【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、発明に従い、請求項1に記載の特徴を有する方法および請求項7に記載の特徴を有するシステムによって解決される。本発明に係る方法の好ましい態様、および本発明に係るシステムの好ましい実施形は、下位の請求項に記載されている。
【0008】
互いに可動な部材のガイドに使用される少なくとも一つの支承装置に作動媒体、特に潤滑媒体を供給するための、本発明に係る方法に従い、作動媒体は、作動媒体リザーバーから第一のバルブ装置を介して、その下に配置された密閉された少なくとも一つの容器内へと導かれ、密閉された容器は、搬送チャネルを介して支承装置と接続され、そして、作動媒体を密閉された容器から搬送チャネルを介して、容器に供給されるガス又は周囲空気と、特に負圧下にある、搬送チャネルの支承部側の開口領域の間の差圧に促進されて支承装置へと搬送するために、密閉された容器には第二のバルブ装置を介して、外部から付勢されるガス及び/又は周囲空気が供給される。
【0009】
その様な方法は、特に、例えばポンプ、特に真空ポンプのような、負圧下にある装置の支承部の供給の為に好適である。その際、作動媒体の支承装置への搬送の促進の為に、密閉された容器に供給される、外部から付勢されたガスまたは周囲空気と、当該装置の内部の負圧の間の差圧が利用される。空圧的な効果のそのような利用によって、作動媒体の適当な搬送が、能動的なポンプ無しでも保証され、これによって支承装置の供給の為のコストは相応して減少される。
【0010】
本発明に係る方法の好ましい態様に従い、例えばポンプ、特に真空ポンプのような負圧下にある装置の支承装置に作動媒体が供給される。その際、好ましくは、密閉された容器に供給されるガスまたは周囲空気と、当該装置のハウジングの内部の負圧の間の差圧が、作動媒体供給の促進の為に使用される。
【0011】
支承装置に供給される作動媒体流は、好ましくは、密閉された容器内へのガス及び/又は周囲空気供給を介して制御及び/又は調整される。その際、密閉された容器内へのガス及び/又は周囲空気供給は、特にスロットルバルブを介して調整されることが可能である。
【0012】
バルブ装置は、特に、交互に、第一および第二のバルブ装置を介して、作動媒体が作動媒体リザーバーからその下に配置された密閉された容器内へ導かれ、そして作動媒体を密閉された容器から支承装置へと搬送するために、密閉された容器に、外部から付勢されるガス及び/又は周囲空気が供給されるよう操作される、または駆動されることが可能である。
【0013】
第一および第二のバルブ装置は、つまり交互に開かれ、又は再び閉じられることが可能である。これによって、当該支承装置に作動媒体を周期的に供給されることが保証される。
【0014】
特に、外部から付勢されるガスが密閉された容器の内部で作動媒体と接触する場合、ガスとして不活性ガスが使用される。
【0015】
本発明に係る方法の別の有利な形態に従い、作動媒体とガス又は周囲空気は、密閉された容器の内部でメンブランによって互いに分離されている。
【0016】
その様なメンブランによって、作動媒体とガスまたは周囲空気が、互いに直接接触することが防止される。例えば、波形メンブランまたは平坦メンブランが使用されることが可能である。
【0017】
その際、特に、作動媒体リザーバーと密閉された容器の間並びに搬送チャネル内に設けられた逆止弁を有するメンブランポンプの形式によるメンブランの付勢が考え得る。密閉された容器内への外部から付勢されるガスまたは周囲空気の供給の為に、最も簡単な場合、一つのバルブが十分である。密閉された容器のガスまたは周囲空気を受け入れる領域は、好ましくは調節可能なスロットルバルブを介して負圧にさらされることが可能である。その際、このスロットルバルブは、特に、常に定義されたガス容量が密閉された容器から出されるよう調整される。この容量は、密閉された容器内に進入する容積流よりも小さい。その際、メンブランのガス側への圧力は高まる。これによって、作動媒体は、搬送チャネルに付設された逆止弁の保持圧力に抗してポンピングされる。第二のバルブ装置のバルブが閉じられるとすぐに、残留圧力は、密閉された容器を負圧と接続するスロットルバルブによって減少される。その際、メンブランのみが、その固有応力によって戻され、及び/又はばね装置によって再び基の位置に戻されることが可能である。メンブランのこの戻り動作または相応する戻りストロークの間、新たに作動媒体が作動媒体リザーバーから密閉された容器内へと吸引され、これはその後次のポンプフェーズの為に使用される。
【0018】
特に、供給すべき支承装置へのチャネルボリュームが、密閉された容器のボリュームよりも小さく選択されるときも特に有利である。これによって特に、空のチャネルも完全に貫流されることが可能である。
【0019】
搬送チャネルは、特に上昇するチャネルであることが可能である。密閉された容器は、目的にかなって、下の領域で搬送チャネルと接続されている。上述したように、搬送チャネルに逆止弁が付設されることが可能である。その際、そのような逆止弁は、搬送チャネル内の任意の箇所に設けられることが可能である。しかしその際、これは、目的にかなってその進入領域内に設けられる。
【0020】
密閉された容器は、複数の支承装置の供給のために、複数の独立した搬送チャネルを介しても異なる支承装置と接続されることが可能である。その際、異なる搬送チャネルには、其々一つの独自の、特に調整可能なスロットルバルブが付設されることが可能である。これによって、容積流は異なるチャネル幾何に依存せず可能な限り均等に、または互いに相対的に所望の比率で保持されることが可能である。支承装置への作動媒体流は、特にここでもまた、二つのバルブ装置またはガス及び/又は周囲空気供給を介して調整可能である。調整は、特に後からも変更されることが可能である。
【0021】
二つのバルブ装置を介して、特に、支承装置に対する任意の間隔での断続的な作動媒体供給が行われることが可能であり、これによって、過潤滑が効率的に防止されることが可能である。
【0022】
其々の支承装置は、有利には、複数の密閉された容器を介して交互に作動媒体を供給されることが可能である。そのような複数の密閉された容器の使用は、中断の無い連続的な作動媒体供給を可能とする。これは、密閉された容器が反対に周期動作せられるので、支承装置が常に少なくとも一つの容器により能動的に供給されることが可能であることによる。
【0023】
特に、密閉された容器の充填状態が少なくとも一つの充填状態センサーによって監視されるときも有利である。そのような充填状態センサーは、特に密閉された容器の充填状態の能動的な制御及び/又は調整の為に使用されることが可能である。
【0024】
更に、各搬送チャネル内の作動媒体スループット(流量)が少なくとも一つの流量センサーによって監視されるとき有利である。そのような流量センサーは、当該支承装置に供給される作動媒体量の制御及び/又は調整の為に援用されることが可能である。
【0025】
互いに可動な部材のガイドに使用される少なくとも一つの支承装置に作動媒体、特に潤滑媒体を供給するための発明に係るシステムは、相応して、一つの作動媒体リザーバーと少なくとも一つの、その下に配置された密閉された容器を有する。この容器に、第一のバルブ装置を介して作動媒体が作動媒体リザーバーから供給可能であり、その際、密閉された容器は、搬送チャネルを介して支承装置と接続されており、そして密閉された容器には、第二のバルブ装置を介して、外部から付勢されるガス及び/又は周囲空気が供給可能である。これにより、作動媒体を密閉された容器から搬送チャネルを介して、容器に供給されるガス又は周囲空気と、搬送チャネルの、特に負圧下にある支承部側の開口領域の間の差圧に促進されて、支承装置へと搬送する。
【0026】
その際、支承装置は、好ましくは特にポンプ、特に真空ポンプのような負圧下にある装置が含まれる。
【0027】
特に、支承装置は、少なくとも一つの真空ポンプ、特にターボ分子ポンプ内に統合されたローラー支承部を有する。この支承部を介して、少なくとも一つのポンプ段、特にターボポンプ段のポンプ運転中回転する部材を担持し、そして駆動部によって回転させられることが可能なローター軸が回転可能に支承されている。
【0028】
支承装置に供給される作動媒体流は、好ましくは、密閉された容器内へのガス及び/又は周囲空気供給を介して制御可能及び/又は調整可能である。
【0029】
好ましくは、密閉された容器内へのガス及び/又は周囲空気供給は、一つのスロットルバルブを介して調整可能である。
【0030】
好ましくは、第一および第二のバルブ装置は制御装置を介して、作動媒体が交互に、作動媒体リザーバーからその下に配置された密閉された容器内へと移送され、そして作動媒体を密閉された容器から支承装置へと搬送するために、密閉された容器に、外部から付勢されるガス及び/又は周囲空気が供給されるよう制御可能である。
【0031】
本発明に係るシステムの別の有利な実施形に従い、密閉された容器の内部には、一つのメンブランが設けられている。このメンブランによって、作動媒体およびガス又は周囲空気が互いに分離されている。その際、密閉された容器の、ガスまたは周囲空気によって付勢可能な領域は、好ましくは、特に調整可能なスロットルバルブを介して負圧にさらされることが可能である。メンブランは、例えば波状メンブランまたは平坦メンブランとして形成されていることが可能である。
【0032】
特に、作動媒体リザーバーと密閉された容器の間並びに搬送チャネル内に設けられた逆止弁を有するメンブランポンプの形式によるメンブランの付勢が考え得る。密閉された容器のガスまたは周囲空気を受け入れる領域は、好ましくは、特に調整可能な一つのスロットルバルブを介して負圧にさらされることが可能である。其々のポンプフェーズに引き続いて、メンブランのみが、その固有応力によって戻り動かされ、及び/又はばね装置によって再び元の位置に戻されることが可能である。
【0033】
搬送チャネルは、特に上昇するチャネルとして形成されていることが可能である。密閉された容器は、目的にかなって下の領域で搬送チャネルと接続されている。すでに上述したように、搬送チャネルには、特に一つの逆止弁が付設されていることが可能である。
【0034】
供給すべき支承装置へのチャネルボリュームは、好ましくは、密閉された容器の容積よりも小さい。
【0035】
複数の支承装置の供給の為に、密閉された容器が、複数の独立した搬送チャネルを介して異なる支承装置と接続されていることが可能である。
【0036】
バルブ装置は、一つの制御装置を介して、各支承装置に作動媒体が、独立した閉じられた容器を介して交互に供給されるよう駆動可能である。
【0037】
各搬送チャネルには、目的にかなって、特に調整可能な一つのスロットルバルブが付設されている。代替として、または追加的に、各搬送チャネルには、特に一つの逆止弁も付設されていることが可能である。
【0038】
作動媒体リザーバーには、好ましくは少なくとも一つの充填状態センサーが付設されている。各搬送チャネルには、特に少なくとも一つの流量センサーが設けられていることも可能である。
【0039】
第一および第二のバルブ装置は、其々、例えばディスクバルブとして形成されていることが可能である。これらは、例えば、一つの共通なアクチュエータを介して、特に、ばねによる、または鏡によるヒステリシスによって(独語:mit einer feder− bzw. spielgefuehrten Hysterese)、アクチュエータの各操作によって、まずバルブ装置の一つの閉じ、そしてその後、他方のバルブが開くよう操作可能である。これによって、供給システムの構築が更に簡単となる。アクチュエータの、二つの状態の間の簡単な切替えが、所望の作動媒体供給を保証するのに十分である。
【0040】
本発明は、更に、真空ポンプ、特にターボ分子ポンプであって、少なくとも一つのポンプ段、特にターボポンプ段のポンプ運転状態で回転する部材を担持し、そして駆動部によって回転されられることが可能である少なくとも一つのローター軸を有し、このローター軸が、少なくとも一つのローラー支承部を有する支承装置によって回転可能に支承されており、その際、支承装置に作動媒体、特に潤滑媒体を供給するために発明に係るシステムを設けられているものに関する。
【0041】
本発明を以下に図面を参照しつつ実施例に基づき詳細に説明する。