特許第6092537号(P6092537)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092537
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】鉄道監視システムおよび鉄道監視方法
(51)【国際特許分類】
   B61L 23/00 20060101AFI20170227BHJP
   B60L 3/00 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   B61L23/00 Z
   B60L3/00 N
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-153583(P2012-153583)
(22)【出願日】2012年7月9日
(65)【公開番号】特開2014-15116(P2014-15116A)
(43)【公開日】2014年1月30日
【審査請求日】2015年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(72)【発明者】
【氏名】丸林 功
【審査官】 岩田 玲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−063402(JP,A)
【文献】 特開2010−263756(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 23/00
B60L 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラ映像とホーム柵の開閉扉の状態情報を受信する受信部と、
車両ドアの状態を検出するドア状態検出部と、
列車およびホーム柵の見取り図を描画し、ホーム柵の開閉扉の状態および車両ドアの状態に基づいて、前記カメラ映像および前記見取り図に映像処理を実施する制御部と、
前記カメラ映像を表示するカメラ映像表示部と、
前記見取り図を表示する見取り図表示部と、を備え、
前記制御部は、前記ホーム柵の開閉扉の状態および前記車両ドアの状態の内で少なくとも一方が異常を示している場合に、前記カメラ映像および前記見取り図の対応箇所の表示を視覚的に判別可能に映像処理することを特徴とする鉄道監視システム。
【請求項2】
ホーム柵の開閉扉の状態情報を受信する受信部と、
車両ドアの状態を検出するドア状態検出部と、
列車およびホーム柵の見取り図を描画し、ホーム柵の開閉扉の状態および車両ドアの状態に基づいて、前記見取り図に映像処理を実施する制御部と、
前記見取り図を表示する見取り図表示部と、を備え、
前記制御部は、前記ホーム柵の開閉扉の状態および前記車両ドアの状態の内で少なくとも一方が異常を示している場合に、前記見取り図の対応箇所の表示を視覚的に判別可能に映像処理することを特徴とする鉄道監視システム。
【請求項3】
カメラ映像とホーム柵の開閉扉の状態情報を受信するステップと、
車両ドアの状態を検出するステップと、
列車およびホーム柵の見取り図を描画するステップと、
ホーム柵の開閉扉の状態および車両ドアの状態に基づいて、前記カメラ映像および前記見取り図に映像処理を実施するステップと、
前記カメラ映像および前記見取り図を表示するステップと、を備え、
前記映像処理を実施するステップでは、前記ホーム柵の開閉扉の状態および前記車両ドアの状態の内で少なくとも一方が異常を示している場合に、前記カメラ映像および前記見取り図の対応箇所の表示を視覚的に判別可能に映像処理することを特徴とする鉄道監視方法。
【請求項4】
ホーム柵の開閉扉の状態情報を受信するステップと、
車両ドアの状態を検出するステップと、
列車およびホーム柵の見取り図を描画するステップと、
ホーム柵の開閉扉の状態および車両ドアの状態に基づいて、前記見取り図に映像処理を実施するステップと、
前記見取り図を表示するステップと、を備え、
前記映像処理を実施するステップでは、前記ホーム柵の開閉扉の状態および前記車両ドアの状態の内で少なくとも一方が異常を示している場合に、前記見取り図の対応箇所の表示を視覚的に判別可能に映像処理することを特徴とする鉄道監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駅のプラットホームおよび列車を撮影した映像を列車内のモニタにて確認できる鉄道監視システムであって、特に、監視カメラの映像情報とホーム柵の開閉扉および/または列車の乗降用ドアの動作状況を示す情報を列車内のモニタに映し出すことが可能な鉄道監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、駅のプラットホームの映像を列車に搭載されたモニタに表示させるようにした駅監視装置が用いられるようになってきている。このような駅監視装置は、プラットホームの監視カメラ映像を列車に無線伝送し運転席や乗務員室のモニタに表示することで、列車出発時に、列車内の乗務員または運転士が目視でプラットホーム上の安全確認が行える装置として機能している。このとき、列車の乗降用ドアに開閉異常があるか否かを確認する場合には、各乗降用ドアに設けられたドア異物感知センサにより異常が検知されると列車ドア脇に備えられている車側灯が点灯するため、これを運転士が映像上で確認している。特に、ワンマン運転列車の場合には、運転士が運転席で着座したまま目視で安全確認を行っている。
【0003】
また、最近では、乗客と列車の接触による人身事故を防ぐために、プラットホーム上にホーム柵が設置されるようになった。ホーム柵の開閉扉には異物感知センサが備えられており、異物感知センサからの検出情報によって、ホーム柵の開閉扉に異物が挟まっていないかを列車前方のホーム柵側壁面に設置された表示灯の点灯状態で示すことで、列車出発時に、列車内の乗務員または運転士が目視で安全確認を行っている。特に、ワンマン運転列車の場合には、運転士が運転席で着座したまま目視で安全確認を行っている。
【0004】
特許文献1には、プラットホームに設置されたカメラにより撮像された映像を送信機により無線送信するとともに、当該無線送信された映像を列車に搭載された受信側装置により受信し表示する駅監視装置が開示されている。また、前記送信機は、プラットホームの線路側端縁部に沿って当該線路側端縁部から所定間隔離れて配置されたホーム柵の線路側側面部に対して取付機構により取り付けられており、これにより、プラットホームから離れた位置に送信機を設置する場合に比べて設置作業が大幅に簡単になることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−322548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の鉄道監視システムにおいては、列車内の乗務員または運転士は、列車出発時の安全確認において、列車内のモニタで監視カメラ映像を確認し、ホーム柵の開閉扉または列車の乗降用ドアの安全確認は、監視カメラ映像上で都度全ての車両について映像を切り替えながら実施する必要があり、煩雑な作業が必要となっている。
【0007】
本発明は、このような従来の事情に鑑みなされたものであり、ホーム柵の開閉扉または列車の乗降用ドアの動作状況を、乗務員または運転士が容易に確認することが可能な鉄道監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明の鉄道監視システムは、カメラ映像とホーム柵の開閉扉の状態情報を受信する受信部と、車両ドアの状態を検出するドア状態検出部と、列車およびホーム柵の見取り図を描画し、ホーム柵の開閉扉の状態および車両ドアの状態に基づいて、前記カメラ映像および前記見取り図に映像処理を実施する制御部と、前記カメラ映像を表示するカメラ映像表示部と、前記見取り図を表示する見取り図表示部と、を備え、前記制御部は、前記ホーム柵の開閉扉の状態および前記車両ドアの状態の内で少なくとも一方が異常を示している場合に、前記カメラ映像および前記見取り図の対応箇所の表示を視覚的に判別可能に映像処理することを特徴とする。
【0009】
また、上記目的を達成するために本発明の鉄道監視システムは、ホーム柵の開閉扉の状態情報を受信する受信部と、車両ドアの状態を検出するドア状態検出部と、列車およびホーム柵の見取り図を描画し、ホーム柵の開閉扉の状態および車両ドアの状態に基づいて、前記見取り図に映像処理を実施する制御部と、前記見取り図を表示する見取り図表示部と、を備え、前記制御部は、前記ホーム柵の開閉扉の状態および前記車両ドアの状態の内で少なくとも一方が異常を示している場合に、前記見取り図の対応箇所の表示を視覚的に判別可能に映像処理することを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するために本発明の鉄道監視システムは、カメラ映像とホーム柵の開閉扉の状態情報を受信する受信部と、車両ドアの状態を検出するドア状態検出部と、ホーム柵の開閉扉の状態および車両ドアの状態に基づいて、前記カメラ映像に映像処理を実施する制御部と、前記カメラ映像を表示するカメラ映像表示部と、を備え、前記制御部は、前記ホーム柵の開閉扉の状態および前記車両ドアの状態の内で少なくとも一方が異常を示している場合に、前記カメラ映像の対応箇所の表示を視覚的に判別可能に映像処理することを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するために本発明の鉄道監視方法は、カメラ映像とホーム柵の開閉扉の状態情報を受信するステップと、車両ドアの状態を検出するステップと、列車およびホーム柵の見取り図を描画するステップと、ホーム柵の開閉扉の状態および車両ドアの状態に基づいて、前記カメラ映像および前記見取り図に映像処理を実施するステップと、前記カメラ映像および前記見取り図を表示するステップと、を備え、前記映像処理を実施するステップでは、前記ホーム柵の開閉扉の状態および前記車両ドアの状態の内で少なくとも一方が異常を示している場合に、前記カメラ映像および前記見取り図の対応箇所の表示を視覚的に判別可能に映像処理することを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するために本発明の鉄道監視方法は、ホーム柵の開閉扉の状態情報を受信するステップと、車両ドアの状態を検出するステップと、列車およびホーム柵の見取り図を描画するステップと、ホーム柵の開閉扉の状態および車両ドアの状態に基づいて、前記見取り図に映像処理を実施するステップと、前記見取り図を表示するステップと、を備え、前記映像処理を実施するステップでは、前記ホーム柵の開閉扉の状態および前記車両ドアの状態の内で少なくとも一方が異常を示している場合に、前記見取り図の対応箇所の表示を視覚的に判別可能に映像処理することを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するために本発明の鉄道監視方法は、カメラ映像とホーム柵の開閉扉の状態情報を受信するステップと、車両ドアの状態を検出するステップと、ホーム柵の開閉扉の状態および車両ドアの状態に基づいて、前記カメラ映像に映像処理を実施するステップと、前記カメラ映像を表示するステップと、を備え、前記映像処理を実施するステップでは、前記ホーム柵の開閉扉の状態および前記車両ドアの状態の内で少なくとも一方が異常を示している場合に、前記カメラ映像の対応箇所の表示を視覚的に判別可能に映像処理することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、乗務員または運転士は、列車出発時に、列車内のモニタを目視するだけで、ホーム柵の開閉扉または列車の乗降用ドアの動作状態を一目で確認することができるので、効率的かつ効果的に安全確認を遂行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態1に係る鉄道監視システムAの構成を示すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る鉄道監視システムAの扉閉め監視処理のフローチャートである。
図3】本発明の実施の形態1に係るモニタの画面例を示す図である。
図4】本発明の実施の形態2に係る鉄道監視システムBの構成を示すブロック図である。
図5】本発明の実施の形態2に係る鉄道監視システムBの扉閉め監視処理のフローチャートである。
図6】本発明の実施の形態2に係る車両情報モニタの画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施の形態1>
〔鉄道監視システムAの制御構成〕
以下に、本発明の実施の形態1に係る鉄道監視システムAについて、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る鉄道監視システムAの構成を示すブロック図である。図1は、列車200がプラットホーム1に停車している状態を示している。列車200において、200aは運転室、200bは1号車両、そして200cは2号車両である。
また、1号車両200bの210a,210bおよび2号車両200cの210c,210dは、乗客が列車200に乗降するために、例えば運転手の指示により電動で開け閉めすることができる乗降用ドアである。当該乗降用ドアは、通常、列車の各車両の左右両側にそれぞれ2箇所以上備えられているが、説明を簡略化するため、左側は省略し、各車両のドアの個数も2つとしている。
【0017】
また、プラットホーム1には、乗客と列車200との接触による人身事故防止のため、ホーム柵20が設置されており、列車200の乗降用ドア210(210a,210b,210c,210d)の位置に対向して、それぞれホーム柵20に開閉扉21(21a,21b,21c,21d)が設けられている。
鉄道監視システムAは、図1のように、駅のプラットホーム1から列車200が出発する際のプラットホーム1の安全確認のための監視システムである。鉄道監視システムAは、主にプラットホーム1に配置され、プラットホーム1に設置されたホーム柵20の開閉扉21の開閉状態を監視するように配置されたホーム映像伝送装置10と、列車200の車両内、例えば、運転室200aに備えられた映像表示装置100とから構成される。
【0018】
(ホーム映像伝送装置10の制御構成)
まず、図1を参照して本発明の実施の形態1に係るプラットホーム1側の装置であるホーム映像伝送装置10について説明する。ホーム映像伝送装置10は、ホーム監視カメラ30と、ホーム柵20の開閉扉21の動作異常を検出する異物感知センサ22と、映像処理部40と、センサ制御部50と、送信部60とを含んで構成される。なお、映像処理部40とセンサ制御部50と送信部60は、ラック10a内に収容され運用される。
【0019】
ホーム監視カメラ30は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等を用いて、映像を取得する撮像装置である。
ホーム監視カメラ30は、プラットホーム1の上方に複数設置され、例えば、ホーム監視カメラ30aは、ホーム柵20の開閉扉21a,21b、並びに1号車両2bの乗降用ドア210a,210bの周辺が撮像できるように配置され、また、ホーム監視カメラ30bは、ホーム柵20の開閉扉21c,21d、並びに2号車両200cの乗降用ドア210c,210dの周辺が撮像できるように配置される。
異物感知センサ22(22a,22b,22c,22d)は、ホーム柵20の開閉扉21(21a,21b,21c,21d)のそれぞれ両側に設けられ、センサ制御部50に接続される。また、異物感知センサ22は、開閉扉21の開閉が正常に行われなかった場合や開閉扉21に所定値以上の負荷が作用した場合等に開閉扉21に異常があったことを検出し、異常が発生した開閉扉21の位置やその異常内容等の検出結果を、センサ検出情報としてセンサ制御部50に対して出力する。
【0020】
センサ制御部50は、下記で説明する扉閉め監視処理において、ホーム映像伝送装置10の制御を行うCPU(Central Processing Unit、中央処理装置)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、GPU(Graphics Processing Unit)等の演算制御部である。
センサ制御部50は、ホーム映像伝送装置10の各部を制御する。また、センサ制御部50は、ROMやフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶部を内蔵し、その記憶部のプログラムに従って各部を制御する。
なお、センサ制御部50は、映像処理部40に対して異物感知センサ22からのセンサ検出情報を入力する一方、ホーム柵20の開閉扉21に異常があった場合に、その情報を駅務員に報知するとともに、ホーム柵20に設置された表示灯(図示せず)を点灯動作させるよう制御する。
【0021】
映像処理部40は、ホーム監視カメラ30から入力されたホーム監視映像情報をセンサ制御部50に出力する。また、映像処理部40は、センサ制御部50から入力された異物感知センサ22からのセンサ検出情報に基づき、ホーム柵20の開閉扉21に異常があった場合に、ホーム監視カメラ30が撮像した映像データについて、映像処理を用いて異常が検出されたホーム柵20の映像を拡大、もしくはピクチャinピクチャ等で強調処理し、当該強調処理映像情報をセンサ制御部50に対して出力する。
センサ制御部50は、映像処理部40から入力されたホーム監視映像情報や強調処理映像情報と、異物感知センサ22からのセンサ検出情報を、送信部60を介して車両200の映像表示装置100の受信部110に向けて送信する。
【0022】
扉開閉スイッチ70は、ホーム柵20の開閉扉21の開閉操作を行うためのスイッチであり、プラットホーム1にいる駅務員が操作することで、センサ制御部50を介して扉駆動部23に制御信号が送信され、扉21が開閉される。あるいは、扉開閉スイッチ70は、列車200から送信される乗降用ドア210の開閉信号に連動し自動で開閉制御される。
【0023】
(映像表示装置100の制御構成)
次に、図1を参照して本発明の実施の形態1に係る車両側の装置である映像表示装置100について説明する。映像表示装置100は、例えば、列車200の運転室200aに設置され、受信部110と、制御部120と、モニタ130とを含んで構成される。
また、列車200の乗降用ドア210のドア異物感知センサ220(220a,220b,220c,220d)からのセンサ検出情報を制御部120に出力するようにする。
なお、ドア異物感知センサ220は、列車200の乗降用ドア210のそれぞれ両側に設けられ、乗降用ドア210が正常に開閉されなかった場合や乗降用ドア210に所定値以上の負荷が作用した場合等に乗降用ドア210に異常があったことを検出し、異常が発生した乗降用ドア210の位置やその異常内容等の検出結果を、センサ検出情報として制御部120に対して出力する。
受信部110は、駅のプラットホーム1に配置されたホーム映像伝送装置10の送信部60から無線送信されたホーム監視映像情報や強調処理映像情報と、異物感知センサ22のセンサ検出情報を受信する。
ホーム映像伝送装置10の送信部60は、例えば、送信周波数44GHz、送信出力10mW定格のものであり、映像情報とセンサ検出情報をミリ波帯の電波に重畳させ送信する。また、映像表示装置100の受信部110は、例えば、受信周波数44GHzのものであり、送信部60から放射される電波を受信し、この受信された電波から元の映像情報とセンサ検出情報を復元し、制御部120に入力する。
【0024】
制御部120は、受信部110から入力されたセンサ検出情報を文字や映像等に変換して描画するGPU等を備えており、文字フォントのデータ、キャラクタジェネレータやキャラクタROM等を備えている。
制御部120は、受信部110で受信したホーム監視映像情報や強調処理映像情報に異物感知センサ22のセンサ検出情報を重畳(スーパーインポーズ)等して、モニタ130に出力する。
モニタ130は、制御部120から入力されたホーム監視映像情報や強調処理映像情報とセンサ検出情報を表示する。
【0025】
〔鉄道監視システムAの扉閉め監視処理〕
次に、本発明の実施の形態1に係る鉄道監視システムAを用いた扉閉め監視処理について、図1図3を参照して詳しく説明する。
以下で、図2の本発明の実施の形態1に係る鉄道監視システムAの扉閉め監視処理のフローチャートを参照して、ホーム映像伝送装置10と、映像表示装置100とが実行する各ステップを詳細に説明する。
【0026】
まず、ステップS101において、プラットホーム1にいる駅務員がホーム映像伝送装置10の扉開閉スイッチ70を操作する。或いは、列車200から送信された乗降用ドア210の開/閉信号に連動して自動で扉開閉スイッチ70の開/閉操作が為される。
次に、ステップS102において、ホーム映像伝送装置10のセンサ制御部50は、扉開/閉判断処理を行う。
扉開閉スイッチ70の扉開/閉信号がセンサ制御部50に入力され、センサ制御部50は、ホーム柵20の開閉扉21が開/閉のどちらの動きをしようとしているのかを判断する。
【0027】
次に、ステップS103において、センサ制御部50は、センサ動作処理を行う。
ステップS102で扉開/閉信号が開閉扉21を閉める信号であった場合に、センサ制御部50は、異物感知センサ22を動作させる。これにより、異物感知センサ22は開閉扉21の扉閉め異常の検出を行う。
なお、異物感知センサ22が圧力センサ等を備えている場合には、隙間を締める際の圧力により、挟まっている物(オブジェクト)の硬さを計測することもでき、挟まっている物が人体のように柔らかい物なのか、荷物等の硬い物なのかについての圧力情報を得ることができる。
【0028】
次に、ステップS104において、センサ制御部50は、異物感知センサ22が扉閉め異常を検出したか否かの判定を行う。ここでは、センサ制御部50は、開閉扉21の扉閉めが異常で完全に閉まらない、すなわち、開閉扉21の隙間距離が所定距離以上であるか否かを判定する。なお、開閉扉21が複数ある場合には、1つでも開閉扉21に扉閉め異常が発生すればYesと判定する。
Yesの場合、センサ制御部50は、異常ありとして処理をステップS105に進める。
Noの場合、センサ制御部50は、異常なしでステップS106に進む。
【0029】
次に、ステップS105において、強調映像作成処理を行う。
具体的には、まず、センサ制御部50は、映像処理部40に異物感知センサ22からのセンサ検出情報を入力する。
映像処理部40は、センサ制御部50から入力された異物感知センサ22からのセンサ検出情報に基づき、ホーム監視カメラ30が撮像した映像データについて、映像処理を用いて異常が検出されたホーム柵20の開閉扉21周辺の映像データを拡大処理、もしくはピクチャinピクチャ等で強調処理し、当該強調処理映像情報をセンサ制御部50に対して出力する。
次に、ステップS106において、センサ制御部50は、映像処理部40から入力された強調処理映像情報と、異物感知センサ22からのセンサ検出情報を、送信部60を介して車両200の映像表示装置100の受信部110に向けて送信する。
なお、ステップS104において、扉閉め異常が検出されない場合には、ステップS106において、センサ制御部50は、映像処理部40から入力された通常のホーム監視映像情報と異物感知センサ22からのセンサ検出情報を、送信部60を介して車両200の映像表示装置100の受信部110に向けて送信する。
以上で、ホーム映像伝送装置10の処理を終了する。
【0030】
次に、ステップS201において、映像表示装置100の受信部110は、ホーム映像伝送装置10から無線送信された強調処理映像情報またはホーム監視映像情報と、異物感知センサ22のセンサ検出情報を受信する。
受信部110は、制御部120に対して強調処理映像情報またはホーム監視映像情報と、異物感知センサ22のセンサ検出情報を入力する。
次に、ステップS202において、映像情報及びセンサ検出情報表示処理を実行する。
制御部120は、受信部110から入力された強調処理映像情報またはホーム監視映像情報に、異物感知センサ22のセンサ検出情報および列車200の乗降用ドア210のドア異常感知センサ220からのセンサ検出情報を重畳(スーパーインポーズ)等してモニタ130に出力する。
【0031】
モニタ130は、制御部120から入力された強調処理映像情報またはホーム監視映像情報と、異物感知センサ22およびドア異常感知センサ220のセンサ検出情報を表示する。
すなわち、異物感知センサ22が扉閉め異常を検知しない場合、モニタ130には、安全にホーム柵20の開閉扉21が閉まったホーム監視映像情報と、その映像上にホーム柵20の開閉扉21および列車200の乗降用ドア210の開閉状態情報131をインポーズ表示する。また、異物感知センサ22が扉閉め異常を検出した場合、異物感知センサ22が検出した開閉扉21周辺の拡大映像、もしくはピクチャinピクチャ等で強調させた強調処理映像情報と、その映像上にホーム柵20の開閉扉21および列車200の乗降用ドア210の開閉状態情報131を重畳表示する。
図3は、モニタ130の画面例を示す図であり、異物感知センサ22が扉閉め異常を検知しない場合を示す。図3において、モニタ130の監視映像の妨げにならない一角に、ホーム柵20の開閉扉21および列車200の乗降用ドア210の開閉状態情報131を表示する。例えば、開閉扉21や乗降用ドア210で、扉閉め異常が検出されない場合には“緑丸”表示とし、扉閉め異常を検出した場合には“赤丸”表示とする。
以上により、扉閉め監視処理の映像表示装置100の処理を終了する。
【0032】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
本発明の実施の形態1によれば、列車内の乗務員または運転士は、列車出発時に、列車内のモニタを目視するだけで、プラットホーム上の安全確認とホーム柵の開閉扉および列車の乗降用ドアの動作確認とを同時に行うことができるので、視線を移動させることなく安全確認が容易に行える。
また、ホーム柵の開閉扉の異物感知センサが扉閉め異常を検出した場合、詳細なホーム監視映像情報が運転士に提供されるので、緊急時に迅速且つ適切な対応を取ることが可能となる。
【0033】
<実施の形態2>
〔鉄道監視システムBの制御構成〕
以下に、本発明の実施の形態2に係る鉄道監視システムBについて、図面を参照して説明する。
図4は、本発明の実施の形態2に係る鉄道監視システムBの構成を示すブロック図である。図4に示すように、本発明の実施の形態2に係る鉄道監視システムBは、運転室200aに備えられた映像表示装置300の構成が異なる以外は、鉄道監視システムAと同様の構成である。
【0034】
(映像表示装置300の制御構成)
図4を参照して本発明の実施の形態2に係る車両側の装置である映像表示装置300について説明する。映像表示装置300は、列車200の運転室200aに設置され、受信部310と、制御部320と、監視映像を表示する映像モニタ330と、列車およびホーム柵の見取り図を表示する車両情報モニタ340を含んで構成される。
また、従来から列車200内に備えられ、列車200の乗降用ドア210のドア異物感知センサ220(220a,220b,220c,220d)からのセンサ検出情報を制御部320に出力するようにする。
なお、ドア異物感知センサ220は、列車200の乗降用ドア210のそれぞれ両側に設けられ、乗降用ドア210の開閉が正常に行われなかった場合や乗降用ドア210に所定値以上の負荷が作用した場合等に乗降用ドア210に異常があったことを検出し、異常が発生した乗降用ドア210の位置やその異常内容等の検出結果を、センサ検出情報として制御部320に対して出力する。
【0035】
受信部310は、駅のプラットホーム1に配置されたホーム映像伝送装置10の送信部60から無線送信されたホーム監視映像情報や強調処理映像情報と、異物感知センサ22のセンサ検出情報を受信する。
ホーム映像伝送装置10の送信部60は、例えば、送信周波数44GHz、送信出力10mW定格のものであり、映像情報とセンサ検出情報をミリ波帯の電波に重畳させ送信する。また、映像表示装置300の受信部310は、例えば、受信周波数44GHzのものであり、送信部60から放射されている電波を受信し、この受信された電波から元の映像情報とセンサ検出情報を復元し、制御部320に入力する。
【0036】
制御部320は、受信部310から入力されたホーム監視映像情報や強調処理映像情報は映像モニタ340に出力する。
また、制御部320は、各乗降用ドアを含む車両と各開閉扉を含むホーム柵の見取り図(列車200とプラットホーム1の配置データ)を図示しない記憶部等に保持しており、異常があった場合、入力された異物感知センサ22からのセンサ検出情報と、列車200の乗降用ドア210のドア異物感知センサ220からのセンサ検出情報を基に、保持する列車とホーム柵の見取り図に異常のあったホーム柵の開閉扉および車両の乗降用ドアを強調表示したり文字や映像を描画したりして、車両情報モニタ340に出力する。
なお、この見取り図データは、事前に記憶部等に保持していてもよいし、各駅や管理センタとの通信により受信したホーム柵情報に基づいて逐次描画されてもよい。
【0037】
映像モニタ330は、制御部320から入力されたホーム監視映像情報や強調処理映像情報を表示し、また、車両情報モニタ340は、ホーム柵20の開閉扉21の異物感知センサ22によるセンサ検出情報と、列車200の乗降用ドア210のドア異物感知センサ220によるセンサ検出情報を画面にグラフィック表示する。
あらかじめ、ホーム柵20の各開閉扉21と列車200の各乗降用ドア210の位置が示され、異物感知センサ22またはドア異物感知センサ220から扉閉め異常信号を受けた位置の開閉扉21または乗降用ドア210に対して他の開閉扉または他の乗降用ドアと識別できる色表示、あるいは輝度表示させることにより、運転士が、どの位置の開閉扉または乗降用ドアに異常があるかを視覚的にすぐに認識できるようにする。
【0038】
〔鉄道監視システムBの扉閉め監視処理〕
次に、本発明の実施の形態2に係る鉄道監視システムBを用いた扉閉め監視処理について、図4図6を参照して詳しく説明する。
以下で、図5のフローチャートを参照して、ホーム映像伝送装置10と、映像表示装置300とが実行する各ステップを詳細に説明する。
なお、ホーム映像伝送装置10での処理は、図2のフローチャート(S101〜S106)と同様なので省略する。
【0039】
ステップS301において、映像表示装置300の受信部310は、ホーム映像伝送装置10から無線送信された強調処理映像情報またはホーム監視映像情報と、異物感知センサ22のセンサ検出情報を受信する。
受信部310は、制御部320に対して強調処理映像情報またはホーム監視映像情報と、異物感知センサ22のセンサ検出情報を出力する。
【0040】
次に、ステップS302において、制御部320は、受信部310から入力されたホーム監視映像情報や強調処理映像情報は映像モニタ330に出力する。
次に、ステップS303において、制御部320は、列車200の乗降用ドア210のドア異物感知センサ220からセンサ検出情報を取得する。
【0041】
次に、ステップS304において、制御部320は、異常があった場合、異物感知センサ22によるセンサ検出情報と、列車200の乗降用ドア210のドア異物感知センサ220によるセンサ検出情報を基に、記憶部(図示せず)に保持する各乗降用ドアを含む車両と各開閉扉を含むホーム柵の見取り図に異常のあったホーム柵の開閉扉および車両の乗降用ドアを強調表示したり文字や映像を描画したりして、車両情報モニタ340に出力する。異常がなかった場合には、各乗降用ドアを含む車両と各開閉扉を含むホーム柵の見取り図をそのまま又は異常が無い旨の情報を追加して車両情報モニタ340に出力する。
次に、ステップS305において、映像モニタ330は、制御部320から入力された強調処理映像情報またはホーム監視映像情報を表示する。
また、車両情報モニタ340は、異物感知センサ22によるセンサ検出情報と、列車200の乗降用ドア210のドア異物感知センサ220によるセンサ検出情報を画面にグラフィック表示する。
図6は、車両情報モニタ340の画面例を示す図である。例えば、図6のように、車両情報モニタ340に異物感知センサ22とドア異物感知センサ220の扉閉め異常検出情報表示例として、2号車両の前方右側のホーム柵の開閉扉と3号車両の後方右側の乗降用ドアに異物が挟まり、ドア閉め異常を検出した状態を示す。
以上により、扉閉め監視処理の映像表示装置300の処理を終了する。
【0042】
なお、本実施の形態においては、映像モニタ330と車両情報モニタ340を用いて、2つのモニタにカメラ映像と車両情報をそれぞれ表示するようにしたが、モニタが1つだけの場合であっても、これらの表示を切り替えたり、半分ずつ表示したり、重ねて表示するようにしたりしてもよい。
【0043】
以上のように構成することで、以下のような効果を得ることができる。
本発明の実施の形態2によれば、ホーム柵の開閉扉および車両の乗降用ドアの異物感知センサが開閉異常を検出した場合、乗務員または運転士は、列車内のモニタを目視するだけで、ホーム柵の開閉扉および列車の乗降用ドアの動作状態を一目で確認することができるので、効率的かつ効果的に安全確認することができる。
また、さらに、列車内の乗務員または運転士は、列車出発時に、列車内の映像モニタと車両情報モニタを目視するだけで、プラットホーム上の安全確認と、ホーム柵の開閉扉および列車の乗降用ドアの動作確認および異常発生場所の位置確認までを含め同時に行うことができるので、視線を大きく移動させることなく安全確認が容易に行える。
【符号の説明】
【0044】
1:プラットホーム、10:ホーム映像伝送装置、10a:ラック、20:ホーム柵、21,21a,21b,21c,21c:開閉扉、22,22a,22b,22c,22d:異物感知センサ、23,23a,23b,23c,23d:扉駆動部、30,30a,30b:ホーム監視カメラ、40:映像処理部、50:センサ制御部、60:送信部、70:扉開閉スイッチ、100:映像表示装置、110:受信部、120:制御部、130:モニタ、131:開閉状態情報、200:列車、200a:運転室、200b:1号車両、200c:2号車両、210,210a,210b,210c,210d:乗降用ドア、220,220a,220b,220c,220d:ドア異物感知センサ、300:映像表示装置、310:受信部、320:制御部、330:映像モニタ、340:車両情報モニタ。

図2
図5
図1
図3
図4
図6