【実施例】
【0028】
実施例1
3−[(1R)−6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]−N−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−アミンジヒドロクロリド
【化1】
ステップ1:ベンジル−(6−フルオロインダン−1−イリデン)−アミン
【化2】
6−フルオロインダン−1−オン(14.57g、97.04mmol)およびベンジルアミン(10.60mL、97.04mmol)をトルエン(75mL)に混ぜ合わせる。p−トルエンスルホン酸一水和物(0.923g、4.85mmol)を添加する。還流冷却器を取り付け、混合物を窒素下で加熱して6時間にわたって還流し、次いで、室温で14時間攪拌する。混合物を酢酸エチルおよび水で抽出する。得られた有機物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮すると、標記化合物が赤色油(23.22g、100%)として得られる。MS(ES)m/z=240[M+1]。
【0029】
ステップ2:ベンジル−(6−フルオロインダン−1−イル)−アミン
【化3】
ベンジル−(6−フルオロインダン−1−イリデン)−アミン(23.22g、97.03mmol)をエタノール(1200mL)に溶解させる。混合物を窒素下で0℃に冷却する。水素化ホウ素ナトリウム(11.01g、291.10mmol)を混合物に添加する。1時間後、ジクロロメタン(150mL)および水(150mL)を添加する。窒素下で14時間攪拌し、真空中で濃縮してエタノールを除去する。残渣をジクロロメタンおよび飽和塩化ナトリウム水溶液で抽出する。得られた有機物を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮すると、標記化合物が赤色油(22.12g、94%)として得られる。MS(ES)m/z=242[M+1]。
【0030】
ステップ3:6−フルオロインダン−1−イルアミン
【化4】
高圧フラスコに、エタノール(100mL)中10%パラジウム炭素(1.44g)を添加する。ベンジル−(6−フルオロインダン−1−イル)−アミン(14.44g、59.84mmol)のエタノール(200mL)中溶液を添加する。チャンバーを窒素で3回、次いで、水素で3回パージする。水素(60psi)下、50℃で2時間激しく攪拌する。混合物をCelite(登録商標)521を通して濾過し、固体をメタノールで洗浄する。濾液を真空中で濃縮すると、標記化合物が薄茶色液体(9.14g、100%)として得られる。MS(ES)m/z=152[M+1]。
【0031】
ステップ4:6−クロロ−N−(6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−3−ニトロピリジン−2−アミン
【化5】
6−フルオロインダン−1−イルアミン(8.50g、56.22mmol)をメタノール(200mL)およびトリエチルアミン(8.62mL、61.84mmol)に溶解させる。2,6−ジクロロ−3−ニトロピリジン(10.85g、56.22mmol)を添加し、窒素下で14時間攪拌する。反応混合物を濾過し、固体をメタノールおよびヘキサンで洗浄すると、標記化合物が黄色固体(9.00g、52%)として得られる。MS(ES)m/z=308[M+1]。
【0032】
ステップ5:N2−(6−フルオロインダン−1−イル)−N6−(5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−ニトロピリジン−2,6−ジアミン
【化6】
6−クロロ−N−(6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル)−3−ニトロピリジン−2−アミン(9.00g、29.34mmol)および3−アミノ−5−メチルピラゾール(4.56g、46.95mmol)をジメチルスルホキシド(60mL)に混ぜ合わせる。N,N−ジイソプロピルエチルアミン(8.18mL、46.95mmol)を添加し、反応物を窒素下、120℃で90分間加熱する。反応物を氷水(200mL)に注ぎ込み、20分間攪拌し、次いで濾過する。得られた固体をジクロロメタンおよびメタノールの混合物に懸濁し、40℃で20分間攪拌する。混合物を濾過すると、標記化合物が黄色固体(6.03g、56%)として得られる。MS(ES)m/z=369[M+1]。
【0033】
ステップ6:3−[(1R)−6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]−N−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−アミン
【化7】
N2−(6−フルオロインダン−1−イル)−N6−(5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−ニトロピリジン−2,6−ジアミン(0.571g、1.55mmol)をメタノール(10mL)に溶解させる。インジウム(0.890g、7.75mmol)および塩酸(12N、0.65mL、7.75mmol)を添加する。混合物を窒素下で1時間攪拌する。反応混合物をCelite(登録商標)521を通して濾過し、固体をメタノールで洗浄する。濾液を真空中で濃縮すると、粗製N2−(6−フルオロインダン−1−イル)−N6−(5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2,3,6−トリアミンジヒドロクロリドが得られる。
【0034】
N2−(6−フルオロインダン−1−イル)−N6−(5−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−ピリジン−2,3,6−トリアミンジヒドロクロリドを酢酸(5mL)およびオルトギ酸トリメチル(0.68mL、6.20mmol)に溶解させる。窒素下で30分間攪拌する。真空中で濃縮し、アセトニトリル中0.03%塩酸水溶液の勾配で溶出する逆相クロマトグラフィーによって精製すると、標記化合物のラセミ体(0.124g、19%、2ステップ)が得られる。MS(ES)m/z=349[M+1]。ラセミ体をキラルクロマトグラフィー条件で分離すると標記化合物が得られる:(70mg、11%。エナンチオマー1(3.7分での第1の溶離液)>99%ee、100%MeOH、0.2%DMEA、1.0mL/分、4.6×150mm、CHIRALPAK(登録商標)AD−H)。
【0035】
ステップ7:3−[(1R)−6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]−N−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−アミンジヒドロクロリド
【化8】
3−[(1R)−6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]−N−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−アミン(0.070g、0.201mmol)をジクロロメタン(5mL)に溶解させる。1,4−ジオキサン(0.100mL、0.400mmol)中塩酸、4Mを添加する。この溶液を14時間攪拌し、次いで、真空中で濃縮乾固する。メタノールに溶解させ、真空中で3回濃縮乾固すると標記化合物(0.067g、79%)が得られる。MS(ES)m/z=349[M+1]。
【0036】
実施例2
3−[(1R)−6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]−N−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−アミン
【化9】
ステップ1:(1S)−6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール
【化10】
22L四つ首丸底フラスコに、オーバーヘッド攪拌機(overhead agitation)、熱電対、1Lおよび5Lの付加漏斗、冷却浴ならびに窒素入口を装備する。窒素パージ下、フラスコに6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オン(500g、3.33mol)およびトルエン(5L)を装入する。得られた混合物を5分間攪拌して全ての固体を溶解させ、次いで、氷/アセトン浴を用いて−10℃に冷却する。1L付加漏斗にR−(−)−2−メチル−CBS−オキサザボロリジン(トルエン中1M、666mL、0.666mol)を装入する。この溶液を反応混合物に添加し、次いで、5分間攪拌する。5L付加漏斗にトルエン(5L)、引き続いてボラン−硫化メチル錯体(310.1mL、3.33mol)を装入する。漏斗を旋回させて試薬を混合した後、ポット温度を−5℃未満に維持しながら、この溶液を3時間にわたって反応混合物に滴加する。15分後、TLCによって反応物の試料を監視する(50μL MeOHで25μL反応混合物をクエンチする;75/25ヘキサン/EtOAc、UV)。この分析は、残っている出発物質がないことを示す。混合物を冷浴で一晩攪拌させる。
【0037】
反応混合物を10℃に冷却し、メタノール(0.5L)を付加漏斗に装入し、次いで、30分間にわたって滴加する。MeOHクエンチの開始時にはガス放出(off−gassing)が明らかであるが、約1/3の添加後に静まる。得られた混合物を15分間攪拌し、次いで、飽和NaCl(2.5L)で希釈する。20分間攪拌した後、混合物をHyflo Super Cel(登録商標)のパッドを通して濾過し、パッドをトルエン(2L)ですすぐ。
【0038】
濾液を底に口のあるフラスコに移し、層を分離する。有機層を脱イオン水(2.5L)、1N HCl(2.5L)、飽和NaHCO
3(2.5L)および飽和NaCl(2.5L)で洗浄する。Darco(0.5kg)の存在下、Na
2SO
4(1kg)上で0.5時間乾燥させた後、混合物をKieselgel 60シリカ(0.5kg)が載ったHyflo Super Cel(登録商標)を通して濾過する。パッドをトルエン(1L)ですすぎ、濾液を真空中で濃縮する。得られた油に前に製造した固体をまいて結晶化を誘導する。結晶化が標記化合物を淡黄色固体(500g、98.7%、98.1%ee)として提供する。
1H NMR(CDCl
3、500.0MHz):δ1.74(bs、1H)、1.99(m、1H)、2.54(m、1H)、2.77(m、1H)、3.00(m、1H)、5.22(m、1H)、6.95(td、1H)、7.09(dd、1H)、7.17(td、1H)ppm。
【0039】
ステップ2:(1R)−1−アジド−6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン
【化11】
22L三つ首フラスコに、オーバーヘッド攪拌機、熱電対、窒素入口、1Lの付加漏斗および冷却浴を装備する。フラスコに(1S)−6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−オール(700g、4.6mol)およびトルエン(7L)を装入する。得られた溶液を0〜5℃に冷却し、ジフェニルホスホリルアジド(1444g、5.1mol)を一度に添加する。15分後、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−ウンデカ−7−エン(847mL、5.5mol)を付加漏斗に装入し、次いで、ポット温度を10℃未満に維持しながら、2時間にわたって反応容器に滴加する。浴を除去し、反応混合物を周囲温度で一晩攪拌させる。
【0040】
22時間後、TLC(80/20ヘキサン/EtOAc、UV)およびGC/MSは、反応が完了していることを示す。脱イオン水(3.5L)を15分にわたって添加し、15分間攪拌する。混合物を底に口のあるフラスコに移し、層を分離する。有機層を脱イオン水(3.5L)、次いで、0.5M HCl(3.5L)そして最後に脱イオン水(3.5L)で洗浄する。3つの水性洗浄液を合わせて、トルエン(3.5L)で逆抽出する。有機層を合わせ、Darco(0.5kg)の存在下、Na
2SO
4(1kg)上で乾燥させる。15分間攪拌した後、混合物をHyflo Super Cel(登録商標)のパッドが載ったGFF紙を通して濾過する。パッドをトルエン(1L)ですすぎ、濾液を22Lビュッヒフラスコに移し、真空中で約4容積(2.8L)に濃縮する。
【0041】
シリカゲルプラグクロマトグラフィー用の大型漏斗を用意し、Kieselgel 60シリカ(6Kg)を装入する。シリカに砂(1Kg)を載せ、トルエンで湿らせる。粗製生成物を含有する反応溶液2.8Lをわずかな真空下で漏斗に注ぎ入れる。生成物をトルエン(4×4L)で溶出する。濾液を、風袋を計ったフラスコに移し、真空中で約3L(トルエン溶液2788g)に濃縮(40℃浴)する。少量試料重量分析(トルエン溶液0.467g中標記化合物0.123g)に基づくと、標記化合物753.5gが存在する(トルエン中溶液7782g、90.2%収率)。トルエン溶液をガロンジャグに移し、その後のステップに使用するために冷蔵庫に保管する。
【0042】
ステップ3:(1R)−6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−アミン
【化12】
3ガロンHydroタンクT−85に5%Pd/C(164mLトルエン中8.2g)およびステップ2で得られた(1R)−1−アジド−6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデンの3分の1(エタノール溶液2594g中アジド163.9g)を装入する。タンクを窒素でパージし、次いで、水素(約50psi)で加圧する。混合物を30分間攪拌する。次いで、タンクを大気にし、水素(約50psi)を再装入し、さらに30分間攪拌する。TLCおよびGC/MSは、反応が完了していることを示す。反応混合物をカーボイに移し、タンクを3A−EtOHですすぐ。この反応を同じスケールで2回繰り返す。3つの反応の溶液を合わせる。減圧下で約8容積に濃縮する。混合物をGFF紙によって濾過して触媒を除去し、パッドを3A−EtOH(約200mL)ですすぐ。少量試料分析に基づくと、標記化合物は3A−EtOH溶液中92%収率(386g)で得られる。
【0043】
ステップ4:6−クロロ−N−[(1R)−6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]−3−ニトロピリジン−2−アミン
【化13】
12L三つ首フラスコを窒素でパージし、次いで、熱電対、加熱マントルおよび冷却器を組み立てる。(1R)−6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−アミン(386g、2.55mol)をフラスコに装入し、3A−EtOH(3.9L)、ジイソプロピルエチルアミン(1.34L、7.68mol)および2,6−ジクロロ−3−ニトロピリジン(643g、3.07mol)を添加する。反応混合物を周囲温度で8時間攪拌し、引き続いて12時間70℃に加熱する。反応混合物を1.25時間にわたって8℃に冷却し、次いで、ポリプロピレンパッド上に濾過する。固体を3A−EtOH(760mL)で洗浄し、風袋を計った皿に移し、真空オーブン(45℃)中でさらに乾燥させると標記化合物が橙色固体(786g、71%、98.0%ee)として得られる。GC/MS(m/z):307(M+)。
【0044】
ステップ5:N2−[(1R)−6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]−N6−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−3−ニトロピリジン−2,6−ジアミン
【化14】
三つ首フラスコ(22L)に熱電対、冷却器、オーバーヘッド攪拌機、N
2入口および加熱マントルを装備する。フラスコに、6−クロロ−N−[(1R)−6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]−3−ニトロピリジン−2−アミン(600g、1.95mol)、5−メチル−1H−ピラゾール−3−アミン(208.31g、2.14mol)、ジメチルスルホキシド(6.0L)およびジイソプロピルエチルアミン(680.11mL、3.90mol)を装入する。この溶液を70℃で20時間攪拌する。混合物を周囲温度に冷却し、これをMeOH(6.0L)で希釈する。脱イオン水(2.1L)を1時間にわたってこの溶液に添加すると橙色懸濁液が得られる。この懸濁液を1時間攪拌し、次いで、ポリプロピレンを通して濾過する。濾過ケークを脱イオン水(12L)で洗浄し、固体を、風袋を計った皿に移し、一定重量まで真空乾燥(50℃)させると標記化合物(647g、90%)が得られる。MS(m/z):369(M+1)。
【0045】
ステップ6:3−[(1R)−6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]−N−(3−メチル−1H−ピラゾール−5−イル)−3H−イミダゾ[4,5−b]ピリジン−5−アミン
【化15】
N2−[(1R)−6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−1H−インデン−1−イル]−N6−(5−メチル−1H−ピラゾール−3−イル)−3−ニトロピリジン−2,6−ジアミン(622g、1.69mol)を10L丸底フラスコに添加し、これをDMF(5L)で処理する。全ての固体が溶解するまでフラスコ内容物を旋回させる。オルトギ酸トリメチル(1.85L、16.9mol)およびp−トルエンスルホン酸ピリジニウム(42.4g、0.169mol)を旋回させながらフラスコに装入する。3ガロンhydroタンクT−85に5%Pd/C(93.3g、15重量%充填)をDMF(100mL)中濃厚スラリーとして窒素パージ下で装入する。上記混合物をhydroタンクに添加し、窒素で数回パージし、次いで、水素(約50psi)下でタンクに装入する。混合物を60℃に加熱し、一晩攪拌させる。約22時間で、反応器を大気にし、試料を採取し、TLCおよびLC/MSによって確認すると、両方とも反応が完了していることを示す。混合物をHyflo Super Cel(登録商標)のパッドを通して濾過し、タンクおよびパッドをEtOAc(1L)ですすぐ。濾液をビュッヒフラスコに移し、脱イオン水(622mL)で希釈し、真空中(50℃浴)で濃縮して過剰なオルトギ酸トリメチルを除去する。DMF溶液を50Lの底に口のあるフラスコに移し、EtOAc(12.4L)で希釈する。この溶液を飽和LiCl溶液(3×6.22L)で洗浄する。水性洗浄液を合わせて、EtOAc(4×3.11L)で逆抽出する。有機層を合わせて、飽和LiCl(2×1L)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させて、GFF紙を通して濾過する。濾液を真空中(45℃浴)で濃縮すると、粗製生成物が緑色固体(609g、103.5%)として得られる。1H NMR(DMSO−d6、500.0MHz):δ2.15(s、3H)、2.67(q、2H)、2.99(m、1H)、3.17(m、1H)、5.89(s、1H)、6.11(t、1H)、6.76(dd、1H)、6.87(d、1H)、7.10(td、1H)、7.42(m、1H)、7.76(d、1H)、7.99(s、1H)、9.23(bs、1H)、11.65(bs、1H)ppm。
【0046】
三つ首フラスコ(22L)に熱電対、冷却器、オーバーヘッド攪拌機、N
2入口および加熱マントルを装備する。フラスコに、すぐ上で製造した粗製物質(598.5g、1.7mol)およびアセトニトリル(12L)を装入し、得られた混合物を加熱還流する。完全な溶液に達したら、熱源を停止し、溶液を自己冷却させる。56℃で溶液に上の緑色固体をまくと、結晶化が直ちに始まる。初期種材料は本質的に上のように得られる。この懸濁液を氷浴でさらに冷却し、一晩攪拌し、濾過する。生成物ケークをアセトニトリル(1.2L)で洗浄し、固体を、風袋を計った皿に移し、真空下(50℃)で一定重量に乾燥させると標記化合物(349.54g、58.4%)が得られる。
1H NMR(DMSO−d6、500.0MHz):δ2.15(s、3H)、2.67(q、2H)、2.99(m、1H)、3.17(m、1H)、5.89(s、1H)、6.11(t、1H)、6.76(dd、1H)、6.87(d、1H)、7.10(td、1H)、7.42(m、1H)、7.76(d、1H)、7.99(s、1H)、9.23(bs、1H)、11.65(bs、1H)ppm。
【0047】
X線粉末回折
結晶固体のXRDパターンは、35kVおよび50mAで作動する、CuKa源(λ=1.54060Å)およびVantec検出器を備えるBruker D4 Endeavor X線粉末回折計で得られる。試料は、ステップサイズ0.087°(2θ)およびスキャン速度0.5秒/ステップ、および0.6mm発散、5.28mm固定抗散乱、および9.5mm検出器スリットで、4〜40°(2θ)の間でスキャンされる。乾燥粉末が石英試料ホルダーに詰められ、ガラススライドを用いて滑らかな表面が得られる。任意の所与の結晶型について、回折ピークの相対強度は、結晶形態および晶癖などの因子から生じる好ましい配向により変化し得ることが結晶学分野で周知である。好ましい配向の影響が存在する場合、ピーク強度が変化するが、多形の特徴的ピーク位置は変化しない。さらに、任意の所与の結晶型について、角度方向ピーク位置はわずかに変化し得ることも結晶学分野で周知である。例えば、ピーク位置は、試料が分析される温度もしくは湿度の変動、試料変位、または内部標準の存在もしくは不在によってシフトし得る。この場合、±0.2(2θ)のピーク位置変動性は、示される結晶型の明白な識別を妨げることなく、これらの潜在的変動を考慮するだろう。結晶型の確認は、識別ピーク(°2θの単位)、典型的にはより顕著なピークの任意の独特な組み合わせに基づいてなされ得る。周囲温度および相対湿度で回収された結晶型回折パターンは、8.85および26.77°2θのNIST675標準ピークに基づいて調整される。
【0048】
したがって、実施例2の調製試料は、以下の表1に記載される回折ピーク(2θ値)を有するものとして、CuKa放射線を用いたXRDパターンによって特徴づけられる。具体的には、このパターンは、0.2°の回折角についての許容誤差で、4.32、8.71、13.12、15.19および18.86からなる群から選択されるピークの1つまたは複数と組み合わせて16.11のピークを含む。
【表1】
【0049】
JAK1/2/3インビトロ酵素アッセイ
JAK1、JAK2およびJAK3キナーゼに対する化合物IC
50値を測定するために、JAK LanthaScreen(商標)Kinase Assay(Life Technologies、#PV4844)が使用される。このキナーゼアッセイは、長寿命テルビウム(Tb)標識抗体をドナー種としておよび緑色蛍光タンパク質シグナル伝達性転写因子(GFP−STAT1)をアクセプター種として使用する時間分解蛍光共鳴エネルギー転移(TR−FRET)アッセイフォーマットである。
【0050】
JAK1、JAK2またはJAK3活性を監視するためにTR−FRET比が使用され、ここではGFP−STAT1のリン酸化の増加がTR−FRET比の増加をもたらす。浅い黒色384ウェルProxiplate(PerkinElmer、#6008260)中で12.5μL反応体積を用いてキナーゼ反応を行う。試薬を添加して、50ミリモルN−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N−2’−エタンスルホン酸(HEPES)pH7.3、1.76ミリモルTriton(商標)X−100、JAK1アッセイ用の20.0マイクロモルアデノシン三リン酸(ATP)(JAK2アッセイ用は5マイクロモルATP、またはJAK3アッセイ用は2マイクロモルATP)、10.0ミリモル塩化マグネシウム(MgCl
2)、1ミリモルエチレングリコール四酢酸(EGTA)、0.01%Brij−35、0.05マイクロモル緑色蛍光タンパク質シグナル伝達性転写因子(GFP−STAT1)、14ナノモルJAK1酵素(または、1.0ナノモルJAK2酵素、または2.5ナノモルJAK3酵素)、および4%ジメチルスルホキシド、および実施例1の化合物の連続希釈物(1:3希釈 20000から1ナノモル)の最終反応条件を得る。ATP/GFP−STAT1添加後、アッセイプレートを1000毎分回転数(RPM)で1分間遠心分離する。プレートを室温で60分間インキュベートさせ、次いで、20ミリモルエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、2ナノモルTb−抗−pSTAT1[pTyr701]、0.67ミリモルトリス(ヒドロキシメチル)アミノエタンヒドロクロリド(Trizma(登録商標))pH7.5、0.02%アジ化ナトリウムおよび0.01%ノニルフェニルポリエチレングリコール(Nonidet(登録商標)P40)を含有する停止緩衝液12.5μLを添加して停止する。室温で90分間インキュベートし、340nm波長励起フィルターならびに520nmおよび495nm波長の発光フィルターを用いてEnVisionプレートリーダー(PerkinElmer、#2104−0010)で読み取る。520nmで測定されるGFP−STAT1についての発光波長対Tb−抗−pSTAT1[pTyr701]についての495nmでの発光から比を得る。プレート上対照に対する反応物データ(活性酵素対2.0マイクロモル対照阻害酵素)から計算した阻害%データを用いて、化合物についてのIC
50を得る。ActivityBase4.0を使用して阻害%および10点化合物濃度データを4パラメータロジスティック方程式に当てはめる。
【0051】
本発明の範囲内の化合物を実質的に上に記載されるこのアッセイで試験する。実施例1の化合物は、JAK1に対して1.7nM+/−0.8nMのIC
50(n=3)、JAK2に対して1.7nMのIC
50(n=1)およびJAK3に対して8.0nM+/−5.9nMのIC
50(n=6)を有することが決定される。実施例1の化合物は、酵素アッセイで、JAK3に対して4倍超のJAK1およびJAK2への選択性を示した。これらの結果は、実施例1の化合物がJAK1およびJAK2の強力なインビトロ阻害剤であり、JAK3よりJAK1およびJAK2にインビトロで選択的であることを示している。
【0052】
JAK2 EPO−TF1/pSTAT5細胞ベースアッセイ−Cellomics ArrayScan(登録商標) HCS
JAK2 EPO−TF1/pSTAT5細胞ベースアッセイは、赤血球の過剰産生、真性多血症(PV)のマーカーを導く、赤血球前駆細胞におけるJAK2 STAT5の恒常的活性化を模倣するものである。そのため、EPO−TF1/pSTAT5細胞ベースアッセイは、インビトロでのJAK化合物のJAK2細胞活性の評価を可能にする。
【0053】
TF−1(ヒト赤白血病)細胞を、10%ウシ胎児血清(FBS)、0.075%重炭酸ナトリウム、1mMピルビン酸ナトリウム、1×抗生物質/抗真菌剤(Invitrogen、カールスバド、CA)および0.45%グルコースを含むRPMI1640(RPMI−1640はRoswell Park Memorial InstituteでMooreらによって開発された。その配合は、重炭酸塩緩衝系を利用し、アミノ酸およびビタミンの量を変更したRPMI−1630シリーズの培地に基づく。)に維持する。この培地に、GM−CFS(顆粒球マクロファージコロニー刺激因子)を2ng/mLの最終濃度で補足する。細胞を5%CO
2、37℃で維持する。細胞を無血清培地中で飢餓状態にして内因性成長因子を除去する。TF−1細胞をカウントし、細胞を回収して2×10
5個細胞/ウェルの密度で96ウェルプレート当たり2×10
7個の細胞を播種する。細胞を5×10
5個細胞/mLの最終濃度で0.6%FBSを含むRPMIに懸濁する前に、細胞を未補足RPMI1640(0.075%重炭酸ナトリウム、1mMピルビン酸ナトリウム、1×抗生物質/抗真菌剤および0.45%グルコースを含むRPMI1640)で2回すすぐ。希釈細胞を組織培養フラスコに戻し、37℃で一晩インキュベートする。試験化合物を10mM濃度で100%DMSO中に調製する。化合物を10点−200×濃度−応答範囲(4mM−200nM)で、100%DMSOを用いて1:3連続希釈する。別の深い96ウェルプレートで、4×濃度化合物プレートのために、200×化合物溶液2.5μLを、10%FBSを含む完全RPMI1640培地125μLに添加する。
【0054】
アッセイを行うために、血清飢餓細胞を回収し、未補足RPMI1640培地で1回洗浄する。細胞を8×10
5個細胞/mLの最終濃度のために10%FBS完全RPMI培地に懸濁する。4×濃度化合物プレートにおいて、250μLの一定分量の希釈細胞(2×10
5個細胞)を各ウェルに添加する。細胞をボルテックスすることによって混合し、プレートを37℃水浴で10分間インキュベートする。予備加温10%FBS完全RPMI1640培地を使用することによって、6.4ユニット/mLのエリスロポエチン(EPO)の新鮮な4×使用液を調製する。細胞を化合物で10分間処理した後、EPO培地125μLを各ウェルに添加し、プレートをボルテックスする。細胞を37℃水浴で20分間インキュベートし、インキュベーション時間中、5分おきに混合する。最終的な10点濃度−応答範囲は、DMSO0.5%およびEPO1.6U/mLの最終濃度で20μM−1nMとなる。細胞処理後、1%ホルムアルデヒド溶液500μL(リン酸緩衝食塩水(PBS)を用いて新たに製造し、37℃で加温維持した)を各ウェルに添加する。プレートを密閉し、8〜10回逆さにして混合する。プレートを37℃水浴に10分間入れる。インキュベーション後、細胞プレートを室温(RT)において1200rpmで5分間回転させる。上清を吸引すると、細胞100μL(2×10
5個細胞)が残る。この細胞をボルテックスし、回転ステップの繰り返しおよび最後の洗浄後に約2×10
5個の細胞を含有する100μLを残すことによってPBS800μLで2回洗浄する。800μLの一定分量の冷90%メタノールを細胞に添加し、−20℃に一晩置く。プレートを回転させ、メタノールを除去する。細胞をFACS緩衝液(5%FBSおよび0.02%アジ化ナトリウムを含むPBS)で洗浄する。200μLの一定分量のマウス抗pSTAT5(pY694)Alexa Fluor 647(登録商標)の蛍光活性化セルソーティング(FACS)緩衝液中1〜10希釈を細胞に添加する。細胞をよく混合し、暗所中室温で2時間インキュベートする。細胞をPBSで1回洗浄し、細胞100μLを残す。2μg/mL Hoechst(Acros Organics、モリスプレーンズ、NJ)の使用液を、PBSを用いて調製する。200μLの一定分量を各ウェルに添加し、細胞を暗所中室温で10分間インキュベートする。細胞をPBSで洗浄し、Cytofix(BD Biosciences、サンノゼ、CA)50μLを細胞に添加する。細胞を96ウェル黒色組織培養プレートに移し、密閉する。プレートを遠心沈殿させる。平均蛍光強度データを回収し、Cellomics Arrayscan(登録商標)VTiを用いて分析する。化合物処理をビヒクルと比較して阻害%データを測定する。ActivityBase4.0による4パラメータロジスティック曲線当てはめ分析を用いて相対IC
50を計算する。
【0055】
本発明の範囲内の化合物を実質的に上に記載されるこのアッセイで試験する。実施例1の化合物は、0.035μM+/−0.013μMのIC
50(n=65)でJAK2を阻害する。これらの結果は、実施例1の化合物がJAK2 EPO−TF1/pSTAT5細胞ベースアッセイでJAK2の強力な阻害剤であることを示している。
【0056】
JAK3 IL−2−NK−92/pSTAT5細胞ベースアッセイ−Cellomics ArrayScan(登録商標) HCS
IL−2はナチュラルキラー(NK)細胞においてJAK3経路を活性化してNKおよびCD8リンパ球増殖を駆動する。そのため、IL−2刺激NK92/pSTAT5細胞ベースアッセイは、インビトロでのJAK化合物のJAK3細胞活性の評価を可能にする。
【0057】
NK−92(ナチュラルキラー)細胞(ATCC、マナサス、VA)を、15%ウシ胎児血清、15%ウマ血清および1×抗生物質/抗真菌剤(Invitrogen、カールスバド、CA)を含む最小必須培地(MEM)αに維持する。この培地にIL−2(R&D systems、ミネアポリス、MN)を4ng/mLの最終濃度で補足する。細胞を5%CO
2、37℃で維持する。細胞を無血清培地中飢餓状態にして内因性成長因子を除去する。NK−92細胞をカウントし、回収して2×10
5個細胞/ウェルの密度で96ウェルプレート当たり2×10
7個の細胞を播種する。細胞を8×10
5個細胞/mLの最終濃度で0.6%血清(0.3%FBS、0.3%ウマ血清)を含むMEMαに懸濁する前に、細胞を未補足MEMα(MEMα)で2回すすぐ。希釈細胞を組織培養フラスコに戻し、37℃で一晩インキュベートする。試験化合物を10mM濃度で100%DMSO中に調製する。化合物を10点−200×濃度−応答範囲(4mM−200nM)で、100%DMSOを用いて1:3連続希釈する。別の深い96ウェルプレートで、4×濃度化合物プレートのために、200×化合物溶液2.5μLを、10%FBS完全RPMI1640培地125μLに添加する。アッセイを行うために、血清飢餓細胞を回収し、未補足RPMI1640培地で1回洗浄する。細胞を8×10
5個細胞/mLの最終濃度のために10%FBS完全RPMI培地に懸濁する。4×濃度化合物プレートにおいて、250μLの一定分量の希釈細胞(2×10
5個細胞)を各ウェルに添加する。細胞をボルテックスすることによって混合し、プレートを37℃水浴で10分間インキュベートする。予備加温10%FBS完全RPMI培地を使用することによって、2ng/mLの新鮮な4×使用液を調製する。細胞を化合物で10分間処理した後、IL−2培地125μLを各ウェルに添加する。細胞をボルテックスすることによって混合する。細胞を37℃水浴で20分間インキュベートし、インキュベーション時間中、5分おきに混合する。最終的な10点濃度−応答範囲は、DMSO0.5%およびIL−2 0.5ng/mLの最終濃度で20μM−1nMとなる。細胞処理後、1%ホルムアルデヒド溶液500μL(リン酸緩衝食塩水(PBS)を用いて新たに製造し、37℃で加温維持した)を各ウェルに添加する。プレートを密閉し、8〜10回逆さにして混合する。プレートを37℃水浴に10分間入れる。インキュベーション後、細胞プレートを室温において1200rpmで5分間回転させる。上清を吸引すると、細胞100μL(2×10
5個細胞)が残る。この細胞をボルテックスし、回転ステップの繰り返しおよび最後の洗浄後に約2×10
5個の細胞を含有する100μLを残すことによってPBS800μLで2回洗浄する。800μLの一定分量の冷90%メタノールを細胞に添加し、−20℃に一晩置く。プレートを回転させ、メタノールを除去する。細胞をFACS緩衝液(5%FBSおよび0.02%アジ化ナトリウムを含むPBS)で洗浄する。200μLの一定分量のマウス抗pSTAT5(pY694)Alexa Fluor 647(登録商標)の蛍光活性化セルソーティング(FACS)緩衝液中1〜10希釈を細胞に添加する。細胞をよく混合し、暗所中室温で2時間インキュベートする。細胞をPBSで1回洗浄し、細胞100μLを残す。2μg/mL Hoechst(Acros Organics、モリスプレーンズ、NJ)の使用液を、PBSを用いて調製する。200μLの一定分量を各ウェルに添加し、細胞を暗所中室温で10分間インキュベートする。細胞をPBSで洗浄し、Cytofix(登録商標)(BD Biosciences、サンノゼ、CA)50μLを細胞に添加する。細胞を96ウェル黒色組織培養プレートに移し、密閉する。プレートを遠心沈殿させる。平均蛍光強度データを回収し、Cellomics Arrayscan(登録商標)VTiを用いて分析する。化合物処理をビヒクルと比較して阻害%データを測定する。ActivityBase4.0による4パラメータロジスティック曲線当てはめ分析を用いて相対IC
50を計算する。
【0058】
本発明の範囲内の化合物を実質的に上に記載されるこのアッセイで試験する。実施例1の化合物は、0.228μM+/−0.076μMのIC
50(n=61)でJAK3を阻害する。上記2つの細胞ベースアッセイの結果から、JAK3/JAK2の比、IC
50が6倍超であることが決定され、このことは実施例1の化合物がJAK2 EPO−TF1/pSTAT5およびJAK3 IL−2−NK−92/pSTAT5細胞ベースアッセイでJAK3よりJAK2に選択的であることを示している。
【0059】
DS1−AlphaScreen−pSTAT3−細胞ベースアッセイ
IL−6刺激STAT3経路の遮断における化合物の効力を試験するために、DS1−AlphaScreen−pSTAT3−細胞ベースアッセイが使用される。JAK−STAT3経路は、多くの型のがんで恒常的に活性であり、増殖、生存および侵襲の増加に関して腫瘍細胞に関係している。DS1細胞(ATCC)を、10%FBSを含むRPMI完全培地で培養し、次いで、95%湿度において37℃および5%CO
2の雰囲気下で10%FBSを補足したDMEM/高改変培地中に採用および培養する。DS1細胞を96ウェルプレートに4×10
4個細胞/ウェルの密度で蒔き、無血清培地中37℃で3時間培養し、引き続いてビヒクルのみ(DMSO)または0〜20μMの最終濃度範囲にわたる試験化合物で10分間前処理する。次いで、IL−6(R&D System、206−IL)を10ng/mlの最終濃度で細胞培養液に添加し、これを37℃でさらに30分間継続する。最後に、細胞を5Xα溶解緩衝液で溶解し、pSTAT3検出(#TGRS3SHV100)のために反応混合物(TGR Biosciences、南オーストラリア州、オーストラリア、#TGRS3S10K)を充填した384ウェルプレート(PerkinElmer、#6008280)に移す。このプレートを密閉し、室温で2時間インキュベートし、Envision06プレートリーダー(TGR Biosciences、南オーストラリア州、オーストラリア)を使用してpSTAT3を測定する。データをActivityBase4.0で分析する。
【0060】
本発明の範囲内の化合物を実質的に上に記載されるこのアッセイで試験する。実施例1の化合物は、0.066+/−0.023μMのIC50でIL−6−STAT3シグナル伝達を阻害する。これらの結果は、実施例1の化合物がDS1−AlphaScreen−pSTAT3−細胞ベースアッセイでIL−6刺激JAK−STAT3経路を阻害することを示している。
【0061】
Mia−Paca2−MSD−pSTAT3−細胞ベースアッセイ
膵がん細胞のSTAT3リン酸化の遮断における化合物の効力を試験するために、Mia−Paca2−MSD(MesoScale Diagnostics)−pSTAT3−細胞ベースアッセイが使用される。Mia−paca2細胞(ATCC)を、5%CO
2を含むインキュベーター中、37℃で10%FBSを補足したDMEM完全培地中で培養する。次いで、細胞を回収し、カウントし、96ウェルプレートに4×10
4個細胞/ウェルで蒔き、5%CO
2、37℃で一晩培養する。培養培地を細胞から除去し、ビヒクルのみ(DMSO)または1:3希釈(10回希釈)の0〜20μMの範囲にわたる2X最終濃度の化合物のいずれかを含有する無血清培地と交換する。さらに5時間のインキュベーション後、10日MIA PACA2培養上清(ならし培地)100μLをプレートに添加してSTAT3を活性化する。細胞を、5%CO
2を供給したインキュベーター中、37℃でさらに20分間処理する。刺激後、全培地を上記のように手動で除去し、細胞を、1X HALTプロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤カクテル(Thermo Scientific、78441)を含有する氷冷1X MSD溶解緩衝液(MesoScale Diagnostics、K150DID−2)50μLに溶解する。96ウェルプレートを密閉し、次いで、オービタルシェーカー上室温で2分間混合し、次いで直ちに、−80℃で一晩凍結させる。pSTAT3を、以下の通りMA6000 MSD Whole Cell Lysate Kit for Phospho−STAT−3(Tyr705)(MesoScale Diagnostics、#K150DID−2)を使用して検出し、プレートを振盪しながら室温で1〜2時間、ブロッキングバッファーによりブロッキングし、次いで、洗浄緩衝液で4回洗浄する。タンパク質溶解液25μLを各ウェルに添加し、プレートをさらに1〜2時間インキュベートする。プレートを洗浄緩衝液で4回洗浄した後、MSDプレートリーダー6000でプレートを読み取る。Graph Padプログラムを使用してデータを分析する。
【0062】
本発明の範囲内の化合物を実質的に上に記載されるこのアッセイで試験する。実施例1の化合物は、12nMのIC
50でSTAT3のリン酸化を阻害する。これらの結果は、実施例1の化合物が膵がん細胞系でJAK−STAT3経路を阻害することを示している。
【0063】
SUM−159−MSD−pSTAT3細胞ベースアッセイ
乳がん細胞におけるSTAT3リン酸化の遮断における化合物の効力を試験するために、SUM−159−MSD−pSTAT3細胞ベースアッセイが使用される。Sum−159細胞(Asterand)を、5%FBS、インスリン(5μg/mL)およびヒドロコルチゾン(1μg/ml)を含むHAM’s F−12培地(Gibco 11765−054)で培養および維持する。細胞を回収し、カウントし、96ウェルプレートに4×10
4個細胞/ウェルで蒔き、5%CO
2、37℃で一晩培養する。次いで、培養培地を除去し、ビヒクルのみ(DMSO)または1:3希釈(10濃度点)の0〜20μMの範囲にわたる2X最終濃度の化合物のいずれかを含有するF−12培地と交換する。さらに5時間のインキュベーション後、培地を除去し、細胞を2XヒトIL−6(F−12完全培地に希釈した20ng/mL)100μLで処理し、5%CO
2中、37℃でさらに20分間インキュベートする。刺激後、全培地を上記のように手動で除去し、細胞を、1X HALTプロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤カクテルを含有する氷冷1X MSD溶解緩衝液50μLに溶解する。96ウェルプレートを密閉し、次いで、オービタルシェーカー上室温で2分間混合し、次いで直ちに、−80℃で一晩凍結させる。pSTAT3を、上記の通りMA6000 MSD Whole Cell Lysate Kit for Phospho−STAT−3(Tyr705)(MesoScale Diagnostics、#K150DID−2)を使用して検出する。MSDプレートリーダーを使用して。プレートを読み取る。Graph Padプログラムを使用してデータを分析する。
【0064】
本発明の範囲内の化合物を実質的に上に記載されるこのアッセイで試験する。実施例1の化合物は、21nMのIC
50でSTAT3のリン酸化を阻害する。これらの結果は、実施例1の化合物が乳がん細胞系でJAK−STAT3経路を阻害することを示している。