【実施例】
【0029】
以下、実施例により、本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、以下において、部は重量部を示す。
【0030】
<実施例1>
内容量が2000mlである撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール[コノール20P;新日本理化(株)製]217部と水酸化カリウム0.5部[ナカライテスク(株)製]を仕込み、反応槽内の温度を90℃に調整した。その後、0.099MPa以下の減圧下で脱水し、水分を0.03%以下にした。この後、反応槽内の温度を140℃に調整した。次いで、エチレンオキサイド494部とプロピレンオキサイド130部を混合した後容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌した。引き続きプロピレンオキサイド65部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌し、その後エチレンオキサイド74部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌した。この後、80℃に冷却し、酢酸0.4部〔ナカライテスク(株)製〕で触媒を中和し、イオン交換水20部を投入した。
一連の操作により、一般式(1)において、R
1:ドデシル基、k:10、m:2、n:1、r:1.5であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−1)を含む無機スラリー脱水促進剤(1)を得た。
【0031】
<実施例2>
実施例1において、「ラウリルアルコール217部」に代えて「ラウリルアルコール210部」とし、「エチレンオキサイド494部とプロピレンオキサイド130部を混合」に代えて「エチレンオキサイド383部とプロピレンオキサイド252部を混合」とし、「引き続きプロピレンオキサイド65部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌し、その後エチレンオキサイド74部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌」に代えて「引き続きプロピレンオキサイド63部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌し、その後エチレンオキサイド72部を容器内に滴下」とする以外は同様にして実施し、一般式(1)において、R
1:ドデシル基、k:8、m:4、n:1、r:1.5であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−2)を含む無機スラリー脱水促進剤(2)を得た。
【0032】
<実施例3>
実施例1において、「ラウリルアルコール217部」に代えて「ラウリルアルコール177部」とし、「エチレンオキサイド494部とプロピレンオキサイド130部を混合」に代えて「エチレンオキサイド161部とプロピレンオキサイド530部を混合」とし、「引き続きプロピレンオキサイド65部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌し、その後エチレンオキサイド74部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌」に代えて「引き続きプロピレンオキサイド53部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌し、その後エチレンオキサイド60部を容器内に滴下」とする以外は同様にして実施し、一般式(1)において、R
1:ドデシル基、k:4、m:10、n:1、r:1.5であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−3)を含む無機スラリー脱水促進剤(3)を得た。
【0033】
<実施例4>
実施例1において、「ラウリルアルコール217部」に代えて「ラウリルアルコール311部」とし、「エチレンオキサイド494部とプロピレンオキサイド130部を混合」に代えて「エチレンオキサイド283部とプロピレンオキサイド187部を混合」とし、「引き続きプロピレンオキサイド65部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌し、その後エチレンオキサイド74部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌」に代えて「引き続きプロピレンオキサイド93部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌し、その後エチレンオキサイド106部を容器内に滴下」とする以外は同様にして実施し、一般式(1)において、R
1:ドデシル基、k:4、m:2、n:1、r:1.5であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−4)を含む無機スラリー脱水促進剤(4)を得た。
【0034】
<実施例5>
実施例1において、「ラウリルアルコール217部」に代えて「ラウリルアルコール311部」とし、「エチレンオキサイド494部とプロピレンオキサイド130部を混合」に代えて「エチレンオキサイド186部とプロピレンオキサイド123部を混合」とし、「引き続きプロピレンオキサイド65部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌し、その後エチレンオキサイド74部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌」に代えて「引き続きプロピレンオキサイド123部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌し、その後エチレンオキサイド140部を容器内に滴下」とする以外は同様にして実施し、一般式(1)において、R
1:ドデシル基、k:2、m:1、n:1、r:1.5であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−5)を含む無機スラリー脱水促進剤(5)を得た。
【0035】
<実施例6>
実施例1において、「ラウリルアルコール217部」に代えて「ラウリルアルコール248部」とし、「エチレンオキサイド494部とプロピレンオキサイド130部を混合」に代えて「エチレンオキサイド226部とプロピレンオキサイド149部を混合」とし、「引き続きプロピレンオキサイド65部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌し、その後エチレンオキサイド74部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌」に代えて「引き続きプロピレンオキサイド74部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌し、その後エチレンオキサイド282部を容器内に滴下」とする以外は同様にして実施し、一般式(1)において、R
1:ドデシル基、k:4、m:2、n:1、r:5であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−6)を含む無機スラリー脱水促進剤(6)を得た。
【0036】
<実施例7>
実施例1において、「ラウリルアルコール217部」に代えて「ラウリルアルコール225部」とし、「エチレンオキサイド494部とプロピレンオキサイド130部を混合」に代えて「エチレンオキサイド205部とプロピレンオキサイド135部を混合」とし、「引き続きプロピレンオキサイド65部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌し、その後エチレンオキサイド74部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌」に代えて「引き続きプロピレンオキサイド338部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌し、その後エチレンオキサイド77部を容器内に滴下」とする以外は同様にして実施し、一般式(1)において、R
1:ドデシル基、k:4、m:2、n:5、r:1.5であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−7)を含む無機スラリー脱水促進剤(7)を得た。
【0037】
<実施例8>
実施例1において、酢酸0.4部を投入する工程を省略する以外は同様にして実施し、一般式(1)において、R
1:ドデシル基、k:4、m:2、n:5、r:1.5である
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B−7)を含む無機スラリー脱水促進剤(8)を得た。
【0038】
<実施例9>
実施例1において、「酢酸0.4部」に代えて「酢酸1.0部」にすること以外は同様にして実施し、一般式(1)において、R
1:ドデシル基、k:4、m:2、n:5、r
:1.5であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(B−8)を含む無機スラリー脱水促進剤(9)を得た。
【0039】
<実施例10>
実施例1において、「ラウリルアルコール217部」に代えて「ヘキシルアルコール133部」とし、「エチレンオキサイド494部とプロピレンオキサイド130部を混合」に代えて「エチレンオキサイド230部とプロピレンオキサイド152部を混合」とし、「引き続きプロピレンオキサイド65部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌し、その後エチレンオキサイド74部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌」に代えて「引き続きプロピレンオキサイド379部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌し、その後エチレンオキサイド86部を容器内に滴下」とする以外は同様にして実施し、一般式(1)において、R
1:ドデシル基、k:4、m:2、n:5、r:1.5であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−8)を含む無機スラリー脱水促進剤(10)を得た。
【0040】
<実施例11>
実施例1において、「ラウリルアルコール217部」に代えて「ベヘニルアルコール328部」とし、「エチレンオキサイド494部とプロピレンオキサイド130部を混合」に代えて「エチレンオキサイド177部とプロピレンオキサイド117部を混合」とし、「引き続きプロピレンオキサイド65部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌し、その後エチレンオキサイド74部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌」に代えて「引き続きプロピレンオキサイド292部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌し、その後エチレンオキサイド66部を容器内に滴下」とする以外は同様にして実施し、一般式(1)において、R
1:ドデシル基、k:4、m:2、n:5、r:1.5であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A−9)を含む無機スラリー脱水促進剤(11)を得た。
【0041】
<比較例1>
内容量が2000mlである撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール[コノール20P;新日本理化(株)製]391部と水酸化カリウム0.5部[ナカライテスク(株)製]を仕込み、反応槽内の温度を90℃に調整する。その後、0.099MPa以下の減圧下で脱水し、水分を0.03%以下にした。この後、反応槽内の温度を140℃に調整する。次いで、エチレンオキサイド355部とプロピレンオキサイド234部を混合した後容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌した。この後、80℃に冷却し、酢酸0.4部〔ナカライテスク(株)製〕で触媒を中和し、イオン交換水20部を投入した。
一連の操作により、一般式(1)において、R
1:ドデシル基、k:4、m:2、n:
0、r:0であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A’−1)を含む無機スラリー脱水促進剤(1’)を得た。
【0042】
<比較例2>
内容量が2000mlである撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール[コノール20P;新日本理化(株)製]344部と水酸化カリウム0.5部[ナカライテスク(株)製]を仕込み、反応槽内の温度を90℃に調整する。その後、0.099MPa以下の減圧下で脱水し、水分を0.03%以下にした。この後、反応槽内の温度を140℃に調整する。次いで、エチレンオキサイド313部とプロピレンオキサイド206部を混合した後容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌した。引き続きエチレンオキサイド117部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌した。この後、80℃に冷却し、酢酸0.4部〔ナカライテスク(株)製〕で触媒を中和し、イオン交換水20部を投入した。
一連の操作により、一般式(1)において、R
1:ドデシル基、k:4、m:2、n:
0、r:1.5であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A’−2)を含む無機スラリー脱水促進剤(2’)を得た。
【0043】
<比較例3>
内容量が2000mlである撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール[コノール20P;新日本理化(株)製]349部と水酸化カリウム0.5部[ナカライテスク(株)製]を仕込み、反応槽内の温度を90℃に調整する。その後、0.099MPa以下の減圧下で脱水し、水分を0.03%以下にした。この後、反応槽内の温度を140℃に調整する。次いで、エチレンオキサイド317部とプロピレンオキサイド209部を混合した後容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌した。引き続きプロピレンオキサイド105部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌した。この後、80℃に冷却し、酢酸0.4部〔ナカライテスク(株)製〕で触媒を中和し、イオン交換水20部を投入した。
一連の操作により、一般式(1)において、R
1:ドデシル基、k:4、m:2、n:
1、r:0であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A’−3)を含む無機スラリー脱水促進剤(3’)を得た。
【0044】
<比較例4>
内容量が2000mlである撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール[コノール20P;新日本理化(株)製]311部と水酸化カリウム0.5部[ナカライテスク(株)製]を仕込み、反応槽内の温度を90℃に調整する。その後、0.099MPa以下の減圧下で脱水し、水分を0.03%以下にした。この後、反応槽内の温度を140℃に調整する。次いで、エチレンオキサイド283部とプロピレンオキサイド187部を混合した後容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌した。引き続きエチレンオキサイド106部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌し、その後プロピレンオキサイド93部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌した。この後、80℃に冷却し、酢酸0.4部〔ナカライテスク(株)製〕で触媒を中和し、イオン交換水20部を投入した。
一連の操作により、下記一般式(2)において、R
1:ドデシル基、k:4、m:2、r:1.5、n:1であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A’−4)を含む無機スラリー脱水促進剤(4’)を得た。一般式(2)は一般式(1)中のPO、EOブロック付加部分の順序が異なるものである。
R
1−O−〔(EO)
k/(PO)
m〕−(EO)
r−(PO)
n−H (2)
【0045】
<比較例5>
内容量が2000mlである撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール[コノール20P;新日本理化(株)製]311部と水酸化カリウム0.5部[ナカライテスク(株)製]を仕込み、反応槽内の温度を90℃に調整する。その後、0.099MPa以下の減圧下で脱水し、水分を0.03%以下にした。この後、反応槽内の温度を140℃に調整する。次いで、エチレンオキサイド283部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌した。次に、プロピレンオキサイド280部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌した。引き続きエチレンオキサイド106部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌した。この後、80℃に冷却し、酢酸0.4部〔ナカライテスク社製〕で触媒を中和し、イオン交換水20部を投入した。
一連の操作により、下記一般式(3)において、R
1:ドデシル基、k:4、m:3、r:1.5であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A’−5)を含む無機スラリー脱水促進剤(5’)を得た。一般式(3)は一般式(1)中のPO、EOランダム付加部分がEOブロックに置き換わったものである。
R
1−O−(EO)
k−(PO)
m−(EO)
r−H (3)
【0046】
<比較例6>
内容量が2000mlである撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール[コノール20P;新日本理化(株)製]311部と水酸化カリウム0.5部[ナカライテスク(株)製]を仕込み、反応槽内の温度を90℃に調整する。その後、0.099MPa以下の減圧下で脱水し、水分を0.03%以下にした。この後、反応槽内の温度を140℃に調整する。次いで、エチレンオキサイド283部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌した。引き続きプロピレンオキサイド93部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌し、その後エチレンオキサイド106部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌した。この後、80℃に冷却し、酢酸0.4部〔ナカライテスク(株)製〕で触媒を中和し、イオン交換水20部を投入した。
一連の操作により、上記一般式(3)において、R
1:ドデシル基、k:4、m:1、
r:1.5であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A’−6)を含む無機スラリー脱水促進剤(6’)を得た。
【0047】
<比較例7>
内容量が2000mlである撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製オートクレーブに、ラウリルアルコール[コノール20P;新日本理化(株)製]311部と水酸化カリウム0.5部[ナカライテスク(株)製]を仕込み、反応槽内の温度を90℃に調整する。その後、0.099MPa以下の減圧下で脱水し、水分を0.03%以下にした。この後、反応槽内の温度を140℃に調整する。次いで、プロピレンオキサイド283部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌した。次に、エチレンオキサイド280部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌した。引き続きプロピレンオキサイド106部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌した。さらに、エチレンオキサイド106部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌した。この後、80℃に冷却し、酢酸0.4部〔ナカライテスク社製〕で触媒を中和し、イオン交換水20部を投入した。
一連の操作により、下記一般式(4)において、R
1:ドデシル基、k:4、m:2、
n:1、r:1.5であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A’−7)を含む無機スラリー脱水促進剤(7’)を得た。一般式(4)は一般式(1)中のPO、EOランダム付加部分がPO、EOブロックに置き換わったものである。
R
1−O−(PO)
m−(EO)
k−(PO)
n−(EO)
r−H (4)
【0048】
<比較例8>
内容量が2000mlである撹拌装置、温度制御装置付きのステンレス製オートクレーブに、1−ペンタノール[和光純薬工業(株)製]117部と水酸化カリウム0.5部[ナカライテスク(株)製]を仕込み、反応槽内の温度を90℃に調整する。その後、0.099MPa以下の減圧下で脱水し、水分を0.03%以下にした。この後、反応槽内の温度を140℃に調整する。次いで、エチレンオキサイド234部とプロピレンオキサイド154部を混合した後容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌した。引き続きプロピレンオキサイド386部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌し、その後エチレンオキサイド88部を容器内に滴下し、140℃で2時間攪拌した。この後、80℃に冷却し、酢酸0.4部〔ナカライテスク(株)製〕で触媒を中和し、イオン交換水20部を投入した。
一連の操作により、一般式(1)において、R
1:ドデシル基、k:4、m:2、n:
5、r:1.5であるポリオキシアルキレンアルキルエーテル(A’−8)を含む無機スラリー脱水促進剤(8’)を得た。
【0049】
実施例1〜11及び比較例1〜8で得た無機スラリー脱水促進剤(1)〜(11)及び(1’)〜(8 ’)中のポリオキシアルキレンアルキルエーテル、水及び酢酸カリウムの含有量を下記測定法で測定した。結果を表1に示す。
【0050】
<無機スラリー脱水促進剤の水分含有量の測定方法>
以下の条件で脱水促進剤の水分含有量を測定した。
水分含有量を測定する装置として、カールフィッシャー水分計(容量滴定方式)使用した。カールフィッシャー水分計は、京都電子工業社製:カールフィッシャー水分計(MKA−610)を用いた。
希釈溶剤としてメタノールを用いて、測定試料約1gを有効数字4桁まで精秤し、メタノール中に投入し、1分間攪拌した。攪拌後、適定によって求められた水分量を読み取り、これを無機スラリー中脱水促進剤中の水分含有量とした。
【0051】
<無機スラリー脱水促進剤の酢酸カリウム含有量の測定方法>
以下の条件で脱水促進剤の酢酸カリウム含有量を測定した。
酢酸カリウム含有量を測定する装置として、カリウム用中空陰極ランプをセットするフレーム式原子吸光分析装置を使用した。フレーム式原子吸光分析装置は、島津製作所製:原子吸光分光光度計AA−7000を用いた。
測定試料約2gを有効数字4桁まで精秤し、希釈溶剤としてイオン交換水(電気伝導度が 0.2μS/cm以下のもの)を用いて、50mlのイオン交換水にて希釈した。
また、検量線作成用の標準溶液は酢酸カリウムをイオン交換水にて希釈し、100ppm、200ppm、400ppmのものを作成した。作成した水溶液を原子吸光分析にかけ、下記の式にて酢酸カリウム含量を求めた。
酢酸カリウム含量(%)=(希釈溶液中の酢酸カリウム含量(ppm))/(測りとったサンプルの重量(g))/200
【0052】
<無機スラリー脱水促進剤のポリオキシアルキレンアルキルエーテルの測定方法>
以下の計算式で無機スラリー脱水促進剤中のポリオキシアルキレンアルキルエーテル含有量を計算した。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル含有量(重量%)
=100−(酢酸カリウム含有量(重量%))−(水分(重量%))
【0053】
実施例1〜11及び比較例1〜8で得た無機スラリー脱水促進剤(1)〜(11)及び(1’)〜(8’)の粘度(25℃、BL型粘度計)、pH(1重量%水溶液)及び曇点を測定した。結果を表1に示す。
【0054】
<曇点>
曇点は、試料の無機スラリー脱水促進剤2部を、水98部に溶解して2重量%水溶液としたものを試験液として用いた。
(1)30cm
3の試験管に試験液を10cm
3入れた。
(2)25℃の温浴槽に試験管を入れ、ガラス棒状の温度計を用いて手動で試験液を攪拌しながら、試験液の温度を1℃/5秒の速度で上げた。
(3)攪拌しても濁る状態になったところでの温度を読み取った。
(4)試験管を温浴槽から取り出し、25℃の雰囲気下で、攪拌棒で試験液を攪拌しながら、温度を徐々に下げた。
(5)上記(2)〜(4)を2回繰り返し、(3)で読み取った温度の平均値を曇点とした。
【0055】
【表1】
【0056】
<無機スラリーの脱水性の評価>
某製紙会社の苛性化工程から排出された炭酸カルシウムスラリー(固形分濃度25重量%)500mlを60℃〜70℃にした後、1Lビーカーに入れた。この炭酸カルシウムスラリーに試料の無機スラリー脱水促進剤を炭酸カルシウムスラリーに対してそれぞれ100ppmとなるように添加した後に、攪拌羽を用いて100rpmで3分間攪拌を行った。このスラリーをリーフテスター((株)宮本製作所製)を用いて600mmHgで吸引ろ過した。60秒間吸引した後、脱水ろ過後の石灰泥ケーキを全て取出し重量(Ww)を測定した。その後、105℃の乾燥機内で8時間乾燥し、放冷後重量(Wd)を測定し石灰泥ケーキ中の含水率を次式より求めた。結果を表1に示す。
石灰泥ケーキの含水率(%)=(Ww−Wd)/Ww×100
【0057】
<真空乾燥時の発泡性の評価>
某製紙会社の苛性化工程から排出された炭酸カルシウムスラリー(固形分濃度25重量%)を、500mlの共栓付き試験管に300mlを入れ加温し、試料の無機スラリー脱水促進剤をマイクロシリンジにて石灰泥に対して200ppmとなるようにそれぞれ添加し、上下を5回ゆっくり転倒させた後に静置し、30秒後の発泡による液面からの泡の高さを測定した。結果を表1に示す。
【0058】
<無機スラリー脱水促進剤の経時安定性の評価>
無機スラリー脱水促進剤の経時安定性は、以下の方法で評価した。
100mlのガラス製容器に試料の無機スラリー脱水促進剤をそれぞれ90g入れ、密栓をしたのち、40±1℃のインキュベーター中に入れて、1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月経過後の各時点てのpHを測定し、pHの変化の大小によって経時安定性を評価した。pHの測定方法は上述の通りである。結果を表1に示す。
【0059】
表1の結果から、実施例1〜11の脱水促進剤(1)〜(11)は、比較例1〜8の脱水促進剤(1’)〜(8’)と比較して、石灰泥の含水率が低いことから、無機スラリーの脱水性が高いことがわかる。また、泡の高さが低く、真空乾燥時の発泡性が改善されることが分かる。
これはアルコールに対しエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを始めにランダム付加することによって石灰泥に対して脱水促進剤が効果的に吸着し、この後プロピレンオキサイドとエチレンオキサイドがこの順番にブロック付加することによって、余分な水分を石灰泥から排出したことによる効果であると推察される。
また、酢酸カリウムを含有している実施例1〜7及び9〜11の脱水促進剤(1)〜(7)及び(9)〜(11)は、酢酸カリウムを含有していない実施例8の脱水促進剤(8)と比較して、経時安定性に優れていることが分かる。