特許第6092746号(P6092746)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092746
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】オイルセパレータ
(51)【国際特許分類】
   F01M 13/04 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
   F01M13/04 E
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-206670(P2013-206670)
(22)【出願日】2013年10月1日
(65)【公開番号】特開2015-71949(P2015-71949A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2016年3月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135209
【氏名又は名称】株式会社ニフコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】特許業務法人 大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 庄一郎
【審査官】 齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−535252(JP,A)
【文献】 実開昭63−090013(JP,U)
【文献】 特開2001−054711(JP,A)
【文献】 特開2011−047354(JP,A)
【文献】 特開2009−191631(JP,A)
【文献】 米国特許第7238216(US,B2)
【文献】 独国特許出願公開第10320215(DE,A1)
【文献】 独国特許発明第19813702(DE,C1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 13/04
B01D 45/00−46/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のブローバイガス中のオイルを分離するオイルセパレータであって、
ブローバイガスの流路を形成し、下流側を向く環状肩面を画定するハウジングと、
前記流路内に配置され、その端面が前記環状肩面に当接して前記流路を閉塞する閉塞位置と該端面が前記環状肩面から離間して前記流路を開放する開放位置との間を往復可能な弁体と、
前記弁体を前記閉塞位置に向けて付勢するばね手段と、
前記ハウジング内に設けられて、前記ブローバイガスから分離されたオイルをクランク室に還流させる還流手段と
を備え、
前記弁体は、前記環状肩面の下流側において前記流路の壁面に所定の間隔をおいて対向する第1側面を備え、
前記ばね手段のばね定数は、前記流路内の差圧によって、前記弁体が該ばね手段の付勢力に抗して前記開放位置に移動するように設定されており、
前記開放位置における前記弁体の前記端面と前記環状肩面との間隙は前記弁体の前記第1側面と前記流路の前記壁面との前記間隔よりも狭いという関係が、前記ブローバイガスの流量に関わらず、常に成立することを特徴とするオイルセパレータ。
【請求項2】
前記ばね手段の前記ばね定数は、前記関係が成立するように設定されることを特徴とする請求項1に記載のオイルセパレータ。
【請求項3】
前記環状肩面は、同軸の環状に形成された突条を備え、該突条の先端において前記弁体と当接することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のオイルセパレータ。
【請求項4】
前記突条は、下流に向かうにつれて内径が増大するように形成された内周面を備えることを特徴とする請求項3に記載のオイルセパレータ。
【請求項5】
前記弁体は、前記第1側面から下流側に延在して下流に向かうにつれ前記流路の前記壁面から離間するように形成された第2側面を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のオイルセパレータ。
【請求項6】
前記流路は、複数の並列に配置された分岐流路を備え、前記環状肩面および前記弁体は、前記分岐流路の各々に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載のオイルセパレータ。
【請求項7】
前記弁体の前記往復の方向は、鉛直方向であり、
前記還流手段は、前記弁体の下方に配置されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のオイルセパレータ。
【請求項8】
前記ハウジングには、前記環状肩面の上流側において、前記流路の一部から形成されるプレセパレート部が形成されており、
前記プレセパレート部の前記流路は、流路断面積が狭窄化された狭窄部と、該狭窄部の下流側に配置されて該狭窄部の流路に対して屈曲した流路を有する屈曲部とを備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のオイルセパレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のブローバイガス中のオイルを分離するためのオイルセパレータに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のエンジン等において、ピストンとシリンダとの隙間からクランクケース内に漏出するブローバイガスは、多量の炭化水素(HC)を含んでいる。炭化水素は光化学スモッグの原因物質であるため、ブローバイガスを大気中に放出するのではなく、これを吸気系に戻して混合気と共に再燃焼させる還元方式が普及している。ブローバイガス中にはエンジンオイル等が微粒化されたオイルが含まれているため、このオイルを除去した後のガスが吸気系に送られる。ブローバイガス中のオイルミストを分離する手段としては、種々の方式(慣性衝突式、ラビリンス式及びサイクロン式等)のオイルセパレータが知られている。
【0003】
特許文献1には、慣性衝突式のオイルセパレータが記載されている。このオイルセパレータには、流路の開口部を閉塞する板ばねが片持ち状に支持されるように取り付けられている。この板ばねが弾性変形することにより、開口部と板ばねとの間に間隙が生じ、ブローバイガスはその間隙を通過する際に加速される。その後、加速されたブローバイガスは下流側に設けられた壁に衝突するため、ブローバイガスに含まれるオイルミストは、慣性作用によって壁に付着して捕集される。この方式は、ブローバイガスが高速で壁に衝突するため、比較的小径のオイル粒子であっても捕集することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】ドイツ国特許第10362162号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたオイルセパレータでは、板ばねが片持ち状に支持されているため、板ばねの固定端側に高速のブローバイガスが衝突する壁を設けることが困難であり、スペースを有効利用できず、オイルの捕集効率が制限されていた。
【0006】
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、オイルの捕集効率を向上させたオイルセパレータを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係るオイルセパレータの一側面は、内燃機関のブローバイガス中のオイルを分離するオイルセパレータ(10)であって:ブローバイガスの流路を形成し、下流側を向く環状肩面(42)を画定するハウジング(12)と;前記流路内に配置され、その端面が前記環状肩面に当接して前記流路を閉塞する閉塞位置と該端面が前記環状肩面から離間して前記流路を開放する開放位置との間を往復可能な弁体(36)と;前記弁体を前記閉塞位置に向けて付勢するばね手段(40)と;前記ハウジング内に設けられて、前記ブローバイガスから分離されたオイルをクランク室に還流させる還流手段(22)とを備え、前記弁体は、前記環状肩面の下流側において前記流路の壁面に所定の間隔をおいて対向する第1側面(54)を備え、前記ばね手段のばね定数は、前記流路内の差圧によって、前記弁体が該ばね手段の付勢力に抗して前記開放位置に移動するように設定されており、前記開放位置における前記弁体の前記端面と前記環状肩面との間隙(B)は前記弁体の前記第1側面と前記流路の前記壁面との前記間隔(A)よりも狭いという関係が、前記ブローバイガスの流量に関わらず、常に成立することを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、ブローバイガスは、その流量が少ない場合であっても、弁体と環状肩面との間隙で流速が速まり、高速で環状肩面から下流側に延在する壁に衝突し、その衝突する部分は壁の全周にわたるため、効果的に小径のオイルを分離することが出来る。
【0009】
本発明の他の側面は、上記構成において、前記ばね手段の前記ばね定数は、前記間隙が前記ブローバイガスの流量に関わらず前記間隔よりも常に狭いという前記関係が成立するように設定されることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、別途、弁体の移動を規制する規制手段を用いることなく、弁体の可動範囲を制限でき、部品点数の増加を抑えることができる。
【0011】
本発明の他の側面は、上記構成において、前記環状肩面は、該環状肩面に同軸の環状に形成された突条(46)を備え、該突条の先端において前記弁体と当接することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、突条の下流側に溝(48)が形成されるため、摩擦による圧力損失を低減することが出来る。
【0013】
本発明の他の側面は、上記構成において、前記突条は、下流に向かうにつれて内径が増大するように形成された内周面を備えることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、突条と弁体との間隙に向かうブローバイガスの圧力損失を低減でき、ブローバイガスの流速を上げることができる。
【0015】
本発明の他の側面は、上記構成において、前記弁体は、前記第1側面から下流側に延在して下流に向かうにつれ前記流路の前記壁面から離間するように形成された第2側面(56)を有することを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、ブローバイガスの圧力損失を低減することができる。
【0017】
本発明の他の側面は、上記構成において、前記流路は、複数の並列に配置された分岐流路を備え、前記環状肩面および前記弁体は、前記分岐流路の各々に設けられていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、ブローバイガスからのオイル分離性能を向上させるとともに、圧力損失を抑えることができる。
【0019】
本発明の他の側面は、上記構成において、前記弁体の前記往復の方向は、鉛直方向であり、前記還流手段は、前記弁体の下方に配置されることを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、分離したオイルは自重により下方に落下し、還流手段に導かれるため、簡素な還流手段で、オイルを簡単かつ確実に還流させることができる。
【0021】
本発明の他の側面は、上記構成において、前記ハウジングには、前記環状肩面の上流側において、前記流路の一部から形成されるプレセパレート部(16)が形成されており、前記プレセパレート部の前記流路は、流路断面積が狭窄化された狭窄(24)部と、該狭窄部の下流側に配置されて該狭窄部の流路に対して屈曲した流路を有する屈曲部(26)とを備えることを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、比較的流形の大きいオイル粒子はプレセパレート部で捕集されるため、弁体とハウジングとの間にオイルが詰まることを防止または抑制することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、ブローバイガスに含まれる小径(1μm前後)のオイルの捕集効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係るオイルセパレータの平面図
図2図1中のII−II線断面図
図3】本発明の実施形態に係るオイルセパレータの主要部の拡大断面図(弁が閉じた状態)
図4】本発明の実施形態に係るオイルセパレータの主要部の拡大断面図(弁が開いた状態)
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。説明に当たり、方向を示す用語は、図面に示す方向に従う。図1は、本発明の実施形態に係るオイルセパレータの平面図であり、図2は、図1中のII−II線断面図である。また、図3及び図4は、本発明の実施形態に係るオイルセパレータの主要部(図2の二点鎖線で囲まれた部分)の拡大断面図であり、図3は弁が閉じた状態を示し、図4は弁が開いた状態を示す。
【0026】
オイルセパレータ10は、図示しない自動車のエンジンに設けられたブローバイガス還元装置において、ブローバイガス中のオイル(オイルミスト)を分離する手段として用いられる。オイルセパレータ10は、エンジン上部のヘッドカバーと一体又は別体に設けられている。
【0027】
図1及び図2を参照すると、オイルセパレータ10はハウジング12を備え、ハウジング12内には、右側(上流側)から左側(下流側)に向けて、順に、ブローバイガスが導入される導入口14、比較的粒径の大きいオイルを分離するためのプレセパレート部16、比較的粒径の小さいオイルを分離するための主セパレート部18、及びブローバイガスを外部に導く導出口20が形成されている。さらに、ハウジング12内には、プレセパレート部16及び主セパレート部18で捕集されたオイルを図示しないクランク室に還流させるオイル還流路22が形成されている。ハウジング12は、合成樹脂材料又は金属から形成され、概ね箱型の外形を有する。
【0028】
導入口14は、クランク室に連通しており、クランク室内のブローバイガスをプレセパレート部16に導入する。
【0029】
プレセパレート部16の流路は、その前後の区間に比べて流路断面積が狭窄化された狭窄部24と、狭窄部24の直近の下流側に形成された屈曲部26とを備える。プレセパレート部16の流路には、概ね左右に延在する流路において、流路下面から上方向かって突出した第1仕切り板28と、第1仕切り板28の左側に設置される、流路上面から下方向かって突出した第2仕切り板30とが設けられている。第1仕切り板28の上端は、第2仕切り板30の下端よりも高くなっている。第1仕切り板28と第2仕切り板30との距離は、その前後の流路の高さよりも小さい。すなわち、第1仕切り板28と第2仕切り板30との間の流路断面積は、その前後の流路断面積より小さくなっている。第1仕切り板28と第2仕切り板30とが対向している部分が狭窄部24であり、第1仕切り板28と略直交するように下流側に延びる部分が屈曲部26である。
【0030】
図2を参照すると、導入口14から導入されたブローバイガスは、一端上昇した後、プレセパレート部16において、左方に流れ、第1仕切り板28及び第2仕切り板30によって形成された狭窄部24で下方に向きを変え、その後屈曲部26で再び向きが左方に変わる。ここで、狭窄部24では、流路断面積が小さいため、ブローバイガスは加速され、その流速が上昇する。そして、下方に向う流速の上昇したブローバイバスが、屈曲部26における流路の下面に衝突するため、慣性作用によってオイルが流路の下面に捕集される。ここで、粒径が比較的大きなオイル粒子、具体的には概ね10μm以上のオイル粒子がブローバイガスから除去される。プレセパレート部16で捕集されたオイルは、ブローバイガスの流路の下方に配置されたオイル還流路22を通ってクランク室に還流される。ここで、オイルが捕集されるのは流路の下面であるため、捕集されたオイルは重力に従ってスムーズにオイル還流路22に移動できる。比較的大きなオイル粒子が除去されたブローバイガスは、主セパレート部18に導入される。
【0031】
主セパレート部18では、比較的小さなオイル粒子、具体的には概ね1μm以上の粒子がブローバイガスから除去される。図2に示されるように、主セパレート部18では、流路が分岐して、4つの並列な分岐流路が形成されており、そのそれぞれに、略同一の構成のオイル粒子除去機構32が設けられている。ブローバイガスは、オイル粒子除去機構32を概ね上方から下方に向かって流れる。分岐流路は、再び1つの流路に連通しているため、オイル粒子除去機構32を通過したブローバイガスは、合流して1つの流れになる。図3及び図4は、オイル粒子除去機構32の1つを拡大した断面図である。
【0032】
図3及び図4を参照して、オイル粒子除去機構32の構成について説明する。オイル粒子除去機構32は、上下方向に延在するシリンダ34と、シリンダ34内を上下に移動する弁体36と、弁体36を上下に移動可能に支持する支持体38と、弁体36を上方に付勢するばね手段40とを備える。
【0033】
シリンダ34は、合成樹脂又は金属から形成され、ハウジング12と一体に形成されてもよく、別体として形成された後、ハウジング12と一体化されてもよい。シリンダ34の内面には、下流側を向く円環状の環状肩面42が形成されている。シリンダ34の内部空間は、上端側では、下方に行くに従って径が小さくなる円錐台状を呈し、円錐台状の空間の下端から環状肩面42までは、径が略一定の円柱状を呈し、環状肩面42より下方においては、略円柱状ないし、下方に行くに従って径がわずかに大きくなる円錐台状を呈している。シリンダ34の周壁44は、隣接する他のシリンダ34の周壁44と一体化している。
【0034】
環状肩面42には、弁座として機能する突条46が環状肩面42と同軸の円環状に形成されている。突条46の内周面は、下方に向かうにつれて内径が増大するように形成されており、縦断面視でシリンダ34の中心軸側の斜め下方に向かって凸になっている。突条46の外周面は、略上下に延在する円筒面になっており、シリンダ34下部の内周面と所定の間隔をもって対向している。すなわち、突条46の外周面、環状肩面42の外側、及びシリンダ34下部の内周面が、円環状の溝48を確定している。
【0035】
弁体36は、シリンダ34の環状肩面42より下側に配置されており、合成樹脂又は金属から形成され、概ね円板状の円板部50と、円板部50からその中心軸に沿って下方に延出する軸部52とを備える。弁体36の上側端面、すなわち、円板部50の上面は、突条46の下端(先端)に全周にわたって当接可能であり、分岐流路を閉塞する。また、円板部50の上面は、わずかに傾斜した傘状を呈しており、付着したオイルが周縁に向かって流れて落下するようになっている。円板部50の外周面は、シリンダ34の環状肩面42より下方の内周面に所定の間隔Aをおいて対向している第1側面54と、第1側面54から下方に延在して下方に向かうにつれ上下方向軸側に向かいシリンダ34の内周面から離間するように形成された第2側面56とから形成される。軸部52は、円柱状を呈する。円板部50及び軸部52の中心軸、すなわち、弁体36の上下方向中心軸は、シリンダ34の中心軸に略一致する。
【0036】
支持体38は合成樹脂又は金属から形成され、ハウジング12と一体に形成されてもよく、別体として形成された後、ハウジング12と一体化してもよい。支持体38は、円柱状を呈し、上面には、弁体36の軸部52を受容する受容孔58と、ばね手段40の下端側を受容するばね受容孔60とが形成されている。受容孔58とばね受容孔60とは連続しており、両者は同軸で、ばね受容孔60の方が浅く、径が大きい。受容孔58は、水平方向に余裕をもって弁体36の軸部52を受容する。受容孔58の水平方向に余裕があるため、弁体36の軸部52に対する摩擦を低減できる。また、弁の開放時には、弁体36の円板部50の第1側面54及び第2側面56とシリンダ34の内周面との間をブローバイガスが高速で流れるため、弁体36は、その軸部52と受容孔58との間に隙間があっても、第1側面54及び第2側面56とシリンダ34の内周面との間隔が全周にわたって略均一なった状態で安定する。また、支持体38の上面には、受容孔58と同一の深さの横溝62が受容孔58から支持体38の側面にかけて設けられている。横溝62を通して、受容孔58及びばね受容孔60に進入したオイルが排出される。
【0037】
ばね手段40は、圧縮コイルばねからなる。ばね手段40は、その内部に弁体36の軸部52を受容するように配置され、下端側が支持体38のばね受容孔60に受容されており、上端側が弁体36の円板部50の下面に圧接している。そのため、ばね手段40は、弁体36を上方に向けて付勢している。
【0038】
次に、オイル粒子除去機構32の作用について説明する。クランク室側の圧力と吸気系側の圧力との差が小さい場合、ばね手段40の付勢力が勝り、図3に示すように、弁体36の上側端面が、弁座である環状肩面42の突条46の先端(下端)に当接し、分岐流路を閉塞する。圧力差が大きくなると、その差圧がばね手段40の付勢力に勝り、図4に示すように、弁体36が下方に移動して、弁体36の上側端面が突条46の先端から離間し、分岐流路を開放する。弁体36の上側端面と突条46の先端との離間距離Bは、クランク室側と吸気系側との差圧の大きさによって変動するが、円板部50の外周面とシリンダ34の内周面との間隔Aよりも常に小さくなるように、ばね手段40のばね定数が定められている。離間距離Bが小さいため、ブローバイガスは、その流量が少ない場合であっても、十分速度が上昇する。また、離間距離Bは、プレセパレート部16の第1仕切り板28と第2仕切り板30との距離よりはるかに小さいため、ブローバイガスは、弁体36の上側端面と突条46の先端との間を通過する際に大きく加速されて、その流速はプレセパレート部16の狭窄部24での流速よりも大きくなる。ここで、シリンダ34の上端側の空間が下方の径が小さい円錐台形状になっていることや、突条46の内周面が縦断面視でシリンダ34の中心軸側の斜め下方に凸な形状であるため、突条46と弁体36との間隙に至るまでのブローバイガスの圧力損失は小さい。また、弁体36の上側端面と突条46の先端との間を通過したブローバイガスは、溝48が設けられているため、溝48がない場合に比べて、摩擦による圧力損失が抑えられ、速度低下が抑制される。
【0039】
弁体36の上側端面と突条46の先端との間を通過した高速のブローバイガスは、環状肩面42の下方近傍のシリンダ34内周面に衝突する。ここで衝突するブローバイガスは、プレセパレート部16のブローバイガスよりもはるかに高速であるため、概ね1μmまでの比較的小径のオイル粒子が、慣性作用によって、シリンダ34内周面に捕集される。概ね10μm以上の比較的粒径の大きいオイルは、プレセパレート部16で捕集されているため、ここで捕集されるオイルは比較的粒系の小さいもののみとなり、円板部50の外周面とシリンダ34の内周面との間隔Aや、弁体36の上側端面と突条46の先端との離間距離Bが狭くとも、オイル詰まりを回避又は低減できる。また、円板部50の外周面とシリンダ34の内周面との間隔Aが、弁体36の上側端面と突条46の先端との離間距離Bよりも大きいため、間隔Aでの加速は離間距離Bでの加速よりも小さくなり、ブローバイガス中のオイル粒子は慣性に従って内周面に衝突する。
【0040】
衝突後、ブローバイガスは下方に向かうが、弁体36の円板部50の第2側面56と、シリンダ34の内周面との距離は、下方に向かうに従って広がるため、圧力損失が低減される。シリンダ34を通過したブローバイガスは、左方の導出口20(図2参照)に向かう。シリンダ34の内周面に捕集されたオイルは、下方に落下する。
【0041】
再び図1及び図2を参照する。導出口20は、図示しない吸気マニホールドに連通している。主セパレート部18を通過したブローバイガスは、導出口20を介して、エンジンの吸気系に供給される。
【0042】
オイル還流路22は、プレセパレート部16及びオイル粒子除去機構32の各々の下方に開口して配置されており、それらが合流してクランク室に連通している。プレセパレート部16及び主セパレート部18で捕集されたオイルは、重力により落下し、オイル還流路22に導かれ、クランク室に還流される。
【0043】
以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。例えば、環状肩面の形状は、円環状に代えて多角形の環状としても良く、この場合、弁体の円板部の形状及びシリンダ下部の形状も同様の多角形にされる。また、弁体36の上側端面と突条46の先端との離間距離Bを、円板部50の外周面とシリンダ34の内周面との間隔Aよりも常に小さくするために、ばね手段40のばね定数の設定に代えて、あるいはばね定数の設定とともに、弁体36の下方への移動を規制するストッパを設けても良い。また、溝48の形状を、丸みをつけたり、段差を設けたりして変更し、乱流の発生を抑制しても良い。また、弁体36と支持体38との支持構造は、弁体36側に受容孔を設け、支持体38側に受容孔に受容される軸を設けてもよく、また、弁体36の側面とこれに対向するシリンダ34の内周面との一方に上下に延在する突条を設け、他方にその突条を受容するガイド溝を設けてよい。また、各部材は、捕集されたオイルを重力によってオイル還流路22に導ける範囲で、その向きを変えてよい。例えば、小径オイル粒子除去機構の軸が傾斜していてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10…オイルセパレータ、12…ハウジング、14…導入口、16…プレセパレート部、18…主セパレート部、20…導出口、22…オイル還流路、24…狭窄部、26…屈曲部、28…第1仕切り板、30…第2仕切り板、32…オイル粒子除去機構、34…シリンダ、36…弁体、38…支持体、40…ばね手段、42…環状肩面、44…周壁、46…突条、48…溝、50…円板部、52…軸部、54…第1側面、56…第2側面、58…受容孔、60…ばね受容孔、62…横溝、A…円板部50の第1側面54とシリンダ34の内周面との間隔、B…弁体36の上側端面と突条46の先端との離間距離
図1
図2
図3
図4