特許第6092726号(P6092726)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6092726-嫌気培養装置 図000002
  • 特許6092726-嫌気培養装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092726
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】嫌気培養装置
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/00 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
   C12M1/00 C
   C12M1/00 K
【請求項の数】3
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-143081(P2013-143081)
(22)【出願日】2013年7月8日
(65)【公開番号】特開2015-15904(P2015-15904A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二
(74)【代理人】
【識別番号】100130409
【弁理士】
【氏名又は名称】下山 治
(74)【代理人】
【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 嘉伸
【審査官】 西 賢二
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06100083(US,A)
【文献】 米国特許第04111753(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0127716(US,A1)
【文献】 特開2012−73197(JP,A)
【文献】 特開平3−150443(JP,A)
【文献】 金内長司,嫌気性グローブボックス法,感染症学雑誌,1973年,Vol. 47,pp. 125-130
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M 1/00−3/10
C12N 1/00−7/08
C12Q 1/00−3/00
G01M 3/00−3/40
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性部材によって構成され内部空間を外部空間から仕切る嫌気性チャンバーと、
前記内部空間に配置された触媒が水素と酸素との反応を促進させることによって前記内部空間における酸素の濃度が低下するように、前記内部空間に水素を供給する環境制御部と、
前記内部空間から前記外部空間への水素の漏れを前記内部空間の圧力の低下による前記嫌気性チャンバーの変形に基づいて検知する検知部と、
前記検知部による水素の漏れの検知に応じて警報を発する警報部と、
を備えることを特徴とする嫌気培養装置。
【請求項2】
前記検知部は、前記嫌気性チャンバーの天井部の高さの変化を計測するように構成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の嫌気培養装置。
【請求項3】
前記検知部は、超音波を用いて距離を計測する超音波センサを含む、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の嫌気培養装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、嫌気培養装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微生物などを嫌気環境で培養するための嫌気培養装置がある。嫌気培養装置の1つとして、内部空間を外部空間から仕切る嫌気性チャンバーと、内部空間に水素を供給するユニットとを備えるものがある。内部空間には、触媒が配置されていて、この触媒が水素と酸素との反応を促進させることによって内部空間における酸素の濃度が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−217806号
【特許文献2】特開2006−149232号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような嫌気培養装置において、嫌気性チャンバーが破損し、内部空間から外部空間に水素が漏れ続けると、危険である。そこで、嫌気培養装置が配置された部屋に水素センサを配置して、これによって水素を検知することが考えられる。しかしながら、例えば、当該部屋に空気の流れがあると、嫌気性チャンバーからの水素の漏れを確実に検知することが難しい。
【0005】
本発明は、嫌気性チャンバーからの水素の漏れをより確実に検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、嫌気培養装置に係り、前記嫌気培養装置は、可撓性部材によって構成され内部空間を外部空間から仕切る嫌気性チャンバーと、前記内部空間に配置された触媒が水素と酸素との反応を促進させることによって前記内部空間における酸素の濃度が低下するように、前記内部空間に水素を供給する環境制御部と、前記内部空間から前記外部空間への水素の漏れを前記内部空間の圧力の低下による前記嫌気性チャンバーの変形に基づいて検知する検知部と、前記検知部による水素の漏れの検知に応じて警報を発する警報部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、嫌気性チャンバーからの水素の漏れをより確実に検知する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の1つの実施形態の嫌気培養装置の構成を模式的に示す図。
図2】本発明の1つの実施形態の嫌気培養装置において水素が漏れている状態を模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明をその例示的な実施形態の嫌気培養装置100を通して説明する。
【0010】
嫌気培養装置100は、嫌気性チャンバー10と、環境制御部30と、検知部70と、警報部80とを備えている。嫌気性チャンバー10は、可撓性部材によって構成され、内部空間ISを外部空間OSから仕切る。可撓性部材は、例えば、塩化ビニールで形成されうる。内部空間ISには、水素と酸素との反応を促進させるための触媒20が配置される。触媒20は、例えば、内部空間ISに配置された棚60に置かれうる。
【0011】
環境制御部30は、内部空間ISに配置された触媒20が水素と酸素との反応を促進させることによって内部空間ISにおける酸素の濃度が低下するように、内部空間ISに水素を供給する。一例において、環境制御部30は、まず、内部空間ISの空気を窒素ガスで置換し、その後に、触媒20の作用により内部空間ISにおける酸素の濃度が低下するように、内部空間ISに水素を供給する。
【0012】
嫌気性チャンバー10が損傷を受けると、嫌気性チャンバー10から水素が漏れうる。典型的な例としては、嫌気性チャンバー10には操作用のグローブが設けられていて、そのグローブの先端等が摩耗等によって薄くなって、そこに穴が開きうる。このような穴を通して比較的多くの水素が内部空間ISから外部空間OSに漏れる可能性がある。
【0013】
検知部70は、内部空間ISから外部空間OSへの水素の漏れを内部空間ISの圧力の低下による嫌気性チャンバー10の変形に基づいて検知する。より具体的には、検知部70は、例えば、嫌気性チャンバー10の天井部12の高さの変化を計測するように構成されうる。内部空間ISから外部空間OSに水素が漏れると内部空間ISの圧力が低下し、これによって、図2に例示されているように、嫌気性チャンバー10の天井部12の高さが下がりうる。よって、検知部70は、嫌気性チャンバー10の天井部12の高さの変化を計測することによって、内部空間ISから外部空間OSへの水素の漏れを検知することができる。検知部70は、例えば、嫌気性チャンバー10の天井部12の高さが予め設定された閾値を下回ったときに内部空間ISから外部空間OSへの水素の漏れがあったと判断するように構成されうる。
【0014】
検知部70は、例えば、嫌気性チャンバー10の周囲に設けられたフレーム50の上部に取り付けられうる。検知部70は、例えば、超音波を用いて距離を計測する超音波センサを含みうる。
【0015】
警報部80は、検知部70による水素の漏れの検知に応じて警報を発する。警報は、例えば、音および/または光によってなされうる。あるいは、警報は、他の装置への警報情報の送信であってもよい。
【符号の説明】
【0016】
100 嫌気培養装置
10 嫌気性チャンバー
12 天井部
20 触媒
30 環境制御部
50 フレーム
60 棚
70 検知部
80 警報部
IS 内部空間
OS 外部空間
図1
図2