特許第6092747号(P6092747)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6092747-作業用具補助ベルトの使用方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092747
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】作業用具補助ベルトの使用方法
(51)【国際特許分類】
   A45C 13/30 20060101AFI20170227BHJP
   A45F 3/12 20060101ALI20170227BHJP
   A01B 1/02 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   A45C13/30 B
   A45F3/12 400
   A01B1/02
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-208845(P2013-208845)
(22)【出願日】2013年10月4日
(65)【公開番号】特開2015-70988(P2015-70988A)
(43)【公開日】2015年4月16日
【審査請求日】2015年4月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】301079534
【氏名又は名称】河本 桂子
(72)【発明者】
【氏名】河本 桂子
【審査官】 遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−217630(JP,A)
【文献】 特開2004−049621(JP,A)
【文献】 特開平04−075523(JP,A)
【文献】 米国特許第06193012(US,B1)
【文献】 特開平05−123030(JP,A)
【文献】 特開昭52−122530(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0179361(US,A1)
【文献】 特開2009−011329(JP,A)
【文献】 実開平06−031526(JP,U)
【文献】 特開2005−146824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 13/30
A45F 3/12
A01B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携行物や重量物を吊り下げるショルダーベルトであって、肩から前後に振り分けられる肩パッドは、接触面が大きくなるように扁平で前後に長く形成されており、該肩パッドの長手方向の中空部に、緩やかに貫入された摺動ベルトの両端を折り返し、長さ調節留め具を介して円環を形成するとともに、該円環で作業用具の柄や把手の前後を握持し、肩を支点として摺動ベルトが肩パッドに対して摺動することで、力点と作用点の位置を任意に変えることを特徴とする作業用具補助ベルトの使用方法。
【請求項2】
前記作業用具補助ベルトにおいて、1対の腕輪ベルトに固着した連結ベルトの両端の互いに接触する面に具備された面ファスナーで、前記円環と作業用具の柄や把手の前後とに握持するように連結したことを特徴とする、請求項1記載の作業用具補助ベルトの使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、作業用具の使用時に掛かる負荷を軽減し分担する作業用具補助ベルトの使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から肩にかけて携行するバッグ類や重い電動工具類、例えば、刈払機や噴霧器には肩パッドやショルダーベルトが広く用いられている(特許文献1参照。)。
これらは両手の自由を確保する目的や、手に持つ負担や首筋に掛かる圧迫を軽減するために考案され、肩から吊り下げるためのものであるが個別の携行物に付属したものが多く、その他は特定の作業用具に使用されるなど限定的なものであった。
【0003】
また、立ち姿勢で幼児を抱きかかえる際も前方下向きに荷重が掛かるため、それを支えるには腕力も必要とし、且つ腰が支点となるので負担が掛かる。それらを解消するために各種の抱っこ紐などが考案されている。
【0004】
更には、農作業や雪投げや工事現場等、作業用具を使っての力仕事は非力な女性や高齢者はもちろんのこと、慣れている者にとっても負担が大きく辛いものである。
特に柄や把手を持つ作業は、例えばスコップを使用して掬い上げてから投げ捨てたり、ツルハシのように持ち上げて振り下ろすといった全身動作は腕力と背筋力を必要とし、主に腰、膝、腕に負担が掛かる重労働であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−49621公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の発明は、肩からたすきに下げたショルダーベルトが横に移動して首筋に食い込むのを防止する目的で、肩パッドを肩峰に固定するために成された発明であるが、ショルダーベルトを環状にして下端の吊り下げフックで重い電動工具を一点吊るすためのものである。また、抱っこ紐は幼児を抱えるのに楽なように肩から吊り下げた紐(ベルト)の上に幼児を乗せたり、身体全体を包み込むものが多かった。
従来の肩パッドやショルダーベルトは、携行物を肩から振り分けて吊り下げることで荷重負荷を軽減させたり、両手を解放させたりする目的であるが、それらは個別の携行物とセットの付属品が多く、スコップ、雪投げ用具、ツルハシ等に使われているのは見かけていない。また、肩パッドはベルト通しで位置を調整できるもの
も多いが、使用者の体格に合わせて一度調整した後はほぼ固定化して使用されていた。
【0007】
上述したように、農作業や雪投げや工事現場等での柄や把手を持つ作業で、例えばスコップ、ツルハシでの作業は中腰の姿勢で腕力と背筋力を必要とし、主に腰、膝、腕に負担が掛かる重労働であり身体的負荷を軽減し分担する、老若男女を問わず使用できる補助具が望まれていた。
【0008】
また、立ち姿勢で幼児を抱きかかえるのに便利な、抱っこ紐などが多数考案されているが、形状が固定された状態で使用するために幼児の姿勢も窮屈なものであり、更に抱く当人と幼児の身体の一定部分に負荷が掛かるという欠点があった。
これらの問題を解決することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために本願発明は、肩から前後に振り分けられる肩パッド1は扁平で前後方向に長く、身体との接触面を大きくとってすべり止めとなるように、また肩への圧迫が最小限となるようクッション性を持たせて形成されている。肩パッド1の長手方向の中空部に、緩やかに貫入された摺動ベルト2の両端を折り返し、長さ調整留め具3、3を介して円環4、4を形成するとともに、この円環4、4で作業用具の柄や把手の前後を握持したことを特徴とする、作業用具補助ベルトの使用方法を提供する。
【0010】
また、作業用具補助ベルトにおいて、1対の腕輪ベルト5、5に固着した連結ベルト6、6の両端の互いに接触する面に具備された面ファスナー7、7で、円環4、4と作業用具の柄や把手の前後とを握持するように連結したことを特徴とする、作業用具補助ベルトの使用方法を提供する。
【発明の効果】
【0011】
1.振り子と梃子の原理を応用して、力仕事や重労働の身体への負荷を軽減し分担 する。
2.単純な構造なので廉価にできる。
3.老若男女を問わずに使用できる。
4.介護士不足の高齢化社会において、老人介護や福祉関係にも応用できる。
5.特に、腕、膝、腰への負担を軽減するので、筋肉痛や腰痛防止効果が大きい。
6.肩に振り分けられた幅広の肩パッド1は、前は胸下から後は肩甲骨の下までカ バーするので摩擦抵抗が大きく、クッション性も持たせているため肩への圧迫 感も少ない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の作業用具装着時の説明図
図2】実施例2説明図
図3】実施例2の作業用具装着時の説明図
【発明を実施するための形態】
【0013】
前述のように従来のショルダーベルトは携行物の付属品としてのものや、対象物を直に吊り下げて堅固な肩で荷重を受けるものであった。
対して本願発明は、肩を支点とした振り子と梃子の原理を応用したものである。、
【実施例1】
【0014】
図1を用いて本発明の実施例1を説明する。肩パッド1は扁平でやや幅広であって、身体との摩擦抵抗が大きくなるように通常の肩パッドよりも長めに形成されている。(肩パッドの前後の長さは、概ね胸下から肩甲骨下あたりまで。) つぎに肩パッド1は、幅が摺動ベルト2より大きめで長手方向に形設された中空部を備える。この中空部に緩やかに貫入された該摺動ベルト2は、その両端を折り返して、長さ調整留め具3、3で使用者の体格に合わせた円環4、4を形成する。この円環4、4で作業用具の柄や把手の適宜間隔をおいた前後を握持する。この肩から振り分けられて握持された部分を両手で持って作業することで、肩を支点として摺動ベルトが肩パッドに対して摺動することで、力点と作用点の位置を任意に変えるものである。
【実施例2】
【0015】
次に、実施例2を図面2を参照して説明する。
前記実施例1に加えて、一対の腕輪ベルト5、5に固着された連結ベルト6、6を設ける。連結ベルト6、6の両端の表裏に一対の面ファスナー7、7を具備して表裏を合わせて円環を形成する。連結ベルト6,6は摺動ベルト端部の円環4、4を通して連結され、同時に、連結ベルト6,6は作業用具の柄や把手の前後を把持するように面ファスナー7,7,の表裏を合わせて固定される。この連結された腕輪ベルト5、5に両手を入れて作業用具の柄や把手の前後を持って作業をする。作業時には連結ベルト6,6の上を把持するのが好ましい。
【0016】
このように、肩パッド1の中央部を肩にあてがい前後に振り分けられた摺動ベルトに連結された作業用具持って作業をするのであるが、使用者の動きに応じて、肩パッド1に緩やかに貫入された摺動ベルト2が前後に摺動するので、肩を支点にして力点と作用点の位置が常にバランスよく配分されることになる。
なお、腕輪ベルト5、5は作業用具の柄や把手の前後を握持した連結ベルト6、6が、柄や把手の中心部に向かってずれないようにする効果をもたらす。
【0017】
例えばスコップを使っての作業では、前方に差し込む動作では、肩を支点にして振り子の原理で勢いよく対象物に向かうので力が増幅され、次の掬い上げる動作では梃子の原理を応用して、力点となる把手の方の距離を長くとって押し下げることで、作用点では、方向付けが必要とされるだけで、持ち上げる力は小さくてよい。
【0018】
また、幼児を抱きかかえる際に同じ姿勢では幼児や自分の身体の一定部分に負担が掛かるが、本願発明では摺動ベルト2を移動させることで重心の移動や幼児を抱えた姿勢を変えることができ、自分の身体への負荷位置も変えることができる。
【0019】
本願発明の実施においては、布製、皮革、樹脂素材等が適合するが、肩パッド1の、身体に接する面には摩擦抵抗が大きくなるような滑り止め加工を施すとともに圧迫
防止にクッション性を加え、摺動ベルト2が接する面には摺動性に優れた素材を使うこ
とが望ましい。また、円環4、4と作業用具の柄や把手を連結する際に使用する連結ベルト6、6に具設された面ファスナー7、7に替わるものとして、鉤ホックやストロングホック等の着脱簡便な係止具を使用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
このところ異常気象の影響によるものか夏は全国的に猛暑や豪雨が続き、災害復興に向けてもスコップ等が活躍しているのは周知の事実であり、逆に冬には豪雪地域が増加し、少子高齢化の社会において雪投げ作業は腕力や背筋力を必要とする力仕事で身体への負担も大きい。また、農作業や除雪や工事現場においても同様で、それらに従事する者の負担を軽減し分担する補助具が望まれている。本願発明は単純な構造でありながら、振り子と梃子の原理を応用したもので老若男女を問わずに使用でき、更には廉価に製造できるので高齢化社会に向けても産業上有益な発明である。
【符号の説明】
【0021】
1肩パッド
2摺動ベルト
3長さ調節留め具
4円環
5腕輪ベルト
6連結ベルト
7面ファスナー
図1
図2
図3