特許第6092416号(P6092416)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092416
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】タッチパネル及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20170227BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   G06F3/041 490
   G06F3/041 450
   G06F3/041 495
   G06F3/041 430
   G06F3/041 660
   G06F3/044 124
【請求項の数】17
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-543312(P2015-543312)
(86)(22)【出願日】2014年5月27日
(65)【公表番号】特表2015-535627(P2015-535627A)
(43)【公表日】2015年12月14日
(86)【国際出願番号】CN2014078468
(87)【国際公開番号】WO2014194776
(87)【国際公開日】20141211
【審査請求日】2015年5月26日
(31)【優先権主張番号】201310216959.4
(32)【優先日】2013年6月4日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】512299015
【氏名又は名称】ティーピーケイ タッチ ソリューションズ(シアメン)インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】リー ユーウェン
(72)【発明者】
【氏名】タン チュアンダイ
(72)【発明者】
【氏名】フー シエンビン
(72)【発明者】
【氏名】リン フォンミン
【審査官】 原 秀人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−003915(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/015284(WO,A2)
【文献】 特開2007−101679(JP,A)
【文献】 特開2011−197709(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0113042(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0088281(US,A1)
【文献】 特開2013−057928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非表示領域と表示領域を規定するタッチパネルであって、
前記タッチパネルは、
基板の面上に配置され、遮蔽層によって覆われた基板の領域が前記非表示領域を規定する遮蔽層と、
前記遮蔽層と同じ面の前記基板上に配置され、少なくとも検出電極層の一部が前記表示領域に重畳する検出電極層と、
前記表示領域上に配置され、前記検出電極層を覆う第1保護層と、
前記非表示領域上に配置され、前記遮蔽層を覆う第2保護層と、
前記遮蔽層と前記第2保護層との間に配置され、前記検出電極層に電気的に接続された信号伝送層と、
を備える。
【請求項2】
前記第1保護層は屈折率補償層であり、前記第2保護層は接着層である、請求項1に記載のタッチパネル。
【請求項3】
前記屈折率補償層は、金属酸化物、非金属酸化物、シリコン系材料及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料からなる、請求項2に記載のタッチパネル。
【請求項4】
前記屈折率補償層は多層複合材料である、請求項2に記載のタッチパネル。
【請求項5】
前記屈折率補償層は、二酸化シリコン(SiO)層と五酸化ニオブ(Nb)層によって形成される、請求項4に記載のタッチパネル。
【請求項6】
前記二酸化シリコン層は50nmから30nmの間の範囲の厚さを有し、前記五酸化ニオブ層は、5nmから50nmの間の範囲の厚さを有する、請求項5に記載のタッチパネル。
【請求項7】
前記屈折率補償層の屈折率は前記検出電極層の屈折率以上である、請求項2〜6のいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項8】
前記接着層は有機材料からなる、請求項2〜7のいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項9】
前記有機材料は、ポリイミド材料、インク材料、アルコール材料及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項8に記載のタッチパネル。
【請求項10】
前記遮蔽層はポリイミド層又はインク層からなる、請求項1〜9のいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項11】
前記第1保護層は前記非表示領域まで延びており、第2保護層上に形成される、請求項1〜10のいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項12】
前記検出電極層は前記非表示領域まで延びており、前記遮蔽層の上又は下面に形成されている、請求項1〜10のいずれか1項に記載のタッチパネル。
【請求項13】
表示領域と非表示領域を規定するタッチパネルの製造方法であって、
前記方法は、
基板の面上に、遮蔽層によって覆われた基板の領域が前記非表示領域を規定する遮蔽層を形成し、
前記遮蔽層と同じ面の前記基板上に、少なくとも検出電極層の一部が前記表示領域に重畳する検出電極層を形成し、
少なくとも前記表示領域上に、前記検出電極層を覆うように第1保護層を形成し、
前記非表示領域上に、前記遮蔽層を覆うように第2保護層を形成し、
前記第2保護層を形成する前に、前記遮蔽層の表面上に、前記検出電極層に電気的に接続する信号伝送層をさらに形成する。
【請求項14】
前記第1保護層は屈折率補償層であり、前記第2保護層は接着層である、請求項13に記載のタッチパネルの製造方法。
【請求項15】
前記第1保護層は非表示領域まで延びており、前記第2保護層の表面上に形成される、請求項13又は14に記載のタッチパネルの製造方法。
【請求項16】
前記検出電極層は前記非表示領域まで延びており、前記遮蔽層を形成する前に前記検出電極層が形成され、前記検出電極層が前記遮蔽層の下面上に形成される、請求項13〜15のいずれか1項に記載のタッチパネルの製造方法。
【請求項17】
前記検出電極層は前記非表示領域まで延びており、前記遮蔽層を形成した後に前記検出電極層が形成され、前記検出電極層が前記遮蔽層の上面上に形成される、請求項13〜15のいずれか1項に記載のタッチパネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示はタッチパネル技術に関し、特にタッチパネル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチ制御技術の発達に伴い、タッチパネルは、携帯電子製品であるスマートホンやタブレット、デジタルカメラ、e−ブック、MP3プレーヤーなどの様々な消費者向け電子機器に広く用いられている。タッチパネルは、また、操作や制御のための装置の表示画面に適用可能である。タッチパネルは、ユーザに対し入力操作の利便性を提供するだけでなく、その薄型、軽量、価格競争力における利点をも有している。
【0003】
タッチパネルは典型的に、基板、検出電極層、遮蔽層、保護層を含む。保護層は、検出電極層と遮蔽層との上に形成され、物理的、化学的ダメージから検出電極層を保護する。
【0004】
しかしながら、遮蔽層の厚さは、検出電極層よりも(約十から百倍)厚い。これらの厚さの違いに起因して、遮蔽層と検出電極層との間には「ステップ」が形成される。保護層は、以降のプロセスで遮蔽層と検出電極層との上に形成されるため、ステップは容易に保護層の不均一性、保護層の色差の発生を引き起こす。色差はタッチパネルの透明性に打撃を与える。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、タッチパネル及びその製造方法に関する。
【0006】
本開示の1つによれば、保護層の構造を変化させ、プロセスを調整する手段によって、2つの部分を有する保護層が検出電極層と遮蔽層上にそれぞれ堆積するように設計されている。保護層の2つの部分は独立して形成されるため、遮蔽層と検出電極層との間の厚さの違いが存在するにもかかわらず、各部分の不均一なコーティングは発生しない。
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の実施形態によれば、タッチパネルが提供される。タッチパネルは、非表示領域と、当該非表示領域に対応する表示領域を規定する。タッチパネルは、基板の面上に配置され、遮蔽層によって覆われた基板が前記非表示領域を規定する遮蔽層と、前記遮蔽層と同じ面の前記基板上に配置され、少なくとも検出電極層の一部が前記表示領域に重畳する検出電極層と、前記表示領域上に配置され、前記検出電極層を覆う第1保護層と、前記非表示領域上に配置され、前記遮蔽層を覆う第2保護層と、を備える。
【0008】
本開示の他の実施形態においては、タッチパネルの製造方法が提供される。タッチパネルは、表示領域と、当該表示領域に対応する非表示領域で規定される。当該方法は、基板板の面上に、遮蔽層によって覆われた領域が前記非表示領域を規定する遮蔽層を形成し、前記遮蔽層と同じ面の前記基板上に、少なくとも検出電極層の一部が前記表示領域に重畳する検出電極層を形成し、少なくとも前記表示領域上に、前記検出電極層を覆うように第1保護層を形成し、前記非表示領域上に、前記遮蔽層を覆うように第2保護層を形成する。
【0009】
この結果、色差を回避することができ、本開示においてタッチパネルの透明性を低下させる要因を弱めることができる。また、本開示の保護層は、異なる材料で作ることができる二つの異なる部分を有する。保護に加えて、第1保護層は検出電極層を覆い、検出電極以上の屈折率を有することで、屈折率の差が最小化される。保護に加えて、遮蔽層と信号伝送層を対応して覆う第2保護層は、また、遮蔽層への信頼性のある接着性を提供する。全体として、タッチパネルの表示品質を向上させることが可能となる。
【0010】
本発明に関する理解を促進するために、以下の実施形態は、本発明の開示を容易にするように図面とともに提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の第1の実施形態に係るタッチパネルの断面図である。
図2図1の第1保護層の詳細を示す拡大斜視図である。
図3】本開示の第2の実施形態に係るタッチパネルの断面図である。
図4】本開示の第3の実施形態に係るタッチパネルの断面図である。
図5】本開示の実施形態に係るタッチパネルの製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
上記図面及び以下の詳細な説明は、本発明の範囲を説明するための例示である。本発明に関連する他の目的及び利点は、後の説明及び添付図面に示される。
【0013】
実施形態の説明では、タッチパネルの「上」、「下」の向きは、相対的な位置を表すためにのみ用いられる。本開示の図面において、タッチパネルの「上側」はユーザから最も遠い側であることを意味し、タッチパネルの「下側」はユーザに最も近い側であることを意味する。また、実施形態のタッチパネルは、非表示領域と表示領域を規定する。一般的には、非表示領域は、表示領域の少なくとも一つの周辺側に割り当てられる。本開示の実施形態の全ては、非表示領域が表示領域を囲む条件で記載されている。
【0014】
図1を参照する。図1は、本開示の第1の実施形態に係るタッチパネルの断面図を示す。本実施形態のタッチパネル100は、基板110、遮蔽層130、検出電極層120、第1保護層151、第2保護層152を含む。基板110は、ガラス等の透明材料からなる。基板110は、下面110aと、これと反対側の上面110bとを有している。下面110aは、ユーザの操作面となっている。上面110bは、タッチパネル100の各要素を形成するために用いられ、以下の説明において実施例が詳細に説明される。また、本実施形態において、基板110の下面110aは、強化、耐スクラッチ処理、アンチグレア処理、抗菌及び/又は反射防止処理などの表面処理によって処理することができる。支持に加えて、下面110aの表面処理は基板110を保護することを可能にする。
【0015】
遮蔽層130は、基板110の上面110bの周辺部に配置され、遮蔽層130によって覆われた領域は非表示領域100Bを規定する。本実施形態では、遮蔽層130は、黒色又は他の色のポリイミド層又はインク層などの不透明な絶縁層である。遮蔽層130は、堆積、リソグラフィ及びエッチング工程によって形成することができる。
【0016】
検出電極層120及び遮蔽層130は、基板110の同じ側、すなわち上側に設けられている。少なくとも検出電極層120の一部は、ユーザのタッチ感度を提供するために、基板110の上面110b上で表示領域100A内に設けられている。具体的には、検出電極層120は、行方向に配置された複数の第1電極121と、列方向に配置された複数の第2電極(図1では不図示)と、同じ列において2つの直接隣接する一対の第2電極(不図示)を連結する接続部124とを含む。同じ行において直接隣接する各2つの第1電極121は、ブリッジ部123のいずれかによって互いに接続されている。検出電極層120は、その各々が一対のブリッジ部123と接続部124との間に挟まれた複数の絶縁部122を備えている。上述の要素の配置(すなわち、検出電極層120の第1電極121、第2電極、接続部124、ブリッジ部123及び絶縁部122)は、検出電極層120上のエッチング領域120Aと非エッチング領域120Bを規定する。
【0017】
少なくとも第1保護層151の一部は表示領域100A内に配置され、物理的又は化学的な損傷から検出電極層120を保護するために表示領域100Aにおいて検出電極層120を覆っている。もちろん、エッチング領域120A及び非エッチング領域120Bは検出電極層120上において規定されているため、第1保護層151は、検出電極層120の非エッチング領域120Bを覆うだけでなく、エッチング領域120Aから露出している基板110の一部も覆っている。第2保護層152は非表示領域100Bに配置され、遮蔽層130に重畳している。非表示領域100Bを規定するための遮蔽層130は表示領域100Aを囲んでいるため、本実施形態では、第2保護層152は枠状の形状を有している。
【0018】
上述の実施形態のように、第1保護層151及び第2保護層152のための特定の設計により、タッチパネル100の全体構造にバックエンドプロセスで製造される保護層150は、(1.5μmから20μmの間の範囲の厚さを有する)遮蔽層130と、(250Åから300Åの間の範囲の厚さを有する)検出電極層120との厚さの差に大きく影響されない。保護層150の製造において、保護層150の不均一なコーティングに起因する色差を効果的に回避することができ、タッチパネル100の透明性を低下させる因子を弱めることができ、タッチパネル100の製造歩留まりを増加させることができる。
【0019】
さらなる説明のため、本実施形態において、一連のステップ、すなわち、遮蔽層130を形成した後、検出電極層120を形成することは単なる例示である。また、検出電極層120は、非表示領域100Bに配置される遮蔽層130の上面まで延在してもよい。一実施形態では、図1に示すように、表示領域100A内の部分及び非表示領域100B内の他の部分を有する検出電極層120は、同じプロセスで製造される。他の実施形態では、非表示領域100B内の部分は独立した接続部であり、表示領域100A内の他の部分を製造するためのプロセスではなく、付加的なプロセスによって製造される。しかしながら、上記の製造は、本開示の範囲を制限するために用いられるものではない。
【0020】
本実施形態のタッチパネル100は、信号伝送層160をさらに含む。信号伝送層160は、遮蔽層130と第2保護層152との間に配置され、検出電極層120と外部コントローラ(不図示)との間で信号を伝送するために、検出電極層120に電気的に接続されている。このため、本実施形態では、非表示領域100Bの第2保護層152は、遮蔽層130を被覆するだけでなく、物理的又は化学的損傷から信号伝送層160を保護するため、信号伝送層160を覆っている。例えば、信号伝送層160は、Mo/Al/Mo層の積層体である。これらの二つのMo層の間に挟まれたAl層は化学的に反応性が高いため、Al層が空気にさらされたときに、Al層は容易に酸化し、絶縁性の酸化アルミニウム膜を形成する。従って、Al層の酸化を防止するために、第2保護層152は空気から信号伝送層160を分離し、Mo層の損傷に起因するAl層の爆発の可能性を減少させる。
【0021】
なお、本実施形態の第1保護層151は屈折率補償層であり、第2保護層152は接着層であってもよいことについて言及する価値がある。その結果、検出電極層120上を対応して覆う第1保護層151は、保護の機能を提供するだけでなく、検出電極層120上のエッチング領域120Aと非エッチング領域120Bとの間のエッチングラインが視覚的に見えなくなるように、補償を行い、検出電極層120の屈折率と一致させる。遮蔽層130及び信号伝送層160を対応して覆う第2保護層152は、保護の機能を提供することに加えて、遮蔽層130に信頼性の高い接着力を提供する。
【0022】
一実施形態では、屈折率補償層は、金属酸化物、非金属酸化物、シリコン系材料及びそれらの組み合わせからなる群から選択される材料からなる。屈折率補償層の構造は、単一又は複数の層で設計することができる。本実施例の屈折率補償層の屈折率をn1とし、検出電極層の屈折率をn2とする。この場合、屈折率補償層の屈折率n1は、本実施形態の検出電極層の屈折率n2以上である。従って、エッチング領域120A及び非エッチング領域120Bの可視光に対する屈折率の差が最小化される。また、異なる屈折率に起因する低表示品質を回避することができ、タッチパネル100のより良好な表示品質を達成することができる。
【0023】
図2を参照する。図2は、図1の第1保護層の詳細を示す拡大斜視図である。具体的には、本実施形態の第1保護層151は、当該第1保護層151が屈折率補償層となるよう設計され、第1保護層151を多層複合化する第1屈折率層1511と第2屈折率層1512を含む。第1屈折率層1511は検出電極層120を覆い、第2屈折率層1512は第1屈折率層1511上に配置されている。
【0024】
本実施形態における第1屈折率層1511と第2屈折率層1512の積層構造により、多層複合化された屈折率補償層の屈折率は、表示領域100A内に配置された検出電極層120以上である。
【0025】
一実施形態では、第1屈折率層1511の屈折率n3は検出電極層120の屈折率よりも小さく、第2屈折率層1512の屈折率n4は検出電極層120の屈折率よりも大きい。具体的には、検出電極層120の第1電極121と第2導電パターン(不図示)が、1.86の屈折率を有するパターニングされたインジウムスズ酸化物(ITO)層である場合、第1屈折率層1511はより小さい屈折率を有する層であり、例えば、30nmから50nmの間の範囲の厚さで1.46の屈折率を有する二酸化シリコン(SiO)層である。第2屈折率層1512は、1.86よりも大きい屈折率である層、例えば、2.35の屈折率で5nmから10nmの間の範囲の厚さを有する五酸化ニオブ(Nb)であってもよい。他の実施形態では、第1屈折率層1511は、Nb層であり、第2屈折率層1512は、SiO層である。つまり、多層複合材料である屈折率補償層は、例えば、実際の検出電極層120の屈折率に応じて、SiO層とNb層で形成することができる。
【0026】
一実施形態では、接着層は有機材料層である。接着層の材料の特性は、遮蔽層130と同一又は類似であり、接着層は遮蔽層130により信頼性の高い接着力を提供する。有機材料からなる接着層は、クロスカットテープ試験(ASTM D3359−93)を受け、接着層の遮蔽層130への接着度は少なくとも4Bである。剥離度は5%未満である。従って、接着層と遮蔽層130との間に配置された信号伝送層160は完全に保護され、空気から分離され、信号伝送層160の酸化の確率は低下する。
【0027】
一実施形態において、有機材料は、ポリイミド(PI)材料、インク材料、アルコール材料又はそれらの組み合わせであってもよい。ポリイミド材料の組成物は、シラン及びポリメチルメタクリレート(PMMA)を含む。インク材料の組成物は、顔料、樹脂及び補助剤を含み、顔料は二酸化チタン又はトナーであり、補助剤は硬化剤又は増粘剤でありうる。アルコール材料は、エチレングリコール、プロピレングリコール、エタノール、イロプロピルアルコール又はそれらの組み合わせであってもよい。接着層の接着は、遮蔽層130により良好な接着を提供するために、各成分の含有量を調整することによって最適化することができる。
【0028】
以下の説明について、図3を参照する。図3は、本開示の第2の実施形態に係るタッチパネルの断面図を示す。図3に示すように、本実施形態のタッチパネルの構成は、図1に示す第1の実施形態と実質的に同様である。本実施形態において異なる点は、第1保護層151が非表示領域100Bまで延びており、第2保護層152の表面上に形成されている点である。その結果、第2保護層152の剥離を防止することができる。本実施形態の第1保護層151は、完全に第2保護層152の表面上に形成されている。もちろん、実際の設計の要求に応じて、第1保護層151はまた、第2保護層152の一部分のみに形成してもよく、本発明の範囲を限定することを意図してない。
【0029】
図4を参照する。図4は、本開示の第3の実施形態に係るタッチパネルの断面図を示す。図4に示すように、本実施形態のタッチパネルの構成は、図1に示す第1の実施形態と実質的に同様である。本実施形態において異なる点は、タッチパネル100の検出電極層120と遮蔽層130の積層順序である。本実施の形態では、一連の処理は、検出電極層120を配置した後に、遮蔽層130を形成するように設計されている。すなわち、非表示領域100B内の検出電極層120は、遮蔽層130の下面に形成されている。しかし、本実施形態の構造の設計に基づいて、遮蔽層130上に開口部が形成され、すでに形成された検出電極層120と信号伝送層160との間の電気通信が可能となる。さらに、電気接続層140が、開口部内に導電性材料を充填することによって形成される。その結果、検出電極層120は、開口部を通って延びる電気接続層140によって、信号伝送層160に電気的に接続される。
【0030】
図5を参照する。図5は、本開示の実施形態に係るタッチパネルの製造方法のチャートフローである。まず、ステップS1において、基板が用意される。ステップS2において、遮蔽層が基板の面に形成され、遮蔽層130によって覆われた基板の領域がタッチパネルの非表示領域100Bを規定する。
【0031】
ステップS3において、検出電極層は遮蔽層と同じ面の基板上に形成される。本実施形態では、少なくとも検出電極層の一部がタッチパネルの表示領域の基板の表面上に形成され、加えて、検出電極層はさらに、非表示領域まで延びて、ステップS2において形成された非表示領域の遮蔽層の上面上に配置される。
【0032】
もちろん、他の実施形態では、上記ステップS2と上記ステップS3の順序を交換することができる。すなわち、検出電極が形成され、続いて遮蔽層が形成される。従って、非表示領域まで延びる検出電極層は、遮蔽層の下面に配置される。
【0033】
ステップS4では、検出電極層に電気的接続するために、信号伝送層が遮蔽層上に形成される。
【0034】
ステップS5では、第1保護層が、少なくとも表示領域において、検出電極層を覆うように形成される。
【0035】
ステップS6において、非表示領域において、第2保護層が遮蔽層と信号伝送層を覆うように形成される。本実施形態のタッチパネルは、上記のステップを実行することによって製造される。
【0036】
他の実施形態では、上記ステップS5とステップS6の順序も交換することができる。すなわち、第2保護層が形成され、その後第1保護層が形成される。その結果、第1保護層は、単に、表示領域に形成されるだけでなく、非表示領域の第2保護層の表面まで延在するように設計され、第2保護層の剥離を防止する。
【0037】
最後に、追加の説明を加える。上記各実施形態では、順に実行されるコーティング、リソグラフィ及びエッチングプロセスにより、絶縁部を製造することができる。また、絶縁部は、例えば、エポキシ層、ポリイミド層又はメチルメタクリレート層等により形成される。さらに、第一電極、第二電極又は信号伝送層もまた、堆積、リソグラフィ、エッチングプロセス等によって製造することができる。
【0038】
上記の堆積プロセスは、例えば、物理蒸着(PVD)又は化学蒸着(CVD)である。物理蒸着(PVD)は蒸着(エバポレーション)又はスパッタリング堆積などであり、化学蒸着は低圧化学蒸着(LPCVD)、有機金属化学気相成長法(MOCVD)、プラズマ化学気相成長法(PECVD)、または光化学蒸着(PHOTO CVD)などである。上記のエッチングプロセスは、化学エッチング又はレーザーエッチングプロセスである。
【0039】
また、前述した実施形態の第1電極、第2電極は、透明導電性材料で作製することができる。透明導電材料は、インジウムスズ酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、カドミウム錫酸化物(CTO)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO)、インジウム錫亜鉛酸化物(ITZO)、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化ハフニウム(HfO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(InGaZnO)、インジウムガリウム亜鉛酸化マグネシウム(InGaZnMgO)、インジウムガリウム酸化マグネシウム(InGaMgO)、又はインジウムガリウム酸化アルミニウム(InGaAlO)などである。また、信号伝送層160は、例えば、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、クロム又はそれらの組み合わせからなり、信号伝送層160の構造は、モリブデン/アルミニウム/モリブデンの積層であり、アルミニウム層が二つのモリブデン層の間に挟まれる。
【0040】
これにより、色差を回避することができ、タッチパネルの透明性を低下させる要因を弱めることができる。また、保護層は、異なる材料からなる二つの異なる部分を有する。保護に加えて、第1保護層は検出電極層を覆い、検出電極以上の屈折率を有することで、屈折率の差が最小化する。保護に加えて、第2保護層は、対応して遮蔽層を覆い、遮蔽層に信頼性の高い接着力を提供する。全体として、タッチパネルの表示品質を向上させることができる。
【0041】
上記の記載の説明は、本発明の好ましい実施形態を単純化するものである。しかしながら、本発明の特徴は、これに限定されるものではない。当業者によって適宜考慮される全ての変更、修正、改良は、以下の特許請求の範囲によって記述される本発明の範囲内に包含されるものとみなされる。
図1
図2
図3
図4
図5