(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
空気入りタイヤは、荷重の支持機能、接地面からの衝撃吸収能、および動力等の伝達能(加速、停止、方向転換)を有し、このため、多くの車両、特に自転車、オートバイ、自動車、トラックに採用されている。
【0003】
特に、これらの能力は自動車、その他のモーター車両の発展に大きく貢献した。更に、空気入りタイヤの衝撃吸収能力は、医療機器や電子機器の運搬用カート、その他の用途でも有用である。
【0004】
従来の非空気圧タイヤとしては、例えばソリッドタイヤ、スプリングタイヤ、クッションタイヤ等が存在するが、空気入りタイヤの優れた性能を有していない。例えば、ソリッドタイヤおよびクッションタイヤは、接地部分の圧縮によって荷重を支持するが、この種のタイヤは重くて、堅く、空気入りタイヤのような良好な乗り心地や操縦安定性を確保することが困難であった。
【0005】
下記特許文献1には、耐久性能を改善しながら、乗り心地、ノイズ性能等を向上させる目的で、内側環状部と、その外側の中間環状部と、更にその外側の外側環状部と、内側環状部と中間環状部とを連結する複数の内側連結部と、外側環状部と中間環状部とを連結する複数の外側連結部とを備える非空気圧タイヤが記載されている。この非空気圧タイヤは、内側連結部及び外側連結部がタイヤ幅方向に連続する板状であるため、横剛性が高いが、ショルダー部の剛性も高いため、コーナリング時にショルダー部の接地面積が小さく、コーナリング性能が十分ではない。
【0006】
また、下記特許文献2には、乗り心地を向上させる目的で、車軸に取り付けられる取り付け体と、その外側に設けられるリング状体と、前記取り付け体と前記リング状体との間にタイヤ周方向に沿って複数配設された連結部材とが備えられた非空気圧タイヤが記載されている。この非空気圧タイヤは、連結部材がタイヤ幅方向に連続する板状であるため、特許文献1の非空気圧タイヤと同様、横剛性が高いが、ショルダー部の剛性も高いため、コーナリング時にショルダー部の接地面積が小さく、コーナリング性能が十分ではない。
【0007】
さらに、特許文献1の外側連結部又は特許文献2の連結部材のようなスポークをタイヤ周方向に間隔をあけて配設すると、タイヤ転動時の接地圧分散が大きくなる傾向にある。このようなタイヤ転動時の接地圧分散が大きくなるのを抑制するために、タイヤ周方向におけるスポークの厚みを小さくし、かつスポーク同士の間隔を狭くすることが考えられる。しかし、厚みを小さくするとスポークの剛性が低下するため、突起乗り越し等の局所的な衝撃に弱くなり、耐久性が悪化するおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、本発明の目的は、耐久性とコーナリング性能を向上させた非空気圧タイヤを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。
即ち、本発明の非空気圧タイヤは、車両からの荷重を支持する支持構造体を備える非空気圧タイヤにおいて、前記支持構造体は、内側環状部と、その内側環状部の外側に同心円状に設けられた外側環状部と、前記内側環状部と前記外側環状部とを連結し、タイヤ周方向に各々独立して設けられた複数の連結部とを備え、前記複数の連結部は、前記内側環状部のタイヤ幅方向一方側から前記外側環状部のタイヤ幅方向他方側へ向かって延設される第1連結部と、前記内側環状部の前記タイヤ幅方向他方側から前記外側環状部の前記タイヤ幅方向一方側へ向かって延設される第2連結部とが、タイヤ周方向に沿って交互に配列されて構成されており、前記第1連結部と前記第2連結部は、板厚が板幅よりも小さく、板厚方向がタイヤ周方向を向いた長尺板状であって、かつ互いに剛性が異なることを特徴とする。
【0011】
本発明の非空気圧タイヤは、内側環状部と、その内側環状部の外側に同心円状に設けられた外側環状部と、内側環状部と外側環状部とを連結する複数の連結部とを備えている。複数の連結部は、複数の第1連結部と第2連結部とがタイヤ周方向に沿って交互に配列されて構成されている。第1連結部は、内側環状部のタイヤ幅方向一方側から外側環状部のタイヤ幅方向他方側へ向かって延設され、第2連結部は、内側環状部のタイヤ幅方向他方側から外側環状部のタイヤ幅方向一方側へ向かって延設されている。第1連結部と第2連結部は、板厚が板幅よりも小さく、その板厚方向がタイヤ周方向を向いた長尺板状をしている。これにより、仮に板厚を薄くしても、板幅を広く設定することで、連結部は所望の剛性を得ることができるため、耐久性を向上できる。
【0012】
本発明では、第1連結部と第2連結部の剛性を互いに異ならせている。ここで、剛性は、タイヤに規定の質量を与えた時、単位長さを撓ませるのに必要な縦方向の力である。
図2Aに本発明の非空気圧タイヤをタイヤ幅方向に切断してタイヤ周方向から見た模式図を示す。1は内側環状部、2は外側環状部、31は第1連結部、32は第2連結部を示している。例えば、
図2Aに示すように、タイヤ幅方向一方側WD1を車両内側として非空気圧タイヤTを車両に装着した場合、第1連結部31の剛性を第2連結部32の剛性よりも高くすることで、車両外側のショルダー部の剛性が高くなり、コーナリング時のグリップ力が向上する。さらに、第2連結部32が第1連結部31よりも変形しやすいため、タイヤの車両外側が接地しやすくなり、接地面積が広がる。その結果、第1連結部31の剛性を第2連結部32の剛性よりも高くすることで、コーナリング性能を向上できる。
【0013】
一方、第2連結部32の剛性を第1連結部31の剛性よりも高くすることで、レーンチェンジやカーブでの横力によるGを第1連結部31が吸収するため、振動を抑制し乗り心地を向上できる。特に、キャンバー角が0°、及びネガティブキャンバーの場合には、接地面積の広い車両内側のショルダー部の剛性が高いため、乗り心地に加えてコーナリング性能も向上できる。その結果、第2連結部32の剛性を第1連結部31の剛性よりも高くすることで、乗り心地又はコーナリング性能を向上できる。
【0014】
本発明にかかる非空気圧タイヤにおいて、前記第1連結部又は前記第2連結部は、補強材により補強されていることが好ましい。補強材により補強することで、第1連結部又は第2連結部の剛性を高めることができるため、第1連結部と第2連結部の剛性を互いに異ならせることができる。
【0015】
本発明にかかる非空気圧タイヤにおいて、前記第1連結部又は前記第2連結部は、前記外側環状部側のみが補強されていることが好ましい。接地面側である外側環状部側の連結部には応力が集中しやすいため、第1連結部又は第2連結部の外側環状部側のみを補強材により補強することで、重量の増加を抑えつつ耐久性を向上できる。
【0016】
本発明にかかる非空気圧タイヤにおいて、前記第1連結部と前記第2連結部は、前記補強材が配置される範囲が互いに異なることが好ましい。補強材を配置する範囲を互いに異ならせることにより、第1連結部と第2連結部の剛性を容易に異ならせることができる。
【0017】
本発明にかかる非空気圧タイヤにおいて、前記第1連結部と前記第2連結部は、前記補強材の引張モジュラスが互いに異なることが好ましい。補強材の引張モジュラスを互いに異ならせることにより、第1連結部と第2連結部の剛性を容易に異ならせることができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。初めに、本発明の非空気圧タイヤTの構成を説明する。
図1は、非空気圧タイヤTの一例を示す正面図である。
図2Aは、
図1のA−A断面図であり、
図2Bは、非空気圧タイヤの一部を示す斜視図である。
図3は、
図1の一部を拡大して示す図である。ここで、Oは軸芯を、Hはタイヤ断面高さを、それぞれ示している。
【0020】
非空気圧タイヤTは、車両からの荷重を支持する支持構造体SSを備えるものである。本発明の非空気圧タイヤTは、このような支持構造体SSを備えるものであればよく、その支持構造体SSの外側(外周側)や内側(内周側)に、トレッドに相当する部材、補強層、車軸やリムとの適合用部材などを備えていてもよい。
【0021】
本実施形態の非空気圧タイヤTは、
図1の正面図に示すように、支持構造体SSが、内側環状部1と、その外側に同心円状に設けられた外側環状部2と、内側環状部1と外側環状部2とを連結し、タイヤ周方向CDに各々独立して設けられた複数の連結部3とを備えている。
【0022】
内側環状部1は、ユニフォミティを向上させる観点から、厚みが一定の円筒形状であることが好ましい。また、内側環状部1の内周面には、車軸やリムとの装着のために、嵌合性を保持するための凹凸等を設けるのが好ましい。
【0023】
内側環状部1の厚みは、連結部3に力を十分伝達しつつ、軽量化や耐久性の向上を図る観点から、タイヤ断面高さHの2〜7%が好ましく、3〜6%がより好ましい。
【0024】
内側環状部1の内径は、非空気圧タイヤTを装着するリムや車軸の寸法などに併せて適宜決定される。ただし、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、250〜500mmが好ましく、330〜440mmがより好ましい。
【0025】
内側環状部1のタイヤ幅方向の幅は、用途、車軸の長さ等に応じて適宜決定されるが、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、100〜300mmが好ましく、130〜250mmがより好ましい。
【0026】
内側環状部1の引張モジュラスは、連結部3に力を十分伝達しつつ、軽量化や耐久性の向上、装着性を図る観点から、5〜180000MPaが好ましく、7〜50000MPaがより好ましい。なお、本発明における引張モジュラスは、JIS K7312に準じて引張試験を行い、10%伸び時の引張応力から算出した値である。
【0027】
本発明における支持構造体SSは、弾性材料で成形されるが、支持構造体SSを製造する際に、一体成形が可能となる観点から、内側環状部1、外側環状部2、及び連結部3は、補強構造を除いて基本的に同じ材質とすることが好ましい。
【0028】
本発明における弾性材料とは、JIS K7312に準じて引張試験を行い、10%伸び時の引張応力から算出した引張モジュラスが、100MPa以下のものを指す。本発明の弾性材料としては、十分な耐久性を得ながら、適度な剛性を付与する観点から、好ましくは引張モジュラスが5〜100MPaであり、より好ましくは7〜50MPaである。母材として用いられる弾性材料としては、熱可塑性エラストマー、架橋ゴム、その他の樹脂が挙げられる。
【0029】
熱可塑性エラストマーとしては、ポリエステルエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリスチレンエラストマー、ポリ塩化ビニルエラストマー、ポリウレタンエラストマー等が例示される。架橋ゴム材料を構成するゴム材料としては、天然ゴムの他、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IIR)、ニトリルゴム(NBR)、水素添加ニトリルゴム(水添NBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレンプロピレンゴム(EPDM)、フッ素ゴム、シリコンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム等の合成ゴムが例示される。これらのゴム材料は必要に応じて2種以上を併用してもよい。
【0030】
その他の樹脂としては、熱可塑性樹脂、又は熱硬化性樹脂が挙げられる。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられ、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂などが挙げられる。
【0031】
上記の弾性材料のうち、成形・加工性やコストの観点から、好ましくは、ポリウレタン樹脂が用いられる。なお、弾性材料としては、発泡材料を使用してもよく、上記の熱可塑性エラストマー、架橋ゴム、その他の樹脂を発泡させたもの使用可能である。
【0032】
弾性材料で一体成形された支持構造体SSは、内側環状部1、外側環状部2、及び連結部3が、補強繊維により補強されていることが好ましい。
【0033】
補強繊維としては、長繊維、短繊維、織布、不織布などの補強繊維が挙げられるが、長繊維を使用する形態として、タイヤ幅方向に配列される繊維とタイヤ周方向に配列される繊維とから構成されるネット状繊維集合体を使用するのが好ましい。
【0034】
補強繊維の種類としては、例えば、レーヨンコード、ナイロン−6,6等のポリアミドコード、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルコード、アラミドコード、ガラス繊維コード、カーボンファイバー、スチールコード等が挙げられる。
【0035】
本発明では、補強繊維を用いる補強の他、粒状フィラーによる補強や、金属製リング等による補強を行うことが可能である。粒状フィラーとしては、カーボンブラック、シリカ、アルミナ等のセラミックス、その他の無機フィラーなどが挙げられる。
【0036】
外側環状部2の形状は、ユニフォミティを向上させる観点から、厚みが一定の円筒形状であることが好ましい。外側環状部2の厚みは、連結部3からの力を十分伝達しつつ、軽量化や耐久性の向上を図る観点から、タイヤ断面高さHの2〜7%が好ましく、2〜5%がより好ましい。
【0037】
外側環状部2の内径は、その用途等応じて適宜決定される。ただし、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、420〜750mmが好ましく、480〜680mmがより好ましい。
【0038】
外側環状部2のタイヤ幅方向の幅は、用途等に応じて適宜決定されるが、一般の空気入りタイヤの代替を想定した場合、100〜300mmが好ましく、130〜250mmがより好ましい。
【0039】
外側環状部2の引張モジュラスは、
図1に示すように外側環状部2の外周に補強層7が設けられている場合には、内側環状部1と同程度に設定できる。このような補強層7を設けない場合には、連結部3からの力を十分伝達しつつ、軽量化や耐久性の向上を図る観点から、5〜180000MPaが好ましく、7〜50000MPaがより好ましい。
【0040】
外側環状部2の引張モジュラスを高める場合、弾性材料を繊維等で補強した繊維補強材料が好ましい。外側環状部2を補強繊維により補強することで、外側環状部2とベルト層などとの接着も十分となる。
【0041】
連結部3は、内側環状部1と外側環状部2とを連結するものであり、両者の間に適当な間隔を設けるなどして、タイヤ周方向CDに各々が独立するように複数設けられる。
【0042】
複数の連結部3は、第1連結部31と第2連結部32とがタイヤ周方向CDに沿って配列されて構成されている。この際、第1連結部31と第2連結部32は、タイヤ周方向CDに沿って交互に配列されていることが好ましい。これにより、タイヤ転動時の接地圧分散をより小さくできる。
【0043】
また、第1連結部31と第2連結部32との間のタイヤ周方向CDのピッチpは、ユニフォミティを向上させる観点から、一定とするのが好ましい。ピッチpは、0〜10mmが好ましく、0〜5mmがより好ましい。ピッチpが10mmよりも大きいと、接地圧が不均一となり、ノイズが増大する要因となり得る。
【0044】
第1連結部31は、内側環状部1のタイヤ幅方向一方側WD1から外側環状部2のタイヤ幅方向他方側WD2へ向かって延設されている。一方、第2連結部32は、内側環状部1のタイヤ幅方向他方側WD2から外側環状部2のタイヤ幅方向一方側WD1へ向かって延設されている。すなわち、隣り合う第1連結部31と第2連結部32は、タイヤ周方向CDから見ると、略X字状に配置されている。
【0045】
本実施形態において、タイヤ周方向CDから見た第1連結部31と第2連結部32は、
図2Aに示すように、補強構造を除き、タイヤ赤道面Cに対して対称な形状である。そのため、以下では、主として第1連結部31について説明する。
【0046】
第1連結部31は、内側環状部1から外側環状部2へと延びる長尺板状をしている。第1連結部31は、板厚tが板幅wよりも小さく、板厚方向PTがタイヤ周方向CDを向いている。すなわち、第1連結部31は、タイヤ径方向及びタイヤ幅方向に延びる板状である。第1連結部31及び第2連結部32をこのような長尺板状とすることにより、仮に板厚tを薄くしても、板幅wを広く設定することで、第1連結部31及び第2連結部32は所望の剛性を得ることができるため、耐久性を向上できる。また、板厚tを薄くしつつ第1連結部31及び第2連結部32の数を増やすことで、タイヤ全体の剛性を維持しつつ、タイヤ周方向CDに隣り合う連結部同士の隙間を小さくすることができるため、タイヤ転動時の接地圧分散を小さくできる。
【0047】
第1連結部31の板厚tは、長手方向PLに沿って一定としてもよいが、
図3のように、第1連結部31の板厚tは、内側環状部1から外側環状部2へ向かって漸増していることが好ましい。この場合、第1連結部31のタイヤ径方向外側端31aでの板厚tが板幅wよりも小さくなるように設定される。
【0048】
板厚tは、内側環状部1および外側環状部2からの力を十分伝達しつつ、軽量化や耐久性の向上を図る観点から、8〜30mmが好ましく、10〜20mmがより好ましい。
【0049】
図2Aでは、板幅wは、第1連結部31の中央部において、長手方向PLに沿って一定となっているが、これに限定されない。
図4Aや
図4Bに示すように、板幅wは、長手方向PLに沿って変化させてもよい。この場合、第1連結部31のタイヤ径方向高さをhとすると、第1連結部31のタイヤ径方向高さ中心31cからタイヤ径方向へ向かってhの±25%を範囲とし、その範囲内で最も狭い部分での板幅wが板厚tよりも大きくなるように設定される。なお、タイヤ径方向内側を+側、タイヤ径方向外側を−側とする。また、第1連結部31の板幅wは、幅方向両側端の間の最短距離で測定される。
【0050】
板幅wは、内側環状部1および外側環状部2からの力を十分伝達しつつ、軽量化や耐久性の向上を図る観点から、5〜25mmが好ましく、10〜20mmがより好ましい。また、板幅wは、耐久性を向上させつつ接地圧分散を小さくする観点から、板厚tの110%以上が好ましく、115%以上がより好ましい。
【0051】
第1連結部31は、内側環状部1との結合部付近及び外側環状部2との結合部付近において、内側環状部1又は外側環状部2へ向かって徐々に板幅を大きくした補強部311を有することが好ましい。これにより、第1連結部31の耐久性をさらに向上させることができる。補強部311を設ける範囲は、第1連結部31のタイヤ径方向高さ中心31cからhの±25%の範囲外とするのが好ましい。
【0052】
タイヤ周方向CDから見た第1連結部31は、タイヤ径方向に湾曲する湾曲部が少なくとも1つ形成されていることが好ましく、タイヤ径方向に湾曲する湾曲部が長手方向PLに沿って複数形成されていることがより好ましい。湾曲部が複数形成される場合、タイヤ径方向内側へ凸となる湾曲部とタイヤ径方向外側へ凸となる湾曲部が交互に形成される。湾曲部の数は、1〜15個が好ましく、3〜10個がより好ましい。湾曲部は、第1連結部31のうち応力が高くなるトレッド側に少なくとも1つ形成されることで、第1連結部31の応力を効果的に分散することができる。湾曲部の曲率半径は、5〜200mmが好ましく、20〜150mmがより好ましい。
【0053】
連結部3の数としては、車両からの荷重を十分支持しつつ、軽量化、動力伝達の向上、耐久性の向上を図る観点から、80〜300個が好ましく、100〜200個がより好ましい。
図1には、第1連結部31を50個、第2連結部32を50個設けた例を示す。
【0054】
第1連結部31及び第2連結部32の引張モジュラスは、内側環状部1および外側環状部2からの力を十分伝達しつつ、軽量化や耐久性の向上、横剛性の向上を図る観点から、5〜180000MPaが好ましく、7〜50000MPaがより好ましい。連結部3の引張モジュラスを高める場合、弾性材料を繊維等で補強した繊維補強材料が好ましい。
【0055】
本発明の第1連結部31と第2連結部32は、互いに剛性が異なるようにしている。本発明における剛性は、タイヤに規定の質量(N)を与えた時、単位長さ(mm)を撓ませるのに必要な縦方向の力で表すことができる。第1連結部31及び第2連結部32は、一方の剛性を他方の剛性の1.2倍以上に設定するのが特に好ましい。一方の剛性が他方の剛性の1.2倍より小さくなると、第1連結部31と第2連結部32の剛性差が小さくなり、耐久性とコーナリング性能の向上効果が得られない。また、第1連結部31及び第2連結部32は、一方の剛性を他方の剛性の3倍以下に設定するのが好ましい。一方の剛性が他方の剛性の3倍より大きくなると、第1連結部31と第2連結部32の剛性バランスが悪くなりユニフォミティが悪化する恐れがある。
【0056】
本実施形態の第1連結部31は、補強材33により補強されている。第1連結部31のみを補強材33により補強することで、第1連結部31の剛性を高め、第1連結部31と第2連結部32の剛性を異ならせることができる。補強材33としては、ポリエステル、ナイロン、アラミドなどの有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維などの無機繊維、鉄板やスチールコードなどの金属、CFRPやGFRPなどの繊維強化プラスチックを使用することができる。この実施形態において、引張モジュラスとは、有機繊維の場合はJISL1017に準じ、金属コードの場合はJISG3510に準じ、CFRPやGFRP等の繊維強化プラスチックの場合はJISK7127に準じて引張試験を行い、1.5%伸び時の引張応力から算出した値である。補強材33は、耐久性を向上する観点から、第1連結部31の内部に埋設されるのが好ましい。本実施形態では、複数の補強コードを長手方向PLに沿って配列させた補強材33の例を示す。
【0057】
第1連結部31又は第2連結部32は、外側環状部2側のみが補強材により補強されていることが好ましい。特に、第1連結部31又は第2連結部32は、外側環状部2側からタイヤ径方向高さhの50%の範囲が少なくとも補強されていることが好ましい。接地面側である外側環状部2側の第1連結部31及び第2連結部32には応力が集中しやすいため、第1連結部31又は第2連結部32の外側環状部2側のみを補強材により補強することで、重量の増加を抑えつつ耐久性を向上できる。
【0058】
なお、第1連結部31と第2連結部32のうち一方のみを補強してもよく、両方を補強してもよい。第1連結部31と第2連結部32の両方を補強する場合、補強材を配置する範囲を互いに異ならせることにより、第1連結部31と第2連結部32の剛性を互いに異ならせることができる。例えば、
図5のように、第1連結部31の全体に補強材33を配置し、第2連結部32の外側環状部2側のみに補強材34を配置してもよい。
【0059】
また、第1連結部31と第2連結部32の両方を補強する場合、補強材の引張モジュラスを互いに異ならせることにより、第1連結部31と第2連結部32の剛性を互いに異ならせることができる。例えば、
図6のように、第1連結部31及び第2連結部32の全体に補強材を配置しつつ、第1連結部31の補強材33の引張モジュラスが、第2連結部32の補強材34の引張モジュラスよりも大きくなるようにしてもよい。
【0060】
本実施形態では、
図1に示すように、支持構造体SSの外側環状部2の外側に、その外側環状部2の曲げ変形を補強する補強層7が設けられている例を示す。また、本実施形態では、
図1に示すように、補強層7の更に外側にトレッド8が設けられている例を示す。補強層7、トレッド8としては、従来の空気入りタイヤのベルト層と同様のものを設けることが可能である。なお、トレッド8は、樹脂で形成してもよい。また、トレッドパターンとして、従来の空気入りタイヤと同様のパターンを設けることが可能である。
【0061】
本発明において、連結部3のタイヤ径方向外側端とトレッド8の間には、タイヤ幅方向の剛性を高める幅方向補強層をさらに配置することが好ましい。これにより、外側環状部2のタイヤ幅方向中央部での座屈を抑制して、連結部3の耐久性をさらに向上できる。幅方向補強層は、外側環状部2に埋設されるか、もしくは外側環状部2の外側に配置される。幅方向補強層としては、スチールコードやCFRP、GFRP等の繊維強化プラスチック製のコードをタイヤ幅方向に対して略平行に配列したもの、円筒状の金属製リングや高モジュラス樹脂製リングなどが例示される。
【0062】
[他の実施形態]
(1)本発明の他の実施形態として、
図7に示すような、車両からの荷重を支持する支持構造体SSを備える非空気圧タイヤTにおいて、支持構造体SSは、内側環状部1と、その内側環状部1の外側に同心円状に設けられた中間環状部4と、その中間環状部4の外側に同心円状に設けられた外側環状部2と、内側環状部1と中間環状部4とを連結し、タイヤ周方向CDに各々独立して設けられた複数の内側連結部5と、外側環状部2と中間環状部4とを連結し、タイヤ周方向CDに各々独立して設けられた複数の外側連結部6とを備え、複数の外側連結部6は、中間環状部4のタイヤ幅方向一方側WD1から外側環状部2のタイヤ幅方向他方側WD2へ向かって延設される第1外側連結部61と、中間環状部4のタイヤ幅方向他方側WD2から外側環状部2のタイヤ幅方向一方側WD1へ向かって延設される第2外側連結部62とが、タイヤ周方向CDに沿って交互に配列されて構成されており、第1外側連結部61と第2外側連結部62は、板厚が板幅よりも小さく、板厚方向がタイヤ周方向CDを向いた長尺板状であって、かつ互いに剛性が異なるものでもよい。このとき、内側連結部5の形状は特に限定されず、例えば、内側連結部5は、タイヤ幅方向WDに連続する板状体、すなわち板幅方向がタイヤ幅方向WDに一致するような板状体でもよい。
【0063】
中間環状部4の形状は、ユニフォミティを向上させる観点から、厚みが一定の円筒形状であることが好ましい。ただし、中間環状部4の形状は、円筒形状に限られず、多角形筒状などでもよい。
【0064】
中間環状部4の厚みは、内側連結部5と外側連結部6とを十分補強しつつ、軽量化や耐久性の向上を図る観点から、タイヤ断面高さHの3〜10%が好ましく、4〜9%がより好ましい。
【0065】
中間環状部4の引張モジュラスは、内側連結部5と外側連結部6とを十分補強して、耐久性の向上、負荷能力の向上を図る観点から、8000〜180000MPaが好ましく、10000〜50000MPaがより好ましい。
【0066】
中間環状部4の引張モジュラスは、内側環状部1のそれより高いことが好ましいため、熱可塑性エラストマー、架橋ゴム、その他の樹脂を繊維等で補強した繊維補強材料が好ましい。
【0067】
(2)さらに、上記の複数の内側連結部5は、
図8に示すような、内側環状部1のタイヤ幅方向一方側WD1から中間環状部4のタイヤ幅方向他方側WD2へ向かって延設される第1内側連結部51と、内側環状部1のタイヤ幅方向他方側WD2から中間環状部4のタイヤ幅方向一方側WD1へ向かって延設される第2内側連結部52とが、タイヤ周方向CDに沿って交互に配列されて構成されており、第1内側連結部51と第2内側連結部52は、板厚が板幅よりも小さく、板厚方向がタイヤ周方向CDを向いた長尺板状であって、かつ互いに剛性が異なるものでもよい。
【0068】
(3)前述の実施形態では、第1連結部31と第2連結部32の剛性を互いに異ならせる方法として、第1連結部31又は第2連結部32に補強材を配置するする例を示したが、これに限定されない。
図9A〜
図9Dは、他の実施形態に係る連結部3の斜視図である。なお、
図9A〜
図9Dでは、説明の便宜のため、内側環状部1は省略されている。
図9Aは、第1連結部31及び第2連結部32の板幅を互いに異ならせている。この例では、第2連結部32の板幅を内側環状部1に向かって徐々に狭くしている。
図9Bは、第1連結部31及び第2連結部32の板厚を互いに異ならせている。この例では、第1連結部31及び第2連結部32の板厚を内側環状部1に向かって徐々に薄くしているが、第2連結部32のタイヤ径方向内側端での板厚を第1連結部31のタイヤ径方向内側端での板厚よりも薄くしている。
図9Cは、第1連結部31と第2連結部32の一方のみに穴を設けている。具体的には、第2連結部32の長手方向に沿って複数の貫通孔321を設けることで、第2連結部32の剛性を低下させている。
図9Dは、第1連結部31と第2連結部32の一方のみにスリットを設けている。具体的には、第2連結部32の長手方向に沿ってスリット322を設けることで、第2連結部32の剛性を低下させている。なお、穴やスリットは、第1連結部31又は第2連結部32の内側環状部1側に形成されるのが好ましい。
図9A〜
図9Dの例では、いずれも第1連結部31の剛性が、第2連結部32の剛性よりも高くなっている。
【実施例】
【0069】
以下、本発明の構成と効果を具体的に示す実施例等について説明する。なお、実施例等における評価項目は下記のようにして測定を行った。
【0070】
(1)コーナリングパワー
いわゆるフラットベルト式コーナリング試験機において、内圧を0kPa、荷重を2500N、速度を80km/h、スリップアングルを1°として、コーナリングパワーの測定を行った。比較例1でのコーナリングパワーを100としたときの指数で示し、この値が大きい方がコーナリングパワーが大きく、コーナリング性能に優れる。
【0071】
(2)突起乗り越し耐久性能
突起を配置したドラムに、荷重2.45kNで非空気圧タイヤを接地させ、速度80km/hで走行させたときの壊れるまでの走行距離を測定した。突起は、タイヤ幅方向に延びる突条であり、回転方向の幅を25mm、高さを12.5mmとした。比較例1での走行距離を100としたときの指数で示し、この値が大きい方が優れる。
【0072】
比較例1
表1に示す寸法および物性等にて、
図10に示すような、内側環状部1、中間環状部4、外側環状部2、内側スポーク(内側連結部5に相当)、外側スポーク1,2(外側連結部6に相当)を備える支持構造体、その外周に設けられた3層の補強層7、並びにトレッドゴム(トレッド8に相当)を備える非空気圧タイヤを作製し、上記性能を評価した。内側連結部5及び外側連結部6は、タイヤ幅方向に連続する板状体とした。コーナリングパワー、突起乗り越し耐久性能の結果を表1に併せて示す。
【0073】
実施例1
表1に示す寸法および物性等にて、
図1に示すような、内側環状部1、外側環状部2、外側スポーク1,2(第1及び第2連結部31,32に相当)を備える支持構造体、その外周に設けられた3層の補強層7、並びにトレッドゴム(トレッド8に相当)を備える非空気圧タイヤを作製し、上記性能を評価した。外側スポーク1は、全体が補強コードにより補強されており、外側スポーク1の剛性が外側スポーク2の剛性よりも高くなっている。コーナリングパワー、突起乗り越し耐久性能の結果を表1に併せて示す。
【0074】
実施例2
実施例1に対し、タイヤ幅方向に配列したコードからなる幅方向補強層を外側環状部2に埋設した。コーナリングパワー、突起乗り越し耐久性能の結果を表1に併せて示す。
【0075】
なお、何れの非空気圧タイヤも、タイヤの外径を535mm、タイヤ幅を140mm、リム径を14インチとした。また、何れの実施例等の非空気圧タイヤも、
図2に示す向きに車両に取り付けた。
【0076】
【表1】
【0077】
表1の結果から以下のことが分かる。実施例1の非空気圧タイヤは、比較例1と比べて、コーナリングパワーが大きくなってコーナリング性能が向上し、突起乗り越し耐久性能も向上した。また、実施例2の非空気圧タイヤは、実施例1に比べて、コーナリング性能と突起乗り越し耐久性能がさらに向上した。