【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一の観点によれば、第1駆動軸を駆動するための第1モータと、第2駆動軸を駆動するための第2モータと、を有し、前記第1モータ及び前記第2モータを同期させて駆動制御する、2軸同期駆動装置において、前記第1モータの駆動位置及び前記第2モータの駆動位置が所定の範囲を逸脱しないように、前記第1駆動軸の駆動速度、若しくは、前記第2駆動軸の駆動速度、を制御する制御手段を有する2軸同期駆動装置が適用される。
【0007】
本願に係る2軸同期駆動装置は、2つのモータ、すなわち第1モータと第2モータを備え、それら第1及び第2モータを互いに同期させて駆動制御する。第1モータは第1駆動軸を駆動し、第2モータは第2駆動軸を駆動する。このとき、それら第1駆動軸及び第2駆動軸それぞれの駆動速度は、制御手段によって制御される。その際、制御手段は、第1モータの駆動位置及び第2モータの駆動位置が所定の範囲を逸脱しないように、上記駆動速度の制御を行う。これにより、第1駆動軸及び第2駆動軸それぞれの駆動対象物のうち一方の駆動対象物に駆動抵抗が生じてそれら2つの駆動対象物の動作位置に差が生じた場合であっても、その動作位置の差を解消し、両方の駆動対象物を均等に動作させることができる。
【0008】
好ましくは、前記制御手段は、前記第1モータ及び前記第2モータのうち、駆動位置が進んでいる一方のモータの駆動を減速又は停止させる。
【0009】
これにより、第1駆動軸及び第2駆動軸それぞれの駆動対象物のうち一方の駆動対象物の動作位置が他方の駆動対象物の動作位置よりも先行している場合であっても、先行する駆動対象物に対して遅れている後続の駆動対象物を追いつかせ、両方の駆動対象物の動作位置を略同じとすることができる。
【0010】
好ましくは、前記制御手段は、前記第1モータ及び前記第2モータのうち、駆動位置が進んでいる一方のモータの駆動を停止させるとともに、駆動位置が遅れている他方のモータの駆動を継続する。
【0011】
これにより、第1駆動軸及び第2駆動軸それぞれの駆動対象物のうち一方の駆動対象物の動作位置が他方の駆動対象物の動作位置よりも先行している場合であっても、先行する駆動対象物に対して遅れている後続の駆動対象物を速やかにかつ確実に追いつかせ、両方の駆動対象物の動作位置を略同じとすることができる。
【0012】
好ましくは、前記制御手段は、前記第1モータ及び前記第2モータのうち、駆動位置が遅れている他方のモータの駆動を加速する。
【0013】
好ましくは、前記第1モータ及び前記第2モータに共通の位置指令を生成する指令生成手段と、前記位置指令生成手段で生成された前記位置指令を順次払い出す指令払出手段と、前記第1モータに機械結合され当該第1モータの実駆動位置を検出する第1検出器と、前記第2モータに機械結合され当該第2モータの実駆動位置を検出する第2検出器と、をさらに有し、前記制御手段は、前記指令払出手段から払い出された前記位置指令、及び、前記第1検出器で検出された前記第1モータの実駆動位置を入力し、前記位置指令の制御量に対応した前記第1モータの第1目標駆動位置と前記入力した前記第1モータの実駆動位置との第1位置偏差に基づき前記第1モータの駆動を制御するための、第1モータ制御手段と、前記指令払出手段から払い出された前記位置指令、及び、前記第2検出器で検出された前記第2モータの実駆動位置を入力し、前記位置指令の制御量に対応した前記第2モータの第2目標駆動位置と前記入力した前記第2モータの実駆動位置との第2位置偏差に基づき前記第2モータの駆動を制御するための、第2モータ制御手段と、前記第1検出器で検出された前記第1モータの実駆動位置と、前記第2検出器で検出された前記第2モータの実駆動位置との、相対偏差を算出する相対偏差算出手段と、前記相対偏差算出手段で算出された前記相対偏差が、所定のしきい値以上であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記相対偏差が前記しきい値未満であると判定された場合には、前記位置指令の払い出しを実行し、前記判定手段により前記相対偏差が前記しきい値以上であると判定された場合には、前記位置指令の払い出しを停止するように、前記指令払出手段を制御する払い出し制御手段と、を備える。
【0014】
本願に係る2軸同期駆動装置は、第1モータの駆動を制御するための第1モータ制御手段と、第2モータの駆動を制御するための第2モータ制御手段とを有している。そして、第1及び第2モータを互いに同期させて駆動制御するために、それら2つのモータに共通の位置指令が用いられる。指令生成手段が上記共通の位置指令を生成すると、その生成された位置指令は、指令払出手段によって順次払い出される。払い出された位置指令は、第1モータ制御手段及び第2モータ制御手段それぞれに、順次入力される。
【0015】
このとき、第1モータの実駆動位置が第1検出器によって検出されている。第1モータ制御手段は、上記検出結果に基づき、第1モータの実駆動位置が、上記入力された共通の位置指令の制御量に対応した第1目標駆動位置に近づくように(言い替えれば第1位置偏差が0となるように)、フィードバック制御を行う。同様に、第2モータ制御手段は、第2検出器の検出結果に基づき、第2モータの実駆動位置が、上記入力された共通の位置指令の制御量に対応した第2目標駆動位置に近づくように(言い替えれば第2位置偏差が0となるように)、フィードバック制御を行う。
【0016】
ここで、第1モータが駆動する第1駆動軸の駆動対象物、及び、第2モータが駆動する第2駆動軸の駆動対象物のうち、一方の駆動対象物に駆動抵抗が生じ、それら2つの駆動対象物の動作位置に差が生じた場合を考える。その場合、それら2つの駆動対象物の動作位置の差に対応して、第1モータの実駆動位置と第2モータの実駆動位置との間にも差が生じる。本願第5発明においては、この第1モータの実駆動位置と第2モータの実駆動位置との間の差が相対偏差算出手段によって算出され、その算出された差が所定のしきい値以上であるか否かが判定手段によって判定される。
【0017】
このとき、上記駆動抵抗が生じるまでの間は、第1モータ及び第2モータの実駆動位置に大きな差がなく上記判定手段の判定が満たされない。したがって、払い出し制御手段の制御によって、上記指令払い出し手段からの位置指令の払い出しがそのまま続行される。一方、駆動抵抗の発生により上記のようにして第1モータの実駆動位置と第2モータの実駆動位置との間に比較的大きな差が生じると、上記判定手段の判定が満たされる。この結果、払い出し制御手段の制御によって、上記指令払い出し手段からの位置指令の払い出しが停止され、中断する。位置指令の払い出しが停止されると、第1モータ制御手段及び第2モータ制御手段それぞれに入力される位置指令の制御量の値が0となる。これにより、いずれのモータ制御手段も、その時点でそれぞれに残っている位置偏差が0となるように各モータを制御し、残っている位置偏差が0となったら各モータの駆動を停止する。
【0018】
但し、上記中断された時点では、上述した2つの駆動対象物の動作位置の差に応じて、一方の駆動対象物の動作位置が他方の駆動対象物の動作位置よりも先行し進んでいることになる。そして、中断される直前までは、上述したように、第1モータ制御手段及び第2モータ制御手段には共通の位置指令(すなわち同一値の指令)が入力されており、その共通の位置指令に基づいて第1モータ制御手段及び第2モータ制御手段が第1モータ及び第2モータの制御をそれぞれ行っている。この結果、上記先行している駆動対象物に係るモータ(以下適宜、「先行モータ」という)の実駆動位置は、上記共通の位置指令による目標駆動位置に比較的近く、位置偏差が比較的小さい。これに対して、遅れている駆動対象物に係るモータ(以下適宜、「後続モータ」という)の実駆動位置は、上記共通の位置指令による目標駆動位置から比較的遠く、位置偏差が比較的大きくなっている。
【0019】
したがって、上記中断の後に、上記先行モータ及び上記後続モータに対し、前述したように残っている位置偏差が共に0となるように駆動制御が続行されると、先に上記先行モータの位置偏差が0となって駆動制御が終了(すなわちモータ停止)した後、追って上記後続モータの位置偏差が0となって駆動制御が終了(すなわちモータ停止)する。これにより、先行モータの駆動位置と後続モータの駆動位置とを一致させることができる。そして、この駆動位置の一致によって上記判定手段の判定が満たされなくなることから、払い出し制御手段の制御によって、上記指令払い出し手段からの位置指令の払い出しが再開される。この結果、2つのモータは駆動位置が一致した形で駆動を再開し、2つの駆動対象物の動作位置を揃えることができる。
【0020】
以上のようにして、2つの駆動対象物のうち一方に駆動抵抗が生じて動作位置に差が生じた場合であっても、その動作位置の差を確実に解消し、両方の駆動対象物を均等に動作させることができる。
【0021】
好ましくは、前記第1モータ制御手段は、前記位置指令と前記第1モータの実駆動位置とを入力して前記第1位置偏差を算出し、その算出された当該第1位置偏差に対応した第1速度指令を出力する第1偏差カウンタと、前記第1偏差カウンタから出力された前記第1速度指令に基づき前記第1モータの駆動を制御する第1モータ駆動回路と、を備えており、前記第2モータ制御手段は、前記位置指令と前記第2モータの実駆動位置とを入力して前記第2位置偏差を算出し、その算出された当該第2位置偏差に対応した第2速度指令を出力する第2偏差カウンタと、前記第2偏差カウンタから出力された前記第2速度指令に基づき前記第2モータの駆動を制御する第2モータ駆動回路と、を備えている。
【0022】
前述したように、一方の駆動対象物の動作位置が他方の駆動対象物の動作位置よりも先行した状態で、共通の位置指令の払い出しが中断される。このとき、本願第6発明においては、第1モータ駆動回路及び第2モータ駆動回路のうち、先行モータに係る駆動回路では、偏差カウンタ(第1偏差カウンタ又は第2偏差カウンタ)が算出する位置偏差(第1位置偏差又は第2位置偏差)が比較的小さくなる。これに対して、後続モータに係る駆動回路では、偏差カウンタ(第2偏差カウンタ又は第1偏差カウンタ)が算出する位置偏差(第2位置偏差又は第1位置偏差)が比較的大きくなる。
【0023】
上記中断の後に、上記先行モータ及び上記後続モータに対し駆動制御が続行されることで、先に上記先行モータに係るモータ駆動回路での上記位置偏差が0となり、対応するモータ駆動回路(第1モータ駆動回路又は第2モータ駆動回路)の制御によってモータ(第1モータ又は第2モータ)が停止する。その後、追って上記後続モータに係るモータ駆動回路での上記位置偏差が0となり、対応するモータ駆動回路(第2モータ駆動回路又は第1モータ駆動回路)の制御によってモータ(第2モータ又は第1モータ)が停止する。以上の結果、先行モータの駆動位置と後続モータの駆動位置とを確実に一致させることができる。
【0024】
好ましくは、前記第1駆動軸は、当該第1駆動軸と同一軸心で第1圧入軸が設けられ、前記第2駆動軸は、当該第2駆動軸と同一軸心で第2圧入軸が設けられ、前記第1駆動軸に設けた前記第1圧入軸、及び、前記第2駆動軸に設けた前記第2圧入軸は、対応する被圧入部材にそれぞれ圧入するために前記第1モータのトルク、前記第2モータのトルクにより軸方向の第1圧入荷重、第2圧入荷重を作用させる。
【0025】
これにより、第1駆動軸からの第1圧入荷重による被圧入部材への第1圧入軸の圧入と、第2駆動軸からの第2圧入荷重による被圧入部材への第2圧入軸の圧入とを、互いに同期させて行うことができる。そして、第1圧入軸及び第2圧入軸のうち一方に何らかの理由で被圧入部材への圧入抵抗(例えば駆動抵抗等)が生じて、それら2つの圧入軸の圧入方向の位置(圧入高さ)に差が生じた場合であっても、その差を解消し両方の圧入軸を均等に同時に圧入することができる。
【0026】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1駆動軸を駆動するための第1モータと、第2駆動軸を駆動するための第2モータと、を、互いに同期させて駆動制御する、2軸同期駆動方法において、前記第1モータの駆動位置及び前記第2モータの駆動位置が所定の範囲を逸脱しないように、前記第1駆動軸の駆動速度、若しくは、前記第2駆動軸の駆動速度、を制御する2軸同期駆動方法が適用される。