(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1記載の恒温恒湿器において、加湿器の水温を制御することによって結露を制御することも可能かもしれない。しかし、この構成では、加湿器が試験室とは別の空間である空調用通路の内部に収容されているため、加湿器から蒸気を発生させても、蒸気が空調用通路から試験室へ導入されるのに時間を要する。このため、試験室内の供試体表面の結露を速やかに発生させることが難しくなる。しかも、蒸気が空調用通路の内部で除湿されて水蒸気量が低減するおそれがあるので、供試体表面に多量の結露を発生させることが難しい。
【0007】
また、加湿器が試験室とは別の空間である空調用通路の内部に収容されているので、空調用通路内の加湿器の水温と試験室内の空気の温度との温度差が生じやすい。そのため、水温の制御によって試験室内の空気の温度を調整することが難しいという問題がある。
【0008】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、試験室内において速やかに多量の結露を発生させることが可能で、かつ、加湿器の水温と試験室内の空気温度との差を小さくすることが可能な結露試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためのものとして、本発明の結露試験装置は、供試体が収容される試験室を有する試験槽と、前記試験室の内部の空気の少なくとも温度を調整するための空調部と、前記試験室の内部に配置され、前記試験室の内部において蒸気を発生させて前記供試体の表面に結露を発生させる結露用加湿器と
、前記結露用加湿器によって前記試験室の内部で蒸気を発生させて前記供試体の表面に結露を発生させる結露工程を実行するコントローラとを備え、前記結露用加湿器は、水を貯留する貯留部と、当該水を加熱する加熱部とを有
し、
前記コントローラは、前記結露工程において、前記加熱部で前記水の温度を上げることにより、前記試験室内の温度を上昇させる制御を行うことを特徴とする。
【0010】
かかる構成によれば、結露用加湿器が試験室の内部に配置されているので、当該結露用加湿器で蒸気を発生させたときに、蒸気は、空調用通路などを通って除湿されることなく、試験室内部に収容された供試体の表面に速やかに到達することが可能である。そのため、供試体表面に速やかに多量の結露を発生させることが可能である。
【0011】
しかも、結露用加湿器は、試験室の内部に配置されているので、当該結露用加湿器の貯留部に貯留された水の熱は、当該貯留部などを介して試験室の内部の空気に伝達されやすい。そのため、
コントローラが、結露工程において、加熱部で水の温度を上げることにより、試験室内の温度を上昇させる制御を行うことにより、結露用加湿器の水温と試験室内の空気温度との差が生じることがあってもその差を小さくすることが可能である。よって、
コントローラによる水温の制御によって試験室内の空気の温度を調整することが容易になり、結露試験の試験精度を向上させることが可能である。
前記コントローラは、前記結露用加湿器を停止させた状態で、前記空調部によって前記試験室内部の空気の少なくとも温度を調整して当該空気を乾燥させる乾燥工程を実行するのが好ましい。これにより、コントローラは、結露工程と乾燥工程とを交互に実行することによって所望のサイクルの結露試験を実行することが可能である。
【0012】
前記空調部は、前記試験室の内部における湿度を調整する空調用加湿器をさらに備えているのが好ましい。
【0013】
かかる構成によれば、供試体に結露を発生させた後に、空調部によって試験室内部の温度を調整して試験室内の空気を乾燥させる乾燥工程を行う場合に、空調用加湿器によって試験室内部の湿度を調整することが可能である。
【0014】
前記試験槽は、前記試験室に連通する空調用通路をさらに備え、 前記空調部は、前記空調用通路に収容されているのが好ましい。
【0015】
かかる構成によれば、空調用通路内において空調部で調整された空気を試験室へ速やかに送ることが可能である。
【0016】
前記結露用加湿器が、前記試験槽における前記試験室を構成する内壁に対して取り外し可能に取り付けられているのが好ましい。
【0017】
かかる構成によれば、結露用加湿器が試験室の内壁に取り外し可能に取り付けられる構造であるので、試験槽および空調部として、既存の恒温恒湿器または恒温器の試験槽および空調部を利用することが可能である。そのため、結露試験のためだけに、試験室の内部に結露用加湿器が常設された結露試験専用の装置を準備する必要がなくなり、低コストで結露試験を行うことが可能である。
【0018】
前記結露用加湿器は、前記貯留部を前記試験室の内壁から離間した状態で支持する支持体をさらに備えるのが好ましい。
【0019】
かかる構成によれば、支持体が貯留部を試験室の内壁から離間して支持することによって、貯留部と試験室の内壁との間には隙間が形成される。したがって、加熱部が貯留部内部の水を加熱して蒸気を発生させて結露を発生させる際には、貯留部から試験室の内壁への熱の伝導を上記の隙間によって抑えることが可能であり、貯留部内部の水を効率よく加熱することが可能である。さらに、結露を発生させた後において、貯留部内部の水の温度よりも低い空気がこの隙間を通る場合には、貯留部内部の水を速やかに冷却することが可能である。
【0020】
前記支持体は、前記貯留部と前記試験室の内壁との隙間を通る空気に接触して前記貯留部から前記空気へ放熱する放熱部として機能するヒートシンク部を有するのが好ましい。
【0021】
かかる構成によれば、支持体が隙間を通る空気に接触して貯留部から空気へ放熱することが可能である。
【0022】
本発明の結露試験方法は、上記の結露試験装置を用いた結露試験方法であって、前記結露用加湿器
の前記加熱部で前記水の温度を上げることにより、前記試験室の内部で蒸気を発生させて前記供試体の表面に結露を発生させる
とともに前記試験室内の温度を上昇させる結露工程と、前記結露用加湿器を停止させた状態で、前記空調部によって前記試験室内部の空気の少なくとも温度を調整して当該空気を乾燥させる乾燥工程とを含むことを特徴とする。
【0023】
かかる特徴によれば、結露工程において、試験室内部に配置された結露用加湿器によって、供試体表面に速やかに多量の結露を発生させることが可能である。また、乾燥工程において、空調部によって試験室内部における空気の温度を調整して当該空気を乾燥させることによって、結露を蒸発させることが可能である。これにより、結露の発生と蒸発を交互に行って所望のサイクルの結露試験を行うことが可能である。
また、結露工程において、加熱部で水の温度を上げることにより、試験室内の温度を上昇させることにより、結露用加湿器の水温と試験室内の空気温度との差が生じることがあってもその差を小さくすることが可能である。よって、コントローラによる水温の制御によって試験室内の空気の温度を調整することが容易になり、結露試験の試験精度を向上させることが可能である。
【発明の効果】
【0024】
以上説明したように、本発明の結露試験装置によれば、試験室内において速やかに多量の結露を発生させることができる。しかも、加湿器の水温と試験室内の空気温度との差を小さくすることができる。
【0025】
本発明の結露試験方法によれば、供試体表面に速やかに多量の結露を発生させることができる。そして、結露の発生と蒸発を交互に行って所望のサイクルの結露試験を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の結露試験装置の実施形態についてさらに詳細に説明する。
【0028】
図1に示されるように、本実施形態に係る結露試験装置1は、結露試験の試験対象である供試体Sが収容される試験室11を有する試験槽2と、試験室11内部の空気の温度および湿度を調整するための空調部3と、試験室11の内部に配置されて供試体Sの表面に結露を発生させる結露用加湿器4とを備えている。
【0029】
試験槽2は、断熱性を有する壁で形成された筐体である。試験槽2内部の空間は、仕切り部材である仕切り板17によって、供試体Sが収容される試験室11と、当該試験室11に連通する空調用通路12とに仕切られている。仕切り板17の下側には、試験室11から空調用通路12へ空気が吸入される吸入口13が形成されている。仕切り板17の上側には、空調用通路12から試験室11へ空気が吹き出される吹出口14が形成されている。
【0030】
試験室11の内部には、結露用加湿器4が試験室2を構成する内壁に対して取り外し可能に取り付けられ、具体的には、試験槽2の床部15の上に載置されている。空調用通路12の内部には、空調部3が配置されている。
【0031】
また、試験室11の内部における床部15から上方に離間した位置には、多数の孔を有する網状部材16が配置されている。網状部材16の両端は、仕切板17および試験槽2の側壁18に固定されている。網状部材16の上には、供試体Sが載置される。
【0032】
なお、吹出口14を通して試験室内11内へ吹き出す空気は、供試体Sに直接当たると結露試験の結果に影響を与えるおそれがある。そこで、この影響を抑えるために試験室11内に風除けを設けてもよい。
【0033】
空調部3は、具体的には、空調用加湿器5と、冷却除湿器6と、加熱器7と、送風機8とを備えている。これら空調用加湿器5、冷却除湿器6、加熱器7、および送風機8は、空調用通路12の内部において空気流れB0の方向に沿って直列に並んで配置されている。
【0034】
空調用加湿器5は、吸入口13から空調用通路12へ吸入された空気を加湿することにより、試験室11の内部の湿度、例えば、本実施形態では相対湿度が調整される。なお、空調用加湿器5によって絶対湿度を調整してもよい。空調用加湿器5は、水W1を貯留する貯留部19と、当該水を加熱する加熱部20とを有する。貯留部19は、水W1を貯留する受け皿状の部材であり、上部開口19aを有する。加熱部20は、貯留部19内部に配置される。加熱部20は、電気ヒータなどからなり、貯留部19内部の水W1を加熱して蒸気を発生させる。空調用加湿器5は、試験槽2の床部15に固定されている。
【0035】
冷却除湿器6は、吸入口13から空調用通路12に吸入された空気を冷却および除湿する。
【0036】
加熱器7は、空調用通路12を流れる空気を加熱する。これによって、試験室11の内部に送られる空気が加熱される。
【0037】
送風機8は、空調用通路12内部で上記の空調用加湿器5、冷却除湿器6および加熱器7によって調整された空気を、吹出口14を通して試験室11へ送る。これにより、送風機8は、試験室11、吸入口13、空調用通路12、吹出口14の順に流れる空気流れB(
図4参照)を生成する。
【0038】
つぎに、結露用加湿器4の具体的構成について説明する。結露用加湿器4は、試験室11の内部において水蒸気を発生させて供試体Sの表面に結露を発生させる。結露用加湿器4は、上記のように、試験室11の内部における床部15に載置されることによって試験槽2内部に取り外し可能に取り付けられている。
【0039】
結露用加湿器4は、水W2を貯留する貯留部21と、当該水を加熱する加熱部22と、当該水の温度を検知する温度センサ23と、貯留部21を下方から支持する支持体24とを備えている。結露用加湿器4は、供試体Sの直下に配置されているので、結露用加湿器4から発生した蒸気は速やかに供試体Sに到達して結露を発生させることが可能である。
【0040】
貯留部21は、水W2を貯留する受け皿状の部材であり、上部開口21aを有する。加熱部22は、貯留部21内部に配置される。加熱部22は、電気ヒータなどからなり、貯留部21に貯留された水W2を加熱して蒸気を発生させる。
【0041】
支持体24は、
図1〜2に示されるように、例えば、貯留部21の下面21bから下方に突出する複数の金属製の丸棒であり、試験室11の床部15から離間した状態で貯留部21を支持する。これにより、貯留部21の下面21bと試験室11の床部15との間には、隙間25が形成される。これにより、加熱部22によって貯留部21内部の水W2を加熱して供試体Sに結露を発生させる際には、貯留部21から試験室11の床部15への熱の伝導を隙間25によって抑えることが可能である。さらに、結露を発生させた後において、貯留部21内部の水W2の温度よりも低い空気がこの隙間25を通る場合には、この隙間25を通る空気と貯留部21内部の水W2との間で熱交換を行うことにより、貯留部21内部の水W2を速やかに冷却することが可能である。このように、支持体24を有する結露用加湿器4では、例えば、試験室11内部の空気の温度を空調部3によって変化させたときには、空気の温度変化に追随して貯留部21内部の水W2の温度を変化させることが可能である。そのため、試験室11内部の空気と貯留部21内部の水との温度差を小さくすることが可能である。
【0042】
上記の結露試験装置1は、試験槽2内部の吹出口14に配置された2つのセンサ、すなわち、吹出口14を通して試験室11へ吹き出す空気の温度を検知する温度センサ10aと、当該空気の湿度を検知する湿度センサ10bとを備えている。
【0043】
さらに、上記の結露試験装置1は、空調部3および結露用加湿器4を制御するコントローラ9を備える。具体的には、コントローラ9は、吹出口14に配置された温度センサ10aおよび湿度センサ10bによって検知された空気の温度および湿度に基づいて、空調用加湿器5の加熱部20、冷却除湿器6、加熱器7、および送風機8を制御する。さらに、コントローラ9は、結露用加湿器4の制御、具体的には、温度センサ23によって検知された貯留部21内部の水W2の温度に基づいて、当該貯留部21内部の水W2の温度が所定の水温になるように加熱器22を制御、例えばフィードバック制御(PID制御など)をする。
【0044】
上記のように構成された結露試験装置1を用いた結露試験方法は、2つの工程、すなわち、結露用加湿器4によって、試験室11の内部で蒸気を発生させて供試体Sの表面に結露を発生させる結露工程と、空調部3によって、試験室11内部における空気の温度および湿度を調整して当該空気を乾燥させる乾燥工程とを含む。
【0045】
結露試験方法は、具体的には以下のようにして行われる。まず、
図3のグラフに示されるように、結露工程を行う前の準備段階A
0(開始からt1(分)の範囲)では、結露用加湿器4を作動させずに、空調部3を作動させて試験室11内部の温度および湿度をあらかじめ所定の温度および湿度(例えば、低温高湿度の状態)になるように調整する。具体的には、コントローラ9は、空調部3の送風機8に対して吹出口14から試験室11へ空気を送り出すように制御する。これにより、
図4の矢印Bのように試験室11と空調用通路12との間で空気が循環する。それとともに、コントローラ9は、
図5のグラフに示されるように、加熱器7をON(フラグ1)の状態にして、加熱器7に対して循環する空気を加熱するように制御する。具体的には、コントローラ9は、加熱器7を空気温度が所定の温度(本実施形態では、
図3のグラフにおける空気温度を示す曲線IIが示す温度)になるように制御する。さらに、加熱器7と同様に、コントローラ9は、
図6のグラフに示されるように、空調用加湿器5の加熱部20をON(フラグ1)の状態にして、当該加熱部20に対して水W1を加熱するように制御する。これにより、空調用加湿器5は、蒸気を発生させ、循環する空気の相対湿度を所定の相対湿度(本実施形態では、
図3のグラフにおける相対湿度を示す曲線IIIが示す相対湿度)になるように調整する。なお、この準備段階A
0では、空調用加湿器5を動作させなくてもよい。
【0046】
ついで、
図3の結露工程A
1(t1〜t2(分)の範囲)では、結露試験装置1は、空調部3を作動させずに、結露用加湿器4を作動させて供試体Sに結露を発生させる結露工程の動作を行う。具体的には、コントローラ9は、
図5のグラフに示されるように上記の加熱器7をOFF(フラグ0)の状態にして、加熱器7の動作を停止させる。加熱器7と同様に、コントローラ9は、さらに、
図6のグラフに示されるように空調用加湿器5の加熱部20をOFF(フラグ0)の状態にして、当該加熱部20の動作を停止させる。それとともに、コントローラ9は、送風機8を停止させて、試験室11と空調用通路12との間の空気の循環を停止させる。そして、コントローラ9は、
図7のグラフに示されるように結露用加湿器4の加熱部22をON(フラグ1)の状態にして、当該加熱部22に対して水W2を加熱して蒸気V(
図8参照)を発生するように制御する。このとき、コントローラ9は、結露用加湿器4の水温が
図3のグラフにおける結露用加湿器4の設定水温を示す曲線Iに沿って上昇するように、温度センサ23で検知された水温に基づいて、加熱部22をフィードバック制御する。具体的には、コントローラ9は、結露用加湿器4の水温が予め設定された所定時間内(
図3のグラフに示される設定時間t1〜t2)の間において、所定の第1温度(時間t1における加熱開始温度)から所定の第2温度(時間t2加熱終了後の温度)まで一定の割合で上昇するように、加熱部22による熱量を制御する。これにより、結露用加湿器4の実際の水温T
Wは、
図9のグラフに示されるように、結露工程A1において
図3のグラフの設定水温を示す曲線Iと同様の勾配で上昇する。それに伴って、試験室11内の空気も温度上昇している水W2によって徐々に温められる。よって、当該空気の温度T
Aは、水温T
Wに追随して上昇する。
【0047】
図8に示されるように、加熱部22が貯留部21に貯留された水W2を加熱して蒸気Vを発生させたとき、蒸気Vは、上昇し、網状部材16を通して供試体Sへ到達する。これにより、供試体Sに速やかかつ多量に結露させることが可能である。
【0048】
結露工程が終了した後、
図3の乾燥工程A
2(t2〜t3(分)の範囲)では、結露試験装置1は、結露用加湿器4を作動させずに、空調部3を作動させて試験室11内部における空気の温度および湿度を調整して当該空気を乾燥させるとともに結露用加湿器4の貯留部21内の水W2を冷却させる乾燥工程の動作を行う。具体的には、コントローラ9は、
図7のグラフに示されるように結露用加湿器4の加熱部22の動作を停止させる。その一方で、コントローラ9は、
図5のグラフに示されるように加熱器7の動作を再開させ、さらに、
図6のグラフに示されるように空調用加湿器5の加熱部20の動作を再開させる。それとともに、コントローラ9は、送風機8を再び起動させて、
図4の矢印Bのように、試験室11と空調用通路12との間の空気の循環を再開させる。このとき、一部の空気B1は、結露用加湿器4の貯留部21の底部21bと床部15との隙間25を通るので、貯留部21内部の水W2は、隙間25を通る空気B1との熱交換によって急速に冷却される。このように、貯留部21の底部21bを熱交換部として積極的に利用することが可能である。
【0049】
このとき、コントローラ9は、温度センサ10aおよび湿度センサ10bによって検知された試験室11内部の空気の温度および湿度に基づいて、空調用加湿器5、冷却除湿器6、および加熱器7をフィードバック制御する。そのため、試験室11内部の空気の温度は、
図3のグラフにおける空気の設定温度を示す曲線IIに沿って徐々に下降するように制御される。これにより、試験室11内部の空気の温度T
Aは、
図9のグラフに示されるように、乾燥工程A
2において
図3のグラフの空気の設定温度を示す曲線IIと同様の勾配で徐々に下降する。それに伴って、試験室11内の空気によって結露用加湿器4内の水W2が次第に冷却され、水温T
Wも空気の温度T
Aに追随して下降する。なお、この乾燥工程A
2において、空調用加湿器5は動作させなくてもよい。
【0050】
このようにして、結露工程A
1において試験室11内部の結露用加湿器4の水温を上昇させて蒸気を発生させることによって供試体Sに速やかかつ多量に結露させることが可能である。また、その後の乾燥工程A
2において、試験室11内部の空気の温度および湿度を調整することによって、速やかに試験室11内部の空気を乾燥させるとともに結露用加湿器4の水温を下げることが可能である。
【0051】
乾燥工程A
2の終了後は、再び、上記のように、準備段階A
0、結露工程A
1、および乾燥工程A
2の一連のサイクルを順に行う。所定回数のサイクルを終了後、全ての結露試験が終了する。
【0052】
(特徴)
(1)
本実施形態の結露試験装置1では、結露用加湿器4が試験室11の内部に配置されている。そのため、当該結露用加湿器4で水温を上昇させて蒸気を発生させたときに、蒸気は、空調用通路12などを通って除湿されることなく、試験室11内部に収容された供試体Sの表面に速やかに到達することが可能である。そのため、供試体S表面に速やかに多量の結露を発生させることが可能である。
【0053】
しかも、結露用加湿器4は、試験室11の内部に配置されているので、当該結露用加湿器4の貯留部21に貯留された水W2の熱は、当該貯留部21などを介して試験室11の内部の空気に伝達されやすいので、結露を発生させるときにおいて、結露用加湿器4の水温と試験室11内の空気温度との差が生じることがあってもその差を小さくすることが可能である。よって、水温の制御によって試験室11内の空気の温度を調整することが容易になり、結露試験の試験精度を向上させることが可能である。
【0054】
(2)
本実施形態の結露試験装置1では、試験室11内部の空気を調整するための空調部3は、試験室11の内部における相対湿度を調整する空調用加湿器5を備えている。これにより、供試体Sに結露を発生させた後に、空調部3によって試験室11内部の温度を調整して試験室11内部の空気を乾燥させる乾燥工程を行う場合、空調用加湿器5によって試験室11内部の相対湿度を調整することが可能である。
【0055】
また、乾燥工程では、結露用加湿器4を動作させないので結露用加湿器4の水温が上がらない。その結果、結露用加湿器4の水温をより早く下げて、当該水温を結露工程の開始温度で安定させることが可能である。これにより、結露試験の試験精度および試験の再現性が向上する。
【0056】
(3)
本実施形態の結露試験装置1では、試験槽2は、試験室11に連通する空調用通路12をさらに備え、空調部3は、空調用通路12に収容されている。これにより、空調用通路12内において空調部3で調整された空気を試験室11へ速やかに送ることが可能である。
【0057】
(4)
本実施形態の結露試験装置1では、結露用加湿器4が試験室11の床部15などの内壁に取り外し可能に取り付けられる構造であるので、試験槽2および空調部3として、既存の恒温恒湿器または恒温器の試験槽2および空調部3を利用することが可能である。そのため、結露試験のためだけに、試験室11の内部に加湿器が常設された結露試験専用の装置を準備する必要がなくなり、低コストで結露試験を行うことが可能である。
【0058】
言い換えれば、既存の恒温恒湿槽の試験室に結露用加湿器4を取り付けることにより、上記実施形態の結露試験装置1を構成することが可能である。
【0059】
また、本発明では、空調部3は、試験室11の内部の空気の少なくとも温度を調整する機構であればよく、空調用加湿器5は省略してもよい。したがって、上記の空調用加湿器5が不要な場合には、従来の恒温槽の試験室に結露用加湿器4を取り付けることにより、本発明の結露試験装置1を構成することが可能である。
【0060】
(5)
本実施形態の結露試験装置1では、支持体24が貯留部21を試験室11の床部15などの内壁から離間して支持することによって、貯留部21と試験室11の内壁との間には隙間25が形成される。したがって、加熱部22が貯留部21内部の水W2を加熱して蒸気を発生させて結露を発生させる際には、貯留部21から試験室11の内壁への熱の伝導を上記の隙間25によって抑えることが可能であり、貯留部21内部の水W2を効率よく加熱することが可能である。さらに、結露を発生させた後において、貯留部21内部の水W2の温度よりも低い空気がこの隙間25を通る場合には、この隙間25を通る空気と貯留部21内部の水W2との間で熱交換を行うことにより、貯留部21内部の水W2を速やかに冷却することが可能である。
【0061】
(6)
本実施形態の結露試験方法では、結露工程において、試験室11内部に配置された結露用加湿器4によって、供試体Sの表面に速やかに多量の結露を発生させることが可能である。また、乾燥工程において、空調部3によって、試験室11内部における空気の温度を調整して当該空気を乾燥させることによって、結露を蒸発させることが可能である。これにより、結露の発生と蒸発を交互に行って所望のサイクルの結露試験を行うことが可能である。
【0062】
本発明では、以下のような変形例も本発明の範囲に含まれる。
【0063】
(変形例)
(A)
上記実施形態の結露用加湿器4では、
図2に示されるように、貯留部21を支持する支持体24として、金属製の丸棒を例にあげて説明したが、本発明では、支持体の材料や形状についてはとくに限定しない。
【0064】
例えば、
図10に示される変形例のように、支持体24は樹脂板によって構成されていてもよい。この場合、金属製の支持体24と比較して、貯留部21に貯留された水W2を加熱する際に、熱が貯留部21から支持体24を介して試験槽2の床部15などの内壁へ伝導しにくくなり、速やかに水W2を加熱して空気を湿らせることができる。
【0065】
(B)
また、
図11に示される変形例のように、支持体24は、貯留部21と試験室11の床部15などの内壁との隙間25を通る空気に接触して貯留部21から空気へ放熱する放熱部として機能するヒートシンク部24aを有するようにしてもよい。この支持体24は、金属製の薄板などによって構成される。このような構成では、支持体24のヒートシンク部24aは、支持体24と隙間25を通る空気とが接触する面積が拡大するように平板形状を有している。当該ヒートシンク部24aが空気と広範囲に接触することによって貯留部21から空気へ放熱することが容易になり、貯留部21内部の水W2の熱を支持体24を介して空気に速やかに伝達することが可能である。その結果、隙間25を通る空気によって貯留部21内部の水W2をより速やかに冷却することが可能である。
【0066】
なお、ヒートシンク部24aの下部(すなわち、ヒートシンク部24aと試験室11の床部15との間)に断熱部材を設置してもよい。これにより、貯留部21に貯留された水W2を加熱する際に、熱が貯留部21からヒートシンク部24aを介して試験槽2の床部15などの内壁へ伝導しにくくなり、速やかに水W2を加熱して空気を湿らせることができる。断熱部材としては、例えば、樹脂板、シリコーンゴムなどの材料の部材が採用可能であるが、本発明は材料についてとくに限定しない。また、断熱部材の形状は、例えば、複数のヒートシンク部24aの下側に敷くことが可能な1枚の大きな板の形状や、各ヒートシンク部24aの下端部を覆って保護するキャップの形状などが採用可能であるが、本発明は形状についてとくに限定しない。
【0067】
また、上記のように貯留部21を支持する支持体24については、種々の形態を採用することが可能であるが、本発明は支持体24を有することに限定するものではなく、支持体24を省略してもよい。
【0068】
(C)
上記の実施形態では、結露用加湿器4は、試験室11の床部15に載置されることにより、試験室11の内壁から取り外しできるように取り付けられているが、本発明はこれに限定されるものではない。変形例として、結露用加湿器4は、試験槽2における試験室11を構成する側壁18に取り外し可能に取り付けられてもよい。または、結露用加湿器4は、床部15や側壁18などに固定されていてもよい。
【0069】
(D)
上記実施形態では、空調部3は、試験槽2の空調用通路12の内部に配置されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、空調部3を試験槽2の外部に配置してもよい。
【0070】
(E)
なお、上記実施形態では、結露工程中に送風機8を停止させているが、本発明はこれに限定するものではない。すなわち、結露工程中には送風機8を停止する方が好ましいが、送風機8を結露工程中に動作させてもよい。例えば、結露工程中は乾燥工程中の送風量よりも低い送風量になるように、送風機8を動作させてもよい。または、送風量を制御しないで、結露工程を含めた全工程において送風機8を常時動作させていてもよい。
【0071】
(F)
上記実施形態では、試験室11への送風方向は、試験室11上側の吹出口14から空気が吹き出して、試験室11下側の吸込口13から空気を吸い込んでいる方向であるが、本発明はこれに限定するものではない。すなわち、上記実施形態と逆の送風方向、具体的には、試験室11の上側から空気を吸い込んで、下側から空気を吹き出すような送風方向にしてもよい。