特許第6092777号(P6092777)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6092777固体ビーズを作製するための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092777
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】固体ビーズを作製するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   B01J 2/06 20060101AFI20170227BHJP
   B01J 19/00 20060101ALI20170227BHJP
   A61K 9/16 20060101ALN20170227BHJP
【FI】
   B01J2/06
   B01J19/00 N
   !A61K9/16
【請求項の数】40
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-530799(P2013-530799)
(86)(22)【出願日】2011年9月30日
(65)【公表番号】特表2013-543434(P2013-543434A)
(43)【公表日】2013年12月5日
(86)【国際出願番号】GB2011051858
(87)【国際公開番号】WO2012042273
(87)【国際公開日】20120405
【審査請求日】2014年9月17日
(31)【優先権主張番号】1016433.3
(32)【優先日】2010年9月30日
(33)【優先権主張国】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513076626
【氏名又は名称】ミダテック ファーマ (ウェールズ) リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100104581
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 伊章
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・パーマー
(72)【発明者】
【氏名】オーウェン・シャディック
【審査官】 河野 隆一朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−244683(JP,A)
【文献】 特開2008−150596(JP,A)
【文献】 特表2004−513764(JP,A)
【文献】 特開2005−279523(JP,A)
【文献】 特開2008−080330(JP,A)
【文献】 特開2007−038117(JP,A)
【文献】 特公昭52−009632(JP,B1)
【文献】 特表平07−500287(JP,A)
【文献】 特表2011−524250(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 2/00 − 2/30
B01J 19/00 − 19/32
A61K 9/00 − 9/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体ビーズを作製するための装置であって、
該装置は、各々が、溶媒中に溶解された溶質を含む第1の液体の小滴を生成させるために操作可能な圧電要素を含む複数の液滴生成器を含み、小滴の形成前に第1の液体を加熱する加熱器を備え、
各液滴生成器は小滴生成口、第2の液体を輸送する流路を含み、
各々の液滴生成器は該流路に対して間隔があいており、
それにより使用時に、液滴は気体を通って、前記流路に備えられた第2の液体に通過し、該溶媒は該第2の液体に溶解して該溶媒を該小滴から排出させ、それにより固体ビーズを形成し、
該液滴生成器の該複数の小滴生成口と該流路の底の最も近い間隔が1.5〜20mmであり、
該装置はさらに、該ビーズの製造工程を監視する少なくとも1つのカメラ、第2の液体を冷却するために操作可能な冷却器、及び
該複数の液滴生成器が該流路中の該第2の液体に小滴を注ぐよう操作可能であることを確実にするために該流路と液滴生成器を互いに調整する手段を含む、
固体ビーズを作製するための装置。
【請求項2】
該液滴生成器が、気体を通って該第2の液体と接触するように、ゼロでない初速度で液滴を排出するよう操作可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
少なくとも1つの該流路中の流れを生成する手段を含む、請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
第2の液体を輸送する複数の流路を含み、各々の液滴生成器は、流路に液滴を落下させるよう配置された、請求項1〜3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
液滴生成器は1つの流路に液滴を落下するよう、各々の液滴生成器は1つの流路と関連している、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
該流路が、少なくとも前記流路の長さの一部において実質的に互いに平行である、請求項4または請求項5に記載の装置。
【請求項7】
1つの流路からビーズを受容するビーズ回収容器を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
該ビーズ回収容器が、各々の流路からビーズを受容するよう配置された、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
少なくとも1つの流路の長さが、10〜1000mmである、請求項1〜8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
少なくとも1つの流路の長さが、30〜100mmである、請求項1〜9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
少なくとも1つの流路が、断面が略U字形である、請求項1〜10のいずれかに記載の装置。
【請求項12】
少なくとも1つの流路が、断面が略V字形である、請求項1〜11のいずれかに記載の装置。
【請求項13】
少なくとも1つの流路の深さが、その幅より大きい、請求項1〜12のいずれかに記載の装置。
【請求項14】
少なくとも1つの流路の幅が、0.5〜20mmである、請求項1〜13のいずれかに記載の装置。
【請求項15】
少なくとも1つの流路の幅が、2〜6mmである、請求項1〜14のいずれかに記載の装置。
【請求項16】
該流路の深さが0.5〜20mm、該小滴生成口と第2の液体の流れの底の最も近い間隔が3〜20mmである、請求項1〜15のいずれかに記載の装置。
【請求項17】
少なくとも1つの流路の深さが、1〜10mmである、請求項1〜16のいずれかに記載の装置。
【請求項18】
該液滴生成器が小滴生成口を含み、該小滴生成口と第2の液体の流れの表面の最も近い間隔が1〜50mmである、請求項1〜17のいずれかに記載の装置。
【請求項19】
該液滴生成器が小滴生成口を含み、該小滴生成口と第2の液体の流れの表面の最も近い間隔が2〜25mmである、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
液滴生成器に、少なくとも1つの支持体を含む、請求項1〜19のいずれかに記載の装置。
【請求項21】
該支持体が、前記液滴生成器の大部分を支持する、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
少なくとも1つの液滴生成器の操作を制御するために操作可能な少なくとも1つの信号発生器を含む、請求項1〜21のいずれかに記載の装置。
【請求項23】
小滴の形成前に液体を加熱する加熱器を含む、請求項1〜22のいずれかに記載の装置。
【請求項24】
第2の液体を冷却するために操作可能な冷却器を含む、請求項1〜23のいずれかに記載の装置。
【請求項25】
請求項1〜24のいずれかに記載の装置の構築用キットであって、該キットは小滴を生成させるために操作可能な、各々が圧電要素を含む複数の液滴生成器、第2の液体を輸送する少なくとも1つの流路、およびカメラを含む、請求項1〜24のいずれかに記載の装置の構築用キット。
【請求項26】
少なくとも1つの液滴生成器支持体、少なくとも1つの流路中に流れを生成する少なくとも1つの手段、および少なくとも1つの液滴生成器の操作を制御するために操作可能な少なくとも1つの信号発生器の1つまたは複数を含む、請求項25に記載のキット。
【請求項27】
固体ビーズを作製するための方法であって、
溶媒中に溶解された溶質を含む、第1の液体の液滴の生成、
小滴を生成させるために操作可能な圧電部品を含む複数の液滴生成器を用いた、前記液滴の気体の通過、
前記液滴を第2の液体の流れと接触させ、該溶媒は該第2の液体に溶解して該溶媒を小滴から排出させ、それによる固体ビーズの形成を含み、
該第2の液体が水および1つまたは複数の界面活性剤を含み、該第2の液体中の界面活性剤の濃度が、該液滴が該第2の液体に最初に接触する点からの距離に応じて変化する
方法。
【請求項28】
気体を通って該第2の液体と接触するよう、前記液滴を排出することを含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
重力の影響下で、液滴を気体に通過させ該第2の液体と接触させることを含む、請求項27または請求項28に記載の方法。
【請求項30】
液滴生成器は、小滴生成口を含み、該小滴生成口と第2の液体の流れの表面の最も近い間隔が1〜50mmであり、該小滴が気体を通過する、請求項27〜29のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
該溶質がポリマーを含み、該第1の液体のポリマー濃度が少なくとも7%w/vであり、「w」が該ポリマーの重量であり、「v」が該溶媒の体積である、請求項27〜30のいずれかに記載の方法。
【請求項32】
該第1の液体のポリマー濃度が少なくとも15%w/vである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
該第1の液体のポリマー濃度が15〜35%w/vである、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
該第2の液体の該溶媒の溶解度が、第2の液体100ml当たり少なくとも5gの溶媒である、請求項31〜33のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
該溶媒が、該第2の液体と混合可能である、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
該第2の液体が水を含み、該溶媒が水混和性有機溶媒である、請求項28〜35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
該第1の液体が、該固体ビーズ中にカプセル化されていることが望ましいターゲット材料を含み、該ターゲット材料が薬学的活性剤を含む、または薬学的活性剤の前駆体である、請求項27〜36のいずれかに記載の方法。
【請求項38】
該界面活性剤の濃度が、該小滴が該第2の液体に接触する点において前記点の下流よりも高い、請求項27〜37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
該液滴が該第2の液体に導入される際の、該第2の液体の温度が5〜15℃である、請求項27〜38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
該第2の液体のpHが3〜9である、請求項27〜39のいずれかに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体ビーズ、特に、これだけに限らないが、比較的均一な寸法の(典型的には、平均最大寸法が20〜200ミクロンである)小さな固体ビーズを作製するための装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
比較的均一な寸法の固体ビーズの製造に用いられる、いくつかの装置が知られている。例えば、典型的には、第1の微小流体導管で輸送されるキャリア流体と第2の微小流体導管で輸送されるキャリア流体が、該第1および第2の微小流体導管が合流する合流点において衝突する、微小流体回路を用いることが知られている。その後、機能性流体の該液滴は凍結され、脱溶媒和される。そのようなデバイスは、粒子サイズの優れた制御および寸法の優れた均一性を提供する。しかし、そのようなデバイスを用いて大量の粒子を製造することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の装置は、この問題を軽減しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、
溶媒中に溶解された溶質を含む少なくとも1つの小滴を生成させるために操作可能な液滴生成器と、
第2の液体を輸送する少なくとも1つの流路を含み、
少なくとも1つの液滴生成器と少なくとも1つの流路は互いに間隔があいており、それにより使用時に、液滴は気体を通って、前記流路に備えられた第2の液体に通過し、該溶媒は該第2の液体に溶解して該溶媒を該小滴から排出させ、それにより固体ビーズを形成する、
固体ビーズを作製するための装置が提供される。
【0005】
該液滴生成器は、気体を通って該第2の液体と接触するように、ゼロでない初速度で液滴を排出するよう操作可能であってもよい。典型的には、該小滴生成器により生成した小滴が、該流路に備えられた第2の液体と衝突するよう、少なくとも1つの液滴生成器は流路の上に位置する。
【0006】
本発明の装置は、比較的均一な寸法の固体ビーズを生成することが見出された。さらに、該装置はそのようなビーズを比較的迅速に作製するために用いることができる。
【0007】
本発明の装置は、実質的な固体ビーズの製造を容易にする。該液滴に提供された該溶媒は、該第2の液体に溶解し、それにより該小滴の該液体成分が除去され、実質的な固体ビーズを残す。(好ましくはポリマーを含む)該溶質は、好ましくは該第2の液体に実質的に溶解しない。
【0008】
該装置は、少なくとも1つの流路中に流れを生成する手段を含んでもよい。そのような手段はポンプを含んでもよい。流れを生成する該手段は、少なくとも50ml/minの流速を生成するために操作可能である。
【0009】
本発明の該装置は、複数の液滴生成器を含んでもよい。該装置は、第2の液体を輸送する複数の流路を含んでもよい。各々の液滴生成器は、典型的には流路に液滴を落下させるよう配置される。1つ(および唯一)の小滴生成器が1つの流路に液滴を落下するよう、各々の小滴生成器は1つの流路と関連していてもよい。あるいは、1つの流路に液滴を落下させるよう、1つ以上の小滴生成器が配置されてもよい。該装置が複数の流路を含む場合には、該流路は、少なくとも前記流路の長さの一部(選択的に長さの大部分、そして選択的に実質的に全長)において実質的に互いに平行であってもよい。
【0010】
該装置は、該小滴が、流路中に輸送されている該第2の液体と衝突する、1つまたは複数の流路の領域を監視する手段を備えていてもよい。該装置が複数の流路を含む場合には、該装置は、1つ以上(選択的に大部分、そして選択的に各々)の流路の前記領域を監視する手段を備えていてもよい。監視する該手段は、1つまたは複数のカメラを含んでもよい。たとえば、該装置が複数の流路を含む場合には、監視する該手段は、各々の流路を1つ(および唯一)のカメラが監視する、複数のカメラを含んでもよい。
【0011】
該装置は、1つまたは複数の流路からビーズを受容するビーズ回収容器を含んでもよい。該装置が複数の流路を含む場合には、該ビーズ回収容器は、各々の流路からビーズを受容するよう配置されてもよい。
【0012】
該装置は、1つまたは複数の廃棄物回収容器を備えていてもよい。該装置は、各々の液滴生成器について、1つの廃棄物回収容器を備えていてもよい。
【0013】
流路の寸法は、典型的な実験条件により変動してもよい。たとえば、流路の長さは、液滴の脱溶媒和の速さおよび流路を通る該第2の液体の流速によりある程度影響されてもよい。典型的には、流路の長さは10〜1000mm、選択的に20〜200mm、さらに選択的に30〜100mmであってもよい。
【0014】
小滴が該第2の液体に最初に接触する点の下流における該流路の長さが、前記小滴導入点の上流における該流路の長さの少なくとも1倍(選択的には少なくとも2倍、さらに選択的には少なくとも3倍)大きくなるよう、小滴生成器と流路が配置されることが好ましい。
【0015】
少なくとも1つ(選択的には1つより多くの、より選択的には大部分の、さらに選択的には各々)の流路は、実質的に均一な断面を有してよい。
【0016】
少なくとも1つ(選択的には1つより多くの、より選択的には大部分の、さらに選択的には各々)の流路は、断面が略U字形であってもよい。その形状は、製造しやすいものである。該U字形は、平底または丸底のU字形であってよい。
【0017】
少なくとも1つ(選択的には1つより多くの、より選択的には大部分の、さらに選択的には各々)の流路は、断面が略V字形であってもよい。
【0018】
少なくとも1つ(選択的には1つより多くの、より選択的には大部分の、さらに選択的には各々)の流路の深さは、その幅よりも大きい。そのような配置により、任意の周囲の空気の動きから(典型的には非常に低質量の)該小滴を保護し得る。
【0019】
少なくとも1つ(選択的には1つより多くの、より選択的には大部分の、さらに選択的には各々)の流路の幅は、0.5〜20mm、選択的には1〜10mm、より選択的には2〜6mmであってよい。その流路は、大量の第2の液体を必要とするわけではないが、該装置の比較的単純な組み立てを可能にするよう、十分に幅広い。たとえば、小滴生成器と流路の配置は、そのような幅の流路を有することで簡易化される。さらに、そのような流路は、望ましい流速が得やすくなる。
【0020】
少なくとも1つ(選択的には1つより多くの、より選択的には大部分の、さらに選択的には各々)の流路の深さは、0.5〜20mm、選択的には1〜10mm、より選択的には2〜10mmであってよい。そのような流路は、該小滴に対する望ましくない影響を有する可能性のある、任意の周囲の空気の動きから保護できるよう、十分に深い。
【0021】
該小滴生成器は、小滴生成口を含んでもよい。該小滴生成口と第2の液体の流れの表面の最も近い間隔は、典型的には1〜50mm、選択的には1〜30mm、より選択的には2〜25mm、さらに選択的には3〜20mmであってよい。
【0022】
典型的には、第2の液体の流れは深さ0.5〜2mmであってよく、そのため該小滴生成口と流路の底の最も近い間隔は、典型的には3〜50mm、選択的には3〜30mm、より選択的には4〜25mm、さらに選択的には4〜20mmであってよい。
【0023】
少なくとも1つ(選択的には1つより多くの、より選択的には大部分の、そしてさらに選択的には各々)の液滴生成器が、小滴を生成させるために操作可能な圧電部品を含む。典型的には、該圧電部品は容器または室において圧を生成させるために操作可能であり、したがって液体は開口を通って放出され、小滴が形成される。
【0024】
該装置は、液滴生成器用に、少なくとも1つの支持体を含んでもよい。そのような支持体は、流路に対して間隔をあけて小滴生成器を保持してもよい。そのような支持体は、1つより多くの液滴生成器を支持してもよい。
【0025】
該装置が複数の液滴生成器を含む場合には、該支持体は前記液滴生成器の大部分、そして選択的には全体を支持してもよい。該支持体はまた、存在する場合には、該小滴が流路中に輸送されている該第2の液体と衝突する、1つまたは複数の流路の領域を監視する手段を支持してもよい。
【0026】
該装置は、少なくとも1つの液滴生成器の操作を制御するために操作可能な少なくとも1つの信号発生器を含んでもよい。1つの信号発生器は、1つより多く(そして選択的には各々)の液滴生成器の操作を制御するために用いられてもよい。少なくとも1つの液滴生成器が圧電部品を含む場合には、信号発生器は、圧電部品に200〜10000Hz、選択的には400〜6000Hz、そしてより選択的には500〜4000Hzの周波数の信号を入れるために操作可能であってもよい。信号の形状は、たとえば、矩形であってもよい。該信号発生器は、圧電部品に3〜50μs、選択的には5〜30μs、そしてより選択的には7〜20μsのパルス長の信号を入れるために操作可能であってもよい。パルス間隔は、400〜2000μsであってもよい。たとえば、電気信号の周波数が500〜800Hzの場合には、パルス間隔は、典型的には1200〜1600μsであってもよい。たとえば、電気信号の周波数が1700〜2300Hzの場合には、パルス間隔は、典型的には400〜600μsであってもよい。
【0027】
該装置は、小滴の形成前に液体を加熱する加熱器を含んでもよい。少なくとも1つの液滴生成器が圧電部品を含む場合には、前記少なくとも1つの液滴生成器が該小滴を注ぐためのノズルを含み、該加熱器が80℃の温度までノズルを加熱するために操作可能であることが好ましい。該第1の液体を加熱することでその粘度は低下し、それにより小滴の形成は容易になる。
【0028】
該装置は、該第2の液体を加熱するために操作可能な加熱器を含んでもよい。該装置は、該第2の液体を冷却するために操作可能な冷却器を含んでもよい。該第2の液体を加熱及び冷却するために、ペルティエ(Peltier)デバイスのような1つのデバイスが用いられてもよい。該第2の液体の温度は、1つまたは複数の該固体ビーズの特性に影響し得ることが見出され、したがって該第2の液体を加熱または冷却することは望ましいと考えられる。たとえば、該第2の液体の温度は、寸法、多孔性および基剤が医薬品のような任意の充填剤をカプセル化する効率の1つまたは複数に影響し得る。
【0029】
該流路は、流路キャリアに形成されてもよい。
【0030】
該流路は、横方向に移動可能であってよい。これは、該流路と該液滴生成器を互いに調整するのに役立ち得る(これは、該液滴生成器で生成された該小滴が該流路に落下するのを確実にするために重要である)。これに関連して、(存在するならば)該流路キャリアは横方向の移動のため、備え付けられてもよい。
【0031】
該流路は、枢動可能であってよい。これは、該流路と該液滴生成器を互いに調整するのに役立ち得る(これは、該液滴生成器で生成された該小滴が該流路に落下するのを確実にするために重要である)。これに関連して、(存在するならば)該流路キャリアは枢動のため、備え付けられてもよい。
【0032】
該装置は、該液滴生成器が、該流路中の該第2の液体に小滴を注ぐよう操作可能であることを確実にするために、該流路と液滴生成器を互いに調整する手段を備えていてもよい。
【0033】
該流路と液滴生成器を互いに調整する手段は、(存在するならば)該流路キャリアと接触するための1つまたは複数の調節面を含み、該1つまたは複数の調節面と該流路キャリアの接触により、該液滴生成器から小滴を受容するよう該流路キャリアが調整される。該流路と液滴生成器を調整する手段は、典型的には該流路キャリアの両側に1つずつの2つの調節面を含んでもよい。少なくとも1つの調節面の少なくとも一部は、カーブしていてもよい。その2つの調節面は、それらの間の間隔が定められてもよい。その2つの調節面の間隔は、該調節面の一方の端で他方の端よりも大きくてもよい。これは、該小滴生成器に対する該流路の簡単な調整を容易にする。
【0034】
該1つまたは複数の調節面が、該液滴生成器に付随していてもよい。該装置には液滴生成器支持体が備えられてもよく、その場合、該1つまたは複数の調節面は、該液滴生成器支持体と一体であるか、または取り付けられていてよい。このような装置は、該液滴生成器に対する該流路の調節を容易にする。典型的には、該装置を組み立てる場合、該液滴生成器と該2つの調節面の平行運動により、該2つの調節面の間隔に該流路キャリアが受容される。該2つの調節面の間隔は、該流路キャリアが最終位置にあるとき、小滴が該流路の中心に注がれるように、該流路と液滴生成器が適正に並べられるような間隔である。
【0035】
該流路は傾斜していてもよい。該流路の傾斜は、該流路に沿ったビーズの動作に役立ち、該流路の端へのビーズの付着を防ぐ補助をする。これは、低い界面エネルギーを有さない、鋼鉄のような材料で該流路が形成されている場合には、問題となり得る。該傾斜角は、0.5〜30°、そして選択的には1〜20°であってよい。
【0036】
該傾斜角は、たとえば0.5〜30°、そして選択的には1〜20°と、可変であってもよい。
【0037】
該装置は、該流路を傾斜する手段を含んでもよい。該流路を傾斜する手段は、典型的には、(該装置が流路キャリアを含む場合には)該流路キャリアを傾斜する手段を含む。該流路を傾斜する手段は、該傾斜角を変化させるために操作可能であってもよい。該流路を傾斜する手段は、1つまたは複数(および典型的には2つ)の該流路に付随する第1面と、1つまたは複数(および典型的には2つ)の該液滴生成器に付随する第2面を含んでもよく、該流路を傾斜するために、各々の第1面は対応する第2面と係合している。1つまたは複数(および典型的には各々)の該第1面は典型的には実質的に下を向く。1つまたは複数(および典型的には各々)の該第2面は典型的には上を向く。少なくとも1つ(および典型的には各々)の該第1面には、内向きまたは外向きに突出し得る、横方向に突出したリップが備えられてもよい。該装置は、典型的にはそのようなリップを2つ、該流路の両側に1つずつ、備える。少なくとも1つの該第1面は、該流路に対して傾斜していてもよい。少なくとも1つ(および典型的には各々)の該第2面には、突起が備えられてもよい。前記突起は、選択的に外向きに突出してもよい。
【0038】
該装置は、該液滴生成器の動作が少なくとも1つの該第2面の動作を起こし、該第1面に対する少なくとも1つの該第2面の動作が、該流路の傾斜の角度を変化させるよう操作可能であってもよい。
【0039】
本発明の第2の態様によれば、少なくとも1つの液滴生成器と第2の液体を輸送する少なくとも1つの流路を含む、本発明の第1の態様による、装置の構築用キットが提供される。少なくとも1つの該流路と少なくとも1つの該液滴生成器は、本発明の第1の態様の該装置に関連して上述した特徴を含んでもよい。
【0040】
該キットは、本発明の第1の態様による装置を構築するための、少なくとも1つの該液滴生成器と少なくとも1つの該流路が互いに間隔をあけて配置されるインストラクションをさらに含んでもよい。
【0041】
該キットはまた、少なくとも1つの支持体、少なくとも1つの流路中に流れを生成する少なくとも1つの手段、および少なくとも1つの信号発生器の1つまたは複数を含んでもよい。それらの構造は、本発明の第1の態様の該装置に関連して上述した特徴を含んでもよい。
【0042】
本発明の第3の態様によれば、
溶媒中に溶解された溶質を含む、第1の液体の液滴の生成、
前記液滴の気体の通過、
前記液滴を第2の液体の流れと接触させ、該溶媒は該第2の液体に溶解して該溶媒を小滴から排出させ、それによる固体ビーズの形成
を含む、固体ビーズを作製するための方法が提供される。
【0043】
本発明の方法は、略球状であるビーズの製造に非常に良いことが見出された。(典型的にはポリマーを含む)該溶質は、該溶媒(であって該溶質ではない)が小滴から抽出されるよう、典型的には該第2の溶媒に溶解しない。
【0044】
該方法は、気体を通って該第2の液体と接触するよう、前記液滴を排出することを含んでもよい。該方法は、付加的に、または代わりに重力の影響下で、液滴を気体に通過させ該第2の液体と接触させることを含んでもよい。たとえば、典型的な定位に配置された圧電ディスペンサーは、ゼロでない初速度で下向きに小滴を排出する。該小滴はまた、圧電ディスペンサーが下向きに小滴を注ぐよう配置されている場合、重力の影響下で落下する。
【0045】
該小滴は、1〜50mmの気体(典型的には空気)、選択的には1〜30mm、より選択的には2〜25mm、そしてさらに選択的には3〜20mmの気体を通過してもよい。
【0046】
該第2の液体の流速は、少なくとも50ml/minであってもよい。
【0047】
本発明の方法は、典型的には、平均最大寸法が10〜200μm、好ましくは20〜150μm、そしてより好ましくは40〜120μmである固体ビーズを作製するために用いられてもよい。該固体ビーズは略球状であることが好ましい。該ビーズの最大寸法の変動係数が
0.1以下、好ましくは0.06以下であることが好ましい。該変動係数は、最大寸法の標準偏差を平均最大寸法で除したものである。
【0048】
該液滴の平均直径と該ビーズの平均最大寸法(該ビーズが略球状である場合には、典型的には平均直径)の比率が約4:1未満、選択的には約3:1未満、より選択的には約2:1未満、そして選択的に約1.5:1未満であってもよい。小滴の寸法はたとえば、高速度カメラを用いて測定されてもよい。
【0049】
該溶質はポリマー、典型的には生体適合性ポリマー、を含んでもよい。「生体適合性」とは、典型的には生体細胞、組織、臓器、または器官と適合し、免疫機構による損傷、毒性、または拒絶反応のリスクがないと受け取られる。用いることができるポリマーの例は、Purasorb
PDL 02A、Purasorb PDL 02、Purasorb PDL 04、Purasorb PDL 04A、Purasorb PDL 05、Purasorb
PDL 05A、Purasorb PDL 20、Purasorb PDL 20Aなどの(さまざまな末端基をもつ)ポリラクチド;Purasorb PG 20などの(さまざまな末端基をもつ)ポリグリコリド;ポリカプロラクトン;ポリ無水物;およびPurasorb
PDLG 5004、Purasorb PDLG 5002、Purasorb PDLG 7502、Purasorb PDLG 5004A、Purasorb PDLG
5002A、resomer RG755S、Resomer RG503、Resomer RG502、Resomer RG503H、Resomer RG502H、RG752、RG752Hなどの(さまざまな末端基をもち、乳酸対グリコール酸比および分子量が含まれてもよい)乳酸とグリコール酸とのコポリマー、またはそれらの組み合わせである。場合によっては、該溶質は、水に実質的に溶解しないことが好ましい(該第2の液体として水を用いることは便利である)。該第1の液体のポリマー濃度は1〜50%w/v、典型的には少なくとも7%w/v、選択的には少なくとも10%w/v、典型的には少なくとも15%w/v、選択的には15〜35%w/v、選択的には少なくとも20%w/v、選択的には20〜45%w/v、そしてより選択的には30〜45%w/vであってもよい。上記の重量(‘w’)は該ポリマーの重量であり、‘v’は該溶媒の体積である。すでに示したように、該溶媒は該第2の液体に可溶であり、「可溶」とは、該方法が実施されている温度において、第2の液体100mlに少なくとも2gの溶媒の溶解度を示す。
【0050】
該第2の液体の該溶媒の溶解度が、第2の液体100ml当たり少なくとも5gの溶媒であり、選択的には第2の液体の少なくとも10g/100mlであることが好ましい。
【0051】
該溶媒が、該第2の液体と混合可能であることが好ましい。該第2の液体が水を含む場合、該溶媒が、ジメチルスルホキシド(DMSO)、n−メチルピロリドン、PEG―200、PEG―400、グリコフロールおよびヘキサフルオロ−イソプロパノールなどの水混和性有機溶媒であることが好ましい。
【0052】
特にポリマーがポリ(α-ヒドロキシ)酸を含む場合、該ポリマーの重量平均分子量(MW)は、4〜700キロダルトンであってもよい。該ポリマーが(しばしば「PLGA」とよばれる)乳酸とグリコール酸のコポリマーを含む場合には、前記ポリマーは4〜120キロダルトン、好ましくは4〜15キロダルトンの重量平均分子量を有してもよい。
【0053】
該ポリマーがポリラクチドを含む場合には、前記ポリマーは4〜700キロダルトンの重量平均分子量を有してもよい。
【0054】
特に該ポリマーがポリ(α-ヒドロキシ)酸を含む場合には、該ポリマーは、0.1〜2dl/gの固有粘度を有してもよい。該ポリマーが(しばしば「PLGA」とよばれる)乳酸とグリコール酸のコポリマーを含む場合には、前記ポリマーは0.1〜1dl/g、そして選択的には0.14〜0.22dl/gの固有粘度を有してもよい。該ポリマーがポリラクチドを含む場合には、前記ポリマーは0.1〜2dl/g、そして選択的には0.15〜0.25dl/gの固有粘度を有してもよい。該ポリマーがポリグリコリドを含む場合には、前記ポリマーは0.1〜2dl/g、そして選択的には1.0〜1.6dl/gの固有粘度を有してもよい。
【0055】
該第1の液体が、該固体ビーズ中にカプセル化されていることが望ましいターゲット材料を含むことが好ましい。該ターゲット材料は、粒子として該第1の液体に組み込まれてもよく、また溶解されてもよい。該ターゲット材料は薬学的活性剤を含んでもよく、また薬学的活性剤の前駆体であってもよい。薬学的活性剤は、たとえば、これだけに限らないが、排卵誘発剤、ホルモン治療剤、タンパク質治療剤、抗感染剤、抗生物質、抗真菌剤、癌治療薬、鎮痛剤、ワクチン、CNS薬剤、および免疫抑制剤を含む、非経口送達に適した任意の薬剤であってよい。特に制御放出非経口送達によるポリマービーズ中の薬物の送達は、たとえば水難溶性、高毒性、低吸収性特徴を有する薬物の場合に特別の利点を有するが、本発明はそのような薬剤とともに用いることに限定されるものではない。活性剤は、たとえば低分子の薬物または高分子などのより複雑な分子であってよい。1つの有利な実施形態においては、薬学的活性剤はペプチド剤を含んでよい。「ペプチド剤」という用語には、しばしば一般に「ペプチド」、「オリゴペプチド」、「ポリペプチド」および「タンパク質」と称されるポリ(アミノ酸)が含まれる。この用語にはまた、ペプチド剤アナログ、誘導体、アシル化誘導体、グリコシル化誘導体、ペグ化誘導体、融合タンパク質などが含まれる。本発明の方法において用いることができるペプチド剤には(これだけに限らないが)、酵素、サイトカイン、抗体、ワクチン、成長ホルモンおよび成長因子が含まれる。適切なペプチド剤のさらなる例は、US2007/0196416(特に段落[0034]〜[0040]を参照)にある。好ましい実施形態においては、薬学的活性剤はゴナドトロピン放出ホルモン受容体(GnRHR)アゴニストである。ゴナドトロピン放出ホルモン受容体アゴニストは、当業者にはしばしばゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニストとして知られている。たとえば、GnRHRアゴニストはリュープロレリン(一般にリュープロライドとして知られている)またはその前駆体であってよい。
【0056】
該ターゲット材料(特に薬学的活性剤またはその前駆体である場合)は、該ポリマーの重量に対し2〜60%w/w、選択的には5〜40%w/w、より選択的には5〜30%w/w、そしてもっと選択的には5〜15%w/wの量提供されてもよい。
【0057】
該ターゲット材料がペプチド剤を含む場合には、該第1の液体は1つまたは複数の三次構造変化阻害剤を含んでもよい。三次構造変化阻害剤の例は:糖、糖部分を含む化合物、(グリコール、マンニトール、ラクチトールおよびソルビトールなどの)ポリオール、(炭酸カルシウムおよび炭酸マグネシウムなどの)固体または溶解された緩衝剤、および(CaCl、MnCl、NaClおよびNiClなどの)金属塩である。該第1の液体は、三次構造変化阻害剤を最大25%w/w含んでもよい。三次構造変化阻害剤の重量パーセントは該ポリマー重量の割合で算出される。たとえば、該第1の液体は金属塩を0.1〜10%w/w(選択的には1〜8%w/w、そしてより選択的には3〜7%w/w)、およびポリオールを0.1〜15%w/w(選択的には0.5〜6%w/w、そしてより選択的には1〜4%w/w)含んでもよい。
【0058】
該第2の液体は、(典型的にはポリマーである)該溶質が実質的に溶解しない任意の液体を含んでよい。そのような液体は、時々「非溶媒」と称される。適切な液体は、たとえば、水、メタノール、エタノール、プロパノール(例、1−プロパノール、2−プロパノール)、ブタノール(1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール)、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノールおよび高級アルコール;ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジメチルエーテル、ジブチルエーテル、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘプタン、オクタン、シクロオクタンおよび高級炭化水素を含む単純炭化水素が含まれ得る。所望であれば、液体の混合物を用いることができる。
【0059】
該第2の液体は、水を含むのが好ましく、また選択的には1つまたは複数の界面活性剤、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール(例、1−プロパノール、2−プロパノール)、ブタノール(例、1−ブタノール、2−ブタノール、tert−ブタノール)、イソプロピルアルコール、Polysorbate20、Polysorbate40、Polysorbate60およびPolysorbate80などのアルコールと共に含むのが好ましい。アルコールのような界面活性剤は、小滴を受容する該第2の液体の表面張力を低下させ、該第2の液体にぶつかる場合の該小滴の変形を減少させ、それにより非球状の小滴形成の可能性を減らす。これは、該小滴からの該溶媒の抽出が急速な場合に特に重要である。
【0060】
該第2の液体が水および1つまたは複数の界面活性剤を含む場合には、該界面活性剤の含有量は1〜95%v/v、選択的に1〜30%v/v、選択的に1〜25%v/v、より選択的には5%〜20%v/v、そしてさらに選択的には10〜20%v/vであってもよい。該界面活性剤の体積パーセントは、該第2の液体の体積に対して算出される。
【0061】
該第2の液体の組成は、該液滴が第2の液体に最初に接触する点からの距離に応じて変化してもよい。たとえば、該第2の液体の該界面活性剤の濃度が、該液滴が該第2の液体に最初に接触する点からの距離に応じて変化してもよい。たとえば、球状ビーズの形成を容易にするため、該小滴が該第2の液体に最初に接触する点において、該界面活性剤の濃度は比較的高く(たとえば、30〜50%v/v)てもよい。該小滴が該第2の液体に最初に接触する点の下流では、界面活性剤の濃度はより低くてもよい。これは、たとえば、(水のような)該第2の液体の大部分を構成する液体を、該第2の液体の流れに導入することで達成できる。前記液体の導入により、ビーズを形成するために該溶媒が該小滴から抽出される割合が増加され得る。
【0062】
したがって、本発明の方法は、前記小滴を該第2の液体に接触させた後で、前記小滴を取り囲む該第2の液体の界面活性剤の濃度を低下させることを含んでもよい。
【0063】
したがって、小滴が該第2の液体に最初に接触する点の、該第2の液体の下流における界面活性剤の濃度は、小滴が該第2の液体に最初に接触する点における該第2の液体の界面活性剤の濃度より低くてもよい。
【0064】
該第2の液体は水を含み(即ち、水性である)、表面張力が60mNm−1未満、選択的に50mNm−1未満、より選択的には40mNm−1未満、そしてさらに選択的には35mNm−1未満であることが好ましい。
【0065】
ターゲット材料が該第1の液体に提供されている場合には、該第2の液体は塩および/またはポリオールなどの1つまたは複数のオスモル濃度変化剤を提供されてもよい。該オスモル濃度変化剤は、該ターゲット材料の該第2の液体への拡散を相当量阻止することで、該ターゲット材料を一旦形成されたビーズ内に保持するのに役立つオスモル濃度を作り出すよう、該第2の液体に加えられる。該オスモル濃度変化剤は、(ナトリウムおよびマグネシウムの塩化物などの)金属塩、並びにグリコール、マンニトール、ラクチトールおよびソルビトールなどのポリオールを含んでもよい。
【0066】
オスモル濃度変化剤の総濃度は、0.1〜2M、典型的には0.2〜1M、そして選択的には0.3〜0.8Mであってもよい。たとえば、第2の液体はNaCl溶液を0.4M、およびソルビトール溶液を0.4M含んでもよく、したがって、該第2の液体は総濃度0.8Mのオスモル濃度変化剤を含む。
【0067】
該小滴が最初に接触した時の該第2の液体の温度は、周囲温度以上であってよい。本発明の方法において、該小滴を冷却するために該第2の液体を冷却する必要は一般にない。該第2の液体が周囲温度未満であることが時々、望ましい。該小滴が最初に接触した時の該第2の液体の温度は、0〜25℃、選択的に5〜20℃、選択的に5〜15℃、そして選択的に5〜10℃であってもよい。該第2の液体の温度は、そのようにして製造されたビーズの1つまたは複数の特性に影響し得ることが見出された。たとえば、該第2の液体がより低い温度だと、作製されたビーズはより多くの(医薬品などの)充填剤を含み得ること、孔がより少なくなり得ること、そしてより長い時間尺度で充填剤を放出することが見出された。
【0068】
該第2の液体のpHは、たとえば、3〜10であってよい。該第2の液体のpHは、該ビーズの表面形態に影響を及ぼし得ることが見出された。
【0069】
該小滴が該第2の液体に最初に接触する該第2の液体の領域において、該第2の液体の深さは少なくとも0.1mm、選択的に少なくとも0.3mm、そしてより選択的には0.3〜1mmの深さであってもよい。
【0070】
該小滴が該第2の液体に最初に接触する該第2の液体の領域において、該第2の液体は該小滴の平均最大寸法の少なくとも2倍の深さ、選択的には該小滴の平均最大寸法の少なくとも3倍、そしてより選択的には該小滴の平均最大寸法の少なくとも3倍〜50倍の深さであってもよい。
【0071】
該溶質は生体適合性ポリマーを含んでもよく、該第1の液体中の該ポリマーの濃度は少なくとも20%w/v(そして好ましくは20〜45%w/v)であり、溶媒は該第2の液体に混合可能であり、‘w’は該ポリマーの重量を示し、‘v’は該溶媒の体積を示す。これは、固体ビーズを製造する効果的な方法を提供する。該第2の液体中の溶媒の混和性は、該小滴の急速な脱溶解和を容易にする。高ポリマー濃度は、低ポリマー濃度溶液を用いて製造されるものよりも孔の少ないと考えられる、構造的に安定したビーズの製造を容易にする。
【0072】
該溶質は生体適合性ポリマーを含んでもよく、該第1の液体中の該ポリマーの濃度は少なくとも20%w/v(そして好ましくは20〜45%w/v)であり、それにより製造された該ビーズは最大寸法の変動係数が0.1以下(そして好ましくは0.06以下)であり、‘w’は該ポリマーの重量を示し、‘v’は該溶媒の体積を示す。
【0073】
該溶質は生体適合性ポリマーを含んでもよく、該第1の液体中の該ポリマーの濃度は少なくとも20%w/v(そして好ましくは20〜45%w/v)であり、該第1の液体の該液滴は圧電部品を用いて生成され、
‘w’は該ポリマーの重量を示し、‘v’は該溶媒の体積を示す。高ポリマー濃度は、低ポリマー濃度溶液を用いて製造されるものよりも孔の少ないと考えられる、構造的に安定したビーズの製造を容易にする。
【0074】
液滴を生成するステップは、気体(好ましくは空気)を通しての小滴の分注を容易にする、任意の適切な方法により実施されてもよい。このステップは好ましくは圧電部品を用いて実施される。液滴を生成するステップは、圧電部品に電気信号を入れることを含んでもよい。該電気信号の周波数は200〜10000Hz、選択的に400〜6000Hz、そしてより選択的には500〜4000Hzであってよい。信号の形状は、たとえば、矩形であってもよい。該信号は、3〜50μs、選択的には5〜30μs、そしてより選択的には7〜20μsのパルス長を有してもよい。パルス間隔は、400〜2000μsであってもよい。たとえば、電気信号の周波数が500〜800Hzの場合には、パルス間隔は、典型的には1200〜1600μsであってもよい。たとえば、電気信号の周波数が1700〜2300Hzの場合には、パルス間隔は、典型的には400〜600μsであってもよい。該信号の電圧は30〜100V、そして選択的に40〜80Vであってよい。
【0075】
該方法は、液滴の形成前に該第1の液体を加熱することを含んでもよい。該第1の液体は50〜100℃、そして選択的に50〜80℃の温度に加熱されてよい。該第1の液体を加熱することで粘度は低下し、それにより小滴の形成は容易になる。
【0076】
該方法は、
該第2の液体が流れる1つまたは複数の流路、
該第1の液体の小滴を生成する1つまたは複数の液滴生成器、
該第2の液体の流れを生じさせる1つまたは複数の手段、
該液滴生成器を支持する1つまたは複数の支持体、および
該液滴生成器の操作を制御するための1つまたは複数の信号発生器
の1つまたは複数の提供を含んでもよい。
【0077】
前記流路、液滴生成器、該第2の液体の流れを生じさせる手段、支持体、および信号発生器は、本発明の第1の態様の該装置に関連して上述した特徴を含んでもよい。1つまたは複数の流路が備えられる場合には、該流路は傾斜してもよい。
【0078】
疑義が生じないために、固体ビーズはゲルの形態であってよい。
【0079】
該第1の液体は、溶媒中に溶解された溶質を含まなくてもよい。該第1の液体は、固体粒子が分散されたキャリア液を含む可能性がある。同様に、本発明の第1の態様の該装置の該液滴生成器から注がれた液体は、固体粒子が分散されたキャリア液を含んでもよい。
【0080】
該方法は、本発明の第1の態様による装置の提供を含んでもよい。
【0081】
本発明の第4の態様によれば、本発明の第3の態様による方法で作製または作製可能な1つまたは複数のビーズが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0082】
ここで本発明を、以下の図を参照して例示のためのみに説明する。
図1】本発明による装置の実施形態の例の断面図である。
図2図1の装置を用いて作製されたビーズの走査型電子顕微鏡像である。
図3図1の装置を用いて作製されたビーズの寸法分布を示すヒストグラムである。
図4】本発明による装置の実施形態のさらなる例を示す。
図5】本発明による装置の実施形態のさらなる例の一部の分解図である。
図6図5に示す装置の一部の斜視図である。
図7】本発明による装置の実施形態の理論的なさらなる例の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0083】
図1は、本発明による装置の例を示す。図1は、装置を通しての側面の断面および装置の一部の末端図を示す。該装置は概して参照番号1で示し、圧電小滴生成器3[Microdrop
Technologies GmbH, Norderstedt, Germany]と間隔をあけた流路2を含む。該流路2は、316ステンレス鋼で形成され、2つの部分;概して参照番号6で示し、流路におけるこの部分は深さ6mmおよび幅12mmである、第1の「開放」部分、並びに第2の(囲まれた)部分5を有する。ノズル(図示せず)は空洞13に挿入され、ポンプ(図示せず)は液体4を流路2に送達する。該ポンプは環状ギアポンプだが、任意の無脈流デバイスであってもよい。該圧電小滴生成器の分注ノズル(図示せず)と該液体4表面の距離は12mmである。本例では、液体はtert-ブチルアルコールの15%v/v(Sigma Aldrich、UK)水溶液である。液体の深さは、該流路2の囲まれた部分5の高さで決まる。本例では該液体4の深さは約0.5mmである。該液体4の流速は約60ml/分であった。これは体積流量および流れプロフィルの断面により算出される。
【0084】
溶媒中に溶解されたポリマーの小滴は、以下の通り圧電小滴生成器3から注がれた。ジメチルスルホキシド(DMSO)中乳酸とグリコール酸とのコポリマー(Resomer
RG752H, Boehringer Ingelheim, Germany)の20%w/v溶液を調製した。該ポリマーの重量に対し12.5%w/wの量のリュープロライドもまたDMSOに溶解された。該圧電小滴生成器3は、該圧電小滴生成器3に2000Hzの周波数、7マイクロ秒のパルス長および82Vの電圧の電気信号を入れることで、ポリマー溶液の小滴を分注するために用いられた。該圧電小滴生成器3の分注ノズルは、該液体の分注を容易にするため70℃の温度まで加熱された。該ポリマー溶液の小滴は、流路2の端から約80mmの距離で液体4の流れに注がれた。連続的に流れる液体4は、流れる液体中の小滴およびビーズが癒着しないよう、互いに間隔があいていることを確実にした。固体ビーズを生成するために、該DMSOは該液体4に溶解すると考えられている。DMSOは水/アルコール混合物(液体4)と混合可能であるが、PLGAポリマーは水/アルコール混合物に不溶である。
【0085】
該液体4は、該流路2を出てから集められた。該小滴は、該流路2を出たときには既に固体ビーズを形成していることが見出され、それは該小滴の脱溶媒和が急速であることを示す。図2Aおよび2Bは、述べられた通り作製されたビーズの走査型電子顕微鏡像を示す。それらの図は該ビーズの球形およびそれらの単分散の性質を示す。図2Aおよび2Bのビーズの寸法分布を示すヒストグラムを図3に示す。平均ビーズ直径は45μm、変動係数5%であった。該液体4から分離されたビーズは、微細でさらさらした白い粉末であった。該ビーズは液体キャリアで再懸濁され、(23Gまたは27G針などの)適当な太さの皮下注射針を通ることができる。
【0086】
該小滴を受容する液体4の表面張力は、ウィルヘルミー(Wilhelmy)平板法を用いた測定において、約30.5mNm−1であった。上述の実験は、液体4に水、即ち任意のtert−ブタノールアルコールを含まないもの、を用いて繰り返された。該小滴はレンズ状ビーズ、即ちレンズの形状のビーズを形成した。該ビーズは、アルコールを用いた場合に生成された該球状ビーズよりも、直径が大きいと思われた。さらに、該ビーズは、アルコールを用いた場合に生成された該球状ビーズほど単分散でないように思われた。測定された水の表面張力は68mNm−1であった。理論に縛られることを望むものではないが、(アルコールなしで用いられた場合の)水のより高い表面張力が、該液体の表面に衝突する際に該小滴をより変形させると考えられる。さらに、水とtert−ブチルアルコールの混合物に浸けられた場合よりも、水のみに浸けられた場合に、該DMSOは該液滴からより迅速に排出され得る。したがって、該DMSOは水のみに浸けられた場合、該小滴がその元の球状形状を取り戻す前に、該小滴から排出され得る。
【0087】
図1、2A、2Bおよび3に関連する上述の一般的方法を用いて、該溶媒の該ポリマー濃度を変化させることの影響が検討された。該小滴を受容する該液体は、tert-ブチルアルコールの15%v/v水溶液であった。該溶媒はDMSOで、該ポリマーはResomer RG752H(Boehringer
Ingelheim, Germany)であった。該小滴の作製に用いられる該ポリマー溶液濃度に応じての、平均ビーズ直径、変動係数、および平均カプセル化効率を表1に示す。
【0088】
【表1】
【0089】
平均カプセル化効率はHPLC分析を用いて測定された。平均カプセル化効率の測定に用いることのできる1つの方法は、当業者に周知の英国薬局方の方法である。
【0090】
該ビーズは高い球形度を示した。さらに、それぞれの場合において、わずか5〜15秒で該ビーズが形成された(即ち、小滴が脱溶媒和した)と推定される。
【0091】
溶媒中に5%w/vのポリマーを含む液体を用いてビーズを作製することを試みた。この溶液を用いて作製された該ビーズは、特定しづらく、多分散で形成が低収率であった。
【0092】
表1のデータは、適切なカプセル化効率の単分散の固体ビーズの迅速な作製、および該ビーズを作製する方法を適応することによりビーズ特性の調整が可能であることを示す。
【0093】
ビーズは、DMSO溶媒中の20%w/vPLGAおよび10%w/w酢酸リュープロライド(ポリマー重量に対し10%重量のペプチド)を含む小滴を、上述のように非溶媒として作用する、水とtert-ブタノールの混合物(85%:15%)に落下させて作製された。そのようにして製造されたビーズの物理的構造への小滴受容液体の温度の影響は、走査電子顕微鏡法(SEM)を用いて調査された。該小滴受容液体が約18℃であった場合、SEM像により該ビーズが滑らかな表面形態を有し、高度に多孔性の内部構造を有することが示された。該小滴受容液体が約12℃であった場合、該ビーズはより高密度の内部構造を有し、該ビーズ内部の孔の寸法はより小さかった。該小滴受容液体が約5℃であった場合、SEM像により該ビーズがより高密度の内部構造を有していることが示された。該ビーズの内部構造は、該ビーズ中の任意の充填剤の放出に関する時間尺度に影響すると考えられる。したがって、該ビーズの充填剤放出特性を変化させるために、小滴受容液体の温度を用いることができる。
【0094】
さらに、ビーズは、DMSO溶媒中の40%w/vPLGAおよび20%リュープロライドを含む小滴を、上述のように非溶媒として作用する、[水−tertブタノール(85:15)]に落下させて作製された。平均ビーズ直径およびカプセル化効率への小滴受容液体の温度の影響が調査され、その結果を表2に示す。
【0095】
【表2】
【0096】
表2は、非溶媒温度を変化させることにより、寸法およびカプセル化効率を変化させられることを示す。
【0097】
図4は、本発明による装置の実施形態のさらなる例を示す。概して参照番号101で示される該装置は、8つの圧電小滴生成器103a〜hを含み、各々対応する流路102a〜hの真上に位置する。各々の圧電小滴生成器103a〜hと流路102a〜hは、実質的に図1に関連して上述された固体ビーズを生成するために操作可能である。全ての流路102a〜hからビーズを受容するため、ビーズ受容容器107が備えられている。8つの廃棄物回収容器(105a、105b、明確にするため2つのみ表示する)は、起動および洗浄時における小滴生成器103a〜hからの廃棄物を受容するために備えられている。該ビーズ製造プロセスの監視を容易にするため、ビデオカメラ(図示せず)が各々の流路102a〜hの上に備えられている。それぞれの流路102a〜hと間隔をあけて小滴生成器103a〜hを支持する支持体108が備えられている。
【0098】
ここで図5および6を参照して、本発明の装置のさらなる実施形態を説明する。該装置は概して参照番号200で示す。該装置200は土台208、流体チャネルキャリア204および液滴生成器支持体201からなる。該流体チャネルキャリア204は、使用時に、該液滴生成器201を用いて液体の小滴が落下された流体を輸送するチャネル205を備える。該流体チャネルキャリア204は土台208に枢動可能に取り付けられている。該流体チャネルキャリア204に備えられているピン207は、土台208に形成された開口210に挿入される。土台208に備えられているピン209は、該流体チャネルキャリア204に備えられているスロット206に挿入される。該スロット206は弓形で、ピン207と開口210で形成された枢動軸周りに、該流体チャネルキャリア204を枢動可能にする。ここで説明するように、該流体チャネルキャリア204の枢動は、該流体チャネル205および該液滴生成器203の調整を容易にする。液滴生成器203は、液滴生成器支持体201に備え付けられている。該支持体は2つの側面部、202a、202bを備えている。これらは、図5において支持体201の他の部分から分離されて示されているが、例示的目的にすぎない。該装置200が組み立てられる際、流体チャネルキャリア204は土台208の上に置かれる。(該液滴生成器203が所定の位置にある場合)液滴生成器支持体は該流体チャネルキャリア204の上に置かれ、流体チャネルキャリア204の端(E)は側面部分202a、202bの最前部の間に置かれる。該最前部はFで示される。側面部分の最前部の間隔は該流体チャネルキャリア204の幅よりも大きい。該液滴生成器支持体201は、その後、図6に示すように流体チャネルキャリア204が該側面部分202a、202bの間に位置するよう、該流体チャネルキャリア204に沿って移動する(この場合、図5および6の右から左)。該側面部分の後部(該後部はRで示される)における該側面部分202a、202bの間隔は、該流体チャネルキャリア204が該側面部分202a、202bの後部にぴったり合うよう、該流体チャネルキャリア204の幅と実質的に同一である。このぴったりとした適合は、該装置200が組み立てられる度に、該流体チャネル205が該液滴ディスペンサー203と正しく調整されてことを確実にする。
【0099】
ここで図7を参照して、本発明の装置のさらなる実施形態の理論的な例を説明する。該装置は概して参照番号300で示す。該装置300は、液滴がディスペンサー308から流体チャネル306に提供された液体に注がれ得るよう、流体チャネル306の上に位置する液滴ディスペンサー308を含む。該液滴ディスペンサー308は、液滴ディスペンサー支持体307に支持される。該支持体307は、2つの外向きに突出した翼部309,310を備えている。各々の翼部309,310の上面は、脚部302、303により流体チャネルキャリア301に取り付けられている内向きに突出したリップ304,305の下面と接触する。該リップ304,305は、図7に示すように角度をなす。該流体チャネルキャリア301に対する該支持体307の動きにより、翼部309,310はそれぞれリップ304,305に沿って動く。該リップ304,305の角度をなす特徴と相まって、この動きは該流体チャネルキャリア301を傾斜させる。該流体チャネルキャリア301は、ボールジョイント311において傾斜する。流体チャネルの傾斜は、チャネル306が界面エネルギーの低くない材料で形成された場合に起こり得る、チャネル306の端へのビーズのはり付きを防ぐのに有益であることが判明した。
【0100】
リュープロライド以外の活性成分を含むビーズが製造された。たとえば、酢酸リュープロライド、酢酸オクトレオチド、エクセナチド酢酸およびサケカルシトニンをカプセル化するビーズが作製された。たとえば、当業者はペプチドを含まない薬学的活性剤(またはその前駆体)をカプセル化するために、ビーズが用いられ得ることを理解するであろう。
【0101】
ビーズは、DMSO以外の溶媒を用いた小滴から製造された。たとえば、(しばしばNMPとして知られる)N−メチルピロリドン並びにグリコフロールおよびポリ(エチレングリコール)の混合物が用いられた。当業者は、小滴の形成に他の液体が用いられ得ることを理解するであろう。
【0102】
ビーズは、さまざまな小滴受容液体に小滴を落下させて製造された。たとえば、水とアルコールのさまざまな混合物が用いられた。用いられたアルコールは、tert-ブチルアルコールおよびイソプロピルアルコールを含む。
【0103】
pHがビーズの形態へ及ぼす影響は、上述のように一般的にビーズを形成し、それらを所定のpH(選択されたpHは典型的には3〜9であった)の液体に落下させることで検討された。その後、ビーズの表面形態はSEMを用いて測定された。定性的データより、低いpHが滑らかな表面形態を形成し得ることが示される。したがって、製造されるビーズの形態を変化させるために、小滴が落下する液体のpHを適応させ得る。
【0104】
該液体から該ビーズを除去することが望ましい。該ビーズは、たとえば、メッシュ(PharmaSep,
Sweco, USA)を用いて濾過されてもよく、それは振動するように配置されてもよい。他の適切な真空濾過機またはデバイスが用いられてもよい。あるいは、該ビーズは密度分離(たとえば、適切な形状の容器の底に沈ませること)によって分離されてもよい。
【0105】
該容器107は、各々の個別容器が1つ(および唯一)の流路からビーズを受容するよう配置された、複数の個別容器に置き換えられてもよい。
【0106】
前述した記載において、構成体又は要素は、公知の、明白あるいは予測できる等価物として言及され、このような等価物は、個別に説明されたものとして、ここに包含される。本発明における真の特許請求の範囲を決定するために、請求項に記載の構成が参照され、また、このような等価物を包含するように構成すべきである。読者には理解できるように、好適な、有益かつ便利な同等物として記載されている本発明の構成または特徴は、選択可能であり、独立請求項の範囲を制限するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7