特許第6092379号(P6092379)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6092379金属錯体、その適用、及びメタセシス反応の実施方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092379
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】金属錯体、その適用、及びメタセシス反応の実施方法
(51)【国際特許分類】
   C07F 15/00 20060101AFI20170227BHJP
   C07C 69/74 20060101ALI20170227BHJP
   C07C 67/333 20060101ALI20170227BHJP
   C07F 7/18 20060101ALI20170227BHJP
   C07B 61/00 20060101ALI20170227BHJP
   C07D 307/28 20060101ALI20170227BHJP
   C07D 207/48 20060101ALI20170227BHJP
   C08G 61/06 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   C07F15/00 ACSP
   C07C69/74 A
   C07C67/333
   C07F7/18 J
   C07B61/00 300
   C07D307/28
   C07D207/48
   C08G61/06
【請求項の数】24
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2015-518968(P2015-518968)
(86)(22)【出願日】2013年6月14日
(65)【公表番号】特表2015-524382(P2015-524382A)
(43)【公表日】2015年8月24日
(86)【国際出願番号】EP2013062435
(87)【国際公開番号】WO2014001109
(87)【国際公開日】20140103
【審査請求日】2015年10月29日
(31)【優先権主張番号】61/666,009
(32)【優先日】2012年6月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514216030
【氏名又は名称】アペイロン シンセシス エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】スコベルスキー クシシュトフ
(72)【発明者】
【氏名】ビーニーク ミハウ
【審査官】 緒形 友美
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−176294(JP,A)
【文献】 特表2011−529935(JP,A)
【文献】 特表2011−522778(JP,A)
【文献】 特表2007−501199(JP,A)
【文献】 特表2015−511580(JP,A)
【文献】 RAFAL GAWIN,A DORMANT RUTHENIUM CATALYST BEARING A CHELATING CARBOXYLATE LIGAND IN SITU ACTIVATION AND APPLICATION IN METATHESIS REACTIONS,ANGEWANDTE CHEMIE INTERNATIONAL EDITION,2007年 9月24日,V46 N38,P7206-7209
【文献】 BIOISOSTERIC REPLACEMENTS,[ONLINE],2012年 6月18日
【文献】 C.G.WERMUTH編,『最新 創薬化学 上巻』,株式会社テクノミック,1998年 8月15日,235-271頁,13章 等価置換に基づく分子の変換
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07F 15/00
C07B 61/00
C07C 67/333
C07C 69/74
C07D 207/48
C07D 307/28
C07F 7/18
C08G 61/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式
【化1】
(式中、
Mは、ルテニウムであり;
X及びXは、独立して、アニオン性配位子であり;
Lは、トリシクロヘキシルホスフィン又は
【化2】
であり;
14、R15、R16、及びR17は、独立して、H又はC1−12アルキルであり;
31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、及びR40は、独立して、H、OH、NH、F、Cl、Br、I、NO、CN、CF、C1−10アルキル、又はC1−10アルコキシであり、
は、水素、C1−20アルキル、又はC5−10アリールであり;
【化3】
は、所望により置換されたo−フェニレンであって、当該o−フェニレンが置換されている場合は、当該o−フェニレンのすべての置換基は、独立して、CH、C、C、C、−OCH、−OC、−OC、−OC、F、Cl、NO、又はCNであり;及び
及びは、独立して、H又はC1−6アルキルであって、、C1−6アルキルであって、及びRは、互いに結合してC4−8環系を形成しておらず、前記アルキルは、直鎖、分岐鎖、シクロアルキル、又はこれらの組み合わせであってもよい)
の化合物。
【請求項2】
さらに下記式
【化4】
(式中、R、R、R、及びRは、独立して、H、F、Cl、CH、C、C、−OCH、−OC、−OC、又はNOである)
で表される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが、塩化物である、請求項1又は2に記載の化合物。
【請求項4】
が、塩化物である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
が、Hである、請求項に記載の化合物。
【請求項6】
が、Hである、請求項2又は5に記載の化合物。
【請求項7】
が、Hである、請求項2、5及び6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
が、Hである、請求項2、5、6、及び7のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
Lが、トリシクロヘキシルホスフィンである、請求項1〜のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
Lが、
【化5】
である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
Lが、
【化6】
である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
下記式
【化7】
(式中、
Mは、ルテニウムであり;
X及びXは、独立して、アニオン性配位子であり;
Lは、中性配位子であり;
は、水素、C1−20アルキル、又はC5−10アリールであり;
【化8】
は、所望により置換されたo−フェニレンであって、当該o−フェニレンが置換されている場合は、当該o−フェニレンのすべての置換基は、独立して、CH、C、C、C、−OCH、−OC、−OC、−OC、F、Cl、NO、又はCNであり;及び
、R、及びRは、独立して、H、C1−6アルキル、C4−10ヘテロシクリル、又はC5−14アリールであって、R及びRは、互いに結合してC4−8環系を形成していてもよく、前記アルキルは、直鎖、分岐鎖、シクロアルキル、又はこれらの組み合わせであってもよい)
の化合物であって、
下記式
【化9】
を有する、化合物。
【請求項13】
X及びXは、塩化物であり;
Lは、式2c又は式2d:
【化10】
のN−ヘテロ環状カルベン配位子(NHC)であり;
は、水素であり;
、R、R、及びRは、独立して、水素又はニトロである
請求項2に記載の化合物。
【請求項14】
、R、及びRが、独立して、水素又はメチルである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
1)それぞれC=C二重結合を有する2つの化合物又は少なくとも2つのC=C二重結合を有する1つの化合物、及び2)触媒、を含む混合物を反応させることを含み、前記触媒は、請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物である、メタセシス反応の実施方法。
【請求項16】
前記触媒が、閉環メタセシス、クロスメタセシス、ホモメタセシス、又はアルケン−アルキンメタセシスにおける触媒として使用される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記触媒が、開環メタセシス重合における触媒として使用される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
少なくとも一つのオレフィン及び触媒を含む混合物を反応させることを含み、前記触媒は、請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物である、メタセシス反応の実施方法。
【請求項19】
メタセシス反応が、有機溶媒中で行われる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
金属不純物が、反応混合物を適切な吸着剤のパットを通して濾過することにより生成物から除去される、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項21】
金属不純物が、反応混合物に吸着剤を加え、濾過することにより、反応混合物から除去される、請求項18又は19に記載の方法。
【請求項22】
前記吸着剤が、シリカゲル、酸化アルミニウム、活性酸化アルミニウム、珪藻岩、活性炭から選択される、請求項20又は21に記載の方法。
【請求項23】
前記吸着剤が、シリカゲルである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
金属不純物が、極性溶媒からの結晶化により生成物から除去される、請求項18又は19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2012年6月29日付けで出願された米国仮特許出願第61/666,009号に基づく利益を主張する。この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
【背景技術】
【0002】
オレフィンメタセシス反応のための触媒(式A及び式B等の安定で活性の高い触媒を含む)の開発は、大きな進展を遂げてきた。それにより、多くの化合物の合成にメタセシスを適用することができる。
【0003】
【化1】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
反応生成物からの重金属含有不純物の除去は、製薬業界におけるオレフィンメタセシスの導入において重要となり得る。金属副生成物を除去するための効率的、経済的、かつ実用的な方法の開発は、メタセシス法の更なる応用の一助となるだろう。
【0005】
反応混合物又は粗生成物から残留Ruを除去するために、いくつかの捕捉剤(スカベンジャー)が提案されてきた。これまでのところ、広く支持される方法はない。上記のプロトコルは、古典的な非タグ化触媒が適用された場合に使用された。
【0006】
反応生成物からルテニウムを除去する新たな方法を開発するために、オニウム基を有するいくつかの固定化触媒が合成されてきた。簡単な精製ステップにより、粗生成物中の残留Ru不純物の濃度を低減できることが分かった。しかし、Ru濃度は、依然として薬学的応用には高過ぎるかもしれない。
【0007】
文献上知られている第4級アンモニウム基を有する錯体は、ごく僅かである。これは、このような錯体の合成及び精製が複雑であることが原因であるかもしれない。代わりに、吸着剤に対して高い親和性を有する極性、非荷電性錯体を適用して、残留Ruの除去を容易にすることができる。例えば、シリカゲルに対して高い親和性を有する錯体Cが合成された。Cをメタセシスに適用することにより、残留ルテニウムが大幅に減少した生成物を簡単な精製ステップの後に得ることができた。
【0008】
【化2】
【0009】
しかし、Cで得られた結果は、依然として製薬業界の要求からはほど遠いものであった(生成物中の残留Ruは、83−420ppmの範囲であった)。
D及びEのようなアミド基を有する錯体も同様に合成された。
【0010】
【化3】
【0011】
しかし、D又はEにより触媒された反応の場合、少量の吸着剤に通す反応混合物の簡単な濾過により残留Ruを除去できる可能性は、実証されなかった。
【0012】
本明細書に記載する錯体の活性及び効率性は、文献上知られている触媒に見られる活性及び効率性と同程度である。ヒドロキサム酸エステル基を有する錯体を触媒として適用すると、残留Ruを反応混合物又は粗生成物から安価な精製方法を用いて簡単かつ効率的に除去できることが予期せず判明した。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示は、新規の金属錯体、オレフィンメタセシス又はアルキンメタセシスにおけるその適用、及びオレフィンメタセシス反応の実施方法に関する。
【0014】
いくつかの実施形態は、1)それぞれC=C二重結合を有する2つの化合物又は少なくとも2つのC=C二重結合を有する1つの化合物、及び2)触媒、を含む混合物を反応させることを含む、メタセシス反応の実施方法を包含する。
【0015】
いくつかの実施形態は、少なくとも1つのオレフィン及び触媒を含む混合物を反応させることを含む、メタセシス反応の実施方法を包含する。
【0016】
これらのような、メタセシス反応のための新規の有用な触媒としては、式1
【化4】
(式中、Mは、ルテニウム又はオスミウムであり;X及びXは、独立して、アニオン性配位子であり;Lは、中性配位子であり;Rは、水素、C1−20アルキル、又はC5−10アリールであり;
【化5】
は、所望により置換されたo−フェニレンであって、o−フェニレンの2つ以上の置換基は、所望により置換されたC4−8縮合炭素環、所望により置換されたC5−14縮合芳香環を形成していてもよく;及びR、R、及びRは、独立して、水素、C1−6アルキル、所望により置換されたC4−10ヘテロシクリル、又は所望により置換されたC5−14アリールであって、R及びRは、互いに結合して置換又は非置換のC4−8環系を形成していてもよい)
の化合物が挙げられる。
【0017】
式1に加えて、有用な触媒は、式2−16のいずれかで表されていてもよい。
【0018】
【化6-1】
【化6-2】
【化6-3】
【化6-4】
【化6-5】
【0019】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式1−6等、に関して、
【化7】
は、
o−フェニレンで所望により置換されていてもよく、o−フェニレンの2つ以上の置換基は、所望により置換されたC4−8縮合炭素環又は所望により置換されたC5−14縮合芳香環を形成していてもよい。置換されている場合、任意の適切な置換基がo−フェニレン上に存在していてもよく、例えば、分子量が15g/mol〜1000g/mol、15g/mol〜500g/mol、15g/mol〜100g/mol、又は15g/mol〜50g/molの置換基等がある。いくつかの実施形態において、o−フェニレンのすべての置換基が、15g/mol〜1000g/mol、15g/mol〜500g/mol、15g/mol〜100g/mol、又は15g/mol〜50g/molの分子量を有する。いくつかの実施形態において、1つ、2つ以上、又はすべての置換基が、独立して、H;F;Cl;Br;I;C1−20アルキル、例えば、メチル、エチル、プロピル異性体(例えば、n−プロピル及びイソプロピル)、シクロプロピル、ブチル異性体、シクロブチル異性体(例えば、シクロブチル及びメチルシクロプロピル)、ペンチル異性体、シクロペンチル異性体、ヘキシル異性体、シクロヘキシル異性体等;C2−20アルケニル;C2−20アルキニル;C5−10アリール;C1−20アルコキシ、例えば、−O−メチル、−O−エチル、−O−プロピル異性体、−O−シクロプロピル、−O−ブチル異性体、−O−シクロブチル異性体、−O−ペンチル異性体、−O−シクロペンチル異性体、−O−ヘキシル異性体、−O−シクロヘキシル異性体等;C2−20アルケニルオキシ;C2−20アルキニルオキシ;C5−10アリールオキシ;C1−20アルコキシカルボニル;C1−20アルキルアミノ;C1−20プロトン化アルキルアミノ;アミノ;プロトン化アミノ;C1−20アルキルアンモニウム;ニトロ;カルボキシ;アミド;スルホンアミド;又はC1−20パーハロアルキルであってもよく、これらの基は、C1−20アルキル、C1−20パーハロアルキル、C5−10アリール、又はC4−104級化ヘテロ環で所望により置換されていてもよい。o−フェニレンの2つ以上の置換基は、互いに結合して置換若しくは非置換のC4−8縮合炭素環、又は置換若しくは非置換のC5−14縮合芳香環を形成していてもよい。いくつかの実施形態において、o−フェニレンは非置換であるか、又はすべての置換基が、CH、C、C、C、−OCH、−OC、−OC、−OC、F、Cl、NO、又はCNである。いくつかの実施形態において、o−フェニレンは非置換である。いくつかの実施形態において、o−フェニレンは、1つのNO置換基を有し、他の置換基は有さない。
【0020】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式1−16等、に関して、Mは、ルテニウム又はオスミウムであってもよい。いくつかの実施形態において、Mは、ルテニウムである。いくつかの実施形態において、Mは、オスミウムである。
【0021】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式1−16等、に関して、Xは、F、Cl、Br、IORO(C=O)R、又はO(SO)R等のアニオン性配位子であってもよい。いくつかの実施形態において、Xは、Clである。
【0022】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式1−16等、に関して、Xは、F、Cl、Br、IORO(C=O)R、又はO(SO)R等のアニオン性配位子であってもよい。いくつかの実施形態において、Xは、Clである。
【0023】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式1−16等、に関して、Lは、カルベン、アミン、又はホスフィン等の中性配位子であってもよい。いくつかの実施形態において、Lは、所望により置換されたトリアルキルホスフィン又は所望により置換された1,3−ジフェニルジヒドロイミダゾール−2−イリデンである。いくつかの実施形態において、Lは、P(R18)(R19)(R20)である。
【0024】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式1−16等、に関して、いくつかの実施形態において、Lは、N−ヘテロ環状カルベン配位子(NHC)、例えば以下に示すNHC等である。
【0025】
【化8】
【0026】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式1−8等、に関して、いくつかの実施形態において、Lは、トリシクロヘキシルホスフィンである。いくつかの実施形態において、Lは、
【化9】
である。いくつかの実施形態において、Lは、
【化10】
である。
【0027】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式1、2、及び5−15等、に関して、Rは、水素;C1−20アルキル、例えば、CH、C、C、環状C、C、環状C、C11、環状C、C13、環状C11等;又はC5−10アリール、例えば、所望により置換されたフェニル等であってもよい。
【0028】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式8−16等、に関して、Rは、H又は15g/mol〜3000g/molの分子量を有するあらゆる置換基を含めた任意の置換基であってもよく、例えば、H;F;Cl;Br;I;C1−20アルキル、例えば、CH、C、C、環状C、C、環状C、C11、環状C、C13、環状C11等;C2−20アルケニル;C2−20アルキニル;フェニル又はナフチル等のC5−10アリール;C1−20アルコキシ、例えば、−OCH、−OC、−OC、環状−OC、−OC、環状−OC、−OC11、環状−OC、−OC13、環状−OC11等;C2−20アルケニルオキシ;C2−20アルキニルオキシ;フェノキシ等のC5−10アリールオキシ;C1−20アルコキシカルボニル;C1−20アルキルアミノ;C1−20プロトン化アルキルアミノ;アミノ;プロトン化アミノ;C1−20アルキルアンモニウム;ニトロ;カルボキシ;アミド;スルホンアミド;又はC1−20パーハロアルキル等であり、これらの基は、C1−20アルキル、C1−20パーハロアルキル、C5−10アリール、又はC4−104級化ヘテロ環で所望により置換され得る。いくつかの実施形態において、Rは、H、F、Cl、Br、I、C1−12パーフルオロアルキル、又は1−12個の炭素原子、0−3個の酸素原子、0−3個の窒素原子、0−3個の硫黄原子、及び0−41個の水素原子を有する置換基である。いくつかの実施形態において、Rは、H、F、Cl、CH、C、C、−OCH、−OC、−OC、又はNOである。いくつかの実施形態において、Rは、1g/mol〜100g/mol又は1g/mol〜50g/molの分子量を有する部分である。いくつかの実施形態において、Rは、Hである。
【0029】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式8−16等、に関して、Rは、H又は15g/mol〜3000g/molの分子量を有するあらゆる置換基を含めた任意の置換基であってもよく、例えば、H;F;Cl;Br;I;C1−20アルキル、例えば、CH、C、C、環状C、C、環状C、C11、環状C、C13、環状C11等;C2−20アルケニル;C2−20アルキニル;フェニル又はナフチル等のC5−10アリール;C1−20アルコキシ、例えば、−OCH、−OC、−OC、環状−OC、−OC、環状−OC、−OC11、環状−OC、−OC13、環状−OC11等;C2−20アルケニルオキシ;C2−20アルキニルオキシ;フェノキシ等のC5−10アリールオキシ;C1−20アルコキシカルボニル;C1−20アルキルアミノ;C1−20プロトン化アルキルアミノ;アミノ;プロトン化アミノ;C1−20アルキルアンモニウム;ニトロ;カルボキシ;アミド;スルホンアミド;又はC1−20パーハロアルキル等であり、これらの基は、C1−20アルキル、C1−20パーハロアルキル、C5−10アリール、又はC4−104級化ヘテロ環で所望により置換され得る。いくつかの実施形態において、Rは、H、F、Cl、Br、I、C1−12パーフルオロアルキル、又は1−12個の炭素原子、0−3個の酸素原子、0−3個の窒素原子、0−3個の硫黄原子、及び0−41個の水素原子を有する置換基である。いくつかの実施形態において、Rは、H、F、Cl、CH、C、C、−OCH、−OC、−OC、又はNOである。いくつかの実施形態において、Rは、1g/mol〜100g/mol又は1g/mol〜50g/molの分子量を有する部分である。いくつかの実施形態において、Rは、NOである。いくつかの実施形態において、Rは、Hである。
【0030】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式8−16等、に関して、Rは、H又は15g/mol〜3000g/molの分子量を有するあらゆる置換基を含めた任意の置換基であってもよく、例えば、H;F;Cl;Br;I;C1−20アルキル、例えば、CH、C、C、環状C、C、環状C、C11、環状C、C13、環状C11等;C2−20アルケニル;C2−20アルキニル;フェニル又はナフチル等のC5−10アリール;C1−20アルコキシ、例えば、−OCH、−OC、−OC、環状−OC、−OC、環状−OC、−OC11、環状−OC、−OC13、環状−OC11等;C2−20アルケニルオキシ;C2−20アルキニルオキシ;フェノキシ等のC5−10アリールオキシ;C1−20アルコキシカルボニル;C1−20アルキルアミノ;C1−20プロトン化アルキルアミノ;アミノ;プロトン化アミノ;C1−20アルキルアンモニウム;ニトロ;カルボキシ;アミド;スルホンアミド;又はC1−20パーハロアルキル等であり、これらの基は、C1−20アルキル、C1−20パーハロアルキル、C5−10アリール、又はC4−104級化ヘテロ環で所望により置換され得る。いくつかの実施形態において、Rは、H、F、Cl、Br、I、C1−12パーフルオロアルキル、又は1−12個の炭素原子、0−3個の酸素原子、0−3個の窒素原子、0−3個の硫黄原子、及び0−41個の水素原子を有する置換基である。いくつかの実施形態において、Rは、H、F、Cl、CH、C、C、−OCH、−OC、−OC、又はNOである。いくつかの実施形態において、Rは、1g/mol〜100g/mol又は1g/mol〜50g/molの分子量を有する部分である。いくつかの実施形態において、Rは、Hである。
【0031】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式8−16等、に関して、Rは、H又は15g/mol〜3000g/molの分子量を有するあらゆる置換基を含めた任意の置換基であってもよく、例えば、H;F;Cl;Br;I;C1−20アルキル、例えば、CH、C、C、環状C、C、環状C、C11、環状C、C13、環状C11等;C2−20アルケニル;C2−20アルキニル;フェニル又はナフチル等のC5−10アリール;C1−20アルコキシ、例えば、−OCH、−OC、−OC、環状−OC、−OC、環状−OC、−OC11、環状−OC、−OC13、環状−OC11等;C2−20アルケニルオキシ;C2−20アルキニルオキシ;フェノキシ等のC5−10アリールオキシ;C1−20アルコキシカルボニル;C1−20アルキルアミノ;C1−20プロトン化アルキルアミノ;アミノ;プロトン化アミノ;C1−20アルキルアンモニウム;ニトロ;カルボキシ;アミド;スルホンアミド;又はC1−20パーハロアルキル等であり、これらの基は、C1−20アルキル、C1−20パーハロアルキル、C5−10アリール、又はC4−104級化ヘテロ環で所望により置換され得る。いくつかの実施形態において、Rは、H、F、Cl、Br、I、C1−12パーフルオロアルキル、又は1−12個の炭素原子、0−3個の酸素原子、0−3個の窒素原子、0−3個の硫黄原子、及び0−41個の水素原子を有する置換基である。いくつかの実施形態において、Rは、H、F、Cl、CH、C、C、−OCH、−OC、−OC、又はNOである。いくつかの実施形態において、Rは、1g/mol〜100g/mol又は1g/mol〜50g/molの分子量を有する部分である。いくつかの実施形態において、Rは、Hである。
【0032】
いくつかの実施形態において、R、R、R、Rのうちの2つ以上は、互いに結合して置換若しくは非置換のC4−8縮合炭素環、又は置換若しくは非置換のC5−14縮合芳香環を形成していてもよい。
【0033】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現に関して、Rは、水素;C1−6アルキル、例えば、CH、C、C、環状C、C、環状C、C11、環状C、C13、環状C11等;所望により置換されたC4−10ヘテロシクリル、又は所望により置換されたC5−14アリールであってもよい。いくつかの実施形態において、Rは、C1−6アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、H、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルである。いくつかの実施形態において、Rは、Hである。いくつかの実施形態において、Rは、メチルである。
【0034】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現に関して、Rは、水素;C1−6アルキル、例えば、CH、C、C、環状C、C、環状C、C11、環状C、C13、環状C11等;所望により置換されたC4−10ヘテロシクリル、又は所望により置換されたC5−14アリールであってもよく、R及びRは、互いに結合して置換又は非置換のC4−8環系を形成していてもよい。いくつかの実施形態において、Rは、H、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルである。いくつかの実施形態において、Rは、Hである。いくつかの実施形態において、Rは、メチルである。
【0035】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現に関して、Rは、水素;C1−6アルキル、例えば、CH、C、C、環状C、C、環状C、C11、環状C、C13、環状C11等;所望により置換されたC4−10ヘテロシクリル、又は所望により置換されたC5−14アリールであってもよく、R及びRは、互いに結合して置換又は非置換のC4−8環系を形成していてもよい。いくつかの実施形態において、Rは、C1−6アルキルである。いくつかの実施形態において、Rは、H、メチル、エチル、プロピル、又はイソプロピルである。いくつかの実施形態において、Rは、Hである。いくつかの実施形態において、Rは、メチルである。
【0036】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現に関して、各Rは、独立して、C1−12アルキル(例えば、CH、C、C、環状C、C、環状C、C11、環状C、C13、環状C11等)又はC5−14アリールであってもよく、Rは、C1−6アルキル、C1−6パーハロアルキル、C1−6アルコキシ、F、Cl、Br、又はIで所望により置換されていてもよい。
【0037】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式2a又は式2b等、に関して、R12は、所望により置換されたC5−14アリール、例えばフェニル等、であってもよい。任意の置換基がアリール上に存在していてもよい。いくつかの実施形態において、アリールは、CH、C、C、環状C、C、環状C、C11、環状C、C13、環状C11等の少なくとも1つのC1−12アルキル;CF、C、C、環状C、C、環状C、C11、環状C、C13、環状C11等のC1−12パーハロアルキル;−OCH、−OC、−OC、環状−OC、−OC、環状−OC、−OC11、環状−OC、−OC13、環状−OC11等のC1−12アルコキシ;又はF、Cl、Br、I等のハロゲン化物で所望により置換されている。いくつかの実施形態において、R12は、所望により置換されたフェニルである。いくつかの実施形態において、R12は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、又はブチル異性体で所望により置換されたフェニルである。いくつかの実施形態において、R12は、2,6−ジイソプロピルフェニルである。いくつかの実施形態において、R12は、2,4,6−トリメチルフェニルである。
【0038】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式2a又は式2b等、に関して、R13は、所望により置換されたC5−14アリール、例えばフェニル等、であってもよい。任意の置換基がアリール上に存在していてもよい。いくつかの実施形態において、アリールは、CH、C、C、環状C、C、環状C、C11、環状C、C13、環状C11等の少なくとも1つのC1−12アルキル;CF、C、C、環状C、C、環状C、C11、環状C、C13、環状C11等のC1−12パーハロアルキル;−OCH、−OC、−OC、環状−OC、−OC、環状−OC、−OC11、環状−OC、−OC13、環状−OC11等のC1−12アルコキシ;又はF、Cl、Br、I等のハロゲン化物で所望により置換されている。いくつかの実施形態において、R13は、所望により置換されたフェニルである。いくつかの実施形態において、R13は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、又はブチル異性体で所望により置換されたフェニルである。いくつかの実施形態において、R13は、2,6−ジイソプロピルフェニルである。いくつかの実施形態において、R13は、2,4,6−トリメチルフェニルである。
【0039】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式2a、2b、及び9−16等、に関して、R14は、水素又はCH、C、C、環状C等のC1−12アルキルであってもよい。いくつかの実施形態において、R14は、Hである。
【0040】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式2a、2b、及び9−16等、に関して、R15は、水素又はCH、C、C、環状C、C、環状C、C11、環状C、C13、環状C11等のC1−12アルキルであってもよい。いくつかの実施形態において、R15は、Hである。
【0041】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式2a、2b、及び9−16等、に関して、R16は、水素又はCH、C、C、環状C、C、環状C、C11等のC1−12アルキルであってもよい。いくつかの実施形態において、R16は、Hである。
【0042】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式2a、2b、及び9−16等、に関して、R17は、水素又はCH、C、C、環状C等のC1−12アルキルであってもよい。いくつかの実施形態において、R17は、Hである。
【0043】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現に関して、R18、R19、及びR20は、独立して、C1−12アルキル(例えば、CH、C、C、環状C、C、環状C、C11、環状C、C13、環状C11等)、C1−12アルコキシ(例えば、−OCH、−OC、−OC、環状−OC、−OC、環状−OC、−OC11、環状−OC、−OC13、環状−OC11等)、C5−12アリール(例えば、所望により置換されたフェニル等)、C5−12アリールオキシ、又はC5−12ヘテロ環であり、R18、R19、及びR20のうちの2つは、所望により互いに結合して環系を形成していてもよい。
【0044】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式9、11、及び13−16等、に関して、R31は、H、OH、NH、F、Cl、Br、I、NO、CN、CF、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、又は式(C3−101−20−19−23(式中、Aは、適切なアニオン)を有する部分であってもよい。(C3−101−20−19−23のいくつかの例として、(CNHCl(又は[N(CH]Cl)、(CNH12Cl(例えば、[−CHN(CHCl又は[−N(CHCHCHCl)等が挙げられる。いくつかの実施形態において、R31は、Hであるか、又は15g/mol〜500g/mol、15g/mol〜200g/mol、15g/mol〜100g/mol、又は15g/mol〜50g/molの分子量を有する。いくつかの実施形態において、R31は、Hである。いくつかの実施形態において、R31は、メチルである。いくつかの実施形態において、R31は、イソプロピルである。
【0045】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式9−16等、に関して、R32は、H、OH、NH、F、Cl、Br、I、NO、CN、CF、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、又は式(C3−101−20−19−23(式中、Aは、適切なアニオン)を有する部分であってもよい。いくつかの実施形態において、R32は、Hであるか、又は15g/mol〜500g/mol、15g/mol〜200g/mol、15g/mol〜100g/mol、又は15g/mol〜50g/molの分子量を有する。いくつかの実施形態において、R32は、Hである。
【0046】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式9及び11−16等、に関して、R33は、H、OH、NH、F、Cl、Br、I、NO、CN、CF、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、又は式(C3−101−20−19−23(式中、Aは、適切なアニオン)を有する部分であってもよい。いくつかの実施形態において、R33は、Hであるか、又は15g/mol〜500g/mol、15g/mol〜200g/mol、15g/mol〜100g/mol、又は15g/mol〜50g/molの分子量を有する。いくつかの実施形態において、R33は、Hである。いくつかの実施形態において、R33は、メチルである。
【0047】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式9−16等、に関して、R34は、H、OH、NH、F、Cl、Br、I、NO、CN、CF、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、又は式(C3−101−20−19−23(式中、Aは、適切なアニオン)を有する部分であってもよい。いくつかの実施形態において、R34は、Hであるか、又は15g/mol〜500g/mol、15g/mol〜200g/mol、15g/mol〜100g/mol、又は15g/mol〜50g/molの分子量を有する。いくつかの実施形態において、R34は、Hである。
【0048】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式9、11、及び13−16等、に関して、R35は、H、OH、NH、F、Cl、Br、I、NO、CN、CF、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、又は式(C3−101−20−19−23(式中、Aは、適切なアニオン)を有する部分であってもよい。いくつかの実施形態において、R35は、Hであるか、又は15g/mol〜500g/mol、15g/mol〜200g/mol、15g/mol〜100g/mol、又は15g/mol〜50g/molの分子量を有する。いくつかの実施形態において、R35は、Hである。いくつかの実施形態において、R35は、メチルである。いくつかの実施形態において、R35は、イソプロピルである。
【0049】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式9、11、及び13−16等、に関して、R36は、H、OH、NH、F、Cl、Br、I、NO、CN、CF、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、又は式(C3−101−20−19−23(式中、Aは、適切なアニオン)を有する部分であってもよい。いくつかの実施形態において、R36は、Hであるか、又は15g/mol〜500g/mol、15g/mol〜200g/mol、15g/mol〜100g/mol、又は15g/mol〜50g/molの分子量を有する。いくつかの実施形態において、R36は、Hである。いくつかの実施形態において、R36は、メチルである。いくつかの実施形態において、R36は、イソプロピルである。
【0050】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式9−16等、に関して、R37は、H、OH、NH、F、Cl、Br、I、NO、CN、CF、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、又は式(C3−101−20−19−23(式中、Aは、適切なアニオン)を有する部分であってもよい。いくつかの実施形態において、R34は、Hであるか、又は15g/mol〜500g/mol、15g/mol〜200g/mol、15g/mol〜100g/mol、又は15g/mol〜50g/molの分子量を有する。いくつかの実施形態において、R37は、Hである。
【0051】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式9−16等、に関して、R38は、H、OH、NH、F、Cl、Br、I、NO、CN、CF、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、又は式(C3−101−20−19−23(式中、Aは、適切なアニオン)を有する部分であってもよい。いくつかの実施形態において、R38は、Hであるか、又は15g/mol〜500g/mol、15g/mol〜200g/mol、15g/mol〜100g/mol、又は15g/mol〜50g/molの分子量を有する。いくつかの実施形態において、R38は、Hである。いくつかの実施形態において、R38は、メチルである。
【0052】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式9−16等、に関して、R39は、H、OH、NH、F、Cl、Br、I、NO、CN、CF、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、又は式(C3−101−20−19−23(式中、Aは、適切なアニオン)を有する部分であってもよい。いくつかの実施形態において、R39は、Hであるか、又は15g/mol〜500g/mol、15g/mol〜200g/mol、15g/mol〜100g/mol、又は15g/mol〜50g/molの分子量を有する。いくつかの実施形態において、R39は、Hである。
【0053】
本明細書における任意の関連した式又は構造表現、例えば式9、11、及び13−16等、に関して、R40は、H、OH、NH、F、Cl、Br、I、NO、CN、CF、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、又は式(C3−101−20−19−23(式中、Aは、適切なアニオン)を有する部分であってもよい。いくつかの実施形態において、R40は、Hであるか、又は15g/mol〜500g/mol、15g/mol〜200g/mol、15g/mol〜100g/mol、又は15g/mol〜50g/molの分子量を有する。いくつかの実施形態において、R40は、Hである。いくつかの実施形態において、R40は、メチルである。いくつかの実施形態において、R40は、イソプロピルである。
【0054】
いくつかの実施形態は、式8の錯体
(式中、Mは、ルテニウム又はオスミウムであり;
X及びXは、独立して、任意のアニオン性配位子であり;
Lは、中性配位子であり;
は、水素、C1−20アルキル、又はC5−10アリールであり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン化物、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C5−10アリール、C1−20アルコキシ、C2−20アルケニルオキシ、C2−20アルキニルオキシ、C5−10アリールオキシ、C1−20アルコキシカルボニル、C1−20アルキルアミノ、C1−20プロトン化アルキルアミノ、アミノ、プロトン化アミノ、C1−20アルキルアンモニウム、ニトロ、カルボキシ、アミド、スルホンアミド、又はC1−20パーハロアルキルであり、これらの基は、C1−20アルキル、C1−20パーハロアルキル、又はC5−10アリールで所望により置換され得るものであって;
、R、R、及びRのうちの2つ以上は、互いに結合して置換若しくは非置換の2つ以上のC4−8縮合炭素環、又は置換若しくは非置換のC5−14縮合芳香環を形成していてもよく;
、R、及びRは、独立して、水素、C1−6アルキル、C4−10シクロアルキル、C4−10ヘテロシクリル、又はC5−14アリールであって、R及びRは、互いに結合して置換又は非置換のC4−8環系を形成していてもよい)
を包含する。
【0055】
いくつかの実施形態において、
Mは、ルテニウムであり;
X及びXは、独立して、ハロゲン化物、−OR、−O(C=O)R、又は−O(SO)Rであって、Rは、C1−12アルキル、C3−12シクロアルキル、又はC5−14アリールであり、Rは、C1−6アルキル、C1−6パーハロアルキル、C1−6アルコキシ、又はハロゲン化物で所望により置換されていてもよく;
Lは、N−ヘテロ環状カルベン配位子(NHC)であり;
は、水素又はC1−20アルキルであり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン化物、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C5−10アリール、C1−20アルコキシ、C2−20アルケニルオキシ、C2−20アルキニルオキシ、C5−10アリールオキシ、C1−20アルコキシカルボニル、C1−20アルキルアミノ、C1−20プロトン化アルキルアミノ、アミノ、プロトン化アミノ、C1−20アルキルアンモニウム、ニトロ、カルボキシ、アミド、スルホンアミド、又はC1−20パーハロアルキルであり、これらの基は、C1−20アルキル、C1−20パーハロアルキル、C5−10アリール、又はC4−104級化ヘテロ環で所望により置換され得るものであって;
、R、R、及びRのうちの2つ以上は、互いに結合して置換若しくは非置換のC4−8縮合炭素環、又は置換若しくは非置換のC5−14縮合芳香環を形成していてもよく;
、R、Rは、独立して、水素、C1−6アルキル、C4−10シクロアルキル、C4−10ヘテロ環、又はC5−14アリールであって、R及びRは、互いに結合して置換又は非置換のC4−8環系を形成していてもよい。
【0056】
いくつかの実施形態において、
Mは、ルテニウムであり;
X及びXは、独立して、ハロゲン化物、−OR、−O(C=O)R、又は−O(SO)Rであって、Rは、C1−12アルキル、C3−12シクロアルキル、又はC5−14アリールであり、さらにRは、少なくとも1つのC1−6アルキル、C1−6パーハロアルキル、C1−6アルコキシ、又はハロゲン化物で所望により置換されていてもよく;
Lは、P(R18)(R19)(R20)であって;
18、R19、及びR20は、独立して、C1−12アルキル、C1−12アルコキシ、C3−12シクロアルキル、C5−12アリール、C5−12アリールオキシ、又はC5−12ヘテロ環であり、R18、R19、及びR20のうちの2つは、所望により互いに結合して環系を形成していてもよく;
は、水素又はC1−20アルキルであり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン化物、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C5−10アリール、C1−20アルコキシ、C2−20アルケニルオキシ、C2−20アルキニルオキシ、C5−10アリールオキシ、C1−20アルコキシカルボニル、C1−20アルキルアミノ、C1−20プロトン化アルキルアミノ、アミノ、プロトン化アミノ、C1−20アルキルアンモニウム、ニトロ、カルボキシ、アミド、スルホンアミド、又はC1−20パーハロアルキルであり、これらの基は、C1−20アルキル、C1−20パーハロアルキル、C5−10アリール、又はC4−104級化ヘテロ環で所望により置換され得るものであって;
、R、R、及びRのうちの2つ以上は、互いに結合して置換若しくは非置換のC4−8縮合炭素環、又は置換若しくは非置換のC5−14縮合芳香環を形成していてもよく;
、R、Rは、独立して、水素、C1−6アルキル、C4−10シクロアルキル、C4−10ヘテロ環、又はC5−14アリールであって、R及びRは、互いに結合して置換又は非置換のC4−8環系を形成していてもよい。
【0057】
いくつかの実施形態において、
Mは、ルテニウムであり;
X及びXは、独立して、ハロゲン化物であり;
Lは、式2a又は式2b:
【化11】
(式中、
12及びR13は、独立して、少なくとも1つのC1−12アルキル、C1−12パーハロアルキル、C1−12アルコキシ、又はハロゲン化物で所望により置換されたC5−14アリールであり;
14、R15、R16、及びR17は、独立して、水素又はC1−12アルキルである)
のN−ヘテロ環状カルベン配位子(NHC)であり;
は、水素であり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン化物、ニトロ、カルボキシ、アミド、スルホンアミド、又はC1−20パーハロアルキルであり、これらの基は、少なくとも1つのC1−20アルキル、C1−20パーハロアルキル、又はC5−10アリールで所望により置換されていてもよく;R、R、R、及びRのうちの2つ以上は、互いに結合して置換若しくは非置換のC4−8縮合炭素環、又は置換若しくは非置換のC5−14縮合芳香環を形成していてもよく;
、R、Rは、独立して、水素、C1−6アルキル、C4−10シクロアルキル、C4−10ヘテロ環、又はC5−14アリールであって、R及びRは、互いに結合して置換又は非置換のC4−8環系を形成していてもよい。
【0058】
いくつかの実施形態において、
Mは、ルテニウムであり;
X及びXは、塩化物であり;
Lは、式2c又は式2d:
【化12】
のN−ヘテロ環状カルベン配位子(NHC)であり;
は、水素であり;
、R、R、及びRは、独立して、水素又はニトロであり;
、R、Rは、独立して、水素、C1−6アルキル、又はC5−14アリールであり;
及びRは、互いに結合して置換又は非置換のC4−8環系を形成していてもよい。
【0059】
いくつかの実施形態において、R、R、Rは、独立して、水素又はメチルである。
【0060】
いくつかの実施形態は、以下の化合物:
【化13】
の1つを包含する。
【0061】
さらに実施形態は、式1−16(式中、すべての置換基は上記の通りである)のいずれかの錯体をオレフィンメタセシスのための触媒として適用することに関する。本明細書に記載の錯体を使用することができるオレフィンメタセシス反応の例は、閉環メタセシス(RCM)、クロスメタセシス(CM)、ホモメタセシス、及びアルケン−アルキン(エン−イン)メタセシスである。
【0062】
いくつかの実施形態において、式1−16のいずれかの錯体は、開環メタセシス重合(ROMP)において触媒として使用される。
【0063】
さらに実施形態は、メタセシス反応の実施方法に関連し、少なくとも1つのオレフィンが式1−16(式中、すべての置換基は上記の通りである)のいずれかの錯体と接触する。
【0064】
いくつかの実施形態において、メタセシス反応は、有機溶媒中で行われる。
【0065】
いくつかの実施形態において、金属不純物は、反応混合物を適切な吸着剤のパットを通して濾過することにより生成物から除去される。
【0066】
いくつかの実施形態において、金属不純物は、反応混合物に吸着剤を加え、濾過することにより、反応混合物から除去される。
【0067】
いくつかの実施形態において、吸着剤は、シリカゲル、酸化アルミニウム、活性酸化アルミニウム、珪藻岩、又は活性炭である。
【0068】
いくつかの実施形態において、吸着剤は、シリカゲルである。
【0069】
いくつかの実施形態において、金属不純物は、極性溶媒からの結晶化により生成物から除去される。適切な極性溶媒の例として、メタノール、エタノール、2−プロパノール、酢酸エチル、水等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0070】
すべての用語は、当該技術分野で知られている最も広い通常の意味を有する。
【0071】
特に示されない限り、化合物又は化学構造上の特徴(例えば、アリール)が、「所望により置換されて」いると表現される時は、置換基がないもの(言い換えれば、非置換)、又は「置換されて」いるもの(1つ又は複数の置換基を有することを意味する)を包含する。「置換基」という用語は、当業者に知られている最も広い意味を有し、元の化合物又は構造上の特徴に結合している1つ又は複数の水素原子を置き換える部分を包含する。いくつかの実施形態において、置換基は、当該技術分野で知られている通常の有機部分であってもよく、当該有機部分は、15g/mol〜50g/mol、15g/mol〜100g/mol、15g/mol〜150g/mol、15g/mol〜200g/mol、15g/mol〜300g/mol、又は15g/mol〜500g/molの分子量(例えば、置換基の原子の原子量の合計)を有していてもよい。いくつかの実施形態において、置換基は、0−30個、0−20個、0−10個、又は0−5個の炭素原子;及び0−30個、0−20個、0−10個、又は0−5個のヘテロ原子を含むか又はそれらからなるものであって、各ヘテロ原子は、独立して、N、O、S、Si、F、Cl、Br、又はIであってもよく;但し、置換基が、1つのC、N、O、S、Si、F、Cl、Br、又はI原子を含む場合に限る。置換基の例としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、ヘテロアルケニル、ヘテロアルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヒロドキシ、アルコキシ、アリールオキシ、アシル、アシルオキシ、アルキルカルボキシレート、チオール、アルキルチオ、シアノ、ハロ、チオカルボニル、O−カルバミル、N−カルバミル、O−チオカルバミル、N−チオカルバミル、C−アミド、N−アミド、S−スルホンアミド、N−スルホンアミド、イソシアネート、チオシアネート、イソチオシアネート、ニトロ、シリル、スルフェニル、スルフィニル、スルホニル、ハロアルキル、ハロアルコキシル、トリハロメタンスルホニル、トリハロメタンスルホンアミド、アミノ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0072】
便宜上、「分子量」という用語は、完全な分子ではなくても、分子の部分又は一部に関して使用し、分子の部分又は一部における原子の原子量の合計を示す。
【0073】
本明細書において称される化学名のうちのいくつかに与えられる構造を、以下に記載する。これらの構造は、以下に示すように非置換であってもよく、又は構造が置換されていない場合は、通常は水素原子によって占められるいずれかの位置に、置換基が独立してあってもよい。結合位置が、
【化14】
によって示されない限り、通常は水素原子によって占められるいずれの位置で結合が生じていてもよい。
【0074】
【化15】
【0075】
本明細書において、「アルキル」という用語は、当該技術分野で一般に理解される最も広い意味を有し、二重結合又は三重結合を含まない炭素及び水素から構成される部分を包含してもよい。アルキルは、直鎖アルキル、分岐鎖アルキル、シクロアルキル、又はこれらの組み合わせであってもよく、いくつかの実施形態において、1〜35個の炭素原子を含んでいてもよい。いくつかの実施形態において、アルキルは、メチル(−CH)、エチル(−CHCH)、n−プロピル(−CHCHCH)、n−ブチル(−CHCHCHCH)、n−ペンチル(−CHCHCHCHCH)、n−ヘキシル(−CHCHCHCHCHCH)等のC1−10直鎖アルキル;C(例えば、イソ−プロピル)、C(例えば、分岐鎖ブチル異性体)、C11(例えば、分岐鎖ペンチル異性体)、C13(例えば、分岐鎖ヘキシル異性体)、C15(例えば、ヘプチル異性体)等のC3−10分岐鎖アルキル;C(例えば、シクロプロピル)、C(例えば、シクロブチル、メチルシクロプロピル等のシクロブチル異性体)、C(例えば、シクロペンチル、メチルシクロブチル、ジメチルシクロプロピル等のシクロペンチル異性体)、C11(例えば、シクロヘキシル異性体)、C13(例えば、シクロヘプチル異性体)等のC3−10シクロアルキル等を包含してもよい。
【0076】
本明細書で定義した基、ラジカル、又は部分において、炭素原子数は、しばしば基の前に記載され、例えば、C1−6アルキルは、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基又はラジカルを意味する。以下に別段の定めがない限り、すべての式及び基において、用語の従来の定義が支配し、従来の安定した原子価が推定され、かつ達成される。
【0077】
所望により置換されたアルキル等の所望により置換された部分に関して、「所望により置換されたC1−12アルキル」等の表現は、置換されていなくてもよいC1−12アルキル、又は1つ若しくは複数の置換基を有していてもよいC1−12アルキルであって、どの置換基においても炭素原子数は制限されないC1−12アルキルを指す。
【0078】
アルキル上の置換基は、アルキルがアルキル置換基を有さなくてもよいことを除いては、上記で一般的に説明した置換基と同じであってもよい。いくつかの実施形態において、アルキル上の置換基は、独立して、F、Cl、Br、I、CN、COH、−O−アルキル、エステル基、アシル、アミン基、及びアミド基から選択され、約15〜約100又は約500の分子量を有していてもよい。
【0079】
本明細書において、「アリール」という用語は、当該技術分野で一般に理解される最も広い意味を有し、フェニル、ナフチル等の芳香環又は芳香環系を包含していてもよい。
【0080】
特に示されない限り、構造、名称、その他の任意の手段による本明細書中の化合物についての任意の言及は、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等の塩;多形体、溶媒、水和物等の他の固体形状;互変異性体;又は本明細書に記載の通りに化合物が使用される条件下で、本明細書に記載の化合物に速やかに変換されるその他の任意の化学種を包含する。
【0081】
立体化学が示されない場合、名称又は構造表現は、任意の立体異性体又は立体異性体の任意の混合物を包含する。
【0082】
本明細書において、「ハロゲン」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨード等のハロゲンを意味する。
【0083】
本明細書において、「アルキルアミノ」という用語は、1つ又は複数の水素原子がアミンで置換されていることを除いては、「アルキル」という用語についての説明と同じことを意味する。「アルキルアミノ」という用語は、以下を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0084】
−CHNMe、−CHNEt、−CHCHNMe、−CHCHNEt、−NMe、−NEt等。
【0085】
本明細書において、「アルキルアンモニウム」という用語は、1つ又は複数の水素原子がアンモニウム基で置換されていることを除いては、「アルキル」という用語についての説明と同じことを意味する。「アルキルアンモニウム」という用語は、以下を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0086】
【化16】
【0087】
本明細書において、「アルケニル」という用語は、単独で又は他の置換基と組み合わせて、環状又は非環状の直鎖又は分岐鎖のアルケニル置換基を意味する。「アルケニル」という用語は、ビニル、アレニル等を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0088】
本明細書において、「アルキニル」という用語は、単独で又は他の置換基と組み合わせて、環状又は非環状の直鎖又は分岐鎖のアルキニル置換基を意味する。「アルキニル」という用語は、エチニル、プロピニル、ブチニル等を包含するが、これらに限定されるものではない。
【0089】
本明細書において、「中性配位子」という用語は、閉殻電子状態で金属から形式的に離した場合に、電荷に関して中性である配位子を意味する。形式的な中性配位子は、遷移金属に結合可能な少なくとも1つの孤立電子対、π−結合、又はσ結合を含む。また、形式的な中性配位子は、2つ以上の形式的な中性配位子が、結合、ヒドロカルビル、置換されたヒドロカルビル、又は官能基テザー(tether)により結合する場合は、多座であってもよい。形式的な中性配位子は、多数の化合物が互いに結合するように、同じであれ、異なるものであれ、もう一つの金属化合物の置換基であってもよい。
【0090】
「アニオン性配位子」という用語は、金属中心に配位することができ、金属中心の電荷を補償する電荷を有することができる(但し、補償は部分的にも完全にもなり得る)置換基に関する。アニオン性配位子としては、フッ化イオン、塩化イオン、臭化イオン、ヨウ化イオン、カルボン酸のアニオン、アルコール及びフェノールのアニオン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。アニオン性配位子(X、X)は、互いに結合して二座配位子(X−X)を形成することができる。また、これらは、中性配位子と結合して三座配位子(X−X−L)を形成することができる。二座配位子の例は、2−ヒドロキシ安息香酸のアニオンである。
【0091】
「カルベン」という用語は、原子価数が2価であり、2つの不対価電子を有する中性炭素原子を含む置換基に関する。また、「カルベン」という用語は、炭素原子が、ホウ素、ケイ素、窒素、リン、硫黄等の別の化学元素で置換されているカルベン類似体に関する。カルベンの1つの例として、N−ヘテロ環状カルベン配位子(NHC)が挙げられる。カルベンのさらなる例として、
【化17】
が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0092】
本明細書に記載の錯体は、文献上知られている手順を用いて良好な結果で合成することができる。
【0093】
これらの錯体は、活性が高く、効率的なオレフィンメタセシス用触媒であり、吸着剤(特にシリカゲル)に対する高い親和性により、反応混合物又は粗生成物から残留ルテニウムを容易に除去することができる。メタセシス反応の間、これらの金属錯体は、この種の反応に適した条件で基質と接触する。通常、反応は、文献上知られている錯体にも適した条件で進められる。平均触媒量は、約0.2〜約5mol%の範囲であり、使用温度は、約0℃〜約120℃であってもよく、反応時間は、約0.1〜約96時間であってもよい。
【0094】
本明細書に記載の錯体は、閉環メタセシス(RCM)、クロスメタセシス(CM)、アルケン−アルキンメタセシス(エン−イン)、ホモメタセシス(クロスメタセシスの一種である)、及び開環メタセシス(ROMP)で使用することができる。
【0095】
本明細書に記載の錯体を用いて得られるオレフィンメタセシス反応生成物に含まれていた残留重金属は低レベルであり(古典的な触媒で得られる生成物の場合よりも約5〜約400倍低い)、精製過程は、簡単で、迅速かつ安価である。生成物からの金属含有不純物の除去における簡易性及び効率性は、産業的(特に、製薬業界の)観点から極めて重要である。
【0096】
実施例
H NMRスペクトルを説明する際に使用する様々な略語は以下である:s−シングレット、bs−ブロードシングレット、d−ダブレット、dd−ダブレットオブダブレッツ、t−トリプレット、q−カルテット、dq−ダブレットオブカルテッツ、sept−セプテット、pseidot−疑似トリプレット。
【0097】
実施例1 (E/Z)−N−メトキシ−N−メチロ−2−(2−[プロプ−1−エン−1−イル]フェノキシ)プロパンアミド(L1)の合成
【化18】
【0098】
炭酸カリウム(1.63g、11.8mmol)をDMF(15ml)中の2−プロペニルフェノール(0.79g、5.9mmol、異性体E及びZの混合物)溶液に加え、得られた混合物を室温で15分間撹拌した。次に、2−クロロ−N−メトキシ−N−メチロ−プロピオンアミド(1.16g、7.67mmol)を加え、反応混合物を50℃で24時間撹拌した。その後、DMFを除去し、水(30ml)を残留物に加えた。生成物を酢酸エチル(3x10ml)で抽出した。1つにまとめた有機画分を硫酸マグネシウムで乾燥させた。乾燥剤を濾過除去し、溶媒を除去した。粗生成物を真空蒸留(bp 78〜82℃、p=4x10−2mbar)で精製し、L1(1.30g、88%)を黄色オイルとして得た。
【0099】
E/Z異性体の混合物(6/1)を得た。E異性体、H NMR(300MHz,CDCl) δppm:7.42(dd,J=7.7,J=1.7Hz,1H), 7.30−6.70(m,4H), 6.24(dq,J=15.9,J=6.6Hz,1H), 5.15−5.08(m,1H), 3.70(s,3H), 3.22(s,3H), 1.90(dd,J=6.6,J=1.8Hz,3H), 1.60(d,J=6.7Hz,3H).
【0100】
実施例2 (E/Z)−N−メトキシ−N−メチロ−2−(2−[プロプ−1−エン−1−イル]フェノキシ)アセトアミドL2の合成
【化19】
【0101】
L1のために記載した手順を用いて、L2を得た。カラムクロマトグラフィーでの精製後、黄色オイルを97%の収率で得た。
【0102】
E/Z異性体の混合物(5/1)を得た。E異性体、H NMR(300MHz,CDCl) δppm:7.45(dd,J=7.5,J=1.6Hz,1H), 7.20−6.80(m,4H), 6.30(dq,J=16.0,J=6.4Hz,1H), 4.83(s,2H), 3.73(s,3H), 3.25(s,3H), 1.89(dd,J=6.7,J=1.7Hz,3H).
【0103】
実施例3 錯体K−1の合成
【化20】
【0104】
L1(0.157g、0.632mmol)及び塩化銅(I)(0.062g、0.632mmol)をアルゴン下でシュレンクフラスコに入れ、乾燥させ、脱気トルエンを加えた(10ml)。次に、市販の錯体Ind−2(0.400g、0.421mmol)を加え、反応混合物を80℃で20分間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却した後、溶媒を除去した。残留物を最小限量の酢酸エチルに溶解した。不溶灰色固体を濾過除去し、濾液をカラムクロマトグラフィーを用いて精製した(溶離液:シクロヘキサン/酢酸エチル−6/4)。溶媒の除去により、K−1(0.201g、68%)を緑色固体として得た。
【0105】
H NMR(300MHz,CDCl) δppm:16.11(s,1H), 7.47−7.44(m,1H), 7.09−6.95(m,6H), 6.75(d,J=8.3Hz,1H), 5.25−5.22(m,1H), 4.06(s,4H), 3.68(s,3H), 3.09(s,3H), 2.51(s,12H), 2.41(s,6H), 1.52(d,J=6.5Hz,3H).
【0106】
実施例4 錯体K−2の合成
【化21】
【0107】
錯体K−1のために記載した方法に従って、錯体K−2を合成した。錯体K−2を、オリーブ色固体として62%の収率で得た。
【0108】
H NMR(300MHz,CDCl) δppm:15.77(s,1H), 7.53−7.47(m,1H), 7.09−7.02(m,6H), 6.80(d,J=8.2Hz,1H), 4.79(s,2H), 4.07(s,4H), 3.66(s,3H), 3.11(s,3H), 2.51(s,12H), 2.42(s,6H).
【0109】
実施例5 錯体K−3の合成
【化22】
【0110】
錯体Ind−2−SIPr(H. Clavier, C.A. Urbina−Blanco, S.P. Nolan, Organometallics 2009, 28, 2848−2854)をルテニウム源として使用したこと以外は、錯体K−1のために記載した方法に従って、錯体K−3を合成した。錯体K−3を、緑色固体として72%の収率で得た。
【0111】
H NMR(300MHz,CDCl) δppm:16.46(s,1H), 7.60−7.30(m,7H), 6.94−6.65(m,3H), 5.38−5.17(m,1H), 4.13(s,4H), 3.70−3.60(m,7H), 2.97(s,3H), 1.55(d,J=6.4Hz,3H), 1.33−1.12(d,J=6.8Hz,24H). 13C NMR(75.4MHz,CDCl) δppm:297.7, 214.1, 170.6, 151.8, 149.0, 145.9, 138.1, 128.9, 128.1, 124.9, 122.6, 112.5, 72.1, 61.4, 54.6, 32.5, 29.6, 26.4, 23.6, 17.6.
【0112】
実施例6 錯体K−4の合成
【化23】
【0113】
錯体Ind−2−SIPrをルテニウム源として使用したこと以外は、錯体K−1のために記載した方法に従って、錯体K−4を合成した。錯体K−3を、緑色固体として62%の収率で得た。
【0114】
H NMR(300MHz,CDCl) δppm:16.47(s,1H), 7.56−7.44(m,3H), 7.42−7.32(m,4H), 7.00−6.86(m,2H), 6.81(d,J=8.2Hz,1H), 4.83(s,2H), 4.14(s,4H), 3.63(s,7H), 3.04(s,3H), 1.31−1.16(m,24H). 13C NMR(75.4MHz,CDCl) δppm:298.5, 213.7, 167.8, 153.0, 149.1, 146.2, 138.2, 128.9, 128.1, 124.3, 122.2, 113.3, 65.4, 61.4, 54.6, 32.5, 28.6, 26.5, 23.7.
【0115】
実施例7 錯体K−5の合成
【化24】
【0116】
市販の錯体Gr−1(0.500g、0.61mmol)、L3(0.161g、0.73mmol)、及び塩化銅(I)(0.09g、0.91mmol)をアルゴン下でシュレンクフラスコに入れ、乾燥させ、脱気ジクロロメタン(10ml)を加えた。反応混合物を40℃で20分間撹拌した。その後、溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィーを用いて精製した(溶離液:c−ヘキサン/酢酸エチル−6/4)。溶媒を除去し、生成物をn−ペンタンで洗浄して、K−5を緑色固体として75%の収率で得た。
【0117】
臭化トリフェニルメチルホスホニウムをウィッティヒ試薬源として使用したこと以外は、L1のために記載した方法に従って、配位子L3を合成した。
【0118】
H NMR(300MHz,CDCl) δppm:17.44(s,1H), 7.75(d,J=6.9Hz,1H), 7.66(pseudot,1H), 7.17(pseudot,1H), 7.05(d,J=6.3Hz,1H), 5.60(q,J=6.0Hz,1H), 3.85(s,3H), 3.49(s,3H), 2.44−2.32(m,3H), 2.09−1.81(m,24H), 1.33−1.21(m,9H). 13C NMR(75.4MHz,CDCl) δppm:290.4, 172.6, 152.8, 147.1, 128.5, 124.6, 123.7, 113.0, 73.4, 61.9, 34.9, 34.6, 32.5, 29.4(d), 28.1−27.8(m), 26.9, 26.8, 22.4, 18.2, 14.1. 31P NMR(121.5MHz,CDCl) δppm:57.47(100%).
【0119】
実施例8 錯体K−5からの錯体K−3の合成
【化25】
【0120】
K−5(0.060g、0.09mmol)及びF(0.078g、0.18mmol)をアルゴン下でシュレンクフラスコに入れ、乾燥させ、脱気トルエン(2ml)を加えた。反応混合物を80℃で1時間撹拌した。その後、溶媒を除去し、残留物をカラムクロマトグラフィーを用いて精製した(溶離液:シクロヘキサン/酢酸エチル−6/4)。溶媒を蒸発させ、K−3(0.030g、43%)を緑色固体として得た。
【0121】
以下に示す実施例についての正確な条件を表に示す。
【0122】
実施例9 GCで測定した変換率に基づいた、本明細書に記載した錯体の活性と文献上知られている錯体の活性との比較
【0123】
【化26】
【表1】
【化27】
【表2】
【0124】
実施例10 閉環メタセシス
【化28】
【0125】
ジクロロメタン中のS1(165mg、0.69mmol)溶液に、適量の触媒(1mol%)を空気下で加えた。反応混合物を還流しながら撹拌し、反応の経過をGC法を用いてモニターした。反応の完了後、反応混合物をシリカゲル(シリカゲル/基質 質量比=7)の短パッドを通して濾過した。生成物を追加量のDCMを用いて溶出した。いずれの場合もP1を定量的収率で単離した。生成物のGC純度を求め、生成物中の残留ルテニウムをICP MS法を用いて測定した。
【0126】
【表3】
【0127】
実施例11 閉環メタセシス
【化29】
【0128】
ジクロロメタン中のS2(196mg、0.77mmol)溶液に、適量の触媒(1mol%)を空気下で加えた。反応混合物を還流しながら撹拌し、反応の経過をGC法を用いてモニターした。反応の完了後、反応混合物をシリカゲル(シリカゲル/基質 質量比=7)の短パッドを通して濾過した。生成物を追加量のDCMを用いて溶出した。いずれの場合もP2を定量的収率で単離した。生成物のGC純度を求め、生成物中の残留ルテニウムをICP MS法を用いて測定した。
【0129】
【表4】
a− 市販のスカベンジャーであるシリアボンドチオール(SiliaBond Thiol)を使用し、シリサイクル(SILICYCLE)社推奨の手順を用いて、残留Ruを粗反応混合物から除去した。
b− 市販のスカベンジャーであるシリアボンドDMT(SiliaBond DMT)を使用し、シリサイクル社推奨の手順を用いて、残留Ruを粗反応混合物から除去した。
【0130】
実施例12 アルケン−アルキンメタセシス(エン−イン)
【化30】
【0131】
ジクロロメタン中のS3(181mg、0.73mmol)溶液に、適量の触媒(1mol%)を空気下で加えた。反応混合物を還流しながら撹拌し、反応の経過をGC法を用いてモニターした。反応の完了後、反応混合物をシリカゲル(シリカゲル/基質 質量比=7)の短パッドを通して濾過した。生成物を追加量のDCMを用いて溶出した。いずれの場合もP3を定量的収率で単離した。生成物のGC純度を求め、生成物中の残留ルテニウムをICP MS法を用いて測定した。
【0132】
【表5】
【0133】
実施例13 クロスメタセシス
【化31】
【0134】
ジクロロメタン中のS4(300mg、1.40mmol)及びS4a(603mg、7.00mmol)の溶液に、適量の触媒(1mol%)を空気下で加えた。反応混合物を還流しながら撹拌し、反応の経過をGC法を用いてモニターした。反応の完了後、反応混合物をシリカゲル(シリカゲル/基質 質量比=7)の短パッドを通して濾過した。生成物を追加量のDCMを用いて溶出した。生成物のGC純度を求め、生成物中の残留ルテニウムをICP MS法を用いて測定した。
【0135】
【表6】
a− 市販のスカベンジャーであるシリアボンドチオールを使用し、シリサイクル社推奨の手順を用いて、残留Ruを粗反応混合物から除去した。
b− 市販のスカベンジャーであるシリアボンドDMTを使用し、シリサイクル社推奨の手順を用いて、残留Ruを粗反応混合物から除去した。
c− 変換率>98%
【0136】
実施例14 閉環メタセシス
【化32】
【0137】
ジクロロメタン中のS5(165mg、0.69mmol)溶液に、錯体K−5(12.07mg、2mol%)を加えた。反応混合物を20℃で撹拌し、反応の経過をGCを用いて制御した。反応の完了後、溶媒を除去し、粗生成物をエタノールから2回結晶化した。生成物P5を白色固体(145mg、71%、GC純度>99%)として得た。残留Ru(61ppm)をICP MS法を用いて測定した。
【0138】
実施例15 触媒の再生と再利用
【0139】
実施例15A
【化33】
【0140】
乾燥脱気ジクロロメタン中のS5(1.0g、3.98mmol)溶液に、錯体K−3(2mol%、62mg)をアルゴン下で加えた。反応混合物を還流しながら撹拌し、反応の経過をGC法を用いてモニターした。反応の完了後(20分間)、反応混合物をシリカゲル(シリカゲル/基質 質量比=7)の短パッドを通して濾過した。生成物を追加量のDCMを用いて溶出した。生成物を97%の収率で単離した(862mg)。GCにより求めた生成物の純度は、>99%であった。生成物中の残留Ru(48ppm)をICP MS法を用いて測定した。次に、錯体K−3を酢酸エチルを用いて溶出した。溶媒の除去及び少量のn−ペンタンによる触媒の洗浄後、錯体K−3を緑色固体(56mg、K−3の初期量の90%)として回収した。
【0141】
実施例15B
【化34】
【0142】
乾燥脱気ジクロロメタン中のS3(886mg、3.57mmol)溶液に、実施例15Aで回収した錯体K−3(2mol%、56mg)をアルゴン下で加えた。反応混合物を還流しながら撹拌し、反応の経過をGC法を用いてモニターした。反応の完了後(30分間)、反応混合物をシリカゲル(シリカゲル/基質 質量比=7)の短パッドを通して濾過した。生成物を追加量のDCMを用いて溶出した。生成物を>99%の収率で単離した(885mg)。GCにより求めた生成物の純度は、>99%であった。生成物中の残留RuをICP MSを用いて測定した(61ppm)。次に、錯体K−3を酢酸エチルを用いて溶出した。溶媒の除去及び少量のn−ペンタンによる触媒の洗浄後、錯体K−3を緑色固体(42mg、本実施例で使用したK−3量の75%)として回収した。
【0143】
実施例15C
【化35】
【0144】
乾燥脱気ジクロロメタン中のS6(710mg、2.68mmol)溶液に、実施例15Bで回収した錯体K−3(2mol%、42mg)をアルゴン下で加えた。反応混合物を還流しながら撹拌し、反応の経過をGC法を用いてモニターした。反応の完了後(30分間)、反応混合物をシリカゲル(シリカゲル/基質 質量比=7)の短パッドを通して濾過した。生成物を追加量のDCMを用いて溶出した。生成物を97%の収率で単離した(613mg)。GCにより求めた生成物の純度は、>99%であった。生成物中の残留RuをICP MSを用いて測定した(172ppm)。次に、錯体K−3を酢酸エチルを用いて溶出した。溶媒の除去及び少量のn−ペンタンによる触媒の洗浄後、錯体K−3を緑色固体(39mg、本実施例で使用したK−3量の93%)として回収した。
【0145】
実施例16 開環メタセシス
【化36】
【0146】
錯体K−3(12.5mg、0.5mol%)を、ジクロロメタン(30ml)中のS7(300mg、3.19mmol)溶液に加えた。反応混合物を40℃で5分間撹拌した後、室温まで冷却し、メタノール(50ml)の入ったフラスコに注いだ。沈殿した固体を濾過し、乾燥させて、P7を99%の収率で得た(298mg)。生成物中の残留RuをICP MSにより測定した(59ppm)。
【0147】
(錯体K−3を用いた)実施例15に示すように、本明細書に記載の錯体は、吸着剤に対して高く、選択的な(使用した溶出剤に依存)親和性を有し、これにより反応後の触媒の再生が容易になる。再生した触媒は、高い反応性及び効率性を維持しながら再利用できることが実証されている。さらに、再生した触媒は、非常に高純度の生成物をもたらす異なる基質のメタセシスで使用することができる。
【0148】
K−3、K−4、及びK−5(実施例9〜16)等の本明細書に記載の錯体は、高い効率性を示し、これらを用いて得た生成物に混入している残留Ruは少ないため、オレフィンメタセシスのための触媒として使用できることが実証されている。古典的な触媒を用いて得られた生成物は、同じ精製方法を適用すると、5〜400倍も多い残留ルテニウムを含有した。配位子2dを有する錯体は、メタセシス反応において、配位子2cを含む錯体よりも高い活性及び効率性を示した。重要なことに、最も活性の高いメタセシス触媒の1つとして知られ、未修飾錯体Aよりも活性が通常上回る錯体Bが示した活性に近い活性を、配位子2dを有する錯体は有する。
さらに、本明細書に記載の錯体は、不活性ガスによる保護雰囲気なしでメタセシス反応を効率的に媒介する。
(付記1)
下記式
【化37】
(式中、
Mは、ルテニウム又はオスミウムであり;
X及びXは、独立して、アニオン性配位子であり;
Lは、中性配位子であり;
は、水素、C1−20アルキル、又はC5−10アリールであり;
【化38】
は、所望により置換されたo−フェニレンであって、当該o−フェニレンの2つ以上の置換基は、所望により置換されたC4−8縮合炭素環、所望により置換されたC5−14縮合芳香環を形成していてもよく;及び
、R、及びRは、独立して、H、C1−6アルキル、所望により置換されたC4−10ヘテロシクリル、又は所望により置換されたC5−14アリールであって、R及びRは、互いに結合して置換又は非置換のC4−8環系を形成していてもよい)
の化合物。
(付記2)
o−フェニレンのすべての置換基が、15〜1000の分子量を有する、付記1に記載の化合物。
(付記3)
さらに下記式
【化39】
(式中、R、R、R、及びRは、独立して、H、F、Cl、Br、I、C1−12パーフルオロアルキル、又は1−12個の炭素原子、0−3個の酸素原子、0−3個の窒素原子、0−3個の硫黄原子、及び0−41個の水素原子を有する置換基であり;及び
、R、R、及びRのうちの2つ以上は、互いに結合して所望により置換された環又は環系を形成していてもよい)
で表される、付記1に記載の化合物。
(付記4)
Xが、塩化物である、付記1〜3のいずれか一つに記載の化合物。
(付記5)
が、塩化物である、付記1〜4のいずれか一つに記載の化合物。
(付記6)
Mが、ルテニウムである、付記1〜5のいずれか一つに記載の化合物。
(付記7)
が、Hである、付記1〜6のいずれか一つに記載の化合物。
(付記8)
が、Hである、付記1〜7のいずれか一つに記載の化合物。
(付記9)
が、Hである、付記1〜8のいずれか一つに記載の化合物。
(付記10)
が、Hである、付記1〜9のいずれか一つに記載の化合物。
(付記11)
が、H又はC1−6アルキルである、付記1〜10のいずれか一つに記載の化合物。
(付記12)
が、H又はC1−6アルキルである、付記1〜11のいずれか一つに記載の化合物。
(付記13)
Lが、所望により置換されたトリアルキルホスフィン又は所望により置換された1,3−ジフェニルジヒドロイミダゾール−2−イリデンである、付記1〜12のいずれか一つに記載の化合物。
(付記14)
Lが、トリシクロヘキシルホスフィンである、付記13に記載の化合物。
(付記15)
Lが、
【化40】
であり、
14、R15、R16、及びR17は、独立して、H又はC1−12アルキルであり;
31、R32、R33、R34、R35、R36、R37、R38、R39、及びR40は、独立して、H、OH、NH、F、Cl、Br、I、NO、CN、CF、C1−10アルキル、C1−10アルコキシ、又は式(C3−101−20−19−23(式中、Aは、適切なアニオン)を有する部分である、
付記13に記載の化合物。
(付記16)
Lが、
【化41】
である、付記13に記載の化合物。
(付記17)
Lが、
【化42】
である、付記13に記載の化合物。
(付記18)
下記式
【化43】
を有する、付記1に記載の化合物。
(付記19)
下記式
【化44】
(式中、
Mは、ルテニウム又はオスミウムであり;
X及びXは、独立して、任意のアニオン性配位子であり;
Lは、中性配位子であり;
は、水素、C1−20アルキル、又はC5−10アリールであり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン化物、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C5−10アリール、C1−20アルコキシ、C2−20アルケニルオキシ、C2−20アルキニルオキシ、C5−10アリールオキシ、C1−20アルコキシカルボニル、C1−20アルキルアミノ、C1−20プロトン化アルキルアミノ、アミノ、C1−20プロトン化アミノ、C1−20アルキルアンモニウム、ニトロ、カルボキシ、アミド、スルホンアミド、又はC1−20パーハロアルキルであり、これらの基は、C1−20アルキル、C1−20パーハロアルキル、又はC5−10アリールで所望により置換され得るものであって;
、R、R、及びRのうちの2つ以上は、互いに結合して置換若しくは非置換のC4−8縮合炭素環、又は置換若しくは非置換のC5−14縮合芳香環を形成していてもよく;
、R、及びRは、独立して、水素、C1−6アルキル、C4−10シクロアルキル、C4−10ヘテロシクリル、又はC5−14アリールであって、R及びRは、互いに結合して置換又は非置換のC4−8環系を形成していてもよい)
の化合物。
(付記20)
Mは、ルテニウムであり;
X及びXは、独立して、ハロゲン化物、−OR、−O(C=O)R、又は−O(SO)Rであって、Rは、C1−12アルキル、C3−12シクロアルキル、又はC5−14アリールであり、Rは、C1−6アルキル、C1−6パーハロアルキル、C1−6アルコキシ、又はハロゲン化物で所望により置換されていてもよく;
Lは、N−ヘテロ環状カルベン配位子(NHC)であり;
は、水素又はC1−20アルキルであり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン化物、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C5−10アリール、C1−20アルコキシ、C2−20アルケニルオキシ、C2−20アルキニルオキシ、C5−10アリールオキシ、C1−20アルコキシカルボニル、C1−20アルキルアミノ、C1−20プロトン化アルキルアミノ、アミノ、プロトン化アミノ、C1−20アルキルアンモニウム、ニトロ、カルボキシ、アミド、スルホンアミド、又はC1−20パーハロアルキルであり、これらの基は、C1−20アルキル、C1−20パーハロアルキル、C5−10アリール、又はC4−104級化ヘテロ環で所望により置換され得るものであって;
、R、R、及びRのうちの2つ以上は、互いに結合して置換若しくは非置換のC4−8縮合炭素環、又は置換若しくは非置換のC5−14縮合芳香環を形成していてもよく;
、R、Rは、独立して、水素、C1−6アルキル、C4−10シクロアルキル、C4−10ヘテロ環、又はC5−14アリールであって、R及びRは、互いに結合して置換又は非置換のC4−8環系を形成していてもよい、
付記19に記載の化合物。
(付記21)
Mは、ルテニウムであり;
X及びXは、独立して、ハロゲン化物、−OR、−O(C=O)R、又は−O(SO)Rであって、Rは、C1−12アルキル、C3−12シクロアルキル、又はC5−14アリールであり、Rは、C1−6アルキル、C1−6パーハロアルキル、C1−6アルコキシ、又はハロゲン化物で所望により置換されていてもよく;
Lは、式P(R18)(R19)(R20)であって;
18、R19、及びR20は、独立して、C1−12アルキル、C1−12アルコキシ、C3−12シクロアルキル、C5−12アリール、C5−12アリールオキシ、又はC5−12ヘテロ環であって、R18、R19、及びR20のうちの2つの置換基は、所望により互いに結合して環系を形成していてもよく;
は、水素又はC1−20アルキルであり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン化物、C1−20アルキル、C2−20アルケニル、C2−20アルキニル、C5−10アリール、C1−20アルコキシ、C2−20アルケニルオキシ、C2−20アルキニルオキシ、C5−10アリールオキシ、C1−20アルコキシカルボニル、C1−20アルキルアミノ、C1−20プロトン化アルキルアミノ、アミノ、プロトン化アミノ、C1−20アルキルアンモニウム、ニトロ、カルボキシ、アミド、スルホンアミド、又はC1−20パーハロアルキルであり、これらの基は、C1−20アルキル、C1−20パーハロアルキル、C5−10アリール、又はC4−104級化ヘテロ環で所望により置換され得るものであって;
、R、R、及びRのうちの2つ以上は、互いに結合して置換若しくは非置換のC4−8縮合炭素環、又は置換若しくは非置換のC5−14縮合芳香環を形成していてもよく;
、R、Rは、独立して、水素、C1−6アルキル、C4−10シクロアルキル、C4−10ヘテロ環、又はC5−14アリールであって、R及びRは、互いに結合して置換又は非置換のC4−8環系を形成していてもよい、
付記19に記載の化合物。
(付記22)
Mは、ルテニウムであり;
X及びXは、独立して、塩化物であり;
Lは、式2a又は式2b:
【化45】
(式中、
12及びR13は、独立して、C1−12アルキル、C1−12パーハロアルキル、C1−12アルコキシ、又はハロゲン化物で所望により置換されたC5−14アリールであり;
14、R15、R16、及びR17は、独立して、水素又はC1−12アルキルである)
のN−ヘテロ環状カルベン配位子(NHC)であり;
は、水素であり;
、R、R、及びRは、独立して、水素、ハロゲン化物、ニトロ、カルボキシ、アミド、スルホンアミド、又はC1−20パーハロアルキルであり、これらの基は、C1−20アルキル、C1−20パーハロアルキル、又はC5−10アリールで所望により置換されていてもよく;R、R、R、及びRのうちの2つ以上は、互いに結合して置換若しくは非置換のC4−8縮合炭素環、又は置換若しくは非置換のC5−14縮合芳香環を形成していてもよく;
、R、Rは、独立して、水素、C1−6アルキル、C4−10シクロアルキル、C4−10ヘテロ環、又はC5−14アリールであって、R及びRは、互いに結合して置換又は非置換のC4−8環系を形成していてもよい、
付記19に記載の化合物。
(付記23)
Mは、ルテニウムであり;
X及びXは、塩化物であり;
Lは、式2c又は式2d:
【化46】
のN−ヘテロ環状カルベン配位子(NHC)であり;
は、水素であり;
、R、R、及びRは、独立して、水素又はニトロであり;
、R、Rは、独立して、水素、C1−6アルキル、又はC5−14アリールであって;
及びRは、互いに結合して置換又は非置換のC4−8環系を形成していてもよい、
付記19に記載の化合物。
(付記24)
、R、及びRが、独立して、水素又はメチルである、付記19〜23のいずれか一つに記載の化合物。
(付記25)
1)それぞれC=C二重結合を有する2つの化合物又は少なくとも2つのC=C二重結合を有する1つの化合物、及び2)触媒、を含む混合物を反応させることを含み、前記触媒は、付記1〜24のいずれか一つに記載の化合物である、メタセシス反応の実施方法。
(付記26)
式1−16の任意の錯体が、閉環メタセシス、クロスメタセシス、ホモメタセシス、又はアルケン−アルキンメタセシスにおける触媒として使用される、付記25に記載の方法。
(付記27)
式1−16の任意の錯体が、開環メタセシス重合における触媒として使用される、付記25に記載の方法。
(付記28)
少なくとも一つのオレフィン及び触媒を含む混合物を反応させることを含み、前記触媒は、付記1〜24のいずれか一つに記載の化合物である、メタセシス反応の実施方法。
(付記29)
メタセシス反応が、有機溶媒中で行われる、付記28に記載の方法。
(付記30)
金属不純物が、反応混合物を適切な吸着剤のパットを通して濾過することにより生成物から除去される、付記28又は29に記載の方法。
(付記31)
金属不純物が、反応混合物に吸着剤を加え、濾過することにより、反応混合物から除去される、付記28又は29に記載の方法。
(付記32)
前記吸着剤が、シリカゲル、酸化アルミニウム、活性酸化アルミニウム、珪藻岩、活性炭から選択される、付記30又は31に記載の方法。
(付記33)
前記吸着剤が、シリカゲルである、付記32に記載の方法。
(付記34)
金属不純物が、極性溶媒からの結晶化により生成物から除去される、付記28又は29に記載の方法。