(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092216
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】振動低減および/または改善スリーブを含む排気ガス温度センサ
(51)【国際特許分類】
G01K 13/02 20060101AFI20170227BHJP
G01K 1/08 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
G01K13/02
G01K1/08 N
【請求項の数】20
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-527284(P2014-527284)
(86)(22)【出願日】2012年8月23日
(65)【公表番号】特表2014-529071(P2014-529071A)
(43)【公表日】2014年10月30日
(86)【国際出願番号】US2012051982
(87)【国際公開番号】WO2013028819
(87)【国際公開日】20130228
【審査請求日】2015年8月5日
(31)【優先権主張番号】61/526,345
(32)【優先日】2011年8月23日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508289615
【氏名又は名称】ストーンリッジ・インコーポレッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ロナルド・エヌ・ランディス
(72)【発明者】
【氏名】ダグラス・アイ・オベナー
(72)【発明者】
【氏名】ロバート・ジェイ・スパークス
【審査官】
平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2011/094753(WO,A1)
【文献】
特開2002−213998(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00−19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度センサと、
前記温度センサに結合される端部を有するケーブルと、
前記ケーブルに結合されるストップフランジと、
前記ストップフランジに接触して位置決めされる振動低減および/または改善スリーブとを含む温度センサシステムであって、
前記スリーブが、前記ケーブルの少なくとも一部を受け入れかつ保持するように構成される貫通路を画定する、第1の開口端および反対側の第2の開口端を有する本体部を含み、
前記本体部はさらに、前記本体部の前記第2の開口端から延びる複数の推移部を備えており、前記推移部の各々はフランジ部を含む、温度センサシステム。
【請求項2】
前記ケーブルに結合されかつ前記ケーブルの長さに沿って自由に横移動するよう構成された取り付けナットをさらに含み、前記ストップフランジが、前記温度センサと前記取り付けナットとの間に位置決めされ、前記スリーブが、前記ストップフランジと前記取り付けナットとの間に位置決めされる、請求項1に記載の温度センサシステム。
【請求項3】
前記スリーブは、前記温度センサを前記取り付けナット内の中心に置くように構成される、請求項2に記載の温度センサシステム。
【請求項4】
前記スリーブの前記本体部は、前記本体の前記第1の開口端から前記本体の反対側の前記第2の開口端まで長手方向に延びる複数の壁を含む、請求項1に記載の温度センサシステム。
【請求項5】
前記複数の壁のそれぞれは、前記推移部を含む、請求項4に記載の温度センサシステム。
【請求項6】
前記フランジ部は、上面および反対側の底面を画定し、前記上面および底面は、前記取り付けナットおよび前記ストップフランジの一部とそれぞれ係合する、請求項5に記載の温度センサシステム。
【請求項7】
前記本体部は、前記本体部の2つの隣接壁によって画定される開口側面を有し、前記2つの隣接壁の少なくとも1つは、外向きに膨張しかつ前記ケーブルの少なくとも一部を受け入れるように構成される、請求項4に記載の温度センサシステム。
【請求項8】
前記スリーブは、前記温度センサシステムに安定性を提供しかつ前記温度センサシステムへの振動応力を低減するように構成される、請求項1に記載の温度センサシステム。
【請求項9】
前記温度センサが、
筐体と、
前記筐体に配置される温度感知要素と、
前記温度感知要素から前記筐体を通って延びる電気的接続部とを含む、請求項1に記載の温度センサシステム。
【請求項10】
温度センサシステムにおいて、
筐体、
前記筐体に配置される温度感知要素、
前記温度感知要素から前記筐体を通って延びる電気的接続部、および
前記筐体中にかつ少なくとも部分的に前記温度感知要素の周りに配置されるフィラー材料を含む温度センサであって、前記フィラー材料が、前記感知要素と前記筐体との間に熱的経路を提供し、前記温度感知要素と前記電気的接続部との間の熱膨張の異なる割合に適応するために柔軟である、温度センサと、
前記温度センサに結合される端部を有するケーブルと、
前記ケーブルに結合されるストップフランジと、
前記ストップフランジに接触して位置決めされる振動低減および/または改善スリーブであって、前記ケーブルの少なくとも一部を受け入れかつ保持するように構成される貫通路を画定する、第1の開口端および反対側の第2の開口端を有する本体部を含み、
前記本体部はさらに、前記本体部の前記第2の開口端から延びる複数の推移部を備えており、前記推移部の各々はフランジ部を含む、温度センサシステム。
【請求項11】
エンジンと、
前記エンジンから排気ガスを運ぶように構成される排気システムと、
前記排気ガスの温度を検出するために前記排気システムに結合される温度センサシステムであって、
温度センサと、
前記温度センサに結合される端部を有するケーブルと、
前記ケーブルに結合されるストップフランジと、
前記ストップフランジに接触して位置決めされる振動低減および/または改善スリーブとを含み、前記スリーブが、前記ケーブルの少なくとも一部を受け入れかつ保持するように構成される貫通路を画定する、第1の開口端および反対側の第2の開口端を有する本体部を含み、前記本体部はさらに、前記本体部の前記第2の開口端から延びる複数の推移部を備えており、前記推移部の各々はフランジ部を含む、温度センサシステムと、
前記温度センサの出力に応答して前記エンジンの少なくとも1つの運転パラメータを制御するように構成される車両制御システムとを含む、システム。
【請求項12】
前記ケーブルに結合されかつ前記ケーブルの長さに沿って自由に横移動するよう構成された取り付けナットをさらに含み、前記ストップフランジが、前記温度センサと前記取り付けナットとの間に位置決めされ、前記スリーブが、前記ストップフランジと前記取り付けナットとの間に位置決めされる、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記スリーブは、前記温度センサを前記取り付けナット内の中心に置くように構成される、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記スリーブの前記本体部は、前記本体の前記第1の開口端から前記本体の反対側の前記第2の開口端まで長手方向に延びる複数の壁を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記複数の壁のそれぞれは、部材を含み、前記部材が、前記本体部の前記第2の開口端から延びる推移部および前記推移部から延びるフランジ部を含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記フランジ部は、上面および反対側の底面を画定し、前記上面および底面は、前記取り付けナットおよび前記ストップフランジの一部とそれぞれ係合する、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記本体部は、前記本体部の2つの隣接壁によって画定される開口側面を有し、前記2つの隣接壁の少なくとも1つは、外向きに膨張しかつ前記ケーブルの少なくとも一部を受け入れるように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記複数の推移部の各々は、前記本体部の複数の前記第2の開口端の、隣接する推移部とは異なる部分から延在している、請求項1に記載のシステム。
【請求項19】
前記本体部は、前記本体部の前記第1の開口端から前記本体部の前記反対側の第2の開口端へ長手方向に各々が延びる6つの壁を画定する、略六角形の形状を有しており、かつ、
前記壁の各々は、前記複数の推移部の1つを備える、請求項18に記載のシステム。
【請求項20】
前記複数の推移部の各々は、隣接する推移部と比べて、前記本体部の複数の前記第2の開口端の異なる部分から延在している、請求項11に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本非仮出願は、2011年8月23日に出願された米国仮特許出願第61/526,345号の便益を主張するものであり、それの全開示が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は一般に、内燃エンジンのための温度センサに関する。より詳しくは、本開示は、振動低減および/または改善スリーブを含む排気ガス温度センサに関することもある。
【背景技術】
【0003】
ディーゼルエンジンおよびガソリンエンジンなどだが、それらに限定されない内燃エンジンは、ガス排気システム内に少なくとも部分的に配置される1つまたは複数の温度センサを含むこともある。これらの温度センサは、排気ガスの温度を感知することができ、空気/燃料比、給気圧、作動周期調整または同様のものなどだが、それらに限定されないエンジンの1つまたは複数の特性を調整するためのエンジン制御システムによって少なくとも一部分において使用されることもある。運転環境のために、温度センサは、振動と、デブリ、水分および腐食性化学物質への暴露と、大きな温度範囲と、比較的高い連続使用運転温度とを含むが、それらに限定されない比較的厳しい条件にさらされることもある。そのような条件は、温度センサの性能を低下させることもあり、最終的に温度センサをそれらの意図される目的に適さない状態にすることもある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
特許請求される主題の特徴および利点は、その主題と矛盾しない実施形態の次の詳細な説明から明らかであり、その説明は、添付図面を参照して考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本発明による温度センサを含む車両の概略図である。
【
図2】本発明による温度センサの実施形態の側断面図である。
【
図4】本開示による振動低減および/または改善スリーブの一実施形態を含む温度センサシステムの側面図である。
【
図5】本開示による
図4の振動低減および/または改善スリーブの一実施形態の斜視図である。
【
図6A】
図5の振動低減および/または改善スリーブの上面図である。
【
図6B】本開示による
図4の振動低減および/または改善スリーブの別の実施形態の上面図である。
【
図7】
図4の温度センサシステムの一部の拡大側面図である。
【
図8】排気システムの一部に結合されるセンサシステムを示す
図7のセンサシステムのその部分の横断面図である。
【
図9】振動低減および/または改善スリーブを含まないセンサシステムの振動性能を図式的に例示する図である。
【
図10】本開示による振動低減および/または改善スリーブを含む、本開示によるセンサシステムの振動性能を図式的に例示する図である。
【
図11】本開示による振動低減および/または改善スリーブを含む、本開示によるセンサシステムの振動性能を図式的に例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示は一般に、温度センサを対象にする。本明細書で述べられる実施形態は、排気ガス温度センサシステム、例えばディーゼルエンジン、ガソリンエンジンまたは同様のものなどだが、それらに限定されない内燃エンジンで使用されるように構成される排気ガス温度センサシステムに関することもある。排気ガス温度センサシステムの出力は、エンジンの1つまたは複数のパラメータを制御するためのコントローラによって受け取られてもよい。しかしながら、本開示によるセンサおよび/またはシステムは、触媒コンバータ温度、潤滑油温度(エンジンオイル、変速機オイル、差動装置オイル、もしくは同様のものなどだが、それらに限定されない)、ブレーキ温度、エンジン冷却液温度、または同様のものを含むが、それらに限定されない他のパラメータの温度を検出し、感知しかつ/または監視するために使用されてもよい。本開示によるセンサおよび/またはシステムは、車両に関係するのみならずまた関係もしない、様々な他の応用に関連して用いられてもよい。
【0007】
図1を参照すると、車両100の実施形態が、概略的に描写される。車両100は、エンジン102から排気ガスの流れを運ぶことができる排気システム104を有する内燃エンジン102を含んでもよい。温度センサ106は、排気システム104によって運ばれる排気ガスの温度を測定するために排気システム104に結合されてもよい。温度センサ106は、排気ガスの温度に応答する、または排気ガスの温度を示す出力を提供することができる。エンジン制御モジュール(ECM)、その他などの車両制御システム108は、温度センサ106から出力を受け取ることができる。エンジン制御システム108は、温度センサ106の出力に応答して、燃料供給、空気/燃料比、給気圧、作動周期調整または同様のものなどの1つまたは複数の運転パラメータを変えることができる。
【0008】
図2および
図3を参照すると、本発明による温度センサ106の実施形態の一部が、側断面図および前部断面図で示される。温度センサ106は一般に、本体200の一端に配置される筐体202を有する長手方向本体200を含んでもよい。温度感知要素204は、少なくとも部分的に筐体202内に配置されてもよい。温度センサ106のための電気導体206、208は、温度感知要素204から本体200を通って延びてもよい。温度センサシステムは、排気システムの全体的に密封された条件を維持しながら少なくとも部分的に排気システム中に延びる温度センサを取り付ける能力がある、フランジおよび取り付けナット、圧縮フェルール、その他などの様々な取り付け特徴を含んでもよい。同様に、温度センサシステムは、温度センサのための電気的接続部に電気的に結合される電気コネクタまたは接点を含んでもよい。適切なコネクタは、一体的特徴ならびにピグテールコネクタ、その他を含んでもよい。
【0009】
温度感知要素204は、抵抗温度感知要素であってもよく、その場合要素を通る電気抵抗は、温度の関数として変化してもよい。特定の実施形態では、温度感知要素204は、基板212に配置された少なくとも1つの金属膜204、例えば白金膜を含む薄膜抵抗温度検出器であってもよい。抵抗温度検出器(RTD)、負の温度係数(NTC)、および/または熱電対型要素を利用する様々な温度感知要素がまた、本開示の実施形態に関連して使用されてもよい。
【0010】
図示するように、筐体202は、内部容積214を画定することができる。温度感知要素204は、筐体202によって画定される内部容積内に少なくとも部分的に配置されてもよい。そのため、温度感知要素204は、筐体202によって少なくとも部分的に封入されてもよい。筐体202は、筐体202の開口端216で温度センサ106の本体200に結合されてもよい。一実施形態では、筐体202は、全体的に気密シールを提供するように本体200に結合されてもよく、それによって温度感知要素204を全体的に閉じた環境中に置く。全体的に閉じた環境は、外部環境の汚染物質、その他への温度感知要素204の暴露を低減するまたは排除することができる。
【0011】
本開示と一致して、フィラー材料218が、筐体202内に配置されてもよく、温度感知要素204を少なくとも部分的に取り囲んでもよい。一般に、フィラー材料218は、運転中に、センサ要素中にまたはセンサ要素間に、例えば感知要素204とそれに接続されるリード線との間に熱的に誘起される応力に適応するために柔軟でありながら熱伝導性を提供することができる。様々な材料が、本開示に関連するファイラー材料218として適切に用いられてもよい。
【0012】
フィラー材料218は、空気またはガス状媒質よりも大きい熱伝導率を有する。フィラー材料218はそれ故に、少なくともある程度は、筐体202と温度感知要素204との間の分離のどんな断熱の影響も克服することができる。フィラー材料218は、筐体202と温度感知要素204との間に熱的経路を提供することができ、それによって温度センサ106の熱応答を高めることができる。
【0013】
加えて、フィラー材料218の使用は、センサ要素に熱的に誘起される応力に適応するための別個の機械的歪み軽減体の必要性を排除することができる。別個の歪み軽減体の代わりに、フィラー材料は、センサ部品、例えば感知要素およびそれに結合されるリード線が例えば異なる熱膨張係数に起因して異なる割合で膨張することを可能にするために弾性的に柔軟性/膨張性があってもよい。このことは、別個の機械的歪み軽減体を必要とすることなく、センサで熱的に誘起される応力を軽減する。
【0014】
図4を今から参照すると、本明細書での少なくとも1つの実施形態による温度センサシステム400が、例示される。排気ガス温度センサシステム400は、無機絶縁(MI)ケーブルなどの、1つまたは複数の電気導体を含むケーブル404の一端に結合される、上述のセンサ106などの温度センサ402と、ワイヤハーネスアセンブリ406と、ケーブル404をワイヤハーネスアセンブリ406に結合するように構成されるカプラ408とを含んでもよい。ワイヤハーネスアセンブリ406は、排気ガス温度センサシステム400を配線用ハーネスまたは同様のものに、最終的にはECMの少なくとも一部および/またはサブシステムに電気的にかつ/または機械的に結合するように構成されるコネクタ410をオプションとして含んでもよい。
【0015】
温度センサ402は、排気ガス、例えばガス排気システムの少なくとも一部を通って流れる排気ガスの温度を表す信号を出力するように構成されてもよい。温度センサ402は、意図される運転温度範囲、望まれる正確さおよび/または精密さに応じて選択されてもよい。本明細書での矛盾のない少なくとも1つの実施形態によると、温度センサ402は、抵抗温度検出器(RTD)を含んでもよい。
【0016】
温度センサ402は、取り外し可能に固定できるように構成されてもよい。例えば、排気ガス温度センサシステム400は、取り付けナット412およびオプションとしてストップフランジ(stop flange)414を含んでもよい。取り付けナット412およびストップフランジ414は、以下で述べられるような振動低減および/または改善スリーブ416をより明らかにするために断面図で例示されることに留意すべきである。取り付けナット412は、内部または外部にねじを切られてもよく、ストップフランジ414が排気システム(例えば、排気システムの肩部)と係合するまでガス排気システムの開口部(排気マニホルド、立下り管、または同様のものなどだが、それらに限定されない)内にねじ込まれるように構成されてもよい。
【0017】
温度センサシステム400はさらに、温度センサシステム400での機械的振動に対して安定性を提供するように構成される振動低減および/または改善スリーブ416(以下では記述を容易にするために「スリーブ416」と呼ばれる)を含んでもよい。図示するように、スリーブ416は、温度センサシステム400が完全に組み立てられるとストップフランジ414と取り付けナット412との間に位置決めされる。スリーブ416は、以下でより詳細に述べるように、温度センサシステム400の組み立て中に加えられてもよくまたは温度センサシステム400が完全に組み立てられた後に加えられてもよい。
【0018】
図5および
図6Aは、
図4のスリーブの一実施形態の斜視図および上面図である。例示される実施形態では、スリーブ416は、第1の開口端520および反対側の第2の開口端522を有する本体部518を含んでもよい。本体部518は、ケーブル404を受け入れるように成形されかつ/またはサイズ設定された貫通路524を画定してもよく、ケーブル404は、その貫通路を通り抜けてもよい。
図5および
図6Aの例示される実施形態では、本体部518はさらに、ケーブル404を受け入れるように成形されかつ/またはサイズ設定された開口側面526を含んでもよい。一般に、本体部518の開口側面526は、システムが完全に組み立てられた後にスリーブ416がシステム400に組み付けられることを可能にする。特に、スリーブは、ケーブル404にプレス嵌めされてもよい。例えば、開口側面526は、本体部518の隣接壁528間に画定されてもよく、その場合隣接壁528は、本体部518の貫通路524にケーブル404を受け入れるために外向きに膨張し、さらにケーブル404の周りで本体部518を閉じるために内向きに収縮して原形に戻ることができ、それによってケーブル404を貫通路524内に保持する。一実施形態では、スリーブ416の本体部518の一部は、ケーブル404を完全に取り囲んで貫通路524内に封入するように圧着されかつ/または形成されてもよい。
【0019】
図6Aで示すように、本体部518は一般に、六角形の形状である。本体部518は、本体部518の第1の端部520から第2の端部522まで実質的に長手方向に延びる壁528を含んでもよい。例示される実施形態では、本体部518は、六角形に対応して6つの壁528を含む。他の実施形態では、本体部518は、一般に様々な形状および/または寸法を画定してもよく、様々な形状および/または寸法に対応して任意の数の壁を含んでもよいことに留意すべきである。
【0020】
図示するように、各壁528はさらに、本体部518の第2の端部522から外向きに延びる関連部材530を含む。各部材530は、第2の端部522の周辺部から延びる推移部532および推移部532から延びるフランジ部534を含む。推移部532は、本体部518の第2の端部522からフランジ部534へ外向きに弧を描く(arc)または角度がついて(angle)もよい。各部材530のフランジ部534は、上面536および反対側の底面538を含んでもよく、その場合上面536は、取り付けナット412の一部とかみ合って係合するように構成され、底面538は、ストップフランジ414の一部とかみ合って係合するように構成される。
【0021】
他の実施形態では、本体部518は、
図6Bで示すように、連続的であって、開口側面がなくてもよいことに留意すべきである。
図6Bで例示される実施形態によるスリーブは、温度センサシステム400の組み立て中に加えられてもよい。例えば、
図7で示すように、スリーブ416は、少なくともストップフランジ414がケーブル404に結合された後にシステム400に加えられてもよく、その場合スリーブ416は、ケーブル404を覆って装着されてもよく、スリーブ416は、ケーブル404の長さに沿って自由に移動することができる。
【0022】
図7は、
図4の温度センサシステムの一部の拡大側面図であり、
図8は、排気システムの一部に結合されるセンサシステムを示す
図7のセンサシステムのその部分の横断面図である。例示される実施形態では、取り付けナット412およびストップフランジ414はそれぞれ、ケーブル404の少なくとも一部がそれを通って受け入れられて通り抜けてもよい長手方向穴を画定する。図示するように、ストップフランジ414は、ケーブル404の一部に固定され、取り付けナット412は、ケーブル404の長さに沿って自由に移動するように構成され、その場合ケーブル404は、ストップフランジ414および取り付けナット412の両方を通って延びる。加えて、ケーブル404は、ストップフランジ414と取り付けナット412との間に位置決めされるスリーブ416を通って延びる。
図7では、取り付けナット412は、仮想輪郭線で示され、その結果スリーブ416は、はっきり見えることに留意すべきである。
【0023】
スリーブ416は、温度センサシステム400での機械的振動に対して安定性を提供するように構成されてもよい。先に述べたように、スリーブ416の各部材430のフランジ部534は、上面536および反対側の底面538を含んでもよい。図示するように、上面536は、取り付けナット412が例えば
図8で示すように排気システムの一部に結合されるとき、取り付けナット412の表面740とかみ合って係合するように構成される。加えて、各部材のフランジ部534の底面538は、取り付けナット412およびストップフランジ414が排気システムの一部に結合されるとき、ストップフランジ414の表面742とかみ合って係合するように構成される。
【0024】
図8を参照すると、温度センサシステム400は、取り付けナット412およびストップフランジ414の組立部を介してガス排気システム104の一部に結合されて示される。例示される実施形態では、取り付けナット412は、外部にねじを切られてもよく、ストップフランジ414が排気システム104(例えば、排気システムの肩部)と係合しかつ/または接触するまで、ガス排気システムの開口部(排気マニホルド、立下り管、または同様のものなどだが、それらに限定されない)内にねじ込まれるように構成されてもよい。温度センサシステム400を排気システム104に据え付けることで、スリーブ416を温度センサシステム400に固定することができる。例えば、排気システム104とシステム400の取り付けナット412およびストップフランジ414の組立部との間の機械的インターフェースは、スリーブ416をストップフランジ414および取り付けナット412の両方に固定する方法でスリーブ416を受け入れるように構成されてもよい。特に、取り付けナット412が、排気システム104の開口部内にねじ込まれるときは、取り付けナット412は、ナット412の一部がスリーブ416の少なくとも一部と係合するまでケーブル404の長さに沿って移動し、それによってスリーブ416をストップフランジ414に固定する。より具体的には、各部材530の推移部532は、ケーブル404を覆って取り付けナット412を中心に置くように構成されてもよく、それによって温度センサシステム400を排気システム104の一部(例えば、開口)内の中心に置く。それ故に、スリーブ416は、自己センタリング能力を示すことができる。加えて、スリーブ416は、温度センサ402を取り付けナット412内の中心に置くように構成されてもよい。取り付けナット412はまた、各部材530のフランジ部534の上面および底面536、538を取り付けナット412およびストップフランジ414の表面740、742にそれぞれ押し付けることもでき、それによってスリーブ416を温度センサシステム400に固定する。
【0025】
スリーブ416の本体部518、部材530、推移部532および各部材530のフランジ部の形状および/または寸法、ならびに温度センサシステム400でのスリーブ416の位置は、温度センサシステム400応用の振動条件および/または車両の取り付け要件の変化に応じて変わる可能性があることに留意すべきである。
【0026】
有利には、本開示によるスリーブは、センサシステムへの振動応力を低減して、より長いシステム寿命を提供する。例えば、
図9は、本開示による防振スリーブを含まない温度センサシステムについての振動試験の結果を例示し、
図10〜
図11は、本開示による振動低減および/または改善スリーブを含む温度センサシステム400についての振動試験の結果を例示する。
図9〜
図11で図式的に例示するように、振動低減および/または改善スリーブ416を含むシステムは、防振スリーブのないシステムよりも振動的に安定しており、すなわち変位は、同じまたはより高い周波数で振動するとき、例示されるxおよびy方向でより少ない。本開示によるスリーブは、共振周波数が発生するところを移動させることができ、センサ組立部の様々な領域での振動応力を低減する。
【0027】
スリーブ416は、曲げる力および/または引っ張る力などの力がそれに加えられると変形する能力がある、柔軟で、弾力性があり、耐久性のある材料を含んでもよい。加えて、スリーブ416は、記憶材料を含んでもよい。加えて、スリーブ416は、高温および/または熱に耐える能力がある材料を含んでもよい。
【0028】
本開示の一態様によると、温度センサシステムが、提供される。その温度センサシステムは、温度センサと、温度センサに結合される端部を有するケーブルと、ケーブルに結合されるストップフランジと、ストップフランジの底面に接触してかつストップフランジと温度センサとの間に位置決めされる振動低減および/または改善スリーブとを含む。スリーブは、ケーブルの少なくとも一部を受け入れかつ保持するように構成される貫通路を画定する本体部を含んでもよい。
【0029】
本開示の別の態様によると、温度センサシステムが、提供される。その温度センサシステムは、温度センサを含む。温度センサは、筐体と、筐体中に配置される温度感知要素と、温度感知要素から筐体を通って延びる電気的接続部とを含む。温度センサはさらに、筐体中にかつ少なくとも部分的に温度感知要素の周りに配置されるフィラー材料を含む。フィラー材料は、感知要素と筐体との間に熱的経路を提供し、温度感知要素と電気的接続部との間の熱膨張の異なる割合に適応するために柔軟である。
【0030】
温度センサシステムはさらに、温度センサに結合される端部を有するケーブル、ケーブルに結合されるストップフランジならびにストップフランジに接触して位置決めされる振動低減および/または改善スリーブを含む。スリーブは、ケーブルの少なくとも一部を受け入れかつ保持するように構成される貫通路を画定する本体部を含む。スリーブは、温度センサシステムに安定性を提供しかつ温度センサシステムへの振動応力を低減するように構成される。
【0031】
本開示のなお別の態様によると、システムが、提供される。そのシステムは、エンジンと、エンジンから排気ガスを運ぶように構成される排気システムと、排気ガスの温度を検出するために排気システムに結合される温度センサシステムと、温度センサの出力に応答してエンジンの少なくとも1つの運転パラメータを制御するように構成される車両制御システムとを含む。温度センサシステムは、温度センサと、温度センサに結合される端部を有するケーブルと、ケーブルに結合されるストップフランジと、ストップフランジの底面に接触してかつストップフランジと温度センサとの間に位置決めされる振動低減および/または改善スリーブとを含む。スリーブは、ケーブルの少なくとも一部を受け入れかつ保持するように構成される貫通路を画定する本体部を含んでもよい。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態が、本明細書で述べられ、例示されたが、当業者は、機能を果たしかつ/または結果を得るための様々な他の手段および/もしくは構造ならびに/または本明細書で述べられる利点の1つもしくは複数を容易に想像することになり、そのような変形および/または変更のそれぞれは、本発明の範囲内であると見なされる。より一般的には、当業者は、本明細書で述べられるすべてのパラメータ、寸法、材料、および構成が、例示であることを意味され、実際のパラメータ、寸法、材料、および/または構成が、本発明の教示が使用される具体的応用または複数応用に依存するであろうことを容易に理解するであろう。当業者は、本明細書で述べられる本発明の具体的実施形態の多くの等価物を認識し、または日常的にすぎない実験を使用して確認できることになる。従って、前述の実施形態は、ほんの一例として提示され、添付の特許請求の範囲およびそれの等価物の範囲内で、本発明は、具体的に述べられかつ特許請求されるよりむしろ別の方法で実践されてもよいと理解すべきである。本発明は、本明細書で述べられるそれぞれ個々の特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法を対象にする。加えて、もしそのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法が、相互に矛盾しないならば、2つ以上のそのような特徴、システム、物品、材料、キット、および/または方法の任意の組合せは、本発明の範囲内に含まれる。
【0033】
本明細書で定義され、使用されるようなすべての定義は、辞書的定義、参照により組み込まれる文書での定義、および/または定義される用語の普通の意味を管理すると理解すべきである。
【0034】
明細書および特許請求の範囲でここに使用される場合、不定冠詞「a」および「an」は、それとは反対に明瞭に示されない限り、「少なくとも1つ」を意味すると理解すべきである。
【0035】
明細書および請求項でここに使用される場合、語句「および/または」は、そのように結合された要素、すなわちいくつかの場合は結合して存在し、他の場合は分離して存在する要素の「どちらかまたは両方」を意味すると理解すべきである。「および/または」節によって具体的に識別される要素以外の他の要素は、具体的に識別されるそれらの要素に関係しようが無関係であろうが、それとは反対に明瞭に示されない限り、オプションとして存在してもよい。
【符号の説明】
【0036】
100 車両
102 内燃エンジン
104 排気システム
106 温度センサ
108 車両制御システム、エンジン制御システム
200 本体
202 筐体
204 温度感知要素
206 電気導体
208 電気導体
210 金属膜
212 基板
214 内部容積
216 筐体の開口端
218 フィラー材料
400 温度センサシステム
402 温度センサ
404 ケーブル
406 ワイヤハーネスアセンブリ
408 カプラ
410 コネクタ
412 取り付けナット
414 ストップフランジ
416 振動低減および/または改善スリーブ、スリーブ
518 本体部
520 第1の開口端
522 第2の開口端
524 貫通路
526 開口側面
528 隣接壁
530 部材
532 推移部
534 フランジ部
536 上面
538 底面
740 取り付けナットの表面
742 ストップフランジの表面