【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1に記載の発明の二重サッシ内蔵壁パネルは、サッシが収納される開口部が厚さ方向に貫通して形成され、前記開口部の周囲にフレームを有する壁パネルであり、
前記フレームが中実断面であり、前記開口部上下の上枠部と下枠部、及び幅方向両側の縦枠部とに区分され、この上枠部と両縦枠部と下枠部の各内周面が周回しており、
前記開口部が互いに異なる立面形状をする内側開口部と外側開口部とに前記フレームの厚さ方向に区分され、
前記上枠部と前記下枠部の少なくともいずれか一方における前記内側開口部の内周面と前記外側開口部の内周面との間に段差があり、前記両縦枠部の少なくともいずれか一方の縦枠部における前記内側開口部の内周面と前記外側開口部の内周面との間に段差があり、
前記内側開口部と外側開口部にそれぞれ異なる寸法の内側サッシと外側サッシが収納されていることを構成要件とする。
【0013】
「壁パネル」は壁として使用されるユニット化された版のことであり、主に外壁に使用されるが、耐力壁(耐震壁を含む)か非耐力壁(間仕切り壁)かを問わず、内壁に使用されることもある。外壁に使用される場合には、耐力壁としての外壁に形成された開口部に収納される場合と、カーテンウォールのパネルとして躯体に支持される場合がある。壁パネルが屋内の内壁に使用されることもあることから、壁パネルを挟んだ一方側(内側)と他方側(外側)を室内側と室外側を呼ぶが、内壁に使用される壁パネルを隔てた室の内外は相対的な関係に過ぎず、一方の室の室内側は他方の室の室外側になる。室外は屋外を含む。
【0014】
「サッシ」はガラス、もしくはそれに類似するアクリル板等の合成樹脂板(以下、ガラス等と言う)とその周囲を保持する框組みからなる障子単体の場合と、障子(ガラス等)を嵌殺し状態に、もしくは開閉自在に収納したサッシ枠を含む場合がある。開口部を除くフレームはプレキャストコンクリート、もしくはコンクリートと同等のモルタル、合成樹脂、あるいはアルミニウム合金等で形成され、材料に応じ、中実断面
で形成される。
【0015】
「開口部が厚さ方向に貫通」とは、開口部が壁パネルの厚さ方向に貫通していることを言う。壁パネルの厚さ方向とフレームの厚さ方向は同義である。フレームは壁パネルの内、開口部を除いた部分であり、開口部を包囲するように周回し、開口部上下の上枠部と下枠部、及び幅方向両側の縦枠部とに区分される。開口部は壁パネルの厚さ方向には内側サッシが収納される内側開口部と外側サッシが収納される外側開口部とに区分される。
【0016】
「互いに異なる立面形状をする内側開口部と外側開口部」とは、内側開口部と外側開口部が、それぞれを壁パネルの室内側と室外側から見たときに異なる立面形状をしていることである。「異なる立面形状」とは、例えば内側開口部と外側開口部が方形状をしている場合に、互いに同一(合同)でない方形状をしていることであり、具体的には
図1に示すように内側開口部と外側開口部のいずれか一方の高さ寸法(内法)が他方の高さ寸法より小さい(大きい)か、
図2に示すようにいずれか一方の幅寸法(内法)が他方の幅寸法より小さい(大きい)ことを言う。但し、内側開口部と外側開口部は共に、必ずしも方形状である必要はない。
【0017】
「内側開口部と外側開口部にそれぞれ異なる寸法の内側サッシと外側サッシが収納される」とは、内側開口部と外側開口部の内法に対応した寸法の内側サッシと外側サッシがそれぞれに収納されることを言う。内側サッシ4と外側サッシ5はそれぞれ内側開口部31と外側開口部32の内周側に、
図1、
図2における外側サッシ5のように完全に納まる(内付けされる)場合と、内側サッシ4のように壁パネル1の面外方向(見込み方向)に突出して納まる(外付け・半外付けされる)場合がある。内側開口部31と外側開口部32のそれぞれに内側サッシ4と外側サッシ5が収納されることで、内側サッシ4の室外側の面と外側サッシ5の室内側の面との間に空気層6が形成される。
【0018】
図1は外側開口部32の高さ寸法(内法)が内側開口部31の高さ寸法(内法)より大きい場合の壁パネル1の形成例を示す。ここに示すように下枠部22における外側開口部32の内周面(上向き面:見込み面)と内側開口部31の内周面(上向き面:見込み面)が同等のレベルに位置し、実質的に揃えられている場合、内側開口部31と外側開口部32が互いに異なる立面形状をすることで、開口部3を除いたフレーム2を構成する上枠部21と下枠部22、及び縦枠部23、23の少なくともいずれかの枠部の室内側を向く室内側見付け面の見付け幅と室外側を向く室外側見付け面の見付け幅を相違させることが可能になる。
【0019】
図1、
図2の例では上枠部21の室内側見付け面21aの見付け幅が室外側見付け面21bの見付け幅より大きく、一方の縦枠部23の室内側見付け面23aの見付け幅が室外側見付け面23bの見付け幅より大きくなっているが、内側開口部31と外側開口部32の立面形状と面積に応じ、上枠部21のみ等、いずれか1本の枠部のみの見付け幅が室内側と室外側とで相違する場合と、いずれか2本以上の枠部の見付け幅が室内側と室外側とで相違する場合がある。
【0020】
請求項1ではフレーム2を構成する上枠部21と下枠部22、及び縦枠部23、23の少なくともいずれかの枠部の、室内側見付け面21aの見付け幅と室外側見付け面21bの見付け幅を相違させることができる結果、室内側見付け面21aと室外側見付け面21bの内、見付け幅が大きい見付け面(室内側見付け面21a)の反対側の、二重サッシ4、5間に形成される空気層6に面する位置に中間部見付け面21cを形成することが可能になる(請求項2)。中間部見付け面21cは上枠部21と下枠部22、及び縦枠部23、23の少なくともいずれかの枠部の見込み方向中間部に形成される。「見付け面の反対側の面」は枠部での見付け面の反対側に位置する面を指す。
【0021】
図1の上枠部21で言えば、室内側見付け面21aの見付け幅が室外側見付け面21bの見付け幅より大きいため、室内側見付け面21aの反対側に空気層6に面する中間部見付け面21cが形成される。
図1の上枠部21が室内側と室外側を入れ換えた形になった場合には、室外側見付け面21bの見付け幅が室内側見付け面21aの見付け幅より大きくなるため、室外側見付け面21bの反対側に空気層6に面する中間部見付け面21cが形成されることになる。
【0022】
また
図2に示す一方の縦枠部23(室内から室外を見たときの左側の縦枠部23)に着目すれば、室内側見付け面23aの見付け幅が室外側見付け面23bの見付け幅より大きいため、室内側見付け面23aの反対側に空気層6に面する中間部見付け面23cが形成される。ここでも縦枠部23が室内側と室外側を入れ換えた形になった場合には、室外側見付け面23bの見付け幅が室内側見付け面23aの見付け幅より大きくなるため、室外側見付け面23bの反対側に空気層6に面する中間部見付け面23cが形成されることになる。
【0023】
請求項2では枠部の見込み方向中間部の空気層6に面する位置に中間部見付け面21cが形成されることで、中間部見付け面21cとその反対側の、見付け幅が大きい室内側見付け面21a、もしくは室外側見付け面21bとの間に、還気口、もしくは排気口として利用可能な貫通孔24を形成することが可能になる(請求項3)。貫通孔24は枠部を見込み方向に貫通して形成される。
【0024】
図1の例では上枠部21における外側開口部32の内周面(下向き面::見込み面21d)が内側開口部31の内周面(下向き面:見込み面21f)より上に位置し、外側開口部32の内周面(見込み面21d)と内側開口部31の内周面(見込み面21f)をつなぐ中間部見付け面21cは外側サッシ5の室内側に位置し、室外側を向いた状態で外側サッシ5の室内側に存在する空気層6に面する。この場合の上枠部21では中間部見付け面21cとその反対側の室内側見付け面21aとの間に枠部(上枠部21)を見込み方向に貫通する貫通孔24が形成される。
図1の上枠部21が室内側と室外側を入れ換えた形になった場合には、中間部見付け面21cとその反対側の室外側見付け面21bとの間に貫通孔24が形成される。
【0025】
図2では前記一方の縦枠部23における外側開口部32の内周面(見込み面23d)が内側開口部31の内周面(見込み面23f)より開口部3の中心に対して外周側に位置し、外側開口部32の内周面(見込み面23d)と内側開口部31の内周面(見込み面23f)をつなぐ中間部見付け面23cは外側サッシ5の室内側に位置し、室外側を向いた状態で外側サッシ5の室内側に存在する空気層6に面する。
【0026】
この一方の縦枠部23では中間部見付け面23cとその反対側の室内側見付け面23aとの間に二点鎖線で示すように枠部(縦枠部23)を見込み方向に貫通する貫通孔24が形成可能になっている。
図2の一方の縦枠部23が室内側と室外側を入れ換えた形になった場合には、中間部見付け面23cとその反対側の室外側見付け面23bとの間に貫通孔24が形成可能になる。貫通孔24が形成される枠部は上枠部21と縦枠部23には限られず、下枠部22に形成されることもある。
【0027】
また
図1に示す例の上枠部21における外側開口部32の内周面(見込み面21d)と、
図2に示す例の一方の縦枠部23における外側開口部32の内周面(見込み面23d)の、外側サッシ5より室内側に位置する部分(区間)は中間部見付け面21c、23cに連続することで、二重サッシ4、5間の空気層6に面する状態にあるため、これらの両枠部21、23における外側開口部32の内周面(見込み面21d、23d)は空気層6を通過した空気を、外側開口部32を通じて室外側へ排出するために利用可能となる。
【0028】
具体的には例えば
図1における上枠部21の室外側の部分と
図2における縦枠部23の室外側の部分に二点鎖線で示すように外側開口部32の内周面(見込み面21d、23d)から、各枠部21、23の室外側見付け面21b、23bとの間に連続する、排気口としての貫通孔21e、23eを形成することで、空気層6を通過した空気を外側開口部32の内周面(見込み面21d、23d)から室外へ排出することが可能である。外側開口部32の内周面(見込み面21d、23d)を通じた排気の状況は
図4−(b)、(d)に示す排気の形態に相当する。
【0029】
貫通孔24は枠部(フレーム2)が中実断面の場合、中間部見付け面21cと室内側見付け面21a、もしくは室外側見付け面21bとの間に貫通して形成されればよく、例えばフレーム2を成形するための型枠(堰板)内の貫通孔24の形成位置に中空断面の、または離脱可能な部材を埋設しておくことで形成される。枠部が中空断面の場合には、中間部見付け面21cと室内側見付け面21a、もしくは室外側見付け面21bへの孔の形成では還気、もしくは排気すべき空気が枠部の内部に漏れるため、枠部の中間部見付け面21cと室内側見付け面21a、もしくは室外側見付け面21bとの間に中空の管を跨設することにより貫通孔24を枠部の内部に連通させることなく形成することが
必要になる。
【0030】
請求項3では見付け幅が大きい室内側見付け面21a、もしくは室外側見付け面21bと空気層6に面する中部見付け面21cとの間に貫通孔24を形成可能であることで、空気層6を通過した空気を室内側へ取り込むための還気用等のダクト8等をフレーム2のいずれかの枠部の室内側に直接、接続することが可能になる。この結果、ダクト8等とフレーム2(壁パネル1)外の部位との取り合いが不要になるため、ダクト8の敷設を各層(各階)単位で済ませることができ、敷設工事が単純化される。貫通孔24を還気口として利用する場合、還気口に入り込む空気は一旦、室内に取り込まれた後に、ダクト8を通じて室外(屋外)へ排出されることもあり、その場合には還気口(貫通孔24)は結果的には排気口になる。
【0031】
図1における上枠部21の中間部見付け面21cと外側サッシ5のガラス等、障子51の室内側の面との間には内側サッシ4との間に存在する空気層6に連続するクリアランスがフレーム2(枠部)の見込み方向(厚さ方向)に形成され、中間部見付け面21cはこのクリアランスに面することで、空気層6に面する状態にある。空気層6は外側サッシ5の障子51の室内側の面と内側サッシ4のガラス等、障子41の室外側の面との間に形成され、内側サッシ4と外側サッシ5間の空気層6を通過した空気はクリアランスを経由して上枠部21の中間部見付け面21cに到達する。
【0032】
従って
図1の例で言えば、上枠部21において空気層6に面する中間部見付け面21cとその反対側に位置する(反対側の面である)室内側見付け面21aとの間に両面間を貫通する貫通孔24が形成されれば、貫通孔24は空気層6と室内の双方に連通するため、空気層6を通過した空気を二重サッシの外側である室内側へ、または室内を通じて室外側へ排出することが可能になる。
【0033】
ここで、
図1に示す壁パネル1は外側開口部32の高さ寸法が内側開口部31の高さ寸法より大きいことで、上枠部21は室内側見付け面21aの見付け幅が室外側見付け面21bの見付け幅より大きい形状をするため、室内側見付け面21aに突き合わせる形でダクト8等を接続するだけで、貫通孔24にダクト8等を連通させることが可能であり、壁パネル1の範囲外に及ぶことなく、壁パネル1の立面の範囲内にダクト8を配置すればよくなる。
図1に示す例の場合、上枠部21の室内側見付け面21aの領域(範囲)内に、具体的には室内側見付け面21aの内、室外側見付け面21bの重なり部分を除いた領域(範囲)内に貫通孔24が形成されるため、室内側見付け面21aに直接、上記したダクト8を突き合わせて接続することが可能になっている。
【0034】
以上のことを整理すれば、請求項1の「内側開口部31と外側開口部32が互いに異なる立面形状をすること」の要件から「フレーム2を構成する上枠部21と下枠部22、及び縦枠部23、23の内、少なくともいずれかの枠部の室内側見付け面21aの見付け幅と室外側見付け面21bの見付け幅が相違すること」が言える。この要件から直接的に「室内側見付け面21aと室外側見付け面21bの内、見付け幅が大きい見付け面の反対側に、空気層6に面する中間部見付け面21cが形成されること」(請求項2)の要件が導出される。更に「中間部見付け面21cが空気層6に面する状態で形成されること」の要件から「見付け幅の大きい室内側見付け面21a、もしくは室外側見付け面21bとそれに対向する中間部見付け面21cとの間に貫通孔24が形成可能であること」の要件が導出される(請求項3)。
【0035】
外側サッシ5と内側サッシ4間の空気層6には例えば
図1に示すように下枠部22と内側サッシ4との間に形成された通気口(通気孔)25から室内空気(内気)が送り込まれるか、または下枠部22と外側サッシ5との間に形成される通気口(通気孔)25から室外空気(外気)が取り込まれる。すなわち、通気口(通気孔)25は貫通孔24が形成された枠部(上枠部21)以外の枠部(下枠部22、もしくは縦枠部23)、もしくはその枠部に保持される少なくともいずれかのサッシの枠(サッシ枠42、52)、または枠部とサッシの枠(サッシ枠42、52)との間の少なくともいずれかに形成され、室内、もしくは室外に連通する(請求項4)。通気口の「口」はフレーム2の枠部、もしくはサッシ枠、框等に穿設される孔と、枠部とサッシ枠間、またはサッシ枠と框間等に確保される空隙等の空間その他、開口全般を含む。
【0036】
ここで言う「枠部」は壁パネル1のフレーム2を構成する上枠部21と下枠部22、及び縦枠部23、23の少なくともいずれかの枠部を指し、「サッシの枠」は内側開口部31に収納される内側サッシ4、もしくは外側開口部32に収納される外側サッシ5の枠(サッシ枠42、52)であり、上枠421、521、下枠422、522、縦枠423、523の少なくともいずれかを指す。室内側の通気口25は例えば
図1に示すようにサッシ枠42を構成する下枠422と内側サッシ4の下框412との間に空隙を確保するか、または下枠422の、室内に面するいずれかの部分に孔を穿設するか、ガラリを配置する、あるいは無双窓式のスライド自在な板を配置することにより形成される。室外側の通気口25も同様である。
【0037】
請求項4では貫通孔24が上枠部21と下枠部22と縦枠部23のいずれかに形成され、空気層6を通過する空気が、貫通孔24が形成される枠部以外のいずれかの枠部の通気口25から取り込まれることで、
図4−(a)〜(d)に示すように空気の取り込み口(導入口)としての通気口25と空気層6を通過した空気の排出口、もしくは還気口としての貫通孔24の組み合わせを複数通りに設定することが可能である。
【0038】
図4−(a)は
図1の例と同じく通気口25を下枠部22の室内側に形成し、還気口としての貫通孔24を上枠部21の室内側に形成した場合、(b)は通気口25を下枠部22の室内側に形成し、排出口としての貫通孔24を上枠部21の室外側に形成した場合である。(c)は通気口25を下枠部22の室外側に形成し、還気口としての貫通孔24を上枠部21の室内側に形成した場合、(d)は通気口25を下枠部22の室外側に形成し、排出口としての貫通孔24を上枠部21の室外側に形成した場合である。
【0039】
但し、
図4の各図に矢印で示すように下枠部22における通気口25と、上枠部21における還気口、もしくは排気口としての貫通孔24、あるいは貫通孔21eは季節に応じて互いに逆転することもあり、上枠部21の貫通孔24、21eが導入口としての通気口になり、下枠部22の通気口が還気口、もしくは排気口になることもある。その他、例えば通気口25を上枠部21、もしくは縦枠部23に形成し、貫通孔24、23eを下枠部22、もしくは縦枠部23に形成する等、通気口25と貫通孔24、23eはそれぞれ下枠部22と上枠部21以外にも形成可能であるから、通気口25と貫通孔24、21e、23e間の、空気層6を通じた通気は
図4以外にも複数通りに設定可能である。
【0040】
請求項1ではまた、内側開口部31と外側開口部32が互いに異なる立面形状をすることで、壁パネル1の外形線に対する外側サッシ5の外形線を任意の位置に配置することが可能になっているため、複数枚の壁パネル1が外壁7の構面に添って水平方向と鉛直方向に配列する場合に、
図7に示すように各壁パネル1の外形線に対する外側サッシ5の外形線の位置を相違させることで、外壁7のデザインに変化を持たせる効果も得られる。
【0041】
壁パネル1は
図6に示すように外壁7の構面に添った水平方向と鉛直方向にそれぞれ複数枚、配列したときに、統一感のある外壁面を構成する他、
図7に示すように壁パネル1内の外側サッシ5が外壁面に無秩序に配列する等、窓の配列に変化を持たせるような外壁面を構成することが可能である。
図7は同一形状で、同一寸法のフレーム2の立面形状(外郭形状)に対して異なる立面形状と面積の外側サッシ5を収納し、異なる外観を有する複数枚の壁パネル1を水平方向と鉛直方向に配列させたときの外壁面の構成例を示している。
【0042】
また例えば
図1における上枠部21の外周面(上端面)と下枠部22の外周面(下端面)が
図4−(a)〜(d)に示すように平坦面に形成されているとすれば、壁パネル1(フレーム2)は面外方向(見込み方向)の両表面が室内側と室外側のいずれを向いても使用可能な形状をすることになる。
【0043】
その場合、前記のように
図1において貫通孔24が形成されている室内側見付け面21aを室外側に向け、室外側見付け面21bにしたときには、貫通孔24は室外に連通するため、壁パネル1の向きを変えるだけで、貫通孔24を排気口として利用し、空気層6を通過した空気を貫通孔24を通じて二重サッシの外側である室外側へ排出することが可能になる。
【0044】
このようにフレーム2の外周面が平坦面に形成される等、壁パネル1自身が室内側と室外側の向き(違い)を持たない場合には、同一の壁パネル1における枠部の貫通孔24を還気用にも排気用にも使用でき、壁パネル1が室内側と室外側を単純に入れ換えて使用することに対応可能であるため、単一の壁パネル1を2通りの用途に兼用することが可能になる。
【0045】
図1に示す壁パネル1の室内側と室外側を単純に入れ換えた状態を想定すれば、上枠部21の室外側(室外側見付け面21b)の見付け幅が大きくなるため、その室外側見付け面21bの内、室内側見付け面21aの重なり部分を除いた領域(範囲)内に、上枠部21を厚さ方向に貫通する貫通孔24を形成することが可能である。このときの貫通孔24は
図1に示す壁パネル1における貫通孔24と違いはないため、
図1に示す壁パネル1の室内側と室外側を入れ換えるだけで、貫通孔24を排気口として利用可能になる。
【0046】
このように同一形態(形状)で、同一寸法の壁パネル1でありながら、室内側の面と室外側の面を入れ換えるだけで、上枠部21等の見付け幅が大きい見付け面を室内側に向けたときに、貫通孔24が形成された見付け面(室内側見付け面21a)に還気用のダクト8を接続することができる。一方、上枠部21等の見付け幅が大きい側を室外側に向けたときの室外側見付け面21bとなる同一の見付け面に排気口(貫通孔24)が形成されるため、1種類の壁パネル1の使用により還気と排気の2通りの設計に対応することが可能になる。室内側を向いたときの見付け面にダクト8が接続され、室外側を向いたときに排気口として利用される貫通孔24の形成位置は上枠部21には限らず、下枠部22になることもあれば、縦枠部23になることもある。