特許第6092701号(P6092701)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092701
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】2軸同期駆動装置及び2軸同期駆動方法
(51)【国際特許分類】
   G05D 3/12 20060101AFI20170227BHJP
   G05B 19/18 20060101ALI20170227BHJP
   B23Q 15/00 20060101ALI20170227BHJP
   H02P 5/46 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   G05D3/12
   G05B19/18 C
   B23Q15/00 J
   H02P5/46
【請求項の数】7
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-92569(P2013-92569)
(22)【出願日】2013年4月25日
(65)【公開番号】特開2014-215813(P2014-215813A)
(43)【公開日】2014年11月17日
【審査請求日】2015年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104503
【弁理士】
【氏名又は名称】益田 博文
(72)【発明者】
【氏名】今野 敬一
(72)【発明者】
【氏名】後藤 博
(72)【発明者】
【氏名】長沼 聡
【審査官】 佐々木 一浩
(56)【参考文献】
【文献】 特許第3125015(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 3/12
B23Q 15/00
G05B 19/18
H02P 5/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1駆動軸を駆動するための第1モータと、
第2駆動軸を駆動するための第2モータと、
を有し、
前記第1モータ及び前記第2モータを同期させて駆動制御する、2軸同期駆動装置において、
前記第1モータの駆動位置及び前記第2モータの駆動位置が所定の範囲を逸脱しないように、前記第1駆動軸の駆動速度、若しくは、前記第2駆動軸の駆動速度、を制御する制御手段と、
前記第1モータ及び前記第2モータに共通の位置指令を生成する指令生成手段と、
前記指令生成手段で生成された前記位置指令を順次払い出す指令払出手段と、
前記第1モータに機械結合され当該第1モータの実駆動位置を検出する第1検出器と、
前記第2モータに機械結合され当該第2モータの実駆動位置を検出する第2検出器と、を有し、
前記制御手段は、
前記指令払出手段から払い出された前記位置指令、及び、前記第1検出器で検出された前記第1モータの実駆動位置を入力し、前記位置指令の制御量に対応した前記第1モータの第1目標駆動位置と前記入力した前記第1モータの実駆動位置との第1位置偏差に基づき前記第1モータの駆動を制御するための、第1モータ制御手段と、
前記指令払出手段から払い出された前記位置指令、及び、前記第2検出器で検出された前記第2モータの実駆動位置を入力し、前記位置指令の制御量に対応した前記第2モータの第2目標駆動位置と前記入力した前記第2モータの実駆動位置との第2位置偏差に基づき前記第2モータの駆動を制御するための、第2モータ制御手段と、
前記第1検出器で検出された前記第1モータの実駆動位置と、前記第2検出器で検出された前記第2モータの実駆動位置との、相対偏差を算出する相対偏差算出手段と、
前記相対偏差算出手段で算出された前記相対偏差が、所定のしきい値以上であるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記相対偏差が前記しきい値未満であると判定された場合には、前記位置指令の払い出しを実行し、前記判定手段により前記相対偏差が前記しきい値以上であると判定された場合には、前記位置指令の払い出しを停止するように、前記指令払出手段を制御する払い出し制御手段と、
を備える
ことを特徴とする2軸同期駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載の2軸同期駆動装置において、
前記制御手段は、
前記第1モータ及び前記第2モータのうち、駆動位置が進んでいる一方のモータの駆動を減速又は停止させる
ことを特徴とする2軸同期駆動装置。
【請求項3】
請求項1記載の2軸同期駆動装置において、
前記制御手段は、
前記第1モータ及び前記第2モータのうち、駆動位置が進んでいる一方のモータの駆動を停止させるとともに、駆動位置が遅れている他方のモータの駆動を継続する
ことを特徴とする2軸同期駆動装置。
【請求項4】
請求項1記載の2軸同期駆動装置において、
前記制御手段は、
前記第1モータ及び前記第2モータのうち、駆動位置が遅れている他方のモータの駆動を加速する
ことを特徴とする2軸同期駆動装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項記載の2軸同期駆動装置において、
前記第1モータ制御手段は、
前記位置指令と前記第1モータの実駆動位置とを入力して前記第1位置偏差を算出し、その算出された当該第1位置偏差に対応した第1速度指令を出力する第1偏差カウンタと、
前記第1偏差カウンタから出力された前記第1速度指令に基づき前記第1モータの駆動を制御する第1モータ駆動回路と、
を備えており、
前記第2モータ制御手段は、
前記位置指令と前記第2モータの実駆動位置とを入力して前記第2位置偏差を算出し、その算出された当該第2位置偏差に対応した第2速度指令を出力する第2偏差カウンタと、
前記第2偏差カウンタから出力された前記第2速度指令に基づき前記第2モータの駆動を制御する第2モータ駆動回路と、
を備えていることを特徴とする2軸同期駆動装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項記載の2軸同期駆動装置において、
前記第1駆動軸は、
当該第1駆動軸と同一軸心で第1圧入軸が設けられ、
前記第2駆動軸は、
当該第2駆動軸と同一軸心で第2圧入軸が設けられ、
前記第1駆動軸に設けた前記第1圧入軸、及び、前記第2駆動軸に設けた前記第2圧入軸は、
対応する被圧入部材にそれぞれ圧入するために前記第1モータのトルク、前記第2モータのトルクにより軸方向の第1圧入荷重、第2圧入荷重を作用させる
ことを特徴とする2軸同期駆動装置。
【請求項7】
第1駆動軸を駆動するための第1モータと、第2駆動軸を駆動するための第2モータと、
を、互いに同期させて駆動制御する、2軸同期駆動方法において、
前記第1モータの駆動位置及び前記第2モータの駆動位置が所定の範囲を逸脱しないように、前記第1駆動軸の駆動速度、若しくは、前記第2駆動軸の駆動速度、を制御する第1ステップと、
前記第1モータ及び前記第2モータに共通の位置指令を生成する第2ステップと、
前記第2ステップで生成された前記位置指令を順次払い出す第3ステップと、
前記第1モータに機械結合され当該第1モータの実駆動位置を検出する第4ステップと、
前記第2モータに機械結合され当該第2モータの実駆動位置を検出する第5ステップと、を有し、
前記第1ステップは、
前記第3ステップで払い出された前記位置指令、及び、前記第4ステップで検出された前記第1モータの実駆動位置を入力し、前記位置指令の制御量に対応した前記第1モータの第1目標駆動位置と前記入力した前記第1モータの実駆動位置との第1位置偏差に基づき前記第1モータの駆動を制御する第6ステップと、
前記第3ステップで払い出された前記位置指令、及び、前記第5ステップで検出された前記第2モータの実駆動位置を入力し、前記位置指令の制御量に対応した前記第2モータの第2目標駆動位置と前記入力した前記第2モータの実駆動位置との第2位置偏差に基づき前記第2モータの駆動を制御する第7ステップと、
前記第4ステップで検出された前記第1モータの実駆動位置と、前記第5ステップで検出された前記第2モータの実駆動位置との、相対偏差を算出する第8ステップと、
前記第8ステップで算出された前記相対偏差が、所定のしきい値以上であるか否かを判定する第9ステップと、
前記第9ステップにより前記相対偏差が前記しきい値未満であると判定された場合には、前記位置指令の払い出しを実行し、前記第9ステップにより前記相対偏差が前記しきい値以上であると判定された場合には、前記位置指令の払い出しを停止する第10ステップと、を備える
ことを特徴とする2軸同期駆動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、2つの駆動軸を互いに同期させて駆動する2軸同期駆動装置及び2軸同期駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の2軸同期駆動装置では、2つの駆動軸のうち一方の駆動軸の現在位置と他方の駆動軸の現在位置とから所定の制御量が算出され、その算出された制御量が上記一方の駆動軸の制御量に加算される。これにより、2つの駆動軸の位置ずれを確実に減らすように図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−143215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術では、共通の指令により駆動される2つの駆動軸のうち一方側の駆動軸への指令の制御量を補正することで、例えば一方側の駆動軸に生じた駆動遅れを是正し、他方側の駆動軸との位置合わせを行っている。しかしながら、このような位置合わせのための同期制御を行ったとしても、各駆動軸の駆動対象物において何らかの理由で駆動抵抗が生じ、その結果それら2つの駆動対象物の動作位置に差が生じる場合がある。このような場合、2つの駆動対象物を均等に動作させるのは困難であった。
【0005】
本発明の目的は、駆動抵抗の発生により2つの駆動軸それぞれの駆動対象物の動作位置に差が生じた場合であっても、各駆動対象物を均等に動作させることができる、2軸同期駆動装置及び2軸同期駆動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一の観点によれば、第1駆動軸を駆動するための第1モータと、第2駆動軸を駆動するための第2モータと、を有し、前記第1モータ及び前記第2モータを同期させて駆動制御する、2軸同期駆動装置において、前記第1モータの駆動位置及び前記第2モータの駆動位置が所定の範囲を逸脱しないように、前記第1駆動軸の駆動速度、若しくは、前記第2駆動軸の駆動速度、を制御する制御手段を有する2軸同期駆動装置が適用される。
【0007】
本願に係る2軸同期駆動装置は、2つのモータ、すなわち第1モータと第2モータを備え、それら第1及び第2モータを互いに同期させて駆動制御する。第1モータは第1駆動軸を駆動し、第2モータは第2駆動軸を駆動する。このとき、それら第1駆動軸及び第2駆動軸それぞれの駆動速度は、制御手段によって制御される。その際、制御手段は、第1モータの駆動位置及び第2モータの駆動位置が所定の範囲を逸脱しないように、上記駆動速度の制御を行う。これにより、第1駆動軸及び第2駆動軸それぞれの駆動対象物のうち一方の駆動対象物に駆動抵抗が生じてそれら2つの駆動対象物の動作位置に差が生じた場合であっても、その動作位置の差を解消し、両方の駆動対象物を均等に動作させることができる。
【0008】
好ましくは、前記制御手段は、前記第1モータ及び前記第2モータのうち、駆動位置が進んでいる一方のモータの駆動を減速又は停止させる。
【0009】
これにより、第1駆動軸及び第2駆動軸それぞれの駆動対象物のうち一方の駆動対象物の動作位置が他方の駆動対象物の動作位置よりも先行している場合であっても、先行する駆動対象物に対して遅れている後続の駆動対象物を追いつかせ、両方の駆動対象物の動作位置を略同じとすることができる。
【0010】
好ましくは、前記制御手段は、前記第1モータ及び前記第2モータのうち、駆動位置が進んでいる一方のモータの駆動を停止させるとともに、駆動位置が遅れている他方のモータの駆動を継続する。
【0011】
これにより、第1駆動軸及び第2駆動軸それぞれの駆動対象物のうち一方の駆動対象物の動作位置が他方の駆動対象物の動作位置よりも先行している場合であっても、先行する駆動対象物に対して遅れている後続の駆動対象物を速やかにかつ確実に追いつかせ、両方の駆動対象物の動作位置を略同じとすることができる。
【0012】
好ましくは、前記制御手段は、前記第1モータ及び前記第2モータのうち、駆動位置が遅れている他方のモータの駆動を加速する。
【0013】
好ましくは、前記第1モータ及び前記第2モータに共通の位置指令を生成する指令生成手段と、前記位置指令生成手段で生成された前記位置指令を順次払い出す指令払出手段と、前記第1モータに機械結合され当該第1モータの実駆動位置を検出する第1検出器と、前記第2モータに機械結合され当該第2モータの実駆動位置を検出する第2検出器と、をさらに有し、前記制御手段は、前記指令払出手段から払い出された前記位置指令、及び、前記第1検出器で検出された前記第1モータの実駆動位置を入力し、前記位置指令の制御量に対応した前記第1モータの第1目標駆動位置と前記入力した前記第1モータの実駆動位置との第1位置偏差に基づき前記第1モータの駆動を制御するための、第1モータ制御手段と、前記指令払出手段から払い出された前記位置指令、及び、前記第2検出器で検出された前記第2モータの実駆動位置を入力し、前記位置指令の制御量に対応した前記第2モータの第2目標駆動位置と前記入力した前記第2モータの実駆動位置との第2位置偏差に基づき前記第2モータの駆動を制御するための、第2モータ制御手段と、前記第1検出器で検出された前記第1モータの実駆動位置と、前記第2検出器で検出された前記第2モータの実駆動位置との、相対偏差を算出する相対偏差算出手段と、前記相対偏差算出手段で算出された前記相対偏差が、所定のしきい値以上であるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記相対偏差が前記しきい値未満であると判定された場合には、前記位置指令の払い出しを実行し、前記判定手段により前記相対偏差が前記しきい値以上であると判定された場合には、前記位置指令の払い出しを停止するように、前記指令払出手段を制御する払い出し制御手段と、を備える。
【0014】
本願に係る2軸同期駆動装置は、第1モータの駆動を制御するための第1モータ制御手段と、第2モータの駆動を制御するための第2モータ制御手段とを有している。そして、第1及び第2モータを互いに同期させて駆動制御するために、それら2つのモータに共通の位置指令が用いられる。指令生成手段が上記共通の位置指令を生成すると、その生成された位置指令は、指令払出手段によって順次払い出される。払い出された位置指令は、第1モータ制御手段及び第2モータ制御手段それぞれに、順次入力される。
【0015】
このとき、第1モータの実駆動位置が第1検出器によって検出されている。第1モータ制御手段は、上記検出結果に基づき、第1モータの実駆動位置が、上記入力された共通の位置指令の制御量に対応した第1目標駆動位置に近づくように(言い替えれば第1位置偏差が0となるように)、フィードバック制御を行う。同様に、第2モータ制御手段は、第2検出器の検出結果に基づき、第2モータの実駆動位置が、上記入力された共通の位置指令の制御量に対応した第2目標駆動位置に近づくように(言い替えれば第2位置偏差が0となるように)、フィードバック制御を行う。
【0016】
ここで、第1モータが駆動する第1駆動軸の駆動対象物、及び、第2モータが駆動する第2駆動軸の駆動対象物のうち、一方の駆動対象物に駆動抵抗が生じ、それら2つの駆動対象物の動作位置に差が生じた場合を考える。その場合、それら2つの駆動対象物の動作位置の差に対応して、第1モータの実駆動位置と第2モータの実駆動位置との間にも差が生じる。本願第5発明においては、この第1モータの実駆動位置と第2モータの実駆動位置との間の差が相対偏差算出手段によって算出され、その算出された差が所定のしきい値以上であるか否かが判定手段によって判定される。
【0017】
このとき、上記駆動抵抗が生じるまでの間は、第1モータ及び第2モータの実駆動位置に大きな差がなく上記判定手段の判定が満たされない。したがって、払い出し制御手段の制御によって、上記指令払い出し手段からの位置指令の払い出しがそのまま続行される。一方、駆動抵抗の発生により上記のようにして第1モータの実駆動位置と第2モータの実駆動位置との間に比較的大きな差が生じると、上記判定手段の判定が満たされる。この結果、払い出し制御手段の制御によって、上記指令払い出し手段からの位置指令の払い出しが停止され、中断する。位置指令の払い出しが停止されると、第1モータ制御手段及び第2モータ制御手段それぞれに入力される位置指令の制御量の値が0となる。これにより、いずれのモータ制御手段も、その時点でそれぞれに残っている位置偏差が0となるように各モータを制御し、残っている位置偏差が0となったら各モータの駆動を停止する。
【0018】
但し、上記中断された時点では、上述した2つの駆動対象物の動作位置の差に応じて、一方の駆動対象物の動作位置が他方の駆動対象物の動作位置よりも先行し進んでいることになる。そして、中断される直前までは、上述したように、第1モータ制御手段及び第2モータ制御手段には共通の位置指令(すなわち同一値の指令)が入力されており、その共通の位置指令に基づいて第1モータ制御手段及び第2モータ制御手段が第1モータ及び第2モータの制御をそれぞれ行っている。この結果、上記先行している駆動対象物に係るモータ(以下適宜、「先行モータ」という)の実駆動位置は、上記共通の位置指令による目標駆動位置に比較的近く、位置偏差が比較的小さい。これに対して、遅れている駆動対象物に係るモータ(以下適宜、「後続モータ」という)の実駆動位置は、上記共通の位置指令による目標駆動位置から比較的遠く、位置偏差が比較的大きくなっている。
【0019】
したがって、上記中断の後に、上記先行モータ及び上記後続モータに対し、前述したように残っている位置偏差が共に0となるように駆動制御が続行されると、先に上記先行モータの位置偏差が0となって駆動制御が終了(すなわちモータ停止)した後、追って上記後続モータの位置偏差が0となって駆動制御が終了(すなわちモータ停止)する。これにより、先行モータの駆動位置と後続モータの駆動位置とを一致させることができる。そして、この駆動位置の一致によって上記判定手段の判定が満たされなくなることから、払い出し制御手段の制御によって、上記指令払い出し手段からの位置指令の払い出しが再開される。この結果、2つのモータは駆動位置が一致した形で駆動を再開し、2つの駆動対象物の動作位置を揃えることができる。
【0020】
以上のようにして、2つの駆動対象物のうち一方に駆動抵抗が生じて動作位置に差が生じた場合であっても、その動作位置の差を確実に解消し、両方の駆動対象物を均等に動作させることができる。
【0021】
好ましくは、前記第1モータ制御手段は、前記位置指令と前記第1モータの実駆動位置とを入力して前記第1位置偏差を算出し、その算出された当該第1位置偏差に対応した第1速度指令を出力する第1偏差カウンタと、前記第1偏差カウンタから出力された前記第1速度指令に基づき前記第1モータの駆動を制御する第1モータ駆動回路と、を備えており、前記第2モータ制御手段は、前記位置指令と前記第2モータの実駆動位置とを入力して前記第2位置偏差を算出し、その算出された当該第2位置偏差に対応した第2速度指令を出力する第2偏差カウンタと、前記第2偏差カウンタから出力された前記第2速度指令に基づき前記第2モータの駆動を制御する第2モータ駆動回路と、を備えている。
【0022】
前述したように、一方の駆動対象物の動作位置が他方の駆動対象物の動作位置よりも先行した状態で、共通の位置指令の払い出しが中断される。このとき、本願第6発明においては、第1モータ駆動回路及び第2モータ駆動回路のうち、先行モータに係る駆動回路では、偏差カウンタ(第1偏差カウンタ又は第2偏差カウンタ)が算出する位置偏差(第1位置偏差又は第2位置偏差)が比較的小さくなる。これに対して、後続モータに係る駆動回路では、偏差カウンタ(第2偏差カウンタ又は第1偏差カウンタ)が算出する位置偏差(第2位置偏差又は第1位置偏差)が比較的大きくなる。
【0023】
上記中断の後に、上記先行モータ及び上記後続モータに対し駆動制御が続行されることで、先に上記先行モータに係るモータ駆動回路での上記位置偏差が0となり、対応するモータ駆動回路(第1モータ駆動回路又は第2モータ駆動回路)の制御によってモータ(第1モータ又は第2モータ)が停止する。その後、追って上記後続モータに係るモータ駆動回路での上記位置偏差が0となり、対応するモータ駆動回路(第2モータ駆動回路又は第1モータ駆動回路)の制御によってモータ(第2モータ又は第1モータ)が停止する。以上の結果、先行モータの駆動位置と後続モータの駆動位置とを確実に一致させることができる。
【0024】
好ましくは、前記第1駆動軸は、当該第1駆動軸と同一軸心で第1圧入軸が設けられ、前記第2駆動軸は、当該第2駆動軸と同一軸心で第2圧入軸が設けられ、前記第1駆動軸に設けた前記第1圧入軸、及び、前記第2駆動軸に設けた前記第2圧入軸は、対応する被圧入部材にそれぞれ圧入するために前記第1モータのトルク、前記第2モータのトルクにより軸方向の第1圧入荷重、第2圧入荷重を作用させる。
【0025】
これにより、第1駆動軸からの第1圧入荷重による被圧入部材への第1圧入軸の圧入と、第2駆動軸からの第2圧入荷重による被圧入部材への第2圧入軸の圧入とを、互いに同期させて行うことができる。そして、第1圧入軸及び第2圧入軸のうち一方に何らかの理由で被圧入部材への圧入抵抗(例えば駆動抵抗等)が生じて、それら2つの圧入軸の圧入方向の位置(圧入高さ)に差が生じた場合であっても、その差を解消し両方の圧入軸を均等に同時に圧入することができる。
【0026】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、第1駆動軸を駆動するための第1モータと、第2駆動軸を駆動するための第2モータと、を、互いに同期させて駆動制御する、2軸同期駆動方法において、前記第1モータの駆動位置及び前記第2モータの駆動位置が所定の範囲を逸脱しないように、前記第1駆動軸の駆動速度、若しくは、前記第2駆動軸の駆動速度、を制御する2軸同期駆動方法が適用される。
【発明の効果】
【0027】
本発明の2軸同期駆動装置及び2軸同期駆動方法によれば、駆動抵抗の発生により2つの駆動軸それぞれの駆動対象物の動作位置に差が生じた場合であっても、各駆動対象物を均等に動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】一実施形態の2軸同期駆動装置の駆動対象となる、処理装置の一例を表す説明図である。
図2】一実施形態の2軸同期駆動装置の機能的構成を表すブロック図である。
図3】相対偏差算出部、判定部、払い出し制御部、及び位置指令出力回路の協働により実行される制御手順の一例を表すフローチャートである。
図4】圧入荷重を設定する変形例における、2軸同期駆動装置の機能的構成を表すブロック図である。
図5】相対偏差算出部、判定部、払い出し制御部、位置指令出力回路、及び圧入荷重判定回路の協働により実行される制御手順の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0030】
<処理装置の概略>
図1は、本実施形態による2軸同期駆動装置の駆動対象となる処理装置の一例(この例ではいわゆる圧入装置)を表す説明図である。図1において、処理装置1は、一対の基台10,20と、ワークとしてのシャフトW1(第1圧入軸に相当)及びシャフトW2(第2圧入軸に相当)をそれぞれ支持するワーク支持台11,21と、基台10,20にそれぞれ設けられ、ワーク支持台11,21をそれぞれ図1中上下方向に進退させる第1駆動軸12及び第2駆動軸22と、基台10,20に設けられ上記第1及び第2駆動軸12,22をそれぞれ進退駆動する第1及び第2モータ14,24(図1では図示せず。後述の図2参照)と、を有する。
【0031】
シャフトW1は、第1駆動軸12と同一軸心で設けられている。そして、シャフトW1は、上記第1モータ14が駆動されてワーク支持台11が図1中の上方へ前進する際に、ワーク支持台11から作用する、第1モータ14のトルクによる軸方向の圧入荷重(第1圧入荷重に相当)によって、ディスクD(被圧入部材に相当)へと圧入される。同様に、シャフトW2は、第2駆動軸22と同一軸心で設けられている。そして、シャフトW2は、上記第2モータ24が駆動されてワーク支持台21が図1中の上方へ前進する際に、ワーク支持台21から作用する、第2モータ24のトルクによる軸方向の圧入荷重(第2圧入荷重に相当)によって、ディスクDへと圧入される。
【0032】
上記構成において、この例では、上記シャフトW1,W2の進退方向(図1中の上下方向)における配置位置は、ディスクDに対してずらされている。これに対応して、上記圧入作業の開始前に、シャフトW1,W2はそれぞれ位置決め部13,23に突き当てられることで、それぞれ初期位置へ位置決めされる。その後、後述する本実施形態の2軸同期駆動装置で第1及び第2モータ14,24の駆動が同期制御されることで、第1及び第2駆動軸12,22を介したワーク支持台11,21の進退動作が同期して制御される。これにより、ディスクDに対しシャフトW1,W2を圧入し組み付けることができる。
【0033】
<2軸同期駆動装置>
図2は、本実施形態による2軸同期駆動装置の一例を示すブロック図である。図2において、2軸同期駆動装置100は、上記第1駆動軸12を駆動するための第1モータ14と、上記第2駆動軸22を駆動するための第2モータ24と、第1モータ14に機械結合され第1モータ14の実駆動位置を検出する第1検出器15と、第2モータ24に機械結合されて第2モータ24の実駆動位置を検出する第2検出器25と、サーボアンプ2と、位置指令出力回路8と、相対偏差算出部5と、判定部6と、払い出し制御部7と、を有する。
【0034】
位置指令出力回路8は、第1モータ14及び第2モータ24に共通の位置指令を生成する指令生成部3と、位置指令生成部3で生成された位置指令(例えばパルス列からなる)を順次払い出す指令払出部4と、を有する。なお、指令生成部3は、本実施形態における指令生成手段として機能し、指令払出部4は、本実施形態における指令払出手段として機能する。
【0035】
サーボアンプ2は、第1モータ制御部16(第1モータ制御手段に相当)と、第2モータ制御部26(第1モータ制御手段に相当)と、を有する。
【0036】
第1モータ制御部16は、第1偏差カウンタ17と、第1モータ駆動回路18と、を有する。第1偏差カウンタ17は、指令払出部4から払い出された上記位置指令と、上記第1検出器15からの第1モータ14の実駆動位置とを入力する。そして、第1偏差カウンタ17は、入力された上記位置指令の制御量に対応した第1モータ14の目標駆動位置(第1目標駆動位置に相当)と、上記入力された第1モータ14の実駆動位置と、の偏差(第1位置偏差)を算出する。さらに、第1偏差カウンタ17は、その算出された第1位置偏差に対応した速度指令(第1速度指令)を出力する。第1モータ駆動回路18は、第1偏差カウンタ17から出力された上記第1速度指令に基づき、第1モータ14の駆動を制御する。
【0037】
第2モータ制御部26は、第2偏差カウンタ27と、第2モータ駆動回路28と、を有する。第2偏差カウンタ27は、指令払出部4から払い出された上記位置指令と、上記第2検出器25からの第2モータ24の実駆動位置とを入力する。そして、第2偏差カウンタ27は、入力された上記位置指令の制御量に対応した第2モータ24の目標駆動位置(第2目標駆動位置に相当)と、上記入力された第2モータ14の実駆動位置と、の偏差(第2位置偏差)を算出する。さらに、第2偏差カウンタ27は、その算出された第2位置偏差に対応した速度指令(第2速度指令)を出力する。第2モータ駆動回路28は、第2偏差カウンタ27から出力された上記第2速度指令に基づき、第2モータ24の駆動を制御する。
【0038】
相対偏差算出部5は、上記第1検出器15で検出された第1モータ14の実駆動位置と、上記第2検出器25で検出された第2モータ24の実駆動位置とを入力し、それらの相対偏差を算出する。
【0039】
判定部6は、相対偏差算出部5で算出された上記相対偏差が、所定のしきい値以上であるか否かを判定する(詳細は後述)。
【0040】
払い出し制御部7は、判定部6により相対偏差がしきい値未満であると判定された場合には上記位置指令の払い出しを実行し、判定部6により相対偏差がしきい値以上であると判定された場合には上記位置指令の払い出しを一時停止するように、指令払出部4を制御する。
【0041】
なお、上記サーボアンプ2と、相対偏差算出部5と、判定部6と、払い出し制御部7とが、各請求項記載の、第1モータ14及び第2モータ24を同期させ、第1モータ14の駆動位置及び第2モータ24の駆動位置が所定の範囲を逸脱しないように、第1駆動軸12の駆動速度、若しくは、第2駆動軸22の駆動速度、を制御する制御手段として機能する。
【0042】
<制御手順>
上記構成において、上記相対偏差算出部5、判定部6、払い出し制御部7、及び位置指令出力回路8の協働により実行される、制御手順の一例を、図3のフローにより説明する。
【0043】
図3において、まず、ステップS1で、位置指令出力回路8の指令生成部3が、第1及び第2モータ24を互いに同期させて駆動制御するために、それら2つのモータ14,24に共通の位置指令を生成する。そして、その生成された位置指令が、指令払出部4によって順次サーボアンプへと払い出される。払い出された位置指令は、サーボアンプ2の第1モータ制御部16の上記第1偏差カウンタ17及び第2モータ制御部26の第2偏差カウンタ27に、順次入力される。
【0044】
このとき、第1モータ14の実駆動位置が第1検出器15によって検出されている。第1モータ制御部16は、上記検出結果に基づき、第1モータ14の上記実駆動位置が、上記入力された共通の位置指令(上記の例ではパルス列からなる)の制御量に対応した上記第1目標駆動位置に近づくように(言い替えれば上記第1位置偏差が”0”となるように)フィードバック制御を行う。同様に、第2モータ制御部26は、第2検出器25の検出結果に基づき、第2モータ24の上記実駆動位置が、上記入力された共通の位置指令の制御量に対応した上記第2目標駆動位置に近づくように(言い替えれば第2位置偏差が”0”となるように)フィードバック制御を行う。これにより、前述したように処理装置1においてシャフトW1,W2に軸方向の圧入荷重を作用させてディスクDに圧入するとき、第1駆動軸12からの上記第1圧入荷重によるディスクDへのシャフトW1の圧入と、第2駆動軸22からの上記第2圧入荷重によるディスクDへのシャフトW2の圧入とを、互いに同期させて行うことができる。
【0045】
上記ステップS1の後、ステップS2で、上記判定部6が、上記相対偏差算出部5によって算出された上記第1モータ14の実駆動位置と第2モータ24の実駆動位置との間の差が、所定のしきい値以上であるか否かを判定する。この判定には、以下のような意義がある。
【0046】
すなわち、例えば、第1モータ14が駆動する第1駆動軸12の駆動対象物(上記の例ではシャフトW1)、及び、第2モータ24が駆動する第2駆動軸22の駆動対象物(上記の例ではシャフトW2)のうち、一方の駆動対象物に駆動抵抗が生じ、それら2つの駆動対象物の動作位置に差が生じたとする。その場合、それら2つの駆動対象物の動作位置の差に対応して、上記第1モータ14の実駆動位置と上記第2モータ24の実駆動位置との間にも差が生じる。
【0047】
このとき、上記駆動抵抗が生じるまでの間は、第1モータ14及び第2モータ24の実駆動位置に大きな差がない。この結果、上記ステップS2における判定部6の判定が満たされず(S2:NO)、ステップS5に移行する。ステップS5では、指令払出部4からの位置指令の払い出しが完了したか否かが(言い替えれば上記2つの駆動対象物が目標位置に達したか否か)が判定される。払い出しが完了するまでは、ステップS5の判定が満たされず(S5:NO)ステップS1に戻って同様の手順が繰り返される。すなわち、上記2つの駆動対象物が目標位置に達して払い出しが完了するまでは、払い出し制御部7の制御によって指令払出部4からの位置指令の払い出しがそのまま続行される。
【0048】
一方、上記ステップS2において、駆動抵抗の発生により上記のようにして第1モータ14の実駆動位置と第2モータ24の実駆動位置との間に比較的大きな差が生じると、上記相対偏差が上記所定のしきい値以上となってステップS2における判定部6の判定が満たされ(S2:YES)、ステップS3へ移行する。
【0049】
ステップS3では、払い出し制御部7の制御によって、指令払出部4からの位置指令の払い出しが中断(一時停止)される。その後、ステップS2に戻って同様の手順が繰り返される。すなわち、上記中断は、上記相対偏差が上記所定のしきい値未満となりステップS2における判定部6の判定が満たされなくなるまで継続される。このようにして位置指令の払い出しが中断されると、上記したようにして第1モータ制御部16の第1偏差カウンタ17及び第2モータ制御部26の第2偏差カウンタ27それぞれに入力される位置指令の制御量の値が”0”となる。これにより、いずれのモータ駆動回路18,28も、その時点でそれぞれに残っている位置偏差が”0”となるように各モータ14,24を制御し、残っている位置偏差が”0”となったら各モータ14,24の駆動が停止する。
【0050】
但し、上記中断された時点では、上述した2つの駆動対象物の動作位置の差に応じて、一方の駆動対象物の動作位置が他方の駆動対象物の動作位置よりも先行し進んでいることになる。そして、中断される直前までは、上述したように、第1偏差カウンタ17及び第2偏差カウンタ27には共通の位置指令(すなわち同一値の指令)が入力されており、その共通の位置指令に基づいて第1モータ14及び第2モータ24の制御がそれぞれ行われている。この結果、上記先行している駆動対象物に係るモータ14又は24(先行モータ)の実駆動位置は、上記共通の位置指令による目標駆動位置に比較的近く、第1偏差カウンタ17(又は第2偏差カウンタ27)が算出する第1位置偏差(又は第2位置偏差)が比較的小さい。これに対して、遅れている駆動対象物に係るモータ24又は14(後続モータ)の実駆動位置は、上記共通の位置指令による目標駆動位置から比較的遠く、第2偏差カウンタ27(又は第1偏差カウンタ17)が算出する第2位置偏差(又は第1位置偏差)が比較的大きくなっている。
【0051】
したがって、上記中断の後に、上記先行モータ14(又は24)及び上記後続モータ24(又は14)に対し、前述したように残っている位置偏差が共に”0”となるように駆動制御が続行されることで、先に上記先行モータ14(又は24)に係るモータ駆動回路18(又は28)での位置偏差が”0”となって駆動制御が終了(すなわちモータ停止)した後、追って上記後続モータ24(又は14)に係るモータ駆動回路28(又は18)での位置偏差が”0”となって駆動制御が終了(すなわちモータ停止)する。これにより、先行モータ14(又は24)の駆動位置と後続モータ24(又は14)の駆動位置とを一致させることができる。
【0052】
そして、この駆動位置の一致によって上記相対偏差が上記所定のしきい値未満となりステップS2における判定部6の判定が満たされなくなる(S2:NO)。この結果、上述したようにステップS5へ移行して、払い出し制御部7の制御によって、指令払出部4からの位置指令の払い出しが再開される(ステップS5:NO)。この結果、2つのモータ14,24は駆動位置が一致した形で駆動を再開し、2つの駆動対象物の動作位置を揃えることができる。再開後、2つの駆動対象物が目標位置に達すると払い出しが完了するので上記ステップS5の判定が満たされ(S5:YES)、このフローを終了する。
【0053】
以上のようにして、本実施形態によれば、2つの駆動対象物のうち一方に駆動抵抗が生じて動作位置に差が生じた場合であっても、その動作位置の差を確実に解消し、両方の駆動対象物を均等に動作させることができる。したがって、前述したように処理装置1においてシャフトW1,W2に軸方向の圧入荷重を作用させてディスクDに圧入するとき、シャフトW1,W2のうち一方に何らかの理由で被圧入部材への圧入抵抗(例えば駆動抵抗等)が生じて、それら2つのシャフトW1,W2の圧入方向の位置(圧入高さ)に差が生じた場合であっても、その差を解消し両者を均等に同時に圧入することができる。
【0054】
なお、上記においては、第1モータ14及び第2モータ24のうち、駆動位置が進んでいる上記先行モータの駆動を停止させるとともに、駆動位置が遅れている上記後続モータの駆動を継続したが、先行モータの駆動を減速するにとどめてもよい。
また、前記第1モータ14及び前記第2モータ24のうち、駆動位置が進んでいる上記先行モータの駆動を停止させるとともに、駆動位置が遅れている上記後続モータの駆動を加速するようにしても構わない。
【0055】
なお、開示の実施形態は、上記の態様に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を順を追って説明する。
【0056】
(1)圧入荷重設定を行う場合
本変形例による2軸同期駆動装置100′の機能的構成を、図4に示す。図4に示すように、本変形例の2軸同期駆動装置100′では、図2に示した構成に加え、圧入荷重検出器56、圧入荷重設定器55、及び圧入荷重判定回路57が新たに設けられる。
【0057】
圧入荷重検出器56は、例えばロードセル等により構成され、シャフトW1,W2に加えられる上記圧入荷重の値を検出する。
【0058】
圧入荷重設定器55は、圧入が完了したとみなせる圧入荷重設定値(停止圧入荷重設定値)を、使用者が操作入力するためのものである。
【0059】
圧入荷重判定回路57は、上記圧入荷重検出器56により検出された圧入荷重の値が、上記圧入荷重設定器55により設定された停止圧入荷重設定値に達したか否かを判定する。
【0060】
本変形例において、上記相対偏差算出部5、判定部6、払い出し制御部7、位置指令出力回路8、及び圧入荷重判定回路57の協働により実行される、制御手順の一例を、図5のフローにより説明する。
【0061】
図5に示すフローでは、図3のフローの各手順に加え、ステップS4とステップS6とが新たに設けられる。
【0062】
すなわち、第1モータ14及び第2モータ24の実駆動位置に大きな差がなく、上記ステップS2における判定部6の判定が満たされない場合(S2:NO)、新たに設けたステップS4に移行する。
【0063】
ステップS4では、圧入荷重判定回路57により、上記圧入荷重検出器56により検出された圧入荷重の値が、上記停止圧入荷重設定値に達したか否かが判定される。停止圧入荷重設定値に達していれば、ステップS4の判定が満たされて(S4:YES)正常に圧入が完了したとみなされ、このフローを終了する。停止圧入荷重設定値に達していなければステップS4の判定が満たされず(S4:NO)、前述したステップS5に移行する。
【0064】
ステップS5では、上記同様、指令払出部4からの位置指令の払い出しが完了したか否かが(言い替えれば上記2つの駆動対象物が目標位置に達したか否か)が判定される。ここで、本変形例においては、ステップS5の前に上記ステップS4が設けられていることから、上記したように正常に圧入が完了した場合にはステップS4の判定が満たされ、(ステップS5へ至ることなく)このフローが終了するはずである。すなわち、上記実施形態とは異なり、ステップS5の判定が満たされる場合は、圧入荷重検出器56により検出された圧入荷重の値が上記停止圧入荷重設定値に達していないにもかかわらず指令払出部4からの位置指令の払い出しが完了している場合である。この場合は、圧入荷重が十分に大きくなっていないことから、例えば何らかの機械的故障があった可能性が高い。そこで本変形例では、ステップS5の判定が満たされた場合にはステップS6に移り、所定のエラー表示等の処理が実行された後、このフローを終了する。
【0065】
この変形例によっても、上記実施形態と同様の効果を得る。
【0066】
(2)その他
以上では、2軸同期駆動装置及び2軸同期駆動方法を、いわゆるワーク圧入に適用した場合を例にとって説明したが、これに限られず、いわゆるワーク搬送等にも適用可能である。
【0067】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0068】
その他、一々例示はしないが、開示の実施形態は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0069】
2 サーボアンプ
3 指令生成部(指令生成手段)
4 指令払出部(指令払い出し手段)
5 相対偏差算出部(相対偏差算出手段)
6 判定部(判定手段)
7 払い出し制御部(払い出し制御手段)
8 位置指令出力回路
12 第1駆動軸
14 第1モータ
15 第1検出器
16 第1モータ制御部(第1モータ制御手段)
17 第1偏差カウンタ
18 第1モータ駆動回路
22 第2駆動軸
24 第2モータ
25 第2検出器
26 第2モータ制御部(第2モータ制御手段)
27 第2偏差カウンタ
28 第2モータ駆動回路
100 2軸同期駆動装置
100′ 2軸同期駆動装置
D ディスク(被圧入部材)
W1 シャフト(第1圧入軸)
W2 シャフト(第2圧入軸)
図1
図2
図3
図4
図5