特許第6092069号(P6092069)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092069
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】汚染土壌粒子の洗浄装置及び洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B09B 3/00 20060101AFI20170227BHJP
   B03B 5/00 20060101ALI20170227BHJP
   B01F 3/04 20060101ALI20170227BHJP
   G21F 9/28 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   B09B3/00 ZZAB
   B03B5/00 A
   B01F3/04 A
   B01F3/04 C
   G21F9/28 Z
【請求項の数】14
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-208297(P2013-208297)
(22)【出願日】2013年10月3日
(65)【公開番号】特開2015-71142(P2015-71142A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2015年11月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000172813
【氏名又は名称】佐藤工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100073210
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100173668
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 吉之助
(72)【発明者】
【氏名】楠岡 弘康
【審査官】 岡田 三恵
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−000459(JP,A)
【文献】 特開昭59−150549(JP,A)
【文献】 特開2013−059755(JP,A)
【文献】 特開2010−000402(JP,A)
【文献】 特開2013−140021(JP,A)
【文献】 米国特許第04969775(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B09B 3/00
B01F 3/04
B03B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染土壌に含まれる砂礫を洗浄することにより、該砂礫の土壌粒子の表面に付着した汚染物質を磨耗・剥離する汚染土壌粒子の洗浄装置において、
洗浄装置の本体の一端に設けられた導入口から水と共に汚染された砂礫を導入し、導入した砂礫を含む水に本体通水路内で旋回流を付与し、本体の他端に設けられた吐出口から前記水及び砂礫を吐出する構成であって、
前記導入口と吐出口との間の本体通水路の上流側部分に、水及び砂礫の流れを旋回させる旋回水路を有し、下流側部分に水及び砂礫の旋回流を加速する旋回流加速室を有し、
前記旋回水路が、通水方向に対して螺旋状に旋回する少なくとも一条の螺旋状溝、又は少なくとも一つの螺旋状孔から形成され、
前記旋回流加速室が、前記吐出口に向かって本体通水路の通水方向に直交する方向での断面径が絞り込まれるように形成された構成であり、
汚染された砂礫を水と共にポンプ手段を用いて前記洗浄装置に送って前記砂礫の表面を磨耗・剥離して洗浄する構成であり、
更に、前記本体通水路内において、前記水及び砂礫が接触する部分である前記旋回流加速室の内壁部分を含む前記本体通水路の内壁部分と前記旋回水路とを構成する部分が着脱交換可能であること、
を特徴とする汚染土壌粒子の洗浄装置。
【請求項2】
前記本体通水路の内壁部分及び前記旋回流加速室を構成する部分の各々が、本体内に着脱可能に挿通した、予め磨耗箇所を限定した鋼素材で形成された複数本の円筒管から成る構成であることを特徴とする請求項に記載の汚染土壌粒子の洗浄装置。
【請求項3】
前記本体通水路の内壁部分となる円筒管である通水路円筒管の内側に、前記旋回流加速室を構成する円筒管である加速室円筒管が入れ子状の重層状態に複数本挿通される構成であり、
該複数本の加速室円筒管が、前記吐出口に向かって段々と短い長さのものを用いることにより前記旋回流加速室の断面径が絞り込まれるように形成される構成であることを特徴とする請求項に記載の汚染土壌粒子の洗浄装置。
【請求項4】
前記旋回水路が、通水方向に対して螺旋状に旋回する少なくとも一条の螺旋状溝、又は少なくとも一つの螺旋状孔を有する旋回流発生部材から成り、
該旋回流発生部材が、前記本体通水路に着脱交換可能に配設される構成であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の汚染土壌粒子の洗浄装置。
【請求項5】
前記導入口と吐出口との間の本体通水路に、水及び砂礫中に気体を導入する気体導入管を有する構成であり、
前記旋回流の中に気体を自給又は加圧導入し、気体と水及び砂礫が同時に、吐出口から旋回しながら吐出開放され、マイクロバブルが形成される際に生じる剪断破壊を土壌洗浄作用として利用する構成であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の汚染土壌粒子の洗浄装置。
【請求項6】
予めマイクロバブルを混合した前記水及び砂礫を前記導入口から導入する構成であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の汚染土壌粒子の洗浄装置。
【請求項7】
前記吐出口を有する本体の他端が、その中心に吐出口の開口と成る間隙部分を残した状態で且つその中心から放射状に配設固定した少なくとも3枚の板状体によって閉塞された構成であり、
該板状体の各々が、配設固定を解除して前記中心方向に向かって移動させることが可能であると共に着脱交換可能な構成であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の汚染土壌粒子の洗浄装置。
【請求項8】
前記吐出口の外側周囲に、吐出口側から外側に向かって段々と直径が大となる同心円状の孔部を有する複数枚の板状体が積層状態で着脱交換可能に配設固定されることにより、前記吐出口から同心円状に段々と拡開する複数段の段差を設けてなる渦崩壊促進面部が形成されていることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の汚染土壌粒子の洗浄装置。
【請求項9】
請求項1〜のいずれかに記載の汚染土壌粒子の洗浄装置を用い、汚染された砂礫を水と共にポンプ手段を用いて前記洗浄装置に送り、旋回流によって生じる遠心力と衝突による砂礫の通水路内での摩擦移動によって前記砂礫の表面を磨耗・剥離して洗浄することを特徴とする汚染土壌粒子の洗浄方法。
【請求項10】
前記洗浄装置を用いた砂礫の洗浄を複数回行う構成であることを特徴とする請求項に記載の汚染土壌粒子の洗浄方法。
【請求項11】
前記洗浄装置を実質的に直列方向に直接的又は間接的に複数台配設することにより、前記水及び砂礫の一度の通水路の通過において複数回の洗浄を行う構成であることを特徴とする請求項10に記載の汚染土壌粒子の洗浄方法。
【請求項12】
前記複数回の洗浄が、1台の洗浄装置を用いて繰り返し洗浄を行う構成であることを特徴とする請求項11に記載の汚染土壌粒子の洗浄方法。
【請求項13】
前記複数回の洗浄が、汚染土壌の洗浄後に生成される洗浄後砂礫の汚染濃度の低下目標に見合う洗浄回数に設定することにより行う構成であることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の汚染土壌粒子の洗浄方法。
【請求項14】
前記複数回の洗浄が、汚染土壌の洗浄後に生成される洗浄後砂礫の汚染濃度の低下目標に見合う洗浄装置の配設台数に設定することにより行う構成であることを特徴とする請求項10又は11に記載の汚染土壌粒子の洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は汚染土壌粒子の洗浄装置及び洗浄方法に関し、詳しくは汚染土壌の泥水に含まれる砂礫の表面に付着した汚染物質を磨耗・剥離して洗浄する装置、及び該装置を用いて行う洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
重金属やセシウム等の汚染土壌に含まれる砂礫、粘土・シルト、植物性廃棄物(落ち葉、枝、微細植物繊維質等)のうち、その70〜80%程度を砂礫が占めるため、この砂礫を洗浄して汚染物質を除去することが汚染土壌の汚染率を低減する浄化技術において重要となっている。
【0003】
砂礫の汚染構成としては、汚染物質が土粒子の粒径の小さな粘土鉱物に強固に付着して濃集し、この汚染物質が結び付いた粘土鉱物が砂礫の表面に固着することによるものである。
【0004】
従って、砂礫からの汚染物質の除去は、洗浄によって砂礫表面を磨耗・剥離することによって行われる。この際、磨耗・剥離の均質化・品質安定化が重要となっている。
【0005】
砂礫表面の磨耗・剥離による洗浄方法としては、(1)円筒の回転ドラム式洗浄機による方法や、(2)キャビテーション作用を利用した衝撃洗浄機に導入して剥離させる方法(株式会社ハマダによる技術。例えば、特許文献1参照)や、(3)BAT(Brend Air Tornado)ポンプに汚染土壌と水とを吸い込んで砂礫を混合衝突させることによって剥離する方法(ロート製薬株式会社による技術)等がこれまで知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−140021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記(1)の回転ドラム式洗浄機による方法では、均質な磨耗・剥離が困難であることから、表面を磨耗・剥離した後の砂礫の品質が一定ではないため、均質な洗浄済み砂礫が得られ難いという問題点を有している。更に当該技術では、処理時間が長く、しかも一回の処理量が回転ドラムの容量に限定されるために大量に処理する場合には装置を大型化する必要があり、無理に大量の土壌を処理すると処理物の品質の悪化を招くという問題点を有している。更にまた、装置の大型化は高コスト化を招き易く、連続的な作業には不向きであるために処理効率が低くなり易いという問題点を有している。
【0008】
また、上記(2)の高圧ジェット水流による方法や(3)のBATポンプによる方法では、高電圧(200V)での作動処理となるために電力消費量が極めて高くコスト高となるだけでなく、砂礫を含む高圧の水流によって装置内部の磨耗損傷が激しいために修理・メンテナンス頻度が高く、よって装置寿命が短いという問題点を有している。
【0009】
そこで本発明の課題は、汚染物質の付着した砂礫の均質且つ迅速な洗浄が可能であり、しかもメンテナンス性が良好であり装置寿命の長い汚染土壌粒子の洗浄装置及び洗浄方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明は、下記構成を有する。
【0011】
1.汚染土壌に含まれる砂礫を洗浄することにより、該砂礫の土壌粒子の表面に付着した汚染物質を磨耗・剥離する汚染土壌粒子の洗浄装置において、
洗浄装置の本体の一端に設けられた導入口から水と共に汚染された砂礫を導入し、導入した砂礫を含む水に本体通水路内で旋回流を付与し、本体の他端に設けられた吐出口から前記水及び砂礫を吐出する構成であって、
前記導入口と吐出口との間の本体通水路の上流側部分に、水及び砂礫の流れを旋回させる旋回水路を有し、下流側部分に水及び砂礫の旋回流を加速する旋回流加速室を有し、
前記旋回水路が、通水方向に対して螺旋状に旋回する少なくとも一条の螺旋状溝、又は少なくとも一つの螺旋状孔から形成され、
前記旋回流加速室が、前記吐出口に向かって本体通水路の通水方向に直交する方向での断面径が絞り込まれるように形成された構成であり、
汚染された砂礫を水と共にポンプ手段を用いて前記洗浄装置に送って前記砂礫の表面を磨耗・剥離して洗浄する構成であり、
更に、前記本体通水路内において、前記水及び砂礫が接触する部分である前記旋回流加速室の内壁部分を含む前記本体通水路の内壁部分と前記旋回水路とを構成する部分が着脱交換可能であること、
を特徴とする汚染土壌粒子の洗浄装置。
【0013】
.前記本体通水路の内壁部分及び前記旋回流加速室を構成する部分の各々が、本体内に着脱可能に挿通した、予め磨耗箇所を限定した鋼素材で形成された複数本の円筒管から成る構成であることを特徴とする上記に記載の汚染土壌粒子の洗浄装置。
【0014】
.前記本体通水路の内壁部分となる円筒管である通水路円筒管の内側に、前記旋回流加速室を構成する円筒管である加速室円筒管が入れ子状の重層状態に複数本挿通される構成であり、
該複数本の加速室円筒管が、前記吐出口に向かって段々と短い長さのものを用いることにより前記旋回流加速室の断面径が絞り込まれるように形成される構成であることを特徴とする上記に記載の汚染土壌粒子の洗浄装置。
【0015】
.前記旋回水路が、通水方向に対して螺旋状に旋回する少なくとも一条の螺旋状溝、又は少なくとも一つの螺旋状孔を有する旋回流発生部材から成り、
該旋回流発生部材が、前記本体通水路に着脱交換可能に配設される構成であることを特徴とする上記1〜のいずれかに記載の汚染土壌粒子の洗浄装置。
【0016】
.前記導入口と吐出口との間の本体通水路に、水及び砂礫中に気体を導入する気体導入管を有する構成であり、
前記旋回流の中に気体を自給又は加圧導入し、気体と水及び砂礫が同時に、吐出口から旋回しながら吐出開放され、マイクロバブルが形成される際に生じる剪断破壊を土壌洗浄作用として利用する構成であることを特徴とする上記1〜のいずれかに記載の汚染土壌粒子の洗浄装置。
【0017】
.予めマイクロバブルを混合した前記水及び砂礫を前記導入口から導入する構成であることを特徴とする上記1〜のいずれかに記載の汚染土壌粒子の洗浄装置。
【0018】
.前記吐出口を有する本体の他端が、その中心に吐出口の開口と成る間隙部分を残した状態で且つその中心から放射状に配設固定した少なくとも3枚の板状体によって閉塞された構成であり、
該板状体の各々が、配設固定を解除して前記中心方向に向かって移動させることが可能であると共に着脱交換可能な構成であることを特徴とする上記1〜のいずれかに記載の汚染土壌粒子の洗浄装置。
【0019】
.前記吐出口の外側周囲に、吐出口側から外側に向かって段々と直径が大となる同心円状の孔部を有する複数枚の板状体が積層状態で着脱交換可能に配設固定されることにより、前記吐出口から同心円状に段々と拡開する複数段の段差を設けてなる渦崩壊促進面部が形成されていることを特徴とする上記1〜のいずれかに記載の汚染土壌粒子の洗浄装置。
【0020】
.上記1〜のいずれかに記載の汚染土壌粒子の洗浄装置を用い、汚染された砂礫を水と共にポンプ手段を用いて前記洗浄装置に送り、旋回流によって生じる遠心力と衝突による砂礫の通水路内での摩擦移動によって前記砂礫の表面を磨耗・剥離して洗浄することを特徴とする汚染土壌粒子の洗浄方法。
【0021】
10.前記洗浄装置を用いた砂礫の洗浄を複数回行う構成であることを特徴とする上記に記載の汚染土壌粒子の洗浄方法。
【0022】
11.前記洗浄装置を実質的に直列方向に直接的又は間接的に複数台配設することにより、前記水及び砂礫の一度の通水路の通過において複数回の洗浄を行う構成であることを特徴とする上記10に記載の汚染土壌粒子の洗浄方法。
【0023】
12.前記複数回の洗浄が、1台の洗浄装置を用いて繰り返し洗浄を行う構成であることを特徴とする上記11に記載の汚染土壌粒子の洗浄方法。
【0024】
13.前記複数回の洗浄が、汚染土壌の洗浄後に生成される洗浄後砂礫の汚染濃度の低下目標に見合う洗浄回数に設定することにより行う構成であることを特徴とする上記10〜12のいずれかに記載の汚染土壌粒子の洗浄方法。
【0025】
14.前記複数回の洗浄が、汚染土壌の洗浄後に生成される洗浄後砂礫の汚染濃度の低下目標に見合う洗浄装置の配設台数に設定することにより行う構成であることを特徴とする上記10又は11に記載の汚染土壌粒子の洗浄方法。
【発明の効果】
【0026】
請求項1又は10に示す発明によれば、汚染物質の付着した砂礫の均質且つ迅速な洗浄が可能であり、しかもメンテナンス性が良好であり装置寿命の長い汚染土壌粒子の洗浄装置、又は洗浄方法を提供することができる。
【0027】
特に、洗浄される砂礫は、その殆ど乃至は全てが水の中に分散した状態で洗浄装置の通水路内を同等の条件で通過することになるので、砂礫の表面の磨耗・剥離が均質に行われることになる。従って、均質な洗浄済みの砂礫を得ることができる。
また、洗浄される砂礫は、水と共に洗浄装置の通水路内を通過させるだけで表面の磨耗・剥離を行うことができるので、極めて簡単に且つ極めて短時間に洗浄を行うことができる。
更に、動的な可動部を持たない極めて簡易な構成の静止型の装置であることから磨耗損傷する部分が限定されるのみならず、例え磨耗損傷した場合でもその部分を交換することにより改めて使用することができるので、メンテナンス性が良好であり装置寿命の長い装置とすることが可能である。
【0028】
請求項2に示す発明によれば、水及び砂礫が接触することによって磨耗する部分が着脱交換可能であるので、規定値以上に磨耗した際に交換することによって初期の洗浄性能を得ることができる。
特に、水及び砂礫と接触する部分を着脱交換可能とすることにより、その他の部分の材質について磨耗損傷を特に考慮する必要がなくなるため、このその他の部分を形成する材料選定の自由度が高く、管材料として一般的に用いられ、低コスト且つ容易に入手可能な塩ビ製品等を用いることができるようになることから、この点においてコストダウンと大量生産を図ることができる。
【0029】
請求項3に示す発明によれば、本体内に挿通した円筒管を引き抜き、磨耗の無い円筒管に交換して挿通するだけでよいのでメンテナンス性が極めて良好である。
また、土木現場や建設現場等で容易に入手可能な鋼素材の円筒管を用いることができるので、低コストであり、費用対効果が極めて高い。
【0030】
請求項4に示す発明によれば、旋回流加速室の絞込み構成が、径と長さの異なる円筒管の組合せで形成されていることから、構成が極めて簡素であるためメンテナンス性が極めて良好であり、装置寿命が長く、しかも低コストである。
【0031】
請求項5に示す発明によれば、旋回水路が着脱交換可能な部材により形成した構成により、旋回水路の内部が規定値以上に磨耗した際に交換することによって初期の旋回性能を得ることができる。
【0032】
請求項6に示す発明によれば、旋回水路では砂礫は遠心力により通水路内の内壁に沿って旋回しながら磨耗・衝突すると共に、導入した気体は軽く、旋回流によって生じる遠心力によって通水路の中心軸に気柱となって集約し、ロート状に絞り込まれた旋回流加速室の部分では、砂礫と汚泥水、気柱の旋回が更に高速回転することになる。この際、洗浄装置端部の吐出口から水中に開放されると気柱は渦崩壊作用を起こし、マイクロバブルが発生することになる。このマイクロバブルの発生は、強い衝撃と破砕効果を伴うため、同時に旋回しながら開放される砂礫に対しても強力な磨耗・破砕効果を付与することができる。この旋回水路と旋回流加速室における二つの作用によって、砂礫の表面の磨耗・剥離効率が一層向上し、より均質且つ高品質な洗浄が可能となる。
【0033】
請求項7に示す発明によれば、砂礫と水とマイクロバブルが混合した状態で磨耗・剥離が行われることにより、砂礫の表面の磨耗・剥離効果が高く、より均質な洗浄が可能となる。
【0034】
請求項8に示す発明によれば、吐出口の開口が磨耗した際に、放射状に配設固定した板状体の各々を磨耗した長さだけ中心に向かって移動させることにより吐出口の開口径を初期値に戻すことができる。また、この板状体の移動による吐出口の開口径の初期化は、板状体が固定可能な長さを有する限り多数回可能であり、固定不可能な長さにまで磨耗した場合には、新たな板状体と交換することにより、改めて初期値に戻すことが可能となる。
【0035】
請求項9に示す発明によれば、吐出口から吐出した砂礫及び水の旋回流に渦崩壊効果が加わることによって、均質な洗浄効果がより高まることになる。
また、渦崩壊促進面部が着脱交換可能であるので、規定値以上に磨耗した際に交換することによって初期の渦崩壊能を得ることができる。
【0036】
請求項11に示す発明によれば、極めて簡易な構成の洗浄装置により複数回の洗浄を極めて容易に行うことができるので、より効果の高い洗浄が可能となる。尚、複数回の洗浄は、1台の洗浄装置を用いて複数回繰り返し洗浄する構成でもよいし、複数台の洗浄装置を用いて洗浄する構成とすることもできる。
【0037】
請求項12に示す発明によれば、複数台の洗浄装置の接続は、上流側に配置した洗浄装置の吐出口に下流側の洗浄装置の導入口を直接的に接続することにより複数回の洗浄を行う構成とすることもできるし、複数台の洗浄装置を接続管を介して接続することにより複数回の洗浄を行う構成とすることもできるし、或いは、複数台の洗浄装置同士の間に中間槽を配設し、この中間槽に一旦吐出した後、この中間槽から次の洗浄装置に送り込むことにより複数回の洗浄を行う構成とすることもできる。尚、複数台の洗浄装置の接続は直列方向に並べた状態での接続が好ましい。尚また、直列方向の接続は、実質的に直列であればよく、配設場所の状況等に応じて一直線上からズレた直列状を含むものである。
【0038】
請求項13に示す発明によれば、1台の洗浄装置で複数回の洗浄を行うことにより、より効果の高い洗浄が低コストで可能となる。
【0039】
請求項14に示す発明によれば、洗浄回数は、事前に行う繰り返し洗浄試験結果から目標とする汚染物質の濃度低下目標に見合う洗浄回数を任意に設定することができる。
【0040】
請求項15に示す発明によれば、洗浄装置の配設台数は、事前に行う洗浄装置1台による繰り返し洗浄試験結果から目標とする汚染物質の濃度低下目標に見合う洗浄装置台数を任意に設定することができる。尚、複数台の洗浄装置による複数回の洗浄は、汚染濃度低減目標を見据えた、より効果の高い洗浄が低コストで可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明に係る汚染土壌粒子の洗浄装置の一実施例を示す概略構成断面図
図2図1に示す洗浄装置の要部分解説明断面図
図3】本体通水路及び旋回流加速室を構成する部材の概略構成分解斜視図
図4】本体通水路、旋回流加速室及び旋回流発生部材の概略構成断面図
図5】旋回流発生部材の概略構成分解側面図
図6】旋回流発生部材の概略説明構成図
図7図6のVII方向から見た概略説明構成側面図
図8】吐出口の概略説明構成図
図9】渦崩壊促進面部の概略構成分解斜視図
図10】渦崩壊促進面部の概略構成断面図
図11】本発明に係る汚染土壌粒子の洗浄装置を用いて1回〜5回の洗浄を行った際の洗浄効果確認試験結果を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0042】
次に、添付の図面に従って本発明を詳細に説明する。
【0043】
本発明に係る汚染土壌粒子の洗浄装置(本明細書では単に洗浄装置ということもある。)について実施例に基づき説明する。
【0044】
本発明に係る洗浄装置は、汚染土壌に含まれる砂礫を洗浄することにより、該砂礫の土壌粒子の表面に付着した汚染物質を磨耗・剥離するものであり、
具体的な構成例としては、図1に示すように、
洗浄装置の本体1の一端に設けられた導入口1Aから水と共に汚染された砂礫を導入し、導入した砂礫を含む水に本体通水路1B内で旋回流を付与し、本体の他端に設けられた吐出口1Cから前記水及び砂礫を吐出する構成であって、
前記導入口1Aと吐出口1Cとの間の本体通水路1Bの上流側部分に、水及び砂礫の流れを旋回させる旋回水路1Dとなる旋回流発生部材2を有し、下流側部分に水及び砂礫の旋回流を加速する旋回流加速室1Eと、を有し、
前記旋回水路の旋回流発生部材2が、通水方向に対して螺旋状に旋回する少なくとも一条の螺旋状溝又は少なくとも一つの螺旋状孔(本実施例では3条の螺旋状溝21・21・21。図7参照。)から形成され、
前記旋回流加速室1Eが、前記吐出口1Cに向かって本体通水路1Bの通水方向に直交する方向での断面径が絞り込まれるように形成された構成であり、
汚染された砂礫を水と共にポンプ手段を用いて前記洗浄装置に送って前記砂礫の表面を磨耗・剥離して洗浄する構成であることを主構成とする。
【0045】
以下、本発明の洗浄装置の各構成について更に詳説する。
【0046】
洗浄装置本体1の導入口2には、原水貯溜槽(図示せず)内の水及び砂礫を洗浄装置本体1に送水する水中ポンプ等のポンプ手段(図示せず)からの配管が接続される。
【0047】
本発明の特に好ましい構成例は、前記本体通水路1B内において、前記水及び砂礫が接触する部分である前記旋回流加速室1Eの内壁部分を含む前記本体通水路1Bの内壁部分と前記旋回水路1Dと成る旋回流発生部材2とが着脱交換可能であることである。
【0048】
前記本体通水路1Bの内壁部分及び前記旋回流加速室1Eを構成する部分の各々を着脱交換可能にする構成としては、例えば図2及び図3に示すように、洗浄装置の本体1内に着脱可能に挿通した複数本(本実施例では3本)の円筒管3(3A・3B・3C)から成る構成を挙げることができる。
【0049】
特に、本体通水路1Bの内壁部分となる円筒管3である通水路円筒管3Aの内側に、該前記旋回流加速室1Eを構成する円筒管3である加速室円筒管3B・3Cを入れ子状の重層状態に複数本(本実施例では2本)挿通す構成とし、しかも該複数本(2本)の加速室円筒管3B・3Cを、前記吐出口1Cに向かって段々と短い長さのものを用いることにより前記旋回流加速室1Eの断面径が絞り込まれるように形成される構成とする。この加速室円筒管3B・3C各々の導入口1A側の端部が本体通水路1B内において段差となるので、この段差により旋回流加速室1Eの断面径が絞り込まれる形状と成り、この部分を流れる水及び砂礫による旋回流は吐出口1Cに向かって効果的に加速されることになる。
【0050】
入れ子状の重層状態に挿通した複数本の円筒管3の本体1への固定は、通水方向の後端部分を吐出口板状体4(詳細は後述)によって当接させ、この吐出口板状体4を本体1に固定することにより、間接的に固定される構成であることが好ましい。かかる構成によれば、吐出口板状体4を取り外すことにより、複数本の円筒管3を単に引き抜くだけで着脱交換が可能となるためメンテナンス性が極めて良好となる。特に、磨耗損傷による交換時には、複数本の円筒管3のみならず、この吐出口板状体4についても交換或いは位置調整(位置調整については後述)が必要となるため、メンテナンス効率が良好である。
【0051】
上記構成を有する複数本の円筒管3(3A・3B・3C)の導入口1A側の端部に、前記旋回水路1Dとなる旋回流発生部材2が配設される(図1図4及び図6参照)。
【0052】
該旋回流発生部材2は、通水方向に対して螺旋状に旋回する少なくとも一条の螺旋状溝、又は少なくとも一つの螺旋状孔を有する構成であり、前述したように図5図7に示す本実施例では3条の螺旋状溝21・21・21が形成されている。
【0053】
図6に示すように前記導入口1Aから導入される水及び砂礫は、旋回水路1D部分の構成部材である旋回流発生部材2の3条の螺旋状溝21・21・21からなる旋回水路1D内に進入することで水及び砂礫の流れが図7に示すように3つの旋回流へと変換される。該旋回流発生部材2についても前述したように着脱交換可能な構成であることが好ましい。尚、本実施例では、図5に示すように旋回流発生部材2を4つの分割された部材を通水方向に重層させてボルト22・ナット23で螺合固定する構成となっている。従って、この構成によれば、この4つの部材のいずれかのみの磨耗損傷による交換も可能である。
【0054】
円筒管3(3A・3B・3C)及び旋回流発生部材2は、前述したように水及び砂礫が接触する部分であるために砂礫の通過による磨耗損傷は避けられない。しかし本発明によれば、これらの部材を着脱交換可能な構成にすれば、所望の洗浄効果が得られない状態まで磨耗損傷が進行する前に交換を行うことができ、この交換によって、初期の洗浄性能を回復させることができる。
【0055】
更に、この交換可能な部材を耐摩耗性材料で形成すれば、磨耗損傷を抑制することができるので、交換時期を延ばすことができる。耐摩耗性材料としては、公知公用の耐摩耗性金属、耐摩耗性合成樹脂、或いは耐摩耗性セラミックス等を挙げることができ、具体例としては、ステンレス、鋼、チタン、クロムモリブデン、或いはチタンとクロムモリブデンの複合材料等を挙げることができるが、耐摩耗性・入手容易性・加工性・コスト等の総合的観点から鋼を用いることが特に好ましい。
【0056】
特に、上記説明したように、水及び砂礫と接触する部分を着脱交換可能とすることにより、その他の部分(例えば、本体等)の材質について磨耗損傷を特に考慮する必要がなくなるため、その他の部分を形成する材料選定の自由度が高くなり、低コスト且つ容易に入手可能であり管材料として至極一般的な塩ビ管等を用いることができるようになることから、この部分においてコストダウンを図ることができる。
【0057】
次に、本発明の洗浄装置は、水及び砂礫の中に気体(乃至はマイクロバブル)を混合させて吐出させる構成とすることもできる。
【0058】
水及び砂礫の中に気体を混合させる構成としては、例えば、
(1)前記導入口1Aと吐出口1Cとの間の本体通水路1Bに、水及び砂礫中に気体を導入する気体導入管を設けることにより、本体通水路1Bを通る水及び砂礫の旋回流の中に気体を導入し、水と砂礫の混合水の旋回によって発生する遠心力によって、軽い気体は本体通水路1Bから吐出口1Cに続く中心軸に集められ気柱となり、吐出口1Cで旋回しつつ液相中に開放される構成、
(2)予め気体を加圧して直接導入口1Aに直接導入する構成、
(3)予めマイクロバブルを混合した前記水及び砂礫を前記導入口1Aから導入する構成、
を挙げることができる。
【0059】
上記(1)の構成としては、例えば、特許4019154号に記載のマイクロバブル発生装置と同様の構成を有する空気導入管を本発明の洗浄装置に設けた構成を挙げることができ、
上記(2)の構成としては、例えば、コンプレッサー等により加圧された気体を本発明の洗浄装置に導入する構成を挙げることができ、
上記(3)の構成としては、例えば、水及び砂礫を含む汚染土壌の貯留槽乃至は処理槽内にマイクロバブル発生装置を配設することにより、前記槽内でマイクロバブルを発生させ、発生したマイクロバブルが水及び砂礫内に混合した状態で該水及び砂礫を本発明の洗浄装置に導入する構成、或いは、砂礫を貯留する貯留槽乃至は処理槽内に、例えば、公知のマイクロバブル発生装置によってマイクロバブル混合水を導水し、導水されたマイクロバブル混合水と砂礫とを本発明の洗浄装置に導入する構成、
を挙げることができる。
【0060】
上記(1)の構成によれば、旋回流の中に導入した気体が旋回を伴って砂礫や水共々吐出口から吐出する際に現れるマイクロバブル発生現象が、強い磨耗・破砕効果を生み出し、砂礫の表面の磨耗・剥離効率が向上し、より均質且つ高効率な洗浄が可能となり、
上記(2)の構成によれば、本体通水路1Bで発生する遠心力旋回磨耗と、吐出口1Cで発生する高速旋回マイクロバブル渦崩壊磨耗の二段階を経て磨耗・剥離が行われることにより、砂礫の表面の磨耗・剥離効果が高く、より均質な洗浄が可能となり、
上記(3)の構成によれば、砂礫と水とマイクロバブルが混合した状態で磨耗・剥離が行われることにより、砂礫の表面の磨耗・剥離効果が高く、より均質な洗浄が可能となる。
【0061】
次に、本体1他端の吐出口1Cについて詳説する。
吐出口1Cを有する本体1の他端は、その中心に吐出口1Cの開口と成る間隙部分を残した状態で且つその中心から放射状に配設固定した少なくとも3枚(本実施例では8枚)の吐出口板状体4・4・4・・・によって閉塞された構成になっており、この吐出口板状体4・4・4・・・の各々が、配設固定を解除して前記中心方向に向かって移動させることが可能であると共に着脱交換可能な構成になっている。
即ち、少なくとも3枚(本実施例では8枚)の吐出口板状体4・4・4・・・の前記中心側の一端面の両端辺を各々隣接する端辺同士が当接することによって前記少なくとも3枚(本実施例では8枚)の吐出口板状体4・4・4・・・の各一端面同士による連なりが多角形(本実施例では8角形)の透孔を構成することになり、この透孔が吐出口1Cの開口となる構成である。
【0062】
各吐出口板状体4の本体1への固定方法としては、例えば、図1及び図2に示すように、本体1に設けられた吐出口固定部11A・11B・11Cの各部に長尺螺子棒12を挿通した後、該長尺螺子棒12にナット13を螺合する構成を挙げることができる。
【0063】
以上の吐出口1Cに配設された吐出口板状体4・4・4・・・の各々は、吐出口1Cの開口と成る間隙部分を水及び砂礫が吐出の際に接触して通過する部分であるために砂礫の通過による磨耗損傷は避けられない。この部分の磨耗損傷が進むことにより、前記間隙部分が拡開して規定値以上の間隙となった場合や、前記した隣接する端辺同士が当接しない位置まで磨耗した場合には、吐出口板状体4・4・4・・・の固定を解除して前記中心方向(図8の矢符X参照)に向かって磨耗した長さ分だけ移動させる。この移動により吐出口1Cの開口径を初期値に戻すことができる。
【0064】
尚、吐出口板状体4・4・4・・・の移動の際、前記した開口となる間隙部分の直径を規定値となるように正確且つ迅速に位置調整するには、間隙部分の開口内に前記規定値の直径を有する丸棒(例えば、塩ビ管等)を挿通し、この丸棒の外周面に吐出口板状体4・4・4・・・の各一端面を当接させる方法を挙げることができる。
【0065】
この吐出口板状体4・4・4・・・の移動による吐出口1Cの開口径の初期化は、吐出口板状体4・4・4・・・が固定可能な長さを有する限り多数回可能であり、固定不可能な長さにまで磨耗した場合には、新たな吐出口板状体4・4・4・・・と交換することにより、改めて初期値に戻すことが可能となる。
この吐出口板状体4・4・4・・・を取り外すことにより、本体1内に挿通されている複数本の円筒管3の着脱交換、或いは磨耗損傷程度の確認を行うことができる。
【0066】
本発明の洗浄装置は、更に吐出口1Cの外側周囲に、該吐出口1C側から外側に向かって段々と直径が大となる同心円状の孔部51A・51B・51C・51Dを有する複数枚(本実施例では4枚(図9及び図10参照))の渦崩壊板状体5A・5B・5C・5Dが積層状態で着脱交換可能に配設固定されることにより、前記吐出口1Cから同心円状に段々と拡開する複数段の段差を設けてなる渦崩壊促進面部1Fが形成された構成を付加することが好ましい。
【0067】
複数枚の渦崩壊板状体5A・5B・5C・5Dは、同様の同心円状の孔部61Aを有する渦崩壊促進面部固定板6によって吐出方向後方側から洗浄装置の吐出口1C部分に固定されている(図1及び図2参照)。渦崩壊促進面部固定板6は、吐出口固定部に挿通した長尺螺子棒12に挿通されてナット13により本体1に固定される。渦崩壊促進面部1Fを構成する渦崩壊板状体5A・5B・5C・5D並びに渦崩壊促進面部固定板6が、水及び砂礫の吐出に伴う接触によって磨耗損傷した際には、前述した円筒管3や吐出口板状体4・4・4・・・と同様に着脱交換することができる。この渦崩壊促進面部1Fの着脱交換により、初期の渦崩壊能を得ることができる。
【0068】
以上の渦崩壊促進面部1Fを付加した構成によれば、吐出口1Cから吐出された水及び砂礫の旋回流が該渦崩壊促進面部1Fに接触することでにより前記旋回流に渦崩壊効果が加わることによって、均質な洗浄効果がより高まることになる。
【0069】
以上説明した本発明に係る汚染土壌粒子の洗浄装置を用い、汚染された砂礫を水と共にポンプ手段を用いて前記洗浄装置に送り、旋回流によって生じる遠心力と衝突による砂礫の通水路内での摩擦移動によって前記砂礫の表面を磨耗・剥離して洗浄することにより、洗浄される砂礫は、その殆ど乃至は全てが水の中に分散した状態で洗浄装置の通水路内を同等の条件で通過することになるので、砂礫の表面の磨耗・剥離が均質に行われることになる。従って、均質な洗浄済みの砂礫を得ることができる。
また、洗浄される砂礫は、水と共に洗浄装置の通水路内を通過させるだけで表面の磨耗・剥離を行うことができるので、極めて効果的に且つ極めて短時間に洗浄を行うことができる。
更に、動的な可動部を持たない極めて簡易な構成の静止型の装置であることから磨耗損傷する部分が限定されるため、磨耗損傷した場合にはその部分を交換することにより改めて使用することができるので、メンテナンス性が良好であり装置寿命の長い装置とすることが可能である。
【0070】
本発明の洗浄装置を用いた洗浄方法では、更に水及び砂礫を前記洗浄装置に複数回通過させることにより複数回の洗浄を行うことが極めて容易であり、この複数回の洗浄によって、より効果の高い洗浄が可能となる。
【0071】
図11に、洗浄回数を0回(洗浄無しの状態)、並びに本発明の洗浄装置を用いて1回〜5回の洗浄を行った場合の参考試験結果を示す。
当該参考試験では、一度きれいに砂を洗浄した後、この砂を本発明の洗浄装置を用いて1〜5回連続して洗浄し、その洗浄回数毎の砂分を除いた濁水の増加する濁度と含まれる粘土分の増加重量を測り、洗浄回数の違いにより、磨耗・粉砕により砂分から取り除かれた粘土分を観察した。
図11に示すグラフからは、3回の洗浄を行うことにより、この種の汚染土壌粒子の洗浄に一般的に用いられる濁度計の計測限界値の上限値付近までの洗浄を行うことができることが判る。尚、当該参考試験において、濁度が上がり、SS(浮遊物質)量が多くなるということは、そこに付着している汚染物質よりも多くの砂の表面部分を取り除いていることを示す。
【0072】
この複数回の洗浄は、1台の洗浄装置を用いて複数回繰り返し洗浄する構成でもよいし、複数台の洗浄装置を用いて洗浄する構成とすることもできる。
【0073】
複数台の洗浄装置を用いる構成の場合、上流側に配置した洗浄装置の吐出口に下流側の洗浄装置の導入口を直接的に接続することにより複数回の洗浄を行う構成とすることもできるし、複数台の洗浄装置を接続管を介して接続することにより複数回の洗浄を行う構成とすることもできるし、或いは、複数台の洗浄装置同士の間に中間槽を配設し、この中間槽に一旦吐出した後、この中間槽から次の洗浄装置に送り込むことにより複数回の洗浄を行う構成とすることもできる。尚、複数台の洗浄装置の接続は直列方向に並べた状態での接続が好ましい。尚また、直列方向の接続は、実質的に直列であればよく、配設場所の状況等に応じて一直線上からズレた直列状を含むものである。
【0074】
複数回の洗浄を行う場合の洗浄回数は、事前に行う繰り返し洗浄試験結果から目標とする汚染物質の濃度低下目標に見合う洗浄回数を任意に設定することができる。
【0075】
また、複数台の洗浄装置を用いて複数回の洗浄を行う場合の配設台数は、事前に行う洗浄装置1台による繰り返し洗浄試験結果から目標とする汚染物質の濃度低下目標に見合う洗浄装置台数を任意に設定することができる。尚、複数台の洗浄装置による複数回の洗浄は、汚染濃度低減目標を見据えた、より効果の高い洗浄が低コストで可能となる。
【符号の説明】
【0076】
1 洗浄装置の本体
1A 導入口
1B 本体通水路
1C 吐出口
1D 旋回水路
1E 旋回流加速室
1F 渦崩壊促進面部
11A・11B・11C 吐出口固定部
12 長尺螺子棒
13 ナット
2 旋回流発生部材
21 螺旋状溝
22 ボルト
23 ナット
3 円筒管
3A 通水路円筒管
3B 加速室円筒管
3C 加速室円筒管
4 吐出口板状体
5A・5B・5C・5D 渦崩壊板状体
51A・51B・51C・51D 孔部
6 渦崩壊促進面部固定板
61A 孔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11