(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のスリット(36b)及び前記第2のスリット(36b)は、その一端が連結されて1つのスリット(36a)として前記基部の左右方向の一端部(32b)まで延びるように形成されることを特徴とする請求項1記載のブラインド用スラット固定装置。
【背景技術】
【0002】
従来のブラインド用スラット固定装置としては、特許文献1に示されるスラット補強具が知られている。これに示されるものは、主体部分の両端にスラットの幅よりも稍広い幅で対向する第1突設部分および第2突設部分が設けられ、主体部分の第1突設部分側の際に、第1突設部分を一対の弾性片として機能させる内側へ延びた一対の切欠部が設けられ、第1突設部分の両端の内側には乗り越えたスラットに係合する第1係止爪が設けられ、第2突設部分の内側にはスラットに係合する少なくとも1つの第2係止爪が設けられている。
【0003】
これにより、スラットの一方の側縁を第2係止爪に係止させた状態でスラットの他方の側縁を主体部分側へ押圧することにより、スラットにスラット補強具を取付けることができるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に示されるスラット補強具では、その取付方法に自由度が低く、向きや手順を考慮しながら作業を行わなければならないという問題がある。
【0006】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、スラットへの取付方法の自由度が高く、作業性を向上させることができるブラインド用スラット固定装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明
の一態様は、スラットをラダーテープに固定するブラインド用スラット固定装置であって、スラット前後方向に渡って設けられる基部と、基部の前後両端部に形成されてスラットの前後縁部に係止する少なくとも一対の係止片と、基部の左右方向における一端部の方向へと他端部から延びる切欠部と、基部の前方向端部と切欠部との間で左右方向に延びるように形成された第1のスリットと、基部の後方向端部と切欠部との間で左右方向に延びるように形成された第2のスリットと、を備え、スラットの一面に直線状に配されたラダーテープの中段が、該一面と基部の前方向端部との間、該一面と基部における第1のスリット及び切欠部の間の部分との間、該一面と基部の後方向端部との間、及び、該一面と基部における第2のスリット及び切欠部の間の部分との間で挟持されることを特徴とする。
また、前記第1のスリット及び前記第2のスリットは、その一端が連結されて1つのスリットとして前記基部の左右方向の一端部まで延びるように形成されることを特徴とする。
【0008】
さらに、前記切欠部には、スラットを昇降可能な昇降コードが挿通されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、固定装置にラダーテープを挟んだ状態でスラットを押し込むことにより、弾性変形によりスリット幅及び/または切欠幅が広がって一対の係止片の間隔を広げることができて、係止片がスラットを受け入れてスラットの前後縁部に係止することができる。このため、基部は、様々に弾性変形することができ、スラットを固定するための作業の自由度を高め作業性を向上させることができる。スリットと切欠部がともに広がる場合には、基部を大きく変形することが可能であり、その作業性をより一層に向上させることができる。
【0010】
基部の弾性変形の自由度が高いために、係止片の強度を高める必要はないことから、固定装置の高さを肉薄に構成することができ、スラットの回転性への影響を最少限にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る横型ブラインドの正面図である。
【
図2】スラットに取付けられた固定装置付近の斜視図である。
【
図3】固定装置の弾性変形の形態を表す平面図であり、(a)は自然状態を、(b)は均等に広げた状態を、(c)は基部の一端部側を広げた状態を、(d)は基部の他端部側を広げた状態を、それぞれ示す。
【
図4】スラットに固定装置を取付けるときに基部が変形している状態を示す側面図である。
【
図5】スラットに固定装置を取付けた状態を示す側面図である。
【
図6】スラットに固定装置が取付けた状態を示す斜視図であり、固定装置部分のスラットを仮想線で示す。
【
図7】(a)は固定装置の基部が広げられた状態を示す平面図(スラットを仮想線で示す)、(b)はスラットに固定装置を取付けた状態を示す平面図(スラットを仮想線で示す)、(c)はスラットに固定装置を取付けた状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1に示すように、ブラインド10は、ブラケット12を介して図示していない窓枠等に固定されるヘッドボックス14を有しており、ヘッドボックス14の一端には、回転操作棒16が垂下している。
【0014】
回転操作棒16はヘッドボックス14内に回転可能に配設される回転軸18の回転を操作可能となっている。回転軸18上には、回転軸18と一体回転可能となった回転ドラム20が設けられており、
図2に示すように、回転ドラム20にはラダーテープ22の上端が連結されており、回転ドラム20の回転によってラダーテープ22は傾動可能となっている。ラダーテープ22の中段22aには多数のスラット24が整列状態に載置されており、ラダーテープ22の下端はスラット24列の下端に配設されるボトムレール26に連結される。ラダーテープ22が傾動することにより、スラット24及びボトムレール26がともに回転することができる。ボトムレール26には昇降コード28の一端が連結されており、昇降コード28の他端はスラット24に形成されている挿通孔24aを挿通してヘッドボックス14内に導入され、ヘッドボックス14の一端からストッパ29を介してヘッドボックス14外に導出され、ボトムレール26の一端に連結される。ヘッドボックス14外に導出された昇降コード28を上下させることにより、スラット24及びボトムレール26が昇降することができる。
【0015】
図2に示すように、最上段のスラット24には、ラダーテープ22の中段22aに載置されているスラット24の前後縁をラダーテープ22に固定するための固定装置30が取付けられている。
【0016】
図3に示すように、固定装置30は、プラスチック等の素材で構成されており、スラット24の前後方向略全体に渡って設けられる基部32と、基部32の前後両端部32a、32aの左右方向の一端部32bと他端部32cの近傍にそれぞれ一対ずつ対向して切り起こし的に形成される係止片34と、基部32の前後両端部32a、32aにおいて一対の係止片34の間に形成され、ラダーテープ22が挿入される案内部としての凹部40、40とから構成される。基部32とスラット24との間にラダーテープ22の中段22aを挟み付けると共に、凹部40によってラダーテープ22の垂直部22bと中段22aとの連結部の規制を行うことで、スラット24をラダーテープ22に固定することができる。
【0017】
基部32には、前後方向中央にスリット36が形成されており、スリット36は、基部32の一端部32bから他端部32c方向に直線状に延びる直線部36aと、直線部36aの他端部側端部から他端部32cに向かって二股状に延び
て第1及び第2のスリットに分かれる二股部36b、36bと、から構成される。また、基部32には、前後方向中央に切欠部38が形成されており、切欠部38は、他端部32cから基部32の中央付近まで形成されており、切欠部38の一端部側端部は、スリット36の二股部36b、36bの間に配設されている。切欠部38には昇降コード28が挿通可能である。
【0018】
基部32の一端部32b側に形成された一対の係止片34の間には、スリット36の直線部36aが横切っており、基部32の他端部32c側に形成された一対の係止片34の間には、切欠部38が横切っている。
【0019】
一対の係止片34は、その互いに対向する先端がテーパ状に形成されたテーパ部34aとなっており、テーパ部34aにより、スラット24に固定装置30を取付ける際に、係止片34の上方からスラット24を押し込んだときに、スラット24を受け入れ易くなっている。また、スラット24の前後縁24b、24bがテーパ部34aを押圧することにより、基部32に前後方向に広がるように弾性変形させる力を加え易くなっている。
【0020】
基部32は弾性変形した際に様々な形態をとることができ、その一部を
図3に基づいて説明する。
【0021】
図3(a)は、固定装置30に何も力を加えていない場合であり、固定装置30は変形していない自然状態となっている。
【0022】
図3(b)は、固定装置30を前後方向に均等に広げるように力を加えた場合であり、基部32は、スリット36の直線部36a、二股部36b、36b及び切欠部38の全ての幅が広がるように弾性変形する。このとき、二股部36b、36bと切欠部38に挟まれた基部32の湾曲部分が曲率を小さくするように変形する。これにより、基部32の両端部32b、32cの近傍の一対の係止片34同士の間隔が均等に広がることができる。
【0023】
図3(c)は、固定装置30に基部32の一端部32b側を広げるように力を加えた場合であり、基部32は、スリット36の直線部36aの一端部32b側の幅が広がり、切欠部38の他端部32c側の幅が狭まるように弾性変形する。このとき、二股部36b、36bと切欠部38に挟まれた基部32の湾曲部分が曲率を大きくするように変形する。これにより、一端部32b側の一対の係止片34同士の間隔が広がり、他端部32c側の一対の係止片34同士の間隔が狭まることができる。
【0024】
図3(d)は、固定装置30に基部32の他端部32c側を広げるように力を加えた場合であり、基部32は、切欠部38の他端部32c側の幅が広がり、スリット36の直線部36aの一端部32b側の幅が狭まるように弾性変形する。このとき、二股部36b、36bと切欠部38に挟まれた基部32の湾曲部分が曲率を小さくするように変形する。これにより、一端部32b側の一対の係止片34同士の間隔が狭まり、他端部32c側の一対の係止片34同士の間隔が広がることができる。
【0025】
固定装置30のスラット24への取付けは、
図3に示すような様々な弾性変形の形態を利用し、作業のし易さに応じて様々な手順で行うことができるが、その一例を
図4ないし
図7に基づいて説明する。尚、図においては、中段22aは省略する。
【0026】
まず、基部32の前後端部32a、32aとスラット24の前後縁部24b、24bの方向が一致するとともに、基部32の切欠部38とスラット24の挿通孔24aの位置が一致するように、且つ、基部32の上に凹部40、40間を通過するように中段22aが位置するようにして、固定装置30の係止片34の上にスラット24を載置する。
【0027】
次に、
図4中矢印Aに示すように、スラット24の前後縁を係止片34方向に押圧する。これにより、
図4中矢印Bで示すように、基部32を前後方向に広げる力が加わるため、
図3(b)及び
図7(a)に示すように、基部32は、スリット36の直線部36a、二股部36b、36b及び切欠部38の全ての幅が広がるように弾性変形する。このため、
図4中仮想線で示すように、スラット24が係止片34を乗り越えて基部32と係止片34の間に移動する。
【0028】
スラット24が基部32と係止片34の間に移動すると、基部32を前後方向に広げる力がなくなるため、基部32は
図3(a)に示す自然状態となり、
図5、
図6、
図7(b)及び
図7(c)に示すように、基部32と係止片34との間にスラット24が組み付けられた状態となる。この組み付けられた状態では、スラット24の上面に係止片34が、スラット24の下面に基部32が、スラット24の前後縁に凹部40が、スラット24の挿通孔24aに基部32の切欠部38が、それぞれ位置する。
【0029】
このように、基部32に形成したスリット36及び切欠部38と、係止片34のテーパ部34aにより、スラット24を係止片34方向に押圧するだけで、固定装置30は容易に弾性変形し、スラット24に取付けられる。
【0030】
スラット24に固定装置30を取付ける手順の別の例としては、まず、
図3(c)に示すように、固定装置30の一端部32b側の一対の係止片34にスラット24を押し付けて弾性変形させて、これら係止片34の間隔を広げてスラット24を乗り越えさせる。この後、固定装置30の他端部32c側の一対の係止片34にスラット24を押し付けて弾性変形させて、これら係止片34の間隔を広げてスラット24を乗り越えさせて、スラット24に固定装置30を取付けるようにしてもよい。
【0031】
また、この逆、すなわち、先に
図3(d)に示すように、固定装置30の他端部32c側の一対の係止片34にスラット24を押し付けて弾性変形させて、これら係止片34の間隔を広げてスラット24を乗り越えさせた後に、固定装置30の一端部32b側の一対の係止片34にスラット24を押し付けて弾性変形させて、これら係止片34の間隔を広げてスラット24を乗り越えさせて、スラット24に固定装置30を取付けるようにしてもよい。
【0032】
また、さらに別の例として、固定装置30の前後端部32a、32aのうち一方の端部32aの2つの係止片34と基部32との間にスラット24を挿入した後、他方の端部32aの2つの係止片34にスラット24を押し付けて基部32を
図3(b)に示すように両端部32b、32cが均等に広がるように弾性変形させて、一対の係止片34の間隔を広げることにより、スラット24を乗り越えさせて、他方の端部32aの2つの係止片34と基部32との間にスラット24を移動させて、スラット24に固定装置30を取付けるようにしてもよい。
【0033】
このように、固定装置30の弾性変形が容易であるため、どのような手順で固定装置30をスラット24に取付ける場合であっても、スラット24に無理な力が作用せず、スラット24の変形を防止することができる。
【0034】
また、固定装置30は最も面積が広い基部32が変形するため、強度が確保されており、且つその弾性変形の自由度が高いために、係止片34の強度を高める必要はないから、固定装置30の高さを肉薄に構成することができ、スラット24の回転に影響を与えることがない。
【0035】
また、固定装置30の切欠部38が基部32の他端部32cから基部32の中央付近まで形成されており、他端部32cから切欠部38内に昇降コード28を挿入することができるため、昇降コード28を挿通させたスラット24に後から固定装置30を取付けることもできる。
【0036】
尚、以上の例では、固定装置30が下方からスラット24に取付けられて、スラット24が載置されるラダーテープ22の中段22aを固定装置30とスラット24とで挟み付けるようにしていたが、これに限るものではない。例えば、各スラット24が一対の中段22aの間を挿通する場合には、固定装置30が上方からスラット24に取付けられて、スラット24の上側に配置される中段22aを固定装置30とスラット24とで挟み付けるようにしてもよい。