特許第6092260号(P6092260)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6092260アレイ基板の製造方法及びアレイ基板、ディスプレー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092260
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】アレイ基板の製造方法及びアレイ基板、ディスプレー
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/786 20060101AFI20170227BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20170227BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20170227BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20170227BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20170227BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   H01L29/78 618B
   H01L29/78 617U
   H01L29/78 619A
   H01L29/78 616V
   H01L29/78 616K
   H01L29/78 627C
   H01L21/28 301B
   H01L21/28 E
   H01L21/306 F
   G09F9/30 338
   G09F9/00 338
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-557974(P2014-557974)
(86)(22)【出願日】2012年11月21日
(65)【公表番号】特表2015-515120(P2015-515120A)
(43)【公表日】2015年5月21日
(86)【国際出願番号】CN2012084966
(87)【国際公開番号】WO2013127202
(87)【国際公開日】20130906
【審査請求日】2015年11月13日
(31)【優先権主張番号】201210048821.3
(32)【優先日】2012年2月28日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】姚 ▲チー▼
(72)【発明者】
【氏名】戴 天明
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ ▲鋒▼
(72)【発明者】
【氏名】曹 占▲鋒▼
(72)【発明者】
【氏名】朱 佩誉
【審査官】 竹口 泰裕
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/008192(WO,A1)
【文献】 国際公開第2009/066750(WO,A1)
【文献】 特開2009−141002(JP,A)
【文献】 特開2011−166120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L21/336、29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース基板上にボトム層金属薄膜を製作し、パターニング工程によって少なくとも薄膜トランジスタのゲート電極を形成することと、
前記ゲート電極を覆うゲート絶縁層を製作することと、
金属酸化物半導体薄膜及びトップ層金属薄膜を製作し、前記金属酸化物半導体薄膜及び前記トップ層金属薄膜に対してパターニング工程を行うことで、前記ゲート電極に対向する活性層及び薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極とをそれぞれ形成することと、
前記ソース電極及びドレイン電極を覆うパッシベーション層を製作し、前記ドレイン電極の位置に画素電極と連通するビアホールを形成することと、を含み、
前記トップ層金属薄膜に対してパターニングを行う工程において、過酸化水素系エッチング液を使って前記トップ層金属薄膜をエッチングし、且つ、前記エッチング液のpH値が6〜8であり、
前記ゲート電極に相向する活性層及び薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極とを形成するステップは、
順次に前記金属酸化物半導体薄膜と前記トップ層金属薄膜とを製作することと、
順次に製作された二層の薄膜にフォトレジストをコーティングし、前記フォトレジストを一部保留領域と、完全保留領域と、完全除去領域とに区分し、前記領域の区分に従って、一回の露光・現像を行い、完全除去領域のフォトレジストを除去するとともに、完全保留領域の厚みが一部保留領域の厚みより大きくなるようにフォトレジストを保留することと、
過酸化水素系エッチング液を使って完全除去領域のトップ層金属薄膜をエッチングすることと、
トップ層金属と反応しない酸を含有するエッチング液を使って完全除去領域の金属酸化物薄膜をエッチングして活性層を形成することと、
残されたフォトレジストをアッシングして、一部保留領域のフォトレジストを除去するとともに、部分的な完全保留領域のフォトレジストを残すことと、
前記過酸化水素系エッチング液を使って一部保留領域のトップ層金属薄膜をエッチングして、ソース電極とドレイン電極とを形成することを含むことを特徴とするアレイ基板の製造方法。
【請求項2】
前記過酸化水素系エッチング液の成分は、過酸化水素と、トップ層金属イオン錯化剤と、過酸化水素の安定剤と、表面活性剤とを含むことを特徴とする請求項1に記載されたアレイ基板の製造方法。
【請求項3】
前記エッチング液において、前記過酸化水素の含有量が5%〜20%であり、前記表面活性剤の含有量が1%〜10%であり、前記トップ層金属イオン錯化剤の含有量が1%〜25%であることを特徴とする請求項に記載されたアレイ基板の製造方法。
【請求項4】
前記ゲート絶縁層の製作が完了した後、且つ前記金属酸化物半導体薄膜を製作する前に、
水素を含まない非金属酸化物の薄膜を製作し、一回のパターニング工程によって前記ゲート電極に相向する位置に、前記ゲート絶縁層と前記活性層との接触を防止する為の第1分離層を形成することをさらに含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載されたアレイ基板の製造方法。
【請求項5】
薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極との製作が完了した後、且つ前記パッシベーション層を製作する前に、
水素を含まない非金属酸化物の薄膜を製作し、一回のパターニング工程によって前記ゲート電極に相向する位置に、前記活性層と前記パッシベーション層との接触を防止する為の第2分離層を形成することをさらに含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載されたアレイ基板の製造方法。
【請求項6】
前記トップ層金属が、銅或いは銅合金であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載されたアレイ基板の製造方法。
【請求項7】
前記ゲート電極に相向する活性層及び薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極を形成するステップは、
前記金属酸化物半導体薄膜を製作し、一回のパターニング工程によって前記ゲート電極に相向する位置に活性層を形成することと、
前記トップ層金属薄膜を製作し、一回のパターニング工程によって前記薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極とを形成することを含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載された製造方法。
【請求項8】
前記トップ層金属イオン錯化剤が、銅イオン錯化剤であることを特徴とする請求項2又は3に記載されたアレイ基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アレイ基板の製造方法及びアレイ基板、ディスプレーに関する。
【背景技術】
【0002】
表示技術の急速な発展につれて、ディスプレーの解像度や、応答時間等の特性に対する要求が高まっている。この場合、ディスプレーのサイズの大型化及び3D等の表示技術の発展につれて、ディスプレーのアレイ基板上に設けられた薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor,TFT)の移動度に対する要求が高まっている。
【0003】
TFTは、ゲート電極と、ゲート絶縁層と、活性層と、ソース電極と、ドレイン電極とを含む。前記TFTの移動度とは、実際のTFTの活性層中のキャリアー(電子と正孔)の単位電界での平均ドリフト速度である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、アモルファスシリコンで製作した活性層では既に移動度に対する要求が満足できなかったので、より高い移動度を有する金属酸化物材料に目が向けられている。また、従来から、金属酸化物を活性層の材料としてTFTを製造する過程においては、主に以下のような問題がある。従来の技術は、ソース/ドレイン電極に対してパターニング工程を行う場合、酸を使ってパターンをエッチングするが、金属酸化物材料は一般的に酸に弱いので、従来の技術により一部分の活性層が腐食されて、デバイスの性能に影響を及ばす。この問題を解決するために、通常、一層の耐酸腐食性のあるエッチングストッパ層で活性層のチャンネル領域を覆うことで、活性層が腐食されないように保護する。しかし、このようにする場合、一回のパターニング工程が増加するので、工程が複雑になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の実施形態で提供されるアレイ基板の製造方法は、ベース基板上にボトム層金属薄膜を製作し、パターニング工程によって少なくとも薄膜トランジスタのゲート電極を形成することと、前記ゲート電極を覆うゲート絶縁層を製作することと、金属酸化物半導体薄膜とトップ層金属薄膜とを製作し、前記金属酸化物半導体薄膜及び前記トップ層金属薄膜に対してパターニング工程を行って、前記ゲート電極に対向する活性層及び薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極とをそれぞれ形成することと、前記ソース電極及びドレイン電極を覆うパッシベーション層を製作し、前記ドレイン電極の位置に画素電極に連通するビアホールを形成することと、を含み、前記トップ層金属薄膜に対してパターニングを行う工程において、過酸化水素系エッチング液を使って前記トップ層金属薄膜をエッチングし、且つ、前記エッチング液のpH値は6〜8である。
【0006】
また、本発明の一実施形態で提供されるアレイ基板は、ベース基板上に設けられたアレイタイプの画素ユニットを含み、且つ、各画素ユニットは薄膜トランジスタ及び該薄膜トランジスタを覆うパッシベーション層を含み、薄膜トランジスタは順次に設けられたゲート電極と、ゲート絶縁層と、金属酸化物半導体材料の活性層と、ソース電極と、ドレイン電極とを含み、前記ゲート絶縁層と活性層との間に前記ゲート絶縁層と前記活性層との接触を防止する為の第1分離層を設置し、且つ、前記第1分離層の材料は水素を含まない非金属酸化物材料である。
【0007】
また、本発明の一実施形態で提供されるディスプレーは、本発明の実施形態に係るアレイ基板を含んでいる。
【0008】
本発明の実施形態に係わる技術案をより明確に説明する為に、以下、実施形態の図面について簡単に紹介する。明らかに、以下の記載中の図面は、単に本発明の部分的な実施形態に係り、本発明に対する制限ではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は第1実施形態で提供されるアレイ基板の構造図である。
図2図2は第1実施形態で提供される他のアレイ基板の構造図である。
図3図3は第1実施形態で提供されるまた他のアレイ基板の構造図である。
図4図4は第2実施形態で提供されるアレイ基板の構造図である。
図5図5A図5G図4に示すアレイ基板を製作するフローチャートである。
図6図6は第2実施形態で提供される別のアレイ基板の構造図である。
図7図7は第2実施形態で提供されるまた別のアレイ基板の構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の目的や、技術手段や、メリットをより明確にする為に、以下、本発明の実施形態の図面を結合しながら、本発明の実施形態に係わる技術手段に対して明確、且つ完全に説明する。なお、説明される実施形態は、本発明の実施形態の一部であり、実施形態の全部ではない。記載された本発明の実施形態に基づいて、当業者の創造的な労働を必要としない前提で得られるすべての他の実施形態は、全て本発明の保護範囲内に入る。
[第1実施形態]
【0011】
図1に示されたアレイ基板の構造図を参照すると、このアレイ基板は、ベース基板100上に設けられたアレイタイプの画素ユニットを含み、且つ、各画素ユニットは薄膜トランジスタと、該薄膜トランジスタを覆うパッシベーション層14と、前記薄膜トランジスタに対して水平に設けられた画素電極15とを含む。前記薄膜トランジスタは、順次に設けられたゲート電極11aと、ゲート絶縁層12と、金属酸化物半導体材料の活性層13と、ソース電極11bと、ドレイン電極11cとを含み、且つ、薄膜トランジスタのドレイン電極11cは、パッシベーション層14上のビアホールを介して画素電極15に接続される。
【0012】
従来の製作工程では、金属酸化物半導体材料の活性層が腐食されるので、本発明の実施形態では、前記アレイ基板構造を製造する方法が提供されて、活性層が保護されるようにする。
【0013】
図1を参照すると、本発明の実施形態で提供されるアレイ基板の製造方法は、
S101:ベース基板100上にボトム層金属薄膜を製作し、一回のパターニング工程によって少なくとも薄膜トランジスタのゲート電極11aを形成する。
前記ボトム層金属薄膜の材料は、モリブデン、アルミニウム、銅、クロム等の中のいずれか一種の金属であってもよく、これらの金属を含む合金であってもよい。
【0014】
本発明のすべての実施形態において、パターニング工程は、フォトレジストのコーティング、露光、現像、エッチング等を含むことができる。露光工程においては、マスクを使ってフォトレジストの異なる領域での露光量を制御する。アレイ基板の製造過程の全般において、通常、使われるマスクの数をパターニング工程の回数とする。即ち、一回のパターニング工程を行うことは、マスクを一回使ってパターニングを完成することを意味する。
【0015】
S102:前記ゲート電極を覆うゲート絶縁層12を製作する。
ゲート絶縁層12の材料は、従来からよく使われるSiNx(窒化シリコン)材料であってもよい。
【0016】
S103:金属酸化物半導体薄膜を製作し、一回のパターニング工程によって、前記ゲート電極11aに対向する位置に活性層13を形成する。
金属酸化物半導体の材料は、半導体とすることができるいかなる金属酸化物、例えば、IGZO(インジウム、ガリウム、亜鉛を含む金属酸化物)或いはIZO(インジウム、亜鉛を含む金属酸化物)等であってもよい。
【0017】
S104:トップ層金属薄膜を製作し、一回のパターニング工程によって少なくとも薄膜トランジスタのソース電極11b及びドレイン電極11cを形成する。本回のパターニング工程において使われるエッチング液の成分は、過酸化水素と、トップ層金属イオン錯化剤と、過酸化水素の安定剤と、表面活性剤とを含み、前記エッチング液のpH値は6〜8の間にある。
前記トップ層金属薄膜の材料は、モリブデン、アルミニウム、銅、クロム等の中のいずれか一種の金属であってもよく、その中の少なくとも一種の金属を含む合金であってもよい。本発明の実施形態においては、ディスプレーの解像度及びスイッチングの際の遅延特性に対する高い要求を考えて、銅或いは銅合金をトップ層金属薄膜の材料とすることが好ましい。その理由は、銅の抵抗率が低いので、充電時間を短くすることができ、且つ、銅でソース電極/ドレイン電極を製作すると画素を若干小さくすることができ、即ち、単位面積における画素が増加するので、ディスプレーの解像度を上げることができるからである。前記トップ層金属錯化剤とは、本発明の実施形態において、トップ層金属イオンと錯化イオンを形成できる化合物である。本発明の実施形態において、トップ層金属として銅或いは銅合金を選んだ場合、トップ層金属イオンの錯化剤として、銅イオンの錯化剤を選ぶ。
【0018】
また、複数回の実験によって得た経験値に基づいて、本発明の実施形態において、前記過酸化水素系エッチング液の成分は、前記過酸化水素の含有量が例えば5%〜20%であり、前記表面活性剤の含有量が1%〜10%であり、一般的には前記トップ層金属イオン錯化剤の含有量が1%〜25%であり、前記トップ層金属イオン錯化剤の含有量がエッチングすべきトップ層金属の量によって決められる。具体的に、トップ層金属イオン錯化剤の含有量の制御につき、まず、エッチング液に一部分(例えば含有量を50%とする)のトップ層金属錯化剤を投入し、そして、エッチング液に溶かされたトップ層金属イオンの含有量及びトップ層金属薄膜に対するエッチングの完成程度に基づいて、続いてトップ層金属錯化イオンを投入する。トップ層金属イオン錯化剤は、トップ層金属薄膜の材料によっていかなる適当な錯化剤も選ぶことができ、また、過酸化水素の安定剤及び表面活性剤もいかなる適当な試薬を選ぶことができるので、ここでは贅言しない。
【0019】
S105:前記ソース電極及びドレイン電極を覆うパッシベーション層14を製作し、一回のパターニング工程によって前記ドレイン電極11cの位置に画素電極15と連通されるビアホールを形成する。
【0020】
パッシベーション層14の材料は、従来からよく使われるSiNx(窒化シリコン)材料であってもよい。
【0021】
図1に示されたアレイ基板の製造方法は、さらにステップS106を含む。
【0022】
S106:S105中のビアホールを覆う透明導電性薄膜を製作し、一回のパターニング工程によって画素電極15を形成する。
【0023】
透明導電性薄膜の材料は、通常使われるITO(インジウムスズ酸化物)であってもよい。
【0024】
本発明の実施形態で提供されるアレイ基板の製造方法は、pH値が6〜8である過酸化水素系エッチング液を使ってトップ層金属薄膜をエッチングし、過酸化水素系エッチング液が酸化及び錯化の方式によってトップ層金属薄膜に対してパターニング工程を行い、且つ、エッチング液中の酸化物が下方の金属酸化物半導体と反応を発生しないので、金属酸化物の半導体特性等を変化させない。
【0025】
従来の技術ではゲート絶縁層を製作する時、主にシラン等のガスを使って、化学気相成長方法によって製作するので、製作が完了したゲート絶縁層中にH元素が存在する。そのため、ゲート絶縁層中のH元素が金属酸化物半導体材料の活性層に入るのを防止する為に、図2に示されたアレイ基板は、ベース基板100上に設けられたアレイタイプの画素ユニットを含み、且つ、各画素ユニットは薄膜トランジスタと、該薄膜トランジスタを覆うパッシベーション層14とを含む。薄膜トランジスタは、順次に設けられたゲート電極11aと、ゲート絶縁層12と、金属酸化物半導体材料の活性層13と、ソース電極11bと、ドレイン電極11cとを含む。前記ゲート絶縁層12と活性層13との間に、さらに前記ゲート絶縁層12と前記活性層13との接触を防止する為の第1分離層21を設置する。第1分離層21の材料は水素を含まない非金属酸化物材料である。
【0026】
本発明のすべての実施例において、水素を含まない非金属酸化物材料は、例えばSiO(二酸化珪素)等の材料である。
【0027】
図2に示されたアレイ基板を製造するには、上述した図1に示されたアレイ基板を製造する各ステップに加え、ステップS102とS103との間にさらにステップS102aを含める必要がある。
S102a:水素を含まない非金属酸化物薄膜を製作し、一回のパターニング工程によって前記ゲート電極11aに対向する位置に、前記ゲート絶縁層12と前記活性層13との接触を防止する為の第1分離層21を形成する。
【0028】
例えば、ゲート絶縁層12が形成された基板上に水素を含まない非金属酸化物材料を堆積して薄膜を形成し、且つ、ゲート電極11aに対向する位置に、活性層13の周縁より大きいパターンを形成することで、ゲート絶縁層12と活性層13との接触を防止する。これによって、ゲート絶縁層12中のH元素が金属酸化物半導体材料中に入るのを確実に防止することができ、活性層13を保護して、薄膜トランジスタ特性の劣化を防止し、且つ、薄膜トランジスタの応答時間を改善する。
【0029】
ゲート絶縁層の製作と類似して、従来の技術ではパッシベーション層を製作する時も、主にシラン等のガスを使って、化学気相成長方法によって製作するため、製作が完了したパッシベーション層中にH元素が存在する。そのため、パッシベーション層14中のH元素が金属酸化物半導体材料の活性層13中に入るのを防止する為に、図3を参照して、図2に示されたアレイ基板に加え、さらに、前記薄膜トランジスタと該薄膜トランジスタを覆う前記パッシベーション層14との間に、前記薄膜トランジスタの活性層13と前記パッシベーション層14との接触を防止する為の第2分離層22を設置し、且つ、前記第2分離層22の材料は、水素を含まない非金属酸化物材料である。
【0030】
図3に示されたアレイ基板を製造するには、上述した図2に示されたアレイ基板を製造する各ステップに加え、ステップS104とS105との間にさらにステップS104aを含める必要がある。
S104a:水素を含まない非金属酸化物の薄膜を製作し、一回のパターニング工程によって前記ゲート電極11aに相対する位置に、前記活性層13と前記パッシベーション層14との接触を防止する為の第2分離層22を形成する。
【0031】
例えば、ソース電極及びドレイン電極11cを形成した基板上に、水素を含まない非金属酸化物材料を堆積して薄膜を形成し、且つ、ゲート電極11aに相対する位置に活性層13のチャンネル領域(即ち、ソース電極及びドレイン電極に覆われない活性層13の領域)を覆うことができるパターンを形成することで、前記活性層13と前記パッシベーション層14との接触を防止する。これによって、パッシベーション層14中のH元素が金属酸化物半導体材料中に入るのを確実に防止することができ、活性層13を保護して、薄膜トランジスタ特性の劣化を防止し、且つ、薄膜トランジスタの応答時間を改善する。
【0032】
なお、第2分離層22のパターンは、活性層13のチャンネル領域のパターンと同じであってもよく、チャンネル領域のパターンよりも若干大きくしてもよい。第2分離層のパターンがチャンネル領域だけでなく、ドレイン電極のパターンの全体まで覆うほど大きい場合には、S105中でビアホールを製作する時、パッシベーション層及び第2分離層を通じさせて、ドレイン電極と画素電極が接触するようにする。
[第2実施形態]
【0033】
図4に示されたアレイ基板の構造図を参照すると、当該アレイ基板は、ベース基板100上に設けられたアレイタイプの画素ユニットを含み、且つ、各画素ユニットは薄膜トランジスタと、該薄膜トランジスタを覆うパッシベーション層14と、画素電極15とを含む。薄膜トランジスタは、順次に設けられたゲート電極11aと、ゲート絶縁層12と、金属酸化物半導体材料の活性層13と、ソース電極11bと、ドレイン電極11cとを含み、且つ、薄膜トランジスタのドレイン電極11cは、パッシベーション層14上のビアホールを介して画素電極15に接続される。活性層13と、ソース電極11bと、ドレイン電極11cとは同一層のパターニング工程によって形成される。
【0034】
なお、本実施形態における各層の製作材料は全て第1実施形態の説明を参照すればよういので、本実施形態では贅言しない。
【0035】
本発明の実施形態で提供される前記アレイ基板の製造方法は、
S201:ベース基板100上にボトム層金属薄膜を製作し、一回のパターニング工程によって少なくとも薄膜トランジスタのゲート電極11aを形成する。
【0036】
S202:前記ゲート電極を覆うゲート絶縁層12を製作する。ここでは、図5Aに示された構造を参照すればよい。
【0037】
S203:順次に金属酸化物半導体薄膜とトップ層金属薄膜とを製作し、一回のパターニング工程によって少なくとも活性層13と、ソース電極11bと、ドレイン電極11cを形成する。
【0038】
このステップにおいて、順次に製作された二層の薄膜にフォトレジストをコーティングし、且つ、前記フォトレジストは一部保留領域(図にBで示す)と、完全保留領域(図にAで示す)と、完全除去領域(図にCで示す)とに区分され、前記領域の区分によって一回の露光・現像を行い、図5Bに示された構造のように、完全除去領域のフォトレジストを除去するとともに、完全保留領域の厚みが一部保留領域の厚みより大きくなるようにフォトレジストを保留し、図5Cに示された構造のように、過酸化水素系エッチング液を使って完全除去領域のトップ層金属薄膜をエッチングし、図5Dに示された構造のように、トップ層金属と反応しない酸を含有するエッチング液を使って完全除去領域の金属酸化物薄膜をエッチングして活性層13を形成し、図5Eに示された構造のように、残されたフォトレジストをアッシングして、一部保留領域のフォトレジストを除去するとともに、部分的な完全保留領域のフォトレジストを残し、図5Fに示された構造のように、前記過酸化水素系エッチング液を使って一部保留領域のトップ層金属薄膜をエッチングして、ソース電極とドレイン電極11cとを形成し、図5Gに示された構造のように、残りのフォトレジストを除去する。
【0039】
前記過酸化水素系エッチング液の成分は、過酸化水素と、トップ層金属イオン錯化剤と、過酸化水素の安定剤と、表面活性剤とを含み、且つ、前記エッチング液のpH値は6〜8であり、前記過酸化水素の含有量が例えば5%〜20%であり、前記表面活性剤の含有量が例えば1%〜10%であり、前記トップ層金属イオン錯化剤の含有量が例えば1%〜25%である。
【0040】
また、前記トップ層金属は、例えば、銅或いは銅合金である。
【0041】
S204:前記ソース電極及び前記ドレイン電極を覆うパッシベーション層14を製作し、前記ドレイン電極の位置に画素電極と連通するビアホールを形成する。
【0042】
図4に示されたアレイ基板を形成するには、さらにステップ205を含んでもよい。
【0043】
S205:S105中のビアホールを覆う透明導電性薄膜を製作し、一回のパターニング工程によって画素電極15を形成する。
【0044】
透明導電性薄膜の材料は、通常使われるITO(インジウムスズ酸化物)であってもよい。
【0045】
本発明の実施形態で提供されるアレイ基板の製造方法は、pH値が6〜8である過酸化水素系エッチング液を使ってトップ層金属薄膜をエッチングし、過酸化水素系エッチング液が酸化及び錯化方式によってトップ層金属薄膜に対してパターニング工程を行い、且つ、エッチング液中の酸化物が下方の金属酸化物半導体と反応を発生しないので、金属酸化物の半導体特性等を変化させない。
【0046】
さらに、ゲート絶縁層12中のH元素が金属酸化物半導体材料の活性層13中に入ることを防止する為に、図6に示されたアレイ基板は、ベース基板100上に設けられたアレイタイプの画素ユニットを含み、且つ、各画素ユニットは薄膜トランジスタ及び該薄膜トランジスタを覆うパッシベーション層14を含み、薄膜トランジスタは、順次に設けられたゲート電極11aと、ゲート絶縁層12と、金属酸化物半導体材料の活性層13と、ソース電極11bと、ドレイン電極11cとを含み、前記ゲート絶縁層12と活性層13との間に、前記ゲート絶縁層12と前記活性層13との接触を防止する為の第1分離層21を設置し、且つ、前記第1分離層21の材料は水素を含まない非金属酸化物材料である。
【0047】
図6に示されたアレイ基板を製造するには、上述した図4に示されたアレイ基板を製造する各ステップに加え、ステップS202とS203との間にさらにステップS202aを含める必要がある。
S202a:水素を含まない非金属酸化物の薄膜を製作し、一回のパターニング工程によって前記ゲート電極11aに対向する位置に前記ゲート絶縁層12と前記活性層13との接触を防止する為の第1分離層21を形成する。
【0048】
具体的説明は、第1実施形態中のS102aを参照すればよい。
【0049】
もっとさらに、パッシベーション層14中のH元素が金属酸化物半導体材料の活性層13中に入るのを防止する為に、図7を参照して、図6に示されたアレイ基板に加え、さらに、前記薄膜トランジスタと該薄膜トランジスタを覆う前記パッシベーション層14との間に、前記薄膜トランジスタの活性層13と前記パッシベーション層14との接触を防止する為の第2分離層22を設置し、且つ、前記第2分離層22の材料は水素を含まない非金属酸化物材料である
【0050】
図7に示されたアレイ基板を製造するには、上述した図6に示されたアレイ基板を製造する各ステップに加え、ステップS203とS204との間にさらにステップS203aを含める必要がある。
S203a:水素を含まない非金属酸化物の薄膜を製作し、一回のパターニング工程によって前記ゲート電極11aに対向する位置に、前記活性層13と前記パッシベーション層14との接触を防止する為の第2分離層22を形成する。
【0051】
このステップは、ステップS104aを参照すればよい。
【0052】
なお、第2分離層22のパターンは活性層13のチャンネル領域のパターンと同じであってもよく、チャンネル領域のパターンより若干大きくしてもよい。第2分離層のパターンがチャンネル領域だけでなく、ドレイン電極のパターンの全体まで覆うほど大きい場合には、S204中でビアホールを製作する時、パッシベーション層及び第2分離層を通じさせて、ドレイン電極と画素電極が接触するようにする。
【0053】
本発明の実施形態において、第1分離層21によってゲート絶縁層12中のH元素が金属酸化物半導体材料中に入るのを確実に防止し、且つ、第2分離層22によってパッシベーション層14中のH元素が金属酸化物半導体材料中に入るのを確実に防止することで、さらに活性層13が腐食されないように保護する。
【0054】
本発明の実施形態で提供されるディスプレーは、上述した第1実施形態或いは第2実施形態で説明したいずれかのアレイ基板を含む。例えば、このディスプレーは液晶ディスプレーであってもよい。
【0055】
本発明の実施形態で提供されるアレイ基板の製造方法及びアレイ基板、ディスプレーは、過酸化水素系エッチング液を使ってトップ層金属薄膜をエッチングし、且つ、前記過酸化水素系エッチング液のpH値が6〜8であることで、過酸化水素系エッチング液が金属酸化物半導体と反応を発生しないので、TFTの活性層を腐食されないように保護し、さらに、従来の技術においてゲート絶縁層の材料中に水素(H)が含まれているので、H元素が活性層に入って活性層の特性が悪くなるのを防止する為に、水素を含まない非金属酸化物材料を使って第1分離層を製作することによって、上述した不良の発生を防止し、活性層をさらに保護できる。
【0056】
本発明の実施形態によると、少なくとも以下のような構成及び方法が提供される。
(1)ベース基板上にボトム層金属薄膜を製作し、パターニング工程によって少なくとも薄膜トランジスタのゲート電極を形成することと、
前記ゲート電極を覆うゲート絶縁層を製作することと、
金属酸化物半導体薄膜とトップ層金属薄膜とを製作し、且つ、前記金属酸化物半導体薄膜及び前記トップ層金属薄膜に対してパターニング工程を行うことで、前記ゲート電極に対向する活性層及び薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極とをそれぞれ形成することと、
前記ソース電極とドレイン電極とを覆うパッシベーション層を製作し、前記ドレイン電極の位置に画素電極と連通するビアホールを形成することと、を含み、
前記トップ層金属薄膜に対してパターニングを行う工程において、pH値が6〜8である過酸化水素系エッチング液を使って前記トップ層金属薄膜をエッチングすることを特徴とするアレイ基板の製造方法。
【0057】
(2)前記過酸化水素系エッチング液の成分は、過酸化水素と、トップ層金属イオン錯化剤と、過酸化水素の安定剤と、表面活性剤とを含むことを特徴とする(1)に記載された製造方法。
【0058】
(3)前記エッチング液において、前記過酸化水素の含有量が5%〜20%であり、前記表面活性剤の含有量が1%〜10%であり、前記トップ層金属イオン錯化剤の含有量が1%〜25%であることを特徴とする(1)或いは(2)に記載された製造方法。
【0059】
(4)前記ゲート絶縁層の製作を完了した後、且つ金属酸化物半導体薄膜を製作する前に、
水素を含まない非金属酸化物の薄膜を製作し、一回のパターニング工程によって前記ゲート電極に対向する位置に、前記ゲート絶縁層と前記活性層との接触を防止する為の第1分離層を形成することをさらに含むことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1項に記載された製造方法。
【0060】
(5)薄膜トランジスタのソース電極およびドレイン電極の製作を完了した後、且つパッシベーション層を製作する前に、
水素を含まない非金属酸化物の薄膜を製作し、一回のパターニング工程によって前記ゲート電極に対向する位置に、前記活性層と前記パッシベーション層との接触を防止する為の第2分離層を形成することをさらに含むことを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載された製造方法。
【0061】
(6)前記トップ層金属が、銅或いは銅合金であることを特徴とする(1)〜(5)のいずれか1項に記載された製造方法。
【0062】
(7)前記ゲート電極に対向する活性層及び薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極とを形成するステップは、
前記金属酸化物半導体薄膜を製作し、一回のパターニング工程によって前記ゲート電極に対向する位置に活性層を形成することと、
前記トップ層金属薄膜を製作し、一回のパターニング工程によって薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極とを形成することを含むことを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載された製造方法。
【0063】
(8)前記ゲート電極に対向する活性層及び薄膜トランジスタのソース電極とドレイン電極とを形成するステップは、
順次に前記金属酸化物半導体薄膜と前記トップ層金属薄膜とを製作することと、
順次に製作された二層の薄膜にフォトレジストをコーティングし、且つ、前記フォトレジストを一部保留領域と、完全保留領域と、完全除去領域とに区分して、前記領域の区分によって一回の露光・現像を行い、完全除去領域のフォトレジストを除去するとともに、完全保留領域の厚みが一部保留領域の厚みより大きくなるようにフォトレジストを保留することと、
過酸化水素系エッチング液を使って完全除去領域のトップ層金属薄膜をエッチングすることと、
トップ層金属と反応しない酸を含有するエッチング液を使って完全除去領域の金属酸化物薄膜をエッチングして活性層を形成することと、
残されたフォトレジストをアッシングして、一部保留領域のフォトレジストを除去するとともに、部分的な完全保留領域のフォトレジストを残すことと、
前記過酸化水素系エッチング液を使って一部保留領域のトップ層金属薄膜をエッチングして、ソース電極とドレイン電極とを形成することを含むことを特徴とする(1)〜(6)のいずれか1項に記載された製造方法。
【0064】
(9)前記トップ層金属イオン錯化剤が、銅イオン錯化剤であることを特徴とする(6)に記載された製造方法。
【0065】
(10)ベース基板上に設けられたアレイタイプの画素ユニットを含み、且つ、各画素ユニットは、薄膜トランジスタ及び該薄膜トランジスタを覆うパッシベーション層を含み、薄膜トランジスタは、順次に設けられたゲート電極と、ゲート絶縁層と、金属酸化物半導体材料の活性層と、ソース電極と、ドレイン電極とを含み、前記ゲート絶縁層と活性層との間に前記ゲート絶縁層と前記活性層との接触を防止する為の第1分離層を設置し、且つ、前記第1分離層の材料は水素を含まない非金属酸化物材料であることを特徴とするアレイ基板。
【0066】
(11)前記薄膜トランジスタと該薄膜トランジスタを覆う前記パッシベーション層との間に、前記薄膜トランジスタの活性層と前記パッシベーション層との接触を防止する為の第2分離層を形成し、且つ、前記第2分離層の材料は水素を含まない非金属酸化物材料であることを特徴とする(10)に記載されたアレイ基板。
【0067】
(12)(10)或いは(11)に記載されたアレイ基板を備えることを特徴とするディスプレー。
【0068】
以上の説明は、単に本発明の範例とした実施形態に過ぎない。本発明の保護範囲を制限するものではない。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲によって決められる。
【符号の説明】
【0069】
11a ゲート電極
11b ソース電極
11c ドレイン電極
12 ゲート絶縁層
13 活性層
14 パッシベーション層
15 画素電極
21 第1分離層
22 第2分離層
100 ベース基板
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6
図7