに記載のレンズフォーカス機構のベース構造。
【請求項10】
前記電極接点の形状は、円盤形状または板形状であり、前記孔の外に突出し、前記電接孔に対応して嵌め込まれる、請求項9に記載のレンズフォーカス機構のベース構造。
【請求項11】
少なくとも2つの導電部及び2つの導電端子を含み、前記導電部の間は少なくとも1つの接続部に接続してある導電部材を準備するステップと、
前記導電部を覆い、しかも前記導電端子及び前記接続部を露出するように前記導電部材の外側に絶縁台座を形成するステップと、
前記接続部を切断して、前記導電部の間を電気的に分離するステップと、を含み、
2つの前記導電部の間には、互いに分離しかつ入り組むようにそれぞれ近接端部が形成してあるレンズフォーカス機構のベースの製造方法。
【請求項12】
前記導電部材の外側に絶縁台座を形成するステップにおいて、前記絶縁台座は、樹脂の射出成形によって前記導電部材の外側に形成される、請求項11に記載のレンズフォーカス機構のベースの製造方法。
【請求項13】
前記導電端子は、前記導電部の1つから一体に延出して形成される、請求項11または12に記載のレンズフォーカス機構のベースの製造方法。
【請求項14】
前記導電部は平板状であり、前記導電端子と前記導電部とが同一平面上に存在しない、請求項11〜13のいずれかに記載のレンズフォーカス機構のベースの製造方法。
【請求項15】
前記近接端部は、互いに対応するL字状、S字状、凹凸、または歯車状である、請求項11に記載のレンズフォーカス機構のベースの製造方法。
【請求項16】
前記2つの近接端部は、前記接続部で接続してある、請求項15に記載のレンズフォーカス機構のベースの製造方法。
【請求項17】
前記導電部材は少なくとも2つの電極接点をさらに含み、
前記電極接点のそれぞれは、対応する前記導電部により対応する導電端子と電気的に接続してあり、しかも前記電極接点は前記絶縁台座から露出している、請求項11〜16のいずれかに記載のレンズフォーカス機構のベースの製造方法。
【請求項18】
1つの弾性部材を前記絶縁台座上に装着し、前記弾性部材と前記電極接点とを電気的に接続し、前記弾性部材と前記導電端子との間を電気的に接続するステップをさらに含む、請求項17に記載のレンズフォーカス機構のベースの製造方法。
【請求項19】
前記弾性部材は複数の位置決め孔を有し、
前記絶縁台座は複数の位置決め柱を有し、
前記位置決め柱は前記位置決め孔に対応して嵌め込まれ、前記弾性部材を前記絶縁台座上に装着する、請求項18に記載のレンズフォーカス機構のベースの製造方法。
【請求項20】
前記弾性部材は第1弾性部及び第2弾性部を含み、前記第1弾性部は前記電極接点の1つに電気的に接続し、前記第2弾性部は前記電極接点の他の1つに電気的に接続してある、請求項18または19に記載のレンズフォーカス機構のベースの製造方法。
【請求項21】
前記弾性部材は、前記第1弾性部と前記第2弾性部とを外周側で接続する複数の連接部をさらに含み、
前記連接部は前記絶縁台座から外側に突出している、請求項20に記載のレンズフォーカス機構のベースの製造方法。
【請求項22】
前記連接部を切断して、前記第1弾性部と前記第2弾性部とを電気的に分離するステップをさらに含む、請求項21に記載のレンズフォーカス機構のベースの製造方法。
【請求項23】
前記絶縁台座は前記電極接点に対応する複数の孔を有し、前記電極接点を前記孔の外に露出させ、前記弾性部材は前記電極接点に対応する複数の電接孔を有し、前記電極接点を前記電接孔に嵌め込み、前記弾性部材と前記電極接点を電気的に接続する、請求項19〜22のいずれかに記載のレンズフォーカス機構のベースの製造方法。
【請求項24】
前記電極接点の形状は、円盤形状または板形状であり、前記孔の外に突出し、前記電接孔に対応して嵌め込まれる、請求項23に記載のレンズフォーカス機構のベースの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズフォーカス機構のベース構造及びその製造方法に関し、特にボイスコイルモータ(VCM)を用いたマイクロカメラモジュールのオートフォーカス機構のベース構造及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、大半の携帯電話及びタブレットPCにはカメラ機能が内蔵されており、携帯電話やタブレットのサイズは、ますます軽薄短小化の傾向が進んでいる。これにより、内部のカメラモジュールも小型化が求められており、小型化のためにカメラモジュールのほとんどが、ボイスコイルモータを用いるオートフォーカス機構を採用している。
図1は、従来のボイスコイルモータフォーカス機構の台座の立体概略図であり、外部の基板に電気的に接続する少なくとも2つの導電リード3を有し、導電リード3に電力を供給し又は制御信号を入力してフォーカス機構を動作させている。
【0003】
従来には、導電リードと弾性部材とが一体成型で形成されたものと、導電リードと弾性部材とがそれぞれ独立分離しているものとがあった。導電リードと弾性部材とが一体成型されている場合、導電リードと弾性部材との間の導電性が確保できるという利点はあるが、導電リードを手作業で台座に装着しなければならないことから、製造プロセスにおいてかなり不便であり、また、体積が小さく、導電リードは非常に微細で薄いことから、装着する過程で導電リードが折れたり破損したりしやすいという欠点があった。
【0004】
図2は、
図1の立体分解図である。
図2に示すように、二股導電リード3と弾性部材2とは分離している。この構造は、製造プロセスでの導電リードの破損が起こりにくいという利点があるが、製造プロセスにおいて、まず弾性部材2を台座1上に装着し、さらに二股導電リード3を台座1の溝孔4に嵌め込み、導電リード3の上端と弾性部材2とを接触させた後に、これらを溶接して一体化しなければならないという欠点がある。このように構成することにより、弾性部材が破損する問題については解決可能であるが、製造プロセスにおいて人間の手によって二股導電リード3を装着し、さらに電気的接続性を確保するために導電リード3と弾性部材2とを溶接しなければならないことから、生産を自動化できないという欠点がある。
【0005】
また、従来のボイスコイルモータフォーカス機構の台座は樹脂製なので、物理的な信頼性(例えば落下試験、転がり試験、破壊試験等)に関して、構造全体の安定性、完全性を確保できない問題があった。よって、従来のボイスコイルモータフォーカス機構の台座構造には、弾性部材および導電リードに関して、多くの解決すべき問題が残っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の主な目的は、組み立てが容易であり、しかも自動化生産が可能なフォーカス機構のベース構造及びその製造方法を提供することである。本発明によれば、導電リードと弾性部材との接続が困難であるという問題が解決できるだけでなく、ベース構造の樹脂のコストの低減、導電リードの組み立て不良発生率の低減が可能となり、さらにベースの平坦度、安定性及び耐破壊強度も高めることができ、物理的な信頼性を向上させることが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明は、レンズフォーカス機構のベース構造の製造方法を提供するものである。まず、少なくとも2つの導電部及び2つの導電端子を含み、前記導電部の間は少なくとも1つの接続部に接続してある導電部材を準備し、次に、導電部を覆い、しかも接続部と導電端子及び電極接点を露出するように導電部材の外側に絶縁台座を射出成形し、さらに、接続部を切断して導電部の間を電気的に分離し、最後に、1つの弾性部材を絶縁台座上に装着し、弾性部材と電極接点を電気的に接続し、弾性部材の第1弾性部と1つの導電端子を電気的に接続させ、弾性部材の第2弾性部を他の1つの弾性端子と電気的に接続させる。
【0008】
また、上述の目的を達成するため、本発明はレンズフォーカス機構のベース構造を提供するものであり、少なくとも2つの導電部と2つの導電端子と2つの電極接点とを含み、導電端子がそれぞれ導電部によって電極接点に電気的に接続する1つの導電部材と、導電部を覆うが接続部と導電端子及び電極接点を露出している1つの絶縁台座とを含み、導電部の間にそれぞれ少なくとも1つの互いに分離しておりかつ入り組むように延出した近接端部を形成する、レンズフォーカス機構のベース構造である。
【0009】
本発明は、さらに上述のレンズフォーカス機構のベース構造及びその製造方法を提供するものであり、絶縁台座は位置決め柱を、弾性部材は位置決め孔を有しており、位置決め孔は位置決め柱に対応するのに用いられ、弾性部材を絶縁台座上に装着するよう、弾性部材の位置決め孔は位置決め柱に嵌め込まれる。
【0010】
本発明は、さらに上述のレンズフォーカス機構のベース構造及びその製造方法を提供するものであり、絶縁台座上に導電部材の電極接点に対応する孔を有し、電極接点を孔の外に露出できるようにし、また弾性部材上に孔から露出した電極接点に対応する電接孔を有し、弾性部材が絶縁台座上に装着された際、電極接点は電接孔に嵌め込まれ、弾性部材を導電部材に電気的に接続できるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】従来のボイスコイルモータフォーカス機構の台座の概略図である。
【
図3】本発明における導電部材の一実施形態の立体概略図である。
【
図4】本発明における導電部材の他の実施形態の立体概略図である。
【
図5】本発明における導電部材と絶縁台座(破線)との立体概略図である。
【
図7】本発明における絶縁台座および弾性部材の分解概略図である。
【
図8】本発明における絶縁台座と弾性部材との結合を示す立体概略図である。
【
図9】近接端部の実施形態の一例を示す部分拡大図である。
【
図10】近接端部の他の実施形態を示す部分拡大図である。
【
図11】近接端部の他の実施形態を示す部分拡大図である。
【
図12】近接端部の他の実施形態を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態では、ボイスコイルモータフォーカス機構のベースについて説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係る導電部材の立体概略図である。本発明の実施形態において、まず1つの導電部材10を準備する。
図3の実施形態では、導電部材10は、2つの導電部11と2つの導電端子13を含む。2つの導電部11は、2つの接続部12により接続してあり、一体となった導電部10を形成している。本発明の他の実施形態においては、導電部10は、2つより多くの導電部11及び接続部12を有してもよく、
図4に示す他の実施形態の立体概略図では、導電部材10は4つの導電部11及び4つの接続部12を有する。本発明の実施形態は、導電部及び接続部の数量を限定するものではない。
【0013】
図3の実施形態に示すように、2つの導電部11は平板状であり、外周は四角形に形成してあり、内周は円形に形成してある。導電部11のそれぞれには、導電部11から延びる導電端子13が一体に形成してある。なお、導電端子13と導電部11とは同一平面上になくてもよい。
図3及び
図4に示す例では、導電端子13は、L字状に折り曲げてある。なお、導電端子13は、その他の形状であってもよく、本発明の実施形態は、導電端子13の形状を限定するものではない。
図4の実施形態では、2つの導電端子13のそれぞれは、2つの導電部11から延びるように一体に形成してある。各導電部11の間は相互に電気的に分離してあるが、隣り合う導電部11間は、接続部12によって接続されている。
【0014】
図5及び
図6を参照すると、
図5は、本発明における導電部材と絶縁台座(破線)の立体概略図であり、
図6は、本発明の絶縁台座形成後の立体概略図である。
図5では、絶縁台座20は破線で示され、導電部材は実線で示されている。この絶縁台座20は樹脂の射出成形により、導電部材10の外側に形成される。絶縁台座20は、その内部に導電部材10の導電部11を収容し、導電端子13、接続部12および電極接点14が絶縁台座20から露出するように形成してある。絶縁台座20の射出成形が完了した後、導電部材10の接続部12を切断することにより、絶縁台座20内の複数の導電部11は電気的に分離される。
【0015】
本発明の実施形態では、
図3〜
図6に示すように、導電部材10は2つの電極接点14を有し、電極接点14のそれぞれは導電部11によって対応する導電端子13に電気的に接続してある。
図3の実施形態では、2つの電極接点14のそれぞれは、対応する導電部11に設けられており、
図4の実施形態では、2つの電極接点14のそれぞれは、導電端子13を有する導電部11に設けられている。絶縁台座20は、導電部材10の2つの電極接点14に対応する位置に孔21を有し、電極接点14を絶縁台座20の孔21から露出させている。
【0016】
図7及び
図8を参照すると、
図7は本発明における絶縁台座と弾性部材の分解概略図であり、
図8は本発明における絶縁台座と弾性部材との結合を示す立体概略図である。本発明は、絶縁台座20に1つの弾性部材30を装着し、弾性部材30を電極接点14に電気的に接続することにより、弾性部材30と導電端子13との間を電気的に接続してある。弾性部材30は、第1弾性部31、第2弾性部32及び複数の連接部33を含み、第1弾性部31と第2弾性部32とは電気的に分離しており、連接部33が第1弾性部31及び第2弾性部32の外周側を接続している。
【0017】
絶縁台座20は、複数の位置決め柱22を有する。
図7及び
図8の実施形態においては、絶縁台座20は正方形であり、2つの位置決め柱22を有する。2つの位置決め柱22は、絶縁台座20の2つの対角部分に位置し、2つの孔21は、他の2つの対角部分に位置している。弾性部材30は、2つの位置決め孔34及び2つの電接孔35を有し、2つの位置決め孔34は、2つの位置決め柱22に対応するように配置してあり、2つの電接孔35は、2つの電極接点14に対応するように配置してある。弾性部材30を絶縁台座20上に装着する際に、2つの位置決め孔34は、それぞれ2つの位置決め柱22に対応して嵌め込まれ、導電部材10の2つの電極接点14は、弾性部材30の電接孔35に嵌め込まれる。これにより、弾性部材30を導電部材10に電気的に接続することが可能となり、電気的な接続が確保できる。さらに、電極接点14と電接孔35とを溶接しあるいは接着剤で接着して両者を固定することができる。
【0018】
図3及び
図4の実施形態において、導電部材10の2つの電極接点14は、円盤凸形状であり、絶縁台座20の孔21から突出している。また、弾性部材30の電接孔35の形状は円形である。したがって、電極接点14を弾性部材30の電接孔35に嵌め込ませることができる。また、更に他の実施形態では、
図7及び
図8に示すように、導電部材10の2つの電極接点14は板形状であり、導電部材10の部分を折り曲げることにより形成することができ、電極接点14を絶縁台座20の孔21から突出させている。また、弾性部材30の電接孔35は、板形状の電極接点14に対応する貫通孔であり、電極接点14を弾性部材30の電接孔35に対応して嵌め込ませることができる。なお、本発明では、電極接点14および電接孔35は、上記の形状に限定されない。たとえば、電極接点14は、円柱形状であっても良く、その他の形状であっても良い。電接孔35は、電極接点14の形状に合わせて適宜決定される。
【0019】
弾性部材30を絶縁台座20に装着したとき、連接部33は絶縁台座20の外周側に突出しており、第1弾性部31は導電端子13の1つと電気的に接続され、第2弾性部32は他の1つの導電端子13と電気的に接続される。弾性部材30の連接部33を切断することにより、第1弾性部31と第2弾性部32との間を電気的に分離させる。これにより、2つの導電端子13は、弾性部材30の第1及び第2弾性部のそれぞれに電気信号を伝達させることが可能になる。そして、弾性部材30によってボイスコイルモータのコイル(不図示)に、電気的信号が伝送され、ボイスコイルモータを駆動してオートフォーカス機能を実行する。
【0020】
また、
図9の部分拡大図に示すように、2つの導電部11と接続部12との接続部分には切断溝121が形成してある。さらに、2つの導電部11の間には、互いに分離し且つ入り組むようにそれぞれ近接端部111が形成してあり、近接端部111は切断溝121を横切るように延びている。
図9の実施形態に示すように、2つの導電部11の近接端部111は互いに対応するL字形状になっており、接続部12で接続している。近接端部111は、L字形状以外にも、
図10の実施形態の近接端部111のように互いに対応するS字形状、
図11の実施形態の近接端部111のように互いに対応する凹凸形状、
図12の実施形態の近接端部111のように互いに対応する歯車形状、またはその他の対称または非対称の形状でもよく、本発明は、近接端部の形状を限定するものではない。本発明では、2つの導電部11間が互いに分離しておりかつ入り組むように近接端部111を形成してあるので、樹脂の射出成形時に、分離部分の平面度が平坦に保たれ、分離部分にくぼみが発生せず、かつ導電部11の近接端部111付近の樹脂の強度を高められることである。
【0021】
図9に示すように、樹脂成形により絶縁台座20で導電部材10が被覆された後、導電部材10の外側で、2つの導電部11と接続部12の間の切断溝121を切断することにより、接続部12が簡単に切断できるよう設計されている。
図5および
図6に示すように、2つの導電部11は、絶縁台座20の内側では互いに分離しており、絶縁台座20の外側で接続部12によって互いが接続されている。また、導電部11と接続部12との接続部分に形成される切断溝121は、絶縁台座20の外側に配置してある。したがって、導電部11と接続部12との接続部分に形成される切断溝121を切断するのみで、2つの導電部11を電気的に分離することができる。さらに、導電部11と接続部12との接続部分においては、絶縁台座20の樹脂部分を破壊することがないので、絶縁台座20の樹脂部分にクラック等が発生せず、絶縁台座20の耐破壊強度を高めることができる。
【0022】
本発明における絶縁台座20は、導電部材10以外は、樹脂の射出成形により構成してある。これにより、本発明のオートフォーカス機構の製造プロセスにおいて、導電端子を装着する工程を省略することができ、自動化生産が可能となる。また絶縁台座20内に金属製の導電部材10を被覆することにより、絶縁台座20の構造全体が強化でき、絶縁台座20の平面度、安定度及び耐破壊強度が向上し、さらに落下試験、転がり試験、耐破壊試験等の物理的な信頼性試験においても好適な結果が得られ、本発明の絶縁台座構造の完全性の確保が可能となる。
【符号の説明】
【0023】
10 導電部材
11 導電部
111 近接端部
12 接続部
121 切断溝
13 導電端子
14 電極接点
20 絶縁台座
21 孔
22 位置決め柱
30 弾性部材
31 第1弾性部
32 第2弾性部
33 連接部
34 位置決め孔
35 電接孔