(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。しかし本発明は当該実施形態に限定されるものではない。
【0015】
図1は1つの形態にかかる防水板装置1が通路に設置された状態における斜視図である。
図1(a)は防水板20が防水板収容ピット2b(
図3参照)内に収められ、通路が開放された姿勢を表し、
図1(b)は防水板20が防水板収容ピット2bから突出するように通路の一部を閉鎖した姿勢を表している。
図2(a)は
図1(a)に矢印IIaで示した方向、すなわち通路入側から防水板装置1を見た図、
図2(b)は
図1(a)に矢印IIbで示した方向、すなわち通路出側から防水板装置1を見た図である。
図3は、
図1(a)に一点鎖線III−IIIで示した鉛直線に沿った防水板装置1の通路出入方向断面である。
図4は、
図3と同じ視点の断面図であり、防水板20が上昇した姿勢を示している。
図1〜
図4及び適宜示す各図を参照しつつ防水板装置1について説明する。
図1〜
図4、及び以下の説明で参照する各図では、説明のため適宜部材を透視して示している。また、各図では図の見易さのために一部の部材は省略している場合もある。なお、本形態では
図1(a)、
図1(b)の紙面斜め左下方、及び
図3、
図4の紙面左が通路入側を表し、その反対側が通路出側を表している。従って
図2(a)は通路入側から防水板装置1を見た図、
図2(b)は通路出側から防水板装置1を見た図である。ここでは水害時等には、通路入側から水が侵入することとする。
【0016】
防水板装置1は、通路開閉部2、機構収容部3、及び警報装置部4を備えている。
図1、
図2からわかるように、機構収容部3は通路開閉部2の一端と他端のそれぞれに、対向して立設するように設けられている。本形態では一方の機構収容部3の上に警報装置部4が配置されている。
図1(a)、
図1(b)からわかるように、防水板装置1は壁の間に形成される通路に設置される。詳しくは、通路を形成する路面に通路開閉部2が埋設され、通路を形成する壁のそれぞれに機構収容部3が配置される。これにより平常時には
図1(a)のように通路は開放されており出入りが可能となっている。一方、水害時等には、
図1(b)のように防水板20が上昇して通路の一部を閉鎖してこれ以上の水の侵入を防止することができる。以下、防水板装置1を構成する各部について詳しく説明する。
【0017】
通路開閉部2は、
図1〜
図4に表れているように、底板10、仕切り部材11、12、13、14、15、取水溝16、導水部材17、排水手段18、集水バケット19、防水板20、第一押しつけ部材21、及び第二押しつけ部材24を備えている。なお、上記したように通路開閉部2は通路のうちの路面下に埋設されるので、通路開閉部2を構成する各部材も一部の部材を除いて埋設されることを基本としている。
【0018】
底板10及び仕切り部材11〜15は、板状の部材であり、底板10が通路開閉部2の底部を形成し、該底板10に仕切り板11〜15を立設させることにより箱状として所定の空間(後述する集水ピット2a、防水板収容ピット2b)を形成する。
【0019】
仕切り部材11、12は、
図2からわかるように底板10のうち左右方向(通路出入方向に直交する方向、
図2の紙面左右方向、
図3、
図4の紙面奥/手前方向)の両端部のそれぞれに面を対向するように立設される。これにより箱状の左右方向壁部を形成している。仕切り部材11、12は通路を形成する壁及び機構収容部3の下方に位置づけられる。
【0020】
仕切り部材13、14、15は、
図3、
図4からわかるように、防水板装置1の左右方向に延び、その板面が対向するように、通路入出側方向に所定の間隔を有して並べられるように配置される。本形態では通路入側から通路出側に向けて、仕切り部材13、仕切り部材14、仕切り部材15の順に並べられている。これにより仕切り部材13が所定の空間の通路入側の壁、仕切り部材15が所定の空間の通路出側の壁をそれぞれ形成し、仕切り部材14がその間を仕切っている。
【0021】
そして底板10、仕切り部材11、12、仕切り部材13、及び仕切り部材14により囲まれた空間により集水ピット2aが形成される。また、底板10、仕切り部材11、12、仕切り部材14、及び仕切り部材15により囲まれた空間により防水板収容ピット2bが形成される。
【0022】
ここで、
図3、
図4に表れているように、防水板収容ピット2bの壁面のうち通路出側上部には左右方向に延びるシール部材27aが配置されている。シール部材27aにより、後で説明するように、防水板20が上昇した際、シール部材27aに防水板20の下部表面が押し付けられて水密が取られる。
さらに、
図2(a)、
図2(b)、
図3、
図4に表れているように、上方に延びるシール部材27b、27cが、シール部材27aと通路入出側方向が同じ位置で、後述する筐体30のそれぞれに設けられている。これにより防水板20が上昇した際、シール部材27b、27cに防水板20の左右方向端部表面が押し付けられて水密が取られる。
従って、これらシール部材27a、27b、27cに防水板20の通路出側面の下端部及び左右両端部が押し付けられて防水板20を挟んで通路入側から通路出側への水漏れを防止している。
【0023】
集水ピット2aの上端開口にはフタ部材28が被せられるように配置され、通路面の一部を形成している。フタ部材28の路面側となる表面には、複数の凸部が形成されていることが好ましい。これにより、歩行者や車両のスリップが防止される。
【0024】
取水溝16は、
図3、
図4にその断面が表れ、
図1に外観が表れているように、所定の断面を有して防水板装置1の左右方向に延びる部材である。取水溝16は取水溝本体16aとグレーチング16bとを備えている。取水溝本体16aは、溝状断面を有する部材で、該溝状の開口部が上になる向きで配置されている。グレーチング16bは取水溝本体16aの開口部に覆い被せられるように配置される合成樹脂材料や金属材料等を格子状に組んだ溝フタである。
このような取水溝16は、仕切り部材13よりも通路入側に配置される。取水溝16は不図示の排水処理設備へと通じている。
【0025】
導水部材17は、
図3、
図4に表れているように仕切り部材13の上端面に沿って、その板面が上下方向を向くように配置された板状の部材である。導水部材17の通路入側端部は取水溝本体16aに連通するように配置され、導水部材17の通路出側端部は、集水ピット2aにまで延びるように配置されている。これにより取水溝本体16aから集水ピット2aに通じる導水路17aが形成される。
導水部材17により、取水溝16から溢れた水を効率よく集水ピット2aに導くことができる。導水部材17はステンレスや鋼により形成されることが好ましい。
【0026】
排水手段18は、集水ピット2aの底部に流入した水を排水する手段である。従って排水手段18の一端は底板10を貫通して集水ピット2aに連通し、他端側は外部の排水処理設備に通じている。また、その途中には逆流を防止するための弁である逆流防止弁18aが配置され、排水手段18から集水ピット2a内に水が流入することを防止している。
これにより、集水ピット2a内に水が滞留することを抑制し、集水バケット19の降下力が減衰することを防ぐ。防水板装置1の動作については後で詳しく説明する。
本形態では底板10を貫通して集水ピット2aの底部から排水するように構成しているが、これに限らず、仕切り部材を貫通して側部から排水するように構成してもよい。
【0027】
集水バケット19は、集水ピット2a内へ流入した水を貯留するための容器であり、
図3、
図4に表れた断面を有し、
図2(a)に表れているように防水板装置1の左右方向に延びる底部を有して上部が開放された箱状である。集水バケット19は、集水ピット2a内に収容されており、該集水ピット2a内を上昇及び下降可能とされている。すなわち、集水バケット19は、防水板装置1の左右方向において、集水ピット2aよりも若干小さく形成されており、その上部開口から内側に水が流入し、これを貯留することが可能となっている。
【0028】
集水バケット19の底部には集水バケット19の内外を貫通する排水穴として機能する穴19aが設けられている。本形態では、
図2(a)からわかるように、左右方向端部のそれぞれに穴19aが2つ設けられている。
穴19aを設けることにより、意図しないときに防水板装置1が作動して防水板20が上昇してしまうことを防止することができる。すなわち、集水バケット19に何らかの理由で水が流入していたり、小流量で長い時間集水バケット19に水が流入していた場合等には、穴19aが設けられていないと結果的に集水バケット19内に所定量の水が貯留する。これにより意図しないときに防水板装置1が作動してしまう可能性がある。これに対して穴19aを設けておくことによりこのようにして集水バケット19に流入した水は集水バケット19から排水することができる。従って意図しないときの防水板の上昇を防止することができる。詳しくは後で説明する。
【0029】
穴19aの総面積は、使用者の希望、用いられる場所の排水設備の事情等を考慮して調整することができる。すなわち、これら事情等に基づいて決められる所定の流量以下の集水バケット19への水の流入について、これを集水バケット19に貯留することなく穴19aから排出する。一方、これを超える流量の水の流入については穴19aにより排水能力を超える流入量であることに起因して集水バケット19内に水が貯留する。このとき、穴の数、位置、及び形態は特に限定されることはないが、流入した異物等により穴が塞がって機能しなくなることを鑑み、例えば、離れた位置に少なくとも2以上の複数の穴を設けることが好ましく、各穴の径も所定の大きさ以上を確保することがよい。また、仕切り部材の側部に穴を開けての排水も可能であるが、排水の効率が良い観点からは穴の位置は底部であることが好ましい。
【0030】
また、集水バケット19には重り19bを配置してもよい。これにより防水板20の上昇のタイミングを調整することができる。重り19bを重くすれば、軽い時に比べ、集水バケット19内への水の貯留量が少なくても防水板20を上昇させることができる。
【0031】
また、集水バケット19の上端の縁部にはシール部材19cが配置されてもよい。シール部材19cは集水バケット19と集水ピット2aの内壁面との隙間を塞ぐように取り付けられている。これにより集水バケット19と集水ピット2aとの隙間に水が入りこみ、集水ピット2a内に水が溜まることをさらに抑制することができる。
【0032】
防水板20は、上昇した姿勢で通路の一部を閉鎖して水をせき止めることができる厚板状の部材で、
図3、
図4に示した断面を有し、
図1、
図2(b)に表れているように防水板装置1の左右方向に延びるものである。
防水板20は、水を堰き止めるための堰板となる防水板本体20aと、防水板本体20aの上端部に固着されて路面の一部となる鋼板製のフタ部材20bとを備えている。
【0033】
防水板本体20aは、その内部が発泡スチロール等の軽量かつある程度の強度を有する発泡材パネルで形成され、この発泡材パネルの表面全体にステンレス鋼板などの耐腐食性と強度を有した薄板材が被装されることで形成されている。このように防水板20は、その防水板本体20aの内部に軽量でかつ比重が小さな発泡材パネルが用いられるので軽量化が図られている。これにより、後述するように防水板20を上げ下げ可能に吊るために要する力を軽減することができる。しかも、発泡材パネルの表面は、それよりも硬質の薄板材によって被覆されるので、発泡材パネルの損傷を防止することも可能である。
【0034】
ここでは防水板本体20aに発泡材パネルを用いる例を示したが、他の材料が用いられることを妨げるものではなく、例えばハニカムコア材を用いることができる。これによれば強度を向上させることが可能となる。
【0035】
フタ部材20bは、防水板本体20aの上端部に固着されて路面の一部となる鋼板製の板状部材である。フタ部材20bの路面側となる表面には、複数の凸部が形成されていることが好ましい。これにより、歩行者や車両のスリップが防止される。なお、フタ部材20bに用いられる板は縞板鋼板であることが好ましく、上記した防水板本体20aの薄板材と同じ材料で形成することが望ましい。
【0036】
このような防水板20のうち、防水板本体20aは防水板収容ピット2bに、該防水板収容ピット2bから突没可能に配置される。すなわち、防水板本体20aは、その全部が防水板収容ピット2b内に収まる姿勢(
図3)と、その一部が防水板収容ピット2b内に収まり、他の一部が通路に突出している姿勢(
図4)と、をとることができるように設けられている。
【0037】
また、フタ部材20bは、防水板本体20aの全部が防水板収容ピット2b内に収められた姿勢で、
図3のように該防水板収容ピット2bの開口をフタするように覆う。
【0038】
ここで、防水板20は、集水バケット19(重り19bも含む。)、後述する連結ブラケット37、及び移動スプロケット38の合計重量より重く構成されている。これにより後で説明するように、平常時において防水板20を防水板収容ピット2bの内側に適切に収容しておくことが可能となる。
【0039】
第一押しつけ手段21は、押圧部材22及び受け部材23を有して構成されている。 押圧部材22は、
図3、
図4からわかるように、防水板収容ピット2bの壁面のうち、通路入側上部に配置されている。押圧部材22は通路出側上方に向かうように傾斜する部位を有している。すなわち防水板20の昇降方向に対して傾斜する部位を有している。
一方、受け部材23は、防水板20のうち通路入側下部に配置されている。受け部材23も押圧部材22と同様に傾斜する部位を有している。
押圧部材22と受け部材23とは、
図4からわかるように、防水板20が上昇した姿勢において、防水板20の下端部で傾斜した部位同士が重なる位置に配置されている。これにより防水板20が上昇した姿勢において、当該傾斜した部位同士の接触の作用で、第一押しつけ手段21が防水板20を通路出側に押圧する。
【0040】
第二押しつけ手段24は、押圧部材25及び受け部材26を有して構成されている。
図5に第二押しつけ手段24を表した。
図5(a)は押圧部材25のみに注目して
図3と同じ視点で見た図であり、
図5(b)は
図4と同様に防水板20が上昇した姿勢で押圧部材25が受け部材26に接触している場面を表した図である。
図5(a)、
図5(b)からわかるように、押圧部材25は、軸25aを中心に回動する車輪25bを備えて構成されている。軸25aは直接又は他の部材を介して後述する筐体30に固定されており、その軸心方向は防水板20の左右方向である。従って車輪25bは通路出入側方向を含む平面内で回動することができるように配置されている。
一方、受け部材26は、
図5(b)からわかるように、防水板20が上昇した姿勢で押圧部材25に接触する部位が傾斜面となるように構成されている。すなわち防水板20の昇降方向に対して傾斜する面を有している。このような受け部材26は、
図2(b)からわかるように、防水板20のうち左右方向端面のそれぞれに配置されている。
【0041】
押圧部材25と受け部材26とは、防水板20が
図5(b)にVaで示したように上昇すると、受け部材26の斜面が押圧部材25の車輪25bに接触し、くさびの効果で
図5(b)にVbで示したように力が働き、防水板20を通路出側に押圧することが可能となる。このとき、押圧部材25側が車輪25bを有して構成されているので、押圧部材25と受け部材26との接触後の防水板20の移動に与える抵抗を抑制することができ、より円滑な作動が可能となる。
また、第二押しつけ手段24は防水板20が最も上昇した姿勢において、防水板20の半分より上で両者が接触するように配置されている。
【0042】
ここで、第一押しつけ部材21と第二押しつけ部材24とは、
図4からわかるように防水板20が最も上昇した姿勢で概ね同じタイミングで押圧部材22、25と受け部材23、26とが接触することが好ましい。これにより防水板20を円滑に通路出側に移動させることができる。そのために、押圧部材22と受け部材23との距離が、押圧部材25と押圧部材26との距離と同じであればよい。また、その際には一方が防水板20の下端部を押圧し、他方が防水板20の半分より上となる部位を押圧することが好ましい。これにより防水板20をより均等にシール材に押圧することができる。
【0043】
次に機構収容部3について説明する。機構収容部3は上記したように通路開閉部2の左右方向端部のそれぞれに設けられ、通路を形成する壁に備えられる。従って、
図1、
図2からもわかるように機構収容部3は2つ設けられている。ただし、2つの機構収容部3の基本的な構造は同じなので、ここでは一方の機構収容部3についてのみ説明する。
【0044】
機構収容部3は、筐体30、及び該筐体30内に収容される伝達機構31を備えている。
筐体30は機構収容部3の外殻を形成する部材であり、箱状とされることによりその内側に伝達機構31を含むことができるように構成されている。従って筐体30は板状の部材が組み合わされる等して形成されている。
【0045】
伝達機構31は、上記集水バケット19と防水板20とを連動させて互いの上昇及び下降を関連付ける機能を有する機構である。すなわち、防水板20と集水バケット19とを連結し、集水バケット19が下降する力を防水板20が上昇する力に変換する機構である。また伝達機構31には、防水板20の上昇に関して利用者の利便性を向上する手段が併せて具備されている。
本形態では伝達機構31は、吊り上げチェーン32、第一ガイドスプロケット35、第二ガイドスプロケット36、連結ブラケット37、移動スプロケット38、防水板制御手段40、及び防水板減速手段50を備えている。
【0046】
吊り上げチェーン32は、力伝達部材として機能し、集水バケット19と防水板20とを連動させるように両者間の力を伝達させるチェーンである。各図では見易さのため吊り上げチェーン32を太い破線で示している。吊り上げチェーン32は、その一端が筐体30に固定部材34により固定されている。従って固定部材34により固定された端部は移動が制限される。一方、吊り上げチェーン32の他端は、防水板20の左右方向側面に固定部材33により固定されている。従って吊り上げチェーン32の当該他端は防水板20の上昇、下降と同じに上下動する。本形態では固定部材33は上記受け部材26と一体に形成されている。
また、吊り上げチェーン32の両端間は、後述する第一ガイドスプロケット35、第二ガイドスプロケット36、及び移動スプロケット38に巻き掛けられることにより筐体30内に保持される。
【0047】
第一ガイドスプロケット35は、上記吊り上げチェーン32に係合可能な複数の歯が外周に形成されているスプロケット歯車である。従って第一ガイドスプロケット35はその中心を軸として回動可能とされるとともに、該軸は筺体30に固定されており移動が制限されている。よって第一ガイドスプロケット35は筺体30の所定の場所に固定されつつ回動することができるように配置されている。
また、第一ガイドスプロケット35は、防水板20の上方に配置され、その高さ位置(
図3、
図4の紙面上下方向位置)は、防水板20が最も上昇した姿勢でも該防水板20を吊り上げチェーン32で保持することができる位置である。一方、第一ガイドスプロケット35の通路出入側方向の位置(
図3、
図4の紙面左右方向位置)は、特に限定されることはないが、第一ガイドスプロケット35の通路出側(
図3、
図4の紙面右側)から吊り下げチェーン32の一端側が鉛直下方に延び、その一端が防水板20に固定される形態となることが好ましい。これによれば防水板20を真上に引き上げることが可能となり、防水板20のより円滑な上下動が図られる。
【0048】
第二ガイドスプロケット36は、第一ガイドスプロケット35と同様、上記吊り上げチェーン32に係合可能な複数の歯が外周に形成されているスプロケット歯車である。従って第二ガイドスプロケット36はその中心を軸として回動可能とされるとともに、該軸は筺体30に固定されており移動が制限されている。よって第二ガイドスプロケット36は筺体30の所定の場所に固定されつつ回動することができるように配置されている。
第二ガイドスプロケット36は、上記第一ガイドスプロケット35よりも通路入側に配置され、その高さ位置は第一ガイドスプロケット35と概ね同じとされている。
【0049】
連結ブラケット37は、集水バケット19の左右方向側面に固定されている板状の部材であり、移動スプロケット38が配置されている。
【0050】
移動スプロケット38は、上記吊り上げチェーン32に係合可能な複数の歯が外周に形成されているスプロケット歯車である。従って移動スプロケット38はその中心を軸として回動可能とされるとともに、該軸は連結ブラケット37に固定されている。
【0051】
上記したように集水バケット19は上下動可能に配置されているので、連結ブラケット37及び移動スプロケット38も集水バケット19に追随して上下動することができる。
【0052】
以上説明した第一ガイドスプロケット35、第二ガイドスプロケット36、及び移動スプロケット38には、次のように吊り上げチェーン32が掛けられている。すなわち、吊り上げチェーン32の通路入側端部と通路出側端部との間において、第一ガイドスプロケット35及び第二ガイドスプロケット36に対して、上側から吊り上げチェーン32が掛けられる。一方、移動スプロケット38は、第二ガイドスプロケット36と吊り上げチェーン32の通路入側端部との間で、吊り上げチェーン32に載せられるように掛けられる。これにより、移動スプロケット38、連結ブラケット37、及び集水バケット19が吊り上げチェーン32に引っ掛けられるようにぶら下げられる。
【0053】
防水板制御手段40は、防水板20の下降を制限する手段、防水板20の上昇を制限する手段、及びこれを切り替える手段として機能するものである。本形態では防水板制御手段40は、制御スプロケット41、防水板下降制限アーム42、防水板上昇制限アーム43、切り替え操作手段44、及びこれらの少なくとも一部を内包するカバー45を備えており、下降制限アームと上昇制限アームはそれぞれ異なる歯に接触させている。
図6には
図3のうち、第二ガイドスプロケット36の部位を上方から見た図を示し、これにより制御スプロケット41が表れる図を示した。
図7には、防水板制御手段40を通路出側から見た図を示した。また、
図8には、防水板制御手段40のうち、カバー45により隠蔽されている部位について説明する図を示した。
図8(a)は防水板制御手段40の1つの姿勢、
図8(b)は防水板制御手段40の他の姿勢である。
【0054】
制御スプロケット41は、第二ガイドスプロケット36と同様の複数の歯が外周に形成されているスプロケット歯車である。制御スプロケット41は、
図6からわかるように第二ガイドスプロケット36に同軸で、該第二ガイドスプロケット36より筐体30側(通路側)とは反対となる側に配置されている。制御スプロケット41は第二ガイドスプロケット36に連動するように構成されている。従って第二ガイドスプロケット36と制御スプロケット41とは、いずれか一方が回動すれば他方も回動し、いずれか一方の回動が制限されれば他方の回動も制限される関係にある。
図3、
図4では第二ガイドスプロケット36を説明するために制御スプロケット41は省略している。
【0055】
防水板下降制限アーム42は、第一アーム42a、第二アーム42b、及び係止突起42cを有している。第一アーム42a及び第二アーム42bは一方向に延びる板状の部材であり、
図8からわかるように第一アーム42aと第二アーム42bとはその一端側同士が接続されて略L状に形成されている。第一アーム42aのうち第二アーム42bと連結された側とは反対側の端部には、第一アーム42aが延びる方向と直交する方向に突出する係止突起42cが設けられている。そして、防水板下降制限アーム42は該略L字状に形成された第一アーム42aと第二アーム42bとの交差部位に設けられた軸40aを中心に回動可能とされ、弾性部材42dにより付勢されている。ここで、
図7からわかるように、係止突起42cは第二ガイドスプロケット36に係合することができる位置にまで筐体30側にも延在する。
【0056】
防水板上昇制限アーム43は、第一アーム43a、第二アーム43b、及び係止突起43cを有している。第一アーム43a及び第二アーム43bは一方向に延びる板状の部材であり、
図8からわかるように第一アーム43aと第二アーム43bとはその一端側同士が接続されて略L状に形成されている。第一アーム43aのうち第二アーム43bと連結された側とは反対側の端部には、第一アーム43aが延びる方向と直交する方向に突出する係止突起43cが設けられている。そして、防水板上昇制限アーム43は該略L字状に形成された第一アーム43aと第二アーム43bとの交差部位に設けられた軸40aを中心に回動可能とされ、弾性部材43dにより付勢されている。ここで、
図7からわかるように、係止突起43cは制御スプロケット41に係合することができる位置にまで筐体30側にも延在する。また、第二アーム43bも切り替え操作手段44に係合することができる位置にまで筐体30側にも延在する。
【0057】
切り替え操作手段44は、
図8からわかるように、基板44a、回動軸44b、及び偏心部材44cを備えている。基板44aは板状の部材であり、その板厚方向に貫通するように回動軸44bが配置される。回動軸44bのうち一方側には
図8に表れているように回動軸44bを回動操作するための溝が設けられている。また、基板44aには、回動軸44bから所定の距離離隔した部位に偏心部材44cが設けられている。本形態では偏心部材44cは円柱状の部材であり、
図7からわかるように基板44aから筐体30の方向及びその反対側に突出するように形成されている。その突出量は後述するように、第二アーム42b、43bに係合することが可能であるように調整されている。
【0058】
カバー45は、上記した防水板下降制限アーム42、防水板上昇制限アーム43、切り替え手段44を筐体30の壁との間に内包して隠蔽するとともに、回動軸40a、44bの一方側の軸受として機能する。従ってカバー45は板状の部材により形成されている。
【0059】
以上のような各構成部材が次のように組み合わされて防水板制御手段40とされている。
図7、
図8からわかるように筐体側30から防水板下降制限アーム42、防水板昇制限アーム43がこの順で回動軸40aに同軸に配置される。防水板下降制限アーム42と防水板上昇制限アーム43とは互いに連動するように回動軸40aに取り付けられている。従って両者のうち一方が回動軸40aを中心に回動すれば他方もこれに追随して回動する。本形態では回動軸40aは第二ガイドスプロケット36及び制御スプロケット41より通路入側に配置される。
このとき、防水板下降制限アーム42は、第一アーム42aが回動軸40aから第二ガイドスプロケット36の下方に延び、係止突起42cが第二ガイドスプロケット36側に向けて突出するとともに第二アーム42bは通路入側に配置されて上方に向くように配置される。また防水板下降制限アーム42は、弾性部材42dにより係合突起42cが第二ガイドスプロケット36に向かう方向に付勢されている。
一方、防水板上昇制限アーム43は、第一アーム43aが回動軸40aから上方に向かって延び、係止突起43cが制御スプロケット41側に向けて突出するとともに第二アーム43bは通路入側に配置されて回動軸40aから通路入側に向けて延びるように配置される。また防水板上昇制限アーム43は、弾性部材43dにより係合突起43cが制御スプロケット41に向かう方向に付勢されている。
【0060】
切り替え操作手段44の基板44aは
図7に示した視点で防水板下降制限アーム42と防水板上昇制限アーム43との間に配置され、
図8に示した視点で第二アーム43bの上方で第二アーム42bの通路入側に配置される。切り替え操作手段44は
図7からわかるように、筐体30とカバー45とを軸受けとして渡すように配置される回動軸44bにより回動可能とされている。従って、回動軸44bの回動に追随して基板44aが回動し、これにより偏心部材44cが回動軸44bの周りを公転するように回動する。
【0061】
次に防水板制御手段40の作用について説明する。防水板制御手段40に備えられる各構成部材は上記説明した各構成を含むとともにそれぞれが配置されているが、さらに詳細な構成や配置は以下に説明する作用を実現することが可能な範囲で調整される。
【0062】
初めに
図8(a)に示した姿勢、すなわち防水板上昇制限アーム43の係止突起43cが制御スプロケット41に係止した姿勢について説明する。このとき、切り替え操作手段の偏心部材44cが回動軸44bより通路出側に配置され、第二アーム42bを押圧している。これにより第一アーム42aは下方に回動され、第二ガイドスプロケット36から係止突起42cが離脱した姿勢になる。第一アーム43a及び第二アーム43bは回動軸40aに同軸に取り付けられているので、回動軸40aを中心に回動し、
図8(a)に示される係合突起43cが制御スプロケット41に係合する。上記したように第一アーム43aは弾性部材43dにより付勢されているので、係合突起43は制御スプロケット41に押圧された状態で係止する。
このとき、係止突起43cは制御スプロケット41のVIIIaの方向の回動に対しては弾性部材42d、43dの付勢力に抗して第一アーム43aが回動軸40aを中心にVIIIb方向に回動することができるように構成されおり制御スプロケット41のVIIIa方向の回動を許容する。一方、係止突起43cは制御スプロケット41のVIIIcの方向の回動に対しては、制御スプロケット41のスプロケット歯に係止して制御スプロケット41のVIIIcの方向の回動を制限するように構成されている。そのための構成は特に限定されることはないが、係止突起43cのスプロケット歯への係止位置、係止角度を調整したり、係止突起43cの先端形状を調整したりすることで可能となる。
【0063】
次に
図8(b)に示した姿勢、すなわち防水板下降制限アーム42の係止突起42cが第二ガイドスプロケット36に係止した姿勢について説明する。
図8(a)に示した姿勢から
図8(b)に示した姿勢とするには、回動軸44bを回動させることにより偏心部材44cが回動軸44bより下方となるように回動させる。これにより、偏心部材44cが第二アーム43bを押圧する姿勢となる。これにより第一アーム43aは通路入側に回動され、制御スプロケット41から係止突起43cが離脱した姿勢になる。第一アーム42a及び第二アーム42bは、第二アーム43bと回動軸40aに同軸に取り付けられているので、回動軸40aを中心に回動し、係合突起42cが第二ガイドスプロケット36に係止する。上記したように第一アーム42aは弾性部材42dにより付勢されているので、係合突起42cは第二ガイドスプロケット36に押圧された状態で係止する。
このとき、係止突起42cは第二ガイドスプロケット36のVIIIdの方向の回動に対しては弾性部材42d、43dの付勢力に抗して第一アーム42aが回動軸40aを中心にVIIIeの方向に回動することができるように構成されおり第二ガイドスプロケット36のVIIIdの方向の回動を許容する。一方、係止突起42cは第二ガイドスプロケット36のVIIIfの方向の回動に対しては、第二ガイドスプロケット36のスプロケット歯に係止して第二ガイドスプロケット36のVIIIfの方向の回動を制限するように構成されている。そのための構成は特に限定されることはないが、係止突起42cのスプロケット歯への係止位置、角度を調整したり、係止突起42cの先端形状を調整したりすることで可能となる。
【0064】
防水板減速手段50は、防水板20が上昇する速度を減速し、急激な防水板20の上昇を防止する手段である。本形態では防水板減速手段50は、揺動板51、減速スプロケット52、操作手段53、ガイド54、及びこれらの少なくとも一部を内包するカバー55を備えている。
図9には、防水板減速手段50を通路出側から見た図を示した。また、
図10には、防水板減速手段50のカバー55により隠蔽されている部位について説明する図を示した。
図10(a)は防水板減速手段50の1つの姿勢、
図10(b)は防水板減速手段50の他の姿勢である。
【0065】
揺動板51は一方向に長い板状の部材であり、その一端側にはその長手方向に沿ってスリット51aが設けられている。スリット51aの幅は後述する操作手段53の偏心部材53cがスリット51a内を移動することができるものとされている。
【0066】
減速スプロケット52は、第二ガイドスプロケット36等と同様、複数の歯が外周に形成されているスプロケット歯車である。減速スプロケット52は、
図9、
図10からわかるように、揺動板51の長手方向略中央に回動可能に取り付けられている。また、減速スプロケット52にはその回動に抗するように不図示の抵抗手段が設けられている。従って、減速スプロケット52を回動させるとこれに抗する力が作用する。抵抗手段の具体的な形態は特に限定されることなく公知の手段を用いることができる。これには例えばロータリダンパを挙げることができる。この場合には、ロータリダンパを減速スプロケットに内蔵したり、同軸に配置してもよい。ロータリダンパの他、一方向の回転力を制御することが可能で、またそれとは異なるもう一方が通常回転力とする構造の部材や、回転力を直線の力に変換する部材を介して、ショックアブソーバのように直線力を制御する部材を組み合わせることも可能である。また、第一スプロケット、第二スプロケットの回転力を制御することで上昇速度および降下速度のそれぞれ一方を制御、または両者同時に制御させることも可能である。
【0067】
操作手段53は、
図9、
図10からわかるように、基板53a、回動軸53b、及び偏心部材53cを備えている。基板53aは板状の部材であり、その板厚方向に貫通するように回動軸53bが配置される。回動軸53bのうち一方側には
図10に表れているように回動軸53bを回動操作するための溝が設けられている。また、基板53aには、回動軸53bから所定の距離離隔した部位に偏心部材53cが設けられている。本形態では偏心部材53cは円柱状の部材であり、
図9からわかるように基板53aから筐体30の方向に突出するように形成されている。
【0068】
ガイド54は、断面がL状で所定の長さを有する部材であり、後述するように減速スプロケット52が吊り上げチェーン32に係合する際に吊り上げチェーン32が逃げてしまわないように反対側から支持する。
【0069】
カバー55は、上記した各部材を筐体30の壁との間に内包して隠蔽するとともに、揺動板51の回動軸51b、及び操作手段の回動軸53bの一方側の軸受として機能する。従ってカバー55は板状の部材により形成されている。
【0070】
以上のような各構成部材が次のように組み合わされて防水板減速手段50とされている。
揺動板51が、スリット51aが具備される側とは反対側の端部で回動軸51bを中心に回動(揺動)可能に筐体30に固定される。一方、スリット51aが具備された側の端部は回動軸51b側から上方に延びるように配置される。また、減速スプロケット52は揺動板51に回動可能に固定されているが、本形態では
図9からわかるように揺動板51の筐体30側となる面に固定されている。
【0071】
操作手段53の基板53aは
図9に示した視点で揺動板51より筐体30とは反対側に配置される。基板53aは、筐体30とカバー55とを軸受けとして渡すように配置される回動軸53bにより回動可能とされている。また、偏心部材53cは基板53aから筐体30側に突出し、これが揺動板51のスリット51aを貫通するように配置される。従って、回動軸53bの回動に追随して基板53aが回動し、これにより偏心部材53cが回動軸53bの周りを公転するように回動する。さらに、偏心部材53cの回動によりその位置の変化に追随して揺動板51が回動軸53bを中心に揺動する。
【0072】
ガイド54は、
図9、
図10からわかるように、減速スプロケット52と所定の間隔有して通路出側に配置され、減速スプロケット52とガイド54との間に吊り上げチェーン32が通るように配置される。従ってガイド54は長手方向が上下方向に延びるように配置される。また、上記したようにガイド54は断面がL字状とされているので、その一方の片が筐体30に重なるように配置されて筐体30に固定され、他方の片が筐体30から立設する。
【0073】
次に防水板減速手段50の作用について説明する。防水板減速手段50に備えられる各構成部材は上記説明した各構成を含むとともにそれぞれが配置されているが、さらに詳細な構成や配置は以下に説明する作用を実現することが可能な範囲で調整される。
【0074】
初めに
図10(a)に示した姿勢について説明する。このとき、操作手段53の偏心部材53cが回動軸53bより通路出側に配置され、揺動板51を吊り上げチェーン32に近づけるように保持している。これにより減速スプロケット52が吊り上げチェーン32に係合し、吊り上げチェーン32の移動に伴って減速スプロケット52が回動する。また、ガイド54の立設した片が減速スプロケット52に対向して設けられているので、減速スプロケット52が吊り上げチェーン32に係合するに際し吊り上げチェーン32が反対側に逃げることを防止して確実に係合が行われる。
これにより、防水板20が上昇するために吊り上げチェーン32が移動するに際して減速スプロケット52が回動して吊り上げチェーン32の移動速度を遅くすることができる。従って防水板20の突然の早い上昇を防止することが可能となる。
【0075】
次に
図10(b)に示した姿勢について説明する。
図10(a)に示した姿勢から
図10(b)に示した姿勢にするには、回動軸53bを回動させることにより偏心部材53cが回動軸53bより下方となるように回動させる。これにより、偏心部材53がスリット51a内を移動して、揺動板51を吊り上げチェーン32から離隔させる方向に回動させる。従って、減速スプロケット52も吊り上げチェーン32から離隔してその係合状態から離脱する。これにより当該減速機能を解除(無効に)することができる。
【0076】
ここでは防水板減速手段として上記例を説明したが、防水板減速手段は防水板が上昇する力に抗して作用し、防水板の上昇速度を抑えることができれば他の形態であってもよい。例えば上記した第一スプロケット35、第二スプロケット36、移動スプロケット37の回動軸や、防水板20と防水板収容ピット2bとの間に抵抗となる手段を配置してもよい。
【0077】
図1〜
図4に戻り警報装置部4について説明する。警報装置部4は、予告することなく防水板20が上昇して予期せぬ事態が発生することを防止するため、防水板20が上昇するに先立って警報を発する機能を有する部位である。
警報装置部4は本形態では一方の機構収容部3の上部に重ねられるように設けられ、水流検知センサ60、制御手段70、及びスピーカー80及び回動灯81を備えている。
【0078】
水流検知センサ60は、集水バケット19に流入する水の流量を検知して制御手段70に情報を提供するセンサである。本形態では水流検知センサ60は
図3、
図4に表れているように、導水路17aに設置されている。
図11に水流検知センサ60の斜視図を表した。
図11(a)は導水路17a内を流れる水流が無い場面における水流検知センサ60の姿勢を表し、
図11(b)は導水路17a内を水が流れた場面における水流検知センサ60の姿勢を表している。
図11からわかるように、水流検知センサ60は、電気型近接スイッチ61、軸62、フラップ63、及び開口感知板64を備えている。
【0079】
電気型近接スイッチ61は、永久磁石を含む部位61aとリードスイッチを含む部位61bとが対向するように設けられ、部位61aからの磁力を部位61bが検知することにより電気信号を発信するように構成されたスイッチである。発信された信号は配線61cにより制御手段70に送信される。本形態では電気型近接スイッチ61は導水路17aに隣接して設置されている。後述するように電気型近接スイッチ61は軸62の回転を検知してこれを電気信号に変換する手段として機能する。
本実施形態では、上記のように磁気を検知するセンサを用いたがこれに限定されることはなく、他の形態であってもよい。すなわち、水流を受けたフラップの移動を電気信号に変換できる機器であればよく、非接触式では光電管センサ等の光学センサを用いることもでき、接触式では汎用のマイクロスイッチ等を挙げることができる。また、軸の回転を直接接続するエンコーダー装置を用いることも可能である。
【0080】
軸62は、導水路17aを横切り、電気型近接スイッチ61に達する軸部材で、軸心を中心に回動可能に形成されている。
【0081】
フラップ63は板状の部材であり、その上端部を軸62に固定されるとともに、導水路17aを塞ぐように配置される。
【0082】
開口感知板64は、電気型近接スイッチ61のうちリードスイッチを含む部位61bを覆うように配置される部材であり、軸62に固定されている。従って、フラップ63と開口感知板64は軸62を介して同軸に形成され連動して回動する。ここで開口感知板64は強磁性体(磁石に吸着する物質)により形成されている。
【0083】
このような構成部材は導水路17aに水流がない場面において
図11(a)に示したように配置される。すなわち、フラップ63はその板面が略鉛直となり導水路17aを塞ぐように位置づけられる。一方、開口感知板64は、リードスイッチを含む部位61bを覆うように配置される。すなわちこの姿勢では永久磁石を含む部位61aからの磁力がリードスイッチを含む部位61bに達することがないので電気信号を発信しない状態である。
【0084】
一方、導水路17aに水流がある場合、該水流がフラップ63を押圧することにより、
図11(b)に示したようにフラップ63が傾く。これにより軸62を介して開口感知用板64も連動して回動し、開口感知板64が部位61bから離脱して部位61aからの磁力を部位61bが検知する。
フラップ63が傾く角度は、導水路17aを流れる水の流量により変わる。すなわち、少流量の場合にはフラップ63の傾きは少なく、大流量の場合にはフラップ63の傾きは大きくなる。ここで警報を発すべき事態は大流量の場合となるので、少流量の場合には水量検知センサ60から信号を発することが無いように構成することが好ましい。そのために開口感知板64の形態によりフラップ63が所定の角度以上に傾いたときにリードスイッチが磁力を感知して信号を発するように構成することができる。
【0085】
さらに、導水路17aに水流がなくなればフラップ63が
図11(a)の状態に戻り、電気信号が発せられない状態に復帰する。
【0086】
本形態によれば、軸の回動によりセンサが作動する例について説明したが、必ずしも回動である必要はなく、例えば所定の方向への移動や揺動によってセンサが作動する形態としてもよい。
【0087】
このようなセンサによれば、導水路17aを流れて集水ピット2aに流入する自由表面を有する水流の流量を簡易に効率よく測定することができる。その際には限られた電力で長期間に亘って水流の監視をすることができ、センサの作動を維持することができる。また、水流検知センサ60では、一定量の水が通過したときのみに作動し、自重で自動復帰するため、密閉された環境に設置することができる。さらに、水流検知センサ60によれば、濡れることや水没することでは作動することはなく、設定した方向への水流しか感知しないので、誤動作を防止できる。また、構造の観点からも水流検知センサ60は電装部品はリードスイッチのみの単純な構造の為、不具合や故障の原因を極力減らすことができ、当該リードスイッチによる無電圧接点の出力となるので、一般的なパルス信号を出力するセンサと異なり、ON/OFFでの出力となることから回路構成も簡素化することができる。
【0088】
図3、
図4に戻って制御手段70について説明する。制御手段70は水流検知センサ60からの信号を受信して、この受信信号に基づいて警報を発するかを演算し、実際に警報を発する手段であるスピーカー80や回動灯81に対して作動信号を発信する機能を有する。従って、例えば制御手段70は、受信手段、演算手段としての中央演算子(CPU)、演算手段による演算の根拠となるプログラムが保存された記憶手段、演算の作業領域としてのRAM、及び演算結果を出力する出力手段を備えている。
【0089】
ここで受信手段には上記水流検知センサ60の配線61cが接続され、水流検知センサ60からの信号を受信する。また、本形態で演算手段は、記憶手段に記憶されたプログラムに基づいて例えば所定の時間以上(例えば3秒以上)水流検知センサ60からの信号を受信したときに警報を発する指令をする判断をする。これにより、誤報を減らして警報の確実を図ることができる。警報を発するべきであるとの演算結果が得られたときには、出力手段を介してスピーカー80及び回動灯81に対して作動を指令する。
このような制御手段70としては例えば電気回路等を挙げることができる。
【0090】
スピーカー80及び回動灯81は報知手段として機能し、実際に警報を発する(報知する)手段であり、上記制御手段の出力手段に接続されている。スピーカー80は音により、回動灯81は光によりそれぞれ警報を発する。
【0091】
次に、以上のように構成された防水板装置1の動作について説明する。
図3に表れているように、防水板装置1は平常時において、集水バケット19が集水ピット2aの上部に配置され、防水板20の防水板本体20aの全部が防水板収容ピット2b内に収容されている状態となるように設置される。すなわち、集水バケット19と防水板20とは伝達機構31を介してその重量によりバランスが取られることにより動作が決まるので、平常時において
図3の姿勢とするために、上記のように防水板20の重量は、集水バケット19(重り19bを含む)と連結ブラケット37と移動スプロケット38との合計の重量よりも重くなるように構成されている。
図3の姿勢によれば、通路は開放されているので人や車等の通行を阻害することがない。また、グレーチング16b、フタ部材28、20bにより路面にできるだけ段差がないように構成されているので、通行の快適が図られている。
【0092】
降雨等に伴う増水によって水位が増加すると、それに連動して取水溝本体16a内の水位も変化する。ここで、平常時、又は、降雨等に伴う増水により水位上昇はあるものの取水溝本体16a内の水位が路面より低く、かつ、導水部材17の高さ位置より低いときは、路面からグレーチング16bを通じて取水溝本体16a内へ流入した雨水等の水は、不図示の排水口から下水管などの排水処理施設へと排出される。つまり、このような場合には、集水バケット19に水が貯留することがなく、その重量が変化しないので集水バケット19が下降動作することはない。従って、
図3のような姿勢を維持することができる。また、このときには導水路17aに流水がないので水流検知センサ60のフラップ63の回動もないので警報が発せられることもない。
【0093】
これよりも降雨量が増える等して水位が増加すると、それに連動して取水溝本体16a内の水位も変化する。ここで、当該増水による水位上昇があり導水部材17の高さ位置より高くなったときは、路面からグレーチング16bを通じて取水溝本体16a内へ流入した雨水等の水は、
図12に矢印Aで示したように導水部材17上に流れ、導水路17a内を移動して集水バケット19に流入する。
しかしながら、この流入量が少なく、防水板20を上昇させる程の量ではない場合、上記したように所定の流量以下であるため、その水は矢印Bで示したように集水バケット19へ流入した水の全量が穴19aからの流出して集水バケット19には水が滞留しない。そしてさらに集水バケット19の穴19aから流出した水は矢印Cに示したように排水手段18により排水される。従って、防水板20は上昇することなく平常時と同様の姿勢が保たれる。
なお、この際には水流検知センサ60のフラップ63は流水による回動するが、流量が少ないので傾きが小さいことから、リードスイッチ61bは作動することなく信号を発信しない。従って警報装置部4が警報を発することもない。
【0094】
これに対して、洪水等に伴う増水によってさらに大きな流量が集水バケット19に流入すると、穴19aによる排水量より集水バケット19に流入する水量の方が上回り、集水バケット19内に水が貯留する。
【0095】
ここで、上記のように、集水バケット19と防水板20とは伝達機構31を介してその重量によりバランスが取られることにより動作が決まるが、このように集水バケット19内に所定以上の水が貯留したときには、集水バケット19、連結ブラケット37、移動スプロケット38の重量、及び当該貯留した水の重量の合計の方が、防水板20の重量より重くなるように構成されている。これにより、上記のように集水バケット19内へ流入して貯留された貯留水が所定重量に達すると、その重みが防水板20の重量を上回り、集水バケット19が集水ピット2a内で下降する。すると、この集水バケット19の下降力によって、集水バケット19と一緒に連結ブラケット37を介して移動スプロケット38が回動しながら略鉛直に下降する。
【0096】
この下降によって、移動スプロケット38が、
図3の視点において時計方向へ回動され、第一ガイドスプロケット35、及び第二ガイドスプロケット36が反時計方向へ回動され、固定部材34と第二ガイドスプロケット36との間に存する吊り上げチェーン32の部分が長くなり、下方へと引き下げられる。
【0097】
このように吊り上げチェーン32が引き下げられることによって、この吊り上げチェーン32のうち、防水板20が取りつけられた端部が引き上げられ、防水板20がこれに追随して上昇し、
図4に示したように通路内へとせりあがる。その結果、この防水板20によって通路への浸水が堰き止められる。
【0098】
このような伝達機構31によれば、吊り上げチェーン32と各スプロケット35、36、38を用いて構成されるので、吊り上げチェーン32を各スプロケット35、36、38に係合させた状態で移動させて引き上げることができ、防水板20への上昇力の伝達に伴う、吊り上げチェーン32と各スプロケット35、36、38との摩耗や滑りが抑制される。
【0099】
以上説明したように防水板20が上昇する基本的な動作が行われる際には、上記したように第二ガイドスプロケット36は
図3の視点で反時計方向に回動される。これは、
図8(b)にVIIIdで示した方向への回動である。このような回動に対して防水板制御手段40を
図8(b)に示した姿勢にしておくことにより、防水板20は阻害されることなく上昇する。
また、防水板20が上昇した際には、
図4に示したように第一押しつけ手段21及び第二押しつけ手段24により防水板20は通路出側に移動され、ここに配置されるシール部材27a、27b、27cに押し付けられて高い止水性を確保することができる。本形態では第一押しつけ手段21及び第二押しつけ手段24が上下で同時に防水板20を押し付けるのでより高い止水性を可能としている。
【0100】
一方、例えば想定された雨水の量を超えるような水量の流入等、何らかの理由により、防水板20の上昇後、又は上昇の途中で、集水ピット2a内にも水が浸入して浸水してしまった場合を考える。この場合には集水バケット19の内外が水により満たされてしまい、集水バケット19内にのみ水が満たされた場合における下降力が失われてしまう。すると、上記したようにもともと集水バケット19の重量よりも防水板20の重量の方が重くなるように構成されているので、防水板20の上昇を維持することができず、防水板20が下降する方向に力が作用してしまう。
このように防水板20が下降しようとするとき、第二ガイドスプロケット36は
図3の視点で時計方向に回動されるはずである。しかしながら、防水板制御手段40が
図8(b)の姿勢にあれば、
図8(b)にVIIIfで示した時計方向の回動が制限されている。これにより一度上昇した防水板20がその位置よりも降下してしまうことを防止することができる。従って、防水板20が上昇すべくして上昇した後に、意図しない防水板20の下降が起こることを防止することができる。すなわち、防水板20の動作の確実性を向上させることが可能である。またこのときには第一押しつけ手段21、及び第二押しつけ手段24による押しつけ力も維持されるので、止水性も高いまま保持することが可能である。
【0101】
また、防水板20が上昇する際に、防水板減速手段50を
図10(a)に示した姿勢にしておくことにより減速スプロケット52の作用で、防水板20の上昇速度が抑えられる。これにより、急激な防水板20の上昇が防止され、不測の事態を回避することが可能である。
【0102】
さらに、この際には水流検知センサ60のフラップ63は流水により回動し、これに追随して開口感知板64も回動し、リードスイッチは永久磁石の磁力を感知して信号を発信する。従って警報装置部4により防水板20が上昇する前に、事前に警報が発せられる。
【0103】
一方、
図3に示した姿勢において、防水板制御手段40を
図8(a)に示した姿勢としておいた場合、制御スプロケット41を介して第二ガイドスプロケット36のVIIIcの方向への回動が制限される。これは防水板20を上昇させる向きの回動である。従って防水板制御手段40を
図8(a)の姿勢にしておくことにより意図的に防水板20の上昇を制限することができる。これは、使用者の事情により防水板20の上昇を制限しておきたい理由があるときに有効である。
【0104】
防水板20が上昇した後に、降雨が止む等して水が引くと、導水路17aを流れる水もなくなり、集水バケット19内及び集水ピット2a内の水は穴19a及び排水手段18により排水され、
図3の姿勢に戻ろうとする力が作用する。しかし、防水板制御手段40が
図8(b)の姿勢にあるときには防水板20が下降することが制限されている。これに対しては、防水板制御手段40を
図8(a)に示した姿勢にすることにより、防水板20の下降が許容され、防水板20の下降を行うことができる。このとき、防水板減速手段50を
図10(b)の姿勢とし、減速スプロケット52を吊り下げチェーン32から離脱しておくことにより抵抗を減らして防水板20を下降させることが可能となる。