特許第6092770号(P6092770)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6092770インプラントの清浄化またはインプラント表面のデブリードマンのために使用される清浄化デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092770
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】インプラントの清浄化またはインプラント表面のデブリードマンのために使用される清浄化デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61C 8/00 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
   A61C8/00 Z
【請求項の数】15
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-513140(P2013-513140)
(86)(22)【出願日】2011年6月1日
(65)【公表番号】特表2013-530746(P2013-530746A)
(43)【公表日】2013年8月1日
(86)【国際出願番号】SE2011050684
(87)【国際公開番号】WO2011152789
(87)【国際公開日】20111208
【審査請求日】2014年6月2日
(31)【優先権主張番号】61/344,172
(32)【優先日】2010年6月3日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】1050570-9
(32)【優先日】2010年6月3日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】512308258
【氏名又は名称】ティグラン テクノロジーズ アクティエボラーグ(プブル)
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100130133
【弁理士】
【氏名又は名称】曽根 太樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180194
【弁理士】
【氏名又は名称】利根 勇基
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト アクセルソン
(72)【発明者】
【氏名】ラース−マグヌス ビユルステン
(72)【発明者】
【氏名】ニクラス ヨハンソン
(72)【発明者】
【氏名】エリク レンニングス
(72)【発明者】
【氏名】ヤナルネ ウェッテルハイム
(72)【発明者】
【氏名】クリステル ニルソン
(72)【発明者】
【氏名】オベ スンデリン
(72)【発明者】
【氏名】リカルド オルソン
【審査官】 川島 徹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−340749(JP,A)
【文献】 米国特許第02637061(US,A)
【文献】 実開平03−123588(JP,U)
【文献】 欧州特許出願公開第1679017(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 8/00
A61C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み合わされた2つの主要部分(2、3)を備える清浄化デバイス(1)であって、歯科医療における表面および孔の清浄化もしくはデブリードマン、並びに、インプラント表面の清浄化またはデブリードマンに対する清浄化デバイス(1)において、
第1主要部分(2)は、弾性的に変形可能である取手シャフト(2)であり、
第2主要部分(3)は、基礎部分(5)と、該基礎部分(5)と連結しているスパイク(9)から成るカム(8)、数本の剛毛(6)、または、剛毛ループ(7)とを備える少なくとも一つの清浄化要素(4)であって、スパイク(9)から成るカム(8)、 剛毛(6)または剛毛ループ(7)は、金属、金属合金、または、堅固なポリマ材料から構成され、基礎部分(5)と、数本の剛毛(6)、剛毛ループ(7)、または、スパイク(9)から成るカム(8)とを備える当該清浄化要素(4)は、一体片で作成され、且つ、前記取手シャフト(2)の回りに巻回されて該取手シャフトに対して一体的に結合される細長片(10)の形態であるという、少なくとも一つの清浄化要素(4)であり、
前記基礎部分(5)は、取手を備えた清浄化デバイス(1)を形成すべく前記取手シャフト(2)に対して一体的に結合され、
当該清浄化デバイス(1)は、回転デバイスに接続されうるように構成される、
清浄化デバイス(1)。
【請求項2】
前記取手シャフト(2)はニチノールで作成される、請求項1に記載の清浄化デバイス(1)。
【請求項3】
前記基礎部分(5)は金属、金属合金、または、ポリマ材料で作成される、請求項1または請求項2に記載の清浄化デバイス(1)。
【請求項4】
前記基礎部分(5)は、チタンもしくはその合金、タンタルもしくはその合金、ニオブもしくはその合金、または、ジルコニウムもしくはその合金で作成される、請求項3に記載の清浄化デバイス(1)。
【請求項5】
前記剛毛(6)、剛毛ループ(7)、または、スパイク(9)から成るカム(8)は、チタンもしくはその合金、タンタルもしくはその合金、ニオブもしくはその合金、または、ジルコニウムもしくはその合金で作成される、請求項1から4のいずれか一つの請求項に記載の清浄化デバイス(1)。
【請求項6】
当該清浄化デバイス(1)は数個の清浄化要素(4)を備える、請求項1から5のいずれか一つの請求項に記載の清浄化デバイス(1)。
【請求項7】
前記清浄化要素(4)は、各スパイク(9)が前記基礎部分(5)から延在するというスパイク(9)から成るカム(8)を備える、請求項1から6のいずれか一つの請求項に記載の清浄化デバイス(1)。
【請求項8】
前記各スパイク(9)の長さは異なる、請求項7に記載の清浄化デバイス(1)。
【請求項9】
前記各スパイク(9)の長さは、前記基礎部分(5)の一端から該基礎部分(5)の他端に向かい減少する、請求項7または8に記載の清浄化デバイス(1)。
【請求項10】
前記各スパイク(9)の長さは、前記基礎部分(5)の一端から、該基礎部分(5)に沿う一つの箇所まで増大し、その後は減少する、請求項7または8に記載の清浄化デバイス(1)。
【請求項11】
前記取手シャフト(2)の長手軸心(12)と本質的に同一方向に延在すべく、少なくとも一つの端部スパイク(11)が配備される、請求項1から10のいずれか一つの請求項に記載の清浄化デバイス(1)。
【請求項12】
前記清浄化要素(4)上には剛毛(6)または剛毛ループ(7)が配備される、請求項1から11のいずれか一つの請求項に記載の清浄化デバイス(1)。
【請求項13】
前記清浄化要素(4)が前記取手シャフト(2)に対して一体的に結合されるべく該取手シャフト(2)の回りに巻回されるとき、前記剛毛(6)または剛毛ループ(7)は展開されて前記清浄化要素(4)から延在する、請求項12に記載の清浄化デバイス(1)。
【請求項14】
前記清浄化要素(4)を形成する前記細長片(10)は、一端上に延長部分を有する、請求項1から13のいずれか一つの請求項に記載の清浄化デバイス(1)。
【請求項15】
前記取手シャフト(2)は中空である、請求項1から14のいずれか一つの請求項に記載の清浄化デバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、清浄化デバイス、特に、例えばインプラントの清浄化のため、または、インプラント表面のデブリードマン(debridement)のためなどの医療用途が意図された清浄化デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、ブラシの如き種々の形態の清浄化デバイスが知られている。斯かる種類の一つは、所謂るワイヤ撚り合わせブラシ(twisted-in-wire brush)として構成されたブラシである。例えば、WO2009/083281A1においては、相互に撚り合わされた少なくとも2本のワイヤで形成された長寸の基礎部材を備える医療用清浄化用具が記述され、すなわち、該用具はワイヤ撚り合わせ構成を有している。更に、該清浄化用具は、撚り合わされたワイヤ間に固定された複数本のチタンもしくはチタン合金製の剛毛(bristle)であって、撚り合わされたワイヤから離間すべく延在するという剛毛を備える。
【0003】
WO2009/083281A1に記述されたブラシには、幾つかの欠点がある。第1の欠点は、製造プロセスに関連する。ワイヤ撚り合わせブラシを作製するときに、各剛毛は順次的に、すなわち、剛毛が立て続けに装着されねばならない。この欠点は実際、公知の他の種類のブラシにおいても当てはまる。更に、特定のワイヤ撚り合わせ構成に鑑みると、その軸部は各剛毛を拘束すべく厳しい機械的要件を満足する必要があり、この故に、上記軸部は非常に硬直したものとなる。
【0004】
更に、US2,637,061Aにおいては、長寸取手と、折畳み部分および末尾部分を有する可撓薄寸材料の細長片とを備えるブラシ構成が開示され、上記折畳み部分は折畳み箇所の全体にわたりスリット形成されることで、その幅の一部分にわたるループ状剛毛を提供すると共に切込みの無い部分を提供し、上記折畳み部分は、その切込みの無い部分により上記取手の端部上に巻回され、且つ、上記末尾部分は上記取手の丈に沿い、重なり合う回旋を以て巻回される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の一つの目的は、製造が容易であることから安価であるという清浄化デバイスを提供するに在る。本発明の別の目的は、使用者に対する大きな融通性を有する清浄化デバイスの着想、すなわち使用者の要求内容に依存して異なる特性を備える清浄化デバイスの作製に使用され得るという清浄化デバイスの着想を提供するに在る。習用のワイヤ撚り合わせ構成によっては得られないという斯かる特性の一つは、当該可撓シャフトが屈曲の後で一旦解放されたならば直線状の形態に復帰するという可撓シャフトである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記目的は、組み合わされた2つの主要部分を備える清浄化デバイスであって、
上記第1主要部分は、堅固、または、可塑的に変形可能、または、弾性的に変形可能である取手シャフトであり、
上記第2主要部分は、基礎部分と、数本の剛毛、剛毛ループ、または、スパイクから成るカムとを備える少なくとも一つの清浄化要素であり、
上記基礎部分は、取手を備えた清浄化デバイスを形成すべく上記取手シャフトに対して一体的に結合される、清浄化デバイスにより解決される。
【0007】
US2,637,061Aに開示された清浄化デバイスは、数本の剛毛、剛毛ループ、または、スパイクから成るカムを備えるものでないことを銘記すべきである。US2,637,061Aにおいては“ループ剛毛”という表現が使用されているが、該US2,637,061Aの各図からは、それは、取手の回りに巻回される溝付きの細長片であることが明らかである。更に、US2,637,061Aにおいてブラシに対して使用される材料、および、US2,637,061Aに係るブラシの意図された用法のいずれも、本発明に係る清浄化デバイスの材料および意図された用法と非常に異なる。
【0008】
上記において銘記され得る如く、本発明に係る清浄化デバイスは、2つの主要部分を備える。この事実、および、これらの2つの主要部分が一体的に結合される様式もまた、多くの利点を提供する。第1に、本発明に依れば、堅固、または、可塑的に変形可能、または、弾性的に変形可能である取手を有する清浄化デバイスを作製することが可能である。このことは、例えば、撚り合わされた構成を備えるワイヤ撚り合わせブラシに対しては可能でない。ワイヤ撚り合わせブラシは、堅固、または、可塑的に変形可能となるようにのみ、作製され得る。更に、ワイヤ撚り合わせブラシが屈曲されたとき、それは対称的な回転軸心を達成しないこともある。すなわち、それは屈曲された後で、対称的に回転されないこともある。しかし、本発明に係る清浄化デバイスに依れば、上記取手の材料は、該取手の所望の特性を達成すべく自由に選択され得、すなわちその構成は決して制限されない。第2に、本発明に係る清浄化デバイスを作製するとき、剛毛を1本ずつ配備する如き制限的な要因は必要とされない。代わりに、上記第2主要部分のみが上記取手に対して一体的に結合されるべきであり、これにより上記清浄化デバイスが作製される。一例として、本発明に依れば、弾性的に変形可能であると共に、屈曲されながら対称的な回転軸心も有するという清浄化デバイスを作製することが可能である。
【0009】
更に、本発明の一つの特定実施形態に依れば、上記基礎部分は、回動的な取手を備えた清浄化デバイスを形成すべく、上記取手シャフトの回りにて該取手シャフトに対して一体的に結合される。本発明の更に別の実施形態に依れば、上記第2主要部分は、各々が1個の基礎部分と数個のスパイクとを備える別体的な(少なくとも)2つの清浄化要素であり、且つ、各基礎部分は、上記取手シャフトにおける連続溝内に挿入されることにより該取手シャフトに対して一体的に結合される。これらの実施形態は、以下に更に記述される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第2主要部分、すなわち本発明に係る清浄化デバイスの清浄化要素を示す図であり、この場合に清浄化要素は基礎部分と、スパイクから成るカムとを備える。
図2図1におけるのと同一の清浄化要素を示す図であるが、この場合、2つの端部スパイクを除き、スパイクから成るカムは取手シャフトの回りに巻回されて本発明に係る清浄化デバイスを形成する前に屈曲されている。
図3】取手シャフトの回りに巻回されて本発明に係る清浄化デバイスを形成する図1および図2に係る清浄化要素の巻回操作を示す図であり、図4において巻回操作は完了されて本発明に係る清浄化デバイスが作製されている。
図4】取手シャフトの回りに巻回されて本発明に係る清浄化デバイスを形成する図1および図2に係る清浄化要素の巻回操作を示す図であり、巻回操作は完了されて本発明に係る清浄化デバイスが作製されている図である。
図5図4におけるのと同一の清浄化デバイスを示す図であるが、この場合に清浄化デバイスは、使用の前にまたは使用の間などにおいて屈曲されている。
図6】本発明に係る別の清浄化要素を示す図であり、この場合に清浄化要素は、基礎部分、および、数本の剛毛、ならびに、1本の所定形態の端部スパイクを備える。
図7】取手シャフトの回りに巻回されて本発明に係る清浄化デバイスを形成する図6に係る清浄化要素の巻回操作を示す図である。
図8】本発明の別の特定実施形態を示す図であり、この場合に清浄化デバイスは、取手シャフトと、この場合には該取手シャフトの回りにおいて該取手シャフトに対して一体的に結合された“手裏剣”の形状である数個の清浄化要素とを備え、図8においては一つの“手裏剣”がすでに取手シャフトに対して一体的に結合されており、且つ、同様に描かれた別の手裏剣が取手シャフトに対して一体的に結合されようとしている。
図9a】本発明に係る別の特定実施形態を示す図であり、その場合、第2主要部分は、各々が基礎部分と数個のスパイクとを備える2つの別体的な清浄化要素であり、且つ、2つの基礎部分は、取手シャフトの連続溝内に挿入されることにより該取手シャフトに対して一体的に結合されている。
図9b】本発明に係る別の特定実施形態を示す図であり、その場合、第2主要部分は、各々が基礎部分と数個のスパイクとを備える2つの別体的な清浄化要素であり、且つ、2つの基礎部分は、取手シャフトの連続溝内に挿入されることにより該取手シャフトに対して一体的に結合されている。
図9c】本発明に係る別の特定実施形態を示す図であり、その場合、第2主要部分は、各々が基礎部分と数個のスパイクとを備える2つの別体的な清浄化要素であり、且つ、2つの基礎部分は、取手シャフトの連続溝内に挿入されることにより該取手シャフトに対して一体的に結合されている。
図9d】本発明に係る別の特定実施形態を示す図であり、その場合、第2主要部分は、各々が基礎部分と数個のスパイクとを備える2つの別体的な清浄化要素であり、且つ、2つの基礎部分は、取手シャフトの連続溝内に挿入されることにより該取手シャフトに対して一体的に結合されている。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る清浄化デバイスによる一つの利点は、異なる種類の取手シャフトを使用する可能性である。本発明の一つの特定実施形態に依れば、取手シャフトは堅固である。斯かる取手シャフトに対して可能な材料は、例えば、木材、金属、または、堅固なポリマである。本明細書において“堅固”とは、“変形可能でない”ことを意味する。本発明の別の特定実施形態に依れば、上記取手シャフトは可塑的に変形可能である。この実施形態に依れば、上記取手シャフトは、その元の形状へと戻り撓曲せずに、新たな形状へと屈曲され得る。本発明の更に別の特定実施形態に依れば、上記取手シャフトは弾性的に変形可能であり、すなわち、上記取手シャフトは屈曲され得るが、後時にその元の形状へと戻り撓曲する。本発明に依ればこのことは、例えば、接触することが困難なインプラント表面を清浄化するために使用されたときなどの幾つかの特定用途に対する利点である。取手シャフトが弾性的に変形可能であるべきときに使用されるに適した一つの材料は、ニッケル/チタン合金であるニチノールである。
【0012】
同様に、上記清浄化デバイスの第2主要部分は種々の材料から成り得る。本発明の一つの特定実施形態に依れば、上記基礎部分は、金属、金属合金、または、ポリマ材料で作成される。別実施形態に依れば、上記基礎部分は、チタンもしくはその合金、タンタルもしくはその合金、ニオブもしくはその合金、または、ジルコニウムもしくはその合金で作成される。これらの材料は、インプラント表面を清浄化もしくは清拭することが意図された清浄化デバイスに対して特に適している。多くのインプラント、特に歯科的なインプラントがこれらの材料を備えることから、本発明に係る例えば剛毛またはスパイクから成るカムを備える第2主要部分を有する清浄化デバイスもまた、これらの材料で作成されることが好適であり得る。本発明に係る斯かる清浄化デバイスがインプラント表面の清浄化もしくはデブリードマンのために使用されるとき、そのインプラントと同一の材料から成る清浄化デバイスにより該インプラントが汚染される虞れは最小限である。
【0013】
本発明の一つの特定実施形態に依れば、剛毛、剛毛ループ、または、スパイクから成るカムは、金属、金属合金、または、ポリマ材料から作成される。上記から理解され得る如く、一実施形態に依れば、剛毛、剛毛ループ、または、スパイクから成るカムは、チタンもしくはその合金、タンタルもしくはその合金、ニオブもしくはその合金、または、ジルコニウムもしくはその合金で作成される。上記から明らかである如く、上記第2主要部分の全体が、例えばチタンもしくはチタン合金の如き一つの同一の材料で作成され得る。故に、本発明の一実施形態に依れば、当該清浄化要素の基礎部分と、数本の剛毛、剛毛ループ、または、スパイクから成るカムとを備える清浄化要素は、一体片で作成される。
【0014】
本発明に依れば、上記剛毛、剛毛ループ、または、スパイクから成るカムは、任意の形状を有し得ることを理解することは重要である。例えば、“剛毛”という表現は、先端、スパイク、尖端などの任意の形状を意味すると解釈されるべきである。本発明に関連する剛毛、剛毛ループ、または、スパイクから成るカムに対する共通の特徴は、それらが、清浄化要素が取手シャフトに対して一体的に結合されたときに、清浄化デバイスの該取手シャフトから外方に突出することである。故に、“剛毛”という表現は、標準的なブラシ上における典型的な形状の剛毛のみを意味すると混同されるべきでない。更に、上述された如く、公知のブラシの剛毛は1本ずつ装着されてきたが、本発明に係る剛毛、スパイク、先端などに関してはそうでない。更に、“剛毛ループ”という表現は、第2主要部分もしくは少なくとも一つの清浄化要素から延在する単一剛毛であって、これらの剛毛が一体的に結合されて上記清浄化要素から延在するループを形成するという単一剛毛を指している。換言すると、各剛毛ループは清浄化デバイスに対し、単一剛毛の場合の如く一箇所のみにおいてではなく、2つの箇所にて一体的に結合される。更に、以下に開示される如く、本発明に係る剛毛もしくは剛毛ループは、切断要素であるとも見做され得る、と言うのも、それらは、清浄化デバイスの一方の回転方向においては撓曲可能もしくは弾性的であるが、他方の回転方向においては堅固で切断的である様に配備され得るからである。
【0015】
更に、本発明に係る清浄化デバイスが数個の清浄化要素も備え得ることを理解することは重要である。斯かる一つの例は、例えば、取手シャフトに沿う異なる位置において該取手シャフトの回りに固定された突出頂部を備えるリングの形態(“手裏剣”、図8を参照)などの、数個の清浄化要素を有する清浄化デバイスである。別の例は、例えば、当該各清浄化要素が取手シャフトの回りに螺旋巻回されたときに取手シャフトの回りに二重螺旋を形成する2つの清浄化要素を有する、本発明に係る清浄化デバイスである。但し、本発明に係る全ての可能的実施形態において、基礎部分と、数本の剛毛、剛毛ループ、または、スパイクから成るカムとを備える少なくとも一つの清浄化要素は、清浄化デバイスを形成するために、上記基礎部分を介して取手シャフトに対して一体的に結合される。
【0016】
上記から明らかである如く、上記清浄化要素は、種々の形状であり得る。本発明の一つの特定実施形態に依れば、上記清浄化要素は細長片の形態であり、これは、取手シャフトに対して一体的に結合されるべく該取手シャフトの回りに巻回される。上記細長片を上記取手シャフトと一体的にする段階は、種々の様式で実施され得る。一つの例は、種々の接着剤の如き一定形態の粘着物質を使用する粘着によるものである。別の例は、溶着または融着によるものである。更に、上記取手シャフトは、当該スリット、溝、刻み目または凹所を使用して該取手シャフトに対して細長片が締着または挟持され得る様に、スリット、溝、刻み目または凹所を備え得る。もし上記清浄化要素が、例えば“手裏剣”リングの形態であるなら、取手シャフトもまた、一方向においてのみ適応性のある例えばスリット、溝、刻み目、凹所または突出部分を備え得ることから、各リングは取手シャフトに沿い固定され得る。
【0017】
本発明の一つの特定実施形態に依れば、上記清浄化要素が細長片の形態であるとき、該清浄化要素は、各スパイクが基礎部分から延在するというスパイクから成るカムを備える。これは、各図に示される。一つの特定実施形態に依れば、各スパイクの長さは異なる。これにより、凹状の形状、凸状の形状、または、全体的に不規則的な形状の如く、シャフトに沿い清浄化デバイスの種々の直径を付与する全ての種類のカムの種々の構成のスパイクが具現され、全体的に不規則的な形状の場合には、長寸のスパイクは短寸のスパイクにより追随され、該スパイクは再び長寸のスパイクにより追随されるなどである。本発明の更に別の実施形態に依れば、各スパイクの長さは、基礎部分の一端から該基礎部分の他端に向けて減少する。別の特定実施形態に依れば、各スパイクの長さは、基礎部分の一端から、該基礎部分に沿う一つの箇所まで増大し、その後は減少する。更に、本発明の一つの特定実施形態に依れば、本質的に取手シャフトの長手軸心と同一方向に延在する少なくとも一つの端部スパイクが配備される。これは、各図に示される。理解され得る如く、単一もしくは複数の端部スパイクは、上記カムの他のスパイクと比較して、角度付けされた方向を有する。更に、各図に示された如く、それらは他のスパイクよりも長寸とされ得る。これらの端部スパイクは、上記細長片が取手シャフトの回りに螺旋巻回されたときに、各端部スパイクが本質的に取手シャフトの長手軸心と同一方向に延在する様に、導向される。それらは、清浄化デバイスの作製の間において取手シャフトの回りにおける細長片の螺旋巻回もしくは巻回のための開始点を形成する、と表現し得る。
【0018】
本発明の別実施形態に依れば、清浄化要素上には剛毛もしくは剛毛ループが配備される。この場合においても、上記清浄化要素は細長片の形態であると表現し得るが、この場合には、カムと同一の平面において突出するスパイクから成るカムは無い。この実施形態に依れば、剛毛もしくは剛毛ループは、細長片の表面から突出する。上記剛毛もしくは剛毛ループは、清浄化要素が取手シャフトに対して一体的に結合される前に、該清浄化要素の表面から突出しても良い。但し、本発明の一実施形態に依れば、剛毛もしくは剛毛ループは、取手シャフトに対して一体的に結合されるべく該取手シャフトの回りに清浄化要素が巻回されるときに、展開されて該清浄化要素から延在する。この実施形態に依れば、剛毛もしくは剛毛ループは、結合の前には清浄化要素の表面上に横たわるが、螺旋巻回もしくは巻回が為されたときには展開される。一つの特定実施形態に依れば、清浄化要素を形成する細長片は、一端にて延長部分を有する。この延長部分もまた、取手シャフトの回りにおける巻回操作であって、本発明に係る斯かる形態の細長片もしくは清浄化要素の巻回操作に対する開始点を形成する。斯かる延長部分もまた、各図に示される。これに関連して、本発明に依れば、各剛毛を形成する各部分は、清浄化要素の縁部および/または表面のいずれかから突出し得ることを理解することは重要である。
【0019】
本発明の一つの特定実施形態に依れば、上記取手シャフトは中空である。斯かる中空の取手シャフトは、清浄化もしくはデブリードマンの部位に対して流体を加える可能性を生み出すことが意図される。一実施形態に依れば、上記取手シャフトは両端部にて中空である。別実施形態に依れば、上記取手シャフトは、該取手シャフトの流体送給端部からのみ中空であるが、該取手シャフトの他端にては中空でない。但し、この実施形態に依れば、上記取手シャフトは該取手シャフトに沿い幾つかの穿孔を有することで、中空の該取手シャフトから、清浄化もしくはデブリードマンの部位に対して流体が加えられることを許容する。洗流用の流体、医療用の洗浄流体、殺菌流体、および、薬剤などの如き、種々の流体を加えることが可能である。特定例は、水、殺菌された塩水溶液、過酸化水素溶液、抗生物質、弱酸溶液、または、希釈されたフッ化水素溶液である。
【0020】
更に、本発明に係る清浄化デバイスは、それが回転デバイスに接続され得る様に適合化され得る。例えば、上記取手は、コントラアングル・ハンドピースの如き、モータ駆動式の回転ユニット内に接続されることが意図された一定種類の接続手段を有し得る。故に、本発明に係る清浄化デバイスは、手動的に、または、例えばアダプタもしくは接続手段を介して回転ユニットと共に使用され得る。
【0021】
上記清浄化デバイスの各構成要素、すなわち第1および第2主要部分は、鋳造、エッチング、または、プラスチック材料に対する射出成形もしくは押出し成形によるなど、公知の技術により作製され得る。更に、ニチノール・ワイヤの場合などにおいては、ワイヤ引抜き成形も可能である。
【0022】
本発明に係る清浄化デバイスは、多くの異なる用法が見出される。本発明に係る清浄化デバイスは、種々の工業的用途に対して使用され得るが、主な関心の的は医療目的である。本発明に係る清浄化デバイスは、例えば、歯科医療における表面および孔の清浄化に使用され得る。意図された一つの特定の用法は、特に歯科的インプラントである、インプラント表面の清浄化、または、インプラント表面のデブリードマンである。故に、一つの特定実施形態に依れば、歯科医療における表面および孔の清浄化もしくはデブリードマンに対する上記清浄化デバイスの用法が開示される。また、更に別の実施形態に依れば、意図された用法は、例えば金属製の歯科的インプラントの表面などの金属製インプラントの表面の如き、インプラント表面の清浄化またはデブリードマンである。
【0023】
別の特定実施形態に依れば、意図された用法は、工業的清浄化である。この用途において使用されるときには、堅固なシャフトを備えるブラシによってはアクセスされない湾曲パイプ内へと、または、キャビティもしくはオリフィス内へと挿入され得る回転的な清浄化デバイスの可能性である。上記清浄化デバイスがその元の形状へと常に戻り撓曲するという事実は、特定の状況において利点を有する。
【0024】
図面の詳細な説明
図1は、本発明に係る清浄化要素4である第2主要部分3を示している。清浄化要素4は、基礎部分5と、スパイク9から成るカム8とを備える。清浄化要素4の一端上には、2本の端部スパイク11が配備される。更に、清浄化要素4は、取手シャフト2に対して一体的に結合されるべく該取手シャフト2の回りに巻回されることが意図された細長片10の形態である。
【0025】
図2は、図1におけるのと同一の清浄化要素4を示しているが、この場合にスパイク9から成るカム8は、2本の端部スパイク11を除き、屈曲されている。
【0026】
図3は、図2における清浄化要素4の巻回操作を示しており、その場合にスパイク9から成るカム8は、取手シャフト2の回りに屈曲されて本発明に係る清浄化デバイス1を形成している。各端部スパイク11は、それらが本質的に取手シャフト2の長手軸心12と同一の方向に延在する様に配備される。図4において、上記巻回操作は完了されると共に、本発明に係る清浄化デバイス1が作製されている。
【0027】
同様に図5は、図4におけるのと同一の清浄化デバイス1を示しているが、この場合に清浄化デバイス1は、使用の前もしくは使用の間において屈曲されている。このことは、この場合に取手シャフト2は、可塑的に変形可能であり且つ例えばチタンもしくはその合金、タンタルもしくはその合金、ニオブもしくはその合金、または、ジルコニウムもしくはその合金で作成されるか、或いは、弾性的に変形可能であり且つ例えばニチノールで作成されることを意味する。
【0028】
図6は、本発明に係る別の清浄化要素4を示している。この場合に清浄化要素4は、基礎部分5および数本の剛毛6を備える。取手シャフト2の回りに巻回されることが意図された細長片10を形成する清浄化要素4は、1本の端部スパイク11も備える。代わりに、各剛毛6は、結合された剛毛ループ7であり得ること、および、数本の剛毛ループ7を有する如き清浄化要素4もまた本発明の有効範囲内であることを理解することは重要である。更に、本発明に依れば、各剛毛6は任意の形状を有し得る。
【0029】
図7は、取手シャフト2の回りとされて本発明に係る清浄化デバイス1を形成する図6に係る清浄化要素4の巻回操作を示している。理解され得る如く、端部スパイク11は、取手シャフト2の長手軸心12と本質的に同一方向に延在する様に配備される。更に、この場合、取手シャフト2の回りにおける清浄化要素4の巻回操作の間、各剛毛6は、該剛毛6が取手シャフト2から外方に延在する様に外方に屈曲し易い。図7から理解され得る様に、各剛毛6は、取手シャフト2の一方の回転方向においては撓曲可能もしくは弾性的であるが、他方の回転方向においては堅固で切断的である様に配備され得る。
【0030】
図8は、本発明の別の特定実施形態を示している。この場合に清浄化デバイス1は、取手シャフト2と、この場合には“手裏剣”の形状である数枚の清浄化要素4とを備える。各清浄化要素4は、取手シャフト2と一体的に、且つ、該取手シャフト2の回りに結合される。各清浄化要素4は、基礎部分5を有する。更に、この場合、各清浄化要素4はスパイク9から成るカム8も有している。当然乍ら、他の形状も可能である。図8において、一つの“手裏剣”は既に取手シャフト2に対して一体的に結合されると共に、同様に描かれた別の手裏剣は、取手シャフト2に対してまさに一体的に結合されるところである。本発明に依れば、数個の清浄化要素4を有する他の清浄化デバイス1も可能であることを理解することは重要である。一例は、図1および図2に示されたのと同様の細長片10が2つ、取手シャフト2の回りに巻回された二重螺旋である。
【0031】
図9aから図9dは、本発明に係る別の特定実施形態を示している。図9aにおいては、溝13を有する取手シャフト2が示される。図9aは本発明に係る清浄化デバイス1を示し、その場合、図9cおよび図9dに示された2つの別体的な清浄化要素4であって、各々が一つの基礎部分5と数本のスパイク9とを備えるという清浄化要素4である第2主要部分3は、別体的な各清浄化要素4を取手シャフト2における連続溝13内に夫々挿入することにより、取手シャフト2に対して一体的に結合されている。2つもしくは4つの部分もしくは分岐部へと切り開かれた取手シャフト2(各連続溝13)(図9aを参照)を使用することにより、清浄化作用のために使用される材料の1枚もしくは2枚の薄寸体(図9cおよび図9dを参照)は、各分岐部間に楔止めされてから、溶着を用いて、または、接着剤もしくは粘着剤の如き他の結合方法により、固着され得る。2枚の薄寸体の形態である斯かる2つの清浄化要素4が使用されるとき、それらは、取手シャフト2の溝13内に一体的に嵌合するために(図9cおよび図9dに示された)スロットを有する必要がある。図9bには、最終的な清浄化デバイス1の形状が示される。更に、図9bから図9dには、各スパイク9ならびに可能的な各端部スパイク11が示される。
【0032】
本発明に係る清浄化デバイスの用法は、上記に示された如く歯科的用法に限定されず、特に、撓曲可能なシャフトに対して取付けられた回転ブラシを実現する必要がある場合、他の幾つかの用途において使用され得る。図9aから図9dに示されたこの特定実施形態に依れば、上記清浄化デバイスは、堅固なシャフトを備えるブラシによってはアクセスされない湾曲パイプ内へと、または、キャビティもしくはオリフィス内へと挿入されることが許容される。上記清浄化デバイスがその元の形状へと常に戻り撓曲するという事実は、特定の状況において利点を有する。
【0033】
結論
本発明に係る清浄化デバイスは、多くの利点を有している。第1に、上記取手は、堅固、または、可塑的に変形可能、または、弾性的に変形可能とされ得るが、このことは、例えばワイヤ撚り合わせブラシの如き公知の他のブラシ製造概念では可能でない。第2に、清浄化デバイスを形成すべく2つの異なる主要部分を一体的に結合するという着想は、剛毛の1本ずつの接着と比較して、容易で安価な作製様式を提供する。更に、本発明に係るこの着想に依れば、例えば、使用の間において屈曲状態においても対称的に回転可能な清浄化デバイスが作製され得る。このことは、例えばワイヤ撚り合わせ作製様式に依っては可能でない。更に、本発明に依れば、特定の目的および用途に対し、実際の清浄化部分である第2主要部分の設計の自由度は非常に大きい。一例として、本発明に依れば、一方の回転方向においては撓曲可能もしくは弾性的であるが、他方の回転方向においては堅固で切断的である剛毛もしくは剛毛ループを備える清浄化要素を有する清浄化デバイスを提供することが可能である。
【0034】
更に、本発明に係る清浄化デバイスの着想は、種々の材料の有用な特性を組み合わせると同時に、該デバイスを複雑な手順なしで作製可能とするために開発された。上記デバイスは特に、歯科的分野における清浄化のためにニチノール(登録商標)およびチタンの有用な特性を利用することを目標としている。軸部もしくは取手シャフトにおけるニチノール(登録商標)は、上記清浄化デバイスが回転ハンドピース内に載置されたときにも融通性を提供し、またチタンは、清浄化が歯科的インプラントの近傍にて実施されるときに有用である、と言うのも、そのときにそれは良好な清浄化特性を提供すると同時に、インプラント表面に何らの不都合な異物を残置しないからである。チタン以外のポリマなどの他の材料も使用され得、その場合にナイロンは、ブラシ剛毛としての好適な使用の長い歴史を有している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9a
図9b
図9c
図9d