(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
励起光を放出する光源と、光波長変換材料を備えた運動装置とを含み、前記励起光が前記光波長変換材料に照射され、前記運動装置が周期運動状態にあるときに、前記励起光の前記運動装置への照射によって形成された光スポットの位置が第1の作業軌跡に沿って周期的に運動するようにする光源システムであって、
前記運動装置は、前記周期運動を停止可能に構成され、
調整装置をさらに含み、
前記調整装置は、前記周期運動の停止中において前記光スポットの位置を調整することにより、調整された励起光の前記運動装置への照射によって形成された光スポットの位置が第2の作業軌跡に沿って周期的に運動するようにするものであり、
前記第1の作業軌跡と前記第2の作業軌跡は、離隔されていることを特徴とする光源システム。
前記調整装置は、前記光源に接続されており、前記光源を水平移動または回転させることにより、前記光スポットの位置が前記第1の作業軌跡に交差する方向に変位されるようにするものであることを特徴とする請求項1または2に記載の光源システム。
前記調整装置は、前記運動装置に接続されており、前記運動装置を水平移動または回転させることにより、前記光スポットの位置が前記第1の作業軌跡に交差する方向に変位されるようにするものであることを特徴とする請求項1または2に記載の光源システム。
前記調整装置は、前記光スポットの位置を調整することにより、前記光スポットの位置が前記第1の作業軌跡に垂直な方向に移動するようにするものであることを請求項1または2に記載の光源システム。
前記運動装置は、ディスクの形状であり、前記光スポットの位置の作業軌跡は、前記運動装置と同心のリング状をなし、前記調整装置は、前記光スポットの位置を前記運動装置の径方向に移動するように調整することを特徴とする請求項9に記載の光源システム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の目的の具現、機能的特徴および利点は、添付図面を参照して実施例を挙げ、具体的に説明する。
【0011】
以下、添付図面を参照して具体的な実施例を挙げて本発明の技術的方案について詳細に説明する。ここで、具体的実施例は、本発明を解釈するための例示のみであり、本発明は、これらの実施例に限定されないことを理解すべきである。
【0012】
本発明に係る光源システムの第1の実施例の構成の模式図である
図1を参照する。
【0013】
本実施例では、光源システムは、励起光を放出する光源10と、光波長変換材料層を備えた運動装置20とを含む。当該光源10の励起光は、光波長変換材料に照射される。前記運動装置20が周期運動状態にあるときに、当該励起光の前記運動装置20への照射によって形成された光スポットの位置は、第1の作業軌跡に沿って周期的に運動する。当該光源システムは、調整装置30をさらに含んでおり、当該調整装置30は、運動装置が周期的運動を止めるときに、前記光スポットの位置を調整するものである。調整装置30が光スポットの位置を調整した後に、運動装置20が周期運動を再開するようにトリガされる。これにより、調整後の励起光の運動装置20への照射によって形成された光スポットの位置は、第2の作業軌跡に沿って周期的に運動する。第1の作業軌跡と第2の作業軌跡は、離隔されている。
【0014】
作業者は、定期的に手動方式で運動装置20の周期運動を停止させることができ、運動装置20は、調整装置30に接続されている(図示せず)。運動装置が周期運動を止めた後、制御装置30が光スポットの位置調整を実行するようにトリガされる。好ましくは、光源システムは、制御装置40をさらに含むことができる。この制御装置40は、それぞれ調整装置30および運動装置20に接続されており、所定の時間間隔で運動装置20の周期運動を停止させ、運動装置20が周期運動を停止した後、光スポットの位置調整を実行するように調整装置30をトリガことにより、調整装置30が所定の時間間隔で一回ずつ光スポットの位置調整を実行するように制御するものである。所定の時間間隔は、作業者が波長変換材料の老化の特徴に基づいて設定することができる。
【0015】
本実施例では、調整装置30は、光源10に接続されており、運動装置20が周期運動を停止するときに、運動装置20を水平移動させることにより、第1の作業軌跡に交差する方向に光スポットの位置を変位させて第1の作業軌跡と第2の作業軌跡を離間させるために使用することができる。例を挙げて説明すると、調整装置30は、運動装置20が円盤状であり、かつ、第1の作業軌跡が運動装置と同心のリング状であるときに、光源10を水平移動させるように駆動することにより、光スポットの位置が運動装置20の径方向に変化するとともに、第2の作業軌跡が第1の作業軌跡と離隔されるが第1の作業軌跡と同心のリングとなるようにする。好ましくは、調整装置30は、運動装置20が円盤状であり、光スポットの位置の作業軌跡が運動装置と同心のリング状であるときに、光スポットの位置をこの運動装置20の径方向に沿って運動させるように調整する。ここでは、必ずしも径方向のみに沿って運動させるのに限定されるものではないが、光スポットの位置がその作業軌跡に交差する方向に一定程度変位することにより、第1の作業軌跡と第2の作業軌跡を離間させるように水平移動すれば、本発明の有益な効果を達成することができることを理解すべきである。
【0016】
本実施例では、光源システムは、スライドレール(図示せず)をさらに含むことができる。前記光源10がこのスライドレールに設置されることにより、光源10の運動をスライドレールにて制限することができる。これは、光源10の水平移動の安定性を高め、高速水平移動中に発生する光源10の揺れなどの欠陥を抑制することができる。前記スライドレールには、光源の位置固定のための位置固定部材(図示せず)が装着されることもできる。
【0017】
調整装置30が光源10を調整することにより、励起光の運動装置20への照射によって形成された光スポットの位置を調整するという方法では、光源10の水平移動のほか、光源10の回転が可能である。この回転は、光スポットの位置が第1の作業軌跡に交差する方向に一定程度変位することにより、第1の作業軌跡と第2の作業軌跡が離間されているようにするものであればよい。例えば、この回転は、光源10の横方向(すなわち、図面の水平方向)の軸線を回転軸とする時計回りまたは反時計回りの回転であってもよく、光源10の底面上の側縁を回転軸とする時計回りまたは反時計回りの回転であってもよく、または、少なくとも運動装置20の径方向に光スポットの位置を変化させることが可能である他の回転であってもよい。これについては、ここで列挙されていない。
【0018】
本実施例では、ディスクの形状の運動装置を例に挙げて、前記光源の回転と水平移動を説明するが、以下、他の形態の運動装置について説明する。運動装置20が直線移動プレートである場合、運動装置20が周期運動状態にあるときに、この直線移動プレートが光源10に対して往復水平移動を行うことにより、光源10が運動装置20を照らして生じた光スポットの位置の第1の作業軌跡は、直線である。調整装置30は、光源10に接続されることができ、調整装置30は、運動装置20が周期運動を停止するときに、光源10を水平移動または回転させることにより、光スポットの位置が第1の作業軌跡に交差する方向に変位されるようにする。例えば、第1の作業軌跡(前記直線)に垂直な方向に沿って光源10を水平移動させることにより、第2の作業軌跡が第1の作業軌跡に平行な直線となることが可能である。
【0019】
同様に、運動装置20が円柱状の回転板である場合、運動装置20が光源10に対してその円柱の回転軸回りに回転することにより、光源10が運動装置20を照らして生じた光スポットの位置は、その第1の作業軌跡が円柱の側面上での円形リングとなる。このとき、同様に、調整装置は、光源10に接続されることができ、運動装置20が周期運動を停止するときに、光源を水平移動または回転させて、第1の作業軌跡に交差する方向に光スポットの位置を変位させることにより、第1の作業軌跡と第2の作業軌跡を離間させる。例えば、第1の作業軌跡に垂直な方向、すなわち、円柱の回転軸に平行な方向に沿って光源10を水平移動させることにより、第1の作業軌跡が第1の作業軌跡と離隔されている円柱の側面上での円形リングとなることが可能である。
【0020】
上記実施例によれば、光源10からの励起光の運動装置20への照射によって形成された光スポットの位置を変位させて第1の作業軌跡と第2の作業軌跡を離間させることができる。これにより、光スポットの位置の作業軌跡が固定されているのに起因する当該運動装置における当該作業軌跡内での光波長変換材料の老化が容易に発生し、その結果、運動装置20の使用寿命に制約があってしまったという技術的な問題を解決することができる。
【0021】
本発明に係る光源システムの第1の実施例における光源10の光スポットの位置の運動装置20上での相対的な動きの模式図である
図2を参照する。
【0022】
本実施例では、
図2aに示すように、運動装置20は、円盤状であり、光源が運動装置20を照らして生じた光スポットの位置は、aである。運動装置20が軸方向に沿って回転する周期運動を行う場合、励起光の運動装置20への照射によって形成された光スポットの位置は、周期的に
図2bに示す円形リングAの第1の作業軌跡に沿って運動する。上記実施例の技術案によれば、調整装置は、運動装置が周期運動を停止するときに、光スポットの位置を調整する。例えば、光源を水平移動または回転させることで、
図2cに示すように、光源が運動装置20を照らして生じた光スポットの位置がbに変わる。bの半径は、aの半径よりも小さい。このように、運動装置20が周期的に軸方向に沿って回転し続けるときに、励起光の運動装置20への照射によって形成された光スポットの位置は、周期的に
図2dに示す円形リングBの第2の作業軌跡に沿って運動する。したがって、光源を水平移動または回転させることにより、光源からの励起光の運動装置20への照射によって形成された光スポットの位置を変位させることができる。すなわち、
図2に示すように、光スポットの位置が調整された後、励起光の運動装置20への照射によって形成された光スポットの位置は、その作業軌跡が半径のより大きな円形リングAから半径のより小さな円形リングBに変わる。ことにより、第1の作業軌跡と第2の作業軌跡が離隔されているという技術的な効果を達成するようになる。
【0023】
前記光スポットの作業軌跡を変える過程において、まず、前記運動装置20の周期運動を停止し、光スポットの位置の調整が終わった後に運動装置20の周期運動を再開することができる。運動装置20の周期運動過程において光スポットの位置を調整することもできるが、光スポットの位置調整の過程において、前記円形リングAは,すぐに円形リングBに変わることはなく、必ず円形リングAから円形リングBへの転移軌跡を経なければならない。しかし、この転移軌跡によって発生された励起光は、投影システムにとっては、不要な光である。このとき、投影システムにおける関連処理ユニットを利用して、光スポットの位置調整の期間において前記転移軌跡によって発生された励起光がディスプレイスクリーン上に投影されないように制御を実行する。要するに、調整装置30は、運動装置20が周期運動を停止するときに、光スポットの位置を調整することが望ましいが、運動装置が周期運動を行っている間、光スポットの位置を調整することも可能である。後者の場合、制御装置40によって、所定の時間間隔で調整装置30を直接トリガして、光スポットの位置調整を実行することができ、運動装置20の周期運動を停止する必要はない。
【0024】
前述実施例によれば、光源10からの励起光の運動装置20への照射によって形成された光スポットの位置を変位させることにより、前記運動装置20の上に設置された光波長変換材料を効果的に利用することができ、その結果、光波長変換材料の利用率を高め、光源システムの寿命を倍に増やすことができる。
【0025】
本発明に係る光源システムの第2の実施例の構成の模式図である
図3を参照する。
【0026】
本実施例では、第1の実施例と類似しており、前述調整装置30が運動装置20に接続され、調整装置が運動装置20を水平移動または回転させるように駆動することにより、光スポットの位置が第1の作業軌跡に交差する方向に変位するという点で異なる。
【0027】
運動装置20がディスクの形状である場合を例に挙げて説明すると、本実施例では、調整装置30は、運動装置20が周期運動を停止するときに、運動装置20を水平移動させるように駆動することにより、前述の光スポットの位置を運動装置20の径方向に変位させるとともに、周期運動を続けるように運動装置をトリガする。これにより、第1の作業軌跡と第2の作業軌跡を離隔させる。第1の実施例と同様に、好ましくは、調整装置30は、運動装置20を水平移動させることにより、光スポットの位置がこの運動装置20の径方向に運動するように調整する。光スポットの位置が完全に径方向に沿って運動しなくても、光スポットの位置が第1の作業軌跡に交差する方向に一定程度変位することにより、光源10によって運動装置の上に走査された円の半径を変化させるように水平移動すれば、本発明の有益な効果を達成することができる。
【0028】
第1の実施例と同様に、調整装置30が運動装置を調整することにより、励起光の運動装置20への照射によって形成された光スポットの位置を調整するという方法では、運動装置20を回転させることをさらに含む。この回転は、光スポットの位置が第1の作業軌跡に交差する方向に一定程度変位するようにする。この回転は、運動装置20の横方向(つまり、図面の水平方向)の軸線を回転軸とする時計回りまたは反時計回りの回転であってもよく、少なくとも運動装置20の径方向に光スポットの位置を変化させることが可能である他の回転であってもよい。これにより、第1の作業軌跡と第2の作業軌跡を離隔させることができる。第1の実施例と同様に、本実施例では、調整装置は、運動装置20が周期運動中で前述水平移動または回転を行うように制御することもでき、運動装置が周期運動を停止するように制御する必要はない。本実施例の原理及び技術案は、基本的に第1の実施例と同様であるので、ここで詳細に説明しない。
【0029】
本発明に係る光源システムの第3の実施例の構成の模式図である
図4を参照する。
【0030】
本実施例では、第1の実施例と類似しており、光源システムがプリズム60をさらに含むという点で異なる。このプリズム60は、光源10から運動装置20までの光路に設置されており、前記光源10から出射される励起光を運動装置20上に屈折させることができる。調整装置30は、プリズム60に接続されており、運動装置20が周期運動を停止するときにプリズム60を水平移動または回転させるように駆動することができる。このように、前記励起光の光路が変更されることにより、光スポットの位置が第1の作業軌跡に交差する方向に変位する。そこで、第1の作業軌跡と第2の作業軌跡は、離隔されている。同様に、運動装置がディスクの形状であり、第1の操作軌跡がこのディスクと同心の円形リンである場合、調整装置がプリズムを水平移動または回転させるように駆動することにより、光スポットの位置をこのディスクの径方向に運動させることが好ましい。
【0031】
第1の実施例と同様に、調整装置30がプリズム60を調整することにより、励起光の運動装置20への照射によって形成された光スポットの位置を調整するという方法では、プリズム60を回転させることをさらに含むことができる。この回転は、第1の作業軌跡と第2の作業軌跡の離隔の目的を達成するために、光スポットの位置が第1の作業軌跡に交差する方向に一定程度変位するようにする。本実施例では、調整装置は、運動装置の周期運動中でプリズムが前述水平移動または回転を行うように制御することもでき、運動装置が周期運動を停止するように制御する必要はない。本実施例の原理及び技術案は、基本的に第1の実施例と同様であるので、ここで詳細に説明しない。
【0032】
本発明に係る光源システムの第4の実施例の構成の模式図である
図5を参照する。
【0033】
本実施例では、第3の実施例と類似しており、第3の実施例におけるプリズムが反射装置70により置換されるという点で異なる。この反射装置70は、前記光源10からの励起光を前記運動装置20上に反射させることができる。前記調整装置30は、反射装置70に接続されており、この反射装置70を水平移動または回転させるように駆動することができ、すなわち、反射光の光スポットの位置を変化させたり、反射装置70の反射面と前記励起光との間の角度を変化させることができる。このように、前記励起光の光路が変更されることにより、光スポットの位置が第1の作業軌跡に交差する方向に変位する。このように、第1の作業軌跡と第2の作業軌跡は、離隔されている。本実施例の原理及び技術案は、基本的に第3の実施例と同様であるので、ここで詳細に説明しない。
【0034】
本発明に係る光源システムの第5の実施例の構成の模式図である
図6を参照する。
【0035】
本実施例では、第1の実施例と類似しており、前記光源システムが検出装置50をさらに含むという点で異なる。この検出装置50は、周期運動中の運動装置20上に設置された光波長変換材料が老化したかどうかを検出する。この検出装置50は、前記運動装置20上に設置された光波長変換材料の光度を検出し、それを所定の値と比較する。この検出装置50は、光度が所定の値よりも小さい場合、調整装置30へ材料老化の信号を送ることにより、調整装置30を光スポットの位置を調整するようにトリガする。例えば、光源10を所定の距離だけ水平移動させたり、所定の角度だけ回転させることにより、第1の作業軌跡と第2の作業軌跡を離隔させる。また、検出装置は、励起光の輝度が所定の値よりも小さいことを検出した場合、まず、運動装置の周期運動を停止した後、調整装置30を光スポットの位置を調整するようにトリガすることができる。
【0036】
本実施例では、前記調整装置30は、前記第3の実施例におけるプリズム60に接続されたり、前記第4の実施例における反射装置70に接続することができる。同様に、検出装置50は、検出装置50によって検出された光度が所定の値よりも小さい場合、調整装置30へ材料老化の信号を送信することにより、調整装置30をプリズム60または反射装置70を水平移動または回転させるようにトリガする。このように、前記励起光の光路が変更されることにより、調整後の光スポットの位置の作業軌跡と調整前の光スポットの位置の作業軌跡が離隔されている。
【0037】
本発明に係る光源システムの第6の実施例の構成のブロック図である
図7を参照する。
【0038】
本実施例では、第5の実施例と類似しており、前記調整装置30が運動装置20に接続されているという点で異なる。検出装置50は、光波長変換材料の光度が所定の値よりも小さいことを検出した場合、運動装置の周期運動を停止させて調整装置へ材料老化の信号を送るように制御する。その後、調整装置30は、運動装置30を所定の距離だけ水平移動させたり、所定の角度だけ回転させることにより、第1の作業軌跡と第2の作業軌跡を離隔させる。
【0039】
前記第1〜第6の実施例では、調整装置30は、好ましくは、光スポットの位置を第1の作業軌跡に垂直な方向に変位させるように調整する。前記運動装置20は、好ましくは、ディスクの形状であり、前記光スポットの作業軌跡は、前記運動装置20と同心の円であり、前記調整装置30は、好ましくは、前記光スポットの位置を前記運動装置20の径方向に沿って変位させるように調整する。
【0040】
本発明は、他の光源システムも含まれる。
図1を参照すると、本案で提示した第7の実施例は、前記第1の実施例と類似しており、前記運動装置20が励起光に対して第1の運動状態にあるときに、励起光の前記運動装置20への照射によって形成された光スポットの位置は、第1の方向に沿って運動し、前記調整装置30は、運動装置20が第1の運動状態にあるときに、第1の方向に交差する第2の方向に光スポットの位置に対する持続的な往復調整を実行するという点で異なる。調整された光スポットの位置は、第1の方向と第2の方向との合成方向である第3の方向に形成された作業軌跡に沿って周期的に運動する。さらに、第1の方向に沿って周期的に運動する光スポットの位置よりも、同じ時間帯内でこの作業軌跡上の任意の単位面積の光スポットの位置の方は、励起光によって照射される時間がより短い。本実施例では、前記制御装置40は、調整装置30を制御し、調整装置30は、光源10に接続されている。調整装置30は、運動装置20が第1の運動状態にあるときに、光源を持続的に往復水平移動または回転させて前記光スポットの位置を調整するこれにより、光スポットの位置が第2の方向に持続的に往復水平移動または回転されるようにする。このような水平移動や回転は、少なくとも光スポットの位置を第1の方向に交差する方向に一定程度変位させることにより、光スポットの位置が第1の方向と第2の方向の合成方向である第3の方向に形成された作業軌跡に沿って周期的に運動するようにする。
【0041】
第7の実施例と第1の実施例の主な相違点は、以下の通りである。第7の実施例では、運動装置が励起光に対して第1の運動状態にあるときに、調整装置は、周期的に第2の方向に沿って光スポットの位置に対する持続的な往復調整を実行することにより、調整された光スポットの位置が第1の方向と第2の方向の合成方向である第3の方向に形成された作業軌跡に沿って周期的に運動するようにする。この調整プロセスは、運動装置全体の運動過程中に、すなわち、効果的に励起された光全体の出力過程中に発生している。しかし、第1の実施例では、運動装置が周期運動を停止した後、光スポットの位置調整が行われ、光スポットの位置が目標位置(例えば、
図2cでの点b)に調整されると、調整が停止され、運動装置が周期運動を再開する。または、運動装置の周期運動中で、光スポットの位置が目標位置(例えば、
図2cでの点b)に調整され、その後、調整が停止される。要するに、第7の実施例では、調整プロセスは、持続的であり、常に運動装置全体の運動過程に伴うが、第1の実施例では、調整プロセスは、瞬間的な動作であり、光スポットの位置が目標位置に調整されると停止される。
【0042】
従来技術において第1の方向に沿って周期的に運動する光スポットの位置よりも、第7の実施例では、同じ時間帯(例えば、光スポットの位置が第3の方向に運動する1つの周期)内で第3の方向に形成された作業軌跡上の任意の単位面積の光スポットの位置の方は、励起光によって照射される時間がより短い。したがって、当該作業軌跡上の任意の単位面積の光波長変換材料の作業負荷が軽減されることにより、光波長変換材料の老化を遅らせ、光源システムの使用寿命を延長させることができる。
【0043】
理解を助けるために、以下、より具体的な実施例を挙げ、第7の実施例の発明思想を説明しようとする。
図8は、本発明に係る光源システムの第8の実施例における作業軌跡の模式図である。
図8に示すように、第8の実施例では、運動装置は、ディスクの形状であり、このディスクは、点Oを円心とする。運動装置が励起光に対して第1の運動状態にあるときに、励起光のこの運動装置への照射によって形成された光スポットの位置は、第1の方向に沿って周期的に運動しており、第1の方向は、図面の破線で表示されるディスクの軸方向である。例えば、ディスクを励起光に対して第1の運動状態にする具体的な実現方式は、光源を静止状態にしてディスクを第1の方向、すなわち、図面の破線で表示されるディスクの軸方向に回転させることにより、または、ディスクを静止状態にして光源からの出射光の光スポットを前記第1の方向に回転させることにより達成することができる。
【0044】
調整装置は、ディスクが励起光に対して第1の運動状態にあるときに、周期的にこのディスクの径方向である第2の方向に光スポットの位置に対する持続的な往復調整を実行することができる。調整された光スポットの位置は、この径方向と破線で示される軸方向との合成方向である第3の方向に形成された作業軌跡に沿って周期的に運動する。この作業軌跡は、
図8に実線で表示されており、具体的には、螺旋形である。破線の最下端にある点B(つまり、実線と破線の交点)を始点として、ディスクが励起光に対して第1の運動状態にあり、調整装置が第2の方向に光スポットの位置に対する持続的な往復調整を実行するときに、光スポットの位置が前記始点から反時計回りに順番に点C、D、E、D、C、BおよびAを経て再度前記始点に戻ると、一つの運動サイクルが完成される。
【0045】
本実施例では、調整装置は、光源をディスクに対して持続的に往復水平移動や回転させることにより、光スポットの位置がこのディスクの径方向に持続的に往復水平移動するようにする。光スポットの位置がディスクの径方向に持続的な往復水平移動する周期と光スポットの位置が第1の方向に回転する周期の比は、任意の値であってもよく、好ましくは、2以上の値である。具体的には、本実施例では、光スポットの位置が調整されることで光スポットの位置がディスクの径方向に持続的に往復水平移動する周期は、光スポットの位置が第1の方向に回転する周期の4倍である。
【0046】
本実施例では、実線で表示された作業軌跡は、左右対称の図形である。そのうち、実線上の点Bと点A間の線分から点Oまでの最短距離は、破線で表示された円の1/4の半径よりも大きい。光スポットの位置が破線に沿って移動する周期は、1秒(s)であり、1秒ごとにこの破線上の単位面積の光スポットの位置が励起光によって照射される時間は、0.1秒であると仮定すると、光スポットの位置が実線に沿って移動する周期は、4秒である。実線で点Oに最も近い距離は、破線で表示された円の1/4の半径よりも大きいため、1秒ごとに実線上の任意の単位面積の光スポットの位置が励起光によって照射される時間は、0.1秒より大きく、つまり、破線上の単位面積の光スポットの位置が励起光によって照射される時間よりも長い。したがって、本実施例における作業軌跡上の任意の単位面積の光波長変換材料の作業負荷が軽減されることにより、光波長変換材料の老化を遅らせ、光源システムの使用寿命を延長させることができる。
【0047】
本発明に係る光源システムの第9の実施例における作業軌跡の模式図である
図9を参照する。
図9に示すように、この実施例と
図8に示す実施例の主な相違点は、光スポットの位置が径方向に持続的に往復水平移動する周期は、光スポットの位置が第1の方向に回転する周期の2倍であるということである。第1の方向は、破線で表示され、光スポットの位置が周期的に第3の方向に運動して形成された作業軌跡は、実線で表示される。点Bを始点として、光スポットの位置が反時計回りに順番に点C、BおよびAを経て再び前述始点に戻って、1つの運動のサイクルが完成される。本実施例では、実線でO点までの最短距離は、破線で示される円の1/2の半径よりも大きいことで、同じ時間帯内で実線上の任意の単位面積の光スポットの位置が励起光によって照射される時間は、破線上の単位面積の光スポットの位置が励起光によって照射される時間よりも長いことを確保することができる。したがって、本実施例における作業軌跡上の任意の単位面積の光波長変換材料の作業負荷が軽減されることにより、光波長変換材料の老化を遅らせ、光源システムの使用寿命を延長させることができる。
【0048】
図8及び
図9に示す実施例では、第2の方向は、ディスクの径方向である。なお、第2の方向は、ディスク上のディスクの軸方向に交差する他の方向とすることもできることを理解すべきである。
【0049】
なお、第2の実施例と同様に、第8及び第9の実施例では、調整装置は、運動装置に接続されてもよく、調整装置は、運動装置が第1の運動状態にあるときに、運動装置を持続的に往復水平移動または回転させることにより、光スポットの位置が第2の方向に持続的に往復水平移動するようにするものである、または、第3及び第4の実施例と同様に、第8及び第9の実施例では、光源システムは、励起光の光源から運動装置までの光路に設置された光学デバイスをさらに含んでもよく、調整装置は、この光学デバイスに接続されており、運動装置が第1の運動状態にあるときに、光学デバイスを持続的に往復水平移動または回転させることにより、光スポットの位置が第2の方向に持続的に往復水平移動するようにするものである、ことを理解すべきである。この光学デバイスは、プリズムや反射鏡を含む。好ましくは、調整装置が光源、運動装置または光学デバイスを持続的に往復水平移動または回転させる周期、すなわち、光スポットの位置が運動装置の第2の方向に持続的に往復水平移動する周期は、光スポットの位置が第1の方向に運動する周期の2倍以上である。
【0050】
図8及び
図9に示す実施例は、運動装置がディスクである場合を例にして、第7の実施例の発明思想を説明したものであり、以下、運動装置が長方形プレートである場合を例に挙げて説明する。本発明に係る光源システムの第10の実施例における作業軌跡の模式図である
図10を参照する。
図10に示すように、運動装置(長方形プレート)が励起光に対して第1の運動状態にあるときに、励起光の前記運動装置への照射によって形成された光スポットの位置は、破線で示される長手方向、すなわち、第1の方向に周期的に往復運動する。例を挙げて説明すると、長方形プレートを励起光に対して第1の運動状態にする具体的な実現方式は、光源を静止状態にして長方形プレートを第1の方向、すなわち、図面の破線で表示されるディスクの長手方向に往復水平移動させることにより、または、長方形プレートを静止状態にして光源からの出射光の光スポットを前記第1の方向に往復水平移動させることにより達成することができる。
【0051】
長方形プレートが励起光に対して第1の運動状態にあるときに、調整装置は、光スポットの位置を長方形プレート上の破線で示される長手方向に垂直する方向である第2の方向に沿って周期的に往復調整することにより、調整された光スポットの位置が第2の方向と破線で示される長手方向との合成方向である第3の方向に形成された作業軌跡に沿って周期的に運動するようにする。この作業軌跡は、
図10に実線で表示されており、具体的には、2つの接続された菱形である。点Aを始点として、長方形プレートが励起光に対して第1の運動状態にあり、調整装置が第2の方向に光スポットの位置に対する持続的な往復調整を実行するときに、光スポットの位置が前記始点から順番に点B、C、Bを経て再度前記始点に戻ると、一つの運動サイクルが完成される。
【0052】
本実施例では、調整装置は、光源を長方形プレートに対して持続的に往復水平移動または回転させるこれにより、光スポットの位置が第2の方向、つまり、長方形プレート上の破線で示される長手方向に垂直な方向に持続的に往復水平移動するようにする。光スポットの位置が第2の方向に持続的に往復水平移動する周期と光スポットの位置が第1の方向に持続的に往復水平移動する周期の比は、任意の値であってもよい。具体的には、本実施例では、光スポットの位置が調整されることで光スポットの位置が第2の方向に持続的に往復水平移動する周期は、光スポットの位置が第1の方向に持続的に往復水平移動する周期の1/2倍である。
【0053】
従来技術では、光スポットの位置は、破線で示される長手方向に往復水平移動する。この往復水平移動の周期を1秒とすると、この破線上の任意の単位面積の光スポットの位置は、1秒ごとに励起光によって二回照射される。しかし、本実施例では、作業軌跡上の任意の単位面積の光スポットの位置は、1秒ごとに励起光によって一回照射される。そして、曲線A-B-Cが直線A-B-Cよりも長いので、この作業軌跡上の任意の単位面積の光スポットの位置が励起光によって一回照射される時間は、より短い。そこで、従来技術と比較して、本実施例では、作業軌跡上の任意の単位面積の光スポットの位置が1秒ごとに励起光によって照射される時間は、より短い。したがって、この作業軌跡上の任意の単位面積の光波長変換材料の作業負荷が軽減されることにより、光波長変換材料の老化を遅らせ、光源システムの使用寿命を延長させることができる。
【0054】
本発明に係る光源システムの第11の実施例における作業軌跡の模式図である
図11を参照する。
図11に示すように、この実施例と
図10に示す実施例の主な相違点は、光スポットの位置が第2の方向に持続的に往復水平移動する周期は、光スポットの位置が第1の方向に回転する周期の1倍であるということである。第1の方向は、破線で表示され、光スポットの位置が周期的に第3の方向に運動して形成された作業軌跡は、実線で表示される。点Bを始点として、光スポットの位置が反時計回りに点Aを経て再び始点Bに戻って、1つの運動のサイクルが完成される。
【0055】
本発明に係る光源システムの第12の実施例における作業軌跡の模式図である
図12を参照する。
図12に示すように、この実施例と
図11に示す実施例の主な相違点は、光スポットの位置が第2の方向に持続的に往復水平移動する周期は、光スポットの位置が第1の方向に回転する周期の2倍であるということである。第1の方向は、破線(A-B)で表示され、光スポットの位置が周期的に第3の方向に運動して形成された作業軌跡は、実線で表示される。点Aを始点として、光スポットの位置が順番に点C、DおよびCを経て再び始点Aに戻って、1つの運動のサイクルが完成される。
【0056】
図10、11および12に示す実施例では、第2の方向は、長方形プレート上の破線で示される長手方向に垂直な方向である。なお、第2の方向は、長方形プレート上の破線で示される長手方向と交差する他の方向とすることもできることを理解すべきである。
【0057】
なお、第2の実施例と同様に、第10、11及び12の実施例では、調整装置は、運動装置に接続されてもよく、調整装置は、運動装置が第1の運動状態にあるときに、運動装置を持続的に往復水平移動または回転させることにより、光スポットの位置が第2の方向に持続的に往復水平移動するようにする、または、第3及び第4の実施例と同様に、第10、11及び12の実施例では、光源システムは、励起光の光源から運動装置までの光路に設置された光学デバイスをさらに含んでもよく、調整装置は、この光学デバイスに接続されており、運動装置が第1の運動状態にあるときに、光学デバイスを持続的に往復水平移動または回転させることにより、光スポットの位置が第2の方向に持続的に往復水平移動するようにする、ことを理解すべきである。この光学デバイスは、プリズムや反射鏡を含む。
【0058】
また、本発明の実施例によれば、前述各実施例における光源システムを含み、前述各実施例における光源システムの機能を実現することができる投影システムをさらに提供する。
【0059】
以上は、本発明の好ましい実施例だけものであり、本発明の特許範囲を限定するものではない。本発明の明細書及び図面の内容を利用することで得られる、直接的にまたは間接的に他の関連技術分野において運用される、任意の等価な構造変換は、同様に、本発明の特許保護の範囲内に含まれる。