特許第6092536号(P6092536)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092536
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】技術ユニットの構成を装備する方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 9/52 20060101AFI20170227BHJP
   G06F 9/50 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   G06F9/46 472B
   G06F9/46 462Z
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-150554(P2012-150554)
(22)【出願日】2012年7月4日
(65)【公開番号】特開2013-16180(P2013-16180A)
(43)【公開日】2013年1月24日
【審査請求日】2015年7月1日
(31)【優先権主張番号】10 2011 078 630.9
(32)【優先日】2011年7月5日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501125231
【氏名又は名称】ローベルト ボッシュ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100095957
【弁理士】
【氏名又は名称】亀谷 美明
(74)【代理人】
【識別番号】100096389
【弁理士】
【氏名又は名称】金本 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100101557
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100128587
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 一騎
(72)【発明者】
【氏名】シュタインレ、クラウス
(72)【発明者】
【氏名】エンゲル・ヴィンター、クリスティアーネ
(72)【発明者】
【氏名】ブライトハウプト、ヨアヒム
(72)【発明者】
【氏名】ロイヴァー、ヘルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ピール、グナー
(72)【発明者】
【氏名】ブルーネ、アンドレアス
【審査官】 三坂 敏夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−175287(JP,A)
【文献】 特開2002−207714(JP,A)
【文献】 特開平04−332065(JP,A)
【文献】 特表2007−526527(JP,A)
【文献】 米国特許第07275121(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 9/52
G06F 9/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
技術ユニット(12、14、16、60、100、102、102’)の構成(10)を自律的に装備する方法であって、前記技術ユニット(12、14、16、60、100、102、102’)は、システム通信バス(50、110)を介して互いに接続され、問い合わせをしているユニット(12、14、16、60、100、102、102’)から、他の全てのユニット(12、14、16、60、100、102、102’)に対して、システムリソースの問い合わせが送信され、他の全てのユニットは、当該他の全てのユニット(12、14、16、60、100、102、102’)自身に対して前記リソースが既に割り当てられたかどうかを検査し、問い合わせを受けた全てのユニット(12、14、16、60、100、102、102’)は、前記問い合わせをしているユニット(12、14、16、60、100、102、102’)に対して、対応する応答を送信し、いずれの前記他のユニット(12、14、16、60、100、102、102’)にも前記システムリソースが未だに割り当てられていない場合には、前記問い合わせをしているユニット(12、14、16、60、100、102、102’)に前記システムリソースが割り当てられ
前記問い合わせを受けたユニット(12、14、16、60、100、102、102’)は、前記システムリソースが前記問い合わせを受けたユニット自身により既に割り当てられている場合については、システム通信バス(50、110)上にドミナントな応答を与え、前記システムリソースが、前記問い合わせを受けたユニット自身により予約されていない場合には、前記システム通信バス上にリセッシブな応答を与える、方法。
【請求項2】
各システムリソースにシステム・ミューテックスが割り当てられ、前記問い合わせをしているユニット(12、14、16、60、100、102、102’)は、システムリソースの前記問い合わせの際に、前記システム・ミューテックスを指名する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記構成(10)の初期化のために実施される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記構成(10)の駆動のために実施される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
複数の技術ユニット(12、14、16、60、100、102、102’)を備えた構成であって、前記技術ユニット(12、14、16、60、100、102、102’)は、システム通信バス(50、110)を介して互いに接続され、前記システム通信バス(50、110)はマルチマスタ能力を有し、かつ、前記ユニット(12、14、16、60、100、102、102’)のうちの1つから他の全てのユニット(12、14、16、60、100、102、102’)への問い合わせ、及び、前記ユニット(12、14、16、60、100、102、102’)のうちの前記1つのユニット(12、14、16、60、100、102、102’)への、他の全てのユニット(12、14、16、60、100、102、102’)の同時の又は同期した応答を可能とし、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法を実施するための、構成。
【請求項6】
Cバスがシステム通信バス(50、110)として機能する、請求項5に記載の構成。
【請求項7】
各ユニット(12、14、16、60、100、102、102’)は、割り当てられたシステム・ミューテックスが格納されるミューテックスサーバ(68)を有する、請求項5又は6に記載の構成。
【請求項8】
前記技術ユニット(12、14、16、60、100、102、102’)は、ラック内に配置される、請求項5〜7のいずれか1項に記載の構成。
【請求項9】
追加的な動的に分散されたシステムタスクを行うために役立つ専用機能を備えたユニット(12、14、16、60、100、102、102’)が設けられる、請求項5〜8のいずれか1項に記載の構成。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、技術ユニット、特に、装備された場合にはシステムを形成する電気的又は電子的ユニット、の構成を装備する方法に関する。さらに、本発明はこのような構成に関する。
【背景技術】
【0002】
技術ユニット(techinische Einheit)とは、例えばテクニカルプロセス(techinischer Ablauf)を開ループ制御及び/又は閉ループ制御するために、又は、技術的機能を実施するために使用される技術的装置として理解される。複雑な機能及び機能性を実現するために、個々の装置又はユニットは組み合わされて、システム、例えば、積み重ねられたシステム又はラックシステム(Rack−System)を形成する。システムとは、構成、又は、形成物、及び、互いに関連する構成要素であって、タスク、有効性、又は目的に関わるユニットを形成しその意味で環境に対して一線を引いた形で相互に作用する上記構成要素の総体、として理解される。
【0003】
このような組み合わされたシステムは、通常では、制御及び管理インスタンスを必要とする。現在、制御及び管理機能は、システム内の、多くの場合そのためのみに設けられた制御及び管理装置内に提供される。
【0004】
ある装置に対して、このように固定的に制御及び管理タスクを割り当てる際の欠点は、提供すべき上記装置が一般に、システム全体の機能性のために寄与しないということである。むしろ、この装置にも同様にエネルギーを供給する必要があり、追加的な熱が発生し、場所が必要となる。
【0005】
欧州特許出願公開第1199632号明細書は、リソースへのアクセスを時間的に調整する方法及びユニットを記載している。ここでは、計算機環境内に、複数のスレッド(Thread)が実現される。さらに、複数のミューテックス(Mutex)が設けられ、1つのスレッドのみミューテックスに割り当てられる。この方法の枠組みにおいて、リソースへのアクセスを照会しているスレッドに対してミューテックスが割り当てられるように、制御プログラムが実行される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような背景から、請求項1に記載の方法、及び、請求項6の特徴を備えた構成が提示される。実施形態は、従属請求項及び以下の明細書の記載から明らかとなろう。
【0007】
提示される方法に基づいて、制御及び管理タスクを果たす、固定的に割り当てられたユニットは存在しない。このユニットは、必要な制御及び管理機能の動的な分散、即ち、構成内に設けられるユニットへのシステムリソース及び機能の分散が行われることにより補われる。
【0008】
システムの装備の際に、必要な制御及び管理機能(システム機能)が、幾つかのユニット又は存在する全てのユニットにより実行される。これらユニットは、システム全体のシステム機能を巡って競合する。即ち、システム機能は、上記ユニットに動的に割り当てられる。記載される方法は、上記ユニットのうちの1つのみが、特定のシステム機能の実行権を獲得することを保障する。このユニットは、この実行権を再び放棄することが可能である。誤作動の場合には、他のユニットが実行権を獲得することが出来る。
【0009】
重要な構成要素は、所謂システム・ミューテックス(System−Mutex、mutual exclusion:相互排除)である。これは全ユニットのために提供可能であり、オペレーションシステムに依存しない。システム・ミューテックスを獲得するユニットは、それに伴って、制御及び管理機能を実行する実行権を獲得する。即ち、割り当てるべき各システム機能には、システム・ミューテックスが割り当てられる。システム・ミューテックスを獲得するユニットは、システム機能を実行することが許可される。
【0010】
システム・ミューテックスを実装するために、全ての装置は、システム管理バス又は通信バスを介して接続される必要がある。このバスは、マルチマスタ機能を提供する必要がある。即ち、複数のユニットは通信媒体を巡って競合し、1つのユニットが自身の目的を達成する。
【0011】
物理的なミューテックスメモリは、ミューテックスも割り当てられた場所にのみ存在する。これには、エラーの場合にほとんど自動的に無効化が行われるという利点がある。その際に、全てのユニットがシステム通信バスと接続されている。このシステム通信バスは、所謂マルチマスタ機能を有し、全てのユニットのためにミューテックスの割り当てを制御することが可能である。このようにして、システムの機能を、全てのユニットに対して分散させることが可能となる。
【0012】
本発明の更なる別の利点及び構成は、以下の明細書の記載及び添付の図面から明らかとなろう。
【0013】
先に挙げた特徴及び以下で解説される特徴は、各示された組み合わせのみならず、他の組み合わせ又は単独でも、本発明の範囲を逸脱することなく利用されうる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】提示される構成の一実施形態を示す。
図2】システム機能を示す。
図3】システム・ミューテックスの割り当てを示す。
図4】システム機能の割り当てを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、図面の実施形態を用いて概略的に示され、以下で図面を参照して詳細に記載される。
【0016】
図1には、全体として符号10が付された、積み重ね可能な構成の実現が示されている。この構成10は、第1の技術ユニット12、第2の技術ユニット14、及び、第3の技術ユニット16を含む。構成10の技術ユニット12、14、16は、積み重ね可能なシステム又はラックシステムを形成する。
【0017】
基本ユニット又は基盤ユニットとも呼ばれる第1のユニット12は、システム通信バス・マスタ20と、システム通信バス・スレーブ22と、数え上げ又は列挙により獲得されるアドレス24と、を有する。対応して、第2のユニット14はシステム通信バス・マスタ30と、システム通信バス・スレーブ32と、第2のユニット14のアドレス34と、を有する。さらに、システム機能z 36が設けられる。上位ユニット又はトップユニットとも呼ばれうる第3のユニット16は、システム通信バス・マスタ40と、システム通信バス・スレーブ42と、アドレス44と、を有する。さらに、システム機能x 46と、システム機能y 48と、が設けられる。
【0018】
ユニット12、14、16は、システム通信バス50を介して、データ線53によって接続され、このデータ線53上では、ユニット12、14、16のうちの1つの故障、及び、構成10又は当該構成10により形成されるシステムの故障についての情報が伝送される。
【0019】
示される構成10又はシステムは、ハードウェアユニットのために、この場合ではユニット12、14、及び16のために開発された。これらユニット12、14、16は単独で、又は、構成10内で機能しうる。システム内でユニット12、14、16を組み合わせることにより、システムの挙動を管理する必要性が高まる。専用のシステムコントローラが存在しないため、ユニット12、14、16自身がシステム機能をカバーする必要がある。従って、ユニット12、14、16は、局所的にシステム機能を装備しようと試みる。具体的なシステム機能が複数のユニット12、14、16上で実行されないことを保障するために、各システム機能は、システム・ミューテックスによりサポートされる。このシステム・ミューテックスがシステム内で駆動される場合に、ユニット12、14、16は、システムに関連する情報を共有する必要がある。情報を交換するための媒体は、システム通信バス50である。
【0020】
示される実現におけるシステム通信バス50は、適切な通信スキーマを利用する。各通信ユニット又はユニット12、14、16は、一意のアドレスを必要とする。システム内では、ハードウェア列挙によってアドレス24、34、44が獲得される。この列挙機能は、構成10内の各ユニット12、14、16に、一意の番号又は一意のアドレスを提供する。この列挙は、下位の第1のユニット12により開始され、ユニットからユニットへと、最上位ユニット16で終了するまで続けられる。このプロセスは、構成10の実行時間の間に生じうる変更をカバーするために、周期的に繰り返される。従って、提示される方法は、構成10の初期化及び/又は駆動のために実行することが可能である。
【0021】
利用されるシステム通信バス50は、基本的に以下の特徴を有すべきであろう。
【0022】
‐マルチマスタ能力
システム内の各ユニットはバス・マスタでありうる。バスへのアクセスは、マスタにより「獲得される」アービトレーション段階によって制御される。他の全てのユニットは、マスタが再びバスを解放するまで、スレーブとして振る舞う。
【0023】
‐同期化
各時点においてアービトレーションが確実に機能するために、同時にクロックジェネレータとして機能するマスタは、自身のクロックが互いに同期される必要がある。得られるクロックは、最も遅いマスタによって決定される。クロックの周波数及びパルス休止比(Puls−Pausen−Verhaeltnis)は、クロック周期ごとに変化しうる。
【0024】
‐アトミックシーケンス(atomare Sequenz)
バスを有するマスタは、後続のシーケンスを原子的に(atomar)実行できる必要があり、即ち、他の全ての加入者は同期して又は同時に情報を読み出すのであるが、その際に、その情報は、リセッシブ(rezessiv)又はドミナント(dominant)な状態を有する。その際に、各加入者が、情報の、自身の局所的な状態を同時にバス上に提供する。その際に、ドミナントな状態がリセッシブな状態を上書きする。マスタは、バス上の情報の状態を評価し、対応する局所的なアクションを開始し、対応して自身の局所的な状態を更新する。その後ようやく、マスタはバスを解放する。その際、情報は、「提供可能」又は「予約済み」という状態のシステム・ミューテックスに対応する。予約されているのは、ドミナントな状態である。システム機能は、バス上の「利用可能」というリセッシブな状態が読み出された場合に、局所的に開始される。システム・ミューテックスの局所的な状態は、その際「予約済み」に設定される。
【0025】
各ユニット12、14、16は、システム情報を受信及び/又は提供するために、バス・スレーブ22、32、42を有する必要がある。アクティブにシステム情報を問い合わせ又は提供するために、追加的な任意のバス・マスタ20、30、40が必要である。ユニット12、14、16ぞれぞれでは、マスタ20、30、又は40と、スレーブ22、32、又は42は、同じアドレス24、34、44を利用する。
【0026】
システム通信バス50の通信機構は、ユニキャスト機構とブロードキャスト機構とを含む。連続する各アクセスは、システムのアトミックプロセスである。
【0027】
【表1】
【0028】
ブロードキャストモードでのミューテックス割り当ては、システムにミューテックス機能を提供するための特別な仕組みである。アトミックプロセスを出力するユニット12、14、16は、アクセス又は問い合わせを呼び出し、従って、システム全体のミューテックスに対する、アトミックな読み出し・修正・書き込みアクセスを実行できる状態にある。
【0029】
追加的な動的に分散されたシステムタスクを実行するために役立つ専用機能が備わったユニットも設けることが可能である。
【0030】
図2は、システム機能を明確にするために、全体として符号60が付されたユニットの可能な構成を示す。このユニット60は、システム機能のための外部クライアント62と繋がっている。図は、ネットワークアクセスのためのインタフェース64と、システム機能フレーム66と、ミューテックスサーバ68と、システムリソースマネージャ70と、バス・マスタ及びスレーブ・モジュール72と、ハードウェアエニュメレータ74と、を示す。システム機能フレーム66内には、ネットワークアクセスのための第1の機能76と、システム機能プロトコルのための第2の機能78と、第1のシステム機能80と、第2のシステム機能82と、第3のシステム機能84と、ハードウェアアクセスのための第3の機能86と、ハードウェアアクセスのための第4の機能88と、が設けられる。さらに、図は、第1の任意のハードウェアユニット92と、第2の任意のハードウェアユニット94と、を示す。
【0031】
実行されるシステム通信は、各ユニット60内で、ハードウェアアクセスのための機能90がその内部に提供されたリソースマネージャ70により処理される。リソースマネージャ70は、所定の時点における、個々の内部クライアントのためのシステム通信バスへのアクセスを保障する。他のものは、待ち行列に入れられる。
【0032】
ミューテックスサーバ68は、このような内部クライアントであり、さらに追加的なクライアントが存在してもよい。リソースマネージャ70は、システム通信プロトコルの一部を利用する。
【0033】
システムのシステム通信バスは、マルチマスタ・マルチスレーブ通信を利用する。各ユニットは、バス・スレーブとバス・マスタとを備える。ユニットが一度もデータ交換を開始しない場合には、マスタは省略されてもよい。ユニットのマスタ及びスレーブは同じアドレスを利用する。ユニットの各アドレスは、ハードウェア列挙の際に獲得されたユニット番号に対応する。
【0034】
システム通信バス上でのデータ交換は、ブロードキャスト又はユニキャスト通信として行われうる。ブロードキャストモードの場合には、一般的なブロードキャストアドレスが利用される。ユニキャストの場合には、連絡されるスレーブのアドレスが利用される。システム通信バスはマルチマスタシステムなので、バス内でのアービトレーションを保障するために、伝送の開始者のアドレスを各メッセージに入れる必要がある。
【0035】
システム通信バスの通信は、全てのユニットが列挙された場合にのみ行われる。このことは、列挙の実行が成功し次第最上位のユニットにより送信されるシステム管理バスメッセージによって示される。この「列挙済み」という状態は、各ユニットにより受信されてその内部に格納される。この情報は、或る程度の時間の後に有効性が失われ、定期的な間隔で更新される必要がある。ハードウェア列挙は周期的に実行されるため、上記状態も周期的に伝えられる。
【0036】
ユニキャスト通信は、開始するユニット内で、アドレス指定されたスレーブの状態「device up」(装置は駆動準備ができている)が設定される前には、実行されるべきではないであろう。従って、ユニキャスト駆動を利用する各ユニットは、自身が連絡する予定のユニットの、「device up」というブロードキャストメッセージを監視する必要があるであろう。この状態も同様に、或る程度の時間の後に無効となる情報であり、従って、定期的な間隔で更新されるべきであろう。
【0037】
ユニット内では、システム通信バスを介して情報を要求又は理解しうるインスタンス(Instanz)のみ必要とされることに注意されたい。さらに、このインスタンスは、この情報を評価し対応したアクションを開始しうる必要がある。その際に、情報はシステム・ミューテックスの状態に対応し、アクションはシステム機能に対応する。通常では、このインスタンスはソフトウェアである。しかしながら、純粋なハードウェアインスタンスも構想されうる。
【0038】
以下の表で、可能な通信バスメッセージを概観することにする。
【0039】
【表2】
【0040】
ユニットが共有しうる任意のリソースを割り当て、利用するために、最初に、割り当てられたシステム・ミューテックスが割り当てられる必要がある。システムリソースは、或るシステム機能のインスタンス、又は、例えばトリガチャネルのような、共有されるハードウェア特徴でありうる。各システムリソースには、固有のシステム・ミューテックスが割り当てられる。システム・ミューテックスは、一意のミューテックスIDと、ブール的なインタロック状態(Boolscher Verriegelungszustand)と、により定義されうる。
【0041】
各ユニット内にはミューテックスサーバが1つだけ存在する。各時点に、問い合わせが1つだけ処理される。他の問い合わせは待ち行列に入れられる。システム内の全てのミューテックスサーバは、或るミューテックスの割り当てについて互いにアービトレーションを行う。アービトレーションは、メッセージ「ミューテックスアクセス」を介して行われる。問い合わせをしているユニットは、このことを全てのユニットに通知するために当該ユニットが必要とするミューテックスIDを、上記メッセージで送信する。各ユニットは、上記ミューテックスを既に自身のミューテックスサーバ内で割り当てたかどうかを検査し、自身の局所的なシステム・ミューテックス予約状態又はインタロック状態によって応答する。「システム・ミューテックス予約済み」は、バス応答におけるドミナントビットと同じであり、一方、「システム・ミューテックス解放」はリセッシブである。ユニットがシステム・ミューテックスをインタロックした場合には、自身のドミナントな応答は、同時に又は同期して送信された他のユニットのリセッシブな応答を上書きする。
【0042】
その場合、問い合わせをしているユニットは、システム・ミューテックスが既に予約され、従ってシステムリソースが提供されないことを確認することになる。応答がリセッシブである場合については、システム・ミューテックスは解放される。その場合、問い合わせをしているユニットは、自身のミューテックスサーバ内で、このシステム・ミューテックス予約状態を「システム・ミューテックス予約済み」に更新し、最後に、バス伝送を終了してバスを解放する。「システム・ミューテックス予約済み」は、ミューテックス所有者のミューテックスサーバ内にのみ格納される。システム・ミューテックスへのアクセスは、ファームウェア内及びシステム通信バスでのアトミック操作(atomare Operation)である。ミューテックスアクセスは、システム・ミューテックス予約状態が、ミューテックスアクセスの結果に基づいて更新された場合にのみ、バス上で終了されうる。ユニットのリセット後、状態は「ミューテックス解放」である。
【0043】
図3は、システム・ミューテックスの割り当てを示している。その際に、n番目のユニット100と、k番目のユニット102と、が示される。第1のステップ104において、列挙が行われ次第、システム機能によるミューテックス問い合わせが行われる。これは、アトミック操作である。システム通信バス110と接続しているバス・マスタ108に対する、ミューテックスnについての問い合わせ(矢印106)が行われる。バス・マスタ108から、ミューテックスn報告が返され(矢印112)、割り当てが行われ、ミューテックスnが解放される(矢印114)。図はさらに、バス・スレーブ118を示している。
【0044】
さらに、その挙動がユニット102の挙動に対応する更なる別のユニット102’が複写される。
【0045】
k番目のユニット102及び更なる別のユニット102’内では、ミューテックスnについての問い合わせ(矢印124及び124’)の際に、ミューテックスnについてのメモリユニット122及びメモリユニット122’が読み出され、格納された値(矢印126及び126’)が、システム通信バス・スレーブ132及び132’を介して出力される。その際に、応答126及び126’が、同時に又は同期して、システム通信バス110を介して伝送される。k番目のユニット102又は更なる別の102’の、システム通信バス・マスタ130又は130’は関与しない。
【0046】
従って、矢印106により示される問い合わせは、k番目のユニット102又は更なる別のユニット102’での入力(矢印124及び124’)に対応する。これに対する応答として、k番目のユニット102又は102’の出力(矢印126及び126’)は、n番目のユニット100での入力(矢印112)を引き起こす。四角い括弧140により、アトミックアクセスが包含される。
【0047】
矢印114は、ドミナントな応答が存在しない場合についての出力であり、その場合は、ミューテックスは解放されて割り当てられる。割り当ては、メモリユニット116に記録される。
【0048】
システム機能は、様々な形態のオペレーションシステム及びハードウェアプラットホームの可搬性が保障されるように形成されるべきであろう。従って、オペレーションシステムの仕組み、及び、バードウェアアクセスは、論理的機能から切り離される必要がある。各システム機能は、機能ライブラリとして表わされる。システム機能ライブラリは、システム機能の論理的部分のみを含んでいる。このシステム機能ライブラリは、目標システム又はオペレーションシステムに依存しない。各ハードウェア特徴は、固有の目標ライブラリに移動される。システム機能との外部通信は、媒体固有のインタフェース・機能ライブラリにより可能となる。全てのシステム機能、インタフェースライブラリ、目標固有の機能ライブラリは、システム固有に機能するシステム機能フレーム内で稼働する。
【0049】
各システム機能の活性化は、専用システム・ミューテックスによりサポートされる。割り当てられたシステム・ミューテックスの予約又は封鎖が成功した場合にのみ、システム機能は機能しうる。
【0050】
ユニット内でのシステム機能の活性化は、システムエラー信号の作動時、リセット時、及び、解除時に行われうる。活性化は好適に、性能が高いユニットにおいて行われるべきであろう。このことは、活性化の条件が満たされた(システムエラー信号がリセットされユニットの列挙が行われた)後に、ユニットの性能に依存する遅延時間によって達成可能であり、その際に、性能が高いユニットは、最短の応答時間又は遅延時間を有する。遅延の後に、システム機能フレームは、自身の利用可能な機能のためのシステム・ミューテックスを予約しようと試みる。その後、予約が成功した各システム・ミューテックスについて、各システム機能が活性化される。
【0051】
システムエラー信号は、システム全体で利用されるハードウェア信号である。この信号は、当該信号がリセットされた場合、停止の際、列挙が行われなかった場合、又は、ユニットが自身のシステム機能を実行できる状況にない場合に、任意のユニットにより設定される。それは、ワイヤードOR信号であり、各ユニットがリセットするまでリセットされない。
【0052】
システム機能の活性化のためにシステムエラー信号を利用することによって、ユニットにエラーが生じている場合に、システム機能の新たな活性化が行われことが保障される。システムエラー信号がリセットされ、列挙(システム通信バス上でのアドレス付与に相当する)が行われた場合には、各ユニット内で、固有の遅延時間が新たに経過する。その後、各ユニットは新たに、未だに活性化されていないシステム機能のためのシステム・ミューテックスを予約しようと試みる。エラーの影響を受けなかったユニットは、既に活性化された自身のシステム機能を保持する。エラーが生じているユニット上で提供されるシステム機能は、同じユニット上で新たに活性化され、又は、エラーのあるユニットが再び機能しえず若しくはシステムから分離された場合には、他のユニットが上記システム機能を引き継ぐ。
【0053】
図4には、システム機能の活性化の際の経過がグラフで表されている。縦軸200上に、ある期間に渡る信号の推移が横軸202に沿って示されている。第1の推移204は、装置xのシステムエラーを示す。第2の推移206は、ユニットyのシステムエラーを示す。第3の推移208は、ユニットzのエラーを示す。第4の推移210は、最初の3つの推移204、206、208の論理和であり、システムエラーを示している。第5の推移212は、信号「列挙実行済み」の値を示す。従って、メッセージ「列挙実行済み」が、時点214に発せられる。
【0054】
ユニットxについて:第1の期間220は、ユニットxの性能に依存する遅延を示す。第2の期間222に、システム・ミューテックスについての問い合わせが行われる。第3の期間224に、システム機能のインスタンシエーション(Instantiierung)が行われる。
【0055】
ユニットyについて:第1の期間230は、ユニットyの性能に依存する遅延を示す。第2の期間232に、システム・ミューテックスについての問い合わせが行われる。第3の期間234に、システム機能のインスタンシエーションが行われる。
【0056】
ユニットzについて:第1の期間240は、ユニットzの性能に依存する遅延を示す。第2の期間242に、システム・ミューテックスについての問い合わせが行われる。第3の期間244に、システム機能のインスタンシエーションが行われる。
図1
図2
図3
図4