特許第6092691号(P6092691)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092691
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】バイオタイル有効利用方法。
(51)【国際特許分類】
   A01G 9/12 20060101AFI20170227BHJP
   A01G 1/00 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   A01G9/12 ZZBP
   A01G1/00 301C
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-79940(P2013-79940)
(22)【出願日】2013年3月21日
(65)【公開番号】特開2014-183822(P2014-183822A)
(43)【公開日】2014年10月2日
【審査請求日】2016年3月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516098340
【氏名又は名称】大森 博
(72)【発明者】
【氏名】大森 博
(72)【発明者】
【氏名】風間 隆
【審査官】 坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−50330(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/12
A01G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオタイル有効利用方法において、植物由来分解性ポリ乳酸バイオプラスチックでメッシュフェンス等に懸架して有効利用できるように所定の大きさに射出成形等で空洞形に形成させ、外部に露出する表裏両面を無数の凹凸状に成形したシボ加工を施すか、水で練ったセメント及び砂又はセラミック等を適当量吹付けて乾燥させ、蔦蔓の気根が吸着して匍匐しやすいように粗面加工したバイオタイルと、前記タイルが容易に懸架できるようにした所定の大きさの金属製のメッシュフェンスを夫々別設し、前記バイオタイルを前記メッシュフェンスの横桟に懸架させることによって蔦蔓の気根の吸着を容易にさせるためと、従来不可能であったメッシュフェンスへの常緑蔦誘引匍匐を可能にすると共に、経年劣化作用によって土塊瘤となったバイオタイルを除去した個所に体系的に新たなバイオタイルの懸架によって枝分れや誘引を促し、多面的に蔦蔓を誘引繁茂させ、外柵物の緑化環境創造材として利用できるようにしたことを特長としたバイオタイル有効利用方法。
【請求項2】
バイオタイルの外柵物の瞬時緑化方法において、正面部に蔦類の植栽を行い、天端部に雨水や灌水ができるような開口部を設けた正方形の所定の大きさのプラスチック製のプランターを別設し、メッシュフェンスの背面に取付けて、バイオタイルの表面および裏面部に蔦蔓を誘引吸着させて匍匐させる作業工程を屋内の育成農場で行い、屋外に設置された既存フェンス等に取付けることによって瞬時に外柵物の緑化が形成できることと、直植え不可能な場所での緑化環境創造が実現できることを特長とした請求項1に記載のバイオタイル有効利用方法。
【請求項3】
バイオタイルの脱落防止機能併設において、バイオタイルの懸架部を、いたずらや大風等で容易に脱落しないようにするために、バイオタイル着脱開口部の背面空洞部に突起させて脱落防止機能を施し、指でバイオタイル開閉挿入部を押えてメッシュフェンス横桟に懸架後、指を離せばバイオタイルがメッシュに固定されるようにしたことを特長とした請求項1に記載のバイオタイル有効利用方法。
【請求項4】
バイオタイルの外壁面有効利用において、バイオタイル裏面懸架部に接着剤やモルタル等を塗布して、外装タイル壁面やコンクリート擁壁面等に接着させて使用することによってイメージどうりに匍匐しにくかった蔦蔓の気根を吸着させて誘引繁茂させ、外壁面の緑化環境創造材として利用できるようにした請求項1又は3に記載のバイオタイル有効利用方法。
【請求項5】
バイオタイルの経年劣化後の最終利用方法において、形成懸架や接着で使用してバイオタイルに蔦蔓を誘引繁茂させ、宿り木の役割を担わせて屋外の緑化環境創造材として利用する期間において、前記バイオタイルの経年劣化現象が発生したときは地上に落下することなく、メッシュフェンスに懸架した状態でバイオタイル劣化体全体が蔦類等の枯葉屑、気根屑等と夫々に絡み合って土塊瘤を形成してこびりついた前記バイオタイルの残渣微生物含有の土塊瘤を蔓茎から取り除き、土中に埋めて匍匐植物の育成を助ける役割を担わせて環境に全く負荷を与えずに土中で自然に分解した土とさせ、土の肥料として利用できるようにしたことを特長とした請求項1又は4に記載のバイオタイル有効利用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオタイル有効利用方法の分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明で使用のポリ乳酸生分解性プラスチックは、トウモロコシやジャガイモ等からとれる澱粉や、サトウキビからとれるしょう糖から得られるポリ乳酸を原料とした植物由来のバイオプラスチックで、屋外の高温・高湿度の環境下で劣化し、土中に埋めるとリパーゼ等の分解菌微生物の働きで原形を失い、最終的に水と二酸化炭素に分解される性質をもっている。
【0003】
主な成分には、ポリ乳酸のほかポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリグリコール酸、変性ポリビニルアルコール、変性澱粉などがある。
【0004】
主な用途には、フィルムやシートを利用したゴミ袋やコンポストバック、容器類、ペットボトル、コップ、スプーン、ホーク、エンジニアリングプラスチック、土のうや苗用ポット、ゴルフティー、エアガン用弾丸などがあるが、屋外用常設製品は未開発で公開特許公報は開示されていない。
【0005】
また、バイオプラスチックには前記した完全生分解性プラスチックのほかに、生分解性原料と通常のプラスチックとを混合した部分生分解性プラスチックの二種類がある。
【0006】
しかし、後者の部分生分解性プラスチックは完全に分解されず、分解後は微細な通常プラスチック粉末が残渣する欠点がある。
【0007】
然るに、本発明のバイオタイルの原材料には、分解後において環境への影響を全く及ぼさない前者の完全生分解性プラスチックを使用している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、焼却廃棄処分によって地球温暖化の要因になる通常プラスチックを用いず、早期に劣化するポリ乳酸分解性バイオプラスチックを、敢えて屋外の苛酷の条件下で使用してデメリットをメリットに変える成果を得る逆手発想によってバイオタイルを製造し、緑化利用した劣化後の最終処分を直接土中に埋めたり廃棄したりせずに、金属製のメッシュフェンス等に懸架及び壁面に接着したやどり木の状態で、経年劣化後に発生の微生物含有土塊瘤を除去して土の肥料として利用し、蔓性匍匐植物及び原料植物の育成を助ける役割を担わせて、最終的には無害の水と二酸化炭素に分解させる循環サイクルで、環境に全く負荷を与えずにフェンス等の利用による緑化環境創造材としての有効利用を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段として、請求項1記載の発明は、植物由来のポリ乳酸バイオプラスチックでメッシュフェンス等に懸架して使用できるように所定の大きさに射出成形等で空洞形に形成させ、外部に露出する表裏両面を無数の凹凸状に成形したシボ加工を施すか、水で練ったセメント及び砂又はセラミック等を適当量吹付けて乾燥させ、蔦蔓の気根が吸着して匍匐しやすいように粗面加工したバイオタイルと、前記タイルが容易に懸架できるようにした所定の大きさの金属製のメッシュフェンスを夫々別設し、前記バイオタイルを前記メッシュフェンスの横桟に懸架させることによって蔦蔓の気根の吸着を容易にさせるためと、従来不可能であったメッシュフェンスへの常緑蔦誘引匍匐を可能にすると共に、経年劣化作用によって土塊瘤となったバイオタイルを除去した個所に体系的に新たなバイオタイルの懸架によって枝分れや誘引を促し、多面的に蔦蔓を誘引繁茂させ、外柵物の緑化環境創造材として利用できるようにしたことを特長とするバイオタイル有効利用方法である。
【0010】
上記課題を解決するための手段として請求項2記載の発明は、正面部に蔦類の植栽を行い、天端部に雨水や灌水ができるような開口部を設けた正方形の所定の大きさのプラスチック製のプランターを別設し、前記請求項1において使用のメッシュフェンスの背面に取付けて、前記請求項1において使用のバイオタイルの表面および裏面部に蔦蔓を誘引吸着させて匍匐させる作業工程を屋内の育成農場で行い、屋外に設置された既存フェンス等に取付けることによって瞬時に外柵物の緑化が形成できることと、直植え不可能な場所での緑化環境創造が実現できることを特長とするバイオタイル有効利用方法である。
【0011】
上記課題を解決するための手段として請求項3記載の発明は、前記請求項1において射出成形するバイオタイルの懸架部を、いたずらや大風等で容易に脱落しないようにするために、バイオタイル着脱開口部の背面空洞部に突起させて脱落防止機能を施し、指でバイオタイル開閉挿入部を押えてメッシュフェンス横桟に懸架後、指を離せばバイオタイルがメッシュに固定されるようにしたことを特長とするバイオタイル有効利用方法である。
【0012】
上記課題を解決するための手段として請求項4記載の発明は、請求項1および3において形成懸架使用するバイオタイル裏面懸架部に接着剤やモルタル等を塗布して、外装タイル壁面やコンクリート擁壁面等に接着させて使用することによってイメージどうりに匍匐しにくかった蔦蔓の気根を吸着させて誘引繁茂させ、外壁面の緑化環境創造材として利用できるようにしたことを特長とするバイオタイル有効利用方法である。
【0013】
上記課題を解決するための手段として請求項5記載の発明は、請求項1および4において形成及び懸架や接着で使用してバイオタイルに蔦蔓を誘引繁茂させ、宿り木の役割を担わせて屋外の緑化環境創造材として利用する期間において、前記バイオタイルの経年劣化現象が発生したときは地上に落下することなく、メッシュフェンスに懸架した状態でバイオタイル劣化体全体が蔦類等の枯葉屑、気根屑等と夫々に絡み合って土塊瘤を形成してこびりついた前記バイオタイルの残渣微生物含有の土塊瘤を蔓茎から取り除き、土中に埋めて匍匐植物の育成を助ける役割を担わせて、環境に全く負荷を与えずに土中で自然に分解した土とさせ、土の肥料として利用できるようにしたことを特長とするバイオタイル有効利用方法である。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載の発明は、植物由来のポリ乳酸原料をもとにしたバイオプラスチックで製造したペレットを、メッシュフェンス等に懸架して使用できるように所定の大きさのバイオタイルに形成させるため、射出成形機等で形成させた後、外部露出部表裏に水で練ったセメント及び砂等を適当量スプレーガンで吹付けて乾燥させることによって、外部露出部表裏が凹凸状の粗面になりメッシュフェンス等に懸架して使用したとき、蔦類の気根盤を吸着させて発根しやすくし、不可能であったフェンスへの誘引をレンガやブロック塀等への誘引匍匐状態と同様に繁茂させ、屋外の苛酷の条件下では常設使用できなかったバイオプラスチックを、緑化環境創造材として屋外で有効利用できるとともに、緑化光合成により、二酸化炭素吸収削減による温暖化抑制を図る利点を有している。
【0015】
請求項2記載の発明は、バイオタイルの外柵物の瞬時緑化方法において、正面部に蔦類の植栽を行い、天端部に雨水や潅水ができるような開口部を設けた正方形の所定の大きさのプラスチック製のプランターを別設し、前記請求項1において使用のメッシュフェンスの背面に取付けて、前記誚求項1において使用のバイオタイルの表面および裏面部に蔦蔓を誘引吸着させて匍匐させる作業工程を屋内の育成農場で行い、屋外に設置された既存フェンス等に取付けることによって瞬時に外柵物の緑化が形成できることと、直植え不可能な場所での緑化環境創造が実現できる利点を有している。
【0016】
請求項3記載の発明は、バイオタイルの脱落防止機能併設において、前記請求項1において射出成形するバイオタイルの懸架部を、いたずらや大風等で容易に脱落しないようにするために、バイオタイル着脱開口部の背面空洞部に突起させて脱落防止機能を施し、指でバイオタイル開閉挿入部を押えてメッシュフェンス横桟に懸架後、指を離せばバイオタイルがメッシュに固定できる利点を有している。
【0017】
請求項4記載の発明は、バイオタイルの外壁面有効利用において、請求項1および3において形成懸架使用するバイオタイル裏面懸架部に接着剤やモルタル等を塗布して、蔦類が這い上りにくい滑面状の外装タイル壁面やコンクリート擁壁面等に接着させて使用することによって、イメージどうりに匍匐しにくかった蔦蔓の気根を吸着させて誘引繁茂させ、外壁面の緑化環境創造材として有効利用できる利点を有している。
【0018】
請求項5記載の発明は、バイオタイルの経年劣化後の最終利用方法において、請求項1および4において形成及び懸架や接着で使用してバイオタイルに蔦蔓を誘引繁茂させ、宿り木の役割を担わせて屋外の緑化環境創造材として利用する期間において、前記バイオタイルの経年劣化現象が発生したときは地上に落下することなく、メッシュフェンスに懸架した状態でバイオタイル劣化体全体が蔦類等の枯葉屑、気根屑等と夫々に絡み合って土塊瘤を形成してこびりついたバイオタイルの残渣微生物含有の土塊瘤を蔓茎から取り除き、土中に埋めて匍匐植物の育成を助ける役割を担わせて、環境に全く負荷を与えずに土中で自然に分解した土とさせ、土の肥料として有効利用できる利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明バイオタイル有効利用システムにおいて形成された蔦植物類誘引吸着と匍匐機能を有するバイオタイルをメッシュフェンスの横桟に懸架した状態を示す正面図である。
【0020】
図2図1のバイオタイルの空胴部にスポンジを内包させてメッシュフェンス横桟に懸架した状態を示す縦断面図である。
【0021】
図3図1のメッシュフェンス横桟に懸架させたバイオタイル表面露出部に蔦の気根が誘引吸着繁茂させ宿り木の役割を担わせた状態を示す斜視図である。
【0022】
図4図3のバイオタイルが蔦を誘引繁茂期間中に経年劣化によって土塊瘤を形成させて行く状態を示す斜視図である。
【0023】
図5】本発明のバイオタイル原料が植物から生まれ、バイオタイルで緑を蘇らせた後再び植物を育てる肥料になる全貌を示す循環サイクルフロー図である。
【0024】
図6】本発明のバイオタイルが形成されるまでの工程と、前記バイオタイルが担う役割全体の利用方法をフローチャート化した図である。
【0025】
図7】メッシュフェンス50×50ミリドットに図1のバイオタイルを懸架して蔦のモザイク画を形成させながら蔦植物を這わせた正面図である。
【0026】
図8】同メッシュフェンスに同バイオタイルでレンガ模様を描いて蔦植物を這わせた正面図である。
【0027】
図9】メッシュフェンス50×100ミリドットを横位置に使用して同バイオタイルを懸架して蔦を模したモザイク画を描いた植物誘引前の状態を示す正面図である。
【0028】
図10】同メッシュフェンスに同バイオタイルを懸架してレンガを模したモザイク画を描いた植物誘引前の状態を示す正面図である。
【0029】
図11図7で形成させたメッシュフェンスをベランダ等の手摺等に取付けて、蔦植物を這わせてベランダガーデニングに利用の状態を示す斜視図である。
【0030】
図12】前記メッシュフェンスを屋外の外柵フェンスに利用し、蔦植物等を這わせて屋外の緑化環境を創造させた状態を示す斜視図である。
【0031】
図13】メッシュフェンス50×50ミリドットを金属フレームで囲んだパネルを製作してパーティションに利用、室内と屋外の双方に使用できる状態を示す正面図である。
【0032】
図14図1のバイオタイルを外装タイル等の滑面部に接着剤等で接着して蔦類等を誘引させて、屋外の緑化環境の創造状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明に使用するバイオタイルaは、植物由来の生分解性ポリ乳酸バイオプラスチックで射出成形等で形成させる。
【0034】
前記の生分解性バイオプラスチックのペレットpの原料成分には、例えば、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリカプロラクトン、ポリグリコール酸、変性ポリビニルアルコール、変性澱粉、カゼイン等があるが、本発明にはポリ乳酸を使用する。
【0035】
そして、バイオタイルの完成色を選択し、着色顔料等を混合のうえ射出成形等で所定の形状のポリ乳酸生分解性のバイオタイルaを形成させる。
【0036】
つぎに、バイオタイルaの表面露出部1の加工について述べる。
【0037】
請求項1の発明は、蔦類gは吸盤のある巻きひげや気根fを伸ばして粗面状の被体に吸着して成長する性質があり、メッシュフェンス等の表面が滑面状の被体には吸着しない性質がある。
【0038】
そのため、射出成形等で形成したバイオタイルaの表面部1に、適当量の水で混練したセメント及び砂又はセラミックs等を適当量ガンで吹付けて乾燥させ凹凸状mの粗面加工することにより、蔦類gの気根fの吸着が容易になる。
【0039】
請求項2の発明は、屋内の育成農場でプランターをメッシュフェンスの背面に取付けて蔦類の植栽を行い、バイオタイルの表面および裏面部に蔦蔓を誘引吸着させて匍匐させることにある。
【0040】
さらに、プランター天端部に雨水や灌水ができるような開口部を設けることにより、保水効果を高めることができる。
【0041】
前記した作業工程を屋内の育成農場で行うことによって、屋外に設置された既存フェンス等に取付けることによって瞬時に外柵物の緑化が形成できる。
【0042】
つぎに、バイオタイルaの形状について詳細に述べる。
【0043】
請求項3の発明は、バイオタイルaをメッシュフェンスの横桟5に懸架するとき、開閉部bを指で内側に押し込むようにして横桟に引っかけ、指を離せば懸架部cに固定できるようにする。
【0044】
さらに、懸架後にいたずらや大風等で脱落しないように、バイオタイルaの内側に、ストッパー部dを設ける。
【0045】
そして、バイオタイルaをメッシュフェンス4の横桟5に懸架後において、下方に強く引っ張るとストッパー部dが作用して容易に脱落しなくなる機能がある。
【0046】
さらに、バイオタイルaの最下部底面に保水部7を設け、雨水や散水等を貯水できるようにする。
【0047】
請求項4記載の発明は、バイオタイルaをメッシュフェンス4に懸架して使用する他に、壁面6に、接着して使用することができる。
【0048】
壁面接着方法は、バイオタイルaの裏面部6の開閉部bに接着剤を塗布又は耐水性の両面テープを貼って壁面6に接着させる。
【0049】
コンクリート擁壁面には据付けモルタルで接着することが可能である。
【0050】
また、図14で示すように、外装タイル13等の滑面状の壁面6に接着させる場合は、接着剤を直かに塗布して接着するが、タイル面を汚したくない場合は、のり付きの屋外用マーキングフィルム(カッティングシート)をバイオタイルaの大きさにカットして貼り、その表面にバイオタイルaを接着させることができる。
【0051】
そして、マーキングフィルムの剥がし後の汚れは市販の除去剤でとり除くことができる。
【0052】
また、壁面部6への接着のコツは、バイオタイルaをいきなり接着せず、余めレイアウト画を作成しておき壁面6に目印を付けて行うようにする。
【0053】
さらに、屋外の木製壁面に接着させる場合は、透明ビニールシートをホッチキスで固定しておき、シートの表面にバイオタイルaを接着させて使用し、匍匐植物を撤去するときはシートごと引っ張ると木製壁面に傷をつけずに取り除くことができる。
【0054】
また、前記した方法は屋外に限らず室内の壁面に使用することができるので、LED照光17によって室内のグリーンインテリアが楽しめる。
【0055】
つぎに、バイオタイルaの劣化と劣化後の機能について説明する。
【0056】
請求項5記載の発明は、前記したバイオプラスチックaを屋外の過酷の条件下で使用したとき、劣化に至る期間は概ね数ヶ月から数年かかる。
【0057】
劣化する形態はさまざまで、加工方法や使用場所等によってひび割れや収縮等に形状を変化させることが実証されているが、土中8に埋めない限り全ての原形は失われない。
【0058】
そして、土中8に埋めた場合でも、原形を失って分解されるまでの期間は概ね2年から5年が必要であると云われている。
【0059】
しかし、本発明は劣化することを欠点とするのではなく利点として捉らえ、劣化によって生じる収縮作用やひび割れにより土塊瘤rを形成させる目的があるために、敢えてメッシュフェンス4等に懸架して、屋外の苛酷の条件下で使用することにしている。
【0060】
しかるに、その作用は図3で示すように、蔦類gの蔓j誘引繁茂後に役割を果たしたバイオタイルaは、落下せずにメッシュフェンス4等に懸架した状態で劣化し、劣化後においてさらに伸長してきた気根fを吸着させる働きがある。
【0061】
そして、この作用は図14の外装タイル13やコンクリート擁壁等の壁面部6使用でも同様の成果を得られる。
【0062】
さらに、最終的な役割を終えた劣化土塊瘤rを指でつまんで土中8に埋めれば、残渣微生物の作用で植物の肥料の役割を担いながらやがて水と二酸化炭素9に分解されて本発明利用方法の目的が達成できる。
【0063】
つぎに、蔦類g等の植栽実施形態について述べる。
【0064】
本発明に実施する蔦類gの苗は、鉢植えや直植えで使用するが、茎が柔かいため、茎が伸びるまで柔かいひもで軽くメッシュフェンス4や支柱に結束しておき、バイオタイルaに巻きひげや気根fが吸着しやすくする状況をつくる必要がある。
【0065】
そして、直植えの場合は用土を選ばないが、鉢植えの場合は市販の園芸用土を使用する。
【0066】
そして、直植えはよく砕土して堆肥や鶏糞をすきこみ植え付け後は十分にかん水をする。
【0067】
管理と手入れは、伸びすぎた蔓jを剪定する程度でよい。
【0068】
施肥は、ときどき鶏糞や化成肥料を根元にバラまく程度でよいが、蔦類gは窒素肥料は禁物で、落葉種の場合は秋の紅葉が鮮かにならない欠点がある。
【0069】
病害虫は、6〜7月にスズメガの幼虫が発生することがあるので、マラソン乳液等を塗布して駆除する必要がある。
【0070】
そして、殖やし方は萌芽する前の3月上旬〜4月中旬に人差し指の太さ程度の蔓jを15センチくらい剪定し、さし床をつくって発根させるか、バイオタイルaの劣化後形成される土塊瘤rの発根ごと切り取って鉢植えを行う。
【0071】
つぎに、バイオタイルに吸着させて使用する木本類等の蔓性植物jについて説明する。
【0072】
蔓性植物jには、通常的に使用の落葉性のナツヅタを始めとし、葉に黄斑のあるキフナツタがある。
【0073】
さらに、常緑性で別名イングリッシュアイビーといわれるセイヨウキヅタ、フクリンキヅタ、アメリカヅタ、フユヅタ、キヅタなど、ヨーロッパやアメリカ、北アフリカ、西アジア原産の斑入りや葉形の変化した品種など数多くある。
【0074】
また、蔦g以外の常緑の蔓性植物jには、ヘデラ類、イタビカズラ、ツルマサキ、テイカカズラがあり、落葉性にはツルアジサイ、ノウゼンカズラなどがある。
【0075】
さらに、巻き蔓性jには常緑性のジャスミン、サネカズラ、スイガズラ、ツキヌキニンドウ、ツルニチニチソウ、ムベなどがあり、落葉性にはアケビ、クズ、クレマチス、ツルウメモドキ、ツルバラ、フジなどあるが気根の吸着しないものは横桟等に巻き付ける。
【0076】
従って、バイオタイルaにより緑化を創造させる手段を、花で楽しむのか、緑の葉を匍匐させて楽しむのか、紅葉を楽しむのかなどを選択することができる。
【産業上の利用の可能性】
【0077】
本発明のバイオタイル有効利用システムは、フェンス産業、エクステリア産業、園芸、造園等のガーデン産業、ホームセンター等のDIY産業上の利用の可能性があり、夫々の可能性について以下のとおり説明する。
【0078】
まず、メッシュフェンス等の製造販売業のフェンス産業上の利用の可能性を考察すると、フェンスは安全、防衛、防犯等のセキュリティーの目的に利用している。
【0079】
そのため、セキュリティーへの課題は解決することができても、景観面から捉えると無味乾燥として面白味や味わいのない画一的な景観に変貌させている。
【0080】
さらに、素材の耐久性を重視してステンレスを用いるケースでは高価になることや、厳めしさをさらに増幅させる結果になっている。
【0081】
しかし、メッシュフェンスを利用するバイオタイル有効利用システムは、セキュリティーの役割を担いながら緑を匍匐させて緑化環境を創造させる一石二鳥の効果が叶えられるため、緑化型フェンスとしての評価によってパブリックの需要を大幅に増大させることができる。
【0082】
つぎに、エクステリア産業上の利用の可能性を考察すると、エクステリアは外構、外柵の総称といわれるように、コンクリートブロックやフェンスを多用して外まわりを囲う習性を定着させた産業であるともいわれる。
【0083】
したがって、居住エリアはまたたく間にブロック塀や画一的なフェンスで囲われ、閉鎖的な住環境に変貌してしまった。
【0084】
また、地震によるブロック塀の倒壊事故が多発し、生命の安全を脅かす要因にもなっている。
【0085】
さらに、非天然素材製品の乱用や、色彩の多用等によって緑が喪失されてけばけばしさを増し、景観阻害の大きな要因となっている。
【0086】
一方、園芸、造園等のガーデン産業上の利用も、ランドスケープ創造を担う役割がありながらエクステリア産業と同様に従来どおりの庭づくりに固執する傾向が強く、緑化に関する差別化した対応がされないままになっている。
【0087】
また、自治体において生け垣緑化を推進しているが、ガーデン産業との連携が不十分のケースが多く、達成されないままになっている。
【0088】
しかし、前記した両産業が発想を転換させて本発明のバイオタイル有効利用システムを一体となって取り組むことにより、閉鎖的な居住環境がまたたく間に開放的に蘇生され、緑を重視したアメニティーな緑化環境の実現に伴って低迷している産業に活力を与える契機になるはずである。
【0089】
他方、DIY産業上の利用も、本発明のバイオタイル有効利用システムをガーデニング等にとり入れることによってマイホームの緑化を手づくりで実現させることが可能になる。
【0090】
そして、DIYerが本発明製品の懸け橋の役割を担って、居住環境の緑化創造を実現させることができる。
【0091】
また、上記産業界等によって本発明のバイオタイルの需要喚起により、従来、屋外製品では未利用であったバイオプラスチックの新しい用途が拡大できるため、生分解性乳酸バイオプラスチック製品の開発産業界への福音をもたらすことができる。
【符号の説明】
【0092】
a バイオタイル
b 開閉部
c 懸架部
d ストッパー
e スポンジ
f 気根
g 鳥
h 植栽
j 蔓
k 金型
m 凹凸状
p ペレット
r 劣化土塊瘤
s セメント及び砂吹付け
1 表面部
2 裏面部
3 空胴部
4 メッシュフェンス
5 横桟
6 壁面部
7 保水部
8 土中
9 最終物質
10 手摺
11 外柵フェンス
12 コンクリートブロック
13 外装タイル
14 メッシュフェンスパネル
15 パーティション
16 支柱
17 LED照明
18 植木鉢
19 ガーディニング用品
20 ハンギングプランター
図1
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図3
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