特許第6092395号(P6092395)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6092395磁気共鳴トモグラフィ装置、X線源及びX線検出器を備えるハイブリッド検査システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092395
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】磁気共鳴トモグラフィ装置、X線源及びX線検出器を備えるハイブリッド検査システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20170227BHJP
   A61B 6/00 20060101ALI20170227BHJP
   A61B 6/02 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   A61B5/05 390
   A61B5/05 320
   A61B6/00 370
   A61B6/02 351C
【請求項の数】8
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-532309(P2015-532309)
(86)(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公表番号】特表2015-532844(P2015-532844A)
(43)【公表日】2015年11月16日
(86)【国際出願番号】EP2012068596
(87)【国際公開番号】WO2014044314
(87)【国際公開日】20140327
【審査請求日】2015年5月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー ハイト
(72)【発明者】
【氏名】ユルゲン ヘラー
(72)【発明者】
【氏名】ティモシー ヒューズ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル クレーマン
【審査官】 原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−131408(JP,A)
【文献】 特開2008−212667(JP,A)
【文献】 特表2009−502257(JP,A)
【文献】 特表2011−512999(JP,A)
【文献】 特表平09−502381(JP,A)
【文献】 特開平10−192268(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0123612(US,A1)
【文献】 米国特許第06591127(US,B1)
【文献】 国際公開第2012/077064(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
A61B 6/00−6/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査システム(10,20,30)であって、
磁場を形成するための円筒コイル(120)を有する磁気共鳴トモグラフィ装置(100)が設けられており、
前記円筒コイル(120)は、検査空間(110)を取り囲んでおり、
該検査空間(110)内に、第1のX線源(150)と、第1のX線検出器(160)とが配置されており、
前記検査空間(110)内に、第1の勾配磁場コイル部分(131)と、第2の勾配磁場コイル部分(132)とを有する勾配磁場コイル(130)が配置されており、
前記第1の勾配磁場コイル部分(131)と、前記第2の勾配磁場コイル部分(132)とは、軸方向に間隔をあけられており、
前記第1の勾配磁場コイル部分(131)と、前記第2の勾配磁場コイル部分(132)との間に、前記第1のX線源(150)と、前記第1のX線検出器(160)とが配置されており、
前記検査空間(110)内において、前記第1の勾配磁場コイル部分(131)と、前記第2の勾配磁場コイル部分(132)との間に、高周波コイル(140,240)がさらに配置されていることを特徴とする、検査システム(10,20,30)。
【請求項2】
前記第1のX線源(150)と、前記第1のX線検出器(160)とは、前記検査空間(110)の長手方向に配置された回転軸線(175)を中心として回転可能である、請求項1記載の検査システム(10,20,30)。
【請求項3】
前記第1のX線源(150)と、前記第1のX線検出器(160)とは、互いに固定的に結合されている、請求項1又は2記載の検査システム(10,20,30)。
【請求項4】
前記高周波コイル(240)は、前記第1のX線源(150)に固定的に結合されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の検査システム(20)。
【請求項5】
前記検査空間(110)内に、第2のX線源(350)と、第2のX線検出器(360)とが配置されている、請求項1からまでのいずれか1項記載の検査システム(30)。
【請求項6】
前記第1のX線源(150)と、前記第2のX線源(350)とは、互いに固定的に結合されている、請求項記載の検査システム(30)。
【請求項7】
前記第2のX線源(350)は、前記検査空間(110)の長手方向に配置された回転軸線(175)を中心とした回転に関して、前記第1のX線源(150)に対して所定の角度(351)だけずらされている、請求項記載の検査システム(30)。
【請求項8】
前記角度(351)は90度である、請求項記載の検査システム(30)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1記載の検査システム並びに請求項12記載の血管撮影像を形成する方法に関する。
【0002】
医療用途に用いられる、画像診断用の磁気共鳴トモグラフィ装置は、従来技術から公知である。磁気共鳴トモグラフィは、患者の身体の種々様々な組織の空間配置に関する情報を得るために、励起された核スピンの緩和時間と、原子核の周囲との関連性を利用している。磁気共鳴トモグラフィ装置は、特に軟部の高コントラストの結像に適している。
【0003】
医療用途に用いられる、画像診断用のレントゲン装置もやはり、従来技術から公知である。レントゲン写真術は、患者の身体部分を透視するためのX線ビームに対する、種々様々な組織の異なる透過性を利用している。この場合、リアルタイムで動画を形成することが可能である。
【0004】
米国特許出願公開第2008/0171931A1号明細書に記載の、磁気共鳴トモグラフィ装置とレントゲン装置とから成るハイブリッドシステムは、磁気共鳴トモグラフィ装置により、患者の身体部分の画像を撮影し、次いで患者の身体に手術を施すことを可能にする。その際にはレントゲン装置による光学的な検査が行われる。
【0005】
本発明の課題は、改良された検査システムを提供することにある。この課題は、請求項1記載の特徴を備える検査システムにより解決される。本発明の別の課題は、血管撮影像を形成する方法を提供することにある。この課題は、請求項12記載の特徴を備える方法により解決される。好適な改良が従属請求項に記載されている。
【0006】
検査システムは、磁場を発生させるための円筒コイルを備えた磁気共鳴トモグラフィ装置を有している。この場合、円筒コイルは検査空間を取り囲んでいる。この検査空間内には第1のX線源と、第1のX線検出器とが配置されている。有利には、この検査システムは、磁気共鳴トモグラフィ法による高空間解像度と、良好な軟部コントラストとを有する画像の獲得を可能にする。更に、第1のX線源と第1のX線検出器とにより、高時間分解能でレントゲン画像を形成することができる。磁気共鳴トモグラフィ装置と、X線源及びX線検出器から形成されるレントゲンシステムとを統合することにより、両方法により得られた解剖学的な情報は、時間的及び空間的に一致していることが保証される。画像を提供する両方法の組み合わせにより、相互に補完し合う解剖学的な情報がもたらされ、これにより、入手可能な情報内容が全体的に向上する。これにより有利には、システム全体の臨床効果が改善される。
【0007】
検査システムの1つの実施形態では、第1のX線源及び第1のX線検出器は、検査空間の長手方向に配置された回転軸線を中心として回転可能である。この場合有利には、X線源とX線検出器とから形成されたレントゲンシステムにより、複数の異なる目視方向からレントゲン撮影を行うことができる。
【0008】
検査システムの1つの実施形態では、第1のX線源と、第1のX線検出器とは、互いに固定的に結合されている。これにより有利には、X線源とX線検出器とが回転軸線を中心として回転する際に、X線検出器は常に、X線源から出射されるX線ビームを検出することができるように配置されている、ということが保証される。
【0009】
検査システムの1つの実施形態では、検査空間内に、第1の勾配磁場コイル部分と第2の勾配磁場コイル部分とを有する1つの勾配磁場コイルが配置されている。この場合、第1の勾配磁場コイル部分と、第2の勾配磁場コイル部分とは、軸方向に間隔をあけられている。更に、第1のX線源と、第1のX線検出器とが、第1の勾配磁場コイル部分と第2の勾配磁場コイル部分との間に配置されている。この配置形式では、有利には第1の勾配磁場コイル部分と第2の勾配磁場コイル部分との間の中間室内に勾配磁場が形成され、この勾配磁場は、磁気共鳴トモグラフィによる空間分解検査を可能にする。同時に、X線源とX線検出器とから形成されたレントゲンシステムが前記中間室内に配置されていて、これにより、磁気共鳴トモグラフィによって表される領域と同じ領域のレントゲン撮影を可能にする。レントゲンシステムを、勾配磁場コイルの勾配磁場コイル部分間の中間室内に配置することにより、勾配磁場コイルによるX線ビームの光学的な妨害又は遮蔽が回避される。
【0010】
検査システムの1つの実施形態では、高周波コイルが検査空間内に配置されている。一つの実施形態において、高周波コイルは第1の勾配磁場コイル部分と第2の勾配磁場コイル部分との間に配置されている。有利には、高周波コイルは、高周波数の磁気パルスを送出し、且つ核スピンの緩和に基づき送信される信号を受信するために用いられてよい。勾配磁場コイルの第1の勾配磁場コイル部分と第2の勾配磁場コイル部分との間の中間室内に高周波コイルを配置することにより、X線源とX線検出器とから形成されるレントゲンシステムによっても検出される、検査空間内に配置された患者の身体部分と同じ身体部分を、画像検査することが可能になる。
【0011】
検査システムの1つの実施形態では、高周波コイルは、第1のX線源と固定的に結合されている。この場合有利には、高周波コイルとX線源との間の相互配向は、X線源とX線検出器とから形成されるレントゲンシステムが回転軸線を中心として回転する際にも、不変に保たれる。これにより、高周波コイルによりレントゲンシステムに及ぼされる影響は最小限になる。高周波コイルにより生ぜしめられる、X線源により出射されたX線ビームの吸収は、時間的に不変である。このことは有利には、高周波コイルにより、レントゲンシステムによって行われた撮影に生ぜしめられるアーティファクトを、最小限に留める又は除去することを可能にする。
【0012】
検査システムの1つの実施形態では、第2のX線源と、第2のX線検出器とが、検査空間内に配置されている。2つのレントゲンシステムを設けることにより、有利には、レントゲン画像の撮影速度の増大、X線の線量低下の可能性及び異なるエネルギの複数のX線ビームの同時使用の可能性が可能になる。これにより、血行特性及び検査される組織の型及び組成に関する追加的な情報が得られる。
【0013】
検査システムの1つの実施形態では、第1のX線源と、第2のX線源とが互いに固定的に結合されている。この場合有利には、第1のX線源と、第2のX線源との間の目視角度の差は、時間的に不変である。
【0014】
検査システムの1つの実施形態では、検査空間の長手方向に配置された回転軸線を中心とした回転に関して、第2のX線源は、第1のX線源に対して、所定の角度だけずらされている。この場合有利には、両レントゲンシステムにより、患者の検査されるべき身体部分を、2つの方向から同時に照射することができる。
【0015】
検査システムの1つの実施形態では、前記角度は90度である。この場合有利には、両レントゲンシステムにより形成されたレントゲン画像は、特に簡単に互いに関連付けられる。
【0016】
上述した形式の検査システムは、血管撮影像を形成する方法に用いられる。この場合有利には、血管撮影像は、磁気共鳴トモグラフィ検査によって得られた情報と、レントゲン検査によって得られた情報とを有することができるので、この方法で形成された血管撮影像は、特に高度な情報内容を有している。
【0017】
上述した本発明の特性、特徴及び利点、並びにこれらを達成する方法は、図面に関連して詳細に説明される以下の実施形態の説明に関連して、より明確に且つ大幅に分かりやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態による検査システムの斜視断面図である。
図2】第2の実施形態による検査システムの斜視断面図である。
図3】第3の実施形態による検査システムの斜視断面図である。
図4】第3の実施形態による検査システムの別の断面図である。
【0019】
以下に、本発明の実施形態を図面につき詳しく説明する。
【0020】
図1には、第1の実施形態による検査システム10の概略的な斜視断面図が示されている。この検査システム10は、医学的な診断に用いることができる。特に、この検査システム10は、処置されるべき血管撮影に用いることができる。
【0021】
検査システム10は、磁気共鳴トモグラフィ装置100を有している。磁気共鳴トモグラフィ装置100は、管状の検査空間110を取り囲む円筒コイル120を有している。円筒コイル120は、細長い中空円筒として形成されている。円筒形の検査空間110は、患者111(概略的に図示)の収容に用いられる。図示の実施形態では、検査システム10を用いて、患者111の身体部分116の、医学的な診断に適した画像を得るために、検査システム10の検査空間110内の視界115に、患者111の身体部分116(ここでは頭部)が配置されている。
【0022】
磁気共鳴トモグラフィ装置100の円筒コイル120は、検査空間110内に強力な静磁場を発生させるために用いられ、この強力な静磁場によって、患者111の身体の原子核の磁気モーメントの異なる向き間でのエネルギの縮退が解かれる。円筒コイル120は、例えば超伝導磁石として形成されていてよい。円筒コイル120は例えば、0.2テスラ〜3テスラ以上の強さの静磁場を発生させるように形成されていてよい。円筒コイル120により発生させられた磁場は、少なくとも検査空間110の視界115内に、好適にはほぼ均質に形成されている。円筒コイル120により生ぜしめられた静磁場の影響を受けて、患者111の身体の原子核の核スピンは、磁場により規定される軸線を中心として歳差運動を行う(ラーモア歳差運動)。
【0023】
検査空間110の視界115内に配置された患者111の身体部分116の断層画像を形成するためには、円筒コイル120により生ぜしめられた均質な磁場を、場所に関連して変化させることが必要である。このために磁気共鳴トモグラフィ装置100は、勾配磁場コイル130を有している。勾配磁場コイル130は、磁気共鳴トモグラフィ装置100により実施される測定の間に勾配磁場を発生させて、選択的な層励磁及び測定信号の場所のコード化を行うために設けられている。
【0024】
勾配磁場コイル130は、第1の勾配磁場コイル部分131と、第2の勾配磁場コイル部分132とを有している。第1の勾配磁場コイル部分131と第2の勾配磁場コイル部分132とは、それぞれ中空円筒状に形成されていて、円筒コイル120により包囲された検査空間110内に、円筒コイル120に対して同軸的に配置されている。この場合、勾配磁場コイル130の第1の勾配磁場コイル部分131と、第2の勾配磁場コイル部分132とは、軸方向に相互間隔をあけられており、第1の勾配磁場コイル部分131と第2の勾配磁場コイル部分132との間には、中間室133が形成されている。この中間室133の領域に、視界115が位置している。図示の実施形態において、第1の勾配磁場コイル部分131は、第2の勾配磁場コイル部分132よりも小さな直径を有している。但しこのことは必須ではない。
【0025】
円筒コイル120により生ぜしめられた静磁場に対して垂直に配向された、所定の共鳴周波数を有する交番磁場を照射することにより、静磁場の軸線を中心として歳差運動する患者111の身体の原子の核スピンを、位相同期させて変向(励起)させることができる。このために磁気共鳴トモグラフィ装置100は、高周波コイル140を有している。高周波コイル140は、勾配磁場コイル130の第1の勾配磁場コイル部分131と、第2の勾配磁場コイル部分132との間の中間室133内に配置されている。高周波コイル140は、円筒コイル120に対して同軸的に配置された2つのリングを有しており、これらのリングは複数の横木141を介して互いに結合されている。高周波コイル140は、円筒コイル120及び検査空間110の長手方向軸線に相応する回転軸線175を中心として回転可能である。検査空間110の視界115は、高周波コイル140内に配置されている。
【0026】
高周波コイル140は、高周波の磁気パルスの照射に適している。高周波コイル140により照射された交番磁場を遮断した後に、特徴的な緩和時間が経過すると、交番磁場により励起された核スピンは緩和すると共に信号を送出し、これらの信号は高周波コイル140によって受信される。高周波コイル140が受信した信号データから、数学的な方法により、視界115内に配置された患者111の身体部分116の画像を再現することができる。
【0027】
検査システム10は更に、X線源150及びX線検出器160を備えるレントゲンシステムを有している。X線源150及びX線検出器160は、検査空間110内に設けられた勾配磁場コイル130の第1の勾配磁場コイル部分131と、第2の勾配磁場コイル部分132との間の中間室133内に配置されている。X線源150は、視界115を通って進み且つ視界115の通走後にX線検出器160にぶつかるX線ビーム155を出射するように形成されている。X線源150とX線検出器160とから形成されたレントゲンシステムは、視界115内に配置された患者111の身体部分116のレントゲン画像の迅速な形成を、高時間分解能で可能にする。
【0028】
X線源150と、X線検出器160とは、軸受170により回転軸線175を中心として回転可能に支持されており且つ互いに固定的に結合されている。この場合、回転軸線175を中心とした回転に関して、X線源150と、X線検出器160との間には、約180度の位相差が生じている。X線源150とX線検出器160とから形成されたレントゲンシステムを、回転軸線175を中心として回転可能に配置することにより、検査空間110の視界115内に配置された患者111の身体部分116を、複数の異なる目視方向から照射し、延いては複数の異なる目視方向から身体部分116を透視することが可能になる。
【0029】
磁気共鳴トモグラフィ装置100の高周波コイル140と、X線源150及びX線検出器160から形成されたレントゲンシステムとを、視界115を包囲する中間室133内に一緒に配置することにより、磁気共鳴トモグラフィ装置100を用いた磁気共鳴トモグラフィ法によって得られる解剖学的な情報と、レントゲンシステムを用いたレントゲン検査法によって得られる解剖学的な情報とが、時間的及び空間的に一致していることが保証されている。この場合、両検査方式によって得られる情報は、互いに補完し合う。
【0030】
図2には、第2の実施形態による検査システム20の概略的な斜視断面図が示されている。この検査システム20は、図1に示した検査システム10と大部分は合致している。よって、相応する構成部材には同一符号を付し、以下で改めて詳細には説明しない。
【0031】
高周波コイル140の代わりに、検査システム20では高周波コイル240が設けられていて、検査空間110内の視界115を取り囲む勾配磁場コイル130の第1の勾配磁場コイル部分131と、勾配磁場コイル部分132との間の中間室133内に配置されている。高周波コイル240もやはり、円筒コイル120に対して同軸に配置された、複数の横木を介して互いに結合された2つのリングを有している。
【0032】
但し高周波コイル140とは異なり、高周波コイル240は、固定結合部245を介して、X線源150及びX線検出器160により形成されたレントゲンシステムと、固定的に結合されている。よって高周波コイル240は、軸受170によってレントゲンシステムと一緒に回転軸線175を中心として回転可能に支持されている。これにより高周波コイル240は、X線源150とX線検出器160とから形成されたレントゲンシステムと位相同期して、回転軸線175を中心として回転可能である。高周波コイル240とレントゲンシステムとが回転軸線175を中心として1回転する間の、高周波コイル240と、X線源150と、X線検出器160との間の相対的な配置は不変に保たれる。
【0033】
このことがもたらす利点は、高周波コイル240により、レントゲンシステムによって撮影されたレントゲン画像に対して及ぼされる影響が時間的に一定であると共に、最小限に抑えられる、という点にある。X線源150と、X線検出器160と、高周波コイル240とは互いに固定的に配置されているので、高周波コイル240により生ぜしめられるX線ビーム155の吸収は、時間的に不変である。このことは、レントゲンシステムによって形成されたレントゲン画像に、場合によっては例えば高周波コイル240の横木241により生ぜしめられるアーティファクトを、最小限に留める又は除去することを可能にする。例えば、高周波コイル240と、X線源150と、X線検出器160とは、X線ビーム155が、高周波コイル240の複数の横木241のうちの1つに当たらないように、互いに配向されていてよい。同様に、一定の時間で発生するアーティファクトを、デジタル画像処理法によって除去することも可能である。
【0034】
図3には、第3の実施形態による検査システム30の概略的な斜視断面図が示されている。図4には、検査システム30の別の断面図が示されている。図4において、断面は回転軸線175に対して垂直に延在している。検査システム30は、図1に示した検査システム10との合致部を有している。よって、互いに相応する構成部材には同一符号を付し、以下で改めて詳しくは説明しない。
【0035】
検査システム10の構成部材に加えて付加的に、検査システム30には第2のX線源350と、第2のX線検出器360とが設けられている。第2のX線源350と、第2のX線検出器360とは、第2のレントゲンシステムを形成している。第2のX線源350と第2のX線検出器360もやはり、勾配磁場コイル130の第1の勾配磁場コイル部分131と、第2の勾配磁場コイル部分132との間の中間室133内に配置されていて、第2のX線源350により出射された第2のX線ビーム355が、視界115を通って進んだ後に第2のX線検出器360にぶつかるように、配向されている。
【0036】
第2のX線源350及び第2のX線検出器360もやはり、軸受170により、回転軸線175を中心として回転可能に支持されている。第2のX線源350と第2のX線検出器360とは、互いに固定的に結合されているので、回転軸線175を中心とした回転に関して、第2のX線源350と第2のX線検出器360との間には、好適には約180度の一定の角度関係が生じることになる。
【0037】
1つの好適な実施形態では、X線源150と第2のX線源350も、互いに固定的に結合されているので、回転軸線175を中心とした回転に関して、X線源150と第2のX線源350との間には、常に一定の角度351が生じることになる。この角度351は、0度〜180度であってよい。1つの好適な実施形態において、角度351は約90度である。この場合、X線源150とX線検出器160とから形成されたレントゲンシステムにより撮影されたレントゲン画像と、第2のX線源350と第2のX線検出器360とにより形成された第2のレントゲンシステムによって撮影されたレントゲン画像とは、互いに垂直な目視方向から見た、視界115内に配置された患者111の身体部分116を表している。
【0038】
検査システム30に2つのレントゲンシステムが設けられていることによりもたらされる利点は、レントゲン画像が、より高い速度及び画像再現周波数で撮影可能である、という点にある。更に、これによりX線線量を低下させる可能性が開かれる。両レントゲンシステムは、それぞれ異なる波長若しくはエネルギレベルでも作動可能である。これにより、視界115内に配置された患者111の身体部分116に関する追加的な情報が得られる。例えばこれにより、身体部分116の血行特性又は組織に関する追加的な情報が得られる。
【0039】
検査システム10,20,30において、磁気共鳴トモグラフィ装置100とレントゲンシステムとは、好適にはその都度同時に作動させられる。但し、個別の検査について、磁気共鳴トモグラフィ装置100又はレントゲンシステムのいずれか一方だけを作動させることも可能である。これらの両検査方式は、時間的に相前後して行われてもよい。
【0040】
本発明の詳細を、好適な実施形態に基づき詳細に図示し且つ説明したが、本発明は開示された実施形態により限定されるものではない。当業者により別の変化態様が、本発明の保護範囲を逸脱することなく導き出されてよい。
図1
図2
図3
図4