特許第6092210号(P6092210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092210
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】並行縦続循環ガス膨張機
(51)【国際特許分類】
   F01D 25/24 20060101AFI20170227BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20170227BHJP
   F02C 6/00 20060101ALI20170227BHJP
   F01K 25/10 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   F01D25/24 D
   F02C7/00 E
   F02C6/00 B
   F01K25/10 E
【請求項の数】14
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-525048(P2014-525048)
(86)(22)【出願日】2012年7月31日
(65)【公表番号】特表2014-521880(P2014-521880A)
(43)【公表日】2014年8月28日
(86)【国際出願番号】US2012048928
(87)【国際公開番号】WO2013025341
(87)【国際公開日】20130221
【審査請求日】2015年7月23日
(31)【優先権主張番号】61/523,040
(32)【優先日】2011年8月12日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/562,411
(32)【優先日】2012年7月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594077596
【氏名又は名称】ドレッサー ランド カンパニー
【氏名又は名称原語表記】DRESSER−RAND COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】マイアー,ウィリアム シー.
【審査官】 山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】 西独国特許出願公告第01032033(DE,B)
【文献】 西独国特許出願公告第01002570(DE,B)
【文献】 米国特許第02526281(US,A)
【文献】 特公昭29−004853(JP,B1)
【文献】 英国特許出願公告第00473714(GB,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0252077(US,A1)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部で回転可能に配置された膨張機ロータを有する膨張機ケーシングと、
第1の温度で、作業流体の第1の流れを受け入れる前記膨張機ケーシングへの第1の入口と、
前記第1の温度よりも低い第2の温度で前記作業流体の第2の流れを受け入れる前記膨張機ケーシングへの第2の入口と、
軸方向に回転翼が続く非回転固定羽根を各々含有し前記膨張機ロータに沿って軸方向に配置された1または2以上の膨張ステージと、
前記1または2以上の膨張ステージに沿って軸方向に延びて、前記1または2以上の膨張ステージを外側膨張機流路と内側膨張機流路に分離する一連のフローストリーム分割部材と、
前記第1の入口および前記外側膨張機流路の双方と流体的に連結して前記外側膨張機流路が前記作業流体の前記第1の流れを受け入れる外側入口マニホルドと、
前記第2の入口および前記内側膨張機流路の双方と流体的に連結して前記内側膨張機流路が前記作業流体の前記第2の流れを受け入れる内側入口マニホルドとを有し、前記外側膨張機流路は前記内側膨張機流路から半径方向に変位しているとともに、
前記内側入口マニホルドは入れ子構造で前記外側入口マニホルド内に同軸に設けられ、前記内側入口マニホルドは前記第2の入口を、前記外側入口マニホルドを通して延びる管状セグメントを通して前記内側膨張機流路と流体的に連結させ、
前記外側膨張機流路と流体的に連結して前記作業流体の前記第1の流れを膨張装置から排出する第1の出口と、
前記内側膨張機流路と流体的に連結して前記作業流体の前記第2の流れを前記膨張装置から排出する第2の出口とをさらに有する膨張装置。
【請求項2】
前記第1および第2の流れは実質的に同一の圧力を有する請求項1に記載の膨張装置。
【請求項3】
前記作業流体は、二酸化炭素を有する請求項1に記載の膨張装置。
【請求項4】
各回転翼は前記膨張機ロータと連結したディスク状回転盤の外径の領域に設けられた請求項1に記載の膨張装置。
【請求項5】
前記一連のフローストリーム分割部材は、各固定羽根に重ねられた羽根分割部材および各回転翼に重ねられた翼分割部材を含有し、対応する翼分割部材が各羽根分割部材に対して軸方向にかつそれに接して続いている請求項1に記載の膨張装置。
【請求項6】
第1の温度にある作業流体の第1の流れを第1の入口およびそれと流体的に連結する外側入口マニホルドを通して膨張装置に導入し、
前記第1の温度よりも低い第2の温度にある前記作業流体の第2の流れを第2の入口およびそれと流体的に連結する内側入口マニホルドを通して前記膨張装置に導入し、
前記膨張装置の1または2以上の膨張ステージに沿って軸方向に定められ前記外側入口マニホルドと流体的に連結した外側膨張機流路に前記第1の流れを向かわせ、
前記1または2以上の膨張ステージに沿って軸方向に定められ前記内側入口マニホルドと流体的に連結した内側膨張機流路に前記第2の流れを向かわせ、
前記第1および第2の流れを前記1または2以上の膨張ステージを横切って膨張させ、かつ
前記第1および第2の流れを第1および第2の出口を通して前記膨張装置から各々排出することを有するととともに、
前記内側および外側の膨張機流路は、熱的にかつ密封して前記内側膨張機流路を前記外側膨張機流路から隔離するように形成された一連のフローストリーム分割部材によって半径方向に分離され、
前記内側入口マニホルドは、入れ子構造で前記外側入口マニホルド内に同軸に設けられ、
前記内側入口マニホルドは、前記第2の入口を、前記外側入口マニホルドを通して延びる管状セグメントを通して前記内側膨張機流路と流体的に連結した作業流体の膨張方法。
【請求項7】
1または2以上の膨張ステージで膨張する前記第1および第2の流れに応じて膨張機ロータを回転させ、
前記膨張機ロータと連結した発電機ロータを駆動し、かつ
前記発電機で電気を発生させることをさらに有し、
前記発電機ロータは回転のために発電機を支持するように形成された請求項に記載の方法。
【請求項8】
実質的に同一の圧力で、前記第1および第2の流れを前記膨張装置に導入することをさらに有する請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記作業流体は二酸化炭素を有する請求項に記載の方法。
【請求項10】
回転のために内部に配置された膨張機ロータを有する第1のケーシング内に密封された膨張装置と、
前記第1のケーシングと連結した第2のケーシング内に密封された被駆動機構とを有し、
前記膨張装置は、前記膨張機ロータに沿って軸方向に配置されかつ一連のフローストリーム分割部材によって外側膨張機流路および内側膨張機流路に半径方向に分離された1または2以上の膨張ステージ、
前記外側膨張機流路に流体的に連結され第1の温度での作業流体の第1の流れを前記外側膨張機流路に向かわせる第1の入口、
前記内側膨張機流路に流体的に連結され前記第1の温度よりも低い第2の温度での前記作業流体の第2の流れを前記内側膨張機流路に向かわせる第2の入口、
前記第1の入口を前記外側膨張機流路と流体的に連結する外側入口マニホルド
前記第2の入口を前記内側膨張機流路と流体的に連結する内側入口マニホルド
前記外側膨張機流路と流体的に連結して前記作業流体の前記第1の流れを前記膨張装置から排出する第1の出口、および
前記内側膨張機流路と流体的に連結して前記作業流体の前記第2の流れを前記膨張装置から排出する第2の出口を有し、
前記内側入口マニホルドは入れ子構造で前記外側入口マニホルド内に同軸に設けられ、かつ、該内側入口マニホルドは、前記第2の入口を、前記外側入口マニホルドを通して延びる管状セグメントを通して前記内側膨張機流路と流体的に連結し、
前記第2のケーシングは、回転のために内部に配置された被駆動機構ロータを有して前記膨張機ロータに連結した回転機構。
【請求項11】
前記作業流体は二酸化炭素を有する請求項10に記載の回転機構。
【請求項12】
前記被駆動機構は電気発生器を有する請求項10に記載の回転機構。
【請求項13】
前記第1および第2のケーシングは、内部に前記膨張装置および前記被駆動機構を密封する単一のハウジング構造を形成する請求項10に記載の回転機構。
【請求項14】
前記一連のフローストリーム分割部材は対応する固定羽根に重ねられた1または2以上の羽根分割部材および対応する回転翼に重ねられた1または2以上の翼分割部材を有し、各羽根分割部材は、軸方向であってかつそれに接するように対応する翼分割部材が続き、前記外側膨張機流路から前記内側膨張機流路を熱的にかつ密封して隔離する請求項11に記載の回転機構。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本願は、2011年8月12日に出願された米国仮特許出願第61/523,040号に対し優先権を主張し、2012年7月31日に出願された米国特許出願第13/562,411号に対し優先権を主張する。これらの優先権の基礎出願は、これをもって、本出願と矛盾しない限度において参照によって全体として本出願に含まれる。
【0002】
熱機関は熱または熱エネルギーを有用な機械的仕事に変換するために使用されたり動力発生プラントに使用されることが良くある。一部の熱機関の一例は膨張機・発電機システムであって、共通軸を介して発電機または他の動力発生装置と回転可能に連結した膨張機(例えば、タービン)を概ね有する。前記膨張機内で前記作業流体が膨張するので、前記軸は、回転動作を強いられ、前記発電機の前記巻線内に電子流を励起し、電力の流れが続く。それから前記電力が有用な仕事として利用されかつ使用されることになる。
【0003】
大部分の動力プラントの膨張機・発電機はランキンサイクルに基づいて石炭、天然ガス、石油および/または核燃料の燃焼を通して、高い温度/圧力の作業流体を得る。ランキンサイクルに対する典型的な作業流体は水(蒸気)およびある種の炭化水素(有機性)流体を含有する。しかしながら、最近、ハードウェアのコンパクト性、効率性および熱伝導性という知覚できる利益のために、ある種の膨張機・発電機のための作業流体として、超臨界二酸化炭素(ScCO2)を使用することに非常な関心がある。そのような応用の中で注目に値するのは核、太陽、および廃熱のエネルギー変換サイクルである。
【0004】
ScCO2は、作業用流体としていくつかの顕著な利益を有しているけれども、その小さな比熱比は、廃熱回収サイクルでのその使用を疑わしくする。前記小さな比熱の値は、典型的な熱サイクルの圧力/膨張処理を通して前記ScCO2での小さな温度降下に帰着する。この比較的小さな温度降下は、単純なランキン(およびブライトン)サイクルで可能な廃熱エネルギーの回収量を、特に高い初期のガス温度の廃熱流への利用に対して、制限することになる。
【0005】
この問題に対する1つの解決法は、多段の、別個の、縦接続された熱サイクルであって、種々の熱導入温度で作動するものを使用して広い範囲の廃熱流の温度を取り扱うことである。しかしながら、この解決法は、実質的に同一の圧力比であるが異なる温度で作動する2または3以上の別個のガス膨張機を必要とする。複数のガス膨張機の使用は、装置の多数の部品が潜在的に故障しまたは問題を引き起こすかもしれないので、運転コストおよび資本コストを増加させかつシステムの信頼性を低下させる。
【0006】
したがって、必要なことは、2または3以上の膨張工程を、そのような縦接続されたサイクルの利用にとって適切な単一でコンパクトで効率的なターボ機構に組み合わせる実際的な取り組みである。
【発明の概要】
【0007】
本開示の実施の形態は、膨張装置を提供することがある。前記膨張装置は、内部に回転可能に配置された膨張機のロータを有する膨張機ケーシングと、第1の温度での作業流体の第1の流れを受け入れるための前記膨張機ケーシングへの第1の入口と、前記第1の温度よりも低い第2の温度での前記作業流体の第2の流れを受け入れるための前記膨張機ケーシングへの第2の入口とを含有することがある。前記膨張装置は、前記膨張機のロータに沿って軸方向に配置された1または2以上の膨張ステージ、および、前記1または2以上の膨張ステージに沿って軸方向に延びて前記1または2以上の膨張ステージを外側膨張機流路および内側膨張機流路に分離する一連のフローストリーム分割部材を含有することもあり、前記各膨張ステージは、回転翼が軸方向に続いている回転不能な固定羽根を有し、前記外側膨張機流路は前記内側膨張機流路から半径方向に変位している。前記膨張装置は、前記第1の入口および前記外側膨張機流路の双方と流体的に連結して前記外側膨張機流路が前記作業流体の前記第1の流れを受け入れる外側入口マニホルドと、前記第2の入口および前記内側膨張機流路の双方と流体的に連結して前記内側膨張機流路が前記作業流体の前記第2の流れを受け入れる内側入口マニホルドとをさらに有することがある。
【0008】
本開示の実施の形態は、作業流体を膨張させる方法をさらに提供することがある。該方法は、第1の温度にある作業流体の第1の流れを第1の入口を通って膨張装置に導入し、かつ、前記第1の温度よりも低い第2の温度にある前記作業流体の第2の流れを第2の入口を通って前記膨張装置に導入することを含有することがある。前記方法は、前記膨張装置の1または2以上の膨張ステージに軸方向に沿って定められた外側膨張機流路に前記第1の流れを向かわせること、および前記第2の流れを前記1または2以上の膨張ステージに軸方向に沿って定められた内側膨張機流路に向かわせることを含有することもあり、前記内側および外側膨張機流路は前記内側膨張機流路を前記外側膨張機流路から熱的にかつ密封されて隔離するように形成された一連のフローストリーム分割部材によって半径方向に分離されている。前記方法は、さらに、前記1または2以上の膨張ステージを横切って前記第1および第2の流れを膨張させ、かつ前記第1および第2の出口を通って前記膨張装置から前記第1および第2の流れをそれぞれ排出することをさらに含有することがある。
【0009】
本開示の実施の形態は、さらに回転機構を備えることがある。前記回転機構は、回転のために内部に配置された膨張機ロータを有する第1のケーシング内に密封された膨張装置を含有することがある。前記膨張装置は、前記膨張機ロータの軸方向に沿って配置され、一連のフローストリーム分割部材によって内側膨張機流路と外側膨張機流路とに半径方向に分割された1または2以上の膨張ステージと、前記外側膨張機流路と流体的に連結して第1の温度で作業流体の第1の流れを前記外側膨張機流路に向かわせる第1の入口と、前記内側膨張機流路と流体的に連結して前記第1の温度よりも低い第2の温度で前記作業流体の第2の流れを前記内側膨張機流路に向かわせる第2の入口とを有することがある。前記回転機構も前記第1のケーシングと連結した第2のケーシング内に密封された被駆動機構を有することもあり、前記第2のケーシングは、回転のために内部に配置されかつ前記膨張機ロータと連結した被駆動機構を有している。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示は、添付図面とともに読む場合には、次の詳細な説明から最も良く理解される。工業上の通常の運用に従って、種々の構成要素は同一の縮尺で描かれていない。実際、前記種々の構成要素の寸法は、明瞭な説明のために任意に拡大されまたは縮小されることがある。
【0011】
図1】は、開示された1または2以上の例示的な実施の形態に係る回転機構を示す。
【0012】
図2】は、図1の前記例示的な回転機構の部分断面図を示す。
【0013】
図3】は、図1の前記例示的な回転機構の一部の断面図を示す。
【0014】
図4】は、開示された1または2以上の例示的な実施の形態に係る作業流体を膨張させる方法の流れ図である。
【発明の詳細な説明】
【0015】
下記の開示は、本発明の種々の構成要素、構造または機能を実施するためのいくつかの例示的な実施の形態を記述していることが理解されるべきである。構成部分、配列および形状の例示的な実施の形態が下記に説明されて本開示を簡単化している。しかしながら、これらの例示的な実施の形態は、単に、実施例として提供されるものであって、本発明の前記範囲を制限する意図はない。加えて、本開示は、種々の例示的な実施の形態においておよびここに提供された図面に渡って、参照符号および/または文字を繰り返すことがある。この繰り返しは、簡単化および明瞭化の目的のためであって、それ自体が前記種々の例示的な実施の形態および/または前記種々の図面で考察された構成の間の関係を規定するものではない。さらに、下記の説明内での第2の構成要素に接してまたは第2の構成要素上方での第1の構成要素の前記形成は、前記第1および第2の構成要素が、直接の接触で形成される実施の形態を含有することがあり、かつ、追加の構成要素が、前記第1および第2の構成要素の間に挿入されるように形成され、それによって、前記第1および第2の構成要素が直接的な接触状態にないこともある実施の形態を含有することもある。最後に、下記に提示される前記例示的な実施の形態は、任意の結合方法で結合されることがある。すなわち、1の例示的な実施の形態からの任意の要素が、本開示の範囲を逸脱することなく任意の他の例示的な実施の形態において使用されることがある。
【0016】
加えて、ある種の語句が下記の説明および特許請求の範囲を通して使用されて特定の構成部分を言及している。いわゆる当業者が認めるように、種々の団体が、異なる名称によって同一の構成部分を言及することがあり、そうであるので、ここに記載された前記要素に対する命名の伝統的手法は、ここでそうでないように特に規定しない限りは、本発明の範囲を制限する意図はない。さらに、ここで用いられた前記命名の伝統的手法は、名称において異なるが機能において異ならない構成部分間を識別する意図はない。加えて、下記の考察および特許請求の範囲において、前記語句「含有すること」および「有すること」は、開放型様式で使用され、したがって、「(それ)を有するが、(それ)に限定されない」ことを意味するように解釈すべきである。本開示での全ての数値は、もしそうでないと特に記述しない限りは、厳密または近似的な値である可能性がある。したがって、本開示の種々の実施の形態は、前記意図した範囲から逸脱することなく、ここに開示された前記数値、値および範囲から外れることがある。さらに、前記特許請求の範囲または明細書で使用されているように、前記語句「または」は、排他的および包括的な場合の両方を含有するように意図している。すなわち、「AまたはB」は、そうでないようにここに明示していない限りは、「AおよびBの内の少なくとも1つ」と同義語であることを意図している。
【0017】
図1は、記載された1または2以上の例示的な実施の形態に係る例示的な回転機構100を示す。1の例示的な実施の形態では、前記回転機構100は、発電機のような被駆動機構104に密接に連結された膨張装置102を有する膨張機―発電機のことがある。他の例示的な実施の形態では、前記発電機104は、ポンプ、水車またはコンプレッサのようなものであるがそれに限定されない他の被駆動装置で置き換えられることもある。前記膨張装置102および発電機104は、各々ハウジング106内に配置されかつ密封されることがある。1の例示的な実施の形態では、前記ハウジング106は、分割されて前記膨張装置102を封入するための膨張機ケーシング108aと、被駆動機構ケーシング108bまたは発電機104を封入するための発電機ケーシングを含有することがある。
【0018】
前記膨張機ケーシング108aは一連の螺設されたボルト112のような機械的結合部材を用いて前記発電機ケーシング108bに機械的に取り付けられることがある。他の例示的な実施の形態では、前記ハウジング106は、前記膨張機ケーシング108aと前記発電機ケーシング108bの双方の範囲を画定しまたは代わりに囲みかつ前記膨張装置102および前記発電機104の双方をその中に封入する共通の一体的に形成されたハウジングのことがある。
【0019】
例示されたように、前記膨張装置102は前記発電機104に関して張り出した位置に配置されているが、前記膨張装置102は、本開示の範囲を逸脱することなく、任意の随伴する軸受の内部に置かれることもあることが承認されることになる。1の例示的な実施の形態では、前記膨張装置102は、軸流膨張機またはタービンのことがある。例えば、以下により詳細に記述されることになるように、前記膨張装置102は、軸方向の平行流膨張機のことがある。しかしながら、他の例示的な実施の形態では、前記膨張装置102は、半径流膨張機のことがある。
【0020】
前記膨張装置102は、第1の入口110aおよび第2の入口110bを有して膨張されるべき作業流体を受け入れることがある。例示されているように、前記第2の入口110bは、前記第1の入口110aから前記膨張機ケーシング108の周りに周方向に変位していることがある。1の例示的な実施の形態では、前記入口110a,110bは約180度の差で相互に周方向に変位していることがある。しかしながら、他の例示的な実施の形態では、前記入口110a,110bは、本開示の前記範囲から逸脱することなく、180度前後周方向に変位していることがある。前記第1の入口110aは、第1のまたは高温の作業流体流を受け入れるように形成されることがあり、前記第2の入口110bは、第2のまたは低温の作業流体流を受け入れるように形成されることがある。ご察しのように、前記第1の作業流体は、前記第2の作業流体の温度を概ね越える温度を表すことがある。前記第1および第2の作業流体の前記温度は、相違することがあるけれども、作業流体の各流れの前記各圧力は実質的に同一のことがある。
【0021】
前記語句「作業流体」は前記作業流体の前記状態または相を制限する意図はない。むしろ、前記作業流体は、臨界未満の乾性ガス相、臨界未満の飽和ガス相、または超臨界ガス流体またはそれらの組み合わせのことがある。1の例示的な実施の形態にあっては、前記作業流体は水(例えば、水蒸気)のことがある。他の例示的な実施の形態にあっては、前記作業流体は超臨界二酸化炭素(ScCO2)のような二酸化炭素(CO2)のことがある。二酸化炭素は、温室効果に優しい中性の作業流体であって、無毒性、不燃性、容易入手可能性、低価格、および再利用不要性のような利益を提供する。前記語句「二酸化炭素」は、任意の特定の型、純度または品質をもつCO2に限定される意図はない。例えば、少なくとも1の例示的な実施の形態では、工業用品質のCO2が用いられることがある。
【0022】
他の例示的な実施の形態では、前記作業流体は、2成分、3成分または他の組み合わせの作業流体の混合物であることがある。前記作業流体の組み合わせは、熱回収システム内で前記流体の組み合わせの前記特定の成分が所有する前記特有の属性を得るために選択されることになる。そのような流体の組み合わせの1つは液体吸収剤およびCO2を含有する。他の適切な作業流体の組み合わせはCO2および1または2以上の他の混和性のある流体または化学成分の混合物のことがある。さらに他の例示的な実施の形態では、前記作業流体は、本開示の範囲から逸脱することなく、CO2とプロパン、またはCO2とアンモニアの組み合わせのことがある。
【0023】
前記第1および第2の作業流体流が、前記膨張装置102内で膨張した後では、前記第1の作業流体流は第1の出口112aを通して排出され、かつ前記第2の作業流体流は第2の出口112bを通して排出される。前記第1および第2の作業流体流の膨張は、前記発電機104の前記内部構成部分(図示せず)を回転運動することを強制させ、それによって、流路114を通って前記発電機から排出されて受入れ用ステーション116に向かわせる動力を発生する。前記受入れ用ステーション116は、変圧器、バスバー、AC−DC変換器、被駆動機構(例えば、モータ)、同一のものの組み合わせ等を含有するがそれらに限定されないことがある。
【0024】
さて、図2において、記述された1または2以上の例示的な実施の形態に係る回転機構100の部分断面図が例示されている。細長い軸202が前記ハウジング106内に回転のために配置され、前記膨張機ケーシング108aおよび前記発電機ケーシング108bの双方にまで延びている。1の例示的な実施の形態では、前記軸202は統合された一体成型のロータのことがある。しかしながら、他の例示的な実施の形態では、前記軸202は分割されて、膨張機ロータ206と連結しまたは代わりに取り付けられた発電機ロータ204を含有することがある。前記例示された典型的な実施の形態では、前記発電機ロータ204は通常前記発電機ケーシング108b内に配置され、前記膨張機ロータ206は通常前記膨張機ケーシング108a内に配置されている。
【0025】
図示していないが、前記発電機ロータ204は、能動または受動の磁性軸受のような1または2以上のラジアル軸受によって各端においてまたはその近くで支持されることがあることが理解されることになる。さらに、1または2以上の軸方向のスラスト軸受も前記発電機ロータ204に配置されて前記膨張装置102内で作業流体を膨張することによって発生する軸方向の推力を緩和することがある。したがって、前記膨張機ロータ206は前記発電機ロータ204の一端と連結され、そこから「突き出して」かつ前記膨張装置102に延びることがある。
【0026】
前記膨張装置102は前記膨張機ロータ206に沿って軸方向に配置された1または2以上の膨張ステージ208を含有することがある。引き続き図2の参照とともに図3を参照すると、3つの軸方向に隣接する膨張ステージ208が例示され、第1の膨張ステージ208a、第2の膨張ステージ208b、および第3の膨張ステージ208cのように示されている。しかしながら、軸方向に配列された膨張ステージ208の任意の個数が、本開示の範囲を逸脱することなく採用されることがあることが理解されることになる。前記例示された典型的な実施の形態は、低い抵抗流路設計法を採用するが、本開示の範囲を逸脱することなく高抵抗型の実施もまた可能であることが理解されることになる。
【0027】
各膨張ステージ208a〜208cは環状の圧力保持固定子212内に設けられた非回転の固定羽根210を有し、前記固定子212は前記膨張機ケーシング108aの一体部分と連結されるかまたはそれを形成するかのどちらかである。各固定羽根210は、円盤状の回転盤216の外径領域に設けられた回転翼214が軸方向に続くことがある。各回転盤216は、順次、前記軸202(例えば、膨張機ロータ206)に設けられまたは代わりにその一体部分を形成する。少なくとも1の例示的な実施の形態では、2以上の回転翼214が、1または2以上の膨張ステージ208a〜208cにおける各固定羽根210に続くことがあり、効率的なエネルギーの採取の要件の原因となる。
【0028】
各膨張ステージ208a〜208cは、2または3以上の平行な作業流体流に半径方向に分割されることがあり、図3に、第1のまたは外側の膨張機流路Aおよび第2のまたは内側の膨張機流路Bとして描かれている。前記平行流路A,Bは、前記第1の膨張ステージ208aから前記第3の膨張ステージ208cまで軸方向に概ね延びる一連のフローストリーム分割部材によって半径方向に分離されることがある。もっと正確にいえば、各膨張ステージ208a〜208cは、翼分割部材220が軸方向に続きかつ概ねそこに接する羽根分割部材218を有することがある。前記羽根分割部材218および翼分割部材220は、概ね薄い環状の構造であって、各固定羽根210および次の回転翼214に各々積み重ねられていることがある。各分割部材218,220は、その対応する固定羽根210または回転翼214と一体的に機械加工されまたは鋳造されることがある。しかしながら、他の実施の形態では、前記分割部材218,220は、別個に形成され、その後にその対応する固定羽根210または回転翼214と、リベット、溶接、ろう付け、またはそれらの組わせ等のような当分野で公知の結合技術によって連結されることがある。
【0029】
前記羽根分割部材218は概ね流れの前記方向に垂直であって、各固定羽根210を各々前記内側流路および外側流路A,Bに相当するような2つの同様な固定羽根セグメントに分割する。同様に、前記翼分割部材220は各回転翼214を2つの概ね同一の回転翼214であって、やはり各々内側流路および外側流路A,Bに相当するものに分割する。しかしながら、固定羽根210および回転翼214の各分割された部分の前記設計パラメータは種々の応用に合致するように相違することがある。例えば、各流路A,Bは、各流路A,Bに相当する前記羽根210および/または翼214の構造における通しの変化を説明することができるフローストリームの連続性における小さな変化を要求することがある。さらに、各流路A,Bの前記半径方向の高さは、調整されかつ膨張される各作業流の前記体積流量に依存することがある。
【0030】
図2に戻り、前記膨張装置102は、さらに、第1のまたは外側の入口マニホルド222a、および第2のまたは内側の入口マニホルド222bを形成することがある。前記入口マニホルド222a,222bは、概ね環状かつ同軸であって、前記内側入口マニホルド222bは、入れ子構造で、前記外側入口マニホルド222a内で同軸状に設けられていることがある。前記外側入口マニホルド222aは流体的に前記第1の入口110aと連結されてそれによって前記第1のまたは高温の作業流体流を受け入れるように形成されることがある。前記内側入口マニホルド222bは、流体的に前記第2の入口110bと連結しそれによって前記第2のまたは低温の作業流体流を受け入れるように形成されることがある。
【0031】
前記内側入口マニホルド222bは流体的に前記第2の入口110bと前記外側マニホルド222aを通って延びまたは代わりにそれを貫通する管状のセグメント224を介して連結することがある。したがって、前記管状のセグメント224は、該分野では知られているように、銃剣移動管のように特徴づけられることがありかつ前記管状のセグメント224が前記外側入口マニホルド222aを貫通する前記場所で1または2以上の環状の封止材226を含有することがある。前記環状の封止材226は、O−リングおよびピストンリングを含有するがこれに限定されないことがあり、前記内側および外側入口マニホルド222a,222bの間での作業流体の横断流の漏れを最小化するように形成されることがある。本開示の他の例示的な実施の形態は前記作業流体を、軸方向に配置された入口流路または前記膨張機102の前記中心軸に対する複雑な角度での流路の他の組合せのような前記各流路A,Bに入ることを許可する他の手段を使用することを含有する。
【0032】
図3に例示されているように、前記外側入口マニホルド222aは流体的に前記高温作業流体流を前記外側膨張機流路Aに導く。同様に、前記内側入口マニホルド222bは流体的に前記低温作業流体流を前記内側膨張機流路Bに導く。ご察しのように、前記高温作業流体流を前記外側膨張機流路Aに向かわせて回転盤216および膨張機ロータ206のような圧力臨界領域が、概ね前記最も高い作業流体ガス温度から隔離されている。
【0033】
各流路A,B間に配置された前記分割部材218,220は、2つの目的に役に立つことがある。第1に、前記分割部材218,220は、前記流路A,B間での大体の断熱を維持するように設けられることがある。第2に、前記分割部材218,220は、前記流路A,B間の相互の流れの漏れを防止するように設けられることがある。簡単に上で説明したように、前記高温作業流体と低温作業流体の前記各圧力は、実質的に同一であって、各作業流体の前記圧力は、前記各流路A,Bに沿った各対応するポイントで非常に類似している。したがって、たとえどのような場合であっても、典型的な運転中での前記流れの間の漏れ量は最小になることになる。
【0034】
そうであるにも拘らず、運転中に前記回転翼214が回転する際に、各翼分割部材220の前記軸方向の領域は、前記軸方向に隣接する羽根分割部材218に密に合致してそれによって前記2つの流路A,Bの間の流体の多少の封止を達成するように形成されることがある。図示されているように、この封止は、前記膨張ステージ208a〜208cの前記接近した軸方向の間隔によって達成することができることがある。しかしながら、他の例示的な実施の形態では、前記外側膨張機流路Aは、概ね、この分野で公知の他の種類の半径方向または軸方向の密封方法によって、前記内側膨張機流路Bから概ね密封されることがある。前記密封は、半径方向のラビリンス封止材、カーボンリング封止材、磨滅可能(abradable)封止材、ブラッシュ封止材、またはこれらの組合せ等を含有することになる。
【0035】
運転中に、前記外側および内側流路A,Bに導入された前記高温および低温作業流体流は、各々、最初に前記第1の膨張ステージ208aに入り、そこでは、前記第1の固定羽根220は各作業流体流を前記軸方向に続く翼214に向かわせる。前記高温および低温作業流体流はそれらの各流路A,Bで前記翼214と接触するので、前記膨張機ロータ206は回転運動を強いられる。前記部分的に膨張した高温および低温作業流体流は、それから前記第2および第3の膨張ステージ208b,208cに順次向かわされ、前述した処理が各ステージ208b,208cで繰り返される。前記作業流体は、前記膨張ステージ208a〜208cを通って、左から右に進むので、回転力が連続的に、前記膨張機ロータ206に分け与えられ、且つ前記高温および低温作業流体の前記圧力および温度が次第に減少する。
【0036】
再度図2に戻り、一旦、前記第3および/または最後の膨張ステージ208cを通して膨張されると、前記第1の作業流体流は、第1のまたは外側の排気ダクト228aに排出され、前記第2の作業流体流は、第2のまたは内側の排気ダクト228bに排出される。前記第2の作業流体は、ついに、前記膨張装置102から、流体的に内側排気ダクト228bと連結している前記第2の出口112bを通って排出される。したがって、前記第2の出口112bは、単一の軸方向に整列された流れ収集機のことがある。
【0037】
前記外側流路Aを通って進む前記第1の作業流体流はついには、前記外側排気ダクト228aと流体的に連結した前記第1の出口112aを通って前記膨張装置102から排出される。前記外側排気ダクト228aは、流路または導管であって、前記軸202の回転軸と同軸であって前記外側流路A内の前記第3のまたは最後の膨張ステージ208cの前記端壁と整列する環状流路として始まることがある。この流路は、それから曲り角230(この場合には軸から90度)を通して、適当な流れの径をもつパイプノズル232に推移することがある。前記内側流路Bの前記外側端壁234は最初は前記最後の膨張ステージ208c近くの前記外側排気ダクト228aの前記内側表面を提供することがある。排気ダクト228a,228bの双方は、それらの各半径方向の長さに沿った管理された面積の指定をもつように形成されることがある。他の例示的な実施の形態にあっては、前記排気ダクト228a,228bは、スクロール型トポロジーを使用することがある。さらに他の例示的な実施の形態では、一方のまたは双方の排気ダクト228a,228bは、前記流路A,Bの一方またはその双方のために拡散作用のある形態またはある量の拡散作用を含有することがある。
【0038】
ここに開示された例示的な実施の形態は、先行システムに対しいくつかの利益をもたらすことがある。例えば、本開示は、2または3以上の別個のガス膨張機を1のやや大きな単一の装置で置き換えている。多重の膨張機流路を1の装置に組み合わせることによって、ウィンデージ、機械的部分および漏れのような全ての寄生損失が顕著に減少する。さらに、本開示は、前記別箇の膨張機のフローストリームA,Bの有益な半径方向の分配を促進する。例えば、前記低温のフローストリームAは、前記ロータの回転盤216に隣接して位置し、いくつかの必要とする冷却システムを含有する前記機械的なロータシステムの前記費用および複雑さを最小化する。
【0039】
また、多重の膨張機のフローストリームを取り扱う単一の装置の前記使用は、封止用およびベアリング支持用モジュールを含む必要な補助的装置、必要な変速装置を含有する被駆動装置の削減を可能にする。したがって、多重膨張工程を1のタービン装置に結合することはコストを削減しかつこの種のエネルギー変換工程の効率性および信頼性を最大化する。
【0040】
さて、図4は、作業流体を膨張する方法400の流れ図を例示する。該方法400は、ステップ402におけるように、作業流体の第1の流れを第1の入口を通して膨張装置に導入することを含有することがある。前記第1の流れは、第1のまたは高温のことがある。ステップ404におけるように、前記作業流体の第2の流れは、第2の入口を通して、前記膨張装置に導入されることがある。前記第2の流れは、前記第1の温度よりも低い第2の温度のことがある。
【0041】
前記第1の流れは、それから、ステップ406におけるように、外側膨張機流路に向かわせることがある。前記外側膨張機流路は、1または2以上の膨張ステージに軸方向に沿って定められることがある。ステップ408におけるように、前記第2の流れは内側膨張機流路に向かうことがある。前記内側膨張機流路は1または2以上の膨張ステージに軸方向に沿って定められることがあり、前記内側および外側膨張機流路は、前記内側膨張機流路を前記外側膨張機流路から熱的および密封して隔離するように形成された一連のフローストリーム分割部材によって半径方向に分離されることがある。ステップ410におけるように、前記第1および第2の流れはそれから前記1または2以上の膨張ステージを横切るように膨張することがある。前記方法400は、さらに、ステップ412におけるように、前記第1および第2の流れを前記膨張装置から排出することを含有することがある。前記第1の流れは第1の出口を通して排出されることがあり、前記第2の流れは、第2の出口を通して排出されることがある。
【0042】
前述したことはいくつかの実施の形態の構成要素を概説したものなので、いわゆる当業者が本開示をより良く理解することができる。いわゆる当業者は、ここに紹介した実施の形態と同一の目的を実行し、および/または同一の利益を達成するために他の方法および構造を設計しまたは変更するための基礎として本開示を喜んで使用する可能性があることを承認すべきである。いわゆる当業者は、また、そのような等価な構成は、本開示の主旨および範囲から逸脱していないこと、および、彼らが本開示の主旨および範囲を逸脱することなく、種々の変形、置換えおよび変更を行なう可能性があることを十分に理解すべきである。
図1
図2
図3
図4