特許第6092545号(P6092545)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6092545カルボシロキサンデンドリマー構造および親水性基を有する共重合体およびその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092545
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】カルボシロキサンデンドリマー構造および親水性基を有する共重合体およびその用途
(51)【国際特許分類】
   C08F 230/08 20060101AFI20170227BHJP
   A61K 8/893 20060101ALI20170227BHJP
   A61K 8/91 20060101ALI20170227BHJP
   C08L 33/14 20060101ALI20170227BHJP
   C08K 5/00 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   C08F230/08
   A61K8/893
   A61K8/91
   C08L33/14
   C08K5/00
【請求項の数】3
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2012-182828(P2012-182828)
(22)【出願日】2012年8月22日
(65)【公開番号】特開2014-40511(P2014-40511A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2015年8月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000110077
【氏名又は名称】東レ・ダウコーニング株式会社
(72)【発明者】
【氏名】飯村 智浩
(72)【発明者】
【氏名】林 昭人
(72)【発明者】
【氏名】古川 晴彦
【審査官】 岸 智之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−136677(JP,A)
【文献】 特開2003−226611(JP,A)
【文献】 特開2010−018612(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/049248(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/026538(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 230/08
A61K 8/893
A61K 8/91
C08K 5/00
C08L 33/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記式(1):
【化1】
{式中、
Zは、2価の有機基であり、
pは、0又は1であり、
1及びR2は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、
1は、i=1とした場合の下記式(2)で示されるシリルアルキル基
【化2】
(式中、
Z及びpは、前記と同じであり、
1及びR2は、前記と同じであり、
iは、前記シリルアルキル基の総階層数を示す1〜10の整数であり、
i+1は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基及び前記シリルアルキル基からなる群から選択される基であり、但し、i=c(cは前記シリルアルキル基の階層を示す1〜10の整数である)の場合は、Li+1は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、i<cの場合は前記シリルアルキル基であり、
aiは0〜3の整数である)である}で示されるカルボシロキサンデンドリマー構造を有する不飽和単量体、
(B1)分子中に少なくとも1つの一価または多価アルコール性水酸基を有する不飽和単量体 および
(C1)一般式:CH2=CR15COORfで表される不飽和単量体(式中、R15は水素原子又はメチル基であり、Rfはフルオロアルキル基またはフルオロアルキルオキシフルオロアルキレン基である)を
{(A)成分の質量/全単量体の質量}:{(B1)成分の質量/全単量体の質量}:{(C1)成分の質量/全単量体の質量}が、[0.35〜0.50:0.10〜0.40:0.10〜0.50]の範囲であり、かつ{(A)成分の質量/全単量体の質量}≧{(B)成分の質量/全単量体の質量}の条件を満たす質量比で共重合して得られる共重合体 100質量部
(D)シリコーンオイル 50〜500質量部
を含有してなる液状組成物を含有する化粧料原料
【請求項2】
さらに、(E)1種類以上の粉体または着色剤を含有してなる、請求項1の化粧料原料。
【請求項3】
前記粉体が、(E1)撥水化処理粉体または着色剤である、請求項2の化粧料原料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分子中にカルボシロキサンデンドリマー構造および親水性基を有する新規な共重合体に関し、好適には、さらに分子中にフッ素含有有機基を有する共重合体に関する。また、本発明は当該共重合体を含む液状組成物、表面処理剤、粉体組成物およびこれらを含有してなる化粧料原料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧料用の各種表面処理剤として、メチルハイドロジェンポリシロキサンが広く用いられている。メチルハイドロジェンポリシロキサンで処理した粉体は、撥水性が高いため、化粧崩れ防止性を向上させるという特徴がある。しかしながら、メチルハイドロジェンポリシロキサンは、表面処理時に粉体表面との反応ばかりでなく分子間での架橋反応も誘発するため反応率が低く、その結果、表面処理粉体に未反応のSi-H結合が残留する。したがって、条件によっては水素がガスとして発生する可能性があり、火気等の存在下では危険である。また、化粧料容器の膨張、コンパクトミラーの曇り等を起こすなど、様々な問題があった。残留Si−H結合が生成しない方法として特開平7−196946公報では、片末端アルコキシ変性シリコーンを用いた表面処理方法、WO2002/100356ではアルコキシシリル基を有するアクリル変性シリコーンを用いた表面処理方法がそれぞれ提案されている。しかしながら、片末端アルコキシ変性シリコーンを用いた場合は、アルコキシ基の含有量が少ないため、粉体との反応性が低いという問題があった。一方、アルコキシシリル基を有するアクリル変性シリコーンを用いた表面処理方法では、直鎖状シリコーンがアクリル主鎖にグラフトされてアクリル変性シリコーンを使用するため、耐皮脂性等が十分でないという問題点があった。また、アルコキシシリル基を有するアクリル変性シリコーンを用いて表面処理された粉体は他の化粧料用原料との親和性が低く、化粧料の配合安定性の点で問題があった。
【0003】
一方、カルボシロキサンデンドリマー構造を有するビニル系重合体、又は、カルボシロキサンデンドリマー構造及びフッ素化有機基の両方を有するビニル系重合体を主剤とする化粧料原料が提案されている(特開2000−63225号公報、特開2003−226611号公報参照)。しかしながら特開2000−63225号公報、特開2003−226611号公報には、各種粉体の表面処理への応用について何ら記載されていない。また、特開平09−136812号公報では、N−ビニルピロリドンと分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物とラジカル重合性モノマーとを共重合して得られる共重合体が提案されている。しかしながら、当該共重合体は親水基、特にアルコール性水酸基を有するものではなく、各種粉体の表面処理への応用について明示されていない。
【0004】
さらに、上記の共重合体は、皮膜形成剤として化粧料に配合することは開示されているが、特に化粧料用粉体と併用した場合、その分散性が不十分であり、配合安定性が不十分であるという問題があった。かかる課題を解決すべく、本願発明者らは、特開2011−149017号公報および特開2011−148784号公報において、特定のカルボシロキサンデンドリマー構造を有する重合体を用いた化粧料原料および粉体処理を提案している。しかしながら、これらの重合体は既存の粉体処理剤に比して、その分散性、化粧料への配合安定性等に格段に優れるものであるが、特にフッ素処理粉体等を化粧料に配合する際に、その分散性能に未だ改善の余地があり、また、肌上において粉体を含む化粧料を塗布した後、液状油剤の揮発等に伴って粉体が再度凝集する等の、肌上における分散不良が起こる場合があった。また、共重合体を構成する特定のカルボシロキサンデンドリマー構造の比率および親水性官能基を有するモノマーとの併用について、記載も示唆もされていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−196946公報
【特許文献2】国際公開公報WO2002/100356
【特許文献3】特開2000−63225号公報
【特許文献4】特開2003−226611号公報
【特許文献5】特開平09−136812号公報
【特許文献6】特開2011−148784号公報
【特許文献7】特開2011−149017号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の従来技術の現状に鑑みて為されたものであり、水素が発生せず安全であり、他の化粧料原料との親和性がよく、したがって、化粧料の配合安定性を向上することができ、また、化粧料に良好な耐水性、耐皮脂性、光沢、触感、毛髪・皮膚への付着性等を付与し、さらに、幅広い化粧料用粉体の処理に用いることができ、かつ、肌上における分散不良をほぼ完全に抑制しうる表面処理剤として用いる事ができる新規な共重合体を提供することを目的とする。さらに、本発明は、該共重合体を含有する表面処理剤、該共重合体等で表面処理された粉体組成物を提供することを目的とする。さらに、これらの共重合体等を配合してなる、化粧料原料を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、(A)下記式(1):
【化1】
{式中、
Zは、2価の有機基であり、
pは、0又は1であり、
1及びR2は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、
1は、i=1とした場合の下記式(2)で示されるシリルアルキル基
【化2】
(式中、
Z及びpは、前記と同じであり、
1及びR2は、前記と同じであり、
iは、前記シリルアルキル基の総階層数を示す1〜10の整数であり、
i+1は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基及び前記シリルアルキル基からなる群から選択される基であり、但し、i=c(cは前記シリルアルキル基の階層を示す1〜10の整数である)の場合は、Li+1は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、i<cの場合は前記シリルアルキル基であり、
aiは0〜3の整数である)である}で示されるカルボシロキサンデンドリマー構造を有する不飽和単量体、及び
(B)分子中に少なくとも1つの親水性基を有する不飽和単量体を含有してなり、
上記のカルボシロキサンデンドリマー構造を有する不飽和単量体が全モノマー単位の35〜50質量%の範囲である共重合体によって達成される。
【0008】
また、本発明者らは、前記(A)カルボシロキサンデンドリマー構造を有する不飽和単量体、
(B)分子中に少なくとも1つの親水性基を有する不飽和単量体 および
(C)分子中に少なくとも1つのフッ素含有有機基を有する不飽和単量体を
{(A)成分の質量/全単量体の質量}:{(B)成分の質量/全単量体の質量}:{(C)成分の質量/全単量体の質量}が、[0.35〜0.50:0.01〜0.40:0.00〜0.60]の範囲であり、かつ{(A)成分の質量/全単量体の質量}≧{(B)成分の質量/全単量体の質量}の条件を満たす質量比で共重合して得られる共重合体により、より良く上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
特に、本発明者らは、前記(A)カルボシロキサンデンドリマー構造を有する不飽和単量体、
(B1)分子中に少なくとも1つの一価または多価アルコール性水酸基を有する不飽和単量体 および
(C1)一般式:CH2=CR15COORfで表される不飽和単量体(式中、R15は水素原子又はメチル基であり、Rfはフルオロアルキル基またはフルオロアルキルオキシフルオロアルキレン基である)を
{(A)成分の質量/全単量体の質量}:{(B)成分の質量/全単量体の質量}:{(C1)成分の質量/全単量体の質量}が、[0.35〜0.50:0.10〜0.40:0.10〜0.50]の範囲であり、かつ{(A)成分の質量/全単量体の質量}≧{(B)成分の質量/全単量体の質量}の条件を満たす質量比で共重合して得られる共重合体により、特に良く上記課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
本発明の目的は、最終的には、上記新規共重合体を含有する表面処理剤、上記新規共重合体によって表面処理された粉体、並びに、これらの化粧料原料としての使用によって達成される。
【0011】
上記新規共重合体は、さらに、(D)1種類以上の油剤を含有する液状組成物の形態で使用することが好ましく、当該油剤は、25℃における粘度が0.65〜100,000mm/sの疎水性シリコーンオイルがさらに好適であり、揮発性シリコーンオイル(例えば、デカメチルシクロペンタシロキサン等)またはイソドデカン等の炭化水素油を含有する液状組成物の形態が特に好ましい。
【0012】
上記新規共重合体または上記の液状組成物は、粉体等の表面処理剤として使用することができ、特に、上記新規共重合体と(E)1種類以上の粉体または着色剤を含有してなる粉体組成物の形態が好適である。前記粉体等は、平均粒子径が1nm〜20μmの範囲にある無機顔料粉体、有機顔料粉体、及び、樹脂粉体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることができる。前記粉体及び/又は前記着色剤の少なくとも一部が本発明の共重合体以外の表面処理剤によって撥水化処理されていてもよく、好適には、(E1)撥水化処理粉体または着色剤であることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の新規重合体は、表面処理剤や化粧料原料として使用した場合、粉体等の表面に撥水性を付与するために好適に使用することができるが、水素を発生しないので安全性に優れる。さらに、本発明の新規共重合体は、直鎖状ではなく高度に枝分かれしたデンドリマー状のシリコーンが主鎖に多数グラフトされ、かつ親水性基を有する共重合体を使用しているので、他の各種の化粧料原料との親和性がよく、したがって、化粧料等への配合安定性が優れる。さらに、本発明の新規共重合体は、幅広い化粧料用粉体等の処理に用いることができ、かつ、肌上において、油剤の揮発後の粉体等の分散不良をほぼ完全に抑制しうる。このため、該共重合体を含有する表面処理剤、該共重合体等で表面処理された粉体組成物を提供することができる。
【0014】
本発明の新規共重合体は、化粧料原料として有用であり、各種の粉体や油剤等の他の化粧料原料と共に化粧料に配合することにより、耐水性、耐皮脂性、光沢、触感、毛髪・皮膚への付着性等の点で優れた表面保護特性、外観及び使用感を備えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の新規共重合体は、下記式(1):
【化3】
{式中、
Zは、2価の有機基であり、
pは、0又は1であり、
1及びR2は、それぞれ独立して、炭素原子数1〜10のアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、
1は、i=1とした場合の下記式(2)で示されるシリルアルキル基
【化4】
(式中、
Z及びpは、前記と同じであり、
1及びR2は、前記と同じであり、
iは、前記シリルアルキル基の総階層数を示す1〜10の整数であり、1〜5が好ましく、1〜3が更により好ましく、1又は2が更により好ましく、
i+1は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、アリール基、アラルキル基及び前記シリルアルキル基からなる群から選択される基であり、但し、i=c(cは前記シリルアルキル基の階層を示す1〜10の整数であり、1〜5が好ましく、1〜3が更により好ましく、1又は2が更により好ましい)の場合は、Li+1は水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、アリール基又はアラルキル基であり、i<cの場合は前記シリルアルキル基であり、
aiは、0〜3の整数であり、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0〜1であり、更により好ましくは0である)である}で示されるカルボシロキサンデンドリマー構造を有する重合体、及び
(B)分子中に少なくとも1つの親水性基を有する不飽和単量体を含有してなり、
上記のカルボシロキサンデンドリマー構造を有する不飽和単量体が全モノマー単位の35〜50質量%の範囲である共重合体である。さらに、本発明の新規共重合体は、(C)分子中に少なくとも1つのフッ素含有有機基を有する不飽和単量体を含有してなる共重合体であることが好ましい。
【0016】
本発明の新規共重合体を構成する前記の(A)成分の質量比は、{(A)成分の質量/全単量体の質量}が0.35〜0.50の範囲であることが必要であり、これは、上記の(A)カルボシロキサンデンドリマー構造を有する不飽和単量体が全モノマー単位の35〜50質量%の範囲である共重合体であることを意味する。(A)成分の比率は、全モノマー単位の40〜50質量%の範囲であることが好ましく、42〜48質量%の範囲が最も好ましい。(A)成分の比率が前記上限を超えると、撥水性が高くなりすぎて化粧料等への配合安定性が不十分となる場合があり、(A)成分の比率が前記下限未満では、撥水性および肌上における粉体等の分散安定性が不十分となる場合がある。また、(B)成分は、新規共重合体に親水性を付与する成分であるが、本発明の新規共重合体を表面処理剤として用いる場合、分子全体として適度な撥水性を有することが好ましいため、特に、{(A)成分の質量/全単量体の質量}≧{(B)成分の質量/全単量体の質量}であることが好ましい。
【0017】
本発明の新規共重合体は、前記の(A)〜(C)成分を、{(A)成分の質量/全単量体の質量}:{(B)成分の質量/全単量体の質量}:{(C)成分の質量/全単量体の質量}が、[0.35〜0.50:0.01〜0.40:0.00〜0.60]の範囲で重合してなるものであることが好ましい。また、当該範囲は、(C)成分を必須として、[0.35〜0.50:0.10〜0.40:0.10〜0.50]の範囲であることが好ましく、[0.40〜0.50:0.15〜0.40:0.15〜0.40]の範囲であることが特に好ましい。各成分の重合範囲が上記範囲外では、特に最終製品に配合した場合の粉体の分散性、配合安定性等が低下したり、油剤が揮発した後に、肌上で分散不良が起きたりする場合がある。
【0018】
前記の(A)成分は、上記(1)式で示されるカルボシロキサンデンドリマー構造を有する重合体であり、以下、詳細に説明する。
【0019】
式(1)中、2価の有機基としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭素原子数1〜30の、置換又は非置換の、及び、直鎖状又は分岐状の二価炭化水素基が挙げられる。炭素原子数1〜30の、置換又は非置換の、及び、直鎖状又は分岐状の二価炭化水素基としては、例えば、メチレン基、ジメチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基等の炭素原子数1〜30の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基;ビニレン基、アリレン基、ブテニレン基、ヘキセニレン基、オクテニレン基等の炭素原子数2〜30のアルケニレン基;フェニレン基、ジフェニレン基等の炭素原子数6〜30のアリーレン基;ジメチレンフェニレン基等の炭素原子数7〜30のアルキレンアリーレン基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素等のハロゲン原子、又は、カルビノール基、エポキシ基、グリシジル基、アシル基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、アミド基、オキシアルキレン基等を含む有機基で置換された基が挙げられる。二価炭化水素基は、非置換の炭素原子数1〜30の二価飽和炭化水素基であることが好ましく、炭素原子数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基であることが好ましく、ジメチレン基が特に好ましい。
【0020】
例えば、2価の有機基は、下記
【化5】
(式中、
3は、炭素原子数1〜30の、置換又は非置換の、及び、直鎖状又は分岐状の前記二価炭化水素基であり、既述したとおり、置換基を有していてもよく、
3’は、下記式
【化6】
で表される基から選択される基である)
から選択される基であってもよい。ケイ素原子結合水素原子及びアルケニル基の反応により導入可能な一般式−R3−又は−R−R3’−で示される2価の有機基が好ましい。同様に、ケイ素原子結合水素原子及び不飽和カルボン酸官能基の反応により導入可能な一般式−R−COO−R−又は−R−COO−R3’−で示される2価の有機基も好適である。
【0021】
特に、前記Zは、炭素原子数1〜30の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基であることが好ましく、ジメチレン基(エチレン基)であることが特に好ましい。
【0022】
炭素原子数1〜10のアルキル基、アリール基又はアラルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の炭素原子数1〜30の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素原子数3〜10の環状のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等の炭素原子数6〜10のアリール基;ベンジル基等の炭素原子数7〜10のアラルキル基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素等のハロゲン原子、又は、カルビノール基、エポキシ基、グリシジル基、アシル基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基、アミド基、オキシアルキレン基等を含む有機基で置換された基が挙げられる。アルキル基、アリール又はアラルキル基は、非置換の炭素原子数1〜10のアルキル基、アリール基又はアラルキル基であることが好ましく、非置換の炭素原子数1〜6のアルキル基又はアリール基であることがより好ましく、メチル基、エチル基、又は、フェニル基が特に好ましい。
【0023】
前記カルボシロキサンデンドリマー構造は、1つのケイ素原子から放射状に高度に枝分かれした化学構造であり、前記シリルアルキル基の総階層数を示すiは枝分かれの程度を示す。例えば、総階層数iが1で、且つ、Li+1が例えばメチル基の場合、前記カルボシロキサンデンドリマー構造は以下の構造を意味する。
【化7】
(式中、Z、p、R1及びR2は前記と同じであり、aは0〜3の整数である)
【0024】
同様に、階層iが2で、且つ、Li+1が例えばメチル基の場合、前記カルボシロキサンデンドリマー構造は以下の構造(但し、p=1とする)を意味する。
【化8】
(式中、Z、R1及びR2は前記と同じであり、a及びa2は0〜3の整数である)
【0025】
更に、階層iが3で、且つ、Li+1が例えばメチル基の場合、前記カルボシロキサンデンドリマー構造は以下の構造(但し、p=1とする)を意味する。
【化9】
(式中、Z、R1及びR2は前記と同じであり、a、a2及びa3は0〜3の整数である)
【0026】
前記カルボシロキサンデンドリマー構造としては、特に、以下のものが好ましい。
【化10】
(式中、Z及びR2は前記と同じである)
【化11】
(式中、Z及びR2は前記と同じである)
【0027】
前記カルボシロキサンデンドリマー構造を有するシリルアルキル基は、カルボシロキサン単位がデンドリマー状に広がった構造を有しているため、線状或いは単なる分岐状のポリシロキサン単位に比して、高撥水性(高耐水性)を呈する官能基である。また、前記カルボシロキサンデンドリマー構造を有するシリルアルキル基は、化学的に安定であるために幅広い化粧料用原料と組み合わせて使用することができるという有利な特性を付与する官能基である。
【0028】
前記(A)カルボシロキサンデンドリマー構造を有する不飽和単量体は、例えば、下記式(1’)
【化12】
{式中、
Yはラジカル重合可能な不飽和含有基であり、
Z、p、R1、R2、L1及びaiは前記と同じである)
で表される。
【0029】
前記不飽和含有基は、ラジカル重合可能な不飽和を有する限り限定されるものではないが、例えば、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリル基等が挙げられる。
【0030】
前記(A)カルボシロキサンデンドリマー構造を有する不飽和単量体は、一般式:
【化13】
(式中、R4は水素原子若しくはメチル基であり、R5は炭素原子数1〜10のアルキレン基である。)、若しくは、
【化14】
(式中、R4及びR5は前記と同じである。)で示されるアクリル基若しくはメタクリル基含有有機基、一般式:
【化15】
(式中、R6は水素原子若しくはメチル基であり、R7は炭素原子数1〜10のアルキル基であり、R8は炭素原子数1〜10のアルキレン基であり、bは0〜4の整数であり、cは0又は1である。)で示されるアルケニルアリール基含有有機基、及び、炭素原子数2〜10のアルケニル基からなる群から選択される基を有するものが好ましい。
【0031】
前記(A)カルボシロキサンデンドリマー構造を有する不飽和単量体としては、例えば、下記式
【化16】
【化17】
で示されるものが挙げられる。
【0032】
前記(A)カルボシロキサンデンドリマー構造を有する不飽和単量体は、例えば、特開平11―1530号公報(特願平9−171154号)に記載された分岐状シロキサン・シルアルキレン共重合体の製造方法に従って製造できる。
【0033】
前記(B)分子中に少なくとも1つの親水性基を有する不飽和単量体は、直鎖状若しくは分岐鎖状の、親水性基及びラジカル重合可能な不飽和含有基を有する限り限定されるものではない。また、前記(B)成分は、1種類または2種類以上の異なる不飽和単量体の混合物であっても良い。さらに、当該親水性基は、アルコール性水酸基を有する親水性基であることが好ましく、一価または多価アルコール性水酸基であることが特に好ましい。

【0034】
(B1)分子中に少なくとも1つの一価または多価アルコール性水酸基を有する不飽和単量体は、本発明の(B)成分として特に好適であり、具体的には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ジエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、エトキシポリエチレングリコールアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、エトキシポリプロピレングリコールアクリレートなどのモノアクリレート類;ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレートなどのジアクリレート類;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、エトキシジエチレングリコールメタクリレート、エトキシポリエチレングリコールメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジプロピレングリコールメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレート、メトキシポリプロピレングリコールメタクリレート、エトキシポリプロピレングリコールメタクリレートなどのモノメタクリレート類;ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレートなどのジメタクリレート類;グリセリルアクリレート、グリセリルメタアクリレートなどのグリセリルアクリレートなどが挙げられる。特に、アクリル酸又はメタクリル酸の炭素数2〜8のヒドロキシアルキルエステルまたは、アクリル酸又はメタクリル酸のグリセリルエステルが(B1)成分として、好適である。
【0035】
特に好適には、上記の(B1)成分を本発明の新規共重合体の全モノマー単位の1〜40質量%の範囲で配合することが好ましく、10〜40質量%の範囲であることがより好ましく、15〜40質量%の範囲が最も好ましい。(B)成分は、本発明の共重合体に適度な親水性を付与する成分であり、重合範囲が上記範囲外では、特に最終製品に配合した場合の粉体の分散性、配合安定性等が低下したり、油剤が揮発した後に、肌上で分散不良が起きたりする場合がある。
【0036】
前記の(C)成分は、分子中に少なくとも1つのフッ素含有有機基を有する不飽和単量体であり、撥水性の改善及び撥水化処理粉体との親和性の見地から、特に、フッ素化有機基を含有するビニル系単量体を使用することが好ましい。
【0037】
前記フッ素化有機基を含有するビニル系単量体は、(C1)一般式:CH2=CR15COORfで表されるものが好ましい。式中、R15は水素原子又はメチル基であり、Rfはフッ素化有機基であり、前記したようなフルオロアルキル基やフルオロアルキルオキシフルオロアルキレン基が挙げられる。このような(C1)成分として具体的には、下記式で示される化合物が挙げられる。下式中、zは1〜4の整数である。
CH2=CCH3COO-CF3、CH2=CCH3COO-C2F5、CH2=CCH3COO-nC3F7、CH2=CCH3COO-CF(CF3)2、CH2=CCH3COO-nC4F9、CH2=CCH3COO-CF2CF(CF3)2、CH2=CCH3COO-nC5F11、CH2=CCH3COO-nC6F13、CH2=CCH3COO-nC8F17、CH2=CCH3COO-CH2CF3、CH2=CCH3COO-CH(CF3)2、CH2=CCH3COO-CH2CH(CF3)2、CH2=CCH3COO-CH2(CF2)2F、CH2=CCH3COO-CH2(CF2)3F、CH2=CCH3COO-CH2(CF2)4F、CH2=CCH3COO-CH2(CF2)6F、CH2=CCH3COO-CH2(CF2)8F、CH2=CCH3COO-CH2CH2CF3、CH2=CCH3COO-CH2CH2(CF2)2F、CH2=CCH3COO-CH2CH2(CF2)3F、CH2=CCH3COO-CH2CH2(CF2)4F、CH2=CCH3COO-CH2CH2(CF2)6F、CH2=CCH3COO-CH2CH2(CF2)8F、CH2=CCH3COO-CH2CH2(CF2)10F 、CH2=CCH3COO-CH2CH2(CF2)12F 、CH2=CCH3COO-CH2CH2(CF2)14F 、CH2=CCH3COO-CH2CH2(CF2)16F 、CH2=CCH3COO-CH2CH2CH2CF3 、CH2=CCH3COO-CH2CH2CH2(CF2)2F 、CH2=CCH3COO-CH2CH2CH2(CF2)2H 、CH2=CCH3COO-CH2(CF2)4H 、CH2=CCH3COO-CH2CH2(CF2)3H、CH2=CCH3COO-CH2CH2CF(CF3)-[OCF2CF(CF3)]z-OC3F7、CH2=CCH3COO-CH2CH2CF2CF2-[OCF2CF(CF3)]z-OC3F7CH2=CHCOO-CF3、CH2=CHCOO-C2F5、CH2=CHCOO-nC3F7、CH2=CHCOO-CF(CF3)2、CH2=CHCOO-nC4F9、CH2=CHCOO-CF2CF(CF3)2、CH2=CHCOO-nC5F11、CH2=CHCOO-nC6F13、CH2=CHCOO-nC8F17、CH2=CHCOO-CH2CF3、CH2=CHCOO-CH(CF3)2、CH2=CHCOO-CH2CH(CF3)2、CH2=CHCOO-CH2(CF2)2F、CH2=CHCOO-CH2(CF2)3F、CH2=CHCOO-CH2(CF2)4F、CH2=CHCOO-CH2(CF2)6F、CH2=CHCOO-CH2(CF2)8F、CH2=CHCOO-CH2CH2CF3、CH2=CHCOO-CH2CH2(CF2)2F、CH2=CHCOO-CH2CH2(CF2)3F、CH2=CHCOO-CH2CH2(CF2)4F、CH2=CHCOO-CH2CH2(CF2)6F、CH2=CHCOO-CH2CH2(CF2)8F、CH2=CHCOO-CH2CH2(CF2)10F 、CH2=CHCOO-CH2CH2(CF2)12F 、CH2=CHCOO-CH2CH2(CF2)14F 、CH2=CHCOO-CH2CH2(CF2)16F 、CH2=CHCOO-CH2CH2CH2CF3 、CH2=CHCOO-CH2CH2CH2(CF2)2F 、CH2=CHCOO-CH2CH2CH2(CF2)2H 、CH2=CHCOO-CH2(CF2)4H 、CH2=CHCOO-CH2CH2(CF2)3H、CH2=CHCOO-CH2CH2CF(CF3)-[OCF2CF(CF3)]z-OC3F7、CH2=CHCOO-CH2CH2CF2CF2-[OCF2CF(CF3)]z-OC3F7。これらの中でも、下記式で示されるビニル単量体が好ましい。CH2=CHCOO-CH2CH2(CF2)6F、CH2=CHCOO-CH2CH2(CF2)8F、CH2=CCH3COO-CH2CH2(CF2)6F、CH2=CCH3COO-CH2CH2(CF2)8F、CH2=CHCOO-CH2CF3、CH2=CCH3COO-CH2CF3。特に、下記式で示されるビニル単量体がより好ましい。CH2=CHCOO-CH2CF3、CH2=CCH3COO-CH2CF3
【0038】
特に好適には、上記の(C1)成分を本発明の新規共重合体の全モノマー単位の1〜50質量%の範囲で配合することが好ましく、10〜50質量%の範囲であることがより好ましく、15〜40質量%の範囲が最も好ましい。
【0039】
共重合方法としては、ラジカル重合法やイオン重合法が使用されるが、中でもラジカル重合法が好ましく、特に溶液重合法が好適に使用される。この溶液重合は、溶媒中で、上記各不飽和単量体をラジカル開始剤の存在下に50〜150℃の温度条件下で3〜20時間反応させることにより行われる。このとき用いる溶媒としては、ヘキサン,オクタン,デカン,シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;ベンゼン,トルエン,キシレン等の芳香族炭化水素;ジエチルエーテル,ジブチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキサン等のエーテル類;アセトン,メチルエチルケトン,メチルイソブチルケトン,ジイソブチルケトン等のケトン類;酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸ブチル,酢酸イソブチル等のエステル類;メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール,ブタノール等のアルコール類;オクタメチルシクロテトラシロキサン,デカメチルシクロペンタシロキサン,ヘキサメチルジシロキサン,オクタメチルトリシロキサン等のオルガノシロキサンオリゴマーが例示される。ラジカル開始剤としては、一般にラジカル重合法に使用される従来公知の化合物が用いられ、具体的には、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等のアゾビス系化合物;過酸化ベンゾイル,過酸化ラウロイル,tert−ブチルパーオキシベンゾエート,tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物が例示される。このラジカル開始剤は1種を単独で使用してもよく、2種類以上を混合して使用してもよい。ラジカル開始剤の使用量は、上記(A)成分〜(C)成分の合計100重量部に対して0.1〜5重量部の範囲であることが好ましい。また、重合時には連鎖移動剤を添加することができる。この連鎖移動剤として具体的には、2−メルカプトエタノール,ブチルメルカプタン,n−ドデシルメルカプタン,3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン,メルカプトプロピル基を有するポリジメチルシロキサン等のメルカプト化合物;塩化メチレン,クロロホルム,四塩化炭素,臭化ブチル,3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン化物が挙げられる。
【0040】
なお、重合後は、加熱下で減圧処理することにより、残存する未反応のビニル系単量体を除去する方法、もしくは水素化触媒の存在下、無溶媒もしくは溶媒中で水素添加反応による無臭化処理を行い、減圧下に窒素ガスを接触させて、軽質物を留去する方法を用いて精製することができる。特に、臭気の低減および他の化粧料成分との相溶性が求められる外用剤用途で使用する場合にはかかる精製品が好ましく用いられる。かかる水素添加反応、ストリッピング工程は、公知のオルガノポリシロキサン共重合体の精製に用いられる溶媒、反応条件、減圧条件等を特に制限なく用いることができ、また選択することができる。
【0041】
なお、本発明に係る共重合体の皮膚や毛髪への付着性をより一層向上させたり、使用後に適度な洗浄性を付与する目的で、原料モノマーの一部にジメチルアミノエチルアクリレート,ジメチルアミノエチルメタクリレート,ジエチルアミノエチルアクリレート,ジエチルアミノエチルメタクリレート等のアミノ基含有ビニル系単量体を用いて該ビニル系重合体の側鎖にアミノ基を導入し、次いでこれを、モノクロロ酢酸のカリウム塩,モノクロロ酢酸のアンモニウム塩,モノクロロ酢酸のアミノメチルプロパノール塩,モノブロモ酢酸のトリエタノールアミン塩,モノクロロプロピオン酸のナトリウム塩等のハロゲン化脂肪酸のアルカリ金属塩,アンモニウム塩又はアミン塩で変性したり、原料モノマーの一部にアクリル酸,メタクリル酸,イタコン酸,クロトン酸,フマル酸,マレイン酸等のカルボン酸含有ビニル型単量体を用いて該ビニル系重合体の側鎖にカルボン酸基を導入し、次いでこれを、トリエチルアミン,ジエチルアミン,トリエタノールアミン等のアミンにより中和してもよい。
【0042】
前記共重合体の重量平均分子量は、化粧料への配合のしやすさから、3,000〜2,000,000であることが好ましく、5,000〜800,000であることがより好ましい。またその性状は、液状,ガム状,ペースト状,固体状,粉体状が例示される。化粧料に配合する際には、溶媒で希釈した溶液や分散液或いは粉体状の形態であることが好ましい。
【0043】
特に、本発明に係る共重合体は、(D)1種類以上の油剤に分散させ、前記共重合体と1種類以上の油剤を含有する液状組成物の形態で使用することが好ましい。油剤としては、化粧料一般に使用される動物油、植物油、合成油等が挙げられる。前記油剤は、疎水性であれば、起源を問わず、固形、半固形、液体のいずれでもよく、不揮発性、半揮発性、揮発性のいずれでよいが、上記の液状組成物を形成させる際には、(D)成分が全体として液体かつ揮発性であることが好ましく、特に、シリコーンオイル類、炭化水素油、脂肪酸エステル油から選ばれる1種類以上の油剤または2種類以上の油剤の混合物の使用が特に好ましい。なお、液体と半固形(ガム状)の二種類以上の油剤を混合した場合、混合油剤が全体として液状であれば、上記の液状組成物を十分形成させることができる点で、本発明の有用な形態である。
【0044】
本発明の共重合体は、特に上記油剤との相溶性に優れ、長期間に亘って均一な共重合体組成物を得ることができる。かかる組成物は、そのまま表面処理剤として使用し、あるいは化粧料に配合することができ、その取り扱い性、保存安定性の点から、化粧料の原料として極めて有用である。具体的には、本発明の共重合体 100質量部 および 油剤 5〜1000質量部、好ましくは50〜500質量部、より好ましくは100〜400質量部からなる共重合体組成物が好適に使用できる。なお、油剤により本発明の共重合体を希釈して共重合体組成物を得る場合、重合反応後に溶媒と未反応の単量体を除去した共重合体を機械力を用いて油剤中に均一分散させてもよく、重合反応時の揮発性溶媒を上記油剤により置換しても良い。
【0045】
前記油剤としては、シリコーンオイル類が好ましい。シリコーンオイル類は、油剤である以上疎水性であり、その分子構造は、環状、直鎖状、分岐状のいずれであってもよい。シリコーンオイル類の25℃における粘度は、通常、0.65〜100,000mm/sの範囲であり、0.65〜10,000mm/sの範囲が好ましい。特に、本発明に係る共重合体を化粧料原料として用いた場合、これらのシリコーンオイルの少なくとも一種を含有せしめると、得られる化粧料の経日安定性を改善でき、シリコーンオイル特有のさっぱりとした感触を実現することができる。
【0046】
前記シリコーンオイル類としては、具体的には、環状オルガノポリシロキサン;直鎖状オルガノポリシロキサン、分岐状オルガノポリシロキサンが挙げられる。これらの中でも、揮発性の、直鎖状オルガノポリシロキサン、分岐状オルガノポリシロキサン及び環状オルガノポリシロキサンが好ましい。もっとも好適には、環状オルガノポリシロキサンからなる揮発性シリコーンオイルである。
【0047】
前記シリコーンオイル類としては、例えば、下記一般式(3)、(4)、又は、(5):
【化18】
(式中、
9は、水素原子、水酸基、或いは、炭素原子数1〜30の、一価の非置換若しくはフッ素若しくはアミノ置換アルキル基、アリール基、アルコキシ基及び(CH3)3SiO{(CH3)2SiO}lSi(CH3)2CH2CH2-(lは0〜1000の整数)で示される基から選択される基であり、
a’は、0〜3の整数であり、
bは、0〜1000の整数であり、
cは、0〜1000の整数であり、但し、1≦b+c≦2000である)
【化19】
(式中、
9は、上記と同様であり、
dは、0〜8の整数であり、
eは、0〜8の整数であり、但し、3≦d+e≦8である)
【化20】
(式中、
9は、上記と同様であり、
fは1〜4の整数であり、
gは0〜500の整数である)
で表されるオルガノポリシロキサン
を使用することができる。
【0048】
炭素原子数1〜30の、一価の非置換若しくはフッ素若しくはアミノ置換アルキル基、アリール基、及び、アルコキシ基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等の炭素原子数1〜30の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素原子数3〜30のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素原子数6〜30のアリール基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等の炭素原子数1〜30のアルコキシ基;及び、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が少なくとも部分的にフッ素又はアミノ基で置換された基が挙げられる。非置換のアルキル基又はアリール基であることが好ましく、非置換の炭素原子数1〜6のアルキル基又はアリール基であることがより好ましく、メチル基、エチル基、又は、フェニル基が特に好ましい。
【0049】
より具体的には、これらの構造を有するシリコーンオイルとして具体的には、環状オルガノポリシロキサンとしてヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、1,1−ジエチルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1、1−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラシクロヘキシルテトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−メタクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−アクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−カルボキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−ビニロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(p−ビニルフェニル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ[3−(p−ビニルフェニル)プロピル]テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N−アクリロイル−N−メチル−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N,N−ビス(ラウロイル)−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン等が例示される。
【0050】
直鎖状オルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(2cstや6cstなど低粘度〜100万cstなど高粘度のジメチルシリコーン)、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサン,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体,トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、フェニル(トリメチルシロキシ)シロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルアルキルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・メチルアルキルシロキサン共重合体,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、α,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α,ω−ジエトキシポリジメチルシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−オクチルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ドデシルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ヘキサデシルトリシロキサン、トリストリメチルシロキシメチルシラン、トリストリメチルシロキシアルキルシラン、テトラキストリメチルシロキシシラン、テトラメチル−1,3−ジヒドロキシジシロキサン、オクタメチル−1,7−ジヒドロキシテトラシロキサン、ヘキサメチル−1,5−ジエトキシトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン等が例示される。
【0051】
分岐状オルガノポリシロキサンとしては、メチルトリストリメチルシロキシシラン、エチルトリストリメチルシロキシシラン、プロピルトリストリメチルシロキシシラン、テトラキストリメチルシロキシシラン、フェニルトリストリメチルシロキシシラン等が挙げられる。
【0052】
シリコーンオイル類以外の油剤は5〜100℃で液状であることが好ましい。シリコーンオイル以外の油剤としては、炭化水素油及び/又は脂肪酸エステル油が好ましい。これらは単独でもよいが、前記シリコーンオイルとの併用が好ましい。
【0053】
本発明に係る共重合体を化粧料原料として用いる際に、炭化水素油及び/又は脂肪酸エステル油を前記シリコーンオイルと併用することにより、シリコーンオイル特有のさっぱりとした感触に加えて、肌上の水分を保持し、化粧料に肌や毛髪が潤うような保湿感(「しっとりした感触」ともいう)や滑らかな感触を付与することができ、しかも、表面処理剤として使用した場合であっても、化粧料の経日安定性を損なわないという利点がある。さらに、炭化水素油及び/又は脂肪酸エステル油と前記シリコーンオイルを含有する化粧料は、これらの保湿成分を肌上又は毛髪上により安定かつ均一な状態で塗布することができ、保湿成分の肌上の保湿効果が向上しており、シリコーンオイル以外の油剤(炭化水素油や脂肪酸エステル油)のみを含む化粧料に比して、より滑らかでしっとりした感触を付与するという利点がある。
【0054】
炭化水素油としては、流動パラフィン,軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン,ワセリン,n−パラフィン,イソパラフィン,イソドデカン、イソヘキサデカン、ポリイソブチレン、水素化ポリイソブチレン、ポリブテン,オゾケライト,セレシン,マイクロクリスタリンワックス,パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレン・ポリピロピレンワックス、スクワラン,スクワレン、プリスタン,ポリイソプレン等が例示される。
【0055】
脂肪酸エステル油としては、オクタン酸ヘキシルデシル、オクタン酸セチル,ミリスチン酸イソプロピル,パルミチン酸イソプロピル,ステアリン酸ブチル,ラウリン酸ヘキシル,ミリスチン酸ミリスチル,オレイン酸オレイル,オレイン酸デシル,ミリスチン酸オクチルドデシル,ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル,乳酸セチル,乳酸ミリスチル,フタル酸ジエチル,フタル酸ジブチル,酢酸ラノリン,モノステアリン酸エチレングリコール,モノステアリン酸プロピレングリコール,ジオイレイン酸プロピレングリコール,モノステアリン酸グリセリル,モノオレイン酸グリセリル,トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル,トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸ジトリメチロールプロパン、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパン、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、モノイソステアリン酸水添ヒマシ油、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソセチル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸エチル、オレイン酸オクチルドデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、コハク酸ジオクチル、ステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチルオクチル、パリミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、N − ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル) 、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N−ラウロイルサルコシンイソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸トリデシル、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ネオデカン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、水素添加ロジンペンタエリスリチル、トリエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10 、デカ( エルカ酸/イソステアリン酸/リシノレイン酸)ポリグリセリル−8、(ヘキシルデカン酸/セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、ジステアリン酸グリコール(ジステアリン酸エチレングリコール)、ダイマージリノール酸ジイソプロピル、ダイマージリノール酸ジイソステアリル、ダイマージリール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、ダイマージリノール酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシアルキルダイマージリノレイルエーテル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸) グリセリル、水添ロジントリグリセリド(水素添加エステルガム)、ロジントリグリセリド(エステルガム)、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル、酢酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、硬質ラノリン脂肪酸コレステリル、長鎖分岐脂肪酸コレステリル、長鎖α−ヒドロキシ脂肪酸コレステリル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、アボカド油脂肪酸エチル、ラノリン脂肪酸イソプロピル等が例示される。
【0056】
上記以外にも、油脂類、高級アルコール、高級脂肪酸、フッ素系油等を油剤として使用してもよく、また、これら2種類以上を併用してもよい。例えば、下記に表される油剤の2種以上を併用してもよい。以下、本発明に用いることができるシリコーンオイル類、炭化水素油、及び、脂肪酸エステル油以外の油剤をより具体的に例示する。
【0057】
油脂としては、天然動植物油脂類及び半合成油脂として、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ、肝油、キャンデリラロウ、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、キョウニン油、鯨ロウ、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、オリーブスクワラン、セラックロウ、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、水添ホホバエステル、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、羊脂、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。但し、POE はポリオキシエチレンを意味する。
【0058】
高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、シトステロール、フィトステロール、ラノステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール) 、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等が挙げられる。
【0059】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0060】
フッ素系油としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等が挙げられる。
【0061】
前記共重合体は皮膜形成性を備えており、粉体の表面に皮膜を形成してその表面特性を撥水性に変更することができる。したがって、本発明に係る前記共重合体またはそれを含む液状組成物は、特に表面処理剤として有用であり、粉体の撥水化に好適に使用することができる。また、水素を発生しないので安全である。
【0062】
以下、本発明に係る共重合体の表面処理剤としての使用について詳細に説明する。
【0063】
本発明の表面処理剤は、(E)1種類以上の粉体または着色剤、特に化粧品に用いられる任意の粉体(着色剤として用いられる粉体・顔料を含む)の表面処理に好適であって、使用感触が改善され、耐水性、耐皮脂性等に優れた処理粉体を得ることができる。粉体及び着色剤としては、通常の化粧料に使用されるものであれば、その形状(球状、針状、板状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができ、例えば、無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体、有色顔料、パール顔料、金属粉末顔料、タール色素、天然色素等があげられる。前記粉体等は、平均粒子径が1nm〜20μmの範囲にある無機顔料粉体、有機顔料粉体、及び、樹脂粉体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0064】
更に、これらの粉体等は、その一部又は全部が撥水化処理、親水化処理等の表面処理を施されていることが特に好ましい。なお、これらの粉体同士を複合化してもよい。特に、フッ素化合物、界面活性剤、増粘剤等で表面処理が施されたものも使用することができ、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。特に、撥水化処理が施されていることが好ましい。
【0065】
撥水化処理は、特に限定されるものではないが、粉体等を各種の撥水化表面処理剤で処理することが挙げられ、例えばメチルハイドロジェンポリシロキサン処理、シリコーンレジン処理、シリコーンガム処理、アクリルシリコーン処理、フッ素化シリコーン処理等のシリコーン処理;ステアリン酸亜鉛処理等の金属石鹸処理;シランカップリング剤処理、アルキルシラン処理等のシラン処理;パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩、パーフルオロポリエーテル処理等のフッ素化合物処理;N-ラウロイル-L-リジン処理等のアミノ酸処理;スクワラン処理等の油剤処理;アクリル酸アルキル処理等のアクリル処理等が挙げられ、これらの2種以上を組み合わせて使用することも可能である。
【0066】
本発明に用いる粉体等として、最も好適には、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩、パーフルオロポリエーテル処理等のフッ素化合物処理またはメチルハイドロジェンポリシロキサン処理、シリコーンレジン処理、シリコーンガム処理、アクリルシリコーン処理、フッ素化シリコーン処理等のシリコーン処理を行った、(E1)撥水化処理粉体または着色剤である。
【0067】
粉体または着色剤は、具体的には、無機粉体、有機粉体、界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)、有色顔料、パール顔料、金属粉末顔料、シリコーンエラストマー粉体等が挙げられ、更に、これらを複合化したものも使用することができる。なお、これらの粉体または着色剤は、紫外線防御成分として機能するものを含む。
【0068】
具体的には、無機粉体としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン、シリカ等;有機粉体としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタン、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、テトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロース、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロン、6ナイロン、シリコーンパウダー、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体、デンプン末、ラウロイルリジン等;界面活性剤金属塩粉体(金属石鹸)としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等;有色顔料としては、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料、γ一酸化鉄等の無機褐色系顔料、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料、紺青、群青等の無機青色系顔料、タール系色素をレーキ化したもの、天然色素をレーキ化したもの、及びこれらの粉体を複合化した合成樹脂粉体等;パール顔料としては、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等;金属粉末顔料としては、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー、ステンレスパウダー等;タール色素としては、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等;天然色素としては、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等が挙げられる。
【0069】
シリコーンエラストマー粉体は、主としてジオルガノシロキシ単位(D単位)からなる直鎖状ジオルガノポリシロキサンの架橋物であり、側鎖若しくは末端に珪素結合水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと側鎖若しくは末端にアルケニル基等の不飽和炭化水素基を有するジオルガノポリシロキサンを、ヒドロシリル化反応触媒下で架橋反応させることによって好適に得ることができる。シリコーンエラストマー粉体は、T単位及びQ単位からなるシリコーン樹脂粉体に比して、柔らかく、弾力があり、また、吸油性に優れるため、肌上の油脂を吸収し、化粧崩れを防ぐことができる。
【0070】
シリコーンエラストマー粉体は、球状、扁平状、不定形状等種々の形状を取りうる。シリコーンエラストマー粉体は油分散体の形態であってもよい。本発明の化粧料には、粒子形状を有するシリコーンエラストマー粉体であり、電子顕微鏡を用いた観察による一次粒子径及び/又はレーザー回析/散乱法で測定された平均一次粒子径が0.1〜50μmの範囲に入り、且つ、一次粒子の形状が球状のシリコーンエラストマー粉体を好適に配合することができる。シリコーンエラストマー粉体を構成するシリコーンエラストマーは、JIS K 6253「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの硬さ試験方法」のタイプAデュロメータによる硬さが80以下のものが好ましく、65以下のものがより好ましい。
【0071】
シリコーンエラストマー粉体はシリコーンレジン、シリカ等による表面処理が任意に施されていていてもよい。前記表面処理としては、例えば、特開平2−243612号公報、特開平8−12545号公報、特開平8−12546号公報、特開平8−12524号公報、特開平9−241511号公報、特開平10−36219号公報、特開平11−193331号公報、特開2000−281523号公報等に記載されているものが挙げられる。なお、シリコーンエラストマー粉体としては、「化粧料種別配合成分規格」収載の架橋型シリコーン末が該当する。シリコーンエラストマー粉体の市販品としては、例えば東レ・ダウコーニング社製のトレフィルE−506S、トレフィルE−508、9701 Cosmetic Powder、9702 Powder等が挙げられる。
【0072】
本発明の表面処理剤を用いて粉体等を表面処理する場合、その処理方法は、例えば、本発明の表面処理剤を被処理粉体と乾式混合する乾式法、又は、本発明の表面処理剤を溶媒中に分散して、更に被処理粉体を混合して湿式混合を行い、その後、処理粉体を乾燥する湿式法によって実施することができる。ただし、表面処理方法はこれらに限定されるものではない。また、化粧料に用いられる油剤により本発明の表面処理剤を希釈して上記の液状組成物の形態とし、該組成物を粉体と混合してスラリー状の分散体を形成させ、表面処理を行うこともできる。
【0073】
本発明の表面処理剤を用いて粉体等を表面処理する場合、湿式法がより好ましい。湿式法において、その混合温度は任意であるが60〜80℃が好ましい。また、混合時間は処理量、粉体の種類等によって異なるが、通常は、1〜3時間である。
【0074】
本発明の表面処理剤を用いて粉体等の表面処理を行う場合、その使用量は、粉体の種類によっても異なるが、通常は、未処理粉体の1〜10重量%であることが好ましく、1〜5重量%がより好ましい。1重量%より少ないと、化粧料に配合した場合に感触等の改善効果が十分に得られない場合がある。また、10重量%を超えると、化粧料に配合した場合にのびが重くなる等、使用感触が悪化する恐れがある。
【0075】
本発明の新規共重合体は、直鎖状ではなく高度に枝分かれしたデンドリマー状のシリコーンが主鎖に多数グラフトされ、かつ親水性基を有する共重合体を使用しているので、幅広い化粧料用粉体等の表面処理に用いることができ、本発明の新規共重合体と(E)1種類以上の粉体または着色剤を含有してなる粉体組成物を得ることができる。本発明に係る粉体組成物は、粉体等の分散安定性、スラリー化した場合の流動性、取り扱い性および化粧料等への配合安定性に優れ、かつ、フッ素処理粉体または着色剤のような、撥水化処理を施された粉体等であっても、肌上において、油剤の揮発後の粉体等の分散不良をほぼ完全に抑制しうる特徴を有する。
【0076】
本発明の新規共重合体、当該共重合体を含む液状組成物、表面処理剤、粉体組成物は、上記の特徴を有するため、化粧料原料として有用であり、各種の粉体や油剤等の他の化粧料原料と共に化粧料に配合することにより、耐水性、耐皮脂性、光沢、触感、毛髪・皮膚への付着性等の点で優れた表面保護特性、外観及び使用感を備えることができる。
【0077】
本発明の新規共重合体、当該共重合体を含む液状組成物、表面処理剤または粉体組成物を化粧料原料として、各種化粧料に配合する場合、その他の化粧料原料および配合される化粧料の種類は、例えば、特開2011-148784に開示された化粧料原料等と共通であるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
具体的には、本発明の化粧料原料は、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び、両性界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の界面活性剤と共に化粧料に配合することができる。これらの具体例は、特開2011-148784号公報の段落0079〜0084等に具体的に開示されているものと共通であるが、これに限定されない。
【0079】
さらに、本発明の化粧料原料は、前記の(D)1種類以上の油剤、(E)1種類以上の粉体または着色剤のほか、水溶性高分子、油溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、シリコーンガム、シリコーン樹脂、シリコーンエラストマー、有機変性シリコーン、紫外線防御成分等が挙げられる。これらの具体例は、特開2011-148784号公報の段落0087〜0101等に具体的に開示されているものと共通であるが、これに限定されない。
【0080】
特に、本発明の化粧料原料は、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、及び、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤からなる群より選ばれる少なくとも1種と共に化粧料に配合することが好ましく、フッ素処理微粒子酸化チタン、フッ素処理微粒子酸化亜鉛と共に配合することが好ましい。これらの紫外線防御成分は、汎用されており、入手が容易で、かつ紫外線防御効果が高いため好適に使用することができる。特に、無機系と有機系の紫外線防御成分を併用することが好ましく、UV−Aに対応した紫外線防御成分とUV−Bに対応した紫外線防御成分を併用することがさらに好ましい。
【0081】
本発明の化粧料原料は、本発明の効果を妨げない範囲で通常の化粧料に使用されるその他の成分:アルコール類、有機樹脂、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物等と共に化粧料に配合することができる。これらの具体例は、特開2011-148784号公報の段落0103〜0116等に具体的に開示されているものと共通であるが、これに限定されない。
【0082】
本発明の化粧料原料は、その目的に応じて1種類または2種類以上の天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分等と共に化粧料に配合することができる。これらの具体例は、特開2011-148784号公報の段落0119等に具体的に開示されているものと共通であるが、これに限定されない。
【0083】
本発明の化粧料原料は、その目的に応じて、例えば、精製水、ミネラルウォーター等の水以外に、軽質イソパラフィン、エーテル類、LPG、N−メチルピロリドン、次世代フロン等の溶媒と共に化粧料に配合してもよい。
【0084】
また、本発明の化粧料原料は、本発明品の共重合体に加えて、その他のアクリルシリコーンデンドリマーコポリマー(特開2011-148784号公報等に開示されたものを含む)、ポリアミド変性シリコーン、アルキル変性シリコーンワックス、アルキル変性シリコーンレジンワックスからなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。これらの具体例は、特開2011-148784号公報の段落0122〜0125等に具体的に開示されているものと共通であるが、これに限定されない。
【0085】
本発明の化粧料原料は、液状、乳液状、クリーム状、固形状、ペースト状、ゲル状、粉末状、多層状、ムース状、スプレー状のいずれの形態の化粧料の成分としてでも配合することができる。
【0086】
本発明の化粧料原料を配合可能な具体的な製品としては、皮膚洗浄剤製品、スキンケア製品、メイクアップ製品、制汗剤製品、紫外線防御製品などの皮膚用化粧品;毛髪用洗浄剤製品、整髪料製品、毛髪用着色料製品、養毛料製品、ヘアリンス製品、ヘアコンディショナー製品、ヘアトリートメント製品等の頭髪用化粧品;浴用化粧品;発毛剤、育毛剤、鎮痛剤、殺菌剤、抗炎症剤、清涼剤、皮膚老化防止剤が例示されるが、これらに限定されない。
【0087】
前記の皮膚用化粧品は、頭皮、顔面(口唇、眉毛、頬を含む)、手指、爪、全身のいずれの部位についても用いることができる。具体的には、クレンジングジェル、クレンジングクリーム、クレンジングフォーム、洗顔クリーム、アイメークアップリムーバー、洗顔フォーム、液体石鹸(ボディソープ)、ハンドソープ、ゲル状石鹸、シェービングクリーム、除光液、アクネ対策化粧料等の皮膚洗浄剤製品;肌用クリーム、頭皮用トリートメント、スキンミルク、ミルクローション、乳液、フェイシャルパック、ボディパウダー、エッセンス、シェービングローション、マッサージ料、等のスキンケア製品;ファンデーション、リキッドファンデーション、油性ファンデーション、メイクアップベース、白粉、フェースパウダー、頬紅、リップクリーム、練紅、リップグロス、アイクリーム、マスカラ、眉墨、まつげ化粧品等のメイクアップ製品;デオドラント等の制汗剤;サンスクリーン剤、日焼け用薬剤(サンタン剤)等の紫外線防御製品が例示される。
【0088】
前記の頭髪用化粧品は、シャンプー、リンスインシャプー等の毛髪用洗浄剤;ヘアワックス、髪用カール保持剤、セット剤、ヘアクリーム、へアスプレー、ヘアリキッド等の整髪料製品;染毛料、ヘアカラースプレー、ヘアカラーリンス、ヘアカラースティック等の毛髪用着色料製品;ヘアトニック、ヘアトリートメントエッセンス、ヘアパック等の養毛料製品;オイルリンス、クリームリンス、トリートメントリンス、ヘアコンディショナー、ヘアトリートメント等のヘアリンス又はヘアコンディショニング製品が例示される。また、前記の浴用化粧品は、フォームバスが例示される。
【0089】
本発明に係る共重合体は、その他の用途、各種外用剤、塗料、コーティング剤、消泡剤、消臭剤等であって、化粧料以外の製品に配合することができる。
【実施例】
【0090】
以下、実施例および比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。粘度(動粘度)は25℃における測定値である。また、各分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)によるポリスチレン換算の重量平均分子量、または重量平均分子量と数平均分子量の比(Mw/Mn)である。
【0091】
[実施例1]
攪拌装置,温度計,還流管を取り付けた500ミリリットル4つ口フラスコに、イソプロピルアルコール(IPA)を100g仕込み、窒素ガスでバブリングを行い十分に脱気し、80℃に加熱した。滴下ロートにメチルメタクリレート25g、2-エチルヘキシルアクリレート 10g、ヒドロキシエチルメタクリレート20g、下記式(A):
【化21】
で示されるカルボシロキサンデンドリマーモノマー45g、イソプロピルアルコール 30g、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(大塚化学製)1.0gを仕込み、溶解させた。窒素雰囲気下、滴下ロートよりモノマー混合物を80℃に保ったまま、2時間かけて滴下した。滴下終了後、窒素雰囲気下6時間加熱攪拌した。攪拌後の反応生成物をガスクロマトグラフィーにより重合添加率を分析したところ、重合の添加率は97%であり、ビニル系重合体が得られたことが判明した。このビニル系重合体のイソプロピルアルコール溶液にデカメチルペンタシクロシロキサン250g加えた後、120℃でIPAを留出させた。減圧下、余剰のデカメチルペンタシクロシロキサン及び未反応単量体を留出させ、固形分濃度を30wt%に調整した。本重合体の重量平均分子量は、21700であり、Mw/Mnは1.66であった。
【0092】
[実施例2]
滴下ロートにメチルメタクリレート18g、2-エチルヘキシルアクリレート 7g、ヒドロキシエチルメタクリレート30g、式(A)で示されるカルボシロキサンデンドリマーモノマー45gおよび2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(大塚化学製)1.0gを仕込む組成に変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、ビニル重合体のデカメチルペンタシロキサン溶液を得た。本重合体の重量平均分子量は、12800であり、Mw/Mnは2.24であった。
【0093】
[実施例3]
滴下ロートにメタクリル酸2−エチルヘキシル32g、2-エチルヘキシルアクリレート 5g、メタクリル酸グリセリル 18g、式(A)で示されるカルボシロキサンデンドリマーモノマー45gおよび2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(大塚化学製)1.0gを仕込む組成に変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、ビニル重合体のデカメチルペンタシロキサン溶液を得た。
【0094】
[実施例4]
滴下ロートにメタクリル酸トリフルオロエチル 20g、2-エチルヘキシルアクリレート 5g、メタクリル酸ヒドロキシエチル 30g、式(A)で示されるカルボシロキサンデンドリマーモノマー45gおよび2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(大塚化学製)1.0gを仕込む組成に変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、ビニル重合体のデカメチルペンタシロキサン溶液を得た。本重合体の重量平均分子量は、9300であり、Mw/Mnは4.65であった。
【0095】
[実施例5]
滴下ロートにメタクリル酸トリフルオロエチル 16g、2-エチルヘキシルアクリレート 4g、メタクリル酸ヒドロキシエチル 35g、式(A)で示されるカルボシロキサンデンドリマーモノマー45gおよび2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(大塚化学製)1.0gを仕込む組成に変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、ビニル重合体のデカメチルペンタシロキサン溶液を得た。
【0096】
[実施例6]
滴下ロートにメタクリル酸メチル 42g、2-エチルヘキシルアクリレート 10g、メタクリル酸ヒドロキシエチル 3g、式(A)で示されるカルボシロキサンデンドリマーモノマー45gおよび2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(大塚化学製)1.0gを仕込む組成に変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、ビニル重合体のデカメチルペンタシロキサン溶液を得た。本重合体の重量平均分子量は、73300であり、Mw/Mnは3.35であった。
【0097】
[実施例7]
滴下ロートにメタクリル酸メチル 35g、2-エチルヘキシルアクリレート 10g、メタクリル酸ヒドロキシエチル 10g、式(A)で示されるカルボシロキサンデンドリマーモノマー45gおよび2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(大塚化学製)1.0gを仕込む組成に変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、ビニル重合体のデカメチルペンタシロキサン溶液を得た。本重合体の重量平均分子量は、71400であり、Mw/Mnは3.13であった。
【0098】
[実施例8]
滴下ロートにトリフルオロエチルメタクリレート32g、2-エチルヘキシルアクリレート 5g、メタクリル酸グリセリル18g、式(A)で示されるカルボシロキサンデンドリマーモノマー45gおよび2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(大塚化学製)1.0gを仕込む組成に変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、ビニル重合体のデカメチルペンタシロキサン溶液を得た。本重合体の重量平均分子量は、6080であり、Mw/Mnは3.38であった。
【0099】
[比較例1]
滴下ロートにメタクリル酸メチル 36g、2-エチルヘキシルアクリレート 14g、ビニルアセトアミド 5g、式(A)で示されるカルボシロキサンデンドリマーモノマー45gおよび2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(大塚化学製)1.0gを仕込む組成に変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、ビニル重合体のデカメチルペンタシロキサン溶液を得た。本重合体の重量平均分子量は、79000であり、Mw/Mnは3.35であった。
【0100】
[比較例2]
滴下ロートにメタクリル酸メチル 25g、2-エチルヘキシルアクリレート 25g、ビニルアセトアミド 5g、式(A)で示されるカルボシロキサンデンドリマーモノマー45gおよび2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(大塚化学製)1.0gを仕込む組成に変更した以外は、実施例1と同様な操作を行い、ビニル重合体のデカメチルペンタシロキサン溶液を得た。本重合体の重量平均分子量は、91100であり、Mw/Mnは4.07であった。
【0101】
[評価例1]
シリコーン処理顔料級酸化チタン(大東化成製)12g、実施例記載の分散剤1g、デカメチルペンタシロキサン 7gをディスパーを用いて混合し、E−型回転粘度計を用いて粘度を測定し、分散性を評価し、表1に示した。評価基準は次の通りである。また、比較例3として、分散剤として、東レ・ダウコーニング社製のFA 4001 CM Silicone Acrylate(表中、「FA4001CM」と略記)を用いた評価結果を示した。
評価基準
◎:粘度が350cp以下
○:350〜600cp
△:600cp以上
【0102】
[評価例2]
シリコーン処理微粒子酸化チタン(テイカ製)12g、実施例記載の分散剤3g、デカメチルペンタシロキサン 15gをディスパーを用いて混合し、ジルコニアビーズ(0.8mm)を添加して、ペイントシェーカーを用いて分散させた。分散後、ジルコニアビーズをろ別して、E−型回転粘度計を用いて粘度を測定し、分散性を評価した。評価基準は次の通りである。また、比較例3として、分散剤として、東レ・ダウコーニング社製のFA 4001 CM Silicone Acrylate(表中、「FA4001CM」と略記)を用いた評価結果を示した。
評価基準
◎:1500cp以下
○:1501〜5000cp
×:ゲル化
【0103】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0104】
本願発明に係る本発明に係る共重合体は、水素を発生しないので安全性に優れ、直鎖状ではなく高度に枝分かれしたデンドリマー状のシリコーンが主鎖に多数グラフトされ、かつ親水性基を有する共重合体を使用しているので、他の各種の有機化合物、粉体原料との親和性がよく、化粧料以外の工業的な用途にも用いることができる。例えば、耐熱/耐侯/電気特性に優れたワニスや塗料添加剤、各種のウレタンや発泡材用の改質剤、離型剤や剥離剤、消泡剤、グリースやオイルコンパウンド、絶縁/艶出し/撥水/熱媒・冷媒/潤滑用等のオイル、ゴムや樹脂用の改質剤や添加剤や表面処理剤、シランカップリング剤用の配合物や改質剤や前駆体、建築/ライニング用のコーティング材やシーリング材、光ファイバー/電線用の保護剤や潤滑剤やバッファー剤等が例示できるが、これらに限定されるものではない。