特許第6092563号(P6092563)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092563
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】テープ繰り出し装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/038 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
   B65H23/038 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-220376(P2012-220376)
(22)【出願日】2012年10月2日
(65)【公開番号】特開2014-73878(P2014-73878A)
(43)【公開日】2014年4月24日
【審査請求日】2015年9月3日
(73)【特許権者】
【識別番号】000151461
【氏名又は名称】株式会社東京自働機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100090022
【弁理士】
【氏名又は名称】長門 侃二
(72)【発明者】
【氏名】前田 啓一
(72)【発明者】
【氏名】日比 達也
【審査官】 笹木 俊男
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−003035(JP,A)
【文献】 特開平9−156614(JP,A)
【文献】 特開2009−091162(JP,A)
【文献】 特開平11−139639(JP,A)
【文献】 特開2004−298890(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 23/00 〜 27/00
B31B 50/74
B31B 70/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り出されたテープが走行する走行経路と、
前記テープが螺旋状に巻回されたリールを配すべきリールユニットであって、前記リールから繰り出される前記テープの出口位置が前記リールの幅方向に沿って往復移動する、リールユニットと、
前記走行経路に配設され、前記リールから繰り出された前記テープの前記走行経路に対する幅方向の走行位置を調整する調整器と
を備え、
前記調整器は、前記テープの前記走行経路に対する幅方向の走行位置を検知するセンサユニットと、前記テープに回転しながら接することで前記テープの走行を案内する調整ローラと、前記走行経路を走行している前記テープの軸線と前記調整ローラの回転軸とを互いに直交させるべく、前記リールからの前記テープの繰り出しに伴う前記出口位置の往復移動に追従して前記回転軸の向きを交互に変更させる回動ユニットとを有することを特徴とするテープ繰り出し装置。
【請求項2】
前記リールに巻回された前記テープと接し、前記リールの回転方向に対して逆方向に回転する剥がしローラをさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のテープ繰り出し装置。
【請求項3】
前記回動ユニットは、復動型のシリンダを2個連結して形成され、
前記センサユニットは、前記走行経路の幅方向左右両端部に配された透過型又は反射型の光センサであることを特徴とする請求項1又は2に記載のテープ繰り出し装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テープの繰り出し装置、より詳しくはリールの幅に対してテープ幅が小さい場合に適用するテープ繰り出し装置に関する。
【背景技術】
【0002】
包装フィルムの開封テープ走行位置規制装置が特許文献1に記載されている。特許文献1では、環状溝を用いて蛇行したテープを正規な走行位置に戻している。しかしながら、テープを巻回するリールの幅が大きい場合、テープは螺旋状に巻回されるのでリールから繰り出される位置がリールの幅方向に渡って往復運動する。特許文献1の装置ではこのような場合に対応することが困難である。
【0003】
このように繰り出されるテープの出口位置が変わる場合、テープの走行位置を定めるために徐々に幅が狭くなるつば付きのパスローラを複数用意し、ここにテープを走行させることでテープの走行位置を一箇所に定める方法がある。しかしながら、この方法では複数のパスローラを用いるために走行経路が長くなってしまい、スペース的に効率が悪い。また、テープがつばに乗り上げやすかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−156614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術を考慮してなされたものであり、リールの幅方向に対して繰り出されるテープの出口位置が変更される場合であっても、短い距離でテープの走行位置を一箇所に定めることができるテープ繰り出し装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明では、繰り出されたテープが走行する走行経路と、前記テープが巻回されたリールを配すべきリールユニットであって、前記リールから繰り出される前記テープの出口位置が前記リールの幅方向に沿って往復移動する、リールユニットと、前記走行経路に配設され、前記リールから繰り出された前記テープの前記走行経路に対する幅方向の走行位置を調整する調整器とを備え、
前記調整器は、前記テープの前記走行経路に対する幅方向の走行位置を検知するセンサユニットと、前記テープに回転しながら接することで前記テープの走行を案内する調整ローラと、前記走行経路を走行している前記テープの軸線と前記調整ローラの回転軸とを互いに直交させるべく、前記リールからの前記テープの繰り出しに伴う前記出口位置の往復移動に追従して前記回転軸の向きを交互に変更させる回動ユニットとを有することを特徴とするテープ繰り出し装置を提供する。
【0007】
好ましくは、テープ繰り出し装置は、前記リールに巻回された前記テープと接し、前記リールの回転方向に対して逆方向に回転する剥がしローラをさらに備えている。
【0008】
好ましくは、前記回動ユニットは、復動型のシリンダを2個連結して形成され、前記センサユニットは、前記走行経路の幅方向左右両端部に配された透過型又は反射型の光センサである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、回動ユニットにより調整ローラが回動し、調整ローラの回転軸が走行経路上のテープの軸線と略直交するように調整されるので、リールから繰り出されるテープの出口位置が変更したとしても、正規の位置に容易に案内することができる。特に、リールに対して螺旋状に巻回されているようなテープの場合、テープがリールから繰り出される際の出口位置はリールの幅方向に渡って往復運動するので、このような場合にテープの走行位置を修正するときに好適である。また、センサユニット、調整ローラ、回動ユニットからなる調整器を用いることでテープの走行位置を正規の位置に案内できるので、安価にこれを実現でき、且つコンパクトな構造でこれを実現できる。さらに、このような調整器を用いることで短い走行距離でテープの走行位置の修正が可能となる。また、調整ローラを回動させることで、テープが調整ローラ両端のつばに乗り上げることを防止できる。
【0010】
剥がしローラを用いることで、テープがリールに巻き付いて離れなくなることを防止できるので、安定してテープを繰り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係るテープ繰り出し装置の概略図である。
図2】調整器の概略斜視図である。
図3】テープの出口位置と調整ローラの回動角度との関係を示す概略説明図である。
図4】テープの出口位置と調整ローラの回動角度との関係を示す概略説明図である。
図5】テープの出口位置と調整ローラの回動角度との関係を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に示すように、本発明に係るテープ繰り出し装置1は、テープ2を走行経路3に沿って走行させるものである。走行経路3の始端には、リールユニット4が形成され、ここにテープ2が巻回されたリール5が配される。リールユニット4の下流側には、調整器6が配されている。この調整器6は、その詳細は後述するが、リール5から繰り出されたテープ2の走行経路3に対する幅方向の走行位置を調整するものである。そして、調整器6によって正規の位置に修正されて走行経路3を走行するテープ2は、複数のダンサーローラ7を経由してさらに下流側の装置へと送られる。
【0013】
ここで、図2に示すように、調整器6はセンサユニット8、調整ローラ9、回動ユニット10を有している。センサユニット8はテープ2の走行経路3に対する幅方向の走行位置を検知するものである。具体的には、センサユニット8は、走行経路3の幅方向左右両端部に配された透過型又は反射型の光センサ11、12で形成されている。テープ2の走行方向を向いて左側に配された光センサ11は、発光部11aと受光部11bで形成されている。テープ2の走行方向を向いて右側に配された光センサ12は、発光部12aと受光部12bで形成されている。これら光センサ11、12は、透過型であれ反射型であれ、テープ2が走行経路3の幅方向の左右いずれかにずれれば、このテープ2のずれを検知することができる。
【0014】
調整ローラ9は、テープ2に接しながら回転することでテープ2を走行させるものである。調整ローラ9はいわゆる回転ローラであり、回転軸13を中心として回転する。テープ2は、この調整ローラ9の外周面に沿って屈曲して走行する。図2では、テープ2は、調整ローラ9を通過後に上述したセンサユニット8にて左右のずれを検知される。
【0015】
回動ユニット10は、走行経路3を走行しているテープ2の軸線と調整ローラ9の回転軸13とが略直交するように回転軸13を回動させるものである。図3図5を参照すれば明らかなように、リール5の幅に対してテープ2の幅が小さい場合、テープ2は螺旋状にリール5に対して巻回されているため、図3のようにリール5の一端側から繰り出され、その後図4のように中央側から繰り出され、さらにその後図5のように他端側から繰り出される。そして再び図4のように中央側から繰り出され、これが繰り返される。したがって、リール5の幅に対してテープ2の幅が小さい場合は、このようにテープ2の繰り出し時の出口位置はリール5の幅方向に渡って往復運動する。具体的には、テープの幅が8mmだとすると、リール5の幅は144mmである。
【0016】
このようにテープ2の出口位置が変動すると、走行経路3に対して幅方向にテープ2が振られてしまうが、上述した回動ユニット10を用いて調整ローラ9を回動させることで、テープ2の走行位置を修正できる。すなわち、図3のようにリール5の一端側からテープ2が繰り出されているときは、回転軸13がテープ2の軸線と直交する方向に調整ローラ9を回動するので、テープ2は走行経路3の幅方向の正規の位置を走行するように修正される。テープ2がリール5の他端側から繰り出されているときは、図5のように図3とは逆に調整ローラ9の回転軸13が回動する。これによっても、テープ2の軸線と調整ローラ9は略直交する。テープ2が図4のようにリール5の中央側から繰り出されているときは、やはりテープ2の軸線と略直交するように調整ローラ9が回動される。
【0017】
調整ローラ9の回動は、上述したように回動ユニット10を用いて行われるが、この回動ユニット10の例としては、図2に示すように、シリンダ14a、14bを2個連結して形成するものがある。図の例では、復動型のシリンダ14a、14bを連結している。これにより、ピストンロッド15の先端の位置を軸線方向に3段階に変更可能となる。すなわち、図3に示すように走行方向を向いてテープ2の出口位置がリール5の最右端にある時でも、図5に示すように最左端にある時でも、あるいは図4に示すように中央側にある時でもそれぞれの位置に対応したテープ2の軸線と略直交するように調整ローラ9は回動できる。
【0018】
シリンダ14aのピストンロッド15の先端は、ブラケット17の長孔18に接続されている。ブラケット17は回転軸13とピストンロッド15とを接続する部材である。ブラケット17の先端は分岐して先端にそれぞれ挟持端部16が形成されている。この挟持端部16は、回転軸13の両端とそれぞれ連結されている。実際に調整ローラ9を回動させるときは、シリンダ14a、14bへ供給されるエアを調整することでピストンロッド15の先端位置を変更して長孔18内をスライドさせる。このスライド時にブラケット17は全体として走行経路3に対して左右方向に回動する。ブラケット17の回動とともに、調整ローラ9の回転軸13も走行経路3に対して左右方向に回動する。
【0019】
これにより、調整ローラ9の回転軸13とテープ2の軸線との角度が直行する角度に近づき、テープ2の走行位置が狭い範囲に定められる。そして調整ローラの回転軸13とテープ2とが略直交するように回転軸を回動させるとテープ2の走行位置が最も狭い範囲に定められる。したがって、回動ユニット10により調整ローラ9が回動し、調整ローラ9の回転軸13が走行経路3上のテープ2の軸線と略直交するように調整できるので、リール5から繰り出されるテープ2の出口位置が変更したとしても、正規の位置に容易に案内することができる。特に、リール5に対して螺旋状に巻回されているようなテープ2の場合、テープ2がリール5から繰り出される際の出口位置はリール5の幅方向に渡って往復運動するので、このような場合にテープ2の走行位置を修正するときに好適である。また、センサユニット8、調整ローラ9、回動ユニット10からなる調整器6を用いることでテープ2の走行位置を正規の位置に案内できるので、安価にこれを実現でき、且つコンパクトな構造でこれを実現できる。さらに、このような調整器6を用いることで短い走行距離でテープ2の走行位置の修正が可能となる。また、調整ローラ9を回動させるので、テープ2が調整ローラ9両端のつばに乗り上げることを防止できる。
【0020】
一方で、リール5の近傍には、リール5に巻回されたテープ2と接し、リール5の回転方向に対して逆方向に回転する剥がしローラ19が備わっている。剥がしローラ19は、リール5と逆回転するので、テープ2が剥がしローラ19に接すると急にリール5から遠ざかるように引き剥がされる。このような剥がしローラ19を用いることで、テープ2がリール5に巻き付いて離れなくなることを防止できるので、安定してテープ2を繰り出すことができる。
【符号の説明】
【0021】
1 テープ繰り出し装置
2 テープ
3 走行経路
4 リールユニット
5 リール
6 調整器
7 ダンサーローラ
8 センサユニット
9 調整ローラ
10 回動ユニット
11 光センサ
11a 発光部
11b 受光部
12 光センサ
12a 発光部
12b 受光部
13 回転軸
14a、14b シリンダ
15 ピストンロッド
16 挟持端部
17 ブラケット
18 長孔
19 剥がしローラ
図1
図2
図3
図4
図5