(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
現在、世界の各国において、地上波、衛星波、ケーブルなどの放送システムにおいて、ディジタル化への移行が進められている。ディジタル放送では、併せてデータ放送を送信することで、インタラクティブな放送サービスを実現することができる。
【0003】
例えば、日本国内で運用されているISDB(Integrated Services Digital Broadcasting)方式のディジタル放送は、データ放送も特徴の1つであり、各放送事業者などから、放送番組本体(以下、「放送コンテンツ」とも呼ぶ)に付随してディジタル伝送データ(以下、「データ放送コンテンツ」とも呼ぶ)が並行して配信されている。より具体的には、MPEG(Moving Picture Expert Group)2など所定の圧縮方式で圧縮されたAVコンテンツと、BML(Broadcast Markup Language)などの符号化方式によるデータ放送コンテンツを多重化して構成されたトランスポート・ストリームの形式で、放送信号が配信される。ここで、BMLは、XML(eXtensible Markup Language)を基に策定され、マルチメディア・データの配置位置の指定機能や、Java(登録商標)スクリプトの標準規格であるECMAスクリプトによるスクリプト実行機能、DOM(Document Object Model)によるXMLの操作機能などを備えている。データ放送コンテンツは、例えば、静止画、動画、音声、図形・文字などのメディア・データを含んで、これらのデータを統合した表現形式や動作をBML形式の文書で記述している。
【0004】
TVにおけるデータ放送は、リモコンに設けられた「dボタン」などのデータ連動ボタンを操作することに対応して開始される(ちなみに、イギリスでは、赤のカラーキーをデータ連動ボタンとして利用している)。例えば、ユーザーがテレビジョン番組(以下、「放送コンテンツ」とも呼ぶ)を全画面表示で視聴しているときに、dボタンが操作されると、データ放送コンテンツを解釈するデータ放送用ブラウザーが起動して、テレビ放送の全画面表示からデータ放送画面に遷移する。
【0005】
ユーザーは、リモコンの赤、緑、黄色、青の各カラーキーや、カーソル・キー、決定キー、数字ボタンなどを用いて、データ放送画面上で各メディア・データの動作を指示することができる。これらリモコン上のボタンやキー操作に応じた動作は、データ放送コンテンツ内でスクリプト形式により記述することができる。例えば、BMLからリンク・ボタンの配置情報を記述したスクリプトを抽出し、抽出したスクリプトからリンク・ボタンの配置位置を特定して、配置情報をリモコン操作情報に変換し符号化するリモコン操作情報生成装置について提案がなされている(例えば、特許文献1を参照のこと)。
【0006】
一般に、リモコン上のdボタンはデータ放送アプリケーションの起動に、カラーキーはデータ放送画面上での操作(メニュー選択など)に、それぞれ専ら利用される。したがって、データ放送アプリケーションが動作していないときは、カラーキーを押しても何も起きない。また、データ放送コンテンツが配信されていない状態では、dボタンを押しても何も起きない。勿論、dボタンやカラーキーに、データ放送用途以外のメーカー独自の機能を割り当てることは、技術的には可能である。しかしながら、データ放送が起動すると、dボタン並びにカラーキーにはそのアプリケーションの機能が割り当てられることになることから、これらのキーにメーカー独自の機能を割り当てると、ユーザーの混乱を招くことになる。
【0007】
他方、通信ネットワークのブロードバンド化とも相俟って、インターネット接続機能を備えたテレビ受像機、すなわち「インターネット・テレビ」が普及してきている。インターネット・テレビでは、インターネット接続を介して、インターネット上で提供されているサービスにより映像番組を視聴することができる。インターネット・テレビに対して番組を提供する形態として、ライブストリーミングとビデオ・オン・デマンドを挙げることができる。ライブストリーミングでは、番組をリアルタイムでオンエアするため、オンエア時間にサービスに接続する必要がある。また、ビデオ・オン・デマンドでは、クリップで好きな時間に番組を視聴することができる。例えば、インターネットを介して、映画などのコンテンツをダウンロードして蓄積し、任意のタイミングで再生できる情報処理装置(例えば、特許文献2を参照のこと)について提案がなされている。
【0008】
ユーザーが、放送番組を視聴中に、インターネット上のサービスを利用したくなったときには(例えば、インターネット接続を介してビデオ・オン・デマンドあるいはライブストリーミングで映像番組を視聴したくなったとき)、テレビ受像機内で用意されたメニュー画面若しくはメーカー独自のポータル画面を一旦経由する必要がある。すなわち、ユーザーは、放送番組を視聴している状態から所望のポータル・サイトに直接遷移することはできず、面倒である。
【0009】
また、複数のメーカーの製品に跨って同じインターネット・サービスを提供するには、各メーカーの製品でポータル画面に同じサービス・サイト(遷移先)へのリンク・メニューを用意してもらう必要がある。すなわち、メーカー独自のポータル画面を介してインターネット・サービスを提供する場合、メーカー横断で同じインターネット・サービスを提供するには、各メーカーの製品のポータル画面に共通するリンク・メニューを用意しなければならないので、現実的でない。
【0010】
例えば、放送コンテンツの表示状態と、ネットワーク・コンテンツの表示状態とをシームレスに遷移する受信装置(例えば、特許文献3を参照のこと)について提案がなされている。しかしながら、この受信装置でインターネット上の所望のポータル・サイトに接続するには、放送番組を視聴している状態からメーカー独自のポータル画面を経由しなければならないので、ユーザーにとって面倒なことに相違ない。
【0011】
放送事業者などは、データ放送コンテンツ内にインターネットのサービス・サイトへのリンク情報を記述すれば、メーカー横断でインターネット・サービスを提供することができる。しかしながら、放送コンテンツの全画面表示状態からデータ放送画面を経由しなければならないので、ユーザーにとって面倒なことに相違ない。また、新たに設置したポータル・サイトからサービスを開始する場合には、放送事業者はすべての放送番組のデータ放送コンテンツに新たなリンク情報を追加する修正を行なわなければならず、作業が膨大になってしまう。
【0012】
また、放送事業以外の事業者など(例えば、コンテンツ・プロバイダー)が、複数の放送局に跨った(すなわち、放送局間横断的な)インターネット・サービスを提供する場合、各放送局から配信されるデータ放送コンテンツにそのポータル・サイトへのリンク情報を挿入してもらう必要があり、極めて困難である。勿論、ある放送事業者が主導してインターネット・サービスを提供するために、他の放送事業者のデータ放送コンテンツにまで手を加えることも現実的ではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本明細書で開示する技術の目的は、データ放送サービスとともにネットワーク・サービスを好適に利用することができる、優れた受信装置、表示制御方法、放送システム、並びにコンピューター・プログラムを提供することにある。
【0015】
本明細書で開示する技術のさらなる目的は、ユーザーがテレビ放送を視聴している状態からインターネット・サービスのポータル・サイトへ円滑に遷移して、ネットワーク・サービスを好適に利用することができる、優れた受信装置、表示制御方法、放送システム、並びにコンピューター・プログラムを提供することにある。
【0016】
本明細書で開示する技術のさらなる目的は、テレビ放送を視聴しているユーザーが、メーカー横断的、又は、放送局間横断的なネットワーク・サービスを好適に利用することができる、優れた受信装置、表示制御方法、放送システム、並びにコンピューター・プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本願は、上記課題を参酌してなされたものであり、請求項1に記載の技術は、
データ放送コンテンツが多重化された放送信号を受信する放送受信部と、
ネットワークに接続するネットワーク接続部と、
放送コンテンツとデータ放送コンテンツの連動を指示するデータ連動ボタンと、その他のキー又はボタンからのユーザー操作を入力する操作入力部と、
表示部と、
前記放送受信部又は前記ネットワーク接続部で受信した放送コンテンツを前記表示部に表示する放送コンテンツ表示部と、
前記ネットワーク接続部を介して取得したネットワーク・コンテンツを処理して前記表示部に表示するネットワーク・コンテンツ処理部と、
前記データ連動ボタンの操作に応じて放送コンテンツに付随するデータ放送コンテンツの起動を指示する第1の指示部と、前記その他のキー又はボタンの操作に応じて前記ネットワーク上の所定のサイトへの遷移を指示する第2の指示部を有する擬似データ放送コンテンツを処理する擬似データ放送コンテンツ処理部と、
放送コンテンツに付随するデータ放送コンテンツを処理して、データ放送画面を前記表示部に表示するデータ放送コンテンツ処理部と、
を具備する受信装置である。
【0018】
本願の請求項2に記載の技術によれば、請求項1に記載の受信装置で扱われる擬似データ放送コンテンツは、放送コンテンツに付随するデータ放送コンテンツと同じ記述言語形式で記述されている。
【0019】
本願の請求項3に記載の技術によれば、請求項1に記載の受信装置で扱われる擬似データ放送コンテンツは表示情報を含まない。したがって、擬似データ放送コンテンツ処理部が擬似データ放送コンテンツを処理している際、前記放送コンテンツ表示部が視聴中の放送コンテンツをそのまま前記表示部に表示し続けるように構成されている。
【0020】
本願の請求項4に記載の技術によれば、請求項1に記載の受信装置の擬似データ放送コンテンツ処理部は、前記放送受信部又は前記ネットワーク接続部を介して取得した擬似データ放送コンテンツを処理するように構成されている。
【0021】
本願の請求項5に記載の技術によれば、請求項1に記載の受信装置の擬似データ放送コンテンツ処理部は、前記受信装置内に組み込まれた擬似データ放送コンテンツを処理するように構成されている。
【0022】
本願の請求項6に記載の技術によれば、請求項1に記載の受信装置で扱われる擬似データ放送コンテンツはデータ放送開始時のスタートアップ文書に設定されている。そして、放送受信部で受信する放送信号にデータ放送の自動起動を指示するシステム記述子が含まれているときに、擬似データ放送コンテンツ処理部は、擬似データ放送コンテンツの処理を起動するように構成されている。
【0023】
また、本願の請求項7に記載の技術は、
受信した放送コンテンツを表示する放送コンテンツ表示ステップと、
データ連動ボタンの操作に応じて放送コンテンツに付随するデータ放送コンテンツの起動を指示する第1の指示部と、その他のキー又はボタンの操作に応じてネットワーク上の所定のサイトへの遷移を指示する第2の指示部を有する擬似データ放送コンテンツを処理する擬似データ放送コンテンツ処理ステップと、
前記データ連動ボタンが操作されたことに応じて、放送コンテンツに付随するデータ放送コンテンツを処理して、データ放送画面を表示するデータ放送コンテンツ処理ステップと、
前記その他のキー又はボタンが操作されたことに応じて、前記ネットワーク上の所定のサイトのポータル画面へ遷移するネットワーク処理ステップと、
を有する表示制御方法である。
【0024】
また、本願の請求項8に記載の技術は、
データ放送コンテンツを多重化した放送信号を送信する放送局と、放送信号を受信する受信局で構成され、
前記受信局は、
データ連動ボタンの操作に応じて放送コンテンツに付随するデータ放送コンテンツの起動を指示する第1の指示部と、その他のキー又はボタンの操作に応じてネットワーク上の所定のサイトへの遷移を指示する第2の指示部を有する擬似データ放送コンテンツを取得し、
前記放送局がデータ放送を開始したことに伴って、擬似データ放送コンテンツの処理を起動して、
前記データ連動ボタンが操作されたことに応じて、放送コンテンツに付随するデータ放送コンテンツを処理して、データ放送画面を表示し、
前記その他のキー又はボタンが操作されたことに応じて、前記ネットワーク上の所定のサイトのポータル画面へ遷移する、
放送システムである。
【0025】
但し、ここで言う「システム」とは、複数の装置(又は特定の機能を実現する機能モジュール)が論理的に集合した物のことを言い、各装置や機能モジュールが単一の筐体内にあるか否かは特に問わない。
【0026】
また、本願の請求項9に記載の技術は、
データ放送コンテンツが多重化された放送信号を受信する放送受信部、
ネットワークに接続するネットワーク接続部、
放送コンテンツとデータ放送コンテンツの連動を指示するデータ連動ボタン、その他のキー又はボタンからのユーザー操作を入力する操作入力部、
表示部、
前記放送受信部又は前記ネットワーク接続部で受信した放送コンテンツを前記表示部に表示する放送コンテンツ表示部、
前記ネットワーク接続部を介して取得したネットワーク・コンテンツを処理して前記表示部に表示するネットワーク・コンテンツ処理部、
前記データ連動ボタンの操作に応じて放送コンテンツに付随するデータ放送コンテンツの起動を指示する第1の指示部と、前記その他のキー又はボタンの操作に応じて前記ネットワーク上の所定のサイトへの遷移を指示する第2の指示部を有する擬似データ放送コンテンツを処理する擬似データ放送コンテンツ処理部、
放送コンテンツに付随するデータ放送コンテンツを処理して、データ放送画面を前記表示部に表示するデータ放送コンテンツ処理部、
としてコンピューターを機能させるようコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラムである。
【0027】
本願の請求項9に係るコンピューター・プログラムは、コンピューター上で所定の処理を実現するようにコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラムを定義したものである。換言すれば、本願の請求項9に係るコンピューター・プログラムをコンピューターにインストールすることによって、コンピューター上では協働的作用が発揮され、本願の請求項1に係る受信装置と同様の作用効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0028】
本明細書で開示する技術によれば、ユーザーがテレビ放送を視聴している状態からインターネット・サービスのポータル画面へ円滑に遷移して、ネットワーク・サービスを好適に利用することができる、優れた受信装置、表示制御方法、放送システム、並びにコンピューター・プログラムを提供することができる。
【0029】
本明細書で開示する技術によれば、擬似データ放送コンテンツは画面の表示情報を持たないので、スタートアップ文書として起動しても、視聴中のテレビ放送は全画面表示のままである。また、擬似データ放送コンテンツ内では、データ連動ボタンの操作に応じて本来のデータ放送コンテンツに遷移することと、データ連動ボタン以外のキー又はボタンの操作に応じて所定のサービス・サイトへ遷移することが記述されている。したがって、ユーザーはテレビ放送を視聴しているときに、データ連動ボタンを操作することによって、従来通りのデータ放送画面を利用することができ、ユーザーの混乱を招くことがない。一方、カラーキーなどのデータ連動ボタン以外をユーザーが操作することによって、テレビ放送の表示画面からインターネット・サービスのポータル画面へ直接遷移することができる。すなわち、テレビ番組を視聴時に、テレビ受像機のメニュー画面などを経由することなく、インターネット・サービスのポータル画面へ遷移するので、ユーザーはインターネット・サービスを円滑に利用することができる。
【0030】
本明細書で開示する技術によれば、受信機のメニュー画面ではなく擬似データ放送コンテンツでサービス・サイトへのリンク情報を指定するので、メーカー横断的なインターネット・サービスを実現することができる。また、擬似データ放送コンテンツを複数の放送番組、放送局に跨って提供すれば、放送番組横断的、放送局横断的なインターネット・サービスを実現することができる。
【0031】
本明細書で開示する技術のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面を参照しながら本明細書で開示する技術の実施形態について詳細に説明する。
【0034】
図1には、本明細書で開示する技術が適用される放送システム100の構成を模式的に示している。
【0035】
放送コンテンツを配信する放送事業者は、放送番組本体となる放送信号と放送番組に付随するデータ放送コンテンツを、放送局101から放送波として、受信局に向けて配信する。但し、放送信号は、図示のような地上波ではなく、放送衛星(図示しない)を用いた衛星波として配信したり、ケーブルTVで配信したりすることもできる。
【0036】
また、放送事業者又はその他の事業主体は、放送番組に付随するデータ放送コンテンツを、放送波ではなく、データ放送サーバー102からネットワーク経由でも受信局に配信する。
【0037】
図1では受信局を1つしか描いていないが、地上には放送信号を受信する受信局が無数に存在する。ここで言う受信局は、例えば各一般家庭内に設置されているテレビ受像機などの受信端末103である。受信端末103は、バックチャネルとして、インターネット104などのブロードバンド・ネットワークにも接続され、ビデオ・オン・デマンドや動画ストリーミングなどによりネットワーク・コンテンツを取得することもできる。
【0038】
インターネット104上には、上述したデータ放送サーバー102以外にも、さまざまなサーバーが設置されている。サーバーの中には、放送番組に付随するデータ放送コンテンツ内にリンク情報が挿入されたコンテンツ・サーバー105があり、データ放送画面を介してリンク・コンテンツを提供することができる。
【0039】
他方、新規に設置されたコンテンツ・サーバー106のリンク情報を、既存のデータ放送コンテンツに逐次挿入していくことは現実的でない。また、放送事業者以外の事業者が運用するサーバー107が提供するサービス・サイトへのリンク情報を、各放送局の放送番組に付随するデータ放送コンテンツ内に挿入することも現実的でない。後者のサーバー107の中には、特定のメーカーの端末製品、あるいは特定の放送事業者や特定の放送番組に特定しないで、メーカー横断的で放送局間横断的なインターネット・サービスを提供するものもある。メーカー横断的で放送局間横断的なインターネット・サービスの一例として、ビデオ・オン・デマンドを挙げることができる。
【0040】
なお、図示の放送システム100において、放送信号の符号化には、例えばMPEG2方式が用いられるものとする。また、放送や通信ネットワークなどデータの伝送誤りが発生する環境に適用されることを想定して、ストリームの多重化にはMPEG2−TS(Transport Stream)方式が用いられる。
【0041】
MPEG2−TSでは、188バイトの固定長のTSパケットが複数個集まって、トランスポート・ストリームが構成される。この188バイトのTSパケットの長さは、ATM(Asynchronous Transfer Mode)セル長との整合性を考慮して決定されている。TSパケットは、4バイトの固定長のパケット・ヘッダーと、可変長のアダプテーション・フィールド、ペイロードで構成される。パケット・ヘッダーには、PID(パケット識別子)や各種のフラグが定義されている。PIDにより、TSパケットの種類が識別される。
【0042】
さらに、トランスポート・ストリームには、PSI(Program Specific Information)やSI(Service Information)のセクション形式のテーブルで記述された情報(システム記述子)のパケットが含まれている。
【0043】
ここで、PSIは、所望の放送のチャンネルを選択して受信するシステムで必要な情報(選局のための制御情報)であり、これには、PAT(Program Association Table)、PMT(Program Map Table)、NIT(Network Information Table)、CAT(Condition Access Table)などのセクションがある。PATにはプログラム番号に対応するPMTのPIDなどが記述されている。PMTには対応するプログラムに含まれる映像、音声、付加データ及びPCRのPIDが記述される。NITには、放送システム全体に関する詳細情報が記述され、例えばネットワークに含まれるすべてのプログラムの情報や、目的のプログラムがどの搬送波周波数で送られているかが記述されている。CATには、限定受信方式の識別と契約情報などの個別情報に関する情報が記述される。
【0044】
一方、SIは、放送事業者のサービスに用いるセクションである。SIとしては、EIT(Event Information Table)やSDT(Service Description Table)などのセクションがある。EITは、番組の詳細情報及び放送時間などが記述されている。受信機側では、これらのセクションを処理することにより、番組表(EPG)を表示したり、録画予約したりする。
【0045】
図2には、受信端末103の内部構成を示している。受信端末103は、放送事業者から配信される放送コンテンツやコンテンツ・プロバイダーなどから提供されるAVコンテンツ、並びにアプリケーション・データ(BML形式で記述されたデータ放送コンテンツなど)を、放送局101からの放送波とインターネット104のそれぞれの伝送系を経由して受信し、再生などの処理をする。受信端末103は、例えばテレビ受像機や、パーソナル・コンピューター、携帯電話機などの機器に相当する。
【0046】
受信端末103は、放送受信部201と、ネットワーク接続部202と、デマルチプレクサー(DEMUX)203と、演算処理部204と、操作入力部206と、表示部207と、スピーカー部208を備えている。
【0047】
放送受信部201は、放送局101から配信される放送信号を受信する。放送信号は、放送コンテンツにデータ放送コンテンツが多重化されたトランスポート・ストリームである。また、ネットワーク接続部202は、インターネット104への接続を処理し、データ放送サーバー102を始め各種サーバーにアクセスして、
AVコンテンツ及びデータ放送コンテンツ
を受信することが可能である。
【0048】
デマルチプレクサー203は、放送受信部201及びネットワーク接続部202により受信したトランスポート・ストリームを、多重化前の映像、音声、データ放送コンテンツなどに分離する。
【0049】
演算処理部204は、CPU(Central Processing Unit)とメイン・メモリーとROM(Read Only Memory)で構成される(いずれも図示しない)。CPUは、ROMに格納されているソフトウェア・プログラムをメイン・メモリーに展開して実行する。
【0050】
CPUがROMに格納されたソフトウェア・プログラムを実行して実現される機能として、システム記述子解析部241、データ放送エンジン242、メディア再生処理部243などが挙げられる。
【0051】
データ放送エンジン242は、BMLブラウザーやHTMLブラウザーの機能を備え、放送受信部201やネットワーク接続部202で受信したデータ放送コンテンツ、ネットワーク・コンテンツの解析を行ない、データ放送画面やブラウザー表示画面の表示処理を行なう。
【0052】
メディア再生処理部243は、メディア・プレイヤーの機能を備え、放送受信部201やネットワーク接続部202で受信した、MPEG2形式の放送コンテンツ、AVコンテンツの再生処理を行なう。
【0053】
システム記述子解析部241は、放送受信部201やネットワーク接続部202で受信したトランスポート・ストリームに含まれるシステム記述子(前述)を解析して、データ放送エンジン242やメディア再生処理部243の起動、停止などの動作を制御する。
【0054】
表示部207は、データ放送エンジン242により処理された文書(BMLコンテンツやXMLコンテンツ)や画像を表示したり、メディア再生処理部243により再生されたAVコンテンツの映像信号を表示したりする。また、スピーカー部208は、例えば、メディア再生処理部243により再生されたAVコンテンツの音声信号を出力する。
【0055】
操作入力部206は、受信端末103の本体に設けられたキー操作部やリモコン信号の受信部(いずれも図示しない)を装備し、ユーザーからの入力操作を受け付けて演算処理部204に通知する。
【0056】
本実施形態では、受信端末103は、インターネット接続機能を備えたディジタル・テレビ受像機を想定している。
図3には、受信端末103をリモコン操作可能なリモコンの操作面の構成例を示している。図示のリモコン操作面は、テレビ受像用キー領域301と、データ放送用キー領域302と、数字キー領域303と、電源オン/オフ・ボタン304を備えている。
【0057】
テレビ受像用キー領域301内には、音量調整用の「Vol+」ボタン301A、「Vol−」ボタン301B、選局用の「CH+」ボタン301C、「CH−」ボタン301D、「メニュー(Menu)」ボタン301E、「消音(Mute)」ボタン301Fなどが配置されている。
【0058】
また、データ放送用キー領域302には、データ連動用の「dボタン」302A、赤、緑、黄色、青の各カラーキー302B〜302Eや、カーソル・キー302F、決定キー302G、データ連動(データ放送画面)の終了を指示する「Exit」ボタン302H、前画面への遷移を指示する「Back」ボタン302Iなどが配置されている。
【0059】
また、数字キー領域303には、0〜9の英数字キーが配置されている。
【0060】
基本的には、テレビ受像用キー領域301内のキーは、テレビ放送番組の視聴操作にのみ使用され、データ放送用キー領域302内のキーは、データ放送画面上での操作にのみ使用される。また、数字キー領域303内の英数字キーは、テレビ放送番組及びデータ放送画面の双方の操作で共用される。付言すれば、データ放送用キーに関しては、メーカー独自の機能を割り当てることはない。
【0061】
データ放送用キー領域302内の各キーの操作に応じた動作は、データ放送コンテンツ内でスクリプト形式により記述されている。したがって、データ放送アプリケーションの起動中に、データ放送用キー領域302内のキー操作に応じたリモコン信号を受信すると、データ放送エンジン242は、スクリプトの記述に従って各データ・イベントの処理を実行することで、データ放送画面上での動作を制御する。
【0062】
図4には、データ放送サービス利用時の受信端末103のリモコン操作に応じた画面遷移例を示している。
【0063】
データ放送の開始前では、視聴中すなわち選局中の放送番組の映像を表示部207の画面全体で表示している。ここで、「dボタン」を押してデータ放送を起動すると、データ放送画面に遷移する。図示の例では、データ放送画面内の放送番組の映像領域は、データ放送コンテンツ内で規定されているサイズに縮退する。また、データ放送画面には、メデータ放送コンテンツに含まれる文字情報や画像などのメディア・データも表示されている。
【0064】
データ放送画面には、1以上のメニュー・ボタンも配置されており、例えばリモコンのカラーキーを使って各メニューを選択することができる。図示の例では、赤のカラーキーを押したことによって、次のデータ放送画面に遷移している。この画面では、同様に放送番組の映像領域は縮退されている。
【0065】
データ放送の表示状態で「dボタン」(若しくは「Exit」ボタン)を押すと、データ放送が終了し、元の放送番組の全画面映像に復帰する。また、データ放送の表示状態で「Back」ボタンを押すと、1つ前のデータ放送画面に遷移する。
【0066】
また、図示を省略したが、データ放送の開始前で「Menu」ボタンを押すと、当該製品で用意されたメニュー画面若しくはメーカー独自のポータル画面に遷移する。
【0067】
一般に、リモコン上のdボタンはデータ放送アプリケーションの起動に、カラーキーはデータ放送画面上での操作(メニュー選択など)に、それぞれ専ら利用される。例えば、データ放送コンテンツ内のスクリプトの記述を変更することで、dボタン並びにカラーキーに独自機能を割り当てることも可能であるが、ユーザーの混乱を招くおそれがある(前述)。このため、本実施形態においても、データ放送用キー領域302内のキーに関しては、受信端末103の装置メーカーがデータ放送用途以外のメーカー独自の機能を割り当てることはないものとする。したがって、データ放送アプリケーションが動作していないときは、カラーキーを押しても何も起きない。また、データ放送コンテンツが配信されていない状態では、dボタンを押しても何も起きない。
【0068】
ここで、受信端末103がインターネット接続機能を備える場合、データ放送サービスとネットワーク・サービスの両方を享受することができる。ところが、従来の製品では、テレビ放送を全画面で表示している状態でユーザーがビデオ・オン・デマンドのようなインターネット・サービスを利用したくなったときには、受信端末103内で用意されたメニュー画面若しくはメーカー独自のポータル画面を一旦経由する必要がある。すなわち、ユーザーは、視聴中の放送番組の全画面映像表示からVoDポータルのような所望のサービス・サイトに直接遷移することはできず、面倒である。また、メーカー独自のポータル画面を介してインターネット・サービスを提供する場合、メーカー横断で同じインターネット・サービスを提供することは現実的でない。
【0069】
あるいは、データ放送サービスを通して受信端末103にインターネット・サービスを提供することもできる。この場合は、受信端末103上では、データ放送画面に一旦遷移する必要があり、表示部207で放送番組を全画面で表示している状態から所望のサービス・サイトに直接遷移できないことは上述と相違ない。また、すべての放送番組でサービスを提供するには、各放送番組のデータ放送コンテンツに対してリンク情報を挿入する修正を行なう必要があり、放送事業者の作業負担が過大である。また、放送局間を横断するインターネット・サービスを提供するには、各放送事業者においてデータ放送コンテンツ内に共通のリンク情報を挿入する必要があり、実現が難しい。
【0070】
そこで、本明細書で開示する技術では、データ放送コンテンツと同じくBML形式で記述されたコンテンツを使って、サービス・サイトへのリンク情報を受信端末103に供給することで、メーカー独自のメニュー画面に依存しない、メーカー横断的なインターネット・サービスを実現するようにしている。放送番組に付随する本来のデータ放送コンテンツと区別するために、サービス・サイトへのリンク情報を提供するためのBMLコンテンツのことを、以下では「擬似データ放送コンテンツ」と呼ぶことにする。
【0071】
擬似データ放送コンテンツは、BML形式で記述されている。したがって、受信端末103は、通常のデータ放送の処理機能(すなわち、データ放送エンジン242)により、本来のデータ放送コンテンツと同様に、擬似データ放送コンテンツを処理することができる。
【0072】
ここで、擬似データ放送コンテンツは、静止画、動画、図形・文字といった表示系のメディア・データを含まず、また、データ放送画面の表現形式に関しては記述していない、BML形式ファイルである。したがって、擬似データ放送コンテンツが起動しても、放送番組の表示映像は全画面表示状態のままであり、ユーザーは、擬似データ放送コンテンツが起動していることを意識しないで済む。擬似データ放送コンテンツは、画面に表示されないので、「透明」なデータ放送ということもできる。
【0073】
また、擬似データ放送コンテンツは、リモコン上のボタンやキー操作に応じた受信端末103の動作を記述したスクリプトを含んでいる。具体的には、リモコン上のボタンやキー操作に応じた受信端末103の動作として、(1)リモコンのdボタンが操作されると、本来データ放送として実行すべきデータ放送コンテンツを起動することと、(2)カラーキーなどdボタン以外のキーが操作されると、所定のサービス・サイトへ遷移すること、がスクリプトで記述されている。
【0074】
擬似データ放送コンテンツを受信端末103に提供する形態は任意である。本来のデータ放送コンテンツと同様に、放送コンテンツ本体に付随して、放送局101から配信するようにしてもよい。あるいは、インターネット104など放送以外の伝送媒体で擬似データ放送コンテンツを配信するようにしてもよい。また、受信端末103の製品内に擬似データ放送コンテンツのデータを演算処理部204内のROMなどにあらかじめ組み込んでおいてもよい。
【0075】
受信端末103で選局受信した放送信号にデータ放送が含まれる場合、受信端末103上では、擬似データ放送コンテンツが自動的に起動される。日本国内の放送規格では、放送信号のシステム記述子の1つであるPMT(前述)内に“autostart_flag”フラグを立てることによって、データ放送の開始とともに、データ放送コンテンツを自動起動させることができる。システム記述子解析部241がPMTを始めとするシステム記述子を解析して、“autostart_flag”フラグが立っていることを検出すると、データ放送エンジン242に対してデータ放送コンテンツの解析すなわちデータ放送の起動を指示する。また、データ放送コンテンツを起動させた際のトップ・ページすなわちスタートアップ文書のファイル名は“startup.bml”と定められている。したがって、擬似データ放送コンテンツのファイル名を“startup.bml”にして、本来のデータ放送コンテンツのスタートアップ文書と置き換えることにする。これに伴って、本来のデータ放送コンテンツのスタートアップ文書のファイル名をそれ以外(例えば、“startup2.bml”)に変更しておく。すると、データ放送の開始とともにデータ放送エンジン242が擬似データ放送コンテンツをスタートアップ文書として扱い、これを自動起動させることができる。
【0076】
勿論、本明細書で開示する技術の要旨は、擬似データ放送コンテンツをスタートアップ文書として自動起動させることに限定されない。例えば、擬似データ放送コンテンツを放送波で提供するのではなく、受信端末103内にあらかじめ組み込んでおく場合などにおいて、ユーザー操作により強制的に擬似データ放送コンテンツを起動させるようにしてもよい。
【0077】
図5には、擬似データ放送コンテンツのソース・コードの一例を示している。図示のように、擬似データ放送コンテンツは、リモコンの“select”キーが操作されたときに実行する受信端末103の動作を記述したスクリプト部分と、リモコンのdボタンが操作されたときに実行する受信端末103の動作を記述したスクリプト部分を含んでいる。
【0078】
前者のスクリプト部分では、“select”キーの操作により所定のサービス・サイト(“http://www.broadcast.sony.co.jp/vod_portal.bml”)へ遷移することが記述されている。ここで言う“select”キーとは、カラーキーなど、リモコン上のdボタン以外のキーのことである。また、後者のスクリプト部分では、リモコンのdボタンが操作されたときに本来データ放送として実行すべきデータ放送コンテンツの基点(トップ・ページ“startup2.bml”)に遷移することが記述されている。
【0079】
また、図示の擬似データ放送コンテンツのソース・コードは、上記のスクリプト以外に、静止画、動画、図形・文字などの表示情報やデータ放送画面の表現形式に関する記述を含んでいない。したがって、擬似データ放送コンテンツは透明なデータ放送画面であり、起動しても、表示部207で表示される放送番組の映像は全画面表示のままである。
【0080】
図6には、擬似データ放送コンテンツをスタートアップ文書として利用するときの、受信端末103の
リモコン操作に応じた画面遷移例を示している。
【0081】
データ放送の開始前では、視聴中すなわち選局中の放送番組の映像を画面全体で表示している。
【0082】
ここで、データ放送の開始とともに、ファイル名“startup.bml”が付けられた擬似データ放送コンテンツがスタートアップ文書として起動する。あるいは、ユーザー操作により強制的に擬似データ放送コンテンツを起動してもよい。上述したように、擬似データ放送コンテンツは、表示画面の表現形式に関する記述を含まない「透明」なデータ放送であることから、起動しても放送番組の全画面表示のままである。
【0083】
この擬似データ放送画面で、リモコンのdボタンが操作されたときには、データ・イベント“data_button_pressed”が発行される。このデータ・イベントが発生したときには、本来データ放送として実行すべきデータ放送コンテンツの基点(トップ・ページ“startup2.bml”)に遷移する。本来のデータ放送画面に遷移した以降の動作は、
図4を参照しながら既に説明した通りなので、ここでは説明を省略する。
【0084】
一方、擬似データ放送画面で、リモコンの“select”キーが操作されたときには、VoDポータルなど所定のサービス・サイト(“http://www.broadcast.sony.co.jp/vod_portal.bml”)のポータル画面へ遷移する。
【0085】
図6に示した画面遷移例では、擬似データ放送コンテンツが起動している状態でdボタンが押されると、表示部207では、放送番組の全画面表示から本来のデータ放送画面に遷移する。したがって、
図4に示した画面遷移例と同様に、ユーザーにとってはdボタンを操作するとデータ放送が開始するという見え方と相違ないので、ユーザーの混乱を招くことはないと思料される。また、“select”キーが押されると、放送番組の全画面表示からサービス・サイトのポータル画面へ遷移するので、ユーザーは、カラーキー若しくは何かのリモコン・ボタンを押すとポータル画面に遷移するように感じる。
【0086】
図3に示したように、リモコン上にはカラーキーは複数あるので、色毎に放送局を限定したり、特殊なコンテンツのみをリストするようなサービス・サイトに遷移したりするようにしてもよい。また、カラーキーの色毎に異なる種類のデータ放送コンテンツへ遷移するといった変形例も考えられる。
【0087】
擬似データ放送コンテンツはメーカー毎の独自メニュー画面でないという観点から、メーカー横断で共通のサービス・サイトへの遷移を実現することができる。また、擬似データ放送コンテンツは、特定の放送番組や放送事業者にのみ付随させないようにすることによって、放送番組横断、放送局間横断で共通のサービス・サイトへの遷移を実現することができる。
【0088】
通常のデータ放送画面は、
図4に示したように放送番組の映像が縮退される。これに対し、擬似データ放送画面は、
図6に示したように「透明」な表示画面であり、表示部207は放送番組を全画面で表示する。したがって、擬似データ放送コンテンツをデータ放送のスタートアップ文書に置き換えると、リモコン上でdボタン以外のボタン又はキーを操作することによって、視聴中のテレビ番組の画面からインターネット・サービスのポータル画面へ直接遷移するように見えるので、ユーザーはインターネット・サービスを円滑に利用することができる。
【0089】
図7A〜
図7Cには、受信端末103がデータ放送サービス利用時に実行する処理手順をフローチャートの形式で示している。但し、スタートアップ文書としての擬似データ放送コンテンツをデータ放送の一部として受信する場合の例とする。
【0090】
ユーザーが受信端末103においてテレビ番組の視聴を開始すると、放送受信部201が放送選局処理を行ない(ステップS701)、デマルチプレクサー203が多重化された放送信号の分離処理を行なう(ステップS702)。そして、メディア再生処理部243は、ステップS702で分離処理された映像及び音声信号を再生処理して、表示部207で映像を画面表示するとともにスピーカー部208から音声出力する(ステップS703)。
【0091】
ここで、ユーザーがリモコンのチャンネル・ボタン(CH+、CH−)を操作するなどして選局を行なうと(ステップS704のYes)、ステップS701に復帰して、放送受信部201が放送選局処理をし直す。
【0092】
そして、受信端末103の電源がオフになるまで(ステップS705のNo)、上記の処理S701〜S704を繰り返し行なう。
【0093】
システム記述子解析部241は、ステップS702で分離処理された放送信号に含まれているPMTを始めとするシステム記述子を解析する。そして、PMT内に“autostart_flag”フラグが立っていることを検出すると、データ放送エンジン242に対してスタートアップ文書の起動を指示する。
【0094】
データ放送エンジン242は、ステップS702における放送信号の分離処理から、ファイル名“startup.bml”が付けられたスタートアップ文書をデータ放送から取得して(ステップS711)、これを起動する。
【0095】
ここでは、データ放送から取得するスタートアップ文書は、擬似データ放送コンテンツである。上述したように擬似データ放送コンテンツは、リモコン上のボタンやキー操作に応じた受信端末103の動作として、(1)リモコンのdボタンが操作されると、本来データ放送として実行すべきデータ放送コンテンツを起動することと、(2)カラーキーなどdボタン以外のキーが操作されると、所定のサービス・サイトへ遷移すること、がスクリプトで記述されている。また、擬似データ放送コンテンツは、データ放送画面の表現形式に関しては記述していない「透明」なBMLコンテンツであるから、起動した後も、ステップS703で再生出力した放送番組の全画面表示のままである。
【0096】
リモコンの“select”キーが操作されてことに応じて(ステップS712のYes)、擬似データ放送コンテンツ内にリンク情報が記述されている所定のサービス・サイトのポータル画面に遷移する。ここでは、VoDポータルに遷移してVoD処理を行なうものとする(後述)。
【0097】
また、リモコンのdボタンが操作されたときには(ステップS713のYes)、“data_button_pressed”イベントが発行され、本来データ放送として実行すべきデータ放送コンテンツの基点(トップ・ページ“startup2.bml”)に遷移する(ステップS714)。本来のデータ放送画面に遷移した以降の動作は、
図4を参照しながら既に説明した通りなので、ここでは説明を省略する。
【0098】
そして、データ放送エンジン242は、本来のデータ放送画面において、「dボタン」(若しくは「Exit」ボタン)のデータ・イベントを受信すると(ステップS715のYes)、データ放送を終了する。処理はステップS701に復帰して、放送受信部201が放送選局処理をし直す。
【0099】
受信端末103は、リモコンの“select”キーが操作されてことに応じて(ステップS712のYes)、画面がVoDポータルに遷移して、データ放送エンジン242によりVoD再生用ポータル表示処理を行なう(ステップS721)。
【0100】
ユーザーがリモコンなどを介してVoDポータル画面の終了を指示したときには(ステップS722のYes)、ステップS702に復帰して、デマルチプレクサー203が多重化された放送信号の分離処理を行なう。
【0101】
また、VoDポータル画面上で、ユーザーがリモコンなどの操作入力部206を介してビデオ・コンテンツの再生を指示すると(ステップS723のYes)、VoD再生処理が実行される(ステップS724)。この場合、ネットワーク接続部202が、インターネット104を経由して、指示されたビデオ・コンテンツを取得する。そして、メディア再生処理部243が、取得したビデオ・コンテンツの再生処理を行なう。
【0102】
ユーザーがVoD再生処理の終了を指示したとき(ステップS725のYes)、又は、VoD再生処理が終了したときには(ステップS726のYes)、ステップS721に戻り、データ放送エンジン242によりVoD再生用ポータル表示処理を行なう。
【0103】
図8A〜
図8Cには、受信端末103がデータ放送サービス利用時に実行する処理手順をフローチャートの形式で示している。但し、スタートアップ文書としての擬似データ放送コンテンツを受信端末103内に組み込んでいる場合の例とする。
【0104】
ユーザーが受信端末103においてテレビ番組の視聴を開始すると、放送受信部201が放送選局処理を行なう(ステップS801)。
【0105】
また、テレビ番組の視聴開始に合わせて、データ放送エンジン242は、受信端末103内に組み込まれているスタートアップ文書を読み出して、データ放送を起動する(ステップS802)。
【0106】
次いで、デマルチプレクサー203が多重化された放送信号の分離処理を行なう(ステップS803)。そして、メディア再生処理部243は、ステップS803で分離処理された映像及び音声信号を再生処理して、表示部207で映像を画面表示するとともにスピーカー部208から音声出力する(ステップS804)。
【0107】
ここで、ユーザーがリモコンのチャンネル・ボタン(CH+、CH−)を操作するなどして選局を行なうと(ステップS805のYes)、ステップS
801に復帰して、放送受信部201が放送選局処理をし直す。
【0108】
そして、受信端末103の電源がオフになるまで(ステップS806のNo)、上記の処理S801〜S805を繰り返し行なう。
【0109】
データ放送エンジン242では、ステップS802においてスタートアップ文書を起動している。ここでは、スタートアップ文書は、擬似データ放送コンテンツである。上述したように擬似データ放送コンテンツは、リモコン上のボタンやキー操作に応じた受信端末103の動作として、(1)リモコンのdボタンが操作されると、本来データ放送として実行すべきデータ放送コンテンツを起動することと、(2)カラーキーなどdボタン以外のキーが操作されると、所定のサービス・サイトへ遷移すること、がスクリプトで記述されている。また、擬似データ放送コンテンツは、データ放送画面の表現形式に関しては記述していない「透明」なBMLコンテンツであるから、起動した後も、ステップS804で再生出力した放送番組の全画面表示のままである。
【0110】
リモコンの“select”キーが操作されてことに応じて(ステップS811のYes)、擬似データ放送コンテンツ内にリンク情報が記述されている所定のサービス・サイトのポータル画面に遷移する。ここでは、VoDポータルに遷移してVoD処理を行なうものとする(後述)。
【0111】
また、リモコンのdボタンが操作されたときには(ステップS812のYes)、data_button_pressedイベントが発行される。これに応答して、データ放送エンジン242は、本来データ放送として実行すべきデータ放送コンテンツのトップ・ページ文書“startup2.bml”をデータ放送から取得して(ステップS813)、本来のデータ放送画面に遷移する(ステップS814)。本来のデータ放送画面に遷移した以降の動作は、
図4を参照しながら既に説明した通りなので、ここでは説明を省略する。
【0112】
そして、データ放送エンジン242は、本来のデータ放送画面において、「dボタン」(若しくは「Exit」ボタン)のデータ・イベントを受信すると(ステップS815のYes)、データ放送を終了する。処理はステップS701に復帰して、放送受信部201が放送選局処理をし直す。
【0113】
受信端末103は、リモコンの“select”キーが操作されてことに応じて(ステップS811のYes)、画面がVoDポータルに遷移して、データ放送エンジン242によりVoD再生用ポータル表示処理を行なう(ステップS821)。
【0114】
ユーザーがリモコンなどを介してVoDポータル画面の終了を指示したときには(ステップS822のYes)、ステップS802に復帰して、データ放送エンジン242は、受信端末103内に組み込まれているスタートアップ文書を再び起動する。
【0115】
また、VoDポータル画面上で、ユーザーがリモコンなどの操作入力部206を介してビデオ・コンテンツの再生を指示すると(ステップS823のYes)、VoD再生処理が実行される(ステップS824)。この場合、ネットワーク接続部202が、インターネット104を経由して、指示されたビデオ・コンテンツを取得する。そして、メディア再生処理部243が、取得したビデオ・コンテンツの再生処理を行なう。
【0116】
ユーザーがVoD再生処理の終了を指示したとき(ステップS825のYes)、又は、VoD再生処理が終了したときには(ステップS826のYes)、ステップS821に戻り、データ放送エンジン242によりVoD再生用ポータル表示処理を行なう。
【0117】
このように本実施形態によれば、ユーザーは全画面でテレビ放送を視聴しているときに、dボタンのようなデータ連動ボタンを操作することによって、従来通りのデータ放送画面を利用することができ、ユーザーの混乱を招くことがない。一方、ユーザーが全画面でテレビ放送を視聴しているときに、カラーキーをユーザーが操作することによって、インターネット・サービスのポータル画面へ直接遷移することができる。すなわち、テレビ番組を視聴時に、一度テレビ受像機のメニュー画面などを経由することなく、インターネット・サービスのポータル画面へ遷移するので、ユーザーはインターネット・サービスを円滑に利用することができる。
【0118】
なお、本明細書の開示の技術は、以下のような構成をとることも可能である。
(1)データ放送コンテンツが多重化された放送信号を受信する放送受信部と、ネットワークに接続するネットワーク接続部と、放送コンテンツとデータ放送コンテンツの連動を指示するデータ連動ボタン及びその他のキー又はボタンからのユーザー操作を入力する操作入力部と、表示部と、前記放送受信部又は前記ネットワーク接続部で受信した放送コンテンツを前記表示部に表示する放送コンテンツ表示部と、前記ネットワーク接続部を介して取得したネットワーク・コンテンツを処理して前記表示部に表示するネットワーク・コンテンツ処理部と、前記データ連動ボタンの操作に応じて放送コンテンツに付随するデータ放送コンテンツの起動を指示する第1の指示部並びに前記その他のキー又はボタンの操作に応じて前記ネットワーク上の所定のサイトへの遷移を指示する第2の指示部を有する擬似データ放送コンテンツを処理する擬似データ放送コンテンツ処理部と、放送コンテンツに付随するデータ放送コンテンツを処理してデータ放送画面を前記表示部に表示するデータ放送コンテンツ処理部と、を具備する受信装置。
(2)擬似データ放送コンテンツは、放送コンテンツに付随するデータ放送コンテンツと同じ記述言語形式で記述される、上記(1)に記載の受信装置。
(3)擬似データ放送コンテンツは表示情報を含まず、前記擬似データ放送コンテンツ処理部が擬似データ放送コンテンツを処理している際には前記放送コンテンツ表示部が視聴中の放送コンテンツをそのまま前記表示部に表示し続ける、上記(1)に記載の受信装置。
(4)前記擬似データ放送コンテンツ処理部は、前記放送受信部又は前記ネットワーク接続部を介して取得した擬似データ放送コンテンツを処理する、上記(1)に記載の受信装置。
(5)前記擬似データ放送コンテンツ処理部は、前記受信装置内に組み込まれた擬似データ放送コンテンツを処理する、上記(1)に記載の受信装置。
(6)擬似データ放送コンテンツはデータ放送開始時のスタートアップ文書に設定され、前記放送受信部で受信する放送信号にデータ放送の自動起動を指示するシステム記述子が含まれているときに、前記擬似データ放送コンテンツ処理部は、擬似データ放送コンテンツの処理を起動する、上記(1)に記載の受信装置。
(7)受信した放送コンテンツを表示する放送コンテンツ表示ステップと、データ連動ボタンの操作に応じて放送コンテンツに付随するデータ放送コンテンツの起動を指示する第1の指示部と並びにその他のキー又はボタンの操作に応じてネットワーク上の所定のサイトへの遷移を指示する第2の指示部を有する擬似データ放送コンテンツを処理する擬似データ放送コンテンツ処理ステップと、前記データ連動ボタンが操作されたことに応じて、放送コンテンツに付随するデータ放送コンテンツを処理して、データ放送画面を表示するデータ放送コンテンツ処理ステップと、前記その他のキー又はボタンが操作されたことに応じて、前記ネットワーク上の所定のサイトのポータル画面へ遷移するネットワーク処理ステップと、を有する表示制御方法。
(8)データ放送コンテンツを多重化した放送信号を送信する放送局と、放送信号を受信する受信局で構成され、前記受信局は、データ連動ボタンの操作に応じて放送コンテンツに付随するデータ放送コンテンツの起動を指示する第1の指示部並びにその他のキー又はボタンの操作に応じてネットワーク上の所定のサイトへの遷移を指示する第2の指示部を有する擬似データ放送コンテンツを取得し、前記放送局がデータ放送を開始したことに伴って、擬似データ放送コンテンツの処理を起動して、前記データ連動ボタンが操作されたことに応じて放送コンテンツに付随するデータ放送コンテンツを処理してデータ放送画面を表示し、前記その他のキー又はボタンが操作されたことに応じて前記ネットワーク上の所定のサイトのポータル画面へ遷移する、放送システム。
(9)データ放送コンテンツが多重化された放送信号を受信する放送受信部、ネットワークに接続するネットワーク接続部、放送コンテンツとデータ放送コンテンツの連動を指示するデータ連動ボタン及びその他のキー又はボタンからのユーザー操作を入力する操作入力部、表示部、前記放送受信部又は前記ネットワーク接続部で受信した放送コンテンツを前記表示部に表示する放送コンテンツ表示部、前記ネットワーク接続部を介して取得したネットワーク・コンテンツを処理して前記表示部に表示するネットワーク・コンテンツ処理部、前記データ連動ボタンの操作に応じて放送コンテンツに付随するデータ放送コンテンツの起動を指示する第1の指示部及び前記その他のキー又はボタンの操作に応じて前記ネットワーク上の所定のサイトへの遷移を指示する第2の指示部を有する擬似データ放送コンテンツを処理する擬似データ放送コンテンツ処理部、放送コンテンツに付随するデータ放送コンテンツを処理して、データ放送画面を前記表示部に表示するデータ放送コンテンツ処理部、としてコンピューターを機能させるようコンピューター可読形式で記述されたコンピューター・プログラム。