特許第6092855号(P6092855)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ヴォルタリの特許一覧

特許6092855暖房、換気および/または空調装置並びにそれを用いたキット
<>
  • 特許6092855-暖房、換気および/または空調装置並びにそれを用いたキット 図000002
  • 特許6092855-暖房、換気および/または空調装置並びにそれを用いたキット 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092855
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】暖房、換気および/または空調装置並びにそれを用いたキット
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/02 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
   F24F11/02 P
   F24F11/02 103D
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-515244(P2014-515244)
(86)(22)【出願日】2012年6月12日
(65)【公表番号】特表2014-517247(P2014-517247A)
(43)【公表日】2014年7月17日
(86)【国際出願番号】FR2012000238
(87)【国際公開番号】WO2012172193
(87)【国際公開日】20121220
【審査請求日】2015年4月22日
(31)【優先権主張番号】11/01830
(32)【優先日】2011年6月15日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513293016
【氏名又は名称】ヴォルタリ
(74)【代理人】
【識別番号】100080001
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和
(74)【代理人】
【識別番号】100093023
【弁理士】
【氏名又は名称】小塚 善高
(74)【代理人】
【識別番号】100117008
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 章子
(72)【発明者】
【氏名】ハインツ, ブリュノ
(72)【発明者】
【氏名】ウーリー, ジャン−マルク
(72)【発明者】
【氏名】ルフェーブル ドゥ サン ジェルマン ユーグ
(72)【発明者】
【氏名】ビヴァ, ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ビノー, マシュー
【審査官】 横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】 特開平05−223313(JP,A)
【文献】 特開2008−175466(JP,A)
【文献】 特開平06−050558(JP,A)
【文献】 特開平09−266630(JP,A)
【文献】 特開平06−272947(JP,A)
【文献】 特開2002−303439(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱および/または冷気を生成するための少なくとも第1のコンポーネント(9)と、少なくとも第2のコンポーネント(13)と、前記第1および第2のコンポーネントに共通の電力供給回路(3)と、前記電力供給回路(3)のための制御装置(4)とを備え、前記第1および第2のコンポーネントが選択された温度で空気を出力するように協働する暖房、換気および/または空調装置(1)であって、
前記第1のコンポーネント(9)への電力供給を遮断するためのリレー(5)を更に備え、
前記リレー(5)は、前記電力供給回路(3)の第1のコンポーネント(9)のみに結合され、
前記リレー(5)は前記制御装置(4)とは無関係に作動させることができ、
また、前記リレー(5)は、前記第2のコンポーネント(13)への電力供給が前記リレー(5)の作動状態とは無関係であるように電力供給回路(3)内に配置され、前記リレー(5)の開位置が、前記第2のコンポーネント(13)への電力供給に影響を及ぼすことがないことを特徴とする暖房、換気および/または空調装置。
【請求項2】
前記第1のコンポーネント(9)はコンプレッサを備える、請求項1に記載の暖房、換気および/または空調装置。
【請求項3】
第1のコンポーネント(9)は発熱体を備える、請求項1または請求項2に記載の暖房、換気および/または空調装置。
【請求項4】
前記第2のコンポーネントはプログラマ(13)を備える、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の暖房、換気および/または空調装置。
【請求項5】
前記第2のコンポーネントは、少なくとも1つのファン(15)を備える、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の暖房、換気および/または空調装置。
【請求項6】
リレー(5)は、第1のコンポーネント(9)の電力消費を測定することが可能な回路を備える、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の暖房、換気および/または空調装置。
【請求項7】
リレー(5)は、有線接続による、電力線通信(PLC)による、電波による、WiFiによる、および/または赤外線による通信の手段を備える、請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の暖房、換気および/または空調装置。
【請求項8】
少なくとも、請求項1〜7のいずれか1項に記載の暖房、換気および/または空調装置(1)と、前記暖房、換気および/または空調装置(1)のリレー(5)を制御するように構成されたドライバ(21)とを備えるキット。
【請求項9】
ドライバ(21)は、他のリレーを駆動することができる、請求項8に記載のキット。
【請求項10】
ドライバ(21)は、電力消費に関するリアルタイムの管理および調節のためのシステムによって遠隔的に制御することができる、請求項8または請求項9に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房、換気および/または空調装置に関する。従来、この種の装置は、その頭字語によりHVAC(heating、ventilation and/or air−conditioning)と呼ばれている。本発明は、暖房装置、空調装置およびそれらの組合せに関する。
【背景技術】
【0002】
現在のエネルギーコストは、消費電力を制御された方法で注意深く管理する必要がある。この管理は、電気装置自体の規模で、およびそれらを供給する電力網において必要である。地方または国の規模での送電網に関する消費の調節は、地域規模、例えば、複数の居住施設での行動が含まれ得る。
【0003】
エネルギー消費量を管理するための既存のシステムは、様々な形態を有する。それらのシステムは、最もシンプルな家庭用電気暖房サーモスタットから、アパートの全ブロックの集中管理まで、受けた命令に従って、電気装置への電力供給を制御できるようになっている。
【0004】
本出願人は既に、仏国特許公開第2904486号明細書において、消費電力に関するリアルタイムの管理および調節のための方法を提案している。この方法は、一方においては、非常に多数のエンドユーザーの電力消費を分析して、電力網上で使用可能なエネルギー生成量と常に比較できるようになっている。他方においては、この方法は、それらのエンドユーザーの特定の装置への電力供給を選択的に調節できるようになっている。
【0005】
大勢のユーザーの消費量の分析と関連した電力供給の調節は、定められた時に電力消費を使用可能な生成量に適合できるようにする。換言すれば、需要の増加時に、エネルギー生成量を増加させる代わりに、電力網上のいくつかのある場所における消費量を低減することによって、その増加を相殺することが可能になる。これは、「分散型負荷制限(distributed load shedding)」として知られている。
【0006】
分散型負荷制限は、エネルギーピークの財政的な影響を制限するために、(例えば、冬期の夕方における)エネルギー需要の急激な変動を最小限にするようになっている。通常は、休止している生成設備を作動させることにより、または、外国の電力網から購入することによって補われている。どちらの解決策も非常にコストがかかる。
【0007】
この方法は、それ自体有能であることを示す。それでもやはり、この方法には、電力供給における定期的な障害がある。これは、電力供給における急激なおよび繰り返される障害に耐えられない脆弱な電子部品を含む電気装置には適合しない。
【0008】
また、この方法は、データを保存しなければならない電気装置には不適合である。いくつかの装置は、それらの内部記憶装置に含まれている情報を保持するために、待機モードであっても電力が供給されるように設計されている。本出願人の本方法によって生じる障害等の電力供給における障害は、記憶装置を危険にさらしたり、誤作動を引き起こしたりする可能性がある。
【0009】
また別の装置には、電力供給における障害がユーザーに即時に不都合を与えるような使用法もある。ここでもまた、それらの装置は、この方法には全く適合しない。
【0010】
その結果、多くの装置は、この方法を実行するためには使用されない。このことは、この方法から、その有効性の一部を奪い、エネルギー的および財政的に共に達成可能な想定される節約を制限している。
【0011】
さらに、これまでは、様々な空調装置と、他の暖房、換気および/または空調装置モデルとの間の調和された制御の組み合わせは存在していない。そのため、一般的な設備によるこれら装置の制御は複雑であり、信頼できる解決策はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】仏国特許公開第2904486号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記の状況を改善しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
熱および/または冷気を発生させるための少なくとも第1のコンポーネントと、少なくとも第2のコンポーネントと、第1および第2のコンポーネントに共通の電力供給回路と、電力供給回路のための制御装置とを有する、暖房、換気および/または空調装置である。第1および第2のコンポーネントは、選択された温度で空気を出力するように協働する。装置は、第1のコンポーネントへの電力供給を遮断するためのリレーをさらに備えることが注目に値する。リレーは、制御装置とは無関係に作動させることができ、および第2のコンポーネントへの電力供給が、リレーの作動状態とは無関係であるように、電力供給回路内に配置することができる。
【0015】
この装置は、装置内の電力供給回路を選択的に調節できるようになっているため、特に有利である。そのため、その電気装置自体の外部にあるシステムによって、いくつかのコンポーネントを制御することができる。それらのコンポーネントは、その装置またはユーザーにとって悪い結果を伴うことなく、一時的に調節することができる。同時に、それにとって永続的な電力供給が必要であるか、または、その切断が好ましくない、いくつかの他のコンポーネントへの電力供給を維持することができる。したがって、脆弱な電子部品を、電力供給の遮断から保護することができる。
【0016】
このような装置は、制御すべきコンポーネントへの電力供給に直接的に作用するため、装置の制御装置の標準化という問題によって影響を受けることがない。コンポーネントは、その停止が、何らかの不便さを引き起こさないように選択される。換言すれば、装置は、電気装置の即時動作モードを可能にする。この即時動作モードは、外部の制御部材によって遠隔的に作動させることができる。
【0017】
この種の装置は、特に、暖房、換気および/または空調装置、例えば、プログラム可能な電気ストーブまたは空調装置に適している。本発明による装置の動作は、電力消費に関するリアルタイムの管理および調節のための方法およびシステム、例えば、上述した方法と組合わせにおいて特別な関心を持たれるものである。しかし、本発明の装置は、他の同様の方法とともに用いてもよい。
【0018】
本発明は、暖房、換気および/または空調装置と、装置を駆動するように構成されたドライバとを備えるキットの形態をとることができる。ドライバは、電力消費に関するリアルタイムの管理および調節のためのシステムによって遠隔的に制御することができる。
【0019】
本発明のその他の特徴および効果は、以下の詳細な説明および添付図面の検討によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の装置の概略図である。
図2】仏国特許公開第2904486号明細書の方法を実行する回路における図1の装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付図面は、主に特定の性質のもの(of a certain nature)であり、そして本発明を補足するのに役に立つだけではなく、適切な場合、本発明の規定にも寄与する。
【0022】
図1に示す実施形態において、暖房、換気および/または空調装置1は、空調装置である。空調装置1は、電力供給回路3と、電力供給回路3のための制御装置4と、リレー5と、熱交換器7と、複数のアクセサリコンポーネント13、15、17、19とを備えている。ここに記載されている実施例において、制御装置4は、手動スイッチである。変形例においては、制御装置4は、遠隔制御することができ、および/または自動的にすることができる。熱交換器7は、冷気を生成するためのコンポーネントを備えている。図示の実施例において、冷気を生成するためのコンポーネントは、閉じた冷却剤回路11の一部を構成するコンプレッサ9を備えている。アクセサリコンポーネントは、ここに記載されている実施例においては、プログラマ13と、送風ファン15、17、19とを含んでいる。熱交換器7のコンプレッサ9、ならびにアクセサリコンポーネント13、15、17、19には、電力供給回路3によって電力が供給される。リレー5は、電源と、熱交換器7のコンプレッサ9との間に電気的に配置されている。
【0023】
空調装置1の動作は、プログラマ13によって制御される。ここに記載されている実施例においては、プログラマ13は、空調装置1に一体化されており、空調装置専用になっている。変形例においては、プログラマ13は、独立させることができ、および公知の何らかの手段によって、空調装置1と通信することができる。プログラマ13は、空調装置1と類似の一群の空調装置を同様に制御することができる。プログラマ13は、他の装置、例えば、暖房機も制御することができる。
【0024】
リレー5は、少なくとも「開」位置と「閉」位置を有している。閉位置において、リレー5は、閉じたスイッチと電気的に等価であり、電源、すなわち、電力供給回路3と、熱交換器7のコンプレッサ9との間に電流を流せるようになっている。空調装置1は、従来の動作モードになっており、それによって、その全てのコンポーネントの同時動作を可能にしている。熱交換器7が作動している場合、ファン15、17、19のような冷気生成機能が作動可能になっている。空調装置1は、プログラマ13によって設定された温度で空気を出力することができる。
【0025】
開位置において、リレー5は、開いたスイッチとして機能し、電力供給回路3と、熱交換器7のコンプレッサ9との間に電流が流れるのを防いでいる。その場合、空調装置1は、「エコノミー(節約)」動作モードになっており、およびコンプレッサ9への電力供給は停止されている。閉回路11内での冷却剤の循環は止まっている。リレー5は、電力供給回路3内のコンプレッサ9のみに結合されているため、リレー5の開位置が、アクセサリコンポーネント13、15、17、19への電力供給に影響を及ぼすことはない。そのため、リレー5は、アクセサリコンポーネント13、15、17、19への電力供給が、リレー5の作動状態とは無関係となる方法で、電力供給回路3内に配置される。したがって、ファン15、17、19を用いた空調装置1による空気攪拌は可能なままであり、プログラマ13によるおよび/または制御装置4による空調装置1の動作の制御が維持されている。
【0026】
リレー5が開位置になっている状態での空調装置1の動作は空気攪拌をもたらしているが、もはや空気の冷却はもたらしていない。このような動作モードは、コンプレッサ9のエネルギー消費を止めながら、攪拌により、ユーザーのために新鮮な感覚を維持できるようにしている。
【0027】
空調装置1の確立された用途の場合、すなわち、プログラマ13の設定温度周辺では、熱交換器7のコンプレッサ9は、ユーザーに快適さがなくなったと気にさせることなく、短時間、例えば、約30分間、停止させることができる。他方において、ファン15、17、19を、それと同じ短時間、停止させた場合、空気攪拌の停止およびコンプレッサ9の停止は、温度の上昇および空気のよどみを生じさせるであろう。このことは、ユーザーにとってすぐ簡単に気になるような快適さの喪失をもたらすであろう。したがって、エコノミー動作モードは、ユーザーのために環境の爽快感を維持しながら、かなりの省エネルギーを実施できるようにする。
【0028】
そのため、この動作モードは、アクセサリコンポーネント13、15、17、19によって消費されたエネルギーに対する空調装置1の総消費量を制限する。このことは、コンプレッサ9が、概して、ほとんどのエネルギーを消費する空調装置1の構成部材であるため、エネルギーの観点から有利である。
【0029】
換言すれば、エコノミーモードにおいて、空気の対流は、快適さ、すなわち、温度的な心地よさをもたらす。閉じた空間内での対流は、体、ここではユーザーの体と、周囲空気との間の熱交換を促進する。このモードにおいて、空調装置1は、必ずしも部屋の実際の平均温度よりも低くなるわけではない。対照的に、温度は、換気により、部屋の全体にわたって一様になり、それによって熱交換を最適化する。
【0030】
図1に示す実施形態において、リレー5の動作は、ドライバ21によって遠隔的に制御される。ドライバ21とリレー5との間の通信は、リレー5の通信手段によって実行することができる。それらの手段は、例えば、有線接続、電力線通信(power line communication:PLC)、電波、WiFi、赤外線、または他の何らかの適当な手段による送信機/受信機を備えることができる。
【0031】
作動、すなわち、ドライバ21によってリレー5を開くこと、またはその不作動、すなわち、リレー5を閉じることは、ユーザーによるドライバ21の直接プログラミングから得ることができる。ドライバ21のためのコマンドは、ドライバ21が、例えば、GPRSモデムおよびアンテナ(図示せず)によって、および/または(WiFi、PLC等による)ADSLモデムへの接続によって外部のネットワークに接続された場合に、遠隔的にプログラムすることができる。また、ドライバ21のためのコマンドは、予めドライバ21の内部記憶装置でプログラムすることもできる。
【0032】
変形例においては、リレー5は、コンプレッサ9の電力消費を測定することが可能な回路を備えることができる。この測定は、誘導ループを用いて実行することができる。それらのデータは、それによる処理のためのドライバ21へリレー5の通信手段によって送ることができる。他の実施形態においては、測定回路のために、他の要素を用いることができる。
【0033】
また、ドライバ21は、リレー5、空調装置等を含む他の電気装置を制御することもできる。ここで図示されている実施例において、ドライバ21は、仏国特許公開第2904486号明細書に記載されているボックスタイプである。
【0034】
本発明の暖房、換気および/または空調装置は、熱交換器7のコンプレッサ9の電気的に上流で、および電源の下流で、リレー5を何れかの空調装置に取り付けることによって得ることができる。したがって、既存の空調装置に適応させることが可能である。リレー5は、設計段階で、空調装置1の電気回路に同様に一体化することができる。リレー5は、装置1の電力供給回路3の制御装置4とは無関係に駆動することができ、また、その状態は、装置の動作モードに依存しない。このことは、ドライバ21とは異なり、装置1のための制御手段に関するユーザーによる介在は、リレー5に影響を及ぼさないことを意味する。
【0035】
既存の空調装置へのリレー5の取付けには、リレー5の電気的接続を含む。実用的な理由および景観的理由のため、取付けは、好ましくは、リレー5を空調装置内部に物理的に配置することを含む。このような作業は、迅速でシンプルでコストがかからない。リレー5の小さなサイズ、および電気的接続の容易さは、市場で既に入手可能なほとんど大多数の空調装置への適応を可能にしている。
【0036】
このような取付けは、空調装置の既存の制御システム、例えば、制御装置、遠隔制御部または他のユーザーインタフェースをそのままにする。本発明は、コンポーネント群の内部電力供給に直接的に作用することにより、異なる製造会社によって採用された様々な通信規格への適応という問題を避けることを可能にする。
【0037】
リレー5によってもたらされた電気的調節は、プログラマ13に格納された情報を維持する。コンプレッサ9は、概して、電流の急激な変動に対して比較的反応しにくいため、電気的調節は、空調装置1の脆弱な電子部品に影響を及ぼさない。
【0038】
変形例においては、暖房、換気および/または空調装置1は、電気ラジエータとすることができる。この場合、装置は、熱交換器7が、熱を生成するためのコンポーネント、例えば、電気抵抗加熱部材を備えていることを除いて、図1の装置と類似している。コンプレッサ9と、閉じた冷却剤回路11は、この変形例において、加熱部材と置き換えることができる。リレー5の動作は、図1の空調装置の動作と類似しており、すなわち、暖房装置は、装置の電力供給回路3の制御装置4とは無関係な方法で調節することができる。例えば、リレー5が開位置になっている状態でも、アクセサリコンポーネントと考えられるファンおよび/またはサーモスタットは、動作を続けることが可能である。電気ラジエータは、同様にファンを含まなくてもよく、また本発明の範囲内にとどまるところにおいて、サーモスタットのみを含むことができる。
【0039】
図2は、ドライバ21に結合された図1の装置1を備える設備の概略図を示す。ドライバ21は、装置25および27への電力供給、および装置24から成る一群23への電力供給も制御する。そのため、ドライバ21は、例えば、住宅への主電力供給源である主電源33と、装置24、25および27の電気回路との間に電気的に配置されているリレー22を制御する。
【0040】
実施例として、電気回路は、電気ストーブ24から成る一群23と、温水器25と、インバータ27と、図1に記載されているような空調装置1とを備えている。リレー22は、適切な通信チャネルにより、例えば、有線接続により、電力線通信(PLC)により、電波により、WiFiにより、赤外線により、または、他の何らかの手段によって、ドライバ21に接続されている。リレー22は、装置24、25および27、または、一群の装置23への電力の供給を可能にしたり不可能にしたりするスイッチとして機能する。リレー22は、制御されるべき装置へ電力を供給するように選択された電力供給路上の主電源パネルの領域内に配置することができる。空調装置1は、上記で詳述した理由のために、電力を奪われてはならないため、空調装置1への電力供給ラインは、リレー22を有していない。他方では、ドライバ21もまた、空調装置1のリレー5(図2には図示せず)と通信する。装置1とドライバ21は、一緒にまたは別々に販売および/または取付けることができ、またそのためキットを構成する。
【0041】
仏国特許公開第2904486号の方法によれば、セントラルサーバ31は、複数の住宅に分散されている、ドライバ21と類似の複数のドライバを管理する。セントラルサーバ31は、短期間、例えば、約10分間の調節のための命令を、望まれる消費を適合させることにより、ドライバ21のうちのいくつかへ送る。調節が適用されるドライバ21は、各ドライバ21によって生じる調節の継続時間を制限しながら、総消費量を長期的に低減するように順に入れ替えられる。
【0042】
本発明は、環境管理装置の有効性を著しく低減することなく、環境管理装置の電力消費を実質的に低減すること、および選択された電子部品を保護しながら、短時間の局所的な電力供給障害を装置内で生じさせることを可能にする。
【0043】
本発明は、小規模の介入で、非常に多くの既存の暖房、換気および/または空調装置とともに用いることができる。リレーを既存の装置に取付けるコストは、実現されるエネルギー節約によって相殺される。本発明は、本発明による装置の経済的な動作と、それらの動作モードの稼働の集中化とを可能にする。このような装置は、1つの住居または大規模な住居群規模での集中稼働を可能にする。
図1
図2