(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記注入は前記III族窒化物半導体本体内に空間的に閉じ込められたN型領域及び空間的に閉じ込められたP型領域の少なくとも1つを形成する、ことを特徴とする請求項1記載の方法。
前記イオン注入器と前記表面平衡チャンバをインタフェースさせるように構成された移行チャンバを更に備え、前記移行チャンバは少なくとも1つの差圧セルを含む、ことを特徴とする請求項8記載の注入チャンバ。
前記注入チャンバは前記III族窒化物半導体本体内に空間的に閉じ込められたP型領域に横方向に隣接する空間的に閉じ込められたN型領域を形成するように構成されている、ことを特徴とする請求項8記載の注入チャンバ。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の説明には本発明の実施形態に関連する具体的な情報が含まれる。当業者に明らかなように、本発明は本明細書に具体的に記載される態様と異なる態様で実施することができる。本願の添付図面及びそれらの詳細説明は模範的な実施形態を対象にしているにすぎない。特に断らない限り、図中の同等もしくは対応する構成要素は同等もしくは対応する参照番号で示されている。更に、本願の図面及び説明図は一般に正しい寸法比で示されておらず、実際の相対寸法に対応するものではない。
【0008】
本発明は、III族窒化物半導体本体のイオン注入方法及び装置を対象とするものである。本明細書に開示するように、III族窒化物半導体本体のイオン注入は注入チャンバ内において高い温度で平衡圧力の状態で実行することができる。例えば、幾つかの実施形態では、イオン注入はIII族窒化物半導体本体の表面及び表面近傍領域で実行される。幾つかの実施形態では、本解決法は、一般に従来技術においてドーパントの活性化に必要とされる注入後の高温度アニールの要求を除去又は低減することができる。更に、本解決法は、III族窒化物半導体本体の化学量論組成の分解を回避すると同時に、注入損傷のその場アニーリングによりドーパント活性化を可能にするシステムを提供することができる。
【0009】
図1は、一実施形態による、高温表面平衡状態でイオン注入するための注入チャンバ100の断面図を示す。
図1に示されるように、注入チャンバ100は、表面平衡チャンバ110、イオン注入器130、及びイオン注入器130を表面平衡チャンバ110とインタフェースさせる移行チャンバ120を含む。
図1に更に示されるように、移行チャンバ120は差圧セル122a、122b及び122cを含む。
図1には、例えば支持基板112の上に成長された砒化ガリウム(GaN)本体のようなIII族窒化物半導体本体140も示されている。支持基板112はIII族窒化物半導体本体の成長に適した任意の基板材料とすることができ、例えばシリコン、炭化シリコン、サファイヤ、及び入手可能であれば天然のIII族窒化物半導体基板とすることができる。
【0010】
本実施形態によれば、表面平衡チャンバ110はプラットフォーム106を含み、例えば回転プラットフォーム又は制御可能に移動可能なプラットフォームとすることができ、その上に支持基板112及びIII族窒化物半導体本体140をIII族窒化物半導体本体140のイオン注入中置くことができる。
図1に示されるように、表面平衡チャンバ110は、III族窒化物半導体本体140に対して表面平衡状態を確立するためにガスの吸入を可能にする吸入ポート102、及びこのようなガスの排出する出力ポート104を備える。表面平衡チャンバ110は、表面平衡チャンバ110内の平衡圧力が約1ミリトルから約1000ミリトル(1.0−1000mTorr)の部分真空範囲を維持するように制御されるよう設計される。一実施形態では、例えば表面平衡チャンバ110は約100mTorrの部分真空範囲を維持するように制御されるようにすることができる。
【0011】
イオン注入器130はIII族窒化物半導体本体140に注入するためのイオンをイオンビーム132として供給し、III族窒化物半導体本体140の幾つかの部分の選択的注入を実行することができる。一般に、イオン注入器130は固体又は気体状のソース材料から良く制御された速度及び質量を有するほぼ同一のイオンを発生しイオンビーム132に収束できる装置である。幾つかの実施形態では、イオンビーム132は、例えばIII族窒化物半導体本体140の表面上をステアリングされてIII族窒化物半導体本体140の表面に書込み走査又はラスタ走査する能力を有する収束イオンビーム132とすることができる。他の実施形態では、イオンビーム132はブランケットイオン注入を可能にする大面積収束イオンビームとすることができ、またIII族窒化物半導体本体140の広い面積を覆うステンシルマスク又は犠牲マスク層を用いて注入を行うものとすることができる。このようなマスクは当技術分野で周知の一般材料とすることができ、例えば有機ベース材料又は例えばフォトレジスト、二酸化珪素又は窒化珪素からなるものとすることができる。
【0012】
移行チャンバ120は、イオン注入器130のために適切な環境、例えば低圧又は高真空環境、及び表面平衡チャンバ110との相互作用を提供するために使用することができる。移行チャンバ120はイオン注入器130を表面平衡チャンバ110とインタフェースさせる働きをなし、イオン注入中にIII族窒化物半導体本体140に表面平衡状態を提供するように構成される。
【0013】
表面平衡チャンバ110とのイオン注入器130のインタフェースを有効にするために、差動ポンプを用いて移行チャンバ120を排気することができる。
図1に示されるように、一実施形態では、移行チャンバ120は数個の差圧セル122a、122b及び122cを含むことができる。各差圧セル122a、122b及び122cは隣接する差圧セルとそれぞれ開口部126ab及び126bcを経て連通する。イオンビーム132は開口部126bc及び126abを通って移行チャンバ120中を移動し、移行チャンバ120はイオン注入器130を連絡開口部128を介して表面平衡チャンバ110とインタフェースさせることに留意されたい。差圧セル122a、122b及び122cはそれぞれのポンプ開口部124a、124b及び124cを用いて選択的に排気することができる。
【0014】
図1に更に示されるように、幾つかの実施形態では、移行チャンバ120の差圧セル122cはファラデーカップ114を含むこともできる。ファラデーカップ114は、もしあれば、イオン注入器130から受けるイオンの注入ドーズ量を測定するために電流計(
図1に示されていない)に接続することができる。一実施形態では、ファラデーカップ114は、これをイオンビーム132の通路内及び外に移動可能にするためにベローズ118(又は真空技術で使用される別のタイプの機械的リニアアクチュエータ)に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、起こり得るイオンの中和前にイオンビームのより正確な読みが得られるようにファラデーカップ114を差圧セル122c内に位置させることが有利であり、また望ましい。このようなイオン中和は、イオンビーム132が差圧セル122a、122b及び122c及び表面平衡チャンバ110を通過する際に起こり得る。しかしながら、一実施形態では、ファラデーカップ114は、開口部126bcに組み込まれていてもよい。
【0015】
ファラデーカップ114は、III族窒化物半導体本体140に向けられた注入ドーズ量を測定し、それによってIII族窒化物半導体本体140に注入されるイオン濃度を推定可能にするために、イオンビーム132の通路内に周期的に(例えば、時間の約1%)位置させることができることに留意されたい。この周期的位置付けはベローズ118を所定の周期で駆動することにより達成することができる。代替例として、ファラデーカップ114は、イオンビーム132の下部で所定の速度(例えば、注入時間の1%)で回転するように、差圧セル122c内で回転板又はホイール又はアーマチャ(
図1に示されていない)に装着することができる。
【0016】
本実施形態による移行チャンバ120は、差圧セル122b内に、例えば開口部126bcに近接して配置された偏向板116のような偏向板を更に備える。偏向板16は、例えばイオンビーム132がIII族窒化物半導体本体140の表面上を進むように、表面平衡チャンバ110に入射するイオンビーム132の方向を変化させるために使用することができる。
【0017】
図2を参照すると、
図2は別の実施形態による高温表面平衡状態でイオン注入を実行する注入チャンバ200の断面図を示す。注入チャンバ200は表面平衡チャンバ210、イオン注入器230、及びイオン注入器230を表面平衡チャンバ210とインタフェースさせる移行チャンバ220を含む。移行チャンバ220はそれぞれ差動ポンプ224a、224b及び224cを有する差圧セル222a、222b及び222cを含む。表面平衡チャンバ210は吸入ポート202、出力ポート204、及びプラットフォーム206を含む。
図2に示されるように、III族窒化物半導体本体240及び支持基板212はプラットフォーム206の上に置かれる。
図2には更に、ファラデーカップ214、ベローズ218、イオンビーム232、開口部226ab及び206bc、及び連絡開口部228が示されている。表面平衡チャンバ210、イオン注入器230、及び移行チャンバ220を含む注入チャンバ200は概して、
図1における表面平衡チャンバ110、イオン注入器130、及び移行チャンバ120を含む注入チャンバ100に対応する。
【0018】
図2に示す模範的の実施形態によれば、イオンビーム232は、例えば
図1の偏向板116により与えられるイオンビームステアリングがないとき、III族窒化物半本体240に衝突するように生成された収束イオンビームとすることができる。それどころか、本実施形態では、プラットフォーム206は、直線変位線207a及び/又は回転矢印207bで示すように、制御可能に移動可能なプラットフォーム、例えば回転プラットフォームとして示されている。この実施形態では、開口部226ab及び連絡開口部228は
図1に示す実施形態よりもずっと小さくすることができ、移行チャンバ220内の圧力をより容易に減少させることができる。
【0019】
模範的な注入チャンバ100及び200の動作を
図3のフローチャート300を参照して更に説明する。このフローチャートは高温表面平衡状態でIII族窒化物半導体本体のイオン注入を実行する模範的な方法の概要を示すものである。
【0020】
図1及び
図2を参照しながら
図3につき説明すると、フローチャート300は成長チャンバ内でのIII族窒化物半導体本体140/240の成長から始まる(304)。III族窒化物半導体本体140/240は支持基板112/212の上に成長させることができ、支持基板112/212はIII族窒化物成長用の任意の適切な基板、例えばシリコン、炭化シリコン(SiC)又は酸化アルミニウム(Al
2O
3)基板又は天然III族窒化物基板などとすることができる。本明細書で使用される用語「シリコン基板」は、少なくとも1つのシリコン層を含む半導体基板を意味することに留意されたい。この基板としては、例えばシリコン・オン・インシュレータ(SOI)、酸素注入分離(SIMOX)プロセス基板及びシリコンオンサファイヤ(SOS)などのシリコンベースの複合基板が含まれる。このようなシリコン基板はシリコン基板上及び内に形成されたシリコンデバイス及びビアも含むことができる。
【0021】
III族窒化物半導体本体140/240の成長は注入チャンバ100/200内で生じさせることができる。いくつかの実施形態では、表面平衡チャンバ110/210はIII族窒化物半導体本体140/240の成長フェーズの間成長チャンバ110/210として設定しておくことができる。即ち、チャンバ110/210は、III族窒化物半導体本体140/240の製造及び処理中に最初は成長チャンバ110/210として、次に表面平衡チャンバ110/210として設定可能にすることができる。しかしながら、他の実施形態では、III族窒化物半導体本体140/240はイオン注入チャンバ100/200とは別の成長チャンバ内で成長させることができる。
【0022】
III族窒化物半導体本体140/240の成長は任意の適切な成長技術、例えば誘起金属化学気相成長法(MOCVD)又は分子ビームエピタキシ(MBE)を用いて実行することができる。III族窒化物半導体本体140/240の成長はIII族窒化物材料を成長するための任意の適切な大気及び熱環境内で行われ、例えば窒素ガス又はアンモニア等の窒素前駆ガス並びに例えばトリメチルガリウム(TMG)及びトリメチルアルミニウム(TMA)などの追加の反応ガスの存在下で行われる。
【0023】
一実施形態では、III族窒化物半導体本体140/240はMOCVD技術を用いて成長させることができ、シリコン基板とし得る支持基板112/212上に堆積することができる。その結果、幾つかの実施形態では、III族窒化物半導体本体140/240は、アモルファスシリコンアルミニウム窒化物ベース層、1以上のアルミニウム窒化物(AlN)核生成層、組成勾配遷移層、1以上の歪吸収遷移中間層モジュール、バッファ層、チャネル層、AlNスペーサ層、1以上のバリヤ層、及び/又は1以上のIII族窒化物キャップ層を含むことができる。
【0024】
フローチャート300は続いてIII族窒化物半導体本体140/240のイオン注入のために注入温度を決定する(310)。しかしながら、より一般的には、このような決定はIII族窒化物半導体本体140/240のイオン注入に対して追加の注入条件を決定することも含み得る。例えば、注入温度の決定に加えて、決定すべき注入条件にはいくつかの他の変数、例えば注入すべきイオン種、所望の注入深さ、及び注入中に表面平衡チャンバ110/210で使用すべきガス種が含まれ得る。更に、注入条件には、イオンビーム132/232はIII族窒化物半導体本発明内140/240の表面上を書込み走査又はラスタ走査する機能を有する収束イオンビームとすべきか、或いはイオンビーム132/232はIII族窒化物半導体本体140/240の広い面積にブランケットイオン注入、ステンシルイオン注入又は犠牲マスクイオン注入を可能とする大面積デフォーカスイオンビームとすべきか決定することも含まれ得る。
【0025】
フローチャート300は続いてIII族窒化物半導体本体140/240を注入チャンバ100/200内に置く(320)。
図1及び
図2に示されるように、III族窒化物半導体本体140/240及び支持基板112/212は注入チャンバ100/200の表面平衡チャンバ110/210内の置くことができる。上述したように、III族窒化物半導体本体140/240はイオン注入チャンバ100/200の表面平衡チャンバ110/210内に置く前に支持基板112/212上にすでに成長されているものすることもできる。
【0026】
III族窒化物半導体本体140/240は、前記「定義」の項で記載したように、任意の1以上のIII族窒化物半導体材料からなる本体に相当するものとすることができる。III族窒化物半導体本体140/240の組成に課される唯一の制約はそれがIII族窒化物材料の少なくとも1つの層を含むことである。幾つかの実施形態では、III族窒化物半導体本体140/240は、例えば第1のIII族窒化物半導体層及び該第1のIII族窒化物半導体層の上に形成された第2のIII族窒化物半導体層を含み、第2のIII族窒化物半導体層は第1のIII族窒化物半導体層を形成するIII族窒化物半導体より広いバンドギャップを有するIII族窒化物半導体を含むものとし得る。
【0027】
特定の例として、III族窒化物半導体本体140/240はGaNチャネル層と該GaNチャネル層上に形成された砒化アルミニウムガリウム(AlGaN)障壁層とにより形成されるヘテロ接合を含むものとし得る。III族窒化物半導体本体140/240に対応するIII族窒化物半導体本体の他の例には、トランジスタ、ダイオード、発光ダイオード(LED)、レーザダイオード、検出器及びセンサなどのマイクロ電子及びオプトエレクトロニクスIII族窒化物デバイスの構造に一般に使用されているエピタキシャル層がある。
【0028】
フローチャート300は、続いてIII族窒化物半導体本体140/240の表面平衡圧力より大きいかそれにほぼ等しいガス圧力(即ちガス過剰圧力)を設定する(330)。このガス圧力は、注入チャンバ100/200内で、表面平衡チャンバ110/210を用いて、先に決定した注入条件及びIII族窒化物半導体本体140/240の材料組成に基づいて、一般的に約1.0−1000mTorrの部分真空範囲内に設定することができる。所望のガス圧力の設定は、表面平衡チャンバ110/210内のガス圧力を吸入ポート102/202及び出力ポート104/204の使用により制御することによって達成することができる。
【0029】
前記ガス圧力をIII族窒化物半導体本体140/240の表面に設定するためのソースガスは、例えば窒素ガス又はアンモニアなどの任意の適切な窒素含有ガスから選択することができる。III族窒化物半導体本体140/240の分解を防止するために必要とされる特定のガス圧力は、III族窒化物半導体本体140/240の表面層の組成、III族窒化物半導体本体140/240の温度及び使用する特定のガス種などのファクタに依存する。その結果、必要とされるガス圧力はIII族窒化物半導体本体140/240の温度とともに変化し、装置は平衡状態を維持するように圧力を調整し、III族窒化物半導体本体140/240の表面層の分解を防止する必要がある。
【0030】
フローチャート300は続いて、ガス圧力をIII族窒化物半導体本体140/240の表面平衡圧力より大きいかそれに等しい圧力、即ち過剰圧力に維持しながら、III族窒化物半導体本体140/240を注入温度に加熱する(340)。本解決法の有利な特徴の一つは、表面平衡チャンバ110/210内のガス圧力をIII族窒化物半導体本体140/240の表面層が分解しないように制御しながら、III族窒化物半導体本体140/240を高い注入温度に加熱することができることにある。例えば、III族窒化物半導体本体140/240は約500℃から約1100℃の範囲内の高い注入温度に加熱することができる。
【0031】
幾つかの実施形態によれば、注入を約600℃より高い注入温度で実行するのが有利もしくは望ましいが、他の実施形態では、注入を約800℃より高い注入温度で実行するのが有利もしくは望ましい。更に、幾つかの実施形態では、注入をIII族窒化物半導体本体140/240の成長のために使用する温度より高い成長温度で実行するのが有利もしくは望ましい。
【0032】
フローチャート300を参照して開示される模範的な例では、III族窒化物半導体本体140/240は注入温度の設定前に注入チャンバ100/200内に置かれ、プラットフォーム106/206の加熱ステップを含むものとして記載されているが、これは一つの可能性にすぎない。他の実施形態では、III族窒化物半導体本体140/240が注入チャンバ100/200内に置かれる前に注入温度を設定し、注入チャンバ100/200のプラットフォーム106/206を注入温度まで又はその近くまで予熱することができる。
【0033】
フローチャート300は続いて、III族窒化物半導体本体140/240の露出表面上方のガス圧力をIII族窒化物半導体本体140/240の表面平衡圧力より大きいかそれにほぼ等しい圧力にほぼ維持しながら、III族窒化物半導体本体140/240を注入チャンバ100/200内で注入する(350)。ガス圧力をIII族窒化物半導体本体140/240の表面平衡圧力より大きいかそれにほぼ等しい圧力に実質的に維持することは、注入チャンバ100/200の表面平衡チャンバ110/210を用いて実行することができる。
【0034】
注入は表面平衡チャンバ110/210とインタフェースするイオン注入器130/230を用いて実行することができ、任意の所望のイオン種をIII族窒化物半導体本体140/240内に注入することができる。従って、例えばシリコン(SI)イオンなどのN型ドーパントイオン及び/又はマグネシウム(Mg)イオン等のP型ドーパントイオンをIII族窒化物半導体本体140/240内に注入することができる。
【0035】
幾つかの実施形態では、注入条件として、III族窒化物半導体本体140/240の表面に又は表面下に対応する1以上の空間的に閉じ込められた注入領域を形成するために1以上のステンシルを使用することを含む。更に、他の実施形態では、注入は、III族窒化物半導体本体140/240の表面に又は表面下に1以上の空間的に閉じ込められた注入領域を生成するために、注入中にイオンビーム132/232のステアリングステップ、又はIII族窒化物半導体本体140/240の移動ステップを含むことができる。例えば、注入中のIII族窒化物半導体本体140/240の移動はプラットフォーム106/206の移動を制御することによって達成することができる。III族窒化物半導体本体140/240アンドープ成長された場合には、例えばN型ドーピング及びP型ドーピングの両方を実行し、その結果としてIII族窒化物半導体本体140/240内に空間的に閉じ込められたP型領域に横方向に隣接する空間的に閉じ込められたN型領域を形成することができる。
【0036】
幾つかの実施形態では、例えば約100keVより低い注入エネルギーを使ってIII族窒化物半導体本体140/240の比較的低いエネルギーの表面注入を行うのが有利もしくは望ましい。即ち、幾つかの実施形態では、III族窒化物半導体本体140/240の表面近くにドーパントイオンを注入するために比較的低い注入エネルギーを使用することができる。しかしながら、他の実施形態では、III族窒化物半導体本体140/240内への深い注入が望まれ、そのために高い注入エネルギーを使用することができる。本明細書に開示する方法を使用すると、III族窒化物半導体本体140/240を合理的に達成可能な任意の濃度、例えば約10
11/cm
2から約10
19/cm
2の濃度にドープすることができる。
【0037】
フローチャート300は続いて、必要に応じ、イオン注入ダメージをアニールするとともに注入ドーパントを十分に活性化するためにIII族窒化物半導体本体140/240の十分なアニールを実行する(360)。このような任選択プロセス中、注入されたIII族窒化物半導体本体140/240の温度を、高エネルギーイオンの衝突によりIII族窒化物結晶構造に起こり得るダメージを十分にアニールするのみならず、注入されたドーパントを十分に電気的に活性化するために、適切なアニール温度に調整することができる。即ち、フローチャート300の方法は、十分なドーパント活性化を達成するために注入後にIII族窒化物半導体本体140/240をその場で高温度でアニールすることができる。
【0038】
フローチャート300は、表面平衡圧力を維持しながらIII族窒化物本体を例えばほぼ室温まで冷却して終わる(370)。III族窒化物本体が所望の温度に冷却されると、III族窒化物本体は注入チャンバから取り出すことができる。
【0039】
上述したように、本明細書に開示する解決法により提供される利点の1つは、III族窒化物半導体本体140/240の注入時に、表面平衡チャンバ110/210内に前記ガス圧力が実質的に維持されることにある。注入時に実質的に前記ガス圧力を維持することによって、注入時のIII族窒化物半導体本体140/240の分解を高い注入温度に曝されるにもかかわらず防止することができる。その結果、III族窒化物半導体本体140/240の構造及び化学量論的特性を注入の間保存することができる。
【0040】
本願に開示する解決法によりもたらされる利点の幾つかが
図4、5A、5B、5C、6A、6B及び6Cに示されている。最初に
図4につき説明すると、
図4は、一実施形態による高温表面平衡状態でのイオン注入の結果としてIII族窒化物半導体本体に形成されるP−N接合の断面図を示す。
図4の構造400はIII族窒化物半導体本体440内に形成されるP型領域442及びN型領域444を含む。III族窒化物半導体本体440は概して
図1/は
図2に示すIII族窒化物半導体本体140/240に対応し、対応する特徴によって生じる特性のどれでも共有することができる。
【0041】
図4に示されるように、P型領域442及びN型領域444はともにIII族窒化物半導体本体440内に空間的に閉じ込められ、互いに横方向に隣接するように選択的に形成されている。更に、空間的に閉じ込められたP型領域442及び空間的に閉じ込められたN型領域444は、有利なことに、それらの界面/重複部分でP−N接合を生成するように、横方向に空間的に閉じ込められ且つ隣接するように注入されている。この構造400は、例えばダイオードの実装に使用することができ、またIII族窒化物半導体本体440内に製造されるバイポーラ接合トランジスタ一部分とすることができる。
【0042】
図5A、5B及び5Cに移り説明すると、
図5A、5B及び5Cは様々な実施形態による高温表面平衡状態でのイオン注入の結果としてIII族窒化物半導体本体内に形成られた埋め込みP型及び/又はN型領域のそれぞれの断面図を示す。
図5Aの構造500AはIII族窒化物半導体本体540内に形成された空間的に閉じ込められたP型領域542を含んでいる。III族窒化物半導体本体540は概して
図1/2に示すIII族窒化物半導体本体140/240に対応し、対応する特徴によって生じる特性の何れも共有することができる。
図5Aに示されるように、P型領域542はIII族窒化物半導体本体540内に空間的に閉じ込められ、III族窒化物半導体本体540の上面から所定の深さに埋め込まれている。
【0043】
続いて
図5Bにつき説明すると、
図5Bの構造500BはIII族窒化物半導体本体540内に形成された空間的に閉じ込められたN型領域544を含んでいる。
図5Bに示されるように、N型領域544はIII族窒化物半導体本体540内に空間的に閉じ込められ、III族窒化物半導体本体540の上面から所定の深さに埋め込まれている。
【0044】
図5Cを参照すると、構造500CはIII族窒化物半導体本体540内に形成された空間的に閉じ込められたP型領域542及び空間的に閉じ込められたN型領域544を含んでいる。P型領域542及びN型領域544はIII族窒化物半導体本体540内に空間的に閉じ込められ、横方向に隣り合うように又は互いに隣接するように選択的に形成することができる。
図5Cに示されるように、P型領域542及びN型領域544はIII族窒化物半導体本体540内に空間的に閉じ込められ、III族窒化物半導体本体540の上面から所定の深さに埋め込まれている。
【0045】
図6A、6B及び6Cに移り説明すると、
図6A、6B及び6Cは、様々な実施形態による高温表面平衡状態でのイオン注入の結果としてIII族窒化物半導体本体内に縦方向に積み重ねられたP型及びN型領域のそれぞれの断面図を示す。
図6Aの構造600Aは、III族窒化物半導体本体640内に形成された空間的に閉じ込められたN型領域644、及びIII族窒化物半導体本体640の上面に又はその近くに形成され且つN型領域644の上に積み重ねられた空間的に閉じ込められたP型領域642を含んでいる。III族窒化物半導体本体640は概して
図1/2に示すIII族窒化物半導体本体140/240に対応し、対応する特徴によって生じる特性の何れも共有することができる。
【0046】
続いて
図6Bにつき説明すると、構造600BはIII族窒化物半導体本体640内に形成され且つ空間的に閉じ込められたP型領域642の上に積み重ねられた空間的に閉じ込められたN型領域を含んでいる。
図5Bに示されるように、P型領域642及びN型領域644はIII族窒化物半導体本体640内に空間的に閉じ込められ、III族窒化物半導体本体640の上面の下方にそれぞれ所定の深さに埋め込まれている。
【0047】
図6A及び6BはIII族窒化物半導体本体640内に空間的に閉じ込められ、縦方向に互いに積み重ねられた2つの異なる注入領域の構造を示すが、3つ以上の空間的に閉じ込められた領域を縦方向に積み重ねてP−N−P又はN−P−N構造を形成することもできることに留意されたい。P型領域642a、642b及びN型領域644はIII族窒化物半導体本体640内に空間的に閉じ込められ、これらの領域はN型領域644がP型領域642aとP型領域642bとの間に形成されるように選択的に形成されている。更に、このような実施形態では、上部ドープ領域(例えば
図6CのP型領域642a)はIII族窒化物半導体本体640の上面に又はその近くに形成することでき、またIII族窒化物半導体本体640の上面より相当下方の深さに位置するように埋め込むこともできる。同様に、下部ドープ領域(例えば
図6CのP型領域642b)はIII族窒化物半導体本体640の底面に又はその近くに形成することができ、また底面より相当上方の高さに位置させることもできる。
【0048】
従って、本願に開示する概念によれば、半導体材料の構造及び化学量論的特性を保存しながら、横方向に選択的なIII族窒化物半導体本体の空間的に閉じ込められたイオン注入が高い注入温度で可能になる。結果として、本願はIII族窒化物半導体本体内における接合技術を有利に実行可能にする手法を開示している。更に、本発明の概念はN型又はP型ドーパント注入を容易にするために適用し得るため、バイポーラ又は低減表面電界(RESURF)デバイスの製造を大幅に達成用にすることができる。
【0049】
以上の説明から明らかなように、本願に記載の発明の概念は本発明の概念の範囲を逸脱することなく種々の技術を用いて実施することができる。更に、特に幾つかの実施形態について本発明の概念を説明したが、当業者であれば、それらの形態及び細部に本発明の概念の精神及び範囲を逸脱することなく種々な変更を加えることができることは理解されよう。従って、上述した実施形態はあらゆる点において例示的なものであり、限定的なものではないと考慮されたい。更に、本発明は上述した特定の実施形態に限定されず、本発明の範囲から逸脱することなしに、本発明に多くの再配置、変形及び置換を行い得ることを理解されたい。