(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092277
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 27/10 20060101AFI20170227BHJP
H01L 27/115 20170101ALI20170227BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20170227BHJP
H01L 29/788 20060101ALI20170227BHJP
H01L 29/792 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
H01L27/10 481
H01L27/10 434
H01L29/78 371
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-28953(P2015-28953)
(22)【出願日】2015年2月17日
(65)【公開番号】特開2016-48773(P2016-48773A)
(43)【公開日】2016年4月7日
【審査請求日】2015年2月19日
(31)【優先権主張番号】103129592
(32)【優先日】2014年8月27日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】599129074
【氏名又は名称】旺宏電子股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100105050
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲田 公一
(72)【発明者】
【氏名】楊金成
【審査官】
小山 満
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−049561(JP,A)
【文献】
特開2011−029586(JP,A)
【文献】
特開2010−157557(JP,A)
【文献】
特開2009−152360(JP,A)
【文献】
特開2011−014666(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/10
H01L 21/336
H01L 27/115
H01L 29/788
H01L 29/792
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域、第2領域、および第3領域を含む基板を提供し、前記第1領域の前記基板の上面が、前記第2領域の前記基板の前記上面よりも低く、前記第3領域が、前記第1領域と前記第2領域の間に配置され、前記第3領域の前記基板が、第1段差を有することと、
前記基板の上にスタック層をコンフォーマルに形成し、前記第3領域の前記スタック層が、第2段差を有することと、
前記スタック層の上に流動性材料層を形成することと、
前記流動性材料層に対して第1エッチングプロセスを行い、前記流動性材料層の一部を除去することと、さらに、前記流動性材料層は、少なくとも前記第1領域に残り、
前記第1領域の前記流動性材料層をマスクとして使用して、異方性エッチングプロセスにより前記第2領域および前記第3領域の前記スタック層に対して第2エッチングプロセスを行い、前記第2領域の前記基板の前記上面を露出することと、
前記流動性材料層を除去することと
を含む半導体装置の製造方法であって、
前記基板の上に前記スタック層をコンフォーマルに形成する前記ステップにおいて、前記第1領域の前記スタック層の上面と前記第2領域の前記基板の前記上面が、実質的に同一平面上になる
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記流動性材料層を除去する前記ステップの後、前記第3領域の前記スタック層の上面が、前記第2領域の前記基板の前記上面と実質的に等しいか、それよりも低い請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記流動性材料層の材料が、有機材料、無機材料、または有機‐無機複合材料を含む請求項1〜2のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記流動性材料層の材料が、有機材料を含み、前記有機材料が、フォトレジスト(PR)、有機下層(ODL)、下層反射防止コーティング(BARC)、塗布ガラス(SOG)、またはその組み合わせを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記流動性材料層が、単層構造、二層構造、または多層構造を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記流動性材料層が、第1材料層および第2材料層を含む二層構造を含み、前記第1材料層および前記第2材料層が、同じ材料で形成された請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記流動性材料層が、第1材料層および第2材料層を含む二層構造を含み、前記第1材料層および前記第2材料層が、異なる材料で形成された請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記スタック層が、複数の誘電体層および複数の導電層を含み、前記誘電体層と前記導電層が互いに積み重ねられ、前記誘電体層に対する前記第2エッチングプロセスのエッチング速度が、前記導電層に対するエッチング速度と等しい請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記流動性材料層に対して前記第1エッチングプロセスを行った後、前記第2領域の前記スタック層が露出する請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記流動性材料層に対して前記第1エッチングプロセスを行った後、前記第1領域に残った前記流動性材料層の厚さが、前記第2領域に残った前記流動性材料層の厚さよりも大きく、且つ前記第2段差よりも大きい請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記流動性材料層に対して前記第1エッチングプロセスを行った後、前記第1領域に残った前記流動性材料層の厚さが、前記第2領域に残った前記流動性材料層の厚さよりも大きいが、前記第2段差よりも小さい請求項1〜9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1領域の前記スタック層に対して第2パターニングプロセスを行って、前記第1領域の前記スタック層の一部を除去し、前記第1領域の前記スタック層に複数の溝を形成することと、
前記各溝の中に、電荷蓄積層と対応する導電性ピラーを順番に形成することと
をさらに含み、前記電荷蓄積層が、前記導電性ピラーと前記スタック層の間に配置された請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
第1領域、第2領域、および第3領域を含み、前記第3領域が、前記第1領域と前記第2領域の間に配置され、前記第1領域の前記基板の上面が、前記第2領域の前記基板の前記上面よりも低く、前記第3領域の前記基板が、第1段差を有する基板と、
前記第1領域および前記第3領域の前記基板の上に配置され、前記第1領域のスタック層の上面と前記第2領域の前記基板の前記上面が、実質的に同一平面上にある前記スタック層とを含み、
前記第3領域の前記スタック層は、凹部を有し、
前記第1領域はメモリセルアレイ領域であり、前記第2領域は周辺回路領域であり、前記第3領域は前記メモリセルアレイ領域と前記周辺回路領域の間の境界領域である半導体装置。
【請求項14】
前記第3領域の前記スタック層の前記上面が、前記第2領域の前記基板の前記上面と実質的に等しいか、それよりも低い請求項13に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記スタック層が、複数の誘電体層および複数の導電層を含み、前記誘電体層と前記導電層が互いに積み重ねられた請求項13〜14のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第1領域の前記スタック層の中に配置された複数の導電性ピラーと、
前記導電性ピラーと前記スタック層の間に配置された複数の電荷蓄積層と
をさらに含む請求項13〜15のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項17】
前記第1領域が、メモリセルアレイ領域であり、前記第2領域が、周辺回路領域である請求項13〜16のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項18】
前記第3領域の幅が、40nm〜140nmである請求項13〜17のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置およびその製造方法に関するものであり、特に、半導体装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
科学技術の発展とともに、メモリセルアレイ領域と周辺回路領域の素子を同じチップ上に統合することによって、コストを削減し、プロセスを簡易化し、チップ面積を縮小する傾向になってきている。しかしながら、メモリセルアレイ領域と周辺回路領域の間の境界(boundary)領域には大きな段差(step height)があり、後続のプロセスをより複雑にしている。
【0003】
図1は、従来の半導体装置を示す断面概略図である。
図1を参照すると、例えば、従来の半導体装置は、基板10の表面のスタック層12の高さを減らすために、メモリセルアレイ領域110の基板10の一部を除去して、その中にスタック層12を充填する。しかしながら、このような方法は、メモリセルアレイ領域110と周辺回路領域120の間の境界領域130に大きな段差を作る結果となる。段差の問題を解決するためには、メモリセルアレイ領域110と周辺回路領域120の間の境界領域130を比較的長く(約3μm)保つ必要がある。そして、フォトリソグラフィ、エッチング、膜蒸着、平坦化(例えば、化学的機械的研磨(chemical mechanical polishing, CMP)プロセス)等の一連の複雑なプロセスを行った後、境界領域130に大きくて深い溝18を形成する。また、これらのプロセスの間、溝18にシリコン窒化層14およびシリコン酸化層16を充填する。しかしながら、シリコン窒化層14およびシリコン酸化層16は、エッチング速度が異なるため、ウェットエッチングプロセスでシリコン窒化層14およびシリコン酸化層16の余分な部分を除去した後、通常、シリコン窒化層14の両側に凹部20が生成され、シリコン酸化層16の上面がメモリセルアレイ領域110および周辺回路領域120の上面よりもわずかに高くなる。境界の平坦化プロセスは、製造過程において複雑な工程を必要とするため、コストが高くなる。また、従来の方法では高低差が残るため、後続のプロセスの複雑さが増し、製品信頼性を下げることになる。
【0004】
そのため、メモリセルアレイ領域と周辺回路領域の間の境界領域を処理するプロセスを簡易化し、且つこれらの領域間の段差を最小化することによって、後続のプロセスの複雑さを減らし、チップ面積を増やすと同時に、コストを下げることが、重要な課題となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、メモリセルアレイ領域と周辺回路領域の間の境界領域における段差を減らすことのできる半導体装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、製造プロセスを簡易化し、同時にチップ面積を増やすことのできる半導体装置およびその製造方法を提供する。
【0007】
本発明は、半導体装置の製造方法を提供し、この方法は、基板を提供することを含む。基板は、第1領域と、第2領域と、第3領域とを含む。第1領域の基板の上面は、第2領域の基板の上面よりも低く、第3領域の基板は、第1段差を有する。第3領域は、第1領域と第2領域の間に配置される。基板の上にスタック層をコンフォーマルに(conformally)形成する。第3領域のスタック層は、第2段差を有する。スタック層の上に流動性材料層を形成する。流動性材料層に対して第1エッチングプロセスを行い、流動性材料層の一部を除去する。第1領域の流動性材料層をマスクとして使用して、第2領域および第3領域のスタック層に対して第2エッチングプロセスを行い、第2領域の基板の上面を露出する。流動性材料層を除去する。
【0008】
本発明の1つの実施形態によれば、基板の上にスタック層をコンフォーマルに形成するステップにおいて、第1領域のスタック層の上面と第2領域の基板の上面は、実質的に同一平面上にある。
【0009】
本発明の1つの実施形態によれば、流動性材料層を除去するステップの後、第3領域のスタック層の上面は、第2領域の基板の上面と実質的に等しいか、それよりも低い。
【0010】
本発明の1つの実施形態によれば、流動性材料層の材料は、有機材料、無機材料、または有機‐無機複合材料を含む。
【0011】
本発明の1つの実施形態によれば、流動性材料層の材料は、有機材料を含む。流動性材料層の有機材料は、フォトレジスト(photoresist, PR)、有機下層(organic under layer, ODL)、下層反射防止コーティング(bottom anti-reflection coating, BARC)、または塗布ガラス(spin-on glass, SOG)を含む。
【0012】
本発明の1つの実施形態によれば、流動性材料層は、単層構造、二層構造、または多層構造を含む。
【0013】
本発明の1つの実施形態によれば、流動性材料層は、二層構造を含む。二層構造は、第1材料層と、第2材料層とを含む。第1材料層および第2材料層は、同じ材料の層である。
【0014】
本発明の1つの実施形態によれば、流動性材料層は、二層構造を含む。二層構造は、第1材料層と、第2材料層とを含む。第1材料層および第2材料層は、異なる材料の層である。
【0015】
本発明の1つの実施形態によれば、スタック層は、複数の誘電体層と、複数の導電層とを含む。誘電体層と導電層は、互いに積み重ねられる。誘電体層に対する第2エッチングプロセスのエッチング速度は、導電層に対するエッチング速度と等しい。
【0016】
本発明の1つの実施形態によれば、流動性材料層に対して第1エッチングプロセスを行った後、第2領域のスタック層が露出する。
【0017】
本発明の1つの実施形態によれば、流動性材料層に対して第1エッチングプロセスを行った後、第1領域に残った流動性材料層の厚さは、第2領域に残った流動性材料層の厚さよりも大きく、且つ第2段差よりも大きい。
【0018】
本発明の1つの実施形態によれば、流動性材料層に対して第1エッチングプロセスを行った後、第1領域に残った流動性材料層の厚さは、第2領域に残った流動性材料層の厚さよりも大きく、且つ第2段差よりも小さい。
【0019】
本発明の1つの実施形態によれば、基板を形成するステップは、基板に対して第1パターニングプロセスを行うことと、第1領域および第3領域の基板を除去することを含み、第1領域の基板の上面は、第2領域の基板の上面よりも低い。
【0020】
本発明の1つの実施形態によれば、第1領域の流動性材料層を除去した後、第1領域のスタック層に対して第2パターニングプロセスを行い、第1領域のスタック層の一部を除去して、第1領域のスタック層に複数の溝を形成する。各溝の中に、電荷蓄積層と対応する導電性ピラーを順番に形成する。電荷蓄積層は、導電性ピラーとスタック層の間に配置される。
【0021】
本発明は、基板と、スタック層とを含む半導体装置を提供する。基板は、第1領域と、第2領域と、第3領域とを含む。第3領域は、第1領域と第2領域の間に配置される。第1領域の基板の上面は、第2領域の基板の上面よりも低くなるので、第3領域の基板は、第1段差を有する。スタック層は、第1領域および第3領域の基板の上に配置される。第1領域のスタック層の上面と第2領域の基板の上面は、実質的に同一平面上にある。
【0022】
本発明の1つの実施形態によれば、第3領域のスタック層の上面は、第2領域の基板の上面と実質的に等しいか、それよりも低い。
【0023】
本発明の1つの実施形態によれば、スタック層は、複数の誘電体層と、複数の導電層とを含む。誘電体層と導電層は、互いに積み重ねられる。
【0024】
本発明の1つの実施形態によれば、半導体装置は、さらに、複数の導電性ピラーと、複数の電荷蓄積層とを含む。導電性ピラーは、第1領域のスタック層の中に配置される。電荷蓄積層は、導電性ピラーとスタック層の間に配置される。
【0025】
本発明の1つの実施形態によれば、第1領域は、メモリセルアレイ領域であり、第2領域は、周辺回路領域である。
【0026】
本発明の1つの実施形態によれば、第3領域の幅は、40nm〜140nmである。
【発明の効果】
【0027】
以上のように、本発明の実施形態は、流動性材料層を使用して、第1領域のスタック層を覆い、第3領域のスタック層を部分的に覆うため、第1領域および第3領域の流動性材料層の上面が第2領域のスタック層の上面とほぼ等しい。そして、第1領域の流動性材料層をマスクとして使用して、第2領域および第3領域のスタック層に対してエッチングプロセスを行い、第2領域の基板の上面を露出する。第1領域および第3領域のスタック層の上面は、第2領域の基板の上面とほぼ等しい。したがって、メモリセルアレイ領域(例えば、第1領域)と周辺回路領域(例えば、第2領域)の間の境界領域(例えば、第3領域)の段差を減らし、それによって、後続のプロセスの複雑さを簡易化し、製造コストを下げることができる。
【0028】
本発明の上記および他の特徴、および利点をより分かり易くするため、図面と併せた幾つかの実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図2A】本発明の1つの実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面概略図である。
【
図2B】本発明の1つの実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面概略図である。
【
図2C】本発明の1つの実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面概略図である。
【
図2D】本発明の1つの実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面概略図である。
【
図2E】本発明の1つの実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面概略図である。
【
図2F】本発明の1つの実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面概略図である。
【
図2G】本発明の1つの実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面概略図である。
【
図3】
図2Aに示した部分的スタック層を示す拡大概略図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る半導体装置を示す断面概略図である。
【
図5】本発明の第2実施形態に係る半導体装置を示す断面概略図である。
【
図6】本発明の第3実施形態に係る半導体装置を示す断面概略図である。
【
図7】本発明の第4実施形態に係る半導体装置を示す断面概略図である。
【
図8】本発明の別の実施形態に係る流動性材料層に対して第1エッチングプロセスを行った時の半導体装置を示す断面概略図である。
【
図9】本発明のさらに別の実施形態に係る流動性材料層に対して第1エッチングプロセスを行った時の半導体装置を示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付の図面を例として、本発明の実施形態を詳細に説明する。各図面および関連説明において、同一または類似する構成要素には、同一の参照番号を使用する。
【0031】
図2A〜Gは、本発明の1つの実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面概略図である。
【0032】
図2Aを参照すると、まず、基板100を提供する。基板100は、第1領域110と、第2領域120と、第3領域130とを含む。第3領域130は、第1領域110と第2領域120の間に配置される。第1領域110の基板100の上面は、第2領域120の基板100の上面よりも低く、第3領域130の基板100は、第1段差H1を有する。本発明の1つの実施形態において、第1段差H1は、40nm〜140nmである。1つの実施形態において、第1領域110は、メモリセルアレイ領域であり、第2領域120は、周辺回路領域であり、第3領域130は、メモリセルアレイ領域と周辺回路領域の間の境界領域である。1つの実施形態において、第3領域130の幅は、40nm〜140nmであり、従来技術の3μmの距離よりも大幅に短い。
【0033】
1つの実施形態において、フォトリソグラフィおよびエッチングプロセスを使用して、基板100の基板材料に対して第1パターニングプロセスを行い、第1領域110および第3領域130に対応する基板材料の一部を除去する。別の実施形態において、第2領域120に対応する基板100の基板材料の上にシリコン含有材料層(図示せず)を形成して、第2領域120のシリコン含有材料層の上面を第1領域110の基板材料の上面よりも高くしてもよい。基板材料は、例えば、半導体基板、半導体化合物基板、または絶縁体上半導体(semiconductor over insulator, SOI)基板であってもよい。半導体は、例えば、シリコンまたはゲルマニウム等のIVA族の原子である。半導体化合物は、例えば、炭化ケイ素またはゲルマニウムシリサイド等のIVA族の原子で形成された半導体化合物、または、例えば、ガリウムヒ素等のIIIA族およびVA族の原子で形成された半導体化合物である。
【0034】
そして、基板100の上にスタック層102をコンフォーマルに形成して、第1領域110のスタック層102の上面と第2領域120の基板100の上面を実質的に同一平面上にする。つまり、スタック層102の厚さは、第1段差H1とほぼ等しい。スタック層102が基板100をコンフォーマルに覆うため、第1領域110のスタック層102の上面は、第2領域120のスタック層102の上面よりも低く、第3領域130のスタック層102は、第2段差H2を有する。1つの実施形態において、スタック層102は、例えば、単層または多層複合層であってもよい。スタック層102が多層複合層である時、例えば、部分的スタック層200の拡大図を
図3に示す。スタック層102は、複数の誘電体層101aと、複数の導電層101bとを含む。誘電体層101aと導電層101bは、互いに積み重ねられる。1つの実施形態において、導電層101bの層の数は、8、16、32、またはそれ以上であってもよい。同様にして、各誘電体層101aは、2つの隣接する導電層101bの間に配置されるため、誘電体層101aの層の数も、8、16、32、またはそれ以上であってもよい。1つの実施形態において、誘電体層101aの材料は、酸化シリコン、窒化シリコン、またはその組み合わせを含んでもよく、誘電体層101aの形成方法は、化学蒸着法(chemical vapor deposition, CVD)であってもよい。導電層101bの材料は、ドープされたポリシリコン、ドープされていないポリシリコン、またはその組み合わせであってもよく、導電層101bの形成方法は、化学蒸着法であってもよい。本発明の1つの実施形態において、第2段差H2は、40nm〜140nmであってもよい。
【0035】
図2Bを参照すると、第1領域110、第2領域120、および第3領域130のスタック層102の上に、流動性材料層104を形成する。本発明の1つの実施形態において、流動性材料層104の材料は、有機材料、無機材料、または有機‐無機複合材料を含む。流動性材料層104の材料が有機材料である時、有機材料は、フォトレジスト(PR)、有機下層(ODL)、下層反射防止コーティング(BARC)、塗布ガラス(SOG)、またはその組み合わせを含む。流動性材料層104の形成方法は、例えば、スピンコーティング法、高密度プラズマ化学気相蒸着(high density plasma chemical vapor deposition, HDPCVD)法、または高性能高アスペクト比 プロセス(enhanced high aspect ratio process, eHARP)であってもよい。流動性材料層104は、単層構造、二層構造、または多層構造であってもよい。
【0036】
図4に示すように、本発明の第1実施形態において、流動性材料層104は、例えば、単層構造である。流動性材料層104の材料は、フォトレジスト(PR)、有機下層(ODL)、下層反射防止コーティング(BARC)、または塗布ガラス(SOG)を含んでもよい。しかしながら、本実施形態の流動性材料層104の材料は、流動性材料層104がスタック層102の上面を覆い、且つ流動性材料層104の厚さT1が第2段差H2よりも大きくさえあれば、これに限定されない。
【0037】
図5〜
図7を参照すると、流動性材料層104は、例えば、二層構造である。
図5を参照すると、本発明の第2実施形態において、流動性材料層104の上面は、平面であり、流動性材料層104は、順番に、材料層103aおよび材料層103bを含む。材料層103aおよび103bは、例えば、同じ材料で形成される。材料層103bは、平面を有する。材料層103aおよび103bは、例えば、いずれも有機下層(ODL)である。しかしながら、本発明の実施形態の材料層103aおよび103bの材料は、材料層103aおよび103bの厚さT2の合計が第2段差H2よりも大きくさえあれば、これに限定されない。
【0038】
図6を参照すると、本発明の第3実施形態において、流動性材料層104の上面は、平面であり、流動性材料層104は、順番に、材料層103cおよび材料層103dを含む。材料層103cおよび103dは、例えば、異なる材料で形成される。材料層103cは、例えば、有機下層(ODL)であってもよく、材料層103dは、例えば、フォトレジスト(PR)であってもよい。材料層103dは、平面を有する。しかしながら、本発明の実施形態の材料層103cおよび103dの材料は、材料層103cおよび103dの厚さT3の合計が第2段差H2よりも大きくさえあれば、これに限定されない。
【0039】
さらに、
図7を参照すると、本発明の第4実施形態において、流動性材料層104は、例えば、二層または多層構造であってもよい。また、流動性材料層104の上面は、平坦ではなく、流動性材料層104の上面の段差H3は、段差H2よりも小さい。例えば、スタック層102の上に、部分的にコンフォーマルな方式で、単層または多層の材料層103eを形成してもよい。そして、単層または多層の材料層103eの上に、材料層103fを形成する。材料層103fの表面は、平坦ではなく、段差H3を有する。材料層103eは、例えば、窒化シリコン(SiN)、酸化シリコン、酸窒化シリコン、炭素層、または炭化ケイ素で形成されてもよく、材料層103eの形成方法は、化学蒸着法であってもよい。材料層103fは、例えば、有機下層(ODL)であってもよく、材料層103fの形成方法は、スピンコーティング法であってもよい。しかしながら、本発明の実施形態の材料層103eおよび103fは、材料層103eおよび103fがスタック層102の上面を覆い、且つ材料層103eおよび103fの厚さT4の合計が第2段差H2よりも大きくさえあれば、これに限定されない。
【0040】
図2Cおよび
図8および
図9を参照すると、スタック層102の上面をエッチングストップ(etching stop)層として使用して第1エッチングプロセスを行い、流動性材料層104の一部を除去して、流動性材料層104a、104b、または104cを保留する。第1エッチングプロセスは、例えば、エッチングバック(etching back)プロセスであってもよい。1つの実施形態において、
図2Cを参照すると、第1エッチングプロセスを行った後、残った流動性材料層104aは、第1領域110のスタック層102および第3領域130のスタック層102の一部を覆い、第2領域120および第3領域130のスタック層102の上面を露出する。また、第1領域110の流動性材料層104aの厚さT5は、第2段差H2と実質的に等しい。つまり、流動性材料層104aの上面は、第2領域120および第3領域130のスタック層102の上面と実質的に等しい。
【0041】
本発明の別の実施形態において、
図8に示すように、第1エッチングプロセスを行った後、残った流動性材料層104bは、第1領域110、第2領域120および第3領域130のスタック層102を覆う。第1領域110の流動性材料層104bの厚さT6は、第2領域120の流動性材料層104bの厚さt1よりも大きい。また、厚さT6は、第2段差H2よりも実質的に大きい。
【0042】
本発明のさらに別の実施形態において、
図9に示すように、第1エッチングプロセスを行った後、残った流動性材料層104cは、第1領域110、第2領域120および第3領域130のスタック層102を覆う。第1領域110の流動性材料層104cの厚さT7は、第2領域120の流動性材料層104cの厚さt2よりも大きく、厚さT7は、第2段差H2よりも小さい。
【0043】
図2Dを参照すると、第2エッチングプロセスを行って、第2領域120の基板100の上面を露出する。1つの実施形態において、第2エッチングプロセスは、例えば、異方性エッチングプロセスであってもよい。流動性材料層104a、104bおよび104cに対して低い、または極めて低いエッチング速度を有するが、スタック層102aに対して高いエッチング速度を有するエッチング剤を選択することによって、流動性材料層104a、104bおよび104cを直接マスクとして使用し、流動性材料層104aが覆っていない、または流動性材料層104b/104cが比較的薄い第2領域120にセルフアライン(self-align)して、第3領域130のスタック層102を部分的に除去することで、フォトリソグラフィプロセスを使用せずに、エッチング領域を定義してもよい。それにより、フォトリソグラフィプロセスで生じるミスアライメント(misalignment)を防ぐことができる。
【0044】
第2エッチングプロセスを行った後、第3領域130のスタック層102aの上面が露出して、第3領域130のスタック層102aの上面は、第2領域120の基板100の上面とほぼ等しくなる。1つの実施形態において、第2エッチングプロセスを行った後、一部の流動性材料104dは、依然として第1領域110の基板100に残る。別の実施形態において、第2エッチングプロセスを行った後、第1領域110の基板100の流動性材料104aは、完全に除去される。
【0045】
また、
図2Cおよび
図3を再度参照すると、1つの実施形態において、誘電体層101aに対する第2エッチングプロセスのエッチング速度は、導電層101bに対するエッチング速度とほぼ等しい。このようにして、第2エッチングプロセスの後、第3領域130のスタック層102aの上面の大部分は、粗い面ではなく、実質的に平滑な面になる。しかしながら、第2エッチングプロセスを行う時、第3領域130のスタック層102aにおいて凹部が形成される可能性もあるが、凹部があっても問題はない。
【0046】
また、第2エッチングプロセスのエッチング条件(etch recipe)は、流動性材料層104の厚さTおよび第2段差H2に基づいて調整してもよい。例えば、
図2Cに示すように、スタック層102の上に流動性材料層104aを形成した後、第1領域110の流動性材料層104aの厚さT5が第2段差H2と等しい時、または、
図8に示すように、第1領域110の流動性材料層104bの厚さT6が第2段差H2よりも大きい時、流動性材料層104aまたは104bに対する第2エッチングプロセスのエッチング速度は、スタック層102に対するエッチング速度よりも低いか、それに等しい。しかしながら、
図9に示すように、第1領域110の流動性材料層104cの厚さT7が第2段差H2よりも小さい時、第2エッチングプロセスにおける流動性材料層104cとスタック層102の間のエッチング速度の最小限に必要な速度は、(T7−t2):H2である。つまり、第2エッチングプロセスを行う時、流動性材料層104cに対するエッチング剤のエッチング速度は、スタック層102に対するエッチング速度よりも大幅に低くなければならない。このように、第2エッチングプロセスを行う時、第1領域110の流動性材料層104cの厚さは既に十分に厚く、下にあるスタック層102を損傷から保護することができる。
【0047】
図2Dおよび
図2Eを参照すると、ドライストリップ(dry strip)プロセスまたはウェットストリップ(wet strip)プロセスを行って流動性材料層104dを除去し、第1領域110のスタック層102aの上面を露出する。流動性材料層104dを除去した後、第1領域110および第3領域130のスタック層102aの上面は、第2領域120の基板100の上面と実質的に等しい。本来第2段差H2を有する第3領域130において、第3領域130のスタック層102aの上面の大部分も、従来技術のような粗い面ではなく、平滑面である。このように、本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、後続のプロセスの複雑さを簡易化し、製品信頼度を上げることができる。
【0048】
図2Fを参照すると、第1領域110の流動性材料層104dを除去した後、第1領域110のスタック層102aに対して第2パターニングプロセスを行い、それによって、第1領域110のスタック層102bの中に複数の溝/孔140を形成する。第2パターニングプロセスは、第3領域130のスタック層102bを部分的に除去することができるため、第3領域130のスタック層102bの上面は、第2領域120の基板100の上面と実質的に等しいか、それよりも低い。しかしながら、最終製品の製品信頼度という点から見ると、第3領域130のスタック層102bに凹部105があっても問題はない。1つの実施形態において、凹部105の深さは、10nm未満である。また、もう1つの実施形態において、凹部105の深さは、1nm〜10nmである。
【0049】
図2Gを参照すると、各溝/孔140の中に、電荷蓄積層106および対応する導電性ピラー108を順番に形成する。電荷蓄積層106は、導電性ピラー108とスタック層102bの間に配置される。具体的に説明すると、まず、各溝140の中に、電荷蓄積層106をコンフォーマルに形成する。そして、スタック層102bの上に、導電材料層(図示せず)を形成し、溝140に導電材料層を充填する。続いて、平坦化プロセスを行って、導電材料層の一部を除去し、スタック層102bの上面を露出する。1つの実施形態において、電荷蓄積層106は、例えば、酸化物‐窒化物‐酸化物(oxide-nitride-oxide, ONO)で形成された複合層であってもよい。複合層は、3層またはそれ以上の層を有してもよいが、本発明はこれに限定されない。複合層の形成方法は、例えば、化学蒸着法、熱酸化法であってもよい。導電性ピラー108の材料は、例えば、ドープされたポリシリコン、ドープされていないポリシリコン、またはその組み合わせであってもよく、導電性ピラー108の形成方法は、化学蒸着法であってもよい。
【0050】
図2Eを再度参照すると、本発明の実施形態に係る半導体装置は、基板100と、スタック層102aとを含む。基板100は、第1領域110と、第2領域120と、第3領域130とを含む。第3領域130は、第1領域110と第2領域120の間に配置される。第1領域110の基板100の上面は、第2領域120の基板100の上面よりも低く、第3領域130の基板100は、第1段差H1を有する。スタック層102aは、第1領域110および第3領域130の基板100の上に配置される。スタック層102aは、複数の誘電体層101aと、複数の導電層101bとを含む。誘電体層101aと導電層101bは、互いに積み重ねられる。第1領域110および第3領域のスタック層102bの上面と第2領域120の基板100の上面は、実質的に同一平面上にある。
【0051】
以上のように、本発明の実施形態において、メモリセルアレイ領域(例えば、第1領域)のスタック層を覆い、且つ境界領域(例えば、第3領域)のスタック層を部分的に覆う流動性材料層をマスクとして使用して、周辺回路領域(例えば、第2領域)および境界領域(例えば、第3領域)のスタック層をエッチングする。このようにして、メモリセルアレイ領域(例えば、第1領域)および境界領域(例えば、第3領域)のスタック層の上面は、第2領域の基板の上面とほぼ等しくなる。したがって、メモリセルアレイ領域(例えば、第1領域)と周辺回路領域(例えば、第2領域)の間の境界領域(例えば、第3領域)の段差が減り、それによって、後続のプロセスの複雑さを簡易化することができる。
【0052】
また、本発明の実施形態において、流動性材料層の厚さおよび第2段差を利用して、エッチング条件を調整することもできるため、第2エッチングプロセスを行った後、メモリセルアレイ領域(例えば、第1領域)および境界領域(例えば、第3領域)のスタック層の上面は、周辺回路領域(例えば、第2領域)の基板の上面と等しくなり、メモリセルアレイ領域(例えば、第1領域)のスタック層の損傷を防止することができる。メモリセルアレイ領域(例えば、第1領域)および境界領域(例えば、第3領域)のスタック層の上面と周辺回路領域(例えば、第2領域)の基板の上面は、実質的に同一平面上にあるため、後続の製造プロセスのいくつかを省略することができ、その結果、製造コストを約3%減らすことができる。また、本発明の実施形態において、メモリセルアレイ領域と周辺回路領域の間の境界領域を減らすことによって、チップ面積を増やし、さらに、製造コストを下げることができる。
【0053】
以上のごとく、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【符号の説明】
【0054】
10、100 基板
101a 誘電体層
101b 導電層
12、102、102a、102b スタック層
14 シリコン窒化層
16 シリコン酸化層
18 溝
20、105 凹部
103a、103b、103c、103d、103e、103f 材料層
104、104a、104b、104c、104d 流動性材料層
106 電荷蓄積層
108 導電性ピラー
110 第1領域
120 第2領域
130 第3領域
140 溝/孔
200 部分的スタック層
H1、H2、H3 段差
T、T1〜T7、t1、t2 厚さ