(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092232
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】複合材料で作られたガスタービンケーシングを作成するための真空ライナーを備える含浸マンドレル
(51)【国際特許分類】
B29C 43/56 20060101AFI20170227BHJP
F02C 7/00 20060101ALI20170227BHJP
B29C 43/12 20060101ALI20170227BHJP
B29C 43/34 20060101ALI20170227BHJP
B29C 70/16 20060101ALI20170227BHJP
F01D 25/24 20060101ALI20170227BHJP
B29K 105/08 20060101ALN20170227BHJP
B29L 31/30 20060101ALN20170227BHJP
【FI】
B29C43/56
F02C7/00 D
B29C43/12
B29C43/34
B29C67/14 C
F02C7/00 E
F02C7/00 F
F01D25/24 D
F01D25/24 R
B29K105:08
B29L31:30
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-537689(P2014-537689)
(86)(22)【出願日】2012年10月17日
(65)【公表番号】特表2015-501241(P2015-501241A)
(43)【公表日】2015年1月15日
(86)【国際出願番号】FR2012052367
(87)【国際公開番号】WO2013060966
(87)【国際公開日】20130502
【審査請求日】2015年9月17日
(31)【優先権主張番号】61/551,544
(32)【優先日】2011年10月26日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マトン,リシャール
(72)【発明者】
【氏名】パトリジョン,オリビエ
(72)【発明者】
【氏名】ベッテガ,ルイ
【審査官】
▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】
特開2008−240724(JP,A)
【文献】
特開2011−083975(JP,A)
【文献】
特表平11−508197(JP,A)
【文献】
特開昭62−146617(JP,A)
【文献】
特表2009−538261(JP,A)
【文献】
特開2009−274248(JP,A)
【文献】
特表2011−516294(JP,A)
【文献】
特表2015−501240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/00−43/58
B29C 70/00−70/88
F01D 13/00−15/12
F01D 23/00−25/36
F02C 1/00− 9/58
F23R 3/00− 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材料で作られたガスタービンケーシングを作成するための含浸マンドレルであって、
繊維状組織の重畳層によって形成された繊維強化材(28)が保持されるようになっている含浸マンドレル(100)であって、そのプロファイルが製造されるケーシングのプロファイルに対応する中央環状壁(102)と、そのプロファイルが製造されるケーシングの外フランジのプロファイルに対応する2つの側方フランジ(104a、104b)とを含む、マンドレルと、
マンドレルの中央壁とフランジとの間に形成された角度を覆う繊維強化材の部分に対して支持されるように意図された角部(108a、108b)と、マンドレルの対応するフランジ上に固定されるように意図された結合フランジ(110a、110b)と、を各々が含む圧縮バー(106a、106b)と、
少なくともマンドレルの中央壁を覆う繊維強化材のその部分に適用されるように意図される真空ライナーを形成する柔軟エンベロープ(118)と、
繊維強化材の長手末端において真空ライナーとマンドレルとの間に画定された空間(122)内に樹脂を注入し、反対端においてこれを抽出する手段(120、124)と、を含み、圧縮バー(110a、110b)の結合フランジ(106a、106b)が、マンドレルのフランジにきつく固定されるように意図される、マンドレル。
【請求項2】
繊維強化材の長手末端において真空ライナーとマンドレルとの間の画定空間の内部で終端する少なくとも1つの樹脂注入オリフィス(120)と、樹脂注入オリフィスが終端するのと反対側の繊維強化材の長手末端に配置された少なくとも1つの樹脂抽出オリフィス(124)と、を含む、請求項1に記載のマンドレル。
【請求項3】
樹脂注入オリフィス(120)がマンドレルのフランジ(104a)のうちの1つに形成され、樹脂抽出オリフィス(124)は別のフランジ(104b)内に形成される、請求項2に記載のマンドレル。
【請求項4】
樹脂注入オリフィス(120)がいわゆる注入圧縮バー(106a)の角部(108a)で終端し、それに対して樹脂抽出オリフィス(124)は前記反対の抽出圧縮バー(106b)の下流で終端する、請求項3に記載のマンドレル。
【請求項5】
抽出圧縮バー(106b)の結合フランジ(110b)が、樹脂の通過を保証する溝(126)を含む、請求項4に記載のマンドレル。
【請求項6】
真空ライナー(118)が、また、圧縮バー(106a、106b)にも適用されて、マンドレルのフランジにその自由端できつく固定されるように意図される、請求項1から5のいずれか一項に記載のマンドレル。
【請求項7】
マンドレルの各フランジには、マンドレルの外周全体を覆うために角度を付けて末端同士で合わせられた4つの圧縮バーがある、請求項1から6のいずれか一項に記載のマンドレル。
【請求項8】
含浸マンドレル上の繊維状組織の巻上機(10)であって、
三次元織りによって製造された繊維組織(16)が保管されるようになっている巻き取りマンドレル(14)であって、実質的に水平な回転軸(18)を有する巻き取りマンドレルと、
巻き取りマンドレルの回転軸と平行な実質的に水平の回転軸(22)を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の含浸マンドレル(100)と、
それぞれの回転軸を中心にマンドレルを回転駆動させる電気モータ(20、24)と、
マンドレルを回転駆動させる電気モータの制御装置(26)と、を含む巻上機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガスタービンケーシングの一般的な分野に関し、より具体的には航空エンジン用のガスタービンファンの保持ケーシングに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービン航空エンジンにおいて、ファンケーシングは多くの機能を果たす。これはエンジンへの流入空気ストリームを定義し、ファンの羽根の先端に対して摩耗性材料を支持し、エンジンの音響インレット処理のための音波吸収用の任意の構造を支持し、保持シールドを組み込むかまたは支持する。これは、吸入物または遠心作用によって投げ出された損傷羽根の断片などの破片がケーシングを通過して航空機のその他の部品に到達するのを防止するために、これらを捕捉するためのトラップを含む。
【0003】
複合材料で作られたファンを保持するためのケーシングの作成は、すでに提案されている。繊維状組織の重畳層による繊維強化材の形成、およびマトリクスによる繊維強化材の緻密化を含む、漸進的厚みの複合材料で作られたケーシングの製造を記載する、欧州特許第1961923号明細書が参照されてもよい。この発明によれば、繊維状組織は漸進的厚みを備える三次元織りによって作成され、製造されるケーシングのプロファイルに対応するプロファイルの中央壁と、ケーシングの外フランジのプロファイルに対応するプロファイルの2つの側方フランジとを有するマンドレル上に、いくつかの重畳層として巻き付けられる。結果的に得られる繊維プリフォームはマンドレル上に保持され、樹脂による含浸は重合に先立って真空下で完了する。この文献に記載されるような漸進的厚みの織り組織のマンドレル上の巻き付けは、可変厚を備える好適なプロファイルを有する管状プリフォームを直接提供する。
【0004】
実際には、真空下で行われる樹脂含浸ステップは、特にケーシングの外フランジを後に形成することになる強化材のフランジのレベルに、全ての繊維強化材に適用される柔軟エンベロープ(またはライナー)を必要とする。次に、外側と、繊維強化材を収容するマンドレルおよびライナーによって画定された空間との間に、圧力差が設定される。すると、この空間内への樹脂の注入が開始可能となる。
【0005】
このステップの間、真空の設定は、マンドレルのフランジと中央壁との間のフランジの角度のレベルに位置する繊維状組織の層に張力を生じる傾向があり、層間の樹脂圧縮および質量欠損を原因として、この張力設定が織物を離れさせることが、注目された。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、本発明の主な目的は、特にフランジの角度のレベルにおいて、繊維強化材の均一な圧縮を保証する真空ライナーによる含浸のためのソリューションを提案することによって、このような欠点を是正することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、複合材料で作られたガスタービンケーシングを作成するための含浸マンドレルによって達成されるが、これは
繊維状組織の重畳層によって形成された繊維強化材が保持されるようになっている含浸マンドレルであって、そのプロファイルが製造されるケーシングのプロファイルに対応する中央環状壁と、そのプロファイルが製造されるケーシングの外フランジのプロファイルに対応する2つの側方フランジとを含む、マンドレルと、
マンドレルの中央壁とフランジとの間に形成された角度を覆う繊維強化材の部分に対して支持されるように意図された角部と、マンドレルの対応するフランジ上に固定されるように意図された結合フランジと、を各々が含む圧縮バーと、
少なくともマンドレルの中央壁を覆う繊維強化材のその部分に適用されるように意図される真空ライナーを形成する柔軟エンベロープと、
繊維強化材の長手末端において真空ライナーとマンドレルとの間に画定された空間内に樹脂を注入し、反対端においてこれを抽出する手段と、を含む。
【0008】
本発明によるマンドレルの圧縮バーは、一旦巻き取り工程が完了すると、真空ライナーの配置の前に、位置決めされる。これらの圧縮バーは、真空を設定する前に、フランジの角度を覆う繊維強化材の部分の均一な圧縮を保証する。このようにして、真空を設定するためのこの工程の間、繊維強化材の層の間の樹脂塊の形成のいかなる危険も、回避されることが可能である。
【0009】
また、圧縮バーは含浸マンドレル上に直接固定されるように意図されており、これは製造されるケーシングの外フランジの幾何形状を正確に再現性よく制御する。
【0010】
マンドレルは好ましくは、繊維強化材の長手末端において真空ライナーとマンドレルとの間に画定された空間の内部で終端する少なくとも1つの樹脂注入オリフィスと、樹脂注入オリフィスが終端するのと反対側の繊維強化材の長手末端に配置された少なくとも1つの樹脂抽出オリフィスと、を含む。
【0011】
この場合、樹脂注入オリフィスはマンドレルのフランジのうちの1つに形成されることが可能であり、樹脂抽出オリフィスは別のフランジ内に形成されることが可能である。有利なことに、樹脂注入オリフィスはいわゆる注入圧縮バーの角部で終端し、それに対して樹脂抽出オリフィスはいわゆる抽出逆圧縮バーの下流で終端する。
【0012】
抽出圧縮バーの結合フランジは、樹脂の通過を保証する溝を含んでもよい。
【0013】
真空ライナーは、やはり圧縮バーに適用されて、マンドレルのフランジにその自由端できつく固定されるように、意図されてもよい。
【0014】
圧縮バーの結合フランジは、好ましくはマンドレルのフランジにきつく固定されるように意図される。
【0015】
マンドレルの各フランジには、4つの圧縮バーがあってもよく、これらはマンドレルの外周全体を覆うために角度を付けて末端同士で合わせられてもよい。
【0016】
本発明の別の目的は、含浸マンドレル上の繊維状組織の巻上機であって、これは、三次元織りによって製造された繊維組織が保管されるようになっている巻き取りマンドレルであって、実質的に水平な回転軸を有する巻き取りマンドレルと、先に定義されたような、巻き取りマンドレルの回転軸と平行な実質的に水平の回転軸を有する含浸マンドレルと、それぞれの回転軸を中心にマンドレルを回転駆動させる電気モータと、マンドレルを回転駆動させる電気モータの制御装置と、を含む。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、いかなる限定的特徴も含まない実施形態を図解する以下の添付図面を参照して、以下の説明より明らかとなるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明による、含浸マンドレル上の繊維状組織の巻上機の、概略側面図である。
【
図2】圧縮バーの配置の間の、
図1の巻上機の含浸マンドレルの図である。
【
図3】
図2のIII−IIIに沿った断面図である。
【
図4】真空ライナーの配置後の、
図3の含浸マンドレルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明はここで、ガスタービンを備える航空エンジン内のファンケーシングの製造への適用の範囲において、記載される。
【0020】
このようなファンケーシングの製造プロセスの例は、参考文献である欧州特許第1961923号明細書に記載されている。
【0021】
ケーシングは、マトリクスによって緻密化された繊維強化材を備える複合材料で作られている。強化材は、炭素、ガラス、アラミド、またはセラミックなどの繊維で作られ、マトリクスは例えばエポキシ化合物、ビスマレイミド、またはポリイミドなどのポリマーで作られる。
【0022】
簡潔には、本明細書に記載される製造プロセスは、作成されるケーシングのプロファイルに応じて決定されるプロファイルを有するドラム上のチェーン巻取装置(以下、巻き取りマンドレルと称される)を用いて三次元織りによって繊維状組織を作成するステップからなる。
【0023】
結果的に得られた繊維状組織はその後、その外部プロファイルが作成されるケーシングの内部プロファイルに対応する、樹脂注入金型のマンドレル(以下、含浸マンドレルと称される)に搬送される。
【0024】
プリフォームが含浸マンドレル上に保持されている間、次に樹脂を用いて含浸が行われる。この目的のため、プリフォームに柔軟エンベロープ(真空ライナーとも称される)が緊密に適用され、結果的に得られた金型に樹脂が注入される。含浸は、プリフォームを収容する金型の外側と内側との間に設定されている圧力差によって、支援される(空気真空)。含浸の後、樹脂重合ステップが実行される。
【0025】
本発明は、その機能が、
図1に示されるように、巻き取りマンドレル上に保管された繊維状組織の樹脂注入金型の含浸マンドレルへの自動搬送である、いずれのタイプの巻上機にも適用される。
【0026】
このような機械の構造および動作を詳細に記載した、フランス特許出願第1153212号明細書(未公開)が、参照されてもよい。
【0027】
簡潔に、巻上機10は、特に本発明による巻き取りマンドレル14および含浸マンドレル100を支持するフレーム12を含む。これらのマンドレルは取り外し可能であり、すなわちこれらはフレームから分解されることが可能である。
【0028】
巻き取りマンドレル14は、例えば三次元織りによって製造された繊維組織16を受け取る。これは、その一端が巻上機のフレーム12上で回転するように実装され、他端が例えば交流電流の電気モータ減速機などの電気エンジン20の出力シャフトに結合された、水平軸18によって担持されている。
【0029】
巻き取りマンドレル14、その軸18、およびその電気エンジン20によって構成されるアセンブリは、巻き取りマンドレルの回転軸に沿ってフレームに対して並進することができる。巻き取りマンドレルの並進におけるこの自由度は、含浸マンドレル上の繊維状組織の巻き取りに先立って、含浸マンドレル上のこのマンドレルのアライメントを形成する。
【0030】
巻上機の含浸マンドレル100は、巻き取りマンドレル上に保管された繊維状組織を、重畳層として受け取るように意図されている。それ自体周知のやり方において、これはその外面のプロファイルが作成されるケーシングの内面のプロファイルに対応している中央環状壁102と、その他の要素に実装および連結できるようにするためにそのプロファイルが上流および下流末端においてケーシングの外フランジのプロファイルに対応している2つの側方フランジ104a、104bと、を有する。
【0031】
含浸マンドレルは、巻き取りマンドレルの回転軸18と平行であって、その一端は巻上機のフレーム12上で回転するように実装され、他端は例えば交流電流の電気モータ減速機などの電気エンジン24の出力シャフトに結合された、水平軸22によって担持されている。
【0032】
制御装置26は、2つのマンドレルの電気モータ20、24に接続され、各マンドレルの回転速度を制御する。より一般的には、この制御装置は、巻上機の運転パラメータのアセンブリ、および特にモータ駆動したときの巻き取りマンドレルの並進のずれを、制御する。
【0033】
このような機械を用いて、含浸マンドレル上の繊維状組織の巻き取りは、以下のように行われる:巻き取りマンドレルの繊維状組織の自由端が、以下に記載されるクランピングによって保持するための装置を用いて含浸マンドレル上にまず固定され、次にマンドレルを回転駆動するエンジンが始動されて、繊維状組織に適切な巻き張力を印加するように、制御装置によって制御される。
【0034】
含浸マンドレル上の重畳層としての繊維状組織の巻き取りがその後開始されて、
図1の矢印Fで示される回転方向に実行されることが可能である。一例として、作成されるケーシングの仕様に準拠する厚みを有する繊維強化材28を製造するために、4と1/8回転を行う必要があるかも知れない。
【0035】
本発明によれば、含浸マンドレル100には、巻き取り工程の完了時に真空ライナーの下で樹脂による含浸を保証する手段が設けられる。
【0036】
より正確には、
図2から
図4に示されるように、含浸マンドレルは、その中央壁102とフランジ104a、104bとの間に形成された角度を覆う繊維強化材28の部分のレベルでマンドレル上に配置されるように意図された、いわゆる角度圧縮バーを含む。
【0037】
これらのバーは、マンドレルの中央壁とフランジ104aとの間に形成された角度を覆う繊維強化材の部分に対して実装されるように意図された第一シリーズの圧縮バー106aと、マンドレルの中央壁と他のフランジ104bとの間に形成された角度を覆う繊維強化材の部分に対して実装されるように意図された第二シリーズの圧縮バー106bとを含む。
【0038】
これらのシリーズの圧縮バー106a、106bは、マンドレルの全周を覆い、扇型になっている。このため、
図2に示される例において、各シリーズは、各々がおよそ90°にわたって延在して、含浸マンドレルの外周全体を覆うために角度を付けて末端同士を合わせた、4つの圧縮バーを含む。当然ながら、シリーズあたりのバーの数は異なってもよい。
【0039】
各圧縮バー106a、106bは、マンドレルの中央壁102とフランジ104a、104bとの間に形成された角度を覆う繊維強化材の部分に対して支持されるように意図された角部108a、108bと、マンドレルの対応するフランジ上に固定されるように意図された結合フランジ110a、110bとを含む。
【0040】
含浸マンドレル上に圧縮バーを配置することにより、フランジ角度のレベルにおける繊維強化材の均一な圧縮を保証する。この配置は、例えば張力タイプの特定の工具を用いることによって、保証され得る。
【0041】
一旦所定位置につくと、圧縮バーは、その結合フランジ110a、110bによって、および例えばネジ112によって、含浸マンドレル上に固定される。この固定は、これら同じネジの通過のために結合フランジに開けられた開口部を封止するネジおよびプラグ116の通過のために作られた穿孔の周りで結合フランジの内面に対して位置決めされたOリングジョイント114の存在によって、締め付けられる。
【0042】
その後真空ライナーを形成する柔軟エンベロープ118が、少なくともマンドレルの中央壁を覆う繊維強化材のその部分に適用される。
図4に示されるように、この真空ライナー118は好ましくは、マンドレルの中央部のレベルで繊維強化材に同時に適用されるが、しかしマンドレルのフランジ104a、104b上にきつく固定されるように、その自由端のレベルにおいて、圧縮バー106a、106bも覆う。真空ライナー118を作成するために使用される材料は、例えばナイロンである(材料の選択は、特に樹脂の温度区分に依存することになる)。
【0043】
含浸マンドレルは、結果的に得られた金型内に樹脂を注入する手段を、さらに含む。この目的のため、マンドレルのフランジの1つ(ここではフランジ104a)は、対応する圧縮バー106a(「注入圧縮バー」とも称される)の角部108aと、対応するフランジ104aとの間に画定される空間122の内部で終端する、少なくとも1つの樹脂注入オリフィス120を含む。このようにして、樹脂の注入は、マンドレル上に保持される繊維強化材28の自由端の1つのレベルにおいて行われる。
【0044】
樹脂は、反対のフランジ(具体的にはここではフランジ104b)のレベルで抽出される。この目的のため、このフランジは、真空ライナー118の反対の自由端とフランジ104bとの間に画定された空間の内部で終端する1つ以上の抽出オリフィス124を含み、この空間は、対応する圧縮バー106b(「抽出圧縮バー」とも称される)の下流に位置している。ここで下流とは、マンドレル上に保持された繊維強化材の2つの長手末端の間の樹脂の流れに対しての意味である。
【0045】
樹脂が繊維強化材28から1つまたは複数の抽出オリフィス124まで通過できるようにするためには、抽出圧縮バー106bを越える必要がある。その内面のレベルにおいて、その結合フランジ110bはまた、半径方向外向きに延在してこのような樹脂の通過を可能にする寸法の複数の溝126(
図3参照)も有する。
【0046】
また、外側と、繊維強化材を収容するマンドレルおよびライナーによって画定された空間との間に圧力差を形成することによって、ライナー118の真空引きを設定するために、1つまたは複数の抽出オリフィスが使用されてもよいことは、自明である。この目的のため、抽出圧縮バー106bの下流のその部分において真空ライナーとマンドレルのフランジ104bとの間に真空排出織物を配置する必要があるかも知れない(このような織物は、抽出オリフィスまでの真空の不連続性を防止する)。真空の設定は、樹脂注入工程を支援する。
【0047】
一旦真空が設定されると、樹脂は真空ライナーで覆われた含浸マンドレルによって形成される金型内に注入される。この工程の完了時に、樹脂重合ステップがそれ自体周知の通りに行われる。