特許第6092867号(P6092867)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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6092867担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092867
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ
(51)【国際特許分類】
   A61K 47/50 20170101AFI20170227BHJP
   A61K 31/5575 20060101ALI20170227BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20170227BHJP
   A61K 47/42 20170101ALI20170227BHJP
   A61K 47/10 20060101ALI20170227BHJP
   C07K 14/00 20060101ALN20170227BHJP
【FI】
   A61K47/48
   A61K31/5575ZNA
   A61P9/00
   A61K47/42
   A61K47/10
   !C07K14/00
【請求項の数】30
【全頁数】170
(21)【出願番号】特願2014-524413(P2014-524413)
(86)(22)【出願日】2012年8月10日
(65)【公表番号】特表2014-527050(P2014-527050A)
(43)【公表日】2014年10月9日
(86)【国際出願番号】EP2012065745
(87)【国際公開番号】WO2013024052
(87)【国際公開日】20130221
【審査請求日】2015年5月28日
(31)【優先権主張番号】11177409.7
(32)【優先日】2011年8月12日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】11195615.7
(32)【優先日】2011年12月23日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】12165508.8
(32)【優先日】2012年4月25日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】510209133
【氏名又は名称】アセンディス ファーマ エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169971
【弁理士】
【氏名又は名称】菊田 尚子
(74)【代理人】
【識別番号】100125508
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 愛
(74)【代理人】
【識別番号】100168893
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 正路
(72)【発明者】
【氏名】ヘルセル,ウルリヒ
(72)【発明者】
【氏名】ラウ,ハラルト
(72)【発明者】
【氏名】レスマン,トルベン
(72)【発明者】
【氏名】ビセク,ニコラ
(72)【発明者】
【氏名】マイトロ,ギョーム
(72)【発明者】
【氏名】スプローエ,ケネット
(72)【発明者】
【氏名】ヴェッゲ,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】カイル,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】ツェットラー,ヨアヒム
【審査官】 伊藤 清子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2003−523935(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/012715(WO,A1)
【文献】 特表2013−500950(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/019233(WO,A1)
【文献】 特表2011−530597(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/033207(WO,A1)
【文献】 特表2012−502990(JP,A)
【文献】 特表2010−531139(JP,A)
【文献】 特表2010−518122(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 47/50
A61K 31/5575
A61K 47/10
A61K 47/42
A61P 9/00
C07K 14/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II-A)の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ:
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、
各Tは、独立に、構造(i)から(v)までから選択され、
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[式中、点線は分子の残部に対する結合を示す]
yは、1から64までの範囲の、好ましくは1から16までの範囲の整数であり、より好ましくはyは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15及び16から選択され、より一層好ましくはyは8であり、
Ra2及びRa4は、独立に、H、非置換のアルキル、及び置換されているアルキルから選択され、又はRa2及びRa4は、Aが芳香族部分である場合には、存在せず、
Qは、スペーサー部分であり、
Aは、フェニレン、ナフチレン、インデニレン、インダニレン、テトラリニレン、C3〜10シクロアルキレン、4員から7員の脂肪族ヘテロシクリレン、又は9員から11員の脂肪族ヘテロビシクリレンから選択され、Aは非置換であるか又は置換されており、
Z1は、共有結合しているポリマー、好ましくは薬学的に許容されるポリマーを含む担体である]
、又は薬学的なその塩。
【請求項2】
Ra2がHである、請求項1に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ。
【請求項3】
Ra4がH、C1〜6アルキル、又は置換されているC1〜6アルキルから選択され、好ましくはRa4がHである、請求項1又は2に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ。
【請求項4】
Aは、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン及びシクロヘプチレンからなる群から選択され、より一層好ましくは環Aはシクロヘキシレンである、請求項1から3のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ。
【請求項5】
Tが構造(iii)から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ。
【請求項6】
yが4、6、8、10又は12、好ましくは4、6又は8であり、より好ましくはyが4である、請求項1から5のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ。
【請求項7】
式(II-A)におけるQが、COORa9;ORa9;C(O)Ra9;C(O)N(Ra9Ra9a);S(O)2N(Ra9Ra9a);S(O)N(Ra9Ra9a);S(O)2Ra9;S(O)Ra9;N(Ra9)S(O)2N(Ra9aRa9b);SRa9;N(Ra9Ra9a);OC(O)Ra9;N(Ra9)C(O)Ra9a;N(Ra9)S(O)2Ra9a;N(Ra9)S(O)Ra9a;N(Ra9)C(O)ORa9a;N(Ra9)C(O)N(Ra9aRa9b);OC(O)N(Ra9Ra9a);W;C1〜50アルキレン;C2〜50アルケニレン;及びC2〜50アルキニレンから選択され、W、C1〜50アルキレン、C2〜50アルケニレン、及びC2〜50アルキニレンは、同じ又は異なる1個以上のRa10で置換されていてもよく、C1〜50アルキレン、C2〜50アルケニレン、及びC2〜50アルキニレンは、-W-、-C(O)O-;-O-;-C(O)-;-C(O)N(Ra11)-;-S(O)2N(Ra11)-;-S(O)N(Ra11)-;-S(O)2-;-S(O)-;-N(Ra11)S(O)2N(Ra11a)-;-S-;-N(Ra11)-;-OC(O)Ra11;-N(Ra11)C(O)-;-N(Ra11)S(O)2-;-N(Ra11)S(O)-;-N(Ra11)C(O)O-;-N(Ra11)C(O)N(Ra11a)-;及び-OC(O)N(Ra11Ra11a);からなる群から選択される1個以上の基によって中断されていてもよく、
Ra9、Ra9a、Ra9bは、独立に、H、W、並びにC1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルからなる群から選択され、W、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、同じ又は異なる1個以上のRa10で置換されていてもよく、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、W、-C(O)O-;-O-;-C(O)-;-C(O)N(Ra11)-;-S(O)2N(Ra11)-;-S(O)N(Ra11)-;-S(O)2-;-S(O)-;-N(Ra11)S(O)2N(Ra11a)-;-S-;-N(Ra11)-;-OC(O)Ra11;-N(Ra11)C(O)-;-N(Ra11)S(O)2-;-N(Ra11)S(O)-;-N(Ra11)C(O)O-;-N(Ra11)C(O)N(Ra11a)-;及び-OC(O)N(Ra11Ra11a);からなる群から選択される1個以上の基によって中断されていてもよく、
Wは、フェニレン、ナフチレン、インデニレン、インダニレン、テトラリニレン、C3〜10シクロアルキレン、4員から7員のヘテロシクリレン、又は9員から11員のヘテロビシクリレンからなる群から選択され、Wは、同じ又は異なる1個以上のRa10で置換されていてもよく、
Ra10は、ハロゲン、CN;オキソ(=O);COORa12;ORa12;C(O)Ra12;C(O)N(Ra12Ra12a);S(O)2N(Ra12Ra12a);S(O)N(Ra12Ra12a);S(O)2Ra12;S(O)Ra12;N(Ra12)S(O)2N(Ra12aRa12b);SRa12;N(Ra12Ra12a);NO2;OC(O)Ra12;N(Ra12)C(O)Ra12a;N(Ra12)S(O)2Ra12a;N(Ra12)S(O)Ra12a;N(Ra12)C(O)ORa12a;N(Ra12)C(O)N(Ra12aRa12b);OC(O)N(Ra12Ra12a);又はC1〜6アルキルであり、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで置換されていてもよく、
Ra11、Ra11a、Ra12、Ra12a、Ra12bは、独立に、H及びC1〜6アルキルからなる群から選択され、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで置換されていてもよい、請求項1から6のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ。
【請求項8】
各-Q-は、独立に、Q1a-Q1-*であり、アステリスクはZ1に対する接続を示し、
Q1aは、結合、-C(O)O-;-O-;-C(O)-;-C(O)N(Ra9a)-;-S(O)2N(Ra9a)-;-S(O)N(Ra9a)-; S(O)2-;-S(O)-;-N(Ra9a)S(O)2N(Ra9b)-;-S-;-N(Ra9a)-;-OC(O)-;-N(Ra9a)C(O)-;-N(Ra9a)S(O)2-;-N(Ra9a)S(O)-;-N(Ra9a)C(O)O-;-N(Ra9a)C(O)N(Ra9b)-;-OC(O)N(Ra9a)-;又は-W-、好ましくは-C(O)N(Ra9a)-又は-N(Ra9a)C(O)-;であり、
Q1は、1個以上のRa10で置換されていてもよい、C1〜50アルキレン、C2〜50アルケニレン、及びC2〜50アルキニレンから選択され、これらは、Q1が少なくともC2である場合、C3〜7シクロアルキレン、4員から7員のヘテロシクリレン
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、前記各基は個々に1回以上存在してよい]
からなる群から選択される1個以上の基によって中断されていてもよく、C1〜50アルキレン、C2〜50アルケニレン、及びC2〜50アルキニレンは、Z1に接続する終端において、C3〜7シクロアルキレン、4員から7員のヘテロシクリレン
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
から選択される基によって終結していてもよく、
Ra10は、ハロゲン、CN;オキソ(=O);COORa12;ORa12;C(O)Ra12;C(O)N(Ra12Ra12a);S(O)2N(Ra12Ra12a);S(O)N(Ra12Ra12a);S(O)2Ra12;S(O)Ra12;N(Ra12)S(O)2N(Ra12aRa12b);SRa12;N(Ra12Ra12a);NO2;OC(O)Ra12;N(Ra12)C(O)Ra12a;N(Ra12)S(O)2Ra12a;N(Ra12)S(O)Ra12a;N(Ra12)C(O)ORa12a;N(Ra12)C(O)N(Ra12aRa12b);OC(O)N(Ra12Ra12a);又はC1〜6アルキルであり、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで置換されていてもよく、
Ra12、Ra12a、Ra12bは、独立に、H及びC1〜6アルキルからなる群から選択され、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで置換されていてもよく、
R13、及びR13aは、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はC2〜6アルキニルから選択され、好ましくは、R13、及びR13aは、独立に、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はC2〜6アルキニルから選択される、
請求項7に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ。
【請求項9】
式(IIaa)である、請求項1から8のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ:
【化5】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、
各Tは、独立に、構造(i)又は(iii)から選択され:
【化6】
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[式中、点線は分子の残部に対する結合を意味する]
yは、1から64までの範囲の整数であり、
Ra2は、H、非置換のアルキル、及び置換されているアルキルから選択され、
Ra4は、H、非置換のアルキル、及び置換されているアルキルから選択され、
環A1は、C3〜10シクロアルキレン、4員から7員の脂肪族ヘテロシクリレン、又は9員から11員の脂肪族ヘテロビシクリレンであり、A1は非置換であるか又は置換されており、
Q1は、1個以上のRa10で置換されていてもよいC1〜50アルキレン、C2〜50アルケニレン、及びC2〜50アルキニレンから選択され、これらは、Q1が少なくともC2である場合、C3〜7シクロアルキレン、4員から7員のヘテロシクリレン
【化7】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、前記各基は各々に1回以上存在してよい]
からなる群から選択される1個以上の基によって中断されていてもよく、C1〜50アルキレン、C2〜50アルケニレン、及びC2〜50アルキニレンは、Z1に連結する終端において、C3〜7シクロアルキレン、4員から7員のヘテロシクリレン
【化8】
[この文献は図面を表示できません]
から選択される基によって終結していてもよく、
Ra10は、ハロゲン、CN;オキソ(=O);COORa12;ORa12;C(O)Ra12;C(O)N(Ra12Ra12a);S(O)2N(Ra12Ra12a);S(O)N(Ra12Ra12a);S(O)2Ra12;S(O)Ra12;N(Ra12)S(O)2N(Ra12aRa12b);SRa12;N(Ra12Ra12a);NO2;OC(O)Ra12;N(Ra12)C(O)Ra12a;N(Ra12)S(O)2Ra12a;N(Ra12)S(O)Ra12a;N(Ra12)C(O)ORa12a;N(Ra12)C(O)N(Ra12aRa12b);OC(O)N(Ra12Ra12a);又はC1〜6アルキルであり、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで置換されていてもよく、
Ra12、Ra12a、Ra12bは、独立に、H及びC1〜6アルキルからなる群から選択され、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで置換されていてもよく、
R13、及びR13aは、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はC2〜6アルキニルから選択され、好ましくは、R13、及びR13aは、独立に、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はC2〜6アルキニルから選択され、
Z1は、共有結合しているポリマー、好ましくは薬学的に許容されるポリマーを含む担体である]。
【請求項10】
式(IIab)である、請求項1から9のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ:
【化9】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、
T、Ra2、Ra4、A1、Q1、Z1及びyは、請求項9において規定した通りに用いられる]。
【請求項11】
式(IIac)又は(IIad)である、請求項1から10のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ:
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[式中、
各Tは、独立に、構造(i)又は(iii)から選択され:
【化11】
[この文献は図面を表示できません]
Z1は、共有結合しているポリマー、好ましくは薬学的に許容されるポリマーを含む担体であり、
yは、1から64までの範囲の整数であり、
xは、2、3、4、5、6、7又は8から選択され、
X1は、C1〜15アルキレン、C2〜15アルケニレン、及びC2〜15アルキニレンから選択され、これらは、C3〜7シクロアルキレン、4員から7員のヘテロシクリレン
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、
R13及びR13aは、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はC2〜6アルキニルから選択される]
からなる群から選択される1個以上の基によって置換されていてもよく又は中断されていてもよい]。
【請求項12】
式(IIb)である、請求項1から11のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ:
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、
X1は、C1〜15アルキレン、C2〜15アルケニレン、及びC2〜15アルキニレンから選択され、これらは、C3〜7シクロアルキレン、4員から7員のヘテロシクリレン
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、R13及びR13aは、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はC2〜6アルキニルから選択される]
からなる群から選択される1個以上の基によって置換されていてもよく又は中断されていてもよく、
yは、1から64までの範囲の整数であり、
xは、2、3、4、5、6、7又は8から選択され、
Z1は、共有結合しているポリマー、好ましくは薬学的に許容されるポリマーを含む担体である]。
【請求項13】
xが6である、請求項11又は12に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ。
【請求項14】
式(IIba)の構造を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ:
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、
yは、1から64までの範囲の整数であり、
Z1は、共有結合しているポリマー、好ましくは薬学的に許容されるポリマーを含む担体である]。
【請求項15】
担体Z1が式(VII)の構造を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ:
B-(-A)n (VII)、
[式中、
Bは、分枝コアであり、
Aは、ポリ(エチレングリコール)ベースのポリマー鎖であり、
nは、3から32までの整数である]。
【請求項16】
Z1が部分(IIca)を表す、請求項1から15のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ:
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、
tは、80から160までの範囲であり、
wは、2から6までの範囲であり、
点線は担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグの残部に対する結合を示す]。
【請求項17】
wが2又は3である、請求項16に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ。
【請求項18】
式(IIc)の、請求項1から17のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ、又は薬学的に許容されるその塩:
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、yは4であり、Z1は部分(IIca)を表す:
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、点線は式(IIc)の構造の残部に対する結合を示し、tは80から160までの範囲であり、wは2又は3である]]。
【請求項19】
Z1が式(III)の構造を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩:
【化19】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、
m1、m2の一つが1であれば、点線はX0に対する結合を示し、m1、m2=0の場合、担体はTに対して共有結合的に結合しており、
各m、n及びpは、独立に、5から500までの範囲の整数であり、
qは、2から32までの範囲である]。
【請求項20】
Z1が式(VI)である、請求項1から14のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩:
B-(-A-Hypy)n (VI)、
[式中、
Bは、分枝コアであり、
各Aは、独立に、ポリ(エチレングリコール)ベースのポリマー鎖であり、
各Hypyは、独立に、分枝部分であり、
nは、3から32までの整数である]。
【請求項21】
Z1が構造(i-y)から(iii-y)から選択される、請求項20に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩:
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[式中、
m1、m2の一つが1であれば、点線は式(I)のX0に対する結合を示し、m1、m2=0の場合、担体はTに対して共有結合的に結合しており、
pは、5から2000までの、好ましくは10から1000までの、より好ましくは10から500までの、最も好ましくは100から1000までの整数であり、
qは、1又は2である]。
【請求項22】
Z1が式(V)の構造を有する、請求項1から14のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩:
Hyp1mx-POLx-Hyp2 (V)
[式中、
POLxは、0.5kDaから160kDaまでの範囲の分子量を有するポリマー部分であり、
Hyp1及びHyp2は、独立に、超分枝部分であり、
mxは、0又は1である]。
【請求項23】
mxが0であり、POLx-Hyp2が以下の構造から選択される、請求項22に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩:
【化21】
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
[式中、
m1、m2の一つが1であれば、点線は部分X0に対する結合を示し、m1、m2=0の場合、担体はTに対して共有結合的に結合しており、
pxは、5から2000までの、好ましくは10から1000までの、特に100から1000までの整数であり、
qxは、0から15までの、好ましくは3から7までの整数であり、より好ましくはqxは6である]。
【請求項24】
Z1が、アミノ酸残基少なくとも100個のアミノ酸配列を含み、
アミノ酸残基少なくとも100個のアミノ酸配列は、ランダムコイル構造であり、
アミノ酸残基少なくとも100個のアミノ酸配列は、アラニン、セリン、及びプロリン残基を含む、
請求項1から14のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項25】
請求項1から24のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩を、場合により1種以上の薬学的に許容される賦形剤と共に含む医薬組成物。
【請求項26】
(i)担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが、1回の適用において少なくとも12時間、治療有効量のトレプロスチニルを提供するように、医薬組成物に十分に添加され、且つ/又は
(ii)単一投与量の医薬組成物が、約2mgから約6mgの、好ましくは約4mgのトレプロスチニルを含む、
請求項25に記載の医薬組成物。
【請求項27】
薬物として用いるための、請求項25若しくは26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
トレプロスチニルによって処置及び/又は予防することができる疾患又は障害を処置又は予防する方法において使用するための、請求項25若しくは26に記載の医薬組成物。
【請求項29】
疾患又は障害が肺高血圧症である、請求項28の使用のための医薬組成物。
【請求項30】
局所、腸内投与、非経口投与、吸入、注射若しくは注入、動脈内、皮内、皮下、筋肉内、静脈内、骨内及び腹腔内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、経気管、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、脳室内、又は胸骨内投与のための薬物として用いるための、請求項25若しくは26に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
肺高血圧症(PAH)は、肺動脈、肺静脈又は肺毛細管における血圧の上昇であり、息切れ、めまい、失神及び他の症状をもたらし、これらの症状は全て労作によって悪化する。PAHは、運動耐性の顕著な低下及び心不全を伴う重篤な疾患であり得る。PAHは、発病率が1年あたり約2〜300万件、有病率が100万人あたり約15人である希少疾患である。PAHが非処置である患者の生存期間の中央値は、診断時から2〜3年の範囲であり、死因は通常、右室不全である。
【0002】
肺高血圧症は、肺に接続されている血管及び肺内の血管の血管収縮又は狭窄を伴う。時が経つにつれて、線維化が血管の罹患を引き起こして血管は硬く且つ厚くなり、このため肺内の血圧はさらに上昇し、血流が損なわれる。さらに、心臓の作業負荷の増大は右心室の肥大を引き起こし、これが最終的に右室不全を引き起こす。肺を通る血流が減少すると、心臓の左側に流れ込む血液が減少し、そのため、酸素供給が、特に身体活動の間、必要とされるレベルを下回る。
【0003】
数々の薬剤がPAHの処置のために導入されており、その中でもプロスタサイクリンが最も有効であると一般に考えられている。プロスタサイクリンの一つに、合成プロスタサイクリンであり、Flolan(登録商標)(Glaxo Smith Kline)として販売されているエポプロステノールがある。エポプロステノールは、患者に連続注入によって投与され、半永久的な中心静脈カテーテルを必要とするが、中心静脈カテーテルは敗血症及び血栓症を引き起こすことがある。Flolan(登録商標)は不安定であり、そのため投与の間は氷上に維持しなければならない。Flolan(登録商標)の半減期はわずか3分から5分であるため、注入は昼夜連続的でなければならず、いかなる中断も致死的となり得る。このようにFlolan(登録商標)でのPAHの処置は、患者にとって非常に大きな重荷である。
【0004】
別のプロスタサイクリンである、イロプロスト(イロメジン)は、Ventavis(登録商標)(Bayer)として販売されており、商品名TYVASO(登録商標)(United Therapeutics)の下に販売されている吸入形態のトレプロスチニルが2009年7月にFDAによって認可されるまで、米国及び欧州における使用を認可された唯一の吸入形態のプロスタサイクリンであった。
【0005】
吸入のプロスタサイクリンは、投薬期間にわたって、十分に効果的な薬物の血漿レベルをもたらさないという欠点があり、そのため、吸入の治療法は重症の患者にはあまり望ましくない。
【0006】
それゆえ、米国特許第4,306,075号明細書及び欧州特許第159784号明細書などに記載されている通り、他のプロスタノイドを開発する必要があった。このようなプロスタグランジンの一つが、商品名Remodulin(登録商標)(United Therapeutics)であるトレプロスチニルである。トレプロスチニルの半減期は4時間であるが、トレプロスチニルは依然として、連続皮下注入又は連続静脈内注入として、注入ポンプによって投与する必要があり、患者はポンプを常に身に着けていなければならない。
【0007】
トレプロスチニルの皮下注入は、患者が痛みに耐えることができないほど苦痛であることが頻繁であり、その結果、投与方法は静脈内注入に切り替えられる。しかし、静脈内Remodulinで敗血症のリスクが上昇することが報告されている。皮下注入は痛みを伴うため、皮下投与によって投与することができるが、疼痛度合の低下したプロスタサイクリンを開発する必要性がある。これは、担体連結しているプロスタサイクリンのプロドラッグを投与することにより実現することができ、この投与において、プロドラッグの吸収は十分に速やかであり、プロドラッグからのプロスタサイクリンの放出は十分に遅く、そのため遊離のプロスタサイクリン分子に対する皮下の暴露は最小となる。
【0008】
プロスタサイクリンは、PAH、特により重症な患者の標準の処置である。吸入のトレプロスチニルはより便利であり、皮下的に注入されるトレプロスチニルに頻繁に付随する強烈な痛みがないが、吸入はあまり効果的ではないと考えられており、そのためあまり処方されていない。
【0009】
トレプロスチニルは以下の構造を有する:
【化1】
[この文献は図面を表示できません]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、より効果的で且つ/又はより快適なトレプロスチニル処置を患者に提供する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的は、式(I)の、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ、又は薬学的に許容されるその塩で実現される:
Z1-(-X0-T)y (I)
[式中、
各Tは、独立に、構造(i)から(v)から選択され:
【化2】
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0012】
[式中、点線はX0に対する結合を示す]
yは、1から64までの範囲の、好ましくは1から16までの範囲の整数であり、より好ましくはyは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15及び16から選択され、より一層好ましくはyは4、6、又は8であり、最も好ましくは8であり、
各X0は、独立に、(X0A)m1-(X0B)m2であり、
m1;m2は、独立に、0、又は1であり、
X0Aは、T0であり、
X0Bは、非置換、又は同じ若しくは異なる1個以上のR3で置換されている、分枝又は非分枝又は環状のC1〜15アルキレン基であり、より好ましくはX0Bは、非置換であるか又は同じ若しくは異なる1個以上のR3で置換されている分枝又は非分枝の環状C1〜15アルキレン基であり、
R3は、ハロゲン、C1〜6アルキル;CN;C(O)R4;C(O)OR4;OR4;C(O)R4;C(O)N(R4R4a);S(O)2N(R4R4a); S(O)N(R4R4a);S(O)2R4;S(O)R4;N(R4)S(O)2N(R4aR4b);SR4;N(R4R4a);NO2;OC(O)R4;N(R4)C(O)R4a;N(R4)SO2R4a;N(R4)S(O)R4a;N(R4)C(O)N(R4aR4b);N(R4)C(O)OR4a;OC(O)N(R4R4a);又はT0;であり、
R4、R4a、R4bは、独立に、H、T0、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、及びC2〜6アルキニルからなる群から選択され、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、及びC2〜6アルキニルは、同じ又は異なる1個以上のR5で任意選択により置換されており、
R5は、ハロゲン、CN;C(O)R6;C(O)OR6;OR6;C(O)R6;C(O)N(R6R6a);S(O)2N(R6R6a);S(O)N(R6R6a); S(O)2R6;S(O)R6;N(R6)S(O)2N(R6aR6b);SR6;N(R6R6a);NO2;OC(O)R6;N(R6)C(O)R6a;N(R6)SO2R6a;N(R6)S(O)R6a;N(R6)C(O)N(R6aR6b);N(R6)C(O)OR6a;OC(O)N(R6R6a);であり、
R6、R6a、R6bは、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、及びC2〜6アルキニルからなる群から選択され、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、及びC2〜6アルキニルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで任意選択により置換されており、
T0は、フェニル、ナフチル、アズレニル、インデニル、インダニル、C3〜7シクロアルキル、3員から7員のヘテロシクリル、又は8員から11員のヘテロビシクリルであり、T0は、同じ又は異なる1個以上のR7で任意選択により置換されており、
R7は、ハロゲン、CN;COOR8;OR8;C(O)R8;C(O)N(R8R8a);S(O)2N(R8R8a);S(O)N(R8R8a); S(O)2R8;S(O)R8;N(R8)S(O)2N(R8aR8b);SR8;N(R8R8a);NO2;OC(O)R8;N(R8)C(O)R8a;N(R8)S(O)2R8a;N(R8)S(O)R8a;N(R8)C(O)OR8a;N(R8)C(O)N(R8aR8b);OC(O)N(R8R8a);オキソ(=O)、であり、環は、少なくとも部分的に飽和であり、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はC2〜6アルキニルであり、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、及びC2〜6アルキニルは、同じ又は異なる1個以上のR9で任意選択により置換されており、
R8、R8a、R8bは、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、及びC2〜6アルキニルからなる群から選択され、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、及びC2〜6アルキニルは、同じ又は異なる1個以上のR10で任意選択により置換されており、
R9、R10は、独立に、ハロゲン、CN;C(O)R11;C(O)OR11;OR11;C(O)R11;C(O)N(R11R11a); S(O)2N(R11R11a);S(O)N(R11R11a);S(O)2R11;S(O)R11;N(R11)S(O)2N(R11aR11b);SR11;N(R11R11a);NO2;OC(O)R11;N(R11)C(O)R11a;N(R11)SO2R11a;N(R11)S(O)R11a;N(R11)C(O)N(R11aR11b);N(R11)C(O)OR11a;及びOC(O)N(R11R11a);からなる群から選択され、
R11、R11a、R11bは、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、及びC2〜6アルキニルからなる群から選択され、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、及びC2〜6アルキニルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで任意選択により置換されており、
Z1は、共有結合しているポリマー、好ましくは薬学的に許容されるポリマーを含む担体であり、
m1、m2の一つが1であれば、担体は部分X0に対して共有結合的に結合しており、m1、m2=0の場合、担体はTに対して共有結合的に結合している]。
【0013】
驚くべきことに、このような担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを用いて、上記に言及した欠点を少なくとも部分的に克服するトレプロスチニルの剤形を得ることができる。
【0014】
本発明の範囲内で、以下の通りの意味を有する語を用いる。
【0015】
「薬物」、「生物学的に活性な分子」、「生物学的に活性な部分」、「生物学的に活性な薬剤」、「活性薬剤」、「活性物質」などの語は、それだけには限定されないが、ウイルス、細菌、真菌、植物、動物、及びヒトを含めた生物学的な有機体のあらゆる身体的又は生物学的な性質に影響を及ぼし得るあらゆる物質を意味する。特に、本明細書で用いられる通り、この語は、有機体、特にヒト若しくは他の動物における疾患の診断、治療、緩和、処置、若しくは予防を意図し、又は有機体、特にヒト若しくは動物の身体的若しくは精神的な幸福を他の方法で増強することを意図するあらゆる物質を含む。トレプロスチニルは、生物学的に活性な分子であることが理解される。
【0016】
「生物学的に活性な部分D」は、生物学的活性の知られている薬物D-OH又はD-Hが切断された後にもたらされる、薬物リンカーコンジュゲートの部位を意味する。したがって、「生物学的に活性な部分のトレプロスチニル」又は「トレプロスチニル部分」は、生物学的活性の知られている薬物トレプロスチニルが切断された後にもたらされる担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグの部位を意味する。
【0017】
トレプロスチニルなどの薬物の「遊離型」は、担体連結しているプロドラッグから放出された後などの、非修飾の、薬理学的な活性な形態の薬物を意味する。
【0018】
標的化部分は、例えば、プロドラッグなどの分子中に存在する場合、それが投与された生物体の特定の標的領域におけるこのように大型の分子の優先的な局在を可能にする部分である。このような特定の標的領域は、器官、ある種の細胞型、又は細胞内コンパートメントであってよい。「優先的な局在」は、患者に投与した生物学的に活性な部分の少なくとも5%、10%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%が、前記特異的標的領域に到達することを意味する。
【0019】
標的化部分は、サイズにしたがって3クラスに分けることができる:
小分子の標的化部分、例えば、C-グルクロニド、コバラミン、ビタミン、例えば、葉酸(葉酸塩)及び類似体及び誘導体、炭水化物、ビスホスホネート、N-アセチルガラクトサミン、
ペプチド、例えば、ボンベシン、ソマトスタチン、LHRH、EGF、VEGF、hCG、黄体形成ホルモン(LH)のフラグメント、オクトレオチド、バプレオチド、ランレオチド、RC-3940シリーズ、デカペプチル、リュープロン、ゾラデックス、セトロレリクス、NGR若しくはRGDモチーフを含み、又はCNGRC(直鎖状)、GNGRG(環状)、ACDCRGDCFCG(環状)、CDCRGDCFC、CNGRC(環状)、CRGDCGG、CNGRC、又は他のペプチド(例えば、ATWLPPR)などのモチーフに由来するペプチド又はペプチドミメティック;トロンボスポンジン(TSP)-lミメティック、(RGDペプチドミメティック)、CTTHWGFTLC、CGNKRTRGC、神経ペプチドサブスタンスP、SSP;サブスタンスPのSar9、Met(O2)11類似体;コレシストキニン(CCK)、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン/因子(CRH/CRF)、デルモルフィン、FGF-2又は塩基性線維芽細胞成長因子、ガラニン、メラノプシン、ニューロテンション(Neurotension)、環状RGDfK及び環状RGDyV;好ましくは、ボンベシン、ソマトスタチン、LHRH、EGF、VEGF、hCG、黄体形成ホルモン(LH)のフラグメント、オクトレオチド、バプレオチド、ランレオチド、RC-3940シリーズ、デカペプチル、リュープロン、ゾラデックス、セトロレリクス、NGR若しくはRGDモチーフを含み、又はCNGRC(直鎖状)、GNGRG(環状)、ACDC RGD CFCG(環状)、CDCRGDCFC、CNGRC(環状)、CRGDCGG、CNGRC、若しくは他のペプチド(例えば、ATWLPPR)などのモチーフに由来するペプチド若しくはペプチドミメティック;トロンボスポンジン(TSP)-1ミメティック、(RGDペプチドミメティック)、CTTHWGFTLC、CGNKRTRGC、神経ペプチドサブスタンスP、SSP、サブスタンスPのSar9、Met(O2)11類似体、コレシストキニン(CCK)、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン/因子(CRH/CRF)、デルモルフィン、FGF-2又は塩基性線維芽細胞成長因子、ガラニン、メラノプシン、ニューロテンション
及び、タンパク質、又は巨大分子の標的化部分、例えば、IL-2、GM-CSF、TNF-a、トランスフェリン、免疫グロブリン、アセチル化LDL、ラクトフェリン(Lf)(ラクトトランスフェリンとも呼ばれる)及びラクトフェリシン(Lcin)、ガンボジ酸(GA)。
【0020】
原則的に、細胞表面受容体のあらゆるリガンドを、標的化部分として有利に用いることができる。例えば、ATWLPPRペプチドはVEGFの強力なアンタゴニストであり、トロンボスポンジン-1(TSP-1)は内皮細胞におけるアポトーシスを誘発し、RGD-モチーフはブロックインテグリン受容体を模倣し、NGR-含有ペプチドはアミノペプチダーゼNを阻害し、配列HWGFを含む環状ペプチドはMMP-2及びMMP-9を選択的に阻害する。Lyp-1ペプチドは腫瘍のリンパ管に特異的に結合する。例示的な他のリガンドは、ライブラリースクリーニングから同定されるペプチドリガンド、腫瘍細胞特異的ペプチド、腫瘍細胞特異的アプタマー、腫瘍細胞特異的炭水化物、腫瘍細胞特異的モノクローナル又はポリクローナル抗体、抗体のFab又はscFv(すなわち、単鎖可変領域)フラグメント、例えば、EphA2、又は転移性の癌細胞上で特異的に発現され、若しくは独特に接近可能な他のタンパク質に対する抗体のFabフラグメント;コンビナトリアルライブラリーに由来する有機小分子;成長因子、例えば、EGF、FGF、インスリン、及びインスリン様成長因子;並びに相同のポリペプチド、ソマトスタチン及びその類似体、トランスフェリン、リポタンパク質複合体、胆汁酸塩、セレクティング(selecting)、ステロイドホルモン、Arg-Gly-Asp含有ペプチド、レチノイド、様々なガレクチン、δ-オピオイド受容体リガンド、コレシストキニンA受容体リガンド、アンジオテンシンAT1又はAT2受容体に特異的なリガンド、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体λリガンド;β-ラクタム抗生物質、例えば、ペニシリン;抗微生物薬物を含む有機小分子;並びに腫瘍細胞の表面上又は感染性有機体上に優先的に発現される受容体に特異的に結合する他の分子、受容体又は他の細胞表面タンパク質の結晶構造に基づく特定の受容体の結合ポケット中に適合するようデザインされている抗微生物薬及び他の薬物;腫瘍細胞の表面上に優先的に発現される腫瘍抗原又は他の分子のリガンド、或いはあらゆるこれらの分子のフラグメントを含む。標的化部分として機能することができる腫瘍特異的抗原の例には、EphA2など、エフリンファミリーのタンパク質のメンバーの細胞外エピトープが含まれる。EphA2の発現は、正常細胞における細胞-細胞連結に限定されるが、EpbA2は転移性の腫瘍細胞における細胞表面全体にわたって分布している。このように、転移細胞上のEphA2は、例えば、免疫源にコンジュゲートしている抗体のFabフラグメントに対する結合に接近可能であるが、このタンパク質は正常細胞上のFabフラグメントに対する結合には接近可能ではなく、転移性の癌細胞に特異的な標的化部分をもたらす。
【0021】
このような標的化部分のさらなる例には、FSH-33、アラトスタチン1、肝臓癌標的化ペプチド(Hepatocarcinoma targeting peptide)、ペプチドGFE、抗-EGFR抗体及び/又は抗体フラグメント、特に、セツキシマブ、CendR、iRGDペプチド(RGD-CendRハイブリッドペプチド)、小分子、CEAなどの癌特異的エピトープに結合する抗体及び/又は抗体フラグメント、ガストリン放出ペプチド受容体、ソマトスタチン受容体、ガラニン受容体、卵胞刺激ホルモン受容体、p32タンパク質、線維芽細胞成長因子受容体、HepG2、上皮細胞成長因子受容体、インテグリンαvβ6、ニューロピリン-1受容体、並びにVEGF受容体がある。
【0022】
「結合型の」、「に対して接続している」、又は「部分」の句は、より大型の分子の部位である下部構造を意味する。「結合型の」及び「に対して接続している」の句は、当技術分野においてよく知られている試薬、出発材料、又は仮定上の出発材料の名前を挙げ、又は列挙することによって、部分に対する指示内容を簡略化するのに用いられ、それによって「結合型の」又は「に対して接続している」は、例えば、1個以上の水素基(-H)、又は試薬若しくは出発材料中に存在する1個以上の活性化基又は保護基が、より大型の分子の部位である場合は、その部分に存在しないことを意味する。
【0023】
薬物の物理化学的性質又は薬理学的性質をin vivoで増強するために、このような薬物は担体とコンジュゲートすることができる。本発明におけるように、トレプロスチニルなどの薬物が、担体及び/又はリンカーと一過性に結合している場合、このようなシステムを、通常、「担体連結しているプロドラッグ」と指定する。IUPACによって提供される定義(2011年3月7日にアクセスした、http://www.chem.qmul.ac.uk/iupac/medchem/ah.htmlの下に得られる通り)によると、担体連結しているプロドラッグは、改善された物理化学的性質又は薬理学的性質を生成し、通常、加水分解性の切断によってin vivoで容易に除去され得る一過性の担体群を有する、所与の活性物質の一時的な連結を含むプロドラッグである。
【0024】
「プロモイエティー(promoiety)」の語は、薬物ではないプロドラッグの部分を意味し、したがってリンカー及び担体、並びに/又はあらゆる任意選択のスペーサー部分を意味する。
【0025】
「可逆性のプロドラッグリンカー」又は「一過性のプロドラッグリンカー」の語は、非酵素的な加水分解で分解可能である、すなわち、生理学的条件下(pH7.4、37℃の水性バッファー)で、1時間から3か月などの範囲の半減期で切断可能である、可逆性の連結を含み、特に可逆性の連結からなるリンカーを意味する。一方、安定な、又は永久的な連結は、典型的に、非切断性の永久的な結合であり、生理学的条件下(pH7.4、37℃の水性バッファー)で、半減期が少なくとも6か月であることを意味する。
【0026】
「痕跡を残さない(traceless)プロドラッグリンカー」は、それから薬物が遊離型で放出されるプロドラッグリンカーを意味し、プロモイエティーから放出されるとき、薬物はプロモイエティーのいかなる痕跡も含まないことを意味する。
【0027】
「ポリマー」の語は、合成起源、若しくは生物学的起源、又は両方の組合せであってよい、直鎖状、環状、分枝、架橋、若しくはデンドリマー式、又はこれらの組合せにおける化学結合によって接続されている反復性の構造単位を含み、特にその反復性の構造単位からなる分子を記述するものである。典型的に、ポリマーは、少なくとも500Daの分子量を有する。ポリマーがポリペプチドである場合、ポリペプチドの個々のアミノ酸は同じでもよく、又は異なっていてもよいことが理解される。
【0028】
「ポリマー性の」の語は、1個以上のポリマーを含む部分を意味する。
【0029】
「ポリ(エチレングリコール)ベースのポリマー鎖」、又は「PEGベースのポリマー鎖」の語は、少なくとも20重量%のエチレングリコール部分、より好ましくは少なくとも50重量%、より一層好ましくは少なくとも80重量%のエチレングリコール部分を含むポリマーを意味し、この鎖は、任意選択によりキャッピングされ、かつ/又は任意選択により1個以上の官能基、例えばアミン基(複数可)をさらに含む。PEGベースのポリマー鎖は、アルキル基若しくはアリール基によって終結されており又は中断されており、ヘテロ原子及び/又は官能基で任意選択により置換されていてよいことが理解される。PEGベースのポリマー鎖に適するキャッピング基又は末端基は、例えば、CH3-、CH3-O-、及びCH3-CH2-である。したがって、PEGベースのポリマーは、少なくとも20重量%のエチレングリコール部分、より好ましくは少なくとも50重量%、より一層好ましくは少なくとも80重量%のエチレングリコール部分を含むポリマーである。
【0030】
「ヒドロゲル」の語は、水性媒体中でヒドロゲルの膨潤を引き起こす水を大量に吸収することができる、3次元の、親水性の、又は両親媒性の高分子網目と規定することができる。この網目は、ホモポリマー又は共重合体から構成され、共有結合性の化学的又は物理的な(イオン性、疎水的相互作用、絡み合い)架橋結合が存在するため、不溶性である。架橋結合により網目構造及び物理的整合性がもたらされる。
【0031】
「スペーサー」、「スペーサー基」、「スペーサー分子」、及び「スペーサー部分」の語は、交換可能に用いられ、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、又はC2〜50アルキニルなどの、二つの部分を接続するのに適するあらゆる部分を意味し、これらフラグメントは、-NH-、-N(C1〜4アルキル)-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)NH-、-C(O)N(C1〜4アルキル)-、-O-C(O)-、-S(O)-、-S(O)2-、-O-C(O)NH-、-O-(CO)N(C1〜4アルキル)-、4員から7員のヘテロシクリル、フェニル、又はナフチルから選択される1個以上の基によって任意選択により中断されている。好ましくは、この語は、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、又はC2〜50アルキニルを意味し、これらフラグメントは、-NH-、-N(C1〜4アルキル)-、-O-、-S-、-C(O)-、-C(O)NH-、-C(O)N(C1〜4アルキル)-、-O-C(O)-、-S(O)-、-S(O)2-、-O-C(O)NH-、-O-(CO)N(C1〜4アルキル)-、4員から7員のヘテロシクリル、フェニル、又はナフチルから選択される1個以上の基によって任意選択により中断されている。
【0032】
「終端」の語は、炭素原子及び/又はヘテロ原子の直鎖状又は分枝状の鎖の最後の炭素原子又はヘテロ原子を意味し、すなわち、「終端」は、正確に1個の他の炭素又はヘテロ原子に接続している炭素又はヘテロ原子を意味する。
【0033】
「終端の/終端に」又は「終端に連結している」は、部分が、別の部分の終端又は終端(複数)に接続していることを意味する。
【0034】
「医薬組成物」又は「組成物」は、1種以上の薬物又はプロドラッグ、及び任意選択により1種以上の賦形剤を含む組成物、並びに、直接又は間接的に、あらゆる2種以上の賦形剤及び/又は薬物又はプロドラッグの組合せ、複合体形成、又は凝集に起因し、或いは1種以上の賦形剤及び/又は薬物及び/又はプロドラッグの解離に起因し、或いは1種以上の賦形剤及び/又は薬物及び/又はプロドラッグの他のタイプの反応又は相互作用に起因する、あらゆる生成物を意味する。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ、及び薬学的に許容される賦形剤を混合することによって得ることができるあらゆる組成物を包含する。
【0035】
「賦形剤」の語は、それと一緒に担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが投与される、希釈剤、補助剤、又はビヒクルを意味する。このような製薬上の賦形剤は、石油、動物、植物、又は合成起源のものを含めた、水及び油などの無菌の液体であってよく、それだけには限定されないが、ラッカセイ油、ダイズ油、鉱物油、ゴマ油などを含む。医薬組成物を経口投与する場合は、水が好ましい賦形剤である。医薬組成物を静脈内投与する場合は、食塩水及びデキストロース水溶液が好ましい賦形剤である。食塩水溶液及びデキストロース水溶液及びグリセロール溶液が、注射用溶液に対する液体の賦形剤として用いられるのが好ましい。適切な製薬上の賦形剤には、デンプン、グルコース、ラクトース、ショ糖、マンニトール、トレハロース、ゼラチン、バクガ、コメ、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、グリセロールモノステアレート、タルク、塩化ナトリウム、脱脂粉乳、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどが含まれる。所望により、組成物はまた、微量の、湿潤剤、又は乳化剤、pH緩衝剤など(例えば、酢酸、コハク酸、トリス、炭酸、リン酸、HEPES(4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸)、MES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸)を含むことができ、又は洗剤、例えば、Tween、ポロキサマー、ポロキサミン、CHAPS、Igepal、又はアミノ酸、例えばグリシン、リジン、若しくはヒスチジンを含むことができる。これらの組成物は、液剤、懸濁剤、乳剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、徐放製剤などの形態をとることができる。組成物は、トリグリセリドなど、伝統的な結合剤及び賦形剤と一緒に、坐剤として調合することができる。経口製剤は、医薬品グレードの、マンニトール、ラクトース、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどの標準の賦形剤を含むことができる。適切な製薬上の賦形剤の例は、E. W. Martinによる「Remington's Phamaceutical Sciences」に記載されている。このような組成物は、患者に適切に投与するための形態を提供するために、治療有効量のトレプロスチニルを、少なくとも一つの本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグの形態において、好ましくは精製された形態において、適切な量の賦形剤と一緒に含む。製剤は、投与様式に適合していなければならない。
【0036】
「薬学的に許容される」の語は、動物において、好ましくはヒトにおいて用いるために、EMEA(欧州)及び/又はFDA(米国)などの監督機関、並びに/或いはあらゆる他の国家監督機関によって認可されることを意味する。
【0037】
「乾燥組成物」は、本発明による担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを含む医薬組成物が、容器中、乾燥形態において提供されることを意味する。乾燥に適する方法は、噴霧乾燥及び凍結乾燥(フリーズドライ)である。担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグのこのような乾燥組成物は、最大10%、好ましくは5%未満、より好ましくは2%未満(カールフィッシャーにしたがって決定して)の残留水分含量を有する。好ましい乾燥方法は凍結乾燥である。「凍結乾燥組成物」は、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを含む医薬組成物を最初に凍結し、引き続き減圧によって水分減少にかけることを意味する。この用語は、組成物を最終の容器中に充填する前に製造過程において生じ得るさらなる乾燥ステップを除外するものではない。
【0038】
「凍結乾燥」(フリーズドライ)は、組成物を凍結し、次いで周囲の圧力を低下させ、任意選択により熱を加えて組成物中の水分を凍結させて固相から気体に直接昇華させることを特徴とする、脱水プロセスである。典型的に、昇華した水は、脱昇華(desublimation)によって収集される。
【0039】
「官能基」の語は、特徴的な化学反応を受けることができる分子内の元素の特定の群を意味する。官能基の例には、ヒドロキシル、カルボニル、アルデヒド、カルボキシル、エステル、ケタール、ヘミケタール、アセタール、ヘミアセタール、一級/二級/三級アミン、シアネート、ジスルフィド、スルフヒドリル、スルホニル、ホスフェートがある。
【0040】
官能基が別の官能基とカップリングした場合、得られる化学構造を「連結」と呼ぶ。例えば、アミン官能基のカルボキシル官能基との反応により、アミド連結がもたらされる。連結に対するさらなる例には、エステル、エーテル、ケタール、アセタール、一級/二級/三級アミン、カルボキサミド、スルフィド、及びジスルフィドがある。
【0041】
「アルキル」は、直鎖(直鎖状、非分枝)、又は分枝の炭素鎖(非置換のアルキル)を意味する。任意選択により、アルキル炭素の1個以上の水素原子(複数可)が、本明細書に示す置換基によって置換されていてよく、これを「置換されているアルキル」と呼ぶ。一般的に、好ましいアルキルは、C1〜6アルキルである。
【0042】
「C1〜4アルキル」は、1個から4個の炭素原子を有するアルキル鎖を意味し(非置換のC1〜4アルキル)、例えば、分子の末端に存在する場合は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチルであり、又は、例えば、分子の二つの部分がアルキル基によって連結されている場合は(C1〜4アルキレンとも呼ばれる)、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH(CH3)-、-CH2-CH2-CH2-、-CH(C2H5)-、-C(CH3)2-である。任意選択により、C1〜4アルキル炭素の1個以上の水素原子(複数可)は、本明細書に示す置換基によって置き換えられていてよい。したがって、「C1〜50アルキル」は、1個から50個の炭素原子を有するアルキル鎖を意味する。
【0043】
「C1〜6アルキル」は、1個から6個の炭素原子を有するアルキル鎖を意味し、例えば、分子の末端に存在する場合は、C1〜4アルキル、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルであり、又は、例えば、分子の二つの部分がアルキル基によって連結されている場合は(C1〜6アルキレンとも呼ばれる)、-CH2-、-CH2-CH2-、-CH(CH3)-、-C(CH2)-、-CH2-CH2-CH2-、-CH(C2H5)-、-C(CH3)2-である。C1〜6アルキル炭素の1個以上の水素原子(複数可)は、本明細書に示す置換基によって置き換えられていてよい。C1〜15アルキル、又はC1〜15アルキレンの語もこれにしたがって規定される。
【0044】
「C2〜6アルケニル」は、2個から6個の炭素原子を有するアルケニル鎖を意味し、例えば、分子の末端に存在する場合は、-CH=CH2、-CH=CH-CH3、-CH2-CH=CH2、-CH=CH-CH2-CH3、-CH=CH-CH=CH2、又は、例えば、分子の二つの部分がアルケニル基によって連結されている場合は、-CH=CH-である。C2〜6アルケニル炭素の1個以上の水素原子(複数可)は、本明細書に示す置換基によって置き換えられていてよい。
【0045】
C2〜4アルケニルの語もこれにしたがって規定される。
【0046】
「C2〜6アルキニル」は、2個から6個の炭素原子を有するアルキニル鎖を意味し、例えば、分子の末端に存在する場合は、-C≡CH、-CH2-C≡CH、CH2-CH2-C≡CH、CH2-C≡C-CH3であり、又は、例えば、分子の二つの部分がアルキニル基によって連結されている場合は、-C≡C-である。C2〜6アルキニル炭素の1個以上の水素原子(複数可)は、本明細書に示す置換基によって置き換えられていてよい。C2〜4アルキニルの語もこれにしたがって規定される。
【0047】
「C2〜50アルケニル」は、2個から50個の炭素原子を有する分枝又は非分枝のアルケニル鎖を意味し(非置換のC2〜50アルケニル)、例えば、分子の末端に存在する場合は、-CH=CH2、-CH=CH-CH3、-CH2-CH=CH2、-CH=CH-CH2-CH3、-CH=CH-CH=CH2であり、又は、例えば、分子の二つの部分がアルケニル基によって連結されている場合は、-CH=CH-である。任意選択により、C2〜50アルケニル炭素の1個以上の水素原子(複数可)は、さらに規定する置換基によって置き換えられていてよい。したがって、「アルケニル」の語は、少なくとも一つの炭素炭素二重結合を有する炭素鎖に関する。任意選択により、一つ以上の三重結合が生じてもよい。「C2〜15アルケニル」の語もこれにしたがって規定される。
【0048】
「C2〜50アルキニル」は、2個から50個の炭素原子を有する分枝又は非分枝のアルキニル鎖を意味し(非置換のC2〜50アルキニル)、例えば、分子の末端に存在する場合は、-C≡CH、-CH2-C≡CH、CH2-CH2-C≡CH、CH2-C≡C-CH3であり、又は、例えば、分子の二つの部分がアルキニル基によって連結されている場合は、-C≡C-である。任意選択により、C2〜50アルキニル炭素の1個以上の水素原子(複数可)は、さらに規定する置換基によって置き換えられていてよい。したがって、「アルキニル」の語は、少なくとも一つの炭素三重結合を有する炭素鎖に関する。任意選択により、一つ以上の二重結合が生じてもよい。「C2〜15アルキニル」の語もこれにしたがって用いられる。
【0049】
「C3〜7シクロアルキル」又は「C3〜7シクロアルキル環」は、3個から7個の炭素原子を有する環状アルキル鎖を意味し、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチニルなど、少なくとも部分的に飽和されている炭素-炭素二重結合を有することができる(非置換のC3〜7シクロアルキル)。任意選択により、シクロアルキル炭素の1個以上の水素原子(複数可)は、本明細書において示される置換基によって置き換えられていてよい。「C3〜7シクロアルキル」又は「C3〜7シクロアルキル環」の語はまた、ノルボナン(norbonane)(ノルボナニル(norbonanyl)又はノルボネン(norbonene)(ノルボネニル(norbonenyl))など、架橋されている二環も含む。したがって、「C3〜5シクロアルキル」は、3個から5個の炭素原子を有するシクロアルキルを意味する。したがって、「C3〜10シクロアルキル」は、3個から10個の炭素原子を有するシクロアルキルを意味する。「C5〜6シクロアルキル」の語もこれにしたがって規定される。
【0050】
「ハロゲン」は、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。ハロゲンがフルオロ又はクロロであるのが一般的に好ましい。
【0051】
「4員から7員のヘテロシクリル」又は「4員から7員の複素環」は、最大数の二重結合までを含むことができる4個、5個、6個、又は7個の環原子を有する環を意味し(完全飽和、部分的飽和、又は不飽和である芳香環又は非芳香環)、少なくとも1個の環原子から4個の環原子までが、イオウ(-S(O)-、-S(O)2-を含む)、酸素、及び窒素(=N(O)-を含む)からなる群から選択されるヘテロ原子によって置換されており、環は炭素原子又は窒素原子によって分子の残部に連結している(非置換の4員から7員のヘテロシクリル)。完全を目的として、本発明のいくつかの実施形態において、4員から7員のヘテロシクリルはさらなる必要要件を満たさなければならないことが指摘される。4員から7員の複素環に対する例には、アゼチジン、オキセタン、チエタン、フラン、チオフェン、ピロール、ピロリン、イミダゾール、イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、オキサゾール、オキサゾリン、イソキサゾール、イソキサゾリン、チアゾール、チアゾリン、イソチアゾール、イソチアゾリン、チアジアゾール、チアジアゾリン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、ピロリジン、イミダゾリジン、ピラゾリジン、オキサゾリジン、イソキサゾリジン、チアゾリジン、イソチアゾリジン、チアジアゾリジン、スルホラン、ピラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、イミダゾリジン、ピリジン、ピリダジン、ピラジン、ピリミジン、ピペラジン、ピペリジン、モルホリン、テトラゾール、トリアゾール、トリアゾリジン、テトラゾリジン、ジアゼパン、アゼピン、又はホモピペラジンがある。任意選択により、4員から7員のヘテロシクリルの1個以上の水素原子(複数可)は、置換基によって置き換えられていてよい。「3員から7員のヘテロシクリル」、及び「5員から6員のヘテロシクリル」もこれにしたがって規定される。
【0052】
「8員から11員のヘテロビシクリル」又は「8員から11員の二環複素環」は、8個から11個の環原子を有する2個の環の複素環系を意味し、少なくとも1個の環原子が両方の環によって共有されており、最大数の二重結合までを含むことができ(完全飽和、部分的飽和、又は非飽和である芳香環又は非芳香環)、少なくとも1個の環原子から6個の環原子までは、イオウ(-S(O)-、-S(O)2-を含む)、酸素、及び窒素(=N(O)-を含む)からなる群から選択されるヘテロ原子によって置き換えられており、環は炭素原子又は窒素原子によって分子の残部に連結している(非置換の8員から11員のヘテロビシクリル)。8員から11員の二環複素環に対する例には、インドール、インドリン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾキサゾール、ベンズイソキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンズイソチアゾール、ベンズイミダゾール、ベンズイミダゾリン、キノリン、キナゾリン、ジヒドロキナゾリン、キノリン、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、デカヒドロキノリン、イソキノリン、デカヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、ジヒドロイソキノリン、ベンズアゼピン、プリン、又はプテリジンがある。8員から11員の二環複素環の語はまた、1、4-ジオキサ-8-アザスピロ[4,5]デカンなどのスピロ構造の2環、又は8-アザ-ビシクロ[3,2,1]オクタンなどの架橋されている複素環を含む。「9員から11員のヘテロビシクリル」又は「9員から11員の二環複素環」の語もこれにしたがって規定される。
【0053】
「脂肪族」の語は、完全に飽和されていることを意味する。
【0054】
「中断されている」の語は、リンカー若しくはスペーサーなど、2個の炭素原子間に、又はそれぞれの炭素原子と水素原子との間の炭素鎖のそれぞれ末端に、基(-O-又は-NH-など)が挿入されていることを意味する。
【0055】
一般的に、「置換されている」の語は、好ましくは置換基を意味し、置換基は、同じ又は異なり、独立に、ハロゲン、CN、COORb9、ORb9、C(O)Rb9、C(O)N(Rb9Rb9a)、S(O)2N(Rb9Rb9a)、S(O)N(Rb9Rb9a)、S(O)2Rb9、S(O)Rb9、N(Rb9)S(O)2N(Rb9aRb9b)、SRb9、N(Rb9Rb9a)、NO2、OC(O)Rb9、N(Rb9)C(O)Rb9a、N(Rb9)S(O)2Rb9a、N(Rb9)S(O)Rb9a、N(Rb9)C(O)ORb9a、N(Rb9)C(O)N(Rb9aRb9b)、OC(O)N(Rb9Rb9a)、Tb、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニル、からなる群から選択され、
式中、
Tb、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、同じ又は異なる1個以上のRb10で任意選択により置換されており、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、Tb、-C(O)O-;-O-;-C(O)-;-C(O)N(Rb11)-;-S(O)2N(Rb11)-;-S(O)N(Rb11)-; -S(O)2-;-S(O)-;-N(Rb11)S(O)2N(Rb11a)-;-S-;-N(Rb11)-;-OC(O)Rb11;-N(Rb11)C(O)-;-N(Rb11)S(O)2-;-N(Rb11)S(O)-;-N(Rb11)C(O)O-;-N(Rb11)C(O)N(Rb11a)-;及び-OC(O)N(Rb11Rb11a);からなる群から選択される1個以上の基によって任意選択により中断されており、
Rb9、Rb9a、Rb9bは、独立に、H、Tb、並びにC1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルからなる群から選択され、
式中、Tb、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、同じ又は異なる、1個以上のRb10で任意選択により置換されており、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、Tb、-C(O)O-、-O-、-C(O)-、-C(O)N(Rb11)-、-S(O)2N(Rb11)-、-S(O)N(Rb11)-、-S(O)2-、-S(O)-、-N(Rb11)S(O)2N(Rb11a)-、-S-、-N(Rb11)-、-OC(O)Rb11、-N(Rb11)C(O)-、-N(Rb11)S(O)2-、-N(Rb11)S(O)-、-N(Rb11)C(O)O-、-N(Rb11)C(O)N(Rb11a)-、及び-OC(O)N(Rb11Rb11a)、からなる群から選択される1個以上の基によって任意選択により中断されており、
Tbは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3〜10シクロアルキル、4員から7員のヘテロシクリル、及び9員から11員のヘテロビシクリルからなる群から選択され、Tbは、同じ又は異なる、1個以上のRb10で任意選択により置換されており、
Rb10は、ハロゲン、CN、オキソ(=O)、COORb12、ORb12、C(O)Rb12、C(O)N(Rb12Rb12a)、S(O)2N(Rb12Rb12a)、S(O)N(Rb12Rb12a)、S(O)2Rb12、S(O)Rb12、N(Rb12)S(O)2N(Rb12aRb12b)、SRb12、N(Rb12Rb12a)、NO2、OC(O)Rb12、N(Rb12)C(O)Rb12a、N(Rb12)S(O)2Rb12a、N(Rb12)S(O)Rb12a、N(Rb12)C(O)ORb12a、N(Rb12)C(O)N(Rb12aRb12b)、OC(O)N(Rb12Rb12a)、又はC1〜6アルキル、であり、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで任意選択により置換されており、
Rb11、Rb11a、Rb12、Rb12a、Rb12bは、独立に、H、又はC1〜6アルキルからなる群から選択され、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで任意選択により置換されている。
【0056】
「中断されている」の語は、2個の炭素の間に、又は炭素鎖の末端の炭素と水素との間に、基が挿入されていることを意味する。
【0057】
一般的に、一つの部分の別の部分に対する連結を示すのに用いる「点線」の語は、立体化学を示すのに用いる点線の結合と異なる。当業者であれば、これら二つの間を区別することができる。
【0058】
一般的に、「含む」又は「含んでいる」の語は、「からなる」又は「からなっている」も包含する。
【0059】
「水溶性の担体」における「水溶性」の語は、室温で水に可溶性である担体である。典型的には、水溶性の担体の溶液は、濾過後、同溶液によって透過される光線の、少なくとも約75%、より好ましくは少なくとも約95%を透過する。重量ベースで、水溶性の担体又はその部分は、好ましくは少なくとも約35(重量)%水に可溶であり、より好ましくは少なくとも約50(重量)%水に可溶であり、より一層好ましくは約70(重量)%水に可溶であり、より一層好ましくは約85(重量)%水に可溶である。しかし、水溶性の担体又はその部分が、約95(重量)%水に可溶であり、又は完全に水に可溶であるのが最も好ましい。
【0060】
本発明による担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグは、トレプロスチニル部分を含む。トレプロスチニルは、それ自体、純粋な形態において、又は薬学的に許容されるその塩として、いずれかで当業者に知られている薬物である。
【0061】
本明細書で用いられる、単一のトレプロスチニル化合物の投与量はmgにおいて示し、医薬組成物中のトレプロスチニル化合物の濃度はmg/mLにおいて示す。トレプロスチニル化合物は担体連結しているプロドラッグであるので、濃度は、プロドラッグからの遊離のトレプロスチニルの量的な放出に基づくものである。当技術分野においてよく知られている方法によって、トレプロスチニル濃度における著しい増大が観察されなくなり、放出されたトレプロスチニルの合計量が決定されるまで、組成物のアリコートをトレプロスチニル放出性の条件(37℃のpH7.4水性バッファー、又はpHを上昇させた加速的条件)にさらす。
【0062】
本発明において、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ、又は薬学的に許容されるその塩は、遊離型又は薬学的に許容されるその塩としてトレプロスチニルを含まないが、結合型のトレプロスチニルを含む。トレプロスチニルは、その官能基の一つによって、例えば、ヒドロキシル又はカルボキシルによって分子の残部に結合しており、部分X0に接続し、又はm1及びm2が両方とも0である場合は式(I)の部分Z1に接続している部分Tの部位として、結合している。これは、本発明による担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが、生物学的に活性な部分としてトレプロスチニルを含んでいることを意味する。担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを、それを必要とする患者に投与した場合、担体連結しているトレプロスチニルから生物学的に活性な部分が切断されることにより、トレプロスチニルが、遊離型で、又は薬学的に許容されるその塩としてのいずれかで放出される。換言すると、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグは一つ以上の部分Tを含んでおり、この部分Tは各々、部分X0(少なくとも一つのm1及びm2が1である場合)で置換され、次に担体Z1に対して共有結合する。前記担体は、共有結合しているポリマー、好ましくは分子量が少なくとも500ダルトンである薬学的に許容されるポリマーを含む。
【0063】
別の好ましい一実施形態において、ポリマー、好ましくは薬学的に許容されるポリマーの分子量は、最高160kDa、好ましくは最高約100kDa、より一層好ましくは最高約50kDaである。
【0064】
好ましくは、部分X0(少なくとも一つのm1及びm2が1である場合)、及び部分Tは、カーボネート連結又はエステル連結によって接続され、最も好ましくは、部分X0及び部分Tはエステル連結によって接続されている。
【0065】
好ましくは、部分X0は非置換である。より好ましくは、各部分X0は非置換である。
【0066】
好ましい一実施形態において、m1は0であり、m2は1である。
【0067】
別の好ましい一実施形態において、m1及びm2の両方とも0である。
【0068】
別の好ましい一実施形態において、m1及びm2の両方とも1である。
【0069】
好ましくは、下部構造X0-Z1はC(R1R2)-CH2-Z1であり、式中、R1、R2は、R1、R2の少なくとも一つがH以外である場合は、独立に、H、及びC1〜4アルキルからなる群から選択され、又は下部構造X0-Z1は(CH2)n-Z1であり、nは、2、3、4、5、6、又は8である。
【0070】
好ましくは、担体Z1は、部分X0に、アミド基によって共有結合的に結合している。
【0071】
好ましくは、R3は、ハロゲン、CN;C(O)R4;C(O)OR4;OR4;C(O)R4;C(O)N(R4R4a);S(O)2N(R4R4a); S(O)N(R4R4a);S(O)2R4;S(O)R4;N(R4)S(O)2N(R4aR4b);SR4;N(R4R4a);NO2;OC(O)R4;N(R4)C(O)R4a;N(R4)SO2R4a;N(R4)S(O)R4a;N(R4)C(O)N(R4aR4b);N(R4)C(O)OR4a;OC(O)N(R4R4a);又はT0である。
【0072】
好ましくは、R4、R4a、R4bは、独立に、H、T0、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、及びC2〜4アルキニルからなる群から選択され、C1〜4アルキル、C2〜4アルケニル、及びC2〜4アルキニルは、同じ又は異なる1個以上のR5で任意選択により置換されている。
【0073】
より好ましくは、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグは、式(II):
【化3】
[この文献は図面を表示できません]
【0074】
[式中、
各Tは、独立に、構造(i)から(v)までから選択され(好ましくは(iii)):
【化4】
[この文献は図面を表示できません]
[この文献は図面を表示できません]
【0075】
[式中、点線は分子の残部に対する結合を示す]
yは、1から64までの範囲の、好ましくは1から16までの範囲の整数であり、より好ましくはyは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15及び16から選択され、より一層好ましくはyは、4、6、8、10又は12であり、より一層好ましくはyは、4、6又は8であり、最も好ましくは4であり、
Ra1は、非置換のアルキル、置換されているアルキル、非置換のフェニル、置換されているフェニル、非置換のナフチル、置換されているナフチル、非置換のインデニル、置換されているインデニル、非置換のインダニル、置換されているインダニル、非置換のテトラリニル、置換されているテトラリニル、非置換のC3〜10シクロアルキル、置換されているC3〜10シクロアルキル、非置換の4員から7員のヘテロシクリル、置換されている4員から7員のヘテロシクリル、非置換の9員から11員のヘテロビシクリル、及び置換されている9員から11員のヘテロビシクリルの群から選択され、
Ra2は、H、非置換のアルキル、及び置換されているアルキルから選択され、
Ra3及びRa4は、独立に、H、非置換のアルキル、及び置換されているアルキルからなる群から選択され、
nは、0又は1であり、
任意選択により、Ra1及びRa3は、これらが結合している原子と一緒になって環Aを形成し、
Aは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3〜10シクロアルキル、4員から7員の脂肪族ヘテロシクリル、又は9員から11員の脂肪族ヘテロビシクリルから選択され、Aは非置換であるか又は置換されており、
好ましくは、Aは、C3〜10シクロアルキル、4員から7員の脂肪族ヘテロシクリル、及び9員から11員の脂肪族ヘテロビシクリルからなる群から選択され、Aは非置換であるか又は置換されており、
Qは、スペーサー部分であり、
Z1は、共有結合しているポリマー、好ましくは、薬学的に許容されるポリマーを含む担体である]
又は薬学的なその塩である。
【0076】
好ましくは、Ra1は、C1〜6アルキル、又は置換されているC1〜6アルキルであり、より好ましくは、C1〜4アルキル、又は置換されているC1〜4アルキルである。
【0077】
より好ましくは、Ra1は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、及びベンジルから選択される。
【0078】
好ましくは、Ra2はHである。
【0079】
好ましくは、Ra3は、H、C1〜6アルキル、又は置換されているC1〜6アルキル、より好ましくは、C1〜4アルキル、又は置換されているC1〜4アルキルである。より好ましくは、Ra3は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、及びベンジルから選択される。
【0080】
より好ましくは、Ra3はHである。
【0081】
好ましくは、Ra4は、H、C1〜6アルキル、又は置換されているC1〜6アルキル、より好ましくは、C1〜4アルキル、又は置換されているC1〜4アルキルから選択される。より好ましくは、Ra4は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、及びベンジルから選択される。
【0082】
より好ましくは、Ra4はHである。
【0083】
別の好ましい一実施形態において、Ra1及びRa3は、これらが結合している原子と一緒になって環Aを形成し、Aは、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタンからなる群から選択される。より一層好ましくはシクロヘキサンである。
【0084】
好ましくは、式(II)におけるQは、COORa9;ORa9;C(O)Ra9;C(O)N(Ra9Ra9a);S(O)2N(Ra9Ra9a); S(O)N(Ra9Ra9a);S(O)2Ra9;S(O)Ra9;N(Ra9)S(O)2N(Ra9aRa9b);SRa9;N(Ra9Ra9a);OC(O)Ra9;N(Ra9)C(O)Ra9a;N(Ra9)S(O)2Ra9a;N(Ra9)S(O)Ra9a;N(Ra9)C(O)ORa9a;N(Ra9)C(O)N(Ra9aRa9b);OC(O)N(Ra9Ra9a);W;C1〜50アルキル;C2〜50アルケニル;及びC2〜50アルキニル、から選択され、式中、W、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、同じ又は異なる1個以上のRa10で任意選択により置換されており、
C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、-W-、-C(O)O-;-O-;-C(O)-;-C(O)N(Ra11)-;-S(O)2N(Ra11)-;-S(O)N(Ra11)-;-S(O)2-;-S(O)-;-N(Ra11)S(O)2N(Ra11a)-;-S-;-N(Ra11)-;-OC(O)Ra11;-N(Ra11)C(O)-;-N(Ra11)S(O)2-;-N(Ra11)S(O)-;-N(Ra11)C(O)O-;-N(Ra11)C(O)N(Ra11a)-;及び-OC(O)N(Ra11Ra11a);からなる群から選択される1個以上の基によって任意選択により中断されており、
Ra9、Ra9a、Ra9bは、独立に、H、W、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルからなる群から選択され、
W、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、同じ又は異なる1個以上のRa10で任意選択により置換されており、
C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、W、-C(O)O-;-O-;-C(O)-;-C(O)N(Ra11)-;-S(O)2N(Ra11)-;-S(O)N(Ra11)-;-S(O)2-;-S(O)-;-N(Ra11)S(O)2N(Ra11a)-;-S-;-N(Ra11)-;-OC(O)Ra11;-N(Ra11)C(O)-;-N(Ra11)S(O)2-;-N(Ra11)S(O)-;-N(Ra11)C(O)O-;-N(Ra11)C(O)N(Ra11a)-;及び-OC(O)N(Ra11Ra11a);からなる群から選択される1個以上の基によって任意選択により中断されており、
Wは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3〜10シクロアルキル、4員から7員のヘテロシクリル、又は9員から11員のヘテロビシクリルからなる群から選択され、Wは、同じ又は異なる1個以上のRa10で任意選択により置換されており、
Ra10は、ハロゲン、CN;オキソ(=O);COORa12;ORa12;C(O)Ra12;C(O)N(Ra12Ra12a);S(O)2N(Ra12Ra12a); S(O)N(Ra12Ra12a);S(O)2Ra12;S(O)Ra12;N(Ra12)S(O)2N(Ra12aRa12b);SRa12;N(Ra12Ra12a);NO2;OC(O)Ra12;N(Ra12)C(O)Ra12a;N(Ra12)S(O)2Ra12a;N(Ra12)S(O)Ra12a;N(Ra12)C(O)ORa12a;N(Ra12)C(O)N(Ra12aRa12b);OC(O)N(Ra12Ra12a);又はC1〜6アルキル、であり、式中、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで任意選択により置換されており、
Ra11、Ra11a、Ra12、Ra12a、Ra12bは、独立に、H、及びC1〜6アルキルからなる群から選択され、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで任意選択により置換されている。
【0085】
より好ましくは、各-Q-は、独立に-Q1a-Q1-*であり、アステリスクはZ1に対する接続を示し、
Q1aは、結合、-C(O)O-;-O-;-C(O)-;-C(O)N(Ra9a)-;-S(O)2N(Ra9a)-;-S(O)N(Ra9a)-;-S(O)2-; -S(O)-;-N(Ra9a)S(O)2N(Ra9b)-;-S-;-N(Ra9a)-;-OC(O)-;-N(Ra9a)C(O)-;-N(Ra9a)S(O)2-;-N(Ra9a)S(O)-;-N(Ra9a)C(O)O-;-N(Ra9a)C(O)N(Ra9b)-;-OC(O)N(Ra9a)-;又は-W-、好ましくは、-C(O)N(Ra9a)-、又は-N(Ra9a)C(O)-であり、
Q1は、1個以上のRa10で任意選択により置換されている、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルから選択され、これらは、Q1が少なくともC2である場合、C3〜7シクロアルキル、4員から7員のヘテロシクリル、
【化5】
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【0086】
[式中、前記各基は個々に1回以上存在してよい]
からなる群から選択される1個以上の基によって任意選択により中断されており、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、Z1に連結する終端において、C3〜7シクロアルキル、4員から7員のヘテロシクリル、
【化6】
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【0087】
から選択される基によって任意選択により終結してよく、
Ra10は、ハロゲン、CN;オキソ(=O);COORa12;ORa12;C(O)Ra12;C(O)N(Ra12Ra12a);S(O)2N(Ra12Ra12a); S(O)N(Ra12Ra12a);S(O)2Ra12;S(O)Ra12;N(Ra12)S(O)2N(Ra12aRa12b);SRa12;N(Ra12Ra12a);NO2;OC(O)Ra12;N(Ra12)C(O)Ra12a;N(Ra12)S(O)2Ra12a;N(Ra12)S(O)Ra12a;N(Ra12)C(O)ORa12a;N(Ra12)C(O)N(Ra12aRa12b);OC(O)N(Ra12Ra12a);又はC1〜6アルキル、であり、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで任意選択により置換されており、
Ra12、Ra12a、Ra12bは、独立に、H及びC1〜6アルキルからなる群から選択され、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで任意選択により置換されており、
R13、R13aは、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はC2〜6アルキニルから選択され、好ましくは、R13、及びR13aは、独立に、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はC2〜6アルキニルから選択される。
【0088】
式(I)において、部分X0は式(IIa)である:
【化7】
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【0089】
[式中、
アステリスクで印をつけた点線はTに対する結合を示し、印のない点線は、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグの残部に対する結合を示し、
Q、Ra1、Ra2、Ra3、及びRa4は、式(II)において規定した通りに用いられる]。
【0090】
より一層好ましくは、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグは、式(II-A)の構造を有する:
【化8】
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【0091】
[式中、
各Tは、独立に、構造(i)から(v)から選択され、
【化9】
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【0092】
[式中、点線は分子の残部に対する結合を示す]
yは、1から64までの範囲の、好ましくは1から16までの範囲の整数であり、より好ましくはyは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15及び16から選択され、より一層好ましくはyは、4、6、8、10又は12、最も好ましくは4であり、
Ra2は、H、非置換のアルキル、及び置換されているアルキルから選択され、
Ra4は、H、非置換のアルキル、及び置換されているアルキルからなる群から選択され、
Aは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3〜10シクロアルキル、4員から7員の脂肪族ヘテロシクリル、又は9員から11員の脂肪族ヘテロビシクリルから選択され、Aは非置換であるか又は置換されており、
Qは、スペーサー部分であり、
Z1は、共有結合しているポリマー、好ましくは薬学的に許容されるポリマーを含む担体である]。
【0093】
好ましくは、式(II-A)のRa2はHである。
【0094】
好ましくは、式(II-A)のRa4は、H、C1〜6アルキル、又は置換されているC1〜6アルキル、より好ましくは、C1〜4アルキル、又は置換されているC1〜4アルキルから選択される。より好ましくは、Ra4は、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、t-ブチル、及びベンジルから選択される。
【0095】
より好ましくは、式(II-A)のRa4はHである。
【0096】
好ましくは、式(II-A)におけるQは、COORa9;ORa9;C(O)Ra9;C(O)N(Ra9Ra9a);S(O)2N(Ra9Ra9a); S(O)N(Ra9Ra9a);S(O)2Ra9;S(O)Ra9;N(Ra9)S(O)2N(Ra9aRa9b);SRa9;N(Ra9Ra9a);OC(O)Ra9;N(Ra9)C(O)Ra9a;N(Ra9)S(O)2Ra9a;N(Ra9)S(O)Ra9a;N(Ra9)C(O)ORa9a;N(Ra9)C(O)N(Ra9aRa9b);OC(O)N(Ra9Ra9a);W;C1〜50アルキル;C2〜50アルケニル;及びC2〜50アルキニル、から選択され、W、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、同じ又は異なる1個以上のRa10で任意選択により置換されており、
C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、-W-、-C(O)O-;-O-;-C(O)-;-C(O)N(Ra11)-;-S(O)2N(Ra11)-;-S(O)N(Ra11)-;-S(O)2-;-S(O)-;-N(Ra11)S(O)2N(Ra11a)-;-S-;-N(Ra11)-;-OC(O)Ra11;-N(Ra11)C(O)-;-N(Ra11)S(O)2-;-N(Ra11)S(O)-;-N(Ra11)C(O)O-;-N(Ra11)C(O)N(Ra11a)-;及び-OC(O)N(Ra11Ra11a);からなる群から選択される1個以上の基によって任意選択により中断されており、
Ra9、Ra9a、Ra9bは、独立に、H、W、並びにC1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルからなる群から選択され、
W、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、同じ又は異なる1個以上のRa10で任意選択により置換されており、
C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、W、-C(O)O-;-O-;-C(O)-;-C(O)N(Ra11)-;-S(O)2N(Ra11)-;-S(O)N(Ra11)-;-S(O)2-;-S(O)-;-N(Ra11)S(O)2N(Ra11a)-;-S-;-N(Ra11)-;-OC(O)Ra11;-N(Ra11)C(O)-;-N(Ra11)S(O)2-;-N(Ra11)S(O)-;-N(Ra11)C(O)O-;-N(Ra11)C(O)N(Ra11a)-;及び-OC(O)N(Ra11Ra11a);からなる群から選択される1個以上の基によって任意選択により中断されており、
Wは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3〜10シクロアルキル、4員から7員のヘテロシクリル、及び9員から11員のヘテロビシクリルからなる群から選択され、Wは、同じ又は異なる1個以上のRa10で任意選択により置換されており、
Ra10は、ハロゲン、CN;オキソ(=O);COORa12;ORa12;C(O)Ra12;C(O)N(Ra12Ra12a); S(O)2N(Ra12Ra12a);S(O)N(Ra12Ra12a);S(O)2Ra12;S(O)Ra12;N(Ra12)S(O)2N(Ra12aRa12b);SRa12;N(Ra12Ra12a);NO2;OC(O)Ra12;N(Ra12)C(O)Ra12a;N(Ra12)S(O)2Ra12a;N(Ra12)S(O)Ra12a;N(Ra12)C(O)ORa12a;N(Ra12)C(O)N(Ra12aRa12b);OC(O)N(Ra12Ra12a);又はC1〜6アルキル、であり、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで任意選択により置換されており、
Ra11、Ra11a、Ra12、Ra12a、Ra12bは、独立に、H、及びC1〜6アルキルからなる群から選択され、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで任意選択により置換されている。
【0097】
より好ましくは、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグは、式(IIaa)である:
【化10】
[この文献は図面を表示できません]
【0098】
[式中、
各Tは、独立に、構造(i)又は(iii)から選択され、
【化11】
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【0099】
[式中、点線は分子の残部に対する結合を示す]
yは、1から64までの範囲の、好ましくは1から16までの範囲の整数であり、より好ましくはyは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15及び16から選択され、より一層好ましくはyは、4、6、8、10、又は12、最も好ましくは4であり、
Ra2は、H、非置換のアルキル、及び置換されているアルキルから選択され、好ましくはRa2は、H、及び置換されている、又は非置換のC1〜6アルキルから選択され、
Ra4は、H、非置換のアルキル、及び置換されているアルキルからなる群から選択され、好ましくはRa4は、H、置換されている、又は非置換のC1〜6アルキルから選択され、
環A1は、C3〜10シクロアルキル、4員から7員の脂肪族ヘテロシクリル、又は9員から11員の脂肪族ヘテロビシクリルであり、A1は非置換であるか又は置換されており、
Q1は、1個以上のRa10で任意選択により置換されている、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルから選択され、これらは、Q1が少なくともC2である場合、C3〜7、シクロアルキル、4員から7員のヘテロシクリル、
【化12】
[この文献は図面を表示できません]
【0100】
[式中、前記各基は個々に1回以上存在してよい]
からなる群から選択される1個以上の基によって任意選択により中断されており、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、Z1に連結する終端において、C3〜7シクロアルキル、4員から7員のヘテロシクリル、
【化13】
[この文献は図面を表示できません]
【0101】
から選択される基によって任意選択により終結してよく、
Ra10は、ハロゲン、CN;オキソ(=O);COORa12;ORa12;C(O)Ra12;C(O)N(Ra12Ra12a); S(O)2N(Ra12Ra12a);S(O)N(Ra12Ra12a);S(O)2Ra12;S(O)Ra12;N(Ra12)S(O)2N(Ra12aRa12b);SRa12;N(Ra12Ra12a);NO2;OC(O)Ra12;N(Ra12)C(O)Ra12a;N(Ra12)S(O)2Ra12a;N(Ra12)S(O)Ra12a;N(Ra12)C(O)ORa12a;N(Ra12)C(O)N(Ra12aRa12b);OC(O)N(Ra12Ra12a);又はC1〜6アルキル、であり、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで任意選択により置換されており、
Ra12、Ra12a、Ra12bは、独立に、H及びC1〜6アルキルからなる群から選択され、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで任意選択により置換されており、
R13、及びR13aは、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はC2〜6アルキニルから選択され、好ましくは、R13、及びR13aは、独立に、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はC2〜6アルキニルから選択され、
Z1は、共有結合しているポリマー、好ましくは薬学的に許容されるポリマーを含む担体である]。
【0102】
式(IIaa)のRa4及びRa2は隣接していることが理解される。
【0103】
好ましくは、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグは、式(IIab)である:
【化14】
[この文献は図面を表示できません]
【0104】
[式中、T、Ra2、Ra4、A1、Q1、Z1、及びyは、式(IIaa)において規定した通りに用いられる]。
【0105】
式(IIab)のRa4及びRa2は隣接していることが理解される。
【0106】
好ましくは、式(IIaa)又は(IIab)のA1は、シクロペンタン、シクロヘキサン、又はシクロヘプタンから選択される。より好ましくは、A1はシクロヘキサンである。
【0107】
好ましくは、式(IIaa)又は(IIab)のRa2及びRa4は両方ともHである。
【0108】
好ましくは、式(IIaa)又は(IIab)のQ1は、同じ又は異なる1個以上のRa10で任意選択により置換されている、C1〜50アルキルから選択され、C1〜50アルキルは、Q1が少なくともC2である場合、C3〜7シクロアルキル、4員から7員のヘテロシクリル、
【化15】
[この文献は図面を表示できません]
【0109】
[式中、各々の前記基は、個々に、1回以上存在してよい]
からなる群から選択される1個以上の基によって任意選択により中断されており、C1〜50アルキルは、Z1に対して接続している終端において、C3〜7シクロアルキル、4員から7員のヘテロシクリル、
【化16】
[この文献は図面を表示できません]
【0110】
[式中、R13及びR13aは、式(IIaa)に対して規定されている通りに用いられる]
から選択される基によって、任意選択により終結していてよい。
【0111】
好ましくは、式(IIaa)又は(IIab)のyは、4、6又は8である。より好ましくは、式(IIaa)又は(IIab)のyは4又は8であり、最も好ましくは、式(IIaa)又は(IIab)のyは4である。
【0112】
より一層好ましくは、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグは、式(IIac)又は(IIad)である:
【化17】
[この文献は図面を表示できません]
【0113】
[式中、
T、Z1及びyは、式(IIaa)において規定した通りに用いられ、
xは、2、3、4、5、6、7、又は8から選択され、より好ましくは、xは、3、4、5、6、7又は8から選択され、
X1は、1個以上のRa10で任意選択により置換されているC1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルから選択され、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、X1が少なくともC2である場合、C3〜7シクロアルキル、4員から7員のヘテロシクリル、
【化18】
[この文献は図面を表示できません]
【0114】
[式中、前記基の各々は、個々に、1回以上現れてよい]
からなる群から選択される1個以上の基によって任意選択により中断されており、
C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、Z1に対して接続している終端において、C3〜7シクロアルキル、4員から7員のヘテロシクリル、
【化19】
[この文献は図面を表示できません]
【0115】
から選択される基によって任意選択により終結していてよく、
Ra10は、ハロゲン、CN;オキソ(=O);COORa12;ORa12;C(O)Ra12;C(O)N(Ra12Ra12a); S(O)2N(Ra12Ra12a);S(O)N(Ra12Ra12a);S(O)2Ra12;S(O)Ra12;N(Ra12)S(O)2N(Ra12aRa12b);SRa12;N(Ra12Ra12a);NO2;OC(O)Ra12;N(Ra12)C(O)Ra12a;N(Ra12)S(O)2Ra12a;N(Ra12)S(O)Ra12a;N(Ra12)C(O)ORa12a;N(Ra12)C(O)N(Ra12aRa12b);OC(O)N(Ra12Ra12a);又はC1〜6アルキル、であり、式中、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで任意選択により置換されており、
Ra12、Ra12a、及びRa12bは、独立に、H、及びC1〜6アルキルからなる群から選択され、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで任意選択により置換されており、
R13、R13aは、式(IIaa)に対して規定した通りに用いられる]。
【0116】
好ましくは、式(IIac)及び(IIad)のX1は、C1〜15アルキル、C2〜15アルケニル、及びC2〜15アルキニルから選択され、これらは、C3〜7シクロアルキル、4員から7員のヘテロシクリル、
【化20】
[この文献は図面を表示できません]
【0117】
[式中、
R13及びR13aは独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はC2〜6アルキニルから選択される]
からなる群から選択される1個以上の基によって任意選択により置換され、又は中断されている。
【0118】
より好ましくは、式(IIac)又は(IIad)のyは、4、6、又は8である。より一層好ましくは、yは4又は8であり、最も好ましくは、yは4である。
【0119】
より好ましくは、式(IIac)又は(IIad)のxは、4、5又は6であり、最も好ましくはxは6である。
【0120】
より一層好ましくは、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグは式(IIb)である:
【化21】
[この文献は図面を表示できません]
【0121】
[式中、
Z1は、共有結合しているポリマー、好ましくは、薬学的に許容されるポリマーを含む担体であり、
X1及びyは、式(IIac)及び(IIad)において規定した通りに用いられ、
xは、2、3、4、5、6、7又は8から選択される]。
【0122】
より好ましくは、式(IIb)のyは、4、6又は8であり、より一層好ましくは、yは4又は8であり、最も好ましくは、yは4である。
【0123】
より好ましくは、式(IIb)のxは、4、5又は6であり、より一層好ましくは、xは5又は6であり、最も好ましくは、xは6である。
【0124】
最も好ましくは、式(IIb)におけるyは4であり、式(IIb)におけるxは6である。
【0125】
より好ましくは、式(IIb)の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグは、式(IIba)の構造を有する:
【化22】
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【0126】
[式中、
Z1は、式(IIaa)において規定した通りに用いられ、yは、式(IIac)及び(IIad)において規定した通りに用いられる]。
【0127】
好ましくは、式(IIba)におけるyは、4、6又は8である。より好ましくは、式(IIba)におけるyは、4又は8であり、最も好ましくは、式(IIba)のyは4である。
【0128】
より好ましくは、式(IIac)のX1は、
【化23】
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であり、qは、1から4から選択され、好ましくは、qは1である。
【0129】
より好ましくは、式(IIad)のX1は、
【化24】
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であり、qは、1、2、3又は4から選択され、好ましくは、2である。
【0130】
好ましくは、式(I)のX0は、以下の構造から選択される:
【化25】
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【0131】
[式中、
アステリスクで印をつけた点線はTに対する結合を示し、
印のない点線は、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグの残部に対する結合を示す]。
【0132】
好ましくは、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、及び(IIad)の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグの部分Tは全て同じ構造を有する。
【0133】
好ましくは、式(I)の部分Tは全て、式(v)、又は式(ii)、又は式(iii)の構造を有し、より好ましくは、式(v)の構造を有する。
【0134】
好ましくは、式(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、及び(IIad)の部分Tは全て同じ構造を有し、式(ii)、(iii)、又は(iv)のいずれかである。より好ましくは、式(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、及び(IIad)の部分Tは全て同じ構造を有し、式(ii)又は(iv)のいずれかである。
【0135】
式(I)の好ましい下部構造-X0-Tは、以下の構造から選択される:
【化26】
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【0136】
[式中、点線はZ1に対する結合を示す]。
【0137】
別の好ましい一実施形態において、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグは、式(IId)の構造を有する:
【化27】
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【0138】
[式中、
点線は式(I)のTに対する結合を示し、
Yvは、-N(R1v)-であり、
Xvは、-C(R4v)(R4av)-;-N(R4v)-;-O-;-C(R4v)(R4av)-C(R5v)(R5av)-;-C(R4v)(R4av)-N(R6v)-; -N(R6v)-C(R4v)(R4av)-;-C(R4v)(R4av)-O-;-O-C(R4v)(R4av)-;-C(O)-N(R6v)-;又は-N(R6v)-C(O)-;であり、
X1vは、
【化28】
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であり、
X2vは、-C(R7v)(R7av)-、又は-C(R7v)(R7av)-C(R8v)(R8av)であり、
X3vは、=O、=S、又は=N-CNであり、
R1v、R1av、R2v、R2av、R3v、R3av、R4v、R4av、R5v、R5av、R6v、R7v、R7av、R8v、R8av、は、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、C1〜20ヘテロアルキル、及びY1-Tvからなる群から選択され、独立に、ゼロ、一つ又は複数の、R1av/R4av、R1av/R5av、R4av/R5av、R7av/R8avの対は非存在であり、これらが結合している対応する炭素原子はシス二重結合を形成し、
Y1vは、化学結合、又はC1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニルであり、
Tvは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3〜10シクロアルキル、4員から7員のヘテロシクリル、又は9員から11員のヘテロビシクリルからなる群から選択され、Tvは、同じ又は異なる1個以上のR9で任意選択により置換されており、
R9vは、ハロゲン、-CN;オキソ(=O);-C(O)OH;-OH;-S(O)2NH2;-S(O)NH2;-S(O)2OH;-S(O)OH; -SH;-NH2;-NO2;C1〜6アルキル、又はC1〜10ヘテロアルキル;であり、
任意選択により、一つ以上のR1v/R1av、R1v/R4v、R1v/R6v、R1v/R5v、R2v/R2av、R2v/R3v、R4v/R4av、R4v/R5v、R5v/R5av、R7v/R7av、R7v/R8v、R8v/R8avの対は、これらが結合している原子と一緒になって環Tを形成し、
任意選択により、R3v/R3avは、これらが結合している窒素原子と一緒になって4員から7員の複素環を形成し、
R1v、R1av、R2v、R2av、R3v、R3av、R4v、R4av、R5v、R5av、R6v、R7v、R7av、R8v、R8avの一つは、式(I)のZ0で置換されている]。
【0139】
式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、及び(IIba)の担体Z1は、共有結合しているポリマー、好ましくは薬学的に許容されるポリマーを含む。
【0140】
好ましいポリマーは、2-メタクリロイル-オキシエチルホスホイルコリン、ヒドロゲル、PEGベースのヒドロゲル、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アルキルオキシ)ポリマー、ポリ(アミド)、ポリ(アミドアミン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(アスパルトアミド)、ポリ(酪酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カルボネート)、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(エステル)、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチルホスフェート)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルオキサゾリン)、ポリ(ヒドロキシメトアクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメトアクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタアクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルオキサゾリン)、ポリ(イミノカルボネート)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(メタアクリルアミド)、ポリ(メタアクリレート)、ポリ(メチルオキサゾリン)、ポリ(オルガノホスファゼン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(シロキサン)、ポリ(ウレタン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルピロリドン)、シリコーン、セルロース、カルボメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キチン、キトサン、デキストラン、デキストリン、ゼラチン、ヒアルロン酸及び誘導体、マンナン、ペクチン、ラムノガラクツロナン、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、及び他の炭水化物ベースのポリマー、キシラン、及びこれらの共重合体から選択される。
【0141】
好ましくは、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、及び(IIba)の担体Z1は、ポリ(オキサゾリン)又はPEGベースのポリマーを含む。最も好ましくは、担体Z1は、PEGベースのポリマーを含む。
【0142】
一実施形態において、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、及び(IIba)の担体Z1は、当技術分野において知られているヒドロゲル(ポリマーに対する一選択肢として)であってよい。適切なヒドロゲルは、WO-A 2006/003014又はEP-A 1 625 856に記載されている。担体Z1がヒドロゲルである場合、担体が、本明細書に参照として組み入れられるWO-A 2011/012715において開示されているPEGベースのヒドロゲルであるのが好ましい。
【0143】
好ましくは、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、及び(IIba)の担体Z1は、水溶性の担体である。
【0144】
一実施形態において、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、及び(IIba)の担体Z1は、式(III)の構造を有する:
【化29】
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【0145】
[式中、
点線は、それぞれ、X0に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(I)のものである場合)、Qに対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(II)のものである場合)、Q1に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIaa)若しくは(IIab)のものである場合)、又はX1に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIac)、(IIad)、及び(IIb)のものである場合)、又は分子の残部に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIba)のものである場合)結合を示し、
式(III)の各m、n、及びpは、独立に、5から500までの範囲の整数であり、
式(III)のqは、2から32までの範囲である]。
【0146】
一実施形態において、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、及び(IIb)の担体Z1は、式(IIIa)の構造を有する:
【化30】
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【0147】
[式中、
点線は、それぞれ、X0に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(I)のものである場合)、Qに対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(II)のものである場合)、Q1に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIaa)若しくは(IIab)のものである場合)、又はX1に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIac)、(IIad)、及び(IIb)のものである場合)結合を示し、
式(IIIa)の各m、n、及びpは、独立に、5から500までの範囲の整数であり、
式(IIIa)のqは、2から32までの範囲である]。
【0148】
好ましくは、式(III)及び(IIIa)におけるqは、2から14までの範囲の整数であり、より好ましくは、式(III)及び(IIIa)のqは6である。
【0149】
好ましくは、式(III)及び(IIIa)における各m、n、及びpは、独立に、10から250までの、より好ましくは、50から150までの範囲である。好ましくは、式(III)及び式(IIIa)におけるm、n、及びpは同じである。
【0150】
代替の一実施形態において、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、及び(IIba)の担体Z1は、式(IV)の構造を有する:
【化31】
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【0151】
[式中、
点線は、m1、m2の一つが1である場合、それぞれ、X0に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(I)のものである場合)、Qに対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(II)のものである場合)、Q1に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIaa)若しくは(IIab)のものである場合)、又はX1に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)のものである場合)、又は分子の残部に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIba)のものである場合)結合を示し、m1、m2=0の場合、担体はTに対して共有結合的に結合しており、
式(IV)の各m、n、及びpは、独立に、5から500までの範囲の整数であり、
式(IV)のqは、0から14までの範囲である]。
【0152】
好ましくは、式(IV)におけるqは、2から6までの範囲の整数であり、より好ましくは、式(IV)のqは2である。
【0153】
好ましくは、式(IV)における各m、n、及びpは、独立に、10から250までの、より好ましくは、50から150までの範囲である。好ましくは、式(IV)におけるm、n、及びpは同じである。
【0154】
別の好ましい一実施形態において、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、及び(IIba)のZ1は、式(V)の構造を有する:
Hyp1mx-POLx-Hyp2 (V)
[式中、
POLxは、0.5kDaから160kDaまでの範囲の分子量を有するポリマー部分であり、
Hyp1及びHyp2は、独立に、超分枝部分であり、
mxは、0又は1である]。
【0155】
ポリマー部分POLxは、0.5kDaから160kDaまでの、好ましくは、2kDaから80kDaまでの、より好ましくは、5kDaから40kDaまでの分子量を有する。
【0156】
POLxは、例えば、ポリペプチド、2-メタクリロイル-オキシエチルホスホイルコリン、水溶性のヒドロゲル、水溶性PEGベースのヒドロゲル、水溶性ヒアルロン酸ベースのヒドロゲル、ポリ(アクリル酸)、ポリ(アクリレート)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アルキルオキシ)ポリマー、ポリ(アミド)、ポリ(アミドアミン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(アスパルトアミド)、ポリ(酪酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カルボネート)、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(ジメチルアクリルアミド)、ポリ(エステル)、ポリ(エチレン)、ポリ(エチレングリコール)、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチルホスフェート)、ポリ(エチルオキサゾリン)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(ヒドロキシエチルアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルオキサゾリン)、ポリ(ヒドロキシメトアクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルメトアクリルアミド)、ポリ(ヒドロキシプロピルメタアクリレート)、ポリ(ヒドロキシプロピルオキサゾリン)、ポリ(イミノカルボネート)、ポリ(乳酸)、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、ポリ(メタアクリルアミド)、ポリ(メタアクリレート)、ポリ(メチルオキサゾリン)、ポリ(オルガノホスファゼン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(プロピレングリコール)、ポリ(シロキサン)、ポリ(ウレタン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルアミン)、ポリ(ビニルメチルエーテル)、ポリ(ビニルピロリドン)、シリコーン、セルロース、カルボメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、キチン、キトサン、デキストラン、デキストリン、ゼラチン、ヒアルロン酸及び誘導体、官能基化されているヒアルロン酸、マンナン、ペクチン、ラムノガラクツロナン、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、及び他の炭水化物ベースのポリマー、キシラン、及びこれらの共重合体からなるポリマーの群から選択することができる。
【0157】
式(V)のポリマー部分POLxは、直鎖状又は分枝状のポリマーを含むことができる。好ましくは、式(V)のPOLxは、直鎖状ポリマーを含み、特に直鎖状ポリマーからなる。
【0158】
好ましい一実施形態において、式(V)のPOLxは、PEGベースのポリマー、又はポリ(オキサゾリン)ベースのポリマー、より好ましくは、直鎖状のPEGベースのポリマーを含み、特にこれらからなる。より一層好ましくは、式(V)のPOLxは、PEGベースの直鎖状ポリマーからなる。
【0159】
式(V)におけるmが0である場合、式(V)のPOLxは、式X1-(OCH2CH2)p-O-(CH2)n-X2-の構造を含み、好ましくはこの構造からなり、式中、nは、2、3、又は4から選択され、pは5から2000までの範囲の整数であり、好ましくは、pは10から1000までの範囲の整数であり、より好ましくは、pは100から1000までの範囲の整数であり、X2は、式(V)のPOLxとHyp2とを共有結合的に連結する官能基であり、X1は、H、CH3、及びC2H5から選択される。
【0160】
式(V)におけるmが1である場合、式(V)のPOLxは、式X3-(CH2)n1-(OCH2CH2)p-O-(CH2)n2-X2-の構造を含み、好ましくはこの構造からなり、式中、n1及びn2は、独立に、2、3、及び4から選択され、pは5から2000までの範囲の整数であり、好ましくは、pは10から1000までの範囲の整数であり、より好ましくは、pは100から1000の範囲の整数であり、X2及びX3は、式(V)のPOLxをHyp1及びHyp2に対して共有結合的に連結する官能基である。
【0161】
好ましい一実施形態において、式(V)におけるmxは0である。
【0162】
別の好ましい一実施形態において、式(V)のPOLxはポリペプチド(又はタンパク質)であり、特に、以下に記載する通り、非免疫原性のポリペプチドである。
【0163】
好ましくは、式(V)のポリマー部分POLxは、少なくとも約100個のアミノ酸残基を含み、特に、少なくとも約100個のアミノ酸残基からなるポリペプチドである。好ましい一実施形態において、アラニン、セリン、及び/又はプロリン残基から選択されるアミノ酸が存在し、特に、主に存在し、このポリペプチド部分が、生理学的条件でランダムコイル構造を有するのが好ましい。このような式(V)のポリペプチド部分POLxが、例えば、凍結乾燥又は乾燥した組成物中に存在する場合、ランダムコイルを一過的又は一時的に形成し得ないことが理解される。
【0164】
式(V)のポリペプチド部分POLxは、アミノ酸残基最大約1000個、好ましくは、アミノ酸残基最大約900個、より好ましくは、アミノ酸残基最大約800個、より一層好ましくは、アミノ酸残基最大約700個、特に好ましくは、アミノ酸残基最大約600個からなるアミノ酸配列を有するランダムコイル構造を有することができる。このように、ランダムコイル構造を形成するアミノ酸配列は、アミノ酸残基最大約500個、又はアミノ酸残基最大約450個からなっていてよい。
【0165】
本明細書において、ランダムコイル構造を形成するアミノ酸配列は、アミノ酸残基最大約1200、及び最高約1500個からなっていてよい。したがって、ランダムコイル構造を形成するアミノ酸配列は、アミノ酸残基約100個から約1500個からなっていてよい。
【0166】
特定の実施形態において、ランダムコイル構造を形成する前記アミノ酸配列は、本明細書において特徴づける通り、約100個から1000個のアミノ酸残基からなり、すなわち、以下に規定する通り、主な、又は独特な残基としてアラニン、セリン、及び/又はプロリンを含む。
【0167】
好ましい一実施形態において、式(V)のポリペプチド部分POLxは、1個、2個、又は3個のアミノ酸残基であるアラニン、セリン、及びプロリンから主になり、プロリン残基は、好ましくは、式(V)のポリペプチド部分POLxの約4%から約40%を表す。アラニン及びセリン残基は、式(V)のポリペプチド部分POLxの残部の少なくとも60%から96%を含む。しかし、本明細書以下に詳述する通り、式(V)のポリペプチド部分POLxは、アラニン、セリン、及びプロリンとは異なるさらなるアミノ酸も、すなわち、微量成分として含むことができる。
【0168】
本明細書で用いられる「微量成分」の語は、最大10%(すなわち、100個のアミノ酸のうち最大10個)が、アラニン、セリン、及びプロリンと異なっていてよく、好ましくは、最大8%(すなわち、100個のアミノ酸のうち最大8個)が、アラニン、セリン、及びプロリンと異なっていてよく、より好ましくは、最大6%(すなわち、100個のアミノ酸のうち最大6個)が、アラニン、セリン、及びプロリンと異なっていてよく、より一層好ましくは、最大5%(すなわち、100個のアミノ酸のうち最大5個)が、アラニン、セリン、及びプロリンと異なっていてよく、さらに特に好ましくは、特に好ましくは、最大4%(すなわち、100個のアミノ酸のうち最大4個)が、アラニン、セリン、及びプロリンと異なっていてよく、最大3%(すなわち、100個のアミノ酸のうち最大3個)が、アラニン、セリン、及びプロリンと異なっていてよく、さらにより特に好ましくは、最大2%(すなわち、100個のアミノ酸のうち最大2個)が、アラニン、セリン、及びプロリンと異なっていてよく、最も好ましくは、最大1%(すなわち、100個のアミノ酸の最大1個)が、アラニン、セリン、及びプロリンと異なっていてよい。アラニン、セリン、及びプロリンと異なる前記アミノ酸は、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Thr、Trp、Tyr、Val、セレノシステイン、セレノメチオニン、及びヒドロキシプロリンを含む、天然の、又はタンパク質を構成する(proteigenic)アミノ酸からなる群から選択することができる。微量成分は、天然に存在しないアミノ酸から選択することもできる。
【0169】
「少なくとも約100/150/200/250/300/300/350個(など)のアミノ酸残基」の語は、簡潔な数のアミノ酸残基に限定されないが、さらなる10%から20%を含み、又は10%から20%少ない残基を含むアミノ酸の一続きも含む。例えば、「少なくとも約100個のアミノ酸残基」はまた、本発明の要点から逸脱することなく、80個から100個、及び約100個から120個のアミノ酸残基を含むことができる。
【0170】
一実施形態において、式(V)のポリペプチド部分POLxは、複数のポリマーカセットを含み、前記ポリマーカセットは、Ala、Ser、及びProから選択されるアミノ酸1個、2個、又は3個からなり、6個を超えない連続のアミノ酸残基が同一であり、前記プロリン残基は、式(V)の前記ポリペプチド部分POLxのアミノ酸の4%を超え40%未満を構成する。
【0171】
式(V)のポリペプチド部分POLxは、複数の、特に、2、3、4、5若しくはそれを超える同一のポリマーカセット、又は複数の同一ではないポリマーカセットを含むことができる。Ala、Ser、及びPro残基からなるポリマーカセットの非限定的な例を、本明細書以下に提供し、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、及び配列番号:14、又はこれら配列のペプチドフラグメント若しくは多量体を参照されたい。ポリマーカセットは、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個又はそれを超えるアミノ酸残基からなっていてよく、各ポリマーカセットは、Ala、Ser、及びPro残基(複数可)を含む。
【0172】
一実施形態において、本発明によるポリマーカセットは、100個を超えるアミノ酸残基を含まない。好ましくは、本明細書に規定するポリマーカセットは、約4%を超える、好ましくは約5%を超える、より一層好ましくは約6%を超える、特に好ましくは約8%を超える、より特に好ましくは約10%を超える、より一層特に好ましくは約15%を超える、最も好ましくは約20%を超えるプロリン残基を含む。本明細書に規定するようなポリマーカセットは、好ましくは、約40%未満、又は約35%未満のプロリン残基を含む。
【0173】
好ましい一実施形態において、式(V)のポリペプチド部分POLxは、式(a)を含み、特に式(a)からなり:
Serx[AlaySerz]n (a)
この式は本明細書で規定するプロリン残基をさらに含み、式中、
xは、独立に、0から6の整数から選択され、
各yは、独立に、1から6までの範囲の整数から選択され、
各zは、独立に、1から6までの範囲の整数から選択され、
nは、式(V)のポリペプチド部分POLxが、少なくとも約100個のアミノ酸残基、特に少なくとも約100個から約3000個までのアミノ酸残基、好ましくは約2000個まで、より好ましくは約1000個までのアミノ酸残基からなるようなあらゆる整数である。
【0174】
別の好ましい一実施形態において、式(V)のポリペプチド部分POLxは、5個を超えない同一の連続のアミノ酸残基を、より好ましくは4個を超えない同一の連続のアミノ酸残基を、最も好ましくは3個を超えない同一の連続のアミノ酸残基を含む。
【0175】
本明細書の上記にすでに示した通り、式(V)のポリペプチド部分POLxは、一実施形態においてプロリン残基を含み、前記プロリン残基は、約4%を超える、好ましくは約5%を超える、より一層好ましくは約6%を超える、特に好ましくは約8%を超える、より特に好ましくは約10%を超える、より一層特に好ましくは約15%を超える、最も好ましくは約20%を超える、式(V)のPOLxのアミノ酸を構成する。
【0176】
別の好ましい一実施形態において、式(V)のポリペプチド部分POLxは、式(V)のポリペプチド部分POLxを構成するアミノ酸の、約4%を超え約50%未満の、好ましくは約10%を超え約50%未満の、最も好ましくは約20%を超え約50%未満のアラニン残基を含む。
【0177】
さらに好ましい一実施形態において、式(V)のポリペプチド部分POLxは、式(V)のポリペプチド部分POLxを構成するアミノ酸の、約4%を超え約50%未満の、好ましくは約10%を超え約50%未満の、最も好ましくは約20%を超え約50%未満のセリン残基を含む。
【0178】
好ましくは、式(V)のポリペプチド部分POLxは、式(V)のポリペプチド部分POLxを構成するアミノ酸の、約35%のプロリン残基、約50%のアラニン残基、及び約15%のセリン残基を含む。或いは、式(V)のポリペプチド部分POLxは、式(V)のポリペプチド部分POLxを構成するアミノ酸の、約35%のプロリン残基、約15%のアラニン残基、及び約50%のセリン残基を含むことができる。
【0179】
好ましくは、式(V)のポリペプチド部分POLxは、以下のアラニン-セリンポリマーカセットを1個以上含む:
配列番号1
AAAASSASSASSSSSAAASA
配列番号2
AASAAASSAAASAAAASASS
配列番号3
ASASASASASASSAASAASA
配列番号4
SAASSSASSSSAASSASAAA
配列番号5
SSSSAASAASAAAAASSSAS
配列番号6
SSASSSAASSSASSSSASAA
配列番号7
SASASASASASAASSASSAS
配列番号8
ASSAAASAAAASSAASASSS
これらアラニン-セリンポリマーカセットの多量体は、本明細書上記に規定した通り、得られるアミノ酸配列がプロリン残基をさらに含む場合、ランダムコイル構造を形成することができる。
【0180】
好ましい一実施形態において、式(V)のポリペプチド部分POLxは、以下のポリマーカセットを1個以上含む:
配列番号9
ASPAAPAPASPAAPAPSAPA
配列番号10
AAPASPAPAAPSAPAPAAPS
配列番号11
APSSPSPSAPSSPSPASPSS
配列番号15
SAPSSPSPSAPSSPSPASPS
配列番号:15は、本明細書に提供する循環的に形を変えた形態の配列番号:11に相当し、最後のセリンが除去され、別のセリンが出発のアミノ酸として追加されている。その結果、この修飾された配列の多量体は、非修飾の配列の多量体と、最初及び最後の残基を除いて、本質的に同じ内部反復単位を所有する。したがって、配列番号:15は、式(V)のポリペプチド部分POLxに対するさらなるポリマーカセットの一例とみなすことができる。当業者には、他のポリマーカセット、及び本明細書に提供するアミノ酸ポリマーの(より短い)ペプチドフラグメント又は循環的に形を変えたバージョンを、式(V)のポリペプチド部分POLxに対するポリマーカセットとして用いることができることが明らかである。
【0181】
さらに、ランダムコイル構造を形成するまたさらなる、例示のアミノ酸ポリマーは、以下の配列からなる群から選択することができるアミノ酸配列を含むことができる:
配列番号12
SSPSAPSPSSPASPSPSSPA
配列番号13
AASPAAPSAPPAAASPAAPSAPPA
配列番号14
ASAAAPAAASAAASAPSAAA
それゆえ、式(V)のポリペプチド部分POLxに好ましいポリマーカセットは、以下の配列:
ASPAAPAPASPAAPAPSAPA(配列番号9)、
AAPASPAPAAPSAPAPAAPS(配列番号10)、
APSSPSPSAPSSPSPASPSS(配列番号11)、
SSPSAPSPSSPASPSPSSPA(配列番号12)、
AASPAAPSAPPAAASPAAPSAPPA(配列番号13)、及び
ASAAAPAAASAAASAPSAAA(配列番号14);
又はこれらの配列の全体若しくは部分として、これらの配列の循環的に形を変えたバージョン若しくは多量体(複数可)から選択される。
【0182】
繰り返すと、これらの配列のペプチドフラグメント(複数可)、又は多量体(複数可)、又は循環的に形を変えたバージョン、及び本明細書上記に提供した配列も、本発明の状況において、式(V)のポリペプチド部分POLxに対するポリマーカセットとして用いることができる。当業者であれば、容易に、生理学的条件下でランダムコイル構造を形成し、且つ本明細書に規定するアラニン、セリン、及びプロリンから主に構成されるさらなるアミノ酸ポリマーカセットを産生する立場にある。このような、式(V)のポリペプチド部分POLxに用いるアミノ酸ポリマーカセットを形成するランダムコイル構造の他の、さらなる例は、とりわけ、上記に示した特定のポリマーカセットの、組合せ、及び/又はペプチドフラグメント、又は循環的に形を変えたバージョンを含むことができる。
【0183】
したがって、例示のポリマーカセットは、さらなるポリマーカセットを形成するために新たに組み合わせることができる個々のペプチドフラグメントも提供することができる。
【0184】
上記にしたがい、式(V)のポリペプチド部分POLxは、本明細書上記に開示した配列番号:9、10、11、12、13、若しくは14を有するアミノ酸配列のいずれか一つからなる配列の多量体を含むことができ、又は配列番号:9、10、11、12、13、及び14の二つ以上のアミノ酸配列からなる配列の多量体を含むことができる。さらに、ペプチドフラグメント、又はこれら例示の配列の循環的に形を変えたバージョンを、式(V)のポリペプチド部分POLxのさらなるポリマーカセットを構築するのに用いることができる。
【0185】
別の一実施形態において、式(V)のポリペプチド部分POLxは、配列番号:9、10、11、12、13、14、及び15からなる群から選択されるアミノ酸配列の(循環的な)変形からなる配列の多量体、又はこれら(循環的に)形を変えた配列の多量体(複数可)を含むことができる。
【0186】
さらに別の一実施形態において、式(V)のポリペプチド部分POLxは、配列番号:9、10、11、12、13、14、15からなる群から選択されるアミノ酸配列のペプチドフラグメント/部位からなる多量体、又はこれら例示のポリマーカセットの多量体(複数可)を含むことができる。
【0187】
式(V)のポリペプチド部分POLxの産生に用いられる、これら配列のペプチドフラグメントは、前記配列番号:9、10、11、12、13、及び14からなる群から選択されるアミノ酸配列の連続のアミノ酸の、少なくとも3個、好ましくは少なくとも4個、より好ましくは少なくとも5個、より一層好ましくは少なくとも6個、なお一層好ましくは少なくとも8個、特に好ましくは少なくとも10個、より特に好ましくは少なくとも12個、より一層特に好ましくは少なくとも14個、好ましくは少なくとも6個、なお一層好ましくは少なくとも8個、特に好ましくは少なくとも10個、より特に好ましくは12個、より一層特に好ましくは少なくとも14個、より一層特に好ましくは少なくとも16個、最も好ましくは少なくとも18個からなっていてよい。
【0188】
例えば、アラニン、セリン、及びプロリンの全体の分布及び量に対して上記に特定した規則が尊重される限り、本発明のポリマーカセットの個々のペプチドフラグメントを組み合わせてさらなる個々のポリマーカセットにしてもよい。繰り返すと、これらのポリマーカセットは、さらなるアミノ酸残基を含むこともできるが、最小成分又は微量成分として、すなわち、個々のポリマーカセットの最大10%、好ましくは最大2%だけ含むことができる。ポリマーカセットを含む式(V)の部分POLxは、本発明の一実施形態において、少なくとも約100個のアミノ酸残基からなる。個々のポリマーカセットを、より長いランダムコイル形成性のアミノ酸ポリマーを形成するために、組み合わせることができ、式(V)のポリペプチド部分POLxの最大の長さはアミノ酸約3000個である。
【0189】
好ましくは、式(V)のPOLxは、式(V)のHyp1及びHyp2に共有結合的に、特に、永久的な連結によって、より好ましくは、永久的なアミド連結によって連結している。
【0190】
本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグにおいて、式(V)のHyp1及びHyp2の官能基は、それぞれ、式(I)の部分X0に対して、部分Qに対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(II)のものである場合)、部分Q1に対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIaa)若しくは(IIab)のものである場合)、又は部分X1に対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)のものである場合)、又は分子の残部に対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIba)のものである場合)接続している。
【0191】
式(V)の超分枝部部分Hyp1及びHyp2は、各々独立に、結合型のグリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトール、ヘキサグリセリン、スクロース、ソルビトール、フルクトース、マンニトール、グルコース、セルロース、アミロース、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、ポリビニルアルコール、デキストラン、ヒアルロナン、ジリシン、トリリシン、テトラリシン、ペンタリシン、ヘキサリシン、ヘプタリシン、オクタリシン、ノナリシン、デカリシン、ウンデカリシン、ドデカリシン、トリデカリシン、テトラデカリシン、ペンタデカリシン、ヘキサデカリシン、ヘプタデカリシン、オクタデカリシン、ノナデカリシン、トリオルニチン、テトラオルニチン、ペンタオルニチン、ヘキサオルニチン、ヘプタオルニチン、オクタオルニチン、ノナオルニチン、デカオルニチン、ウンデカオルニチン、ドデカオルニチン、トリデカオルニチン、テトラデカオルニチン、ペンタデカオルニチン、ヘキサデカオルニチン、ヘプタデカオルニチン、オクタデカオルニチン、ノナデカオルニチン、トリジアミノ酪酸、テトラジアミノ酪酸、ペンタジアミノ酪酸、ヘキサジアミノ酪酸、ヘプタジアミノ酪酸、オクタジアミノ酪酸、ノナジアミノ酪酸、デカジアミノ酪酸、ウンデカジアミノ酪酸、ドデカジアミノ酪酸、トリデカジアミノ酪酸、テトラデカジアミノ酪酸、ペンタデカジアミノ酪酸、ヘキサデカジアミノ酪酸、ヘプタデカジアミノ酪酸、オクタデカジアミノ酪酸、ノナデカジアミノ酪酸、ジ(グルタミン酸)、トリ(グルタミン酸)、テトラ(グルタミン酸)、ペンタ(グルタミン酸)、ヘキサ(グルタミン酸)、ヘプタ(グルタミン酸)、オクタ(グルタミン酸)、ノナ(グルタミン酸)、デカ(グルタミン酸)、ウンデカ(グルタミン酸)、ドデカ(グルタミン酸)、トリデカ(グルタミン酸)、テトラデカ(グルタミン酸)、ペンタデカ(グルタミン酸)、ヘキサデカ(グルタミン酸)、ヘプタデカ(グルタミン酸)、オクタデカ(グルタミン酸)、ノナデカ(グルタミン酸)、ジ(アスパラギン酸)、トリ(アスパラギン酸)、テトラ(アスパラギン酸)、ペンタ(アスパラギン酸)、ヘキサ(アスパラギン酸)、ヘプタ(アスパラギン酸)、オクタ(アスパラギン酸)、ノナ(アスパラギン酸)、デカ(アスパラギン酸)、ウンデカ(アスパラギン酸)、ドデカ(アスパラギン酸)、トリデカ(アスパラギン酸)、テトラデカ(アスパラギン酸)、ペンタデカ(アスパラギン酸)、ヘキサデカ(アスパラギン酸)、ヘプタデカ(アスパラギン酸)、オクタデカ(アスパラギン酸)、ノナデカ(アスパラギン酸)、ポリエチレンイミン、及び低分子量のPEIを含み、特にこれらからなる群から選択される。
【0192】
好ましい一実施形態において、式(V)の超分枝部部分Hyp1及びHyp2は、各々独立に、結合型のジリシン、トリリシン、テトラリシン、ペンタリシン、ヘキサリシン、ヘプタリシン、オクタリシン、ノナリシン、デカリシン、ウンデカリシン、ドデカリシン、トリデカリシン、テトラデカリシン、ペンタデカリシン、ヘキサデカリシン、ヘプタデカリシン、オクタデカリシン、ノナデカリシン、トリオルニチン、テトラオルニチン、ペンタオルニチン、ヘキサオルニチン、ヘプタオルニチン、オクタオルニチン、ノナオルニチン、デカオルニチン、ウンデカオルニチン、ドデカオルニチン、トリデカオルニチン、テトラデカオルニチン、ペンタデカオルニチン、ヘキサデカオルニチン、ヘプタデカオルニチン、オクタデカオルニチン、ノナデカオルニチン、トリジアミノ酪酸、テトラジアミノ酪酸、ペンタジアミノ酪酸、ヘキサジアミノ酪酸、ヘプタジアミノ酪酸、オクタジアミノ酪酸、ノナジアミノ酪酸、デカジアミノ酪酸、ウンデカジアミノ酪酸、ドデカジアミノ酪酸、トリデカジアミノ酪酸、テトラデカジアミノ酪酸、ペンタデカジアミノ酪酸、ヘキサデカジアミノ酪酸、ヘプタデカジアミノ酪酸、オクタデカジアミノ酪酸、ノナデカジアミノ酪酸、ジ(グルタミン酸)、トリ(グルタミン酸)、テトラ(グルタミン酸)、ペンタ(グルタミン酸)、ヘキサ(グルタミン酸)、ヘプタ(グルタミン酸)、オクタ(グルタミン酸)、ノナ(グルタミン酸)、デカ(グルタミン酸)、ウンデカ(グルタミン酸)、ドデカ(グルタミン酸)、トリデカ(グルタミン酸)、テトラデカ(グルタミン酸)、ペンタデカ(グルタミン酸)、ヘキサデカ(グルタミン酸)、ヘプタデカ(グルタミン酸)、オクタデカ(グルタミン酸)、ノナデカ(グルタミン酸)、ジ(アスパラギン酸)、トリ(アスパラギン酸)、テトラ(アスパラギン酸)、ペンタ(アスパラギン酸)、ヘキサ(アスパラギン酸)、ヘプタ(アスパラギン酸)、オクタ(アスパラギン酸)、ノナ(アスパラギン酸)、デカ(アスパラギン酸)、ウンデカ(アスパラギン酸)、ドデカ(アスパラギン酸)、トリデカ(アスパラギン酸)、テトラデカ(アスパラギン酸)、ペンタデカ(アスパラギン酸)、ヘキサデカ(アスパラギン酸)、ヘプタデカ(アスパラギン酸)、オクタデカ(アスパラギン酸)、ノナデカ(アスパラギン酸)、ポリエチレンイミン、及び低分子量のPEIを含み、特にこれらからなる群から選択される。
【0193】
より好ましくは、式(V)の超分枝部部分Hyp1及びHyp2は、独立に、結合型の、トリリジン、テトラリジン、ペンタリジン、ヘキサリジン、ヘプタリジン、オクタリジン、ノナリジン、デカリジン、ウンデカリジン、ドデカリジン、トリデカリジン、テトラデカリジン、ペンタデカリジン、ヘキサデカリジン、及びヘプタデカリジンを含み、より好ましくはこれらからなる群から選択され、より一層好ましくは、Hyp1及びHyp2は、独立に、結合型の、トリリジン、ヘプタリジン、又はペンタデカリジンを含み、好ましくはこれらからなる。
【0194】
より好ましくは、式(V)のHyp1及びHyp2は、独立に、いずれか一つの以下の構造から選択される:
【化32】
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【化33】
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【0195】
[式中、
アステリスクで印をつけた点線は式(V)のPOLxに対する結合を示し、印のない点線は、それぞれ、X0に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(I)のものである場合)、Qに対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(II)のものである場合)、Q1に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIaa)若しくは(IIab)のものである場合)、又はX1に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)のものである場合)、又は分子の残部に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIba)のものである場合)結合をそれぞれ示し、
qxは、0から15までの、好ましくは3から7の整数であり、より一層好ましくは6である]。
【0196】
好ましくは、式(V)のHyp1及びHyp2は各々ヘプタリシニル基であり、特に式(V)のHyp1及びHyp2は各々、上記式(ii-x)の構造を有する。
【0197】
好ましくは、式(V)のHyp1及びHyp2は、同じ構造を有する。
【0198】
式(V)のHyp1及びHyp2の官能基は、式(V)のHyp1及びHyp2の、それぞれ、X0に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(I)のものである場合)、Qに対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(II)のものである場合)、Q1に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIaa)若しくは(IIab)のものである場合)、又はX1に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)のものである場合)、又は分子の残部に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIba)のものである場合)直接連結の結合点として働く。それぞれ、X0、Q、Q1、又はX1に接続していない残りの官能基は、相互に独立に、適切なキャッピング試薬でキャッピングされていてよく、又は少なくとも一つの標的化部分に、特に永久的な連結によって、接続されていてよい。
【0199】
したがって、本発明の水溶性の担体連結しているプロドラッグにおいて、式(V)の超連結部分Hyp1及びHyp2は、式(V)のPOLxに接続しており、式(V)のHyp1及びHyp2の官能基は、それぞれ、式(I)のX0に対して、Qに対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(II)のものである場合)、Q1に対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIaa)若しくは(IIab)のものである場合)、又はX1に対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)のものである場合)、又は分子の残部に対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIba)のものである場合)それぞれ、永久的な連結、標的化部分、及び/又はキャッピング基に接続している。
【0200】
好ましい一実施形態において、式(V)の超分枝部分であるHyp1及びHyp2の官能基は全て、それぞれ、式(I)のX0に対して、Qに対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(II)のものである場合)、Q1に対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIaa)若しくは(IIab)のものである場合)、又はX1に対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)のものである場合)、又は分子の残部に対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIba)のものである場合)接続している。
【0201】
好ましくは、式(V)の超分枝部分Hyp1及びHyp2は、独立に、0.1kDaから4kDaまでの、より好ましくは0.4kDaから2kDaまでの範囲の分子量を有する。好ましくは、式(V)の超分枝部分Hyp1及びHyp2は、各々独立に、少なくとも3個の分枝を有し、各々独立に、それぞれ、少なくとも4個のX0、Q、Q1、X1、又は分子の残部に、永久的な連結及び/又はキャッピング基にコンジュゲートしており、各々独立に最大限63個の分枝を有し、各々独立に最大限64個のX0、Q、Q1、X1、又は分子の残部に、それぞれ、永久的な連結及び/又はキャッピング基にコンジュゲートしている。式(V)の超分枝部分Hyp1及びHyp2は、各々独立に、少なくとも7個の分枝を有し、各々独立に、少なくとも8個のX0、Q、Q1、X1、又は分子の残部に、それぞれ、永久的な連結及び/又はキャッピング基にコンジュゲートしており、各々独立に最大限31個の分枝を有し、各々独立に最大で32個のX0、Q、Q1、X1、又は分子の残部にそれぞれ、永久的な連結及び/又はキャッピング基にコンジュゲートしている。
【0202】
好ましくは、式(V)の超分枝部分Hyp1及びHyp2は、各々独立に、超分枝のポリペプチドである。好ましくは、このような超分枝のポリペプチドは、結合型のリジンを含む。好ましくは、式(V)の各超分枝部分Hyp1及びHyp2は、独立に、0.1kDaから4kDaまでの、特に0.4kDaから2kDaの範囲までの分子量を有する。
【0203】
好ましくは、mxは0であり、式(V)のPOL-Hyp2-は、以下の構造から選択される:
【化34】
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【0204】
[式中、
点線は、式(I)のm1及びm2の一つが1である場合、それぞれX0に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(I)のものである場合)、Qに対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(II)のものである場合)、Q1に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIaa)若しくは(IIab)のものである場合)、又はX1に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)のものである場合)結合を示し、m1、m2=0である場合、担体は式(I)のTに対して共有結合的に結合しており、
pxは、5から2000までの、好ましくは10から1000までの、特に100から1000までの整数であり、
qxは、0から15までの、好ましくは3から7までの整数であり、より好ましくはqxは6である]。
【0205】
別の好ましい一実施形態において、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、及び(IIba)のZ1は、式(VI)の構造を有する:
B-(-A-Hypy)n (VI)、
[式中、
Bは分枝コアであり、
各Aは、独立に、ポリ(エチレングリコール)ベースのポリマー鎖であり、
各Hypyは、独立に、分枝部分であり、
nは、3から32までの整数である]。
【0206】
好ましい一実施形態において、式(VI)の分枝コアBは、以下から選択される部分を含み、好ましくは以下から選択される部分からなる:
ヒドロキシル基を少なくとも2個含む多価アルコール(好ましくはさらなるアミノ基又はカルボン酸基、より好ましくはさらなるカルボン酸基である、官能基をさらに含むのが好ましい)、
好ましくは、Bは、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトール、ヘキサグリセリン、スクロース、ソルビトール、フルクトース、マンニトール、グルコース、セルロース、アミロース、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、ポリビニルアルコール、デキストラン、及びヒアルロナン、エリトリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、ズルシトール、イジトール;より好ましくはグリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトール、ヘキサグリセリン、スクロース、ソルビトール、フルクトース、マンニトール、グルコース、セルロース、アミロース、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、ポリビニルアルコール、デキストラン、及びヒアルロナンから選択される
或いはアミン基を少なくとも2個含むポリアミン(好ましくはさらなるヒドロキシル基又はカルボン酸基、より好ましくはカルボン酸基である、官能基をさらに含むのが好ましい)、
好ましくは、オルニチン、ジオルニチン、トリオルニチン、テトラオルニチン、ペンタオルニチン、ヘキサオルニチン、ヘプタオルニチン、オクタオルニチン、ノナオルニチン、デカオルニチン、ウンデカオルニチン、ドデカオルニチン、トリデカオルニチン、テトラデカオルニチン、ペンタデカオルニチン、ヘキサデカオルニチン、ヘプタデカオルニチン、オクタデカオルニチン、ノナデカオルニチン、ジアミノ酪酸、ジ(ジアミノ酪酸)、トリ(ジアミノ酪酸)、テトラ(ジアミノ酪酸)、ペンタ(ジアミノ酪酸)、ヘキサ(ジアミノ酪酸)、ヘプタ(ジアミノ酪酸)、オクタ(ジアミノ酪酸)、ノナ(ジアミノ酪酸)、デカ(ジアミノ酪酸)、ウンデカ(ジアミノ酪酸)、ドデカ(ジアミノ酪酸)、トリデカ(ジアミノ酪酸)、テトラデカ(ジアミノ酪酸)、ペンタデカ(ジアミノ酪酸)、ヘキサデカ(ジアミノ酪酸)、ヘプタデカ(ジアミノ酪酸)、オクタデカ(ジアミノ酪酸)、ノナデカ(ジアミノ酪酸)、リシン、ジリシン、トリリシン、テトラリシン、ペンタリシン、ヘキサリシン、ヘプタリシン、オクタリシン、ノナリシン、デカリシン、ウンデカリシン、ドデカリシン、トリデカリシン、テトラデカリシン、ペンタデカリシン、ヘキサデカリシン、ヘプタデカリシン、オクタデカリシン、ノナデカリシン、オリゴリシン、ポリエチレンイミン、及びポリビニルアミン;から選択される
[多価アルコール又はポリアミンは結合型である]。
【0207】
好ましい一実施形態において、式(VI)の分枝コアBは、ペンタエリスリトールを含み、好ましくはペンタエリスリトールからなる。
【0208】
好ましくは、式(VI)の分枝コアBに接続しているポリ(エチレングリコール)ベースのポリマー鎖Aは直鎖状のPEG鎖からなり、PEG鎖の一終端は式(VI)のBに接続し、他の終端は式(VI)のHypyに接続している。式(VI)のPEGベースの鎖Aは、分枝状PEG鎖の場合は任意選択により終結していてよく、且つ/又は分枝状若しくは直鎖状PEG鎖の場合は、アルキル基若しくはアリール基によって任意選択により中断されていてよく、ヘテロ原子及び/若しくは官能基で任意選択により置き換えられていてよい。
【0209】
式(VI)の分枝コアから延長する式(VI)の各下部構造は、相互に独立に、同じ又は異なる下部構造A-Hypyであってよい。好ましい一実施形態において、式(VI)の下部構造A-Hypyは全て同じである。
【0210】
式(VI)の各A及び各Hypyは、独立に、他の部分A及びHypyから選択することができる。好ましくは、式(VI)のBに接続している下部構造A-Hypyは同一の構造を有する。
【0211】
好ましくは、式(VI)のPEGベースのポリマー鎖Aは、永久的な連結によってBに接続している。
【0212】
式(VI)のnは、3から32までの整数である。好ましくは、nは、3から16までの整数であり、より好ましくは、nは4から8までの整数であり、最も好ましくはnは4である。
【0213】
好ましい一実施形態において、式(VI)のnは4であり、mは2である。
【0214】
一実施形態において、式(VI)のPEGベースのポリマー鎖Aは、直鎖状又は分枝状のPEGベースのポリマー鎖から選択される。好ましくは、Aは直鎖状のPEGベースのポリマー鎖である。
【0215】
好ましくは、式(VI)の各Aは、独立に、式:
-X3-(CH2)n1-(OCH2CH2)p-O-(CH2)n2-X2-から選択され、
式中、
n1及びn2は、独立に、1、2、3、及び4から、好ましくは、1、2、及び3から選択され、
pは、5から2000までの範囲の整数であり、好ましくは、pは10から1000までの範囲の整数であり、より好ましくは、pは100から1000までの範囲の整数であり、
X3及びX2は、独立に、それぞれB又はHypyに共有結合的に連結している官能基である。
【0216】
好ましくは、式(VI)の部分Aと部分Hypyとの間の連結は永久的な連結であり、より好ましくは、アミン基、アミド基、カーバメート基、チオエーテル基、エーテル基から選択される基を含み、特にこれらから選択される基からなる連結基を含む永久的な連結であり、最も好ましくは、式(VI)の部分Aと部分Hypyとの間の永久的な連結はアミド連結である。
【0217】
好ましい一実施形態において、式(VI)の下部構造B-(-A)nは、例えば、米国、Jen Kem Technology (2011年3月8日にhttp://jenkemusa.net/pegproducts2.aspxからのダウンロードによってアクセスした)の製品リストに詳述されているものなどの、多分枝PEG誘導体(例えば、特にペンタエリスリトールコアを含む、4-アーム-PEG誘導体、ヘキサグリセリンコアを含む8-アームPEG誘導体、及びトリペンタエリスリトールコアを含む8-アーム-PEG誘導体)である。最も好ましいのは、以下から選択される部分を含み、特に以下から選択される部分からなる、各々結合型の、式(VI)の下部構造B-(-A)nである:
ペンタエリスリトールコアを含む4-アームPEGアミン:
【化35】
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【0218】
[nは400から2000までの範囲である]、
ペンタエリスリトールコアを含む4-アームPEGカルボキシル:
【化36】
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【0219】
[nは400から2000までの範囲である]、
ヘキサグリセリンコアを含む8-アームPEGアミン:
【化37】
[この文献は図面を表示できません]
【0220】
[nは400から2000までの範囲であり、R=ヘキサグリセリンコア構造である]、
ヘキサグリセリンコアを含む8-アームPEGカルボキシル:
【化38】
[この文献は図面を表示できません]
【0221】
[nは400から2000までの範囲であり、R=ヘキサグリセリンコア構造である]、
トリペンタエリスリトールコアを含む8-アームPEGアミン:
【化39】
[この文献は図面を表示できません]
【0222】
[nは400から2000までの範囲であり、R=トリペンタエリスリトールコア構造である]、
トリペンタエリスリトールコアを含む8-アームPEGカルボキシル:
【化40】
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【0223】
[nは400から2000までの範囲であり、R=トリペンタエリスリトールコア構造である]、
ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む6-アームPEGアミン:
【化41】
[この文献は図面を表示できません]
【0224】
[nは400から2000までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールである]、
ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む8-アームPEGカルボキシル:
【化42】
[この文献は図面を表示できません]
【0225】
[nは400から2000までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールである]、
ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む8-アームPEGアミン:
【化43】
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【0226】
[nは400から2000までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールである]、
並びに、ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む8-アームPEGカルボキシル:
【化44】
[この文献は図面を表示できません]
【0227】
[nは400から2000までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールである]。
【0228】
各々結合型の、以下の式の下部構造B-(-A)nも好ましい。
【0229】
ペンタエリスリトールコアを含む4-アームPEGアミン:
【化45】
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【0230】
[nは400から2000までの範囲である]、
ペンタエリスリトールコアを含む4-アームPEGカルボキシル:
【化46】
[この文献は図面を表示できません]
【0231】
[nは400から2000までの範囲である]、
ヘキサグリセリンコアを含む8-アームPEGアミン:
【化47】
[この文献は図面を表示できません]
【0232】
[nは400から2000までの範囲であり、R=ヘキサグリセリンコア構造である]、
ヘキサグリセリンコアを含む8-アームPEGカルボキシル:
【化48】
[この文献は図面を表示できません]
【0233】
[nは400から2000までの範囲であり、R=ヘキサグリセリンコア構造である]、
トリペンタエリスリトールコアを含む8-アームPEGアミン:
【化49】
[この文献は図面を表示できません]
【0234】
[nは400から2000までの範囲であり、R=トリペンタエリスリトールコア構造である]、
トリペンタエリスリトールコアを含む8-アームPEGカルボキシル:
【化50】
[この文献は図面を表示できません]
【0235】
[nは400から2000までの範囲であり、R=トリペンタエリスリトールコア構造である]、
ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む6-アームPEGアミン:
【化51】
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【0236】
[nは400から2000までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールである]、
ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む6-アームPEGカルボキシル:
【化52】
[この文献は図面を表示できません]
【0237】
[nは400から2000までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールである]、
ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む6-アームPEGアミン:
【化53】
[この文献は図面を表示できません]
【0238】
[nは400から2000までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールである]、
並びに、ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む6-アームPEGカルボキシル:
【化54】
[この文献は図面を表示できません]
【0239】
[nは400から2000までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールである]。
【0240】
以下から選択される部分を含み、特に以下から選択される部分からなる、各々結合型の、式(VI)の下部構造B-(-A)nも好ましい:
ペンタエリスリトールコアを含む4-アームPEGアミン:
【化55】
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【0241】
[nは20から500までの範囲である]、
ペンタエリスリトールコアを含む4-アームPEGカルボキシル:
【化56】
[この文献は図面を表示できません]
【0242】
[nは20から500までの範囲である]、
ヘキサグリセリンコアを含む8-アームPEGアミン:
【化57】
[この文献は図面を表示できません]
【0243】
[nは20から500までの範囲であり、R=ヘキサグリセリンコア構造である]、
ヘキサグリセリンコアを含む8-アームPEGカルボキシル:
【化58】
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【0244】
[nは20から500までの範囲であり、R=ヘキサグリセリンコア構造である]、
トリペンタエリスリトールコアを含む8-アームPEGアミン:
【化59】
[この文献は図面を表示できません]
【0245】
[nは20から500までの範囲であり、R=トリペンタエリスリトールコア構造である]、
トリペンタエリスリトールコアを含む8-アームPEGカルボキシル:
【化60】
[この文献は図面を表示できません]
【0246】
[nは20から500までの範囲であり、R=トリペンタエリスリトールコア構造である]、
ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む6-アームPEGアミン:
【化61】
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【0247】
[nは20から500までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールである]、
ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む8-アームPEGカルボキシル:
【化62】
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【0248】
[nは20から500までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールである]、
ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む8-アームPEGアミン:
【化63】
[この文献は図面を表示できません]
【0249】
[nは20から500までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールである]、
並びに、ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む8-アームPEGカルボキシル:
【化64】
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【0250】
[nは20から500までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールである]。
【0251】
各々結合型の、以下の式の下部構造B-(-A)nも好ましい:
ペンタエリスリトールコアを含む4-アームPEGアミン:
【化65】
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【0252】
[nは20から500までの範囲である]、
ペンタエリスリトールコアを含む4-アームPEGカルボキシル:
【化66】
[この文献は図面を表示できません]
【0253】
[nは20から500までの範囲である]、
ヘキサグリセリンコアを含む8-アームPEGアミン:
【化67】
[この文献は図面を表示できません]
[nは20から500までの範囲であり、R=ヘキサグリセリンコア構造である]、
ヘキサグリセリンコアを含む8-アームPEGカルボキシル:
【化68】
[この文献は図面を表示できません]
【0254】
[nは20から500までの範囲であり、R=ヘキサグリセリンコア構造である]、
トリペンタエリスリトールコアを含む8-アームPEGアミン:
【化69】
[この文献は図面を表示できません]
【0255】
[nは20から500までの範囲であり、R=トリペンタエリスリトールコア構造である]、
トリペンタエリスリトールコアを含む8-アームPEGカルボキシル:
【化70】
[この文献は図面を表示できません]
【0256】
[nは20から500までの範囲であり、R=トリペンタエリスリトールコア構造である]、
ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む6-アームPEGアミン:
【化71】
[この文献は図面を表示できません]
【0257】
[nは20から500までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールである]、
ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む6-アームPEGカルボキシル:
【化72】
[この文献は図面を表示できません]
【0258】
[nは20から500までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールである]、
ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む6-アームPEGアミン:
【化73】
[この文献は図面を表示できません]
【0259】
[nは20から500までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールである]、
並びに、ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む6-アームPEGカルボキシル:
【化74】
[この文献は図面を表示できません]
【0260】
[nは20から500までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールである]。
【0261】
好ましい一実施形態において、式(VI)の下部構造B-(-A)nの分子量は、1kDaから80kDaまでの、より好ましくは1kDaから40kDaまでの、より一層好ましくは10kDaから40kDaまでの範囲である。末端のアミン基又はカルボキシル基はそれぞれ、式(VI)の部分Hypyに対するコンジュゲーションに用いられることが理解される。
【0262】
式(VI)の部分Hypyの官能基は、それぞれ、式(I)の部分X0に対して、Qに対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(II)のものである場合)、Q1に対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIaa)若しくは(IIab)のものである場合)、又はX1に対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)のものである場合)、又は分子の残部に対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIba)のものである場合)接続している。
【0263】
好ましい一実施形態において、式(VI)の部分Hypyは、アミド基、カーバメート基、エステル基、エーテル基、アミン基、チオエーテル基から選択される官能基によって、それぞれ、式(I)の部分X0に対して、Qに対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(II)のものである場合)、Q1に(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIaa)若しくは(IIab)のものである場合)、又はX1に対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)のものである場合)、又は分子の残部に対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIba)のものである場合)接続している。好ましくは、式(VI)の部分Hypyは、アミド基、チオエーテル基、及び/又はエーテル基によって、より一層好ましくはアミド基によって、それぞれ、式(I)の部分X0に対して、式(II)の部分Qに対して、式(IIaa)若しくは(IIab)のQ1に対して、又は式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)のX1に対して、又は式(IIba)の分子の残部に対して接続している。
【0264】
任意選択により、それぞれ、式(I)の部分X0に対して、式(II)の部分Qに対して、式(IIaa)若しくは(IIab)いずれかの部分Q1に対して、又は式(IIac)、(IIad)、(IIb)の部分X1に対して、又は式(IIba)の分子の残部に対して接続していない式(VI)の部分Hypyの官能基は、適切なキャッピング試薬でキャッピングされていてよく、且つ/又は任意選択により、特に永久的な連結によって、少なくとも一つの標的化部分に接続していてよい。したがって、式(VI)の部分Hypyは、それぞれ、式(I)の部分X0に対して、式(II)の部分Qに対して、式(IIaa)若しくは(IIab)いずれかの部分Q1に対して、又は式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)の部分X1に対して、又は式(IIba)の分子の残部に対して、キャッピング部分及び/又は標的化部分に接続していてよい。好ましくは、式(VI)の部分Hypyの官能基は、それぞれ、式(I)の部分X0に対して、式(II)の部分Qに対して、式(IIaa)若しくは(IIab)いずれかの部分Q1に対して、又は式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)のX1に対して、又は式(IIba)の分子の残部に対して接続しており、キャッピング部分及び/又は標的化部分に接続していない。標的化部分が存在する場合は、式(VI)の部分Hypyに、直接的又はスペーサー部分によって間接的にコンジュゲートしていてよい。
【0265】
適切なキャッピング部分の例には、直鎖状、分枝状、又は環状のC1〜8アルキル基がある。
【0266】
一実施形態において、式(VI)の各分枝部分Hypyは、それぞれ、式(I)の少なくとも二つの部分X0に対して、式(II)の少なくとも二つの部分Qに対して、式(IIaa)若しくは(IIab)いずれかの少なくとも二つの部分Q1に対して、又は式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)の少なくとも二つの部分X1に対して、又は式(IIba)の分子の残部に対して、直接的又は間接的に接続している。より好ましくは、式(VI)の各分枝部分Hypyは、それぞれ、式(I)の少なくとも三つの部分X0に対して、式(II)の少なくとも三つの部分Qに対して、式(IIaa)若しくは(IIab)いずれかの少なくとも三つの部分Q1に対して、又は式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)の少なくとも三つの部分X1に対して、又は式(IIba)の分子の残部に対して、直接的又は間接的に接続している。最も好ましくは、式(VI)の各分枝部分Hypyは、それぞれ、式(I)の少なくとも四つの部分X0に対して、式(II)の少なくとも四つの部分Qに対して、式(IIaa)若しくは(IIab)いずれかの少なくとも四つの部分Q1に対して、又は式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)の少なくとも四つの部分X1に対して、又は式(IIba)の分子の残部に対して、直接的又は間接的に接続している。
【0267】
式(VI)の分枝部分Hypyは、以下から選択される結合型の部分を含み、好ましくは以下から選択される結合型の部分からなる:
ヒドロキシル基を少なくとも2個含む結合型の多価アルコール(好ましくはさらなるヒドロキシル基又はカルボン酸基、より好ましくはさらなるヒドロキシル基である、官能基をさらに含むことが好ましい)、
好ましくは、グリセロール、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトール、ヘキサグリセリン、スクロース、ソルビトール、フルクトース、マンニトール、グルコース、セルロース、アミロース、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、ポリビニルアルコール、デキストラン、及びヒアルロナン、エリトリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、ズルシトール、イジトール;より好ましくはグリセリン、ペンタエリトリトール、ジペンタエリトリトール、トリペンタエリトリトール、ヘキサグリセリン、スクロース、ソルビトール、フルクトース、マンニトール、グルコース、セルロース、アミロース、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、ポリビニルアルコール、デキストラン、及びヒアルロナンから選択される
或いはアミン基を少なくとも2個含む結合型のポリアミン(好ましくはさらなるアミン基又はカルボン酸基、より好ましくはカルボン酸基である、官能基をさらに含むのが好ましい)、
好ましくは、オルニチン、ジオルニチン、トリオルニチン、テトラオルニチン、ペンタオルニチン、ヘキサオルニチン、ヘプタオルニチン、オクタオルニチン、ノナオルニチン、デカオルニチン、ウンデカオルニチン、ドデカオルニチン、トリデカオルニチン、テトラデカオルニチン、ペンタデカオルニチン、ヘキサデカオルニチン、ヘプタデカオルニチン、オクタデカオルニチン、ノナデカオルニチン、ジアミノ酪酸、ジ(ジアミノ酪酸)、トリ(ジアミノ酪酸)、テトラ(ジアミノ酪酸)、ペンタ(ジアミノ酪酸)、ヘキサ(ジアミノ酪酸)、ヘプタ(ジアミノ酪酸)、オクタ(ジアミノ酪酸)、ノナ(ジアミノ酪酸)、デカ(ジアミノ酪酸)、ウンデカ(ジアミノ酪酸)、ドデカ(ジアミノ酪酸)、トリデカ(ジアミノ酪酸)、テトラデカ(ジアミノ酪酸)、ペンタデカ(ジアミノ酪酸)、ヘキサデカ(ジアミノ酪酸)、ヘプタデカ(ジアミノ酪酸)、オクタデカ(ジアミノ酪酸)、ノナデカ(ジアミノ酪酸)、リシン、ジリシン、トリリシン、テトラリシン、ペンタリシン、ヘキサリシン、ヘプタリシン、オクタリシン、ノナリシン、デカリシン、ウンデカリシン、ドデカリシン、トリデカリシン、テトラデカリシン、ペンタデカリシン、ヘキサデカリシン、ヘプタデカリシン、オクタデカリシン、ノナデカリシン、オリゴリシン、トリオルニチン、テトラオルニチン、ペンタオルニチン、ヘキサオルニチン、ヘプタオルニチン、オクタオルニチン、ノナオルニチン、デカオルニチン、ウンデカオルニチン、ドデカオルニチン、トリデカオルニチン、テトラデカオルニチン、ペンタデカオルニチン、ヘキサデカオルニチン、ヘプタデカオルニチン、オクタデカオルニチン、ノナデカオルニチン、トリジアミノ酪酸、テトラジアミノ酪酸、ペンタジアミノ酪酸、ヘキサジアミノ酪酸、ヘプタジアミノ酪酸、オクタジアミノ酪酸、ノナジアミノ酪酸、デカジアミノ酪酸、ウンデカジアミノ酪酸、ドデカジアミノ酪酸、トリデカジアミノ酪酸、テトラデカジアミノ酪酸、ペンタデカジアミノ酪酸、ヘキサデカジアミノ酪酸、ヘプタデカジアミノ酪酸、オクタデカジアミノ酪酸、ノナデカジアミノ酪酸、から選択される
或いは、カルボキシレート基を少なくとも2個含む結合型のポリカルボキシレート(好ましくはさらなるアミノ基又はカルボン酸基、より好ましくはカルボン酸基である、官能基をさらに含むのが好ましい)、
好ましくは、ジ(グルタミン酸)、トリ(グルタミン酸)、テトラ(グルタミン酸)、ペンタ(グルタミン酸)、ヘキサ(グルタミン酸)、ヘプタ(グルタミン酸)、オクタ(グルタミン酸)、ノナ(グルタミン酸)、デカ(グルタミン酸)、ウンデカ(グルタミン酸)、ドデカ(グルタミン酸)、トリデカ(グルタミン酸)、テトラデカ(グルタミン酸)、ペンタデカ(グルタミン酸)、ヘキサデカ(グルタミン酸)、ヘプタデカ(グルタミン酸)、オクタデカ(グルタミン酸)、ノナデカ(グルタミン酸)、ジ(アスパラギン酸)、トリ(アスパラギン酸)、テトラ(アスパラギン酸)、ペンタ(アスパラギン酸)、ヘキサ(アスパラギン酸)、ヘプタ(アスパラギン酸)、オクタ(アスパラギン酸)、ノナ(アスパラギン酸)、デカ(アスパラギン酸)、ウンデカ(アスパラギン酸)、ドデカ(アスパラギン酸)、トリデカ(アスパラギン酸)、テトラデカ(アスパラギン酸)、ペンタデカ(アスパラギン酸)、ヘキサデカ(アスパラギン酸)、ヘプタデカ(アスパラギン酸)、オクタデカ(アスパラギン酸)、ノナデカ(アスパラギン酸)、ポリエチレンイミン、及びポリビニルアミンから選択される。
【0268】
好ましい一実施形態において、式(VI)の部分Hypyは、結合型のジリシン、トリリシン、テトラリシン、ペンタリシン、ヘキサリシン、ヘプタリシン、オクタリシン、ノナリシン、デカリシン、ウンデカリシン、ドデカリシン、トリデカリシン、テトラデカリシン、ペンタデカリシン、ヘキサデカリシン、ヘプタデカリシン、オクタデカリシン、ノナデカリシン、トリオルニチン、テトラオルニチン、ペンタオルニチン、ヘキサオルニチン、ヘプタオルニチン、オクタオルニチン、ノナオルニチン、デカオルニチン、ウンデカオルニチン、ドデカオルニチン、トリデカオルニチン、テトラデカオルニチン、ペンタデカオルニチン、ヘキサデカオルニチン、ヘプタデカオルニチン、オクタデカオルニチン、ノナデカオルニチン、トリジアミノ酪酸、テトラジアミノ酪酸、ペンタジアミノ酪酸、ヘキサジアミノ酪酸、ヘプタジアミノ酪酸、オクタジアミノ酪酸、ノナジアミノ酪酸、デカジアミノ酪酸、ウンデカジアミノ酪酸、ドデカジアミノ酪酸、トリデカジアミノ酪酸、テトラデカジアミノ酪酸、ペンタデカジアミノ酪酸、ヘキサデカジアミノ酪酸、ヘプタデカジアミノ酪酸、オクタデカジアミノ酪酸、ノナデカジアミノ酪酸、ジ(グルタミン酸)、トリ(グルタミン酸)、テトラ(グルタミン酸)、ペンタ(グルタミン酸)、ヘキサ(グルタミン酸)、ヘプタ(グルタミン酸)、オクタ(グルタミン酸)、ノナ(グルタミン酸)、デカ(グルタミン酸)、ウンデカ(グルタミン酸)、ドデカ(グルタミン酸)、トリデカ(グルタミン酸)、テトラデカ(グルタミン酸)、ペンタデカ(グルタミン酸)、ヘキサデカ(グルタミン酸)、ヘプタデカ(グルタミン酸)、オクタデカ(グルタミン酸)、ノナデカ(グルタミン酸)、ジ(アスパラギン酸)、トリ(アスパラギン酸)、テトラ(アスパラギン酸)、ペンタ(アスパラギン酸)、ヘキサ(アスパラギン酸)、ヘプタ(アスパラギン酸)、オクタ(アスパラギン酸)、ノナ(アスパラギン酸)、デカ(アスパラギン酸)、ウンデカ(アスパラギン酸)、ドデカ(アスパラギン酸)、トリデカ(アスパラギン酸)、テトラデカ(アスパラギン酸)、ペンタデカ(アスパラギン酸)、ヘキサデカ(アスパラギン酸)、ヘプタデカ(アスパラギン酸)、オクタデカ(アスパラギン酸)、ノナデカ(アスパラギン酸)、ポリエチレンイミン、及び低分子量のPEIを含み、特にこれらからなる群から選択される。
【0269】
より好ましくは、式(VI)の部分Hypyは、結合型の、トリリジン、テトラリジン、ペンタリジン、ヘキサリジン、ヘプタリジン、オクタリジン、ノナリジン、デカリジン、ウンデカリジン、ドデカリジン、トリデカリジン、テトラデカリジン、ペンタデカリジン、ヘキサデカリジン、及びヘプタデカリジンを含み、より好ましくはこれらからなる群から選択され、より一層好ましくは、式(VI)の部分Hypyは、結合型の、トリリジン、ヘプタリジン、又はペンタデカリジンを含み、好ましくはこれらからなる。
【0270】
好ましい一実施形態において、式(VI)の部分Hypyは、0.1kDaから4kDaまでの、より好ましくは0.2kDaから2kDaまでの範囲の分子量を有する。
【0271】
さらに好ましい一実施形態において、式(VI)の各分枝部分Hypyは、少なくとも一つの分枝を有し、それぞれ、式(I)の少なくとも二つの部分X0に対して、式(II)の少なくとも二つの部分Qに対して、式(IIaa)若しくは(IIab)いずれかの少なくとも二つの部分Q1に対して、又は式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)の少なくとも二つの部分X1に対して、又は式(IIba)の分子の残部に対してコンジュゲートしており、最大限63個の分枝を有し、それぞれ、式(I)の最大限64個の部分X0に対して、式(II)の少なくとも64個の部分Qに対して、式(IIaa)若しくは(IIab)いずれかの少なくとも64個の部分Q1に対して、又は式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)の少なくとも64個の部分X1に対して、又は式(IIba)の分子の残部に対してコンジュゲートしており、より好ましくは、式(VI)の各分枝部分Hypyは、少なくとも一つの分枝を有し、それぞれ、式(I)の少なくとも二つの部分X0に対して、式(II)の少なくとも二つの部分Qに対して、式(IIaa)若しくは(IIab)いずれかの少なくとも二つの部分Q1に対して、又は式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)の少なくとも二つの部分X1に対して、又は式(IIba)の分子の残部に対してコンジュゲートしており、最大限31個の分枝を有し、式(I)の最大限32個の部分X0に対して、式(II)の少なくとも32個の部分Qに対して、式(IIaa)若しくは(IIab)いずれかの少なくとも32個の部分Q1に対して、又は式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)の少なくとも32個の部分X1に対して、又は式(IIba)の分子の残部に対してコンジュゲートしている。
【0272】
好ましい一実施形態において、式(VI)のZ1は、四級炭素、特に、分枝コア部分Bの四級炭素を含み、式(VI)のBは結合型のペンタエリスリトールである。好ましくは、式(VI)の各Aは、独立に、永久的な共有性の連結によって、分枝コア部分ペンタエリスリトールの-CH2-O-部分によってペンタエリスリトールの四級炭素に対して末端が結合しているPEGベースのポリマー鎖であり、PEGベースのポリマー鎖の遠位終端は式(VI)の分枝部分Hypyに共有結合しており、式(VI)の各分枝部分Hypyは、それぞれ、式(I)の部分X0に対して、式(II)の部分Qに対して、式(IIaa)若しくは(IIab)いずれかの部分Q1に対して、又は式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)の部分X1に対して、又は式(IIba)の分子の残部に対してコンジュゲートしている。
【0273】
好ましい一実施形態において、式(VI)の分枝部分Hypyは、少なくとも2個のアミン基を含む分枝ポリアミンを含み、好ましくはこれらからなる。好ましくは、少なくとも2個のアミン基を含む分枝ポリアミンは、結合型のリジン残基を1個以上含む。好ましくは、式(VI)の各分枝部分Hypyは、0.1kDaから4kDaまでの、特に0.2から2kDaまでの範囲の分子量を有する。好ましい一実施形態において、n=4である、式(VI)の部分B-(-A-Hypy)nは、同じ又は異なる分枝部分Hypyからなり、各部分Hypyは独立に選択することができる。好ましい一実施形態において、式(VI)の部分Hypyは全て同じである。
【0274】
好ましい一実施形態において、式(VI)の部分Hypyは、結合型のリジンを1個から32個の間、好ましくは、1個、3個、7個、又は15個、より好ましくは、結合型のリジンを1個、3個、又は7個含み、特にこれらからなる。最も好ましくは、式(VI)のHypyは、ヘプタリシニルを含み、特にヘプタリシニルからなる。
【0275】
nが好ましくは4である、式(VI)の部分B-(-A-Hypy)nは、1kDaから160kDaまでの、より好ましくは1kDaから80kDaまでの、より一層好ましくは10kDaから40kDaまでの範囲の分子量を有するのが好ましい。
【0276】
式(VI)の好ましい部分B-(-A-Hypy)4は、構造(i-y)から(iii-y)までから選択される:
【化75】
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【0277】
[式中、
点線は、式(I)のm1、m2が1である場合、それぞれ、式(I)の部分X0に対する、式(II)の部分Qに対する、式(IIaa)若しくは(IIab)の部分Q1に対する、又は式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)の部分X1に対する、又は式(IIba)の分子の残部に対する結合を示し、m1、m2=0の場合、担体はTに対して共有結合的に結合しており、
pは、5から2000までの、好ましくは10から1000までの、より好ましくは10から500までの、最も好ましくは100から1000までの整数であり、
qは、1又は2である]。
【0278】
好ましい一実施形態において、式(VI)のBはペンタエリスリトールである。
【0279】
別の好ましい一実施形態において、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のZ1は、アミノ酸残基少なくとも100個のアミノ酸配列を含み、特にこれらアミノ酸配列からなるタンパク質担体である。
【0280】
別の好ましい一実施形態において、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1は、ランダムコイル構造である。
【0281】
別の好ましい一実施形態において、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1は、アラニン、セリン、及びプロリン残基を含み、特にこれらからなる。
【0282】
好ましい実施形態において、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1は、アミノ酸残基少なくとも100個のアミノ酸配列を含み、特にこれらからなり、
アミノ酸残基少なくとも100個のアミノ酸配列は、ランダムコイル構造であり、
アミノ酸残基少なくとも100個のアミノ酸配列は、アラニン、セリン、及びプロリン残基を含む。
【0283】
好ましくは、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1のタンパク質担体は、アミノ酸残基少なくとも約100個のアミノ酸配列から構成され、アミノ酸残基少なくとも100個は、生理学的条件でランダムコイル構造を有するアラニン、セリン、及びプロリン残基からなる。式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1は、例えば、凍結乾燥又は乾燥した組成物中に存在する場合、一過的又は一時的にランダムコイルを形成し得ないことが理解される。
【0284】
一実施形態において、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1は、アミノ酸残基最大約3000個、好ましくはアミノ酸残基最大約1500個、より好ましくはアミノ酸残基最大約900個、より一層好ましくはアミノ酸残基最大約700個、特に好ましくはアミノ酸残基最大約600個のアミノ酸配列を有するランダムコイル構造を有する。このように、ランダムコイル構造を形成するアミノ酸配列は、アミノ酸残基最大約500個、又はアミノ酸残基最大約450個の長さである。
【0285】
したがって、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1、特に式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1のランダムコイル構造を形成するアミノ酸配列は、アミノ酸残基約100個から約3000個の長さである。
【0286】
特定の実施形態において、アミノ酸残基約100個から1000個のランダムコイル構造を形成する前記アミノ酸配列は本明細書において特徴づけられる通りであり、すなわち、以下に規定する通り主な、又は独特の残基として、アラニン、セリン、及びプロリンを含む。
【0287】
式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体部分Z1は、アラニン、セリン、及びプロリンの三つのアミノ酸残基から主になり、三つのアミノ酸は全て、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体部分Z1中に存在し、プロリン残基は、好ましくは、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1の約4%から約40%を表す。アラニン残基及びセリン残基は、好ましくは、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、又は(IIad)のタンパク質担体Z1の、残りの少なくとも60%から96%を含む。しかし、本明細書下記に詳述する通り、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、又は(IIac)の前記タンパク質担体Z1は、アラニン、セリン、及びプロリンとは異なるさらなるアミノ酸も、すなわち、微量成分として含むことができる。
【0288】
本明細書で用いられる「微量成分」の語は、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、又は(IIad)のタンパク質担体Z1をコードする、最大10%(すなわち、100個のアミノ酸のうち最大10個)が、アラニン、セリン、及びプロリンと異なっていてよく、好ましくは、最大8%(すなわち、100個のアミノ酸のうち最大8個)が、アラニン、セリン、及びプロリンと異なっていてよく、より好ましくは、最大6%(すなわち、100個のアミノ酸のうち最大6個)が、アラニン、セリン、及びプロリンと異なっていてよく、より一層好ましくは、最大5%(すなわち、100個のアミノ酸うちの最大5個)が、アラニン、セリン、及びプロリンと異なっていてよく、特に好ましくは、最大4%(すなわち、100個のアミノ酸うちの最大4個)が、アラニン、セリン、及びプロリンと異なっていてよく、より特に好ましくは、最大3%(すなわち、100個のアミノ酸のうち最大3個)が、アラニン、セリン、及びプロリンと異なっていてよく、さらにより特に好ましくは、最大2%(すなわち、100個のアミノ酸の最大2個)が、アラニン、セリン、及びプロリンと異なっていてよく、最も好ましくは、最大1%(すなわち、100個のアミノ酸のうち最大1個)が、アラニン、セリン、及びプロリンと異なっていてよい。アラニン、セリン、及びプロリンと異なる前記アミノ酸は、Arg、Asn、Asp、Cys、Gln、Glu、Gly、His、Ile、Leu、Lys、Met、Phe、Thr、Trp、Tyr、及びValからなる、天然の、又はタンパク質を構成するアミノ酸の群から選択することができる。微量成分は、例えば、ヒドロキシプロリン、若しくはセレノメチオニンなど、天然に存在しないアミノ酸、又は他の修飾されている天然のアミノ酸から選択することもできる。
【0289】
「少なくとも約100/150/200/250/300/300/350個(など)のアミノ酸残基」の語は、簡潔な数のアミノ酸残基に限定されないが、さらなる10%から20%を含み、又は10%から20%少ない残基を含むアミノ酸の一続きも含む。例えば、「少なくとも約100個のアミノ酸残基」はまた、80個から100個、及び約100個から120個のアミノ酸残基を含むことができる。
【0290】
一実施形態において、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、又は(IIad)のタンパク質担体Z1は、複数のポリマーカセットを含み、前記ポリマーカセットはAla、Ser、及び/又はProからなり、ポリマーカセットの、好ましくは式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、又は(IIad)のタンパク質担体Z1の6個を超えない連続のアミノ酸残基は同一であり、前記プロリン残基は、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、又は(IIad)の前記タンパク質担体Z1のアミノ酸の4%を超え、40%未満を構成する。
【0291】
一実施形態において、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、又は(IIac)のタンパク質担体部分Z1は、複数のアミノ酸反復を含み、好ましくは複数のアミノ酸反復からなり、
前記反復は、Ala、Ser、及びPro残基からなり、
式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、又は(IIad)、(IIb)、又は(IIba)の担体部分Z1の6個を超えない連続のアミノ酸残基は同一である。
【0292】
好ましい一実施形態において、前記プロリン残基は、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体部分Z1のアミノ酸の4%を超え、40%未満を構成する。
【0293】
さらに好ましい一実施形態において、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体部分Z1は、ランダムコイル構造を形成するアミノ酸残基約100個から3000個のアミノ酸配列を含み、特にこれらのアミノ酸配列からなる。
【0294】
式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1は、複数の同一のポリマーカセット、又は複数の非同一のポリマーカセットを含むことができる。Ala、Ser、及び/又はPro残基からなるポリマーカセットの非限定的な例を本明細書以下に提供し、配列番号:9、配列番号:10、配列番号:11、配列番号:12、配列番号:13、及び配列番号:14、又はこれら配列のペプチドフラグメント若しくは多量体を参照されたい。ポリマーカセットは、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個又はそれを超えるアミノ酸残基からなっていてよく、各ポリマーカセットは、Ala、Ser、及び/又はPro残基(複数可)、好ましくはAla、Ser、及びPro残基(複数可)を含む。
【0295】
一実施形態において、ポリマーカセットは、100個を超えるアミノ酸残基を含まない。好ましくは、本明細書に規定するポリマーカセットは、約4%を超える、好ましくは約5%を超える、より一層好ましくは約6%を超える、特に好ましくは約8%を超える、より特に好ましくは約10%を超える、より一層特に好ましくは約15%を超える、最も好ましくは約20%を超えるプロリン残基を含む。本明細書に規定するこのようなポリマーカセットは、好ましくは、約40%未満、又は約35%未満のプロリン残基を含む。
【0296】
一実施形態において、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1は式(b)であり:
Serx[AlaySerz]v (b)
この式は、本明細書に規定するプロリン残基をさらに含み、
xは、独立に、0から6の整数から選択され、
各yは、独立に、1から6までの範囲の整数から選択され、
各zは、独立に、1から6までの範囲の整数から選択され、
vは、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1が少なくとも約100個のアミノ酸残基、特に少なくとも約100個から約3000個までのアミノ酸残基、好ましくは約2000個まで、より好ましくは約1000個までのアミノ酸残基からなるようなあらゆる整数である。
【0297】
一実施形態において、式(b)のv Alay Serz単量体部分の式(b)のy及び式(b)のzは全て同一である。別の一実施形態において、式(b)のv Alay Serz単量体部分の式(b)のy及び式(b)のzは異なる。
【0298】
好ましい実施形態において、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1は、5個を超えない同一の連続のアミノ酸残基、より好ましくは、4個を超えない同一の連続のアミノ酸残基、最も好ましくは3個を超えない同一の連続のアミノ酸残基を含む。
【0299】
本明細書上記にすでに指摘した通り、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1はプロリン残基を含み、前記プロリン残基は、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1を構成するアミノ酸の、約4%を超えて、好ましくは約5%を超えて、より一層好ましくは約6%を超えて、特に好ましくは約8%を超えて、より特に好ましくは約10%を超えて、より一層特に好ましくは約15%を超えて、最も好ましくは約20%を超えて構成する。このようなプロリン残基は、式(b)のあらゆる位置に導入することができる。好ましくは、プロリン残基は、式(b)のv Alay Sery単量体の1個以上に存在してよく、同じ又は異なる位置に存在してよい。
【0300】
別の好ましい一実施形態において、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1は、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1を構成するアミノ酸の、約4%を超え約50%未満の、好ましくは約10%を超え約50%未満の、最も好ましくは約20%を超え約50%未満のアラニン残基を含む。
【0301】
さらに好ましい一実施形態において、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1は、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1を構成するアミノ酸の、約4%を超え約50%未満の、好ましくは、約10%を超え約50%未満の、最も好ましくは約20%を超え約50%未満のセリン残基を含む。
【0302】
したがって、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1は、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1を構成するアミノ酸の、約35%のプロリン残基、約50%のアラニン残基、及び約15%のセリン残基を含む。或いは、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1は、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1を構成するアミノ酸の、約35%のプロリン残基、約15%のアラニン残基、及び約50%のセリン残基を含むことができる。
【0303】
好ましくは、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1は、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1が、本明細書に記載するプロリン残基をさらに含む場合、以下のアラニン-セリンポリマーカセットを1個以上含む:
配列番号1
AAAASSASSASSSSSAAASA
配列番号2
AASAAASSAAASAAAASASS
配列番号3
ASASASASASASSAASAASA
配列番号4
SAASSSASSSSAASSASAAA
配列番号5
SSSSAASAASAAAAASSSAS
配列番号6
SSASSSAASSSASSSSASAA
配列番号7
SASASASASASAASSASSAS
配列番号8
ASSAAASAAAASSAASASSS
これらアラニン-セリンポリマーカセットの多量体は、得られるアミノ酸配列が本明細書上記に規定した通りプロリン残基をさらに含む場合、ランダムコイル構造を形成することができる。
【0304】
好ましい一実施形態において、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1は、以下のポリマーカセットを1個以上含み、好ましくはこれらからなる:
配列番号9
ASPAAPAPASPAAPAPSAPA
配列番号10
AAPASPAPAAPSAPAPAAPS
配列番号11
APSSPSPSAPSSPSPASPSS
配列番号15
SAPSSPSPSAPSSPSPASPS
配列番号:15は、本明細書に提供する循環的に形を変えた形態の配列番号:11に相当し、最後のセリンが除去され、別のセリンが出発のアミノ酸として追加されている。その結果、この修飾された配列の多量体は、非修飾の配列の多量体と、最初及び最終の残基を除いて、本質的に同じ内部反復単位を所有する。したがって、配列番号:15は、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1に対するさらなるポリマーカセットの一例とみなすことができる。当業者には、他のポリマーカセット、及び本明細書に提供するアミノ酸ポリマーの(より短い)ペプチドフラグメント又は循環的に形を変えたバージョンを、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1に対するポリマーカセットとして用いることができることが明らかである。
【0305】
それでも、ランダムコイル構造を形成する、なおさらなる例示的なアミノ酸ポリマーは、以下からなる群から選択することができるアミノ酸配列を含むことができる:
配列番号:12
SSPSAPSPSSPASPSPSSPA、
配列番号:13
AASPAAPSAPPAAASPAAPSAPPA、及び
配列番号:14
ASAAAPAAASAAASAPSAAA。
【0306】
したがって、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のZ1に対する好ましいポリマーカセットは、以下の配列:
ASPAAPAPASPAAPAPSAPA(配列番号9)、
AAPASPAPAAPSAPAPAAPS(配列番号10)、
APSSPSPSAPSSPSPASPSS(配列番号11)、
SSPSAPSPSSPASPSPSSPA(配列番号12)、
AASPAAPSAPPAAASPAAPSAPPA(配列番号13)、及び
ASAAAPAAASAAASAPSAAA(配列番号14);
又はこれら配列の全体又は部分として、これら配列の循環的に形を変えたバージョン又は多量体(複数可)から選択される。
【0307】
一実施形態において、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体部分Z1は、
ASPAAPAPASPAAPAPSAPA(配列番号9)、
AAPASPAPAAPSAPAPAAPS(配列番号10)、
APSSPSPSAPSSPSPASPSS(配列番号11)、
SSPSAPSPSSPASPSPSSPA(配列番号12)、
AASPAAPSAPPAAASPAAPSAPPA(配列番号13)、及び
ASAAAPAAASAAASAPSAAA(配列番号14);
及びこれら配列の全体又は部分として、これら配列の循環的に形を変えたバージョン又は多量体(複数可)からなる群から選択される少なくとも一つのアミノ酸配列を含む。
【0308】
繰り返すと、これら配列のペプチドフラグメント(複数可)、又は多量体(複数可)、又は循環的に形を変えたバージョン、及び本明細書上記に提供した配列も、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1に対するポリマーカセットとして用いることができる。
【0309】
したがって、例示のポリマーカセットは、さらなるポリマーカセットを形成するために新たに組み合わせることができる個々のペプチドフラグメントも提供することができる。
【0310】
上記にしたがい、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1は、本明細書上記に開示した配列番号:9、10、11、12、13、又は14を有するアミノ酸配列のいずれか一つからなる多量体を含むことができ、又は配列番号:9、10、11、12、13、又は14の二つを以上のアミノ酸配列からなる多量体を含むことができる。さらに、これら例示の配列のペプチドフラグメント又は循環的に形を変えたバージョンを、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1のさらなるポリマーカセットを構築するのに用いることができることが想定される。
【0311】
別の一実施形態において、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1は、配列番号:9、10、11、12、13、14、15からなる群から選択されるアミノ酸配列の(循環的な)変形を含み、好ましくはこれらからなる多量体、及びこれらの(循環的に)形を変えた配列の多量体(複数可)を含むことができる。
【0312】
さらに別の一実施形態において、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1は、配列番号:9、10、12、13、14、15からなる群から選択されるアミノ酸配列のペプチドフラグメント/部位からなる多量体、及びこれら例示のポリマーカセットの多量体(複数可)を含み、好ましくはこれらからなっていてよい。
【0313】
式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1の産生に用いるこれらの配列のペプチドフラグメントは、前記配列番号:9、10、11、12、13、及び14からなる群から選択されるアミノ酸配列の、少なくとも3個の、好ましくは少なくとも4個の、より好ましくは少なくとも5個の、より一層好ましくは少なくとも6個の、なお一層好ましくは少なくとも8個の、特に好ましくは少なくとも10個の、より特に好ましくは少なくとも12個の、より一層特に好ましくは少なくとも14個の、好ましくは少なくとも6個の、なお一層好ましくは少なくとも8個の、特に好ましくは少なくとも10個の、より特に好ましくは少なくとも12個の、より一層特に好ましくは少なくとも14個の、さらにより特に好ましくは少なくとも16個の、最も好ましくは少なくとも18個の連続のアミノ酸からなっていてよい。
【0314】
例えば、アラニン、セリン、及びプロリンの全体の分布及び量に対して上記に特定した規則が尊重される限り、ポリマーカセットの個々のペプチドフラグメントを組み合わせてさらなる個々のポリマーカセットにしてもよい。繰り返すと、これらのポリマーカセットはさらなるアミノ酸残基を含むこともできるが、最小成分又は微量成分として、すなわち、個々のポリマーカセットの最大10%、好ましくは最大2%だけ含むことができる。前記個々のポリマーカセットは、少なくとも約100個のアミノ酸残基からなる。個々のポリマーカセットは、より長いランダムコイル形成性のアミノ酸ポリマーを形成するために、組み合わせることができ、式(I)、(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1の最大の長さはアミノ酸約3000個である。(II)、(IIaa)、(IIab)、(IIac)、(IIad)、(IIb)、又は(IIba)のタンパク質担体Z1の好ましい微量成分はリジンである。
【0315】
別の一実施形態において、担体Z1はC10〜24脂肪酸であり、すなわち、飽和、又は部分的若しくは完全に不飽和のいずれかである、炭素原子10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24個を有する直鎖状炭素鎖を有するカルボン酸である。
【0316】
別の一実施形態において、担体Z1は式(VII)の構造を有する:
B-(-A)n (VII)、
[式中、
Bは分枝コアであり、
Aは、ポリ(エチレングリコール)ベースのポリマー鎖であり、
nは、3から32までの整数である]。
【0317】
好ましい一実施形態において、式(VII)の分枝コアBは、以下から選択される部分を含み、好ましくは以下から選択される部分からなる:
ヒドロキシル基を少なくとも2個含む多価アルコール(好ましくはさらなるアミノ基又はカルボン酸基、より好ましくはカルボン酸基である、官能基をさらに含むことが好ましい)、
好ましくは、Bは、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ヘキサグリセリン、ショ糖、ソルビトール、フルクトース、マンニトール、グルコース、セルロース、アミロース、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、ポリビニルアルコール、デキストラン、及びヒアルロナン、エリスリトール、トレイトール、アラビトール、キシリトール、リビトール、ズルシトール、イジトールから選択され、より好ましくは、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ヘキサグリセリン、ショ糖、ソルビトール、フルクトース、マンニトール、グルコース、セルロース、アミロース、デンプン、ヒドロキシアルキルデンプン、ポリビニルアルコール、デキストラン、及びヒアルロナンから選択される
或いはアミン基を少なくとも2個含むポリアミン(好ましくはさらなるヒドロキシル基又はカルボン酸基、より好ましくはカルボン酸基である、官能基をさらに含むことが好ましい)、
好ましくは、オルニチン、ジオルニチン、トリオルニチン、テトラオルニチン、ペンタオルニチン、ヘキサオルニチン、ヘプタオルニチン、オクタオルニチン、ノナオルニチン、デカオルニチン、ウンデカオルニチン、ドデカオルニチン、トリデカオルニチン、テトラデカオルニチン、ペンタデカオルニチン、ヘキサデカオルニチン、ヘプタデカオルニチン、オクタデカオルニチン、ノナデカオルニチン、ジアミノ酪酸、ジ(ジアミノ酪酸)、トリ(ジアミノ酪酸)、テトラ(ジアミノ酪酸)、ペンタ(ジアミノ酪酸)、ヘキサ(ジアミノ酪酸)、ヘプタ(ジアミノ酪酸)、オクタ(ジアミノ酪酸)、ノナ(ジアミノ酪酸)、デカ(ジアミノ酪酸)、ウンデカ(ジアミノ酪酸)、ドデカ(ジアミノ酪酸)、トリデカ(ジアミノ酪酸)、テトラデカ(ジアミノ酪酸)、ペンタデカ(ジアミノ酪酸)、ヘキサデカ(ジアミノ酪酸)、ヘプタデカ(ジアミノ酪酸)、オクタデカ(ジアミノ酪酸)、ノナデカ(ジアミノ酪酸)、リシン、ジリシン、トリリシン、テトラリシン、ペンタリシン、ヘキサリシン、ヘプタリシン、オクタリシン、ノナリシン、デカリシン、ウンデカリシン、ドデカリシン、トリデカリシン、テトラデカリシン、ペンタデカリシン、ヘキサデカリシン、ヘプタデカリシン、オクタデカリシン、ノナデカリシン、オリゴリシン、ポリエチレンイミン、及びポリビニルアミン;から選択される
[多価アルコール又はポリアミンは結合型である]。
【0318】
好ましい一実施形態において、式(VII)の分枝コアBは、ペンタエリスリトールを含み、好ましくはペンタエリスリトールからなる。
【0319】
好ましくは、式(VII)の分枝コアBに接続しているポリ(エチレングリコール)ベースのポリマー鎖Aは直鎖状のPEG鎖からなり、PEG鎖の一終端は式(VII)のBに接続し、他の終端は、それぞれ、式(I)のX0に対して、Qに対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(II)のものである場合)、Q1に対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIaa)若しくは(IIab)のものである場合)、又はX1に対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)のものである場合)、又は分子の残部に対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIba)のものである場合)接続している。
【0320】
式(VII)のPEGベースの鎖Aは、分枝PEG鎖の場合は、任意選択により終結していてよく、且つ/又は分枝若しくは直鎖状PEG鎖の場合は、アルキル基若しくはアリール基によって任意選択により中断されていてよく、ヘテロ原子及び/又は官能基で任意選択により置き換えられていてよいことが理解される。
【0321】
好ましくは、式(VII)の担体Z1は、例えば、米国、Jen Kem Technology、USA(2011年3月8日にhttp://jenkemusa.net/pegproducts2.aspxからのダウンロードによってアクセスした)の製品リストに詳述されているもの(例えば、特にペンタエリスリトールコアを含む、4-アーム-PEG誘導体、ヘキサグリセリンコアを含む8-アーム-PEG誘導体、及びトリペンタエリスリトールコアを含む8-アーム-PEG誘導体)などの多分岐PEG誘導体である。最も好ましいのは、以下から選択される部分を含み、特に以下から選択される部分からなる、式(VI)の下部構造B(A)nであり:
ペンタエリスリトールコアを含む4-アームPEGアミン:
【化76】
[この文献は図面を表示できません]
【0322】
[nは20から500までの範囲である]、
ペンタエリスリトールコアを含む4-アームPEGカルボキシル:
【化77】
[この文献は図面を表示できません]
【0323】
[nは20から500までの範囲である]、
ヘキサグリセリンコアを含む8-アームPEGアミン:
【化78】
[この文献は図面を表示できません]
【0324】
[nは20から500までの範囲であり、R=ヘキサグリセリンコア構造である]、
ヘキサグリセリンコアを含む8-アームPEGカルボキシル:
【化79】
[この文献は図面を表示できません]
【0325】
[nは20から500までの範囲であり、R=ヘキサグリセリンコア構造である]、
トリペンタエリスリトールコアを含む8-アームPEGアミン:
【化80】
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【0326】
[nは20から500までの範囲であり、R=トリペンタエリスリトールコア構造である]、
トリペンタエリスリトールコアを含む8-アームPEGカルボキシル:
【化81】
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【0327】
[nは20から500までの範囲であり、R=トリペンタエリスリトールコア構造である]、
ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む6-アームPEGアミン:
【化82】
[この文献は図面を表示できません]
【0328】
[nは20から500までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールである]、
ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む6-アームPEGカルボキシル:
【化83】
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【0329】
[nは20から500までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールである]、
ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む6-アームPEGアミン:
【化84】
[この文献は図面を表示できません]
【0330】
[nは20から500までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールである]、
ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む6-アームPEGカルボキシル:
【化85】
[この文献は図面を表示できません]
【0331】
[nは20から500までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールである]、
ペンタエリスリトールコアを含む4-アームPEGアミン:
【化86】
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【0332】
[nは20から500までの範囲である]、
ペンタエリスリトールコアを含む4-アームPEGカルボキシル:
【化87】
[この文献は図面を表示できません]
【0333】
[nは20から500までの範囲である]、
ヘキサグリセリンコアを含む8-アームPEGアミン:
【化88】
[この文献は図面を表示できません]
【0334】
[nは20から500までの範囲であり、R=ヘキサグリセリンコア構造である]、
ヘキサグリセリンコアを含む8-アームPEGカルボキシル:
【化89】
[この文献は図面を表示できません]
【0335】
[nは20から500までの範囲であり、R=ヘキサグリセリンコア構造である]、
トリペンタエリスリトールコアを含む8-アームPEGアミン:
【化90】
[この文献は図面を表示できません]
【0336】
[nは20から500までの範囲であり、R=トリペンタエリスリトールコア構造である]、
トリペンタエリスリトールコアを含む8-アームPEGカルボキシル:
【化91】
[この文献は図面を表示できません]
【0337】
[nは20から500までの範囲であり、R=トリペンタエリスリトールコア構造である]、
ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む6-アームPEGアミン:
【化92】
[この文献は図面を表示できません]
【0338】
[nは20から500までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む]、
ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む6-アームPEGカルボキシル:
【化93】
[この文献は図面を表示できません]
【0339】
[nは20から500までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む]、
ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む6-アームPEGアミン:
【化94】
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【0340】
[nは20から500までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む]、
並びに、ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む6-アームPEGカルボキシル:
【化95】
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【0341】
[nは20から500までの範囲であり、R=ソルビトール又はジペンタエリスリトールコアを含む]
式中、点線はそれぞれ、式(I)のX0に対して、Qに対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(II)のものである場合)、Q1に対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIaa)若しくは(IIab)いずれかのものである場合)、又はX1に対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)のものである場合)、又は分子の残部に対して(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIba)のものである場合)の結合を示す。
【0342】
好ましい一実施形態において、式(VII)の担体B-(A)nの分子量は1kDaから80kDaまでの、より好ましくは1kDaから40kDaまでの、より一層好ましくは10kDaから40kDaまでの範囲である。
【0343】
より好ましくは、式(VII)の担体は、式(VIIa)の構造を有する:
【化96】
[この文献は図面を表示できません]
【0344】
[式中、
tは、80から160までの範囲であり、
wは、2から6までの範囲であり、
点線は、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグの残部に対する、すなわち、式(I)の部分X0に対する、部分Qに対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(II)のものである場合)、部分Q1に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIaa)若しくは(IIab)のものである場合)、又は部分X1に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIac)、(IIad)、若しくは(IIb)の場合)、又は分子の残部に対する(担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが式(IIba)のものである場合)結合を示す]。
【0345】
好ましくは、wは2又は3である。
【0346】
最も好ましくは、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグは式(IIc)の構造を有する:
【化97】
[この文献は図面を表示できません]
【0347】
[式中、
yは4であり、Z1は部分(IIca)を表す:
【化98】
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【0348】
[式中、点線は式(IIc)の構造の残部に対する結合を示し、tは80から160までの範囲であり、wは2又は3である]]。
【0349】
別の好ましい一実施形態において、本発明は、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを含む医薬組成物に関し、前記医薬組成物は、プロスタサイクリン化合物が血漿非依存的にプロスタサイクリンを放出することを特徴とする。好ましくは、プロスタサイクリン化合物は、酵素非依存的にプロスタサイクリンを放出する。
【0350】
「血漿非依存」の語は、37℃で測定した、プロスタサイクリンのプロスタサイクリン化合物からの放出の動力学は、pH7.4のバッファー中及びpH7.4の80%緩衝血漿中で独立に、50%を超えず、好ましくは40%を超えず、より好ましくは30%を超えず、より一層好ましくは20%を超えず、最も好ましくは10%を超えずに変化する。
【0351】
「酵素非依存」の語は、プロスタサイクリンのプロスタサイクリン化合物からの放出に酵素の存在は必要とされないことを意味する。
【0352】
本発明の別の一態様は、本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩を、任意選択により1種以上の薬学的に許容される賦形剤と一緒に含む医薬組成物である。
【0353】
医薬組成物を、以下の段落においてさらに記載する。
【0354】
本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを含む医薬組成物は、液体組成物として、又は乾燥組成物として提供することができる。適切な乾燥方法は、例えば、噴霧乾燥及び凍結乾燥(フリーズドライ)である。好ましい乾燥方法は凍結乾燥である。
【0355】
好ましくは、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグは、1回の適用で少なくとも12時間、治療有効量のトレプロスチニルを提供するのに十分なように組成物に添加される。より好ましくは、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを含む医薬組成物を1回適用すれば、少なくとも1日、例えば、2日、3日、4日、5日、6日、又は7日、例えば、2週間、3週間、又は4週間の間は十分である。
【0356】
一実施形態において、本発明は、
(i)本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが、1回の適用において少なくとも12時間、治療有効量のトレプロスチニルを提供するのに十分なように医薬組成物に添加され、且つ/又は
(ii)単一投与量の医薬組成物が、約2mgから約6mgの、好ましくは約4mgのトレプロスチニルを含む、
医薬組成物に関する。
【0357】
好ましい一実施形態において、本発明の液体の医薬組成物の単一投与量の体積は、約0.1mlから約10ml、好ましくは約0.5mlから約5ml、より一層好ましくは約0,5mlから約2ml、特に約1mlである。
【0358】
本発明による「約」は、実験上の誤差範囲、特に±5%、又は±10%を意味するものと理解される。
【0359】
本発明による担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグの医薬組成物は、1種以上の賦形剤を任意選択により含む。
【0360】
賦形剤は、緩衝剤、等張性調節剤、保存剤、安定化剤、抗吸着剤、酸化保護剤、粘稠化剤/粘稠性増強剤、又は他の補助剤に分類することができる。ある場合には、これらの成分には、二重又は三重の機能があり得る。本発明による担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグの医薬組成物は、以下の群から選択される1種以上の賦形剤を含む:
(i)緩衝剤:pHを所望の範囲に維持するための生理学的に許容されるバッファー、例えば、リン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、ヒスチジンナトリウム、クエン酸ナトリウム、及び酢酸ナトリウム、硫酸塩、硝酸塩、塩化物、ピルビン酸塩。Mg(OH)2又はZnCO3などの酸中和物(antacid)も用いることができる。緩衝能も、pH安定性に最も感受性である条件に適合するように調節することができる
(ii)等張性調節剤:注射蓄積(depot)時の浸透圧差による細胞の損傷に起因し得る痛みを最小にするため。例としてグリセリン及び塩化ナトリウムがある。効果的な濃度は、血清に対して285〜315mOsmol/kgである想定される浸透圧を浸透圧計によって用いて決定することができる
(iii)保存剤及び/又は抗微生物剤:マルチドーズの非経口調製物には、注射時に患者が感染する危険性を最小にするのに十分な濃度の保存料を添加する必要があり、相当する調節性の必要要件が確立されている。典型的な保存剤には、m-クレゾール、フェノール、メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベン、クロロブタノール、ベンジルアルコール、硝酸フェニル水銀、チメロソール(thimerosol)、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、クロロクレゾール、及び塩化ベンザルコニウムが含まれる
(iv)安定化剤:安定化は、タンパク質-安定化力を強化することによって、変性状態を不安定化することによって、又は賦形剤をタンパク質に直接結合することによって実現される。安定化剤は、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グリシン、ヒスチジン、リジン、プロリンなどのアミノ酸、グルコース、ショ糖、トレハロースなどの糖、グリセロール、マンニトール、ソルビトールなどのポリオール、リン酸カリウム、硫酸ナトリウムなどの塩、EDTA、ヘキサホスフェートなどのキレート剤、二価の金属イオン(亜鉛、カルシウムなど)などのリガンド、他の塩、又はフェノール誘導体などの有機分子であってよい。さらに、オリゴマー又はポリマー、例えば、シクロデキストリン、デキストラン、デンドリマー、PEG、又はPVP、又はプロタミン、又はHASを用いることができる
(v)抗吸着剤:組成物若しくは組成物の容器の内側表面を競合的にコーティングし、又は組成物若しくは組成物の容器の内側表面に対して競合的に吸着させるのに、主にイオン性若しくは非イオン性の界面活性剤、又は他のタンパク質若しくは可溶性ポリマーが用いられる。適切な界面活性剤には、例えば、アルキルサルフェート、例えば、ラウリル硫酸アンモニウム、及びラウリル硫酸ナトリウム;アルキルエーテル硫酸塩、例えば、ラウレス硫酸ナトリウム、及びミレス硫酸ナトリウム;スルホネート、例えば、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ペルフルオロオクタンスルホン酸、ペルフルオロブタンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホネート;ホスフェート、例えば、アルキルアリールエーテルホスフェート、及びアルキルエーテルホスフェート;カルボキシレート、例えば、脂肪酸塩(石鹸)、又はステアリン酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、ペルフルオロノナノエート、ペルフルオロオクタノエート;オクタニジンジヒドロクロリド(octenidine dihydrochloride);四級アンモニウム陽イオン、例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロミド、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、ポリエトキシ化牛脂アミン(polyethoxylated tallow amine)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、5-ブロモ-5-ニトル(nitor)-1,3-ジオキサン、ジメチルジオクタデシルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムブロミド;双性イオン、例えば、3-[(3-コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]-l-プロパンスルホネート、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン(cocamidopropyl hydroxysultaine)、アミノ酸、イミノ酸、コカミドプロピルベタイン、レシチン;脂肪アルコール、例えば、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、オレイルアルコール;ポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル、例えば、オクタエチレングリコールモノデシルエーテル、ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル;ポリオキシプロピレングリコールアルキルエーテル;アルキルエーテル配糖体、例えば、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、オクチルグルコシド;ポリオキシエチレングリコールオクチルフェノールエーテル、例えば、TritonX-100;ポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテル、例えば、ノノキシノール-9;グリセロールアルキルエステル、例えば、グリセリルラウレート;ポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル、例えば、ポリソルベート;ソルビタンアルキルエステル;コカミドMEA及びコカミドDEA;ドデシルジメチルアミンオキシド;ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールのブロック共重合体、例えば、ポロキサマー(Pluronic F-68)、PEGドデシルエーテル(Brij35)、ポリソルベート20及び80があり;他の抗吸収剤には、デキストラン、ポリエチレングリコール、PEG-ポリヒスチジン、BSA、及びHAS、及びゼラチンがある。賦形剤の選択される濃度及びタイプは、避けるべき効果に依存するが、典型的に、界面活性剤の単層がCMC値をちょうど超えた界面で形成される
(vi)溶解(Lyo-)及び/又は凍結保護剤:フリーズドライ又は噴霧乾燥の間、賦形剤は、水素結合の破壊及び水分の除去によってもたらされる不安定化効果に対抗し得る。この目的で糖及びポリオールを用いることができるが、界面活性剤、アミノ酸、非水性溶媒、及び他のペプチドに、相当する前向きの効果も観察されている。トレハロースは、水分が誘発する凝集(moisture-induced aggregation)を低減するのに特に効率的であり、タンパク質の疎水性基が水に暴露されることによって潜在的にもたらされる熱安定性も改善する。マンニトール及びショ糖も、単一の溶解/凍結保護剤として、又は相互に組み合わせてのいずれかで用いることができ、マンニトール:ショ糖の比率が高いほど凍結乾燥したケークの物理的安定性が増強されることが知られている。マンニトールも、トレハロースと組み合わせることができる。トレハロースもソルビトールと組み合わせることができ、又はソルビトールを単一の保護剤として用いることができる。デンプン又はデンプン誘導体も用いることができる。
【0361】
(vii)酸化保護剤:抗酸化剤、例えば、アスコルビン酸、エクトイン、メチオニン、グルタチオン、モノチオグリセロール、モリン、ポリエチレンイミン(PEI)、没食子酸プロピル、ビタミンE、キレート化剤、例えば、クエン酸、EDTA、ヘキサホスフェート、チオグリコール酸
(viii)展着剤又は拡散剤:それだけには限定されないが、結合組織の細胞内空間に見いだされるヒアルロン酸、多糖など、組織実質内空間(intrastitial space)における細胞外マトリックスの構成成分の加水分解によって結合組織の透過性を修飾する。それだけには限定されないがヒアルロニダーゼなどの展着剤は、細胞外マトリックスの粘性を一時的に下げ、注射された薬物の拡散を促進する。
【0362】
(ix)他の補助剤;例えば、湿潤剤、粘稠化剤、抗生物質、ヒアルロニダーゼ。塩酸及び水酸化ナトリウムなどの酸及び塩基は、製造の間にpHを調節するのに必要な補助剤である。
【0363】
一般的な実施形態において、乾燥形態又は液体形態いずれかの、本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを含む医薬組成物は、単一の、又は複数の投与量組成物として提供され得る。
【0364】
本発明の一実施形態において、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを含む液体又は乾燥の医薬組成物は単一投与量として提供され、これは医薬組成物が供給される容器が医薬投与量を一つ含むことを意味する。
【0365】
或いは、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを含む液体又は乾燥の医薬組成物は複数の投与量組成物であり、これは医薬組成物が供給される容器が医薬投与量を1投与量以上含む、すなわち複数の投与量の組成物が少なくとも2投与量含むことを意味する。このような担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグの複数投与量の組成物は、これを必要とする異なる患者に用いることができ、又は一人の患者に用いることができ、この場合残りの投与量は、第1の投与量の適用後、必要とされるまで貯蔵される。
【0366】
本発明の別の一態様において、医薬組成物は容器中にある。液体組成物又は乾燥組成物に適する容器は、例えば、シリンジ、バイアル、栓及び封の付いたバイアル、アンプル、及びカートリッジである。特に、本発明による担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを含む液体組成物又は乾燥組成物は、シリンジにおいて提供される。担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを含む医薬組成物が乾燥医薬組成物である場合、容器が二重チャンバー(dual-chamber)シリンジであるのが好ましい。このような実施形態において、前記乾燥組成物は、二重チャンバーシリンジの第1のチャンバーにおいて提供され、再構成溶液は二重チャンバーシリンジの第2のチャンバーにおいて提供される。
【0367】
担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグの乾燥組成物を、それを必要とする患者に適用する前に、乾燥組成物を再構成する。再構成は、バイアル、シリンジ、二重チャンバーシリンジ、アンプル、及びカートリッジなど、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグの乾燥組成物が提供される容器において起こり得る。再構成は、予め規定された量の再構成溶液を乾燥組成物に加えることによって行われる。再構成溶液は、無菌の液体、例えば、水又はバッファーであり、これらは保存剤及び/又は抗微生物剤など(例えば、ベンジルアルコール及びクレゾール)のさらなる添加剤を含むことができる。再構成溶液が滅菌水であるのが好ましい。乾燥組成物が再構成される場合、これを「再構成された医薬組成物」又は「再構成された組成物」と呼ぶ。
【0368】
本発明のさらなる一態様は、本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを含む再構成された、又は液体の医薬組成物を投与する方法に関する。担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを含む医薬組成物は、皮内、皮下、筋肉内、静脈内、骨内、及び腹腔内を含めた、吸入、注射、又は注入の方法によって投与することができる。担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを含む医薬組成物を皮下投与するのが好ましい。
【0369】
本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを含む乾燥医薬組成物を投与するのに好ましい方法は、吸入による。
【0370】
したがって、好ましい一実施形態において、本発明は、局所、腸内投与、非経口投与、吸入、注射若しくは注入、動脈内、皮内、皮下、筋肉内、静脈内、骨内及び腹腔内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、経気管、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、脳室内、又は胸骨内投与のための、好ましくは皮下投与のための薬物として用いるための、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ、又は本発明の薬学的に許容されるその塩、又は本発明の医薬組成物に関する。
【0371】
別の一実施形態において、同時又は連続的のいずれかで、本発明の第1の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを第1の投与方法によって投与し、本発明の第2の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを第2の投与方法によって投与する。前記第1及び第2の投与方法は、局所、腸内投与、非経口投与、吸入、注射若しくは注入、動脈内、皮内、皮下、筋肉内、静脈内、骨内及び腹腔内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、経気管、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、脳室内、又は胸骨内投与のあらゆる組合せであってよい。
【0372】
したがって、別の好ましい一実施形態において、本発明は、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ、又は本発明の薬学的に許容されるその塩、又は本発明の医薬組成物に関し、このような水溶性の担体連結しているプロドラッグ、又は薬学的に許容されるその塩、又は医薬組成物は、局所、腸内、又は非経口投与によって、並びに外部適用、吸入、動脈内、皮内、皮下、筋肉内、静脈内、骨内及び腹腔内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、経気管、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、脳室内、及び胸骨内投与を含めた、注射若しくは注入、好ましくは皮下投与方法によって患者に投与するのに適する。
【0373】
さらなる一態様は、治療有効量の本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ、及び任意選択により1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む再構成された組成物を調製する方法であり、方法は、
本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを含む医薬組成物を再構成溶液と接触させるステップを含む。
【0374】
別の一態様は、治療有効量の本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ、及び任意選択により1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む再構成された医薬組成物である。
【0375】
本発明の別の一態様は、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグの乾燥組成物を製造する方法である。一実施形態において、このような乾燥組成物は、
(i)担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを1種以上の賦形剤と混合し、
(ii)単一又は複数の投与量に等しい量を適切な容器に移し、
(iii)組成物を前記容器中で乾燥させ、
(iv)容器に封をする
ことによって作られる。
【0376】
適切な容器は、バイアル、シリンジ、二重チャンバーシリンジ、アンプル、及びカートリッジである。
【0377】
本発明の別の一態様はキットの部分である。
【0378】
投与装置が単なる皮下注射器である場合、キットはシリンジ、針、及びシリンジと一緒に用いるための担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグの乾燥医薬組成物を含む容器、及び再構成溶液を含む第2の容器を含むことができる。
【0379】
医薬組成物が液体組成物である場合、キットは、シリンジ、針、及びシリンジと一緒に用いるための担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグの液体組成物を含む容器を含むことができる。
【0380】
より好ましい実施形態において、注射装置は簡単な皮下注射器以外であり、それゆえ、再構成された、又は液体の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを有する別々の容器を、使用時、容器中の液体組成物が注射装置の出口と流体的に接続するように、注射装置と係合するように合わせる。投与装置の例には、それだけには限定されないが、皮下注射器及びペン型注射装置が含まれる。特に好ましい注射装置は、容器がカートリッジであり、好ましくは使い捨てのカートリッジであるペン型注射器である。任意選択により、キットの部位は、傷害を防ぐために使用後に針にキャップし、又は針を覆うために用いることができる、針用の安全装置を含んでいる。
【0381】
好ましいキットの部分は、針、及び本発明による組成物を含み、且つ任意選択により再構成溶液をさらに含む容器を含み、容器は針と一緒に使用するように適合されている。容器が二重チャンバーシリンジであるのが好ましい。
【0382】
別の一態様において、本発明は、ペン型注射装置と一緒に用いるための、本明細書において先に記載した担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグの医薬組成物を含むカートリッジを提供する。カートリッジは、単一投与量、又は多数の投与量の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを含むことができる。
【0383】
本発明のさらに別の一態様は、薬物として用いるための、本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ、又は本発明の医薬組成物である。
【0384】
本発明による担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが1種以上の酸性基又は塩基性の基を含む場合、本発明は、これらの相当する薬学的又は毒性学的に許容される塩、特にこれらの製薬上利用可能な塩も含む。このように、酸性基を含む本発明による担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを、本発明にしたがって、例えば、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩として、又はアンモニウム塩として用いることができる。このような塩のより正確な例には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、又はアンモニア若しくは有機アミンとの塩、例えば、エチルアミン、エタノールアミン、トリエタノールアミン、又はアミノ酸との塩が含まれる。1個以上の塩基性基、すなわち、プロトン化することができる基を含む本発明による担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが存在することができ、本発明にしたがって無機酸又は有機酸とのこれらの付加塩の形態で用いることができる。適切な酸の例には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、シュウ酸、酢酸、酒石酸、乳酸、サリチル酸、安息香酸、ギ酸、プロピオン酸、ピバル酸、ジエチル酢酸、マロン酸、コハク酸、ピメリン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、スルファミン酸、フェニルプロピオン酸、グルコン酸、アスコルビン酸、イソニコチン酸、クエン酸、アジピン酸、及び当業者には知られている他の酸が含まれる。本発明による担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが分子中に酸性基及び塩基性基を同時に含む場合、本発明は、記載した塩の形態に加えて、分子内塩又はベタイン(双性イオン)も含む。それぞれの塩は、当業者には知られている通例の方法によって、例えば、これらを溶媒若しくは分散剤中で有機若しくは無機の酸若しくは塩基と接触させることによって、又は他の塩との陰イオン交換若しくは陽イオン交換によって得ることができる。本発明は、生理学的適合性が低いため、医薬品において用いるのに直接適さないが、例えば、化学反応に対する中間物質として、又は薬学的に許容される塩を調製するために用いることができる、プロドラッグの塩も全て含む。
【0385】
本発明のさらなる別の一態様は、哺乳動物患者、好ましくはヒト患者に、治療有効量の、本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ、又は本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを含む医薬組成物、又は薬学的に許容されるその塩を投与することを含む、処置する必要のある前記患者における一つ以上の状態、疾患、又は障害を処置し、コントロールし、遅らせ、又は予防する方法である。
【0386】
本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグで予防及び/又は処置することができる前記状態、疾患、又は障害には、例えば、肺高血圧症、虚血疾患(例えば、末梢動脈疾患を含む末梢血管疾患、レイノー病及びレイノー症候群を含むレイノー現象、全身性強皮症を含む強皮症、心筋虚血、虚血性発作、腎不全)、指潰瘍(digitalulcer)を含む虚血性潰瘍、心不全(うっ血性心不全を含む)、門脈肺高血圧(portopulmonary hypertension)、間質性肺疾患、特発性肺線維症、抗凝血を必要とする状態(例えば、MI後、心臓手術後)、血栓性微小血管症、体外循環、網膜中心静脈閉塞症、アテローム性動脈硬化、炎症性疾患(例えば、COPD、乾癬)、高血圧(例えば、子癇前症)、生殖及び分娩、癌又は細胞増殖が非制御である他の状態、細胞/組織の保存、並びにプロスタサイクリン処置が有益な役割を有すると思われる他の新たに出現した治療分野、好ましくは肺高血圧症がある。
【0387】
一実施形態において、本発明は、トレプロスチニルによって処置及び/又は予防することができる疾患又は障害を処置又は予防する方法において用いるための、本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ、又は薬学的に許容されるその塩、又は医薬組成物に関する。
【0388】
好ましい一実施形態において、疾患又は障害は肺高血圧症である。
【0389】
さらなる一実施形態において、本発明は、トレプロスチニルによって処置及び/又は予防することができる疾患又は障害を処置又は予防するための薬物を調製するための、本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ、又は薬学的に許容されるその塩、又は医薬組成物の使用に関する。
【0390】
好ましい一実施形態において、疾患又は障害は肺高血圧症である。
【0391】
一実施形態において、本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグは、それだけには限定されないが、皮下注射及び吸入など、異なる投与経路によって同じ患者に投与することができる。
【0392】
別の一実施形態において、本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグは、遊離型(複数可)において、又はプロドラッグ(複数可)としてのいずれかにおいて、1種以上のさらなる薬物(複数可)又は生物学的に活性な部分/部分(複数)と組み合わせて投与することができる。別の一実施形態において、このような1種以上のさらなる薬物(複数可)を、本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグと一緒に、同じ又は異なる投与経路(複数可)を用いて投与する。1種以上のさらなる薬物(複数可)、及び本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを、固定投与量の組合せにおいて投与するのが好ましい。
【0393】
したがって、このような1種以上のさらなる活性薬剤を、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグと別々に投与することができる。担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグと組み合わせて投与することができる、特定のさらなる薬物又は生物学的に活性な部分は、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを投与することができる処置又は予防のための、特定の疾患又は状態に依存し得る。ある場合において、さらなる薬物/生物学的に活性な部分は、プロスタサイクリン化合物などの心血管薬剤、NO活性のメディエーター、カルシウムチャネルブロッカー、ホスホジエステラーゼ阻害薬、利尿薬、内皮アンタゴニスト、又は抗血小板薬であってよい。
【0394】
本発明の別の一目的において、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグは、吸入のプロスタサイクリンと組み合わせて投与することができる。
【0395】
本発明の別の一目的は、本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩を合成するための方法である。本発明による担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又はこのようなプロドラッグの前駆体は、知られている方法によって、又は以下に記載する反応順序にしたがって調製することができる。本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又はその前駆体の調製(合成)において用いられる出発材料は、知られており、若しくは市販されており、又は知られている方法、若しくは以下に記載する通り調製することができる。
【0396】
前駆体を含めた、本発明による担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグを合成するための反応は全て、それ自体、当業者にはよく知られており、有機化学の標準的な文献に記載されている手順にしたがって、又は類似して、標準の条件下で行うことができる。個々の場合の事情に応じて、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又はその前駆体の合成の間の副反応を避けるために、保護基を導入することによって官能基を一時的にブロックし、合成の後の段階でこれらを脱保護し、又は前駆体の基の形態の官能基を導入し、これを後の反応ステップにおいて所望の官能基に変換するのが必要であり、又は有利であり得る。個々の場合において適切である、このような合成の戦略、並びに保護基、及び前駆体の基は、当業者には知られている。所望により、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ、又はその前駆体を、慣例的な精製手順によって、例えば、再結晶又はクロマトグラフィーによって精製することができる。
【0397】
一実施形態において、本発明による担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ(又は薬学的に許容されるその塩)は、トレプロスチニルのカルボン酸を生物学的に活性な部分試薬D-Yに変換するステップ(Yは脱離基である)、引き続き試薬D-Yをヒドロキシル基含有の可逆性のプロドラッグリンカー試薬X0-OHと反応させるステップ、このようにカルボキシルエステル連結を形成することによって生物学的に活性な部分-可逆性のプロドラッグリンカーコンジュゲートT-X0を産生するステップを含む方法によって調製することができる。後で、T-X0を担体部分Z1に結合させて、本発明によるカルボン酸基を含む、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグの生物学的に活性な部分を得ることができる。或いは、担体部分Z1は、すでにX0-OHに結合していてもよい。
【0398】
本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグの合成に関与しないトレプロスチニルの官能基は、当業者には知られている適切な保護基で保護することができることが理解される。
【0399】
Yは脱離基である。適切な脱離基は当業者には知られている。Dに結合している場合、Yは、クロリド、ブロミド、フルオリド、ニトロフェノキシ、イミダゾリル、N-ヒドロキシスクシンイミジル、N-ヒドロキシベンゾトリアゾリル、N-ヒドロキシアゾベンゾトリアゾリル、ペンタフルオロフェノキシ、2-チオオキソ-チアゾリジニル、又はN-ヒドロキシスルホスクシンイミジルであるのが好ましい。
【0400】
本発明の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグは、ポリマーから出発して当技術分野において知られている便利な方法によって調製することができる。当技術分野における専門家には、いくつかの経路が存在することは明らかである。例えば、部分T-X0は、担体部分POLのポリマーの反応性官能基と反応することができる。或いは、部分Z1-X0を含む試薬を、優先的に活性化した生物学的に活性な酸であるD-Yとのその後の反応のために調製することができる。Dはトレプロスチニルであることが理解される。
【図面の簡単な説明】
【0401】
図1】トレプロスチニル合計含量と比べ、トレプロスチニル放出%として表した、様々な時間点のバッファー及び緩衝ラット血漿におけるトレプロスチニル放出を示す図である(実施例29を参照されたい)。
図2】皮下注射後のサルにおいて2週間を超えて、トレプロスチニルコンジュゲート25の循環の期間が延長されたことを示す図である(実施例30を参照されたい)。
図3】化合物25の単一投与量静脈内注射、並びにその後のトレプロスチニル及び担体の合計含量に対する血漿分析を示す図である(実施例30を参照されたい)。
図4】化合物25の単一投与量静脈内注射、及びその後の遊離のトレプロスチニルに対する血漿分析を示す図である(実施例32を参照されたい)。
図5】化合物25の単一投与量皮下注射、及びその後の遊離のトレプロスチニルに対する血漿分析を示す図である(実施例32を参照されたい)。
【発明を実施するための形態】
【0402】
材料、方法、及び分析:
生成物の精製
順相精製を、Biotage「Isolera one」精製システムBiotage AB、スウェーデン上で行った。Biotage KP-Silシリカカートリッジ。ヘプタン/酢酸エチル又はジクロロメタン/メタノールの勾配を用いた。254nm及び280nmに生成物が検出され、収集された。
【0403】
分取RP-HPLCには、Waters 600コントローラー、及びWaters XBridge(商標)BEH300 Prep C185μm、150×10mm、流速6ml/分、又はWaters XBridge(商標)BEH300 Prep C18 10μm、150×30mm、流速40ml/分を装着した、2487紫外可視吸光検出器(Dual Absorbance Detector)を用いた。溶離液A(0.05v/v% TFA又は0.01v/v% HClを含む水)及び溶離液B(0.05v/v% TFA又は0.01v/v% HClを含むアセトニトリル)の勾配を用いた。
【0404】
別段の記載がなければ、生成物を含むHPLC分画をプールし、凍結乾燥した。
【0405】
自動化フラッシュクロマトグラフィー
自動化フラッシュクロマトグラフィーを、Biotage KP-Silシリカカートリッジを用いて、Biotage「Isolera one」精製システムBiotage AB、スウェーデン上で行った。254nm及び280nmに生成物が検出され、収集された。
【0406】
LC/MS分析
分析用RP-HPLC/ESI-MSを、2695サンプルマネージャー、2487紫外可視吸光検出器、及びZQ 4000 ESI装置からなるWaters機器上[5μm Reprosil Pur 300Å ODS-3カラム(75×1.5mm) (Dr.Maisch、Ammerbuch、ドイツを装着;流速:350μl/分、典型的な勾配: 5分かけて10〜90%MeCN水溶液、0.05%TFA)]又はThermo LTQ Orbitrap Discovery高分解能/高精度質量分析計上[Waters ACQUITY UPLC BEH300 C18 RPカラムを装着(2.1×50mm、300Å、1.7μm、流速:0.25mL/分;溶媒A:UP-H2O+0.04% TFA、溶媒B:UP-アセトニトリル+0.05% TFA]と組み合わせたAcquity PDA検出器付Waters Acquity UPLCで行った。
【0407】
RP-UPLC/ESI-MSを、Thermo LTQ Orbitrap Discovery高分解能/高精度質量分析計[ACQUITY UPLC(登録商標)BEH300 C18 RPカラムを装着(Waters Corporation、2.1×50mm、300Å、1.7μm、流速:0.25mL/分;溶媒A:UP-H2O+0.04%TFA、溶媒B:P-MeCN+0.05% TFA]と組み合わせたWaters Acquity UPLC及びAcquity PDA検出器からなるWaters/Thermo装置上で行った。
【0408】
TransCon 5kDa PEGリンカートレプロスチニルから放出されたトレプロスチニルを決定するのに典型的な勾配は:流速0.25mL、勾配:10分かけて30〜50% Bである。
【0409】
RP-HPLC精製:
分取RP-HPLC用に、以下のカラム:Waters XBridge(商標)BEH300 Prep C18 5μm、150×10mm、流速6ml/分、又はWaters XBridge(商標) BEH 300 Prep C18 10μm、150×30mm、流速40ml/分を装着した、Waters 600コントローラー及び2487紫外可視吸光検出器を用いた。溶媒系A(0.05v/v% TFA又は0.01v/v% HClを含む水)及び溶媒系B (0.05v/v% TFA又は0.01v/v% HClを含むアセトニトリル)の直線勾配。
【0410】
精製手順に典型的な勾配は:
流速6mL/分、溶媒A: H2O+0.05% TFA、溶媒B: MeCN+0.05% TFA、典型的な勾配: 14分かけて1〜95%B、
流速6mL/分、溶媒A: H2O+0.05% TFA、溶媒B: MeCN+0.05% TFA、典型的な勾配: 14分かけて10〜80%B、
流速40mL/分、溶媒A: H2O+0.05% TFA、溶媒B: MeCN+0.05% TFA、典型的な勾配: 14分かけて40〜95%B、
別段の記載がなければ、生成物を含むHPLC分画をプールし、凍結乾燥した。
【0411】
化学薬品及び製剤原料:
トレプロスチニルの酸は、中華人民共和国、上海のShanghai Techwell Biopharmaceutical Co.、Ltd.、又は台湾、楊梅のChirogate International Inc.から購入した。6-(S-トリチルメルカプト)ヘキサン酸は、フランス、StrasbourgのPolypeptideから購入した。Cis-シクロヘキサンジカルボン酸無水物は、ドイツ、KarlsruheのAlfa Aesar GmbH & CoKGから購入した。2-クロロトリチルクロリド樹脂(1%、Novabiochem(登録商標)DVB)は、ドイツ、Merck Biosciences GmbHから得た。6-(S-トリチルスルファニル)ヘキサンアミンは、WO-A 2009/133137にしたがって合成した。この作業で用いたPEGは、ベルギー、GrobbendonkのNOF Europe N.V.から得た。他の化学薬品は全て、ドイツ、TaufkirchenのSigma Aldrich GmbHから購入した。分析用RP-HPLC用の水及びアセトニトリルはBiosolve B. V.から、TFAはThermo scientificから購入した。
【0412】
[実施例1]
3-ヒドロキシブタン酸1のベンジル保護
【化99】
[この文献は図面を表示できません]
【0413】
3-ヒドロキシブタン酸1(434mg、4.17mmol)をTHF (10mL)中に溶解し、BnBr(700μL、5.89mmol)及びCs2CO3(2.5g、7.67mmol)を加えた。反応混合物を封管中、4〜6時間還流した。室温に冷却後、反応混合物を濾過し、残渣をEtOAcで数回洗浄した。有機溶媒を除去し、生成物を、シリカ上、1ポーションで自動化フラッシュクロマトグラフィーによって精製して(SNAP 25gカートリッジ、流速30ml/分、溶媒A:DCM、溶媒B:MeOH;勾配:19 CVかけて0〜5%B)、出発材料を除去し、所望の、黄色油状のベンジル保護した3-ヒドロキシブタン酸2を得た。
【0414】
収量: 361mg (45%)
MS: m/z217.1=[M+Na]+(MW+Na計算値=217.2)
[実施例2]
ベンジル化した3-ヒドロキシブタン酸2のトレプロスチニルとのカップリング反応
【化100】
[この文献は図面を表示できません]
【0415】
トレプロスチニル酸(10.5mg、0.0268mmol)をDCM (4.5mL)中に溶解し、DCC(9.4mg、0.0455mmol)、HOBT(7.5mg、0.0489mmol)、及びDMAP(7.5mg、0.0613mmol)を溶液に加えた。次いで、ベンジル化した3-ヒドロキシブタン酸2(15mg、0.0772mmol)をDCM (0.5mL)中に溶解し、反応混合物に加えた。混合物を室温で、消費が完了するまで(分析用RP-HPLC)撹拌した。揮発性溶媒を真空中で除去し、残渣を小型シリカカラム上で精製して(シリカ3ml、DCM/MeOH(100:0)〜DCM/MeOH(95:5)、黄色油状の所望のリンカートレプロスチニルを得た。
【0416】
収量: 8mg(50%)
MS: m/z589.3=[M+Na]+(MW+Na計算値=589.7)
[実施例3]
ベンジルエステル3の水素化反応
【化101】
[この文献は図面を表示できません]
【0417】
ベンジルエステル3(13mg、0.0229mmol)を、EtOAc (4ÅMS、2mL)中に溶解し、5%パラジウム炭素(5%Pd、15mg)を加えた。30分間、溶液に水素の泡を通した。反応混合物を水素雰囲気下でさらなる12.5時間、消費が完了するまで(分析用RP-HPLC)撹拌した。混合物を、セライト上で濾過し、EtOAcで数回洗浄した。有機溶媒を真空中で除去し、残渣をRP-HPLC(溶媒A:0.05% TFA含有H2O、溶媒B:0.05% TFA含有MeCN、勾配:20分かけて1〜95%B、流速6mL/分)を用いて精製した。分画を含む生成物をプールし、凍結乾燥して、白色固体の4を得た。
【0418】
収量: 1.9mg (29%)
MS: m/z499.3=[M+Na]+(MW+Na計算値=499.6)
[実施例4]
直鎖状PEG 5kDaアミンのリンカートレプロスチニル4とのカップリング反応
【化102】
[この文献は図面を表示できません]
【0419】
リンカートレプロスチニル4(1.9mg、3.98μmol)及び直鎖状PEG 5kDaアミン(86mg、17.2μmol)を、THF/MeCN (4ÅMS; 1.5mL:0.5mL)及びEt3N (40μL)中に溶解し、触媒量のDMAP及びT3P(EtOAc中50%、50μL、73.2μmol)を連続的に加えた。反応混合物を室温で12時間撹拌した。反応混合物をH2O 20μLで希釈し、揮発性溶媒を真空中で除去した。残渣を、RP-HPLC(溶媒A:0.05% TFA含有H2O、溶媒B:0.05% TFA含有MeCN、勾配:20分かけて10〜80%B、流速:6mL/分)を用いて精製した。分画を含む生成物をプールし、凍結乾燥して、白色固体のTransCon PEGリンカートレプロスチニル5を得た。
【0420】
収量: 12.5mg(58%)
MS: m/z1378.6=[M+4H]4+(計算値=1378.9)ポリマー分配における1本の代表的なピークに対して。
【0421】
[実施例5]
TransCon PEGリンカートレプロスチニル5のトレプロスチニル放出の動力学
TransCon PEGリンカートレプロスチニル(0.5〜1.5mg)を、37℃のpH7.4加水分解バッファー(60mMリン酸ナトリウム、3mM EDTA、0.05% Tween-20、1mL)中でインキュベートし、アリコートをUPLCによって、放出されたトレプロスチニルに対して様々な時間点で分析した。
【0422】
TransCon PEGリンカートレプロスチニル5の加水分解の動力学の半減期の決定
所与の期間、pH7.4及び37℃でインキュベートした後放出されたトレプロスチニルのパーセント値を、RP-UPLCクロマトグラムにおける相当するピーク(放出された材料対コンジュゲート)を積分することによって決定した。表1に示すデータを、時間に対して、引き続きプロットした。1次の動力学の適合を用いることにより、5からのトレプロスチニル放出に対する半減期4.20日が得られた。
【表1】
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【0423】
[実施例6]
中間体6a/6bの合成
【化103】
[この文献は図面を表示できません]
【0424】
6-(S-トリチルスルファニル)-ヘキサンアミン(合成には、国際公開第2009/133137号を参照されたい)(507mg、1.35mmol)をDCM(4ml)中に溶解し、cis-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物(251mg、1.63mmol)を室温で反応混合物に加えた。DIPEA (0.70mL、4.06mmol)を加え、混合物を室温で、6-(S-トリチルスルファニル)-ヘキサンアミンの消費が完了するまで撹拌した(LC/MS)。揮発性溶媒を真空中で除去し、残渣をH2O/MeCN(6:1、18mL)中に溶解し、生成物をRP-HPLCによって精製した(溶媒A:0.05% TFA含有H2O、溶媒B:0.05%TFA含有MeCN、勾配:16分かけて40〜95%B、流速:40ml/分)。プールした分画を、飽和NaHCO3溶液(pHおよそ6)で中和し、有機溶媒を真空中で除去した。残りの水相をDCMで2回抽出した。有機層を合わせ、MgSO4で乾燥させ、溶媒を真空中で除去して、6a/6bをラセミ混合物として得た。
【0425】
収量: 580mg(81%)
MS: m/z552.23=[M+Na]+(MW+Na計算値=552.62g/mol)
[実施例7]
中間体7a/7bの合成
【化104】
[この文献は図面を表示できません]
【0426】
N-Boc-1、6-ヘキサンジアミン(270mg、1.25mmol)をDMF(2ml)中に溶解し、cis-1,2-シクロヘキサンジカルボン酸無水物(231mg、1.50mmol)を室温で反応混合物に加えた。DIPEA (0.65mL、3.76mmol)を加え、混合物を室温で、N-Boc-l,6-ヘキサンジアミンが消費されるまで撹拌した(LC/MS)。反応混合物をH2O/MeCN(9:1)で希釈し、生成物をRP-HPLC(溶媒A:0.05% TFA含有H2O、溶媒B:0.05% TFA含有MeCN、勾配:16分かけて10〜80%B、流速:40ml/分)によって精製した。プールした分画を飽和NaHCO3溶液で中和し(pHおよそ6)、有機溶媒を真空中で除去した。残りの水相をDCMで数回抽出した。有機層をMgSO4で乾燥させ、溶媒を真空中で除去し、7a/7bをラセミ混合物として得た。
【0427】
収量: 410mg(88%)
MS: m/z371.39=[M+H]+(MW+H計算値=371.27g/mol)
[実施例8]
Dmob保護したトレプロスチニル8の合成
【化105】
[この文献は図面を表示できません]
【0428】
トレプロスチニル(61mg、0.156mmol)をトルエン(無水、モレキュラーシーブ、2.5ml)中に溶解し、シリル化試薬であるBSA(0.6mL、0.245mmol)を加えた。反応混合物を、室温で12時間撹拌した。揮発性溶媒を真空中で除去し、TMS保護したトレプロスチニルをさらなる精製なしで用いた。
【0429】
TMS保護したトレプロスチニルを、DCM(2.5mL)及びH2O(60μL)中に溶解した。DMAP (76mg、0.624mmol)、EDC・HCl(119mg、0.624mmol)、及びDmob-アルコール(105mg、0.624mmol)をDCM(1ml)中に溶解したものを加えた。反応混合物を、反応が完了するまで室温で撹拌した(LC/MS)。溶液をDCMで希釈し、NaClを飽和させた0.1N HCl溶液を加えることによってクエンチした。水相をDCMで数回抽出した。有機層を合わせ、MgSO4で乾燥させ、溶媒を真空中で除去し、粗製生成物8を得た。粗製生成物をRP-HPLC(溶媒A: 0.05%TFA含有H2O、溶媒B: 0.05%TFA含有MeCN、勾配:16分かけて35〜85%B、流速:40ml/分)を用いて精製した。HPLC分画を合わせ、飽和NaHCO3溶液を加えることによって、pHをおよそ7に調節した。MeCNを真空中で除去した。残りのH2O層をDCMで数回抽出し、有機層を合わせてMgSO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を真空中で除去し、無色固体の生成物8を得た。
【0430】
収量: 69mg(82%)
MS: m/z563.20g/mol=[M+Na]+(MW+Na計算値=563.67g/mol)
[実施例9]
トレプロスチニルリンカーチオールの合成
【化106】
[この文献は図面を表示できません]
【0431】
カルボン酸6a/6b (147mg、0.277mmol)、EDC・HCl(53mg、0.277mmol)、及びDMAP (34mg、0.277mmol)をDCM0.5mL中に溶解した。Dmob保護したトレプロスチニル8(43mg、0.08mmol)をDCM0.5mL中に溶解し、反応混合物に加えた。混合物を、8の消費が完了するまで室温で撹拌した(一夜、LC/MS)。揮発性溶媒を真空中で除去した。残渣をHFIP(2mL)、TFA(100μL)、及びTES(50μL)中に溶解し、室温で30分間撹拌した(LC/MS)。揮発性物質を真空中で除去した。残渣をH2O/MeCN(9/1、0.05%TFA、2mL)中に溶解し、可能性のある四つの異性体の混合物をRP-HPLC(溶媒A: 0.05%TFA含有H2O、溶媒B: 0.05%TFA含有MeCN、勾配:16分かけて60〜85%B、流速:6mL/分)によって精製した。生成物の異性体は、3本の分離可能なピークとして溶出された。溶出時間の最も短いピークを含む分画(化合物「9x」)をプールし、さらなる処理加工なしでPEG化のステップにおいて用いた。可能な異性体である9a、9b、9c、又は9dに対する9xの構造の割当ては、この実験では行わなかった。9xの収量を、エルマン試験を用いて決定した。
【0432】
収量: 8.1mg(26%)
MS: m/z682.21g/mol=[M+Na]+(MW+Na計算値=682.40g/mol)
[実施例10]
トレプロスチニルリンカーアミンの合成
【化107】
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【0433】
カルボン酸7a/7b(50mg、0.134mmol)、EDC HCl(26mg、0.134mmol)、及びDMAP(16mg、0.134mmol)をDCM(0.3mL)中に溶解した。Dmob保護したトレプロスチニル8(36mg、0.066mmol)をDCM(0.5mL)中に溶解し、反応混合物に加えた。混合物を、消費が完了するまで室温で撹拌した(LC/MS)。揮発性溶媒を真空中で除去した。残渣をH2O/MeCN (9/1、0.05%TFA、2mL)中に溶解し、モノカップリング生成物(トレプロスチニルがカップリングして1分子の7a/7bになったもの)を、ダブルカップリング生成物(トレプロスチニルがカップリングして2分子の7a/7bになったもの)から、RP-HPLC: Thermo Fisher Hypersil Gold PFPカラム、150×10mm、溶媒A:0.05% TFA含有H2O、溶媒B:0.05% TFA含有MeCN、勾配:16分かけて35〜55%B、流速:6mL/分によって分離した。モノカップリング生成物を含むHPLC分画をプールし、凍結乾燥した。凍結乾燥物をHFIP(0.9mL)、DCM (0.1mL)、TFA(100μL)、及びTES(20μL)中に溶解し、室温で10分間撹拌した。揮発性物質を真空中で除去し、残渣をH2O/MeCN (9/1、0.05% TFA、2mL)中に溶解し、四つの可能な異性体の混合物をRP-HPLC(溶媒A: 0.05% TFA含有H2O、溶媒B: 0.05% TFA含有MeCN、勾配:16分かけて35〜55%B、流速:6mL/分)によって精製した。生成物の異性体は、3本の分離可能なピークとして溶出された。溶出時間の最も短いピークを含む分画(化合物「10×」)をプールし、さらなる処理加工なしでPEG化のステップにおいて用いた。可能な異性体である10a、10b、10c、又は10dに対する10xの構造の割当ては、この実験では行わなかった。10xの収量を、HPLCによって、トレプロスチニルの検量線(280nm)を用いて推定した。
【0434】
収量: 3.0mg
MS: m/z643.28g/mol=[M+Na]+(MW+Na計算値=643.45g/mol)
[実施例11]
トレプロスチニルリンカーアミンの直鎖状PEG 5kDa NHSとのPEG化反応
【化108】
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【0435】
トレプロスチニルリンカーアミン10x(0.6mg、溶液中1μmol、MeCN/H2O、0.05%TFA、5mL)に、直鎖状PEG 5kDa NHS(23mg、4.6μmol)を加えた。0.5M pH7.4バッファー(0.5Mリン酸、0.6mL)を加えることによって、溶液を中和した。澄明な溶液を得るためにH2O(1mL)を加え、反応混合物を室温で1時間インキュベートした。次いで、反応混合物をRP-HPLC (溶媒A:0.01% HCl含有H2O、溶媒B:0.01% HCl含有MeCN、勾配:16分かけて10〜70%B、流速:6mL/分)によって精製して、凍結乾燥後、TransCon直鎖状5kDa PEGトレプロスチニル11を得た。
【0436】
収量:3mg
[実施例12]
トレプロスチニルリンカーチオールの直鎖状PEG 40kDaマレイミドとのPEG化反応
【化109】
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【0437】
トレプロスチニルリンカーチオール9x(6.2mg、9.42μmol)のMeCN/H2O(0.05% TFA、87mL)中溶液に、直鎖状PEG 40kDaマレイミド(463mg、11.3μmol)を加えた。pH7.4バッファー(0.5Mリン酸、4.4mL)を加えることによって溶液を中和した。1時間のインキュベート時間の後、直鎖状40kDa Mal-PEG(73mg、178μmol)の別のポーション及びH2O(5mL)を加え、反応溶液をさらなる1.5時間インキュベートした。反応混合物を、RP-HPLC(溶媒A: 0.01% HCl含有H2O、溶媒B: 0.01% HCl含有MeCN、勾配:16分かけて30〜50%B、流速:40mL/分)によって精製して、凍結乾燥後、TransCon直鎖状40kDa PEGトレプロスチニル12を得た。
【0438】
収量:321mg(82%)
[実施例13]
トレプロスチニルリンカーチオールの4-アームPEG 20kDaマレイミドとのPEG化反応
【化110】
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【0439】
トレプロスチニルリンカーチオール9x(2.54mg、3.84μmol)のMeCN/H2O(0.05% TFA、5.7mL)中溶液に、4-アームPEG 20kDaマレイミド(21mg、0.98μmol)を加えた。pH7.4バッファー(0.5Mリン酸、3.0mL)を加えることによって、溶液を中和した。反応混合物が再び澄明な溶液になるまでH2O (3mL)を加えた。反応混合物を室温で2時間インキュベートし、次いで、RP-HPLC(溶媒A: 0.01% HCl含有H2O、溶媒B: 0.01% HCl含有MeCN、勾配:16分かけて45〜85%B、流速:40mL/分)によって精製して、凍結乾燥後、TransCon 4-アームPEG 20kDaトレプロスチニル13を得た。
【0440】
収量:14mg(66%).
[実施例14]
TransCon PEGリンカートレプロスチニル化合物11及び12のトレプロスチニル放出の動力学
放出の動力学を実施例5にしたがって決定した。化合物11及び12に対して、トレプロスチニル放出の半減期4.3日(±0.7日)が得られた。
【0441】
[実施例15]
TransCon PEGリンカートレプロスチニル化合物13のトレプロスチニル放出の動力学
TransCon PEGリンカートレプロスチニル13(2.5mg)を、37℃のpH7.4加水分解バッファー(60mMリン酸ナトリウム、3mM EDTA、0.05% Tween-20、1mL)中でインキュベートし、アリコートを、放出されたトレプロスチニルに対して様々な時間点のUPLCによって分析した。アリコートが完全に加水分解された後、トレプロスチニルの面積に対して、放出されたトレプロスチニルのパーセント値を決定した(加水分解溶液50μl及び5N NaOH 25μlを20分間混合した。AcOH 25μlを加え、得られた溶液をLCMSによって分析した)。
【0442】
1次の動力学の適合を用いることによって、13からのトレプロスチニルの放出に対する半減期5日が得られた。
【0443】
[実施例16]
構築ブロック14の合成
以下のスキームにしたがって構築ブロック14を合成した:
【化111】
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【0444】
Mmt-クロリド(3g、9.71mmol)をDCM(20mL)中に溶解し、エチレンジアミン(6.5mL、97.1mmol)のDCM(20mL)中溶液に滴下添加した。2時間後、溶液をジエチルエーテル(300mL)中に加え、30/1(v/v)ブライン/0.1M NaOH溶液(各50ml)で3回、ブライン(50mL)で1回洗浄した。有機相をNa2SO4上で乾燥させ、揮発性物質を減圧下で除去した。Mmt-保護したアミン(3.18g、9.56mmol)を、さらなる精製なしで、次のステップにおいて用いた。
【0445】
Mmt-保護したアミン(3.18g、9.56mmol)を、無水DCM(30mL)中に溶解した。6-(S-トリチルメルカプト)ヘキサン酸(4.48g、11.47mmol)、PyBOP(5.96g、11.47mmol)、及びDIPEA(5.0mL、28.68mmol)を加え、混合物を室温で30分間揺り動かした。溶液をジエチルエーテル(250mL)で希釈し、30/1(v/v)ブライン/0.1M NaOH溶液(各50mL)で3回、ブライン(50mL)で1回洗浄した。有機相をNa2SO4上で乾燥させ、揮発性物質を減圧下で除去した。アミドを、0.02%(v/v)ジエチルメチルアミンを含むヘプタン/酢酸エチルで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0446】
収量: 5.69g(8.07mmol)
MS: m/z705.4=[M+H]+(MW=705.0)
アミド(3.19g、4.53mmol)を無水THF(50mL)中に溶解し、BH3・THF(1M溶液、8.5mL、8.5mmol)を加えた。溶液を室温で16時間撹拌した。さらなるBH3・THF(1M溶液、14mL、14mmol)を加え、室温でさらなる16時間撹拌した。メタノール(8.5mL)を加えることによって反応をクエンチした。N,N-ジメチル-エチレンジアミン(3mL、27.2mmol)を加え、溶液を加熱還流し、3時間撹拌した。反応混合物を室温に放冷し、次いで酢酸エチル(300mL)で希釈し、飽和Na2CO3溶液(2×100mL)及び飽和NaHCO3水溶液(2×100mL)で洗浄した。有機相をNa2SO4上で乾燥させ、揮発性物質を減圧下で除去して、粗製のアミン中間体(3.22g)を得た。
【0447】
このアミン中間体(3.22g)をDCM(5mL)中に溶解した。DCM(5mL)及びDIPEA(3.95mL、22.65mmol)中に溶解したBoc2O(2.97g、13.69mmol)を加え、混合物を室温で30分間揺り動かした。Boc-保護及びMmt-保護した中間体を、フラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0448】
収量: 3.00g(3.79mmol)
MS: m/z791.4=[M+H]+、519.3=[M-Mmt+H]+(MW計算値=791.1)
0.4M HCl (48mL)水溶液を、Boc-保護及びMmt-保護した中間体のアセトニトリル(45mL)中溶液に加えた。混合物をアセトニトリル(10mL)で希釈し、室温で1時間撹拌した。引き続き、5M NaOH水溶液を加えることによって、反応混合物のpH値を5.5に調節した。アセトニトリルを減圧下で除去し、水溶液をDCM(4×100mL)で抽出した。有機相を合わせ、Na2SO4上で乾燥させ、揮発性物質を減圧下で除去した。粗製アミン14を、さらなる精製なしで用いた。
【0449】
収量: 2.52g(3.19mmol)。分子量791.1g/molの粗製アミン14が推定された。
【0450】
MS: m/z519.3=[M+H]+(MW計算値=519.8g/mol)
[実施例17]
リンカー構築ブロック15a、15b、及び15cの合成
リンカー構築ブロック15aを、以下のスキームにしたがって合成した:
【化112】
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【0451】
アミン14(503mg、0.635mmol、粗製物1の分子量791.1g/molと推定して)をDMF(無水、モレキュラーシーブ)4mL中に溶解した。Fmoc-N-Me-Ala-OH(310mg、0.953mmol)、COMU(408mg、0.953mmol)、及びDIPEA(332μl、1.906mmol)を加え、室温で3時間撹拌して反応を行わせた。ピペリジン150μl及びDBU 150μlを混合物に加え、撹拌をさらなる60分間続けた。酢酸400μlを加え、生成物をHPLCによって精製した。生成物15aを含むHPLC分画を飽和NaHCO3溶液で中和し、DCMで2回抽出した。有機相を合わせ、Na2SO4上で乾燥させ、揮発性物質を減圧下で除去した。
【0452】
収量: 203mg(0.336mmol)
MS: m/z604.1=[M+H]+(MW計算値=603.9g/mol)
リンカー構築ブロック15b
【化113】
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【0453】
リンカー構築ブロック15bを、15aに対して記載した通りに合成したが、Fmoc-N-Me-Ala-OHの代わりにFmoc-Aib-OHを用いた。
【0454】
収量:95mg(0.161mmol)
MS:m/z604.2=[M+H]+(MW計算値=603.9g/mol)
リンカー構築ブロック15c
【化114】
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【0455】
リンカー構築ブロック15cを、15aに対して記載した通りに合成したが、Fmoc-N-Me-Ala-OHの代わりにFmoc-N-Me-Aib-OHを用いた。
【0456】
収量: 149mg(0.241mmol)
MS: m/z619.0=[M+H]+(MW計算値=617.9g/mol)
[実施例18]
トレプロスチニル-リンカーチオール16a、16b、16c、16d、16e、及び16fの合成
トレプロスチニル-リンカーチオール6a/16bを、以下のスキームにしたがって合成した:
【化115】
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【0457】
PEフリットを装着した1回使用の10mLシリンジ反応器(syringe reactor)に、2-クロロトリチルクロリド(TCP)樹脂(153mg、充填1.22mmol/g、0.186mmol)を充填した。トレプロスチニル(54mg、0.138mmol)及びDIPEA (60μl、0.346mmol)のDCM(無水、モレキュラーシーブ)中溶液を反応器中に引き込んだ。反応器を室温で2時間揺り動かした。メタノール200μlを加え、反応器をさらなる10分間揺り動かした。溶液を追い出し、樹脂をDCM (5×)、DMF(5×)及びDCM(10×)で洗浄した。樹脂を、真空(1ミリバール)下で乾燥させた。重量ベースで、トレプロスチニル0.72mmol/gを充填したTCP樹脂が得られた。
【0458】
THF(無水、モレキュラーシーブ)900μl、及び1M LiOEtのTHF(300μmol)中溶液300μlを、PEフリットを装着した1回使用の2mLシリンジ反応器中、トレプロスチニル30mgを充填したTCP樹脂(21,6μmol)に引き込んだ。反応器を室温で40分間揺り動かした。溶液を追い出し、樹脂をTHF (2×)で洗浄した。ビス(ペンタフルオロフェニル)カーボネート(l00mg、254μmol)の1mL THF中溶液をシリンジ中に引き込み、これを室温で90分間揺り動かした。溶液を追い出し、樹脂をTHF (5×)及びDMF (5×)で洗浄した。リンカー構築ブロック15a(50mg、83μmol)、DIPEA(50μl、287μmol)、及びDMAP(1mg、8μmol)のDMF(無水、モレキュラーシーブ)300μl中溶液を、シリンジ中に引き込んだ。シリンジを室温で3時間、揺り動かした。溶液を追い出し、樹脂をDMF(10×)及びDCM(10×)で洗浄した。生成物を、500μl切断カクテルHFIP/DCM/TES 90/10/2 v/v/vと10分間(3×)インキュベートすることによって、樹脂から切断した。樹脂をDCM 500μl(2×)で洗浄した。
【0459】
TFA (250μl)を、切断及び洗浄溶液を合わせたものに加え、混合物を室温で10分間インキュベートした。揮発性物質を減圧下で除去した。残渣をHPLC精製にかけ、これにより二つの位置異性体の混合物としてチオール16a/16bが得られた。HPLC溶出物を、さらなる処理加工なしに次のステップにおいて用いた。
【0460】
MS:m/z678.1=[M+H]+(MW計算値=678.0g/mol)
トレプロスチニルリンカーチオール16c/16d
【化116】
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【0461】
トレプロスチニルリンカーチオール16c/16dを、16a/16bに対して記載した通りに合成したが、リンカー構築ブロック15aの代わりに15bを用いた。チオール16c/16dが、異性体の混合物として得られた。HPLC溶出物を、さらなる処理加工なしに次のステップにおいて用いた。
【0462】
MS:m/z678.1=[M+H]+(MW計算値=678.0g/mol)
トレプロスチニルリンカーチオール16e及び16f
【化117】
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【0463】
トレプロスチニルリンカーチオール16e及び16fを、16a/16bに対して記載した通りに合成したが、構築ブロック15aの代わりに15cを用いた。構造16e及び16fと割り当てられた二つの異性体がHPLCによって分離された。HPLC溶出物を、さらなる処理加工なしに次のステップにおいて用いた。
【0464】
15e MS: m/z693.0=[M+H]+(MW計算値=692.0g/mol)
15f MS: m/z693.0=[M+H]+(MW計算値=692.0g/mol)
[実施例19]
リンカー構築ブロック17a及び17bの合成
リンカー構築ブロック17a及び17bを、以下のスキームにしたがって合成した:
【化118】
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【0465】
L-Fmoc-Dpr(Boc)-OH(100mg、0.234mmol)をDMF(無水、モレキュラーシーブ) 0.5mL中に溶解した。6-(S-トリチルスルファニル)-ヘキサンアミン(71mg、0.189mmol)、COMU(97mg、0.227mmol)、及びDIPEA(66μl、0.378mmol)を加え、混合物を室温で1時間撹拌した。ピペリジン(50μl、0.505mmol)及びDBU(40μl、0.336mmol)を加え、撹拌を10時間続けた。cis-シクロヘキサンジカルボン酸無水物(600mg、3.89mmol)を加え、撹拌を1時間続けた。溶液を水/アセトニトリルでクエンチし、酢酸で酸性化した。構築ブロックをRP-HPLCによって精製した。先に溶出したジアステレオマーを17a、後に溶出されたジアステレオマーを17bとする構造の割当てを任意に行ったが、逆もあり得た。
【0466】
収量: 17a 30mg(0.042mmol)、17b 42mg(0.059mmol)
MS: m/z716.2=[M+H]+(MW計算値=716.0)
[実施例20]
トレプロスチニルリンカーチオール18a/18bの合成
【化119】
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【0467】
リンカー構築ブロック17a(11mg、12μmol)、EDC HCl(7.4mg、38.5μmol)、及びDMAP(4.7mg、38.5μmol)を、DCM(無水、モレキュラーシーブ)300μl中に溶解した。溶液を、フリットを装着した1回使用の2mLシリンジ反応器中、トレプロスチニル15mgを充填したTCP樹脂(10.8μmol、0.72mmol/g、実施例3を参照されたい)に引き込んだ。反応器を室温で15時間揺り動かした。溶液を追い出し、樹脂をDCM(10×)で洗浄した。HFIP/DCM 30/70 v/v 500μl(3×)と10分間、樹脂をインキュベートすることにより、生成物を切断した。樹脂を、DCM(2×)500μlで洗浄した。切断及び洗浄溶液を合わせたものにTFA 250μlを加え、混合物を室温で10分間インキュベートした。揮発性物質を減圧下で除去した。残渣をRP-HPLC精製にかけ、これにより二つの位置異性体の混合物としてチオール18a/18bが得られた。HPLC溶出物を、さらなる処理加工なしで次のステップにおいて用いた。
【0468】
収量:18a/18b 1.5mg(2μmol) エルマン試験によるチオール定量によって決定して
MS: m/z746.2=[M+H]+(MW計算値=746.0g/mol)
[実施例21]
PEG-リンカー-薬物コンジュゲート19a/b、19c/6d、19e、19f、及び19g/19hの合成
PEG-リンカー-薬物コンジュゲートを以下のスキームにしたがって調製した:
【化120】
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【0469】
トレプロスチニルリンカーチオール16a/16b、16c/16d、16e、16f、及び18a/18bのHPLC溶離液に、過剰のPEG 5kDaマレイミドを加えた。pH7.4バッファー(0.5Mリン酸)を加えることによって混合物を中和し、室温でインキュベートした。チオールの消費が完了した後(およそ1時間)、酢酸で混合物を酸性化し、過剰のPEG-マレイミドからRP-HPLCによって分離した。HPLC溶出物を凍結乾燥して、それぞれ19a/b、19c/19d、19e、19f、及び19g/19hのPEG-リンカー-薬物コンジュゲートを得た。
【0470】
[実施例22]
PEGコンジュゲート19a/b、19c/19d、19e、19f、及び19g/19hからの薬物放出の半減期の決定
【化121】
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【0471】
PEG-リンカー-薬物コンジュゲート、19a/b、19c/19d、19e、19f、及び19g/19hをpH7.4バッファー(60mMリン酸ナトリウム、3mM EDTA、0.05% Tween-20、1mL)中に溶解し、37℃でインキュベートした。様々な時間点に、アリコートをUPLCによって分析して、放出されたトレプロスチニルの量を決定し、これを時間に対してプロットした。薬物放出は1次の動力学にしたがうことが見出された。曲線適合のソフトウエアを用いて、それぞれのコンジュゲートからの薬物放出の半減期を決定した(表1)。
【表2】
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【0472】
[実施例23]
中間体20の合成
【化122】
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【0473】
2,4,6-トリメトキシベンズアルデヒド(4.22g、21.51mmol)のメタノール/DCM 1/1(v/v)88mL中溶液を、6-(S-トリチルスルファニル)-ヘキサンアミン(6.74g、17.95mmol)及びシアノボロヒドリドナトリウム(1.58g、25.14mmol)のメタノール44mL中溶液に滴下添加することによって、6-(S-トリチルスルファニル)-ヘキサンアミンのアミノ基を、Tmob (2,4,6-トリメトキシベンジル)保護した。混合物を室温で1.5時間撹拌し、0.4N HCl水溶液95mLでクエンチした。室温で30分間さらに撹拌した後、混合物を酢酸エチルで抽出した(4×)。有機層を合わせ、飽和NaHCO3水溶液(2×)及びブラインで洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。
【0474】
Tmob保護したアミン20を、0.1%(v/v)トリエチルアミン含有DCM/メタノールで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0475】
収量: 5.88g(55%)
MS: m/z556.3=[M+H]+(MW計算値=555.79g/mol)
[実施例24]
中間体21の合成
【化123】
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【0476】
(1R,2S)-シクロヘキサンジカルボン酸1-メチルエステル、CAS番号88335-92-6 (合成には、R. Manzanoら、J. Org. Chem.、2010年、75巻(15)、5417〜5420頁を参照されたい) (506mg、2.72mmol)を、トルエン(11ml、無水)中に溶解した。塩化チオニル(1.09mL、15.0mmol)を加え、混合物を耐圧チューブ(pressure tube)中60℃で1時間加熱した。揮発性物質を真空中で除去した。Tmob保護したアミン20 (1.66g、2.99mmol)及びDIPEA (1.12mL、6.43mmol)のDCM (30mL、無水)中溶液を加え、混合物を室温で2時間撹拌した。酢酸エチルを加え、有機層を0.1N HCl (2×)水溶液で洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。メチルエステル21を、酢酸エチル/ヘプタンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0477】
収量: 1.55g(79%)
MS: m/z746.1=[M+Na]+(MW計算値=723.98g/mol)
[実施例25]
中間体22の合成
【化124】
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【0478】
メチルエステル21(3.12g、4.31mmol)をイソプロパノール(10ml)中に溶解した。1M LiOH水溶液35mLを加え、混合物を室温で5時間撹拌した。酢酸エチルを加え、有機層を0.05N HCl水溶液(2×)及びブラインで洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。22を、0.1%ギ酸(v/v)を含む酢酸エチル/ヘプタンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0479】
収量: 2.41g(79%)
MS: m/z710.1=[M+H]+(MW計算値=709.95g/mol)
[実施例26]
中間体6aの合成
【化125】
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【0480】
化合物22(1.23g、1.74mmol)をDCM (18ml)中に溶解した。TFA(2mL)及びTES(600μl)を加え、混合物を室温で40分間撹拌した。揮発性物質を真空中で除去した。残渣をDCM(20mL)中に溶解し、トリチルクロリド(728mg、2.61mmol)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。DCMを減圧下で除去した。カルボン酸6aを、溶離液として0.1%ギ酸(v/v)を含む酢酸エチル/ヘプタンを用いたフラッシュクロマトグラフィーによって精製し、続けてRP-HPLC精製を行った。
【0481】
収量: 615mg(67%)
MS: m/z552.2=[M+Na]+(MW計算値=529.75g/mol)
[実施例27]
トレプロスチニルリンカーチオール24aの合成
【化126】
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【0482】
Dmob保護したトレプロスチニル8(100mg、0.185mmol)、カルボン酸6a(195mg、0.368mmol)、EDC-HCl(72mg、0.376mmol)、及びDMAP(43mg、0.352mmol)を、DCM (1.8mL、無水、モレキュラーシーブ)中に溶解した。混合物を室温で1日撹拌した。酢酸エチルを加え、有機層を0.1N HCl水溶液(3×)及びブラインで洗浄した。有機層をNa2S04上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。
【0483】
残渣を、HFIP(5mL)、TFA(250μL)、及びTES(250μL)中に溶解し、室温で30分間撹拌した。沈殿物をろ去し、ろ液を真空中で蒸発させた。
【0484】
UPLC分析により、比率4/1の位置異性体24a及び24bが明らかになった(カラム: Kinetex 100×2.1mm、1.7μm XB-C18シリカ、孔径100Å、Phenomonex Ltd、Aschaffenburg、ドイツ;流速0.25mL/分;溶媒A:水+0.05% TFA(v/v)、溶媒B:アセトニトリル+0.04% TFA;勾配:30〜58%B(10分)、58%B定組成溶離(10分)、58〜80%B(5分)、80〜99%(5分)、波長280nm)。24aは、化合物9xと同一であることが判明した。
【0485】
残渣をアセトニトリル/水中に吸収させ、24aをRP-HPLCによって精製した(溶媒A:H2O+0.01% HCl、溶媒B:MeCN+0.01% HCl、勾配:16分かけて60〜85%B)。異性体24aが最初に、その後異性体24bが溶出された。純粋な24aを含む分画を合わせ、凍結乾燥した。24a及び24bを含む分画を混合し、再精製にかけた。
【0486】
収量24a: 29.5mg (24%)
MS: m/z660.3=[M+H]+(MW計算値=659.9g/mol)
1H-NMR(CDCl3, δ[ppm]): 7.07(t, 1H), 6.80(d, 1H), 6.71(d, 1H), 5.86(bs, 1H), 4.78-4.63(m, 3H), 3.53(bs, 1H), 3.14-3.03(m, 1H), 3.03-2.83(m, 2H), 2.82-2.66(m, 2H), 2.66-2.58(m, 1H), 2.58-2.46(m, 4H), 2.46-2.31(m, 1H), 2.31-2.13(m, 1H), 2.13-1.92(m, 2H), 1.92-1.81(m, 1H), 1.75-1.51(m, 7H), 1.51-1.21(m, 21H), 1.21-1.08(m, 1H), 0.90(t, 3H)。
【0487】
13C-NMR(126MHz, CDCl3, δ[ppm]): 174.7, 174.2, 171.7, 155.2, 140.6, 127.5, 126.3, 121.8, 109.71, 78.8, 72.4, 65.8, 48.3, 43.9, 42.5, 40.4, 39.7, 37.4, 37.3, 35.4, 34.00, 33.0, 32.9, 32.1, 29.3, 28.4, 28.1, 27.0, 26.4, 25.5, 24.6, 24.2, 23.2, 22.8, 14.2。
【0488】
[実施例28]
トレプロスチニルリンカーチオール24aの4-アームPEG20kDaマレイミドとのPEG化反応
【化127】
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【0489】
トレプロスチニルリンカーチオール24a(7.5mg、11.3μL)のアセトニトリル/水9/1 (v/v) 2mL中溶液を、4-アームPEG 20kDaマレイミド(53.5mg、2.54μmol)のアセトニトリル/水 1/1(v/v)2mL中溶液と混合した。pH7.4のバッファー(50mMリン酸、0.8mL)を加えることによってpHを7.0に調節した。反応混合物を室温で1.5時間撹拌し、次いで、RP-HPLCによって精製した(溶媒A:0.01% HCl含有H2O、溶媒B:0.01% HCl含有MeCN、勾配:16分かけて45〜85%B)。分画を含む生成物をプールし、減圧下でアセトニトリルを除去した。pH7.4のバッファー(リン酸、0.5M)を加えることによって溶液を中和した。溶液を濃縮し、バッファーを、限外濾過によって46g/lマンニトールを含む10mM pH7.0リン酸と交換して(Vivaspin遠心濃縮機(centrifugal concentrator)、カットオフ10kDaのPESメンブラン)、8.5mLの最終溶液25を得た。UPLC及びSEC分析により、均一な材料が明らかになった。濃度を、塩基性加水分解(30μLアリコートを0.5M NaOH 35μLで処理した)後、トレプロスチニル含量の定量によって決定した。室温で30分インキュベートした後、酢酸35μLを加えた。トレプロスチニル含量を、UPLCによりトレプロスチニル検量線を用いることによって決定した。トレプロスチニルの合計含量は2.0mgであることが見出され、これは25の30mgに相当した。収量:PEG出発材料をベースにして50%
[実施例29]
TransCon PEGリンカートレプロスチニル化合物25のトレプロスチニル放出の動力学
25からのトレプロスチニル放出の動力学を、実施例15に記載した通りに決定し、化合物13から得た結果と比較した。半減期(5日)に差は認められなかった。
【0490】
[実施例30]
ラット血漿におけるTransCon PEGリンカートレプロスチニル化合物のトレプロスチニル放出の動力学
pH7.5 HEPESバッファー(1M HEPES、3mM EDTA)150μlを、ラット血漿(WISTARラットヘパリンリチウム血漿、Innovative Research、Novi、MI、米国)1.2mLと混合した。TransCon PEGリンカートレプロスチニル13溶液(10mMリン酸46g/lマンニトールバッファーpH7.0 1.5mL中13 0.15mg) 150μlを加えた。混合物のpHが7.4であったことをpH電極によって確認した。混合物を37℃でインキュベートした。所与の時間点にアリコート100μlを引き出した。アリコート100μlを放出及び合計のトレプロスチニル含量に対して分析した。
【0491】
放出されたトレプロスチニルの分析に対して、アリコート100μlに、内部標準20μlをスパイクし(メタノール/水 1/1(v/v)中2.8μg/mLトルブタミド)、Ostro 96ウエルプレート(Waters GmbH、Eschborn、ドイツ)に移した。3容積の予め冷却した(0〜5℃)1%ギ酸を含むアセトニトリルを加えることによって、血漿タンパク質を沈殿させた。陽圧を適用し(4バール、Waters Positive Pressure-96 Processor)、溶出物を凍結乾燥した。凍結乾燥物を、10mMギ酸アンモニウムpH4.0/アセトニトリル7/3(v/v)40μl中に溶解した。溶液を遠心分離し、上清を、UPLC-MS/MSによって放出されたトレプロスチニルに対してアッセイした。
【0492】
トレプロスチニル合計含量(放出されたトレプロスチニルと担体連結しているトレプロスチニルとの合計)を分析するために、アリコート100μlに内部標準(メタノール/水 1/1(v/v)中2.8μg/mLトルブタミド)20μlをスパイクし、0.5M LiOH 50μlを加えた。混合物を室温で2時間、シェーカー中でインキュベートした。1M HCl 25μLを加えた後、混合物をOstro 96ウエルプレート(Waters GmbH、Eschborn、ドイツ)に移した。3容積の予め冷却した(0〜5℃)1%ギ酸を含むアセトニトリルを加えることによって、血漿タンパク質を沈殿させた。陽圧を適用し(4バール、Waters Positive Pressure-96 Processor)、溶出物を凍結乾燥した。凍結乾燥物を、10mMギ酸アンモニウムpH4.0/アセトニトリル7/3(v/v)100μl中に溶解した。溶液を遠心分離し、上清を、UPLC-MS/MSによってトレプロスチニル合計含量に対してアッセイした。
【0493】
トレプロスチニル含量を決定するためのUPLC-MS/MS方法
血漿トレプロスチニル濃度の定量を、Thermo LTQ Orbitrap Discovery質量分析装置にESIプローブによってカップリングし、分析用カラムとしてWaters BEH C18(50×2.1mmI.D.、粒子サイズ1.7μm)を有するWaters Acquity UPLCを用いて行った(移動相A:10mMギ酸アンモニウムpH4.6、移動相Bメタノール、T=22℃)。勾配系は、4分で0.1%Bから95%への直線勾配、95%B (0.5分)での定組成溶離洗浄段階、及び流速0.25mL/分の再調整段階(2.4分)を含んでいた。イオンの検出を、選択された反応モニタリング(SRM、負イオン化)モードで行い、トレプロスチニルに対して、m/z389.2の前駆イオンからm/z331.2のプロダクトイオンへの、内部標準(IS)のトルブタミドに対して、m/z269.1の前駆イオンからm/z170.0のプロダクトイオンの遷移対(transition pair)をモニタリングした。
【0494】
検量線を、較正標準のトレプロスチニルの設定濃度に対して、抽出したピーク面積比である面積トレプロスチニル/面積トルブタミドをプロットすることによって得た。結果を、標準のソフトウエアを用いて直線回帰にあてはめた。
【0495】
定量実験の様々な時間で抽出したピーク面積比である面積トレプロスチニル/面積トルブタミドを用いて、検量線にしたがい、トレプロスチニル含量を計算した。
【0496】
時間点でのトレプロスチニル放出を、トレプロスチニル合計含量に対するトレプロスチニル放出の%として表した(図1を参照されたい)。1次の動力学の適合を用いることによって、37℃の緩衝ラット血漿中の25からのトレプロスチニルの放出の動力学に対して半減期4.5日が得られ、これは37℃のpH7.4バッファーにおける放出の動力学とよく一致している。
【0497】
[実施例31]
サルにおけるPEGトレプロスチニルコンジュゲート25のPK
投与量レベル0.5mg/kgの25(10mM pH7.0リン酸、46g/Lマンニトール中3mg/mL)を、単一投与量として、皮下及び静脈内注射によって、オスカニクイザル3頭に各々投与した。2週間にわたって、所与の時間点に血液サンプルを採取した。血漿を、PEG含量及びトレプロスチニル合計含量(放出されたトレプロスチニルと担体に結合しているトレプロスチニルとの合計)に対してアッセイした。遊離のトレプロスチニルは、担体に結合しているトレプロスチニルに比べて排除が速やかであるため、トレプロスチニルの血漿レベルは、遊離のトレプロスチニルレベルよりもむしろトレプロスチニルコンジュゲートの存在を反映する。
【0498】
トレプロスチニル合計含量を分析するために、血漿サンプル100μL及びカニクイザル血漿におけるトレプロスチニル標準に、内部標準(メタノール/水1/1(v/v)中2.8μg/mLトルブタミド)20μLをスパイクし、0.5M LiOH 50μlを加えた。混合物を室温のシェーカー中で2.5時間インキュベートした。1M HCl 25μLを加えた後、混合物をOstro 96ウエルプレート(Waters GmbH、Eschborn、ドイツ)に移した。3容積の予め冷却した(0〜5℃)1%ギ酸を含むアセトニトリルを加えることによって、血漿タンパク質を沈殿させた。陽圧を適用し(4バール、Waters Positive Pressure-96 Processor)、溶出物を凍結乾燥した。凍結乾燥物を、10mMギ酸アンモニウムpH4.0/アセトニトリル 7/3(v/v)100μl中に溶解した。溶液を遠心分離し、上清を、UPLC-MS/MSによってトレプロスチニル合計含量に対してアッセイした。
【0499】
トレプロスチニル含量を決定するためのUPLC-MS/MS方法
血漿トレプロスチニル濃度の定量を、Thermo LTQ Orbitrap Discovery質量分析装置にESIプローブによってカップリングし、分析用カラムとしてWaters BEH C18(50×2.1mmI.D.、粒子サイズ1.7μm)を有するWaters Acquity UPLCを用いて行った(移動相A:10mMギ酸アンモニウムpH4.6、移動相Bメタノール、T=22°C)。勾配系は、4分で0.1%Bから95%Bへの直線勾配、95% B(0.5分)での定組成溶離洗浄段階、及び流速0.25mL/分の再調整段階(2.4分)を含んでいた。イオンの検出を、選択された反応モニタリング(SRM、負イオン化)モードで行い、トレプロスチニルに対して、m/z389.2の前駆イオンからm/z331.2のプロダクトイオンへの、内部標準(IS)のトルブタミドに対して、m/z269.1の前駆イオンからm/z170.0のプロダクトイオンの遷移対をモニタリングした。
【0500】
検量線を、較正標準のトレプロスチニルの設定濃度に対して、抽出したピーク面積比である面積トレプロスチニル/面積トルブタミドをプロットすることによって得た。結果を、標準のソフトウエアを用いて直線回帰にあてはめた。
【0501】
定量実験の様々な時間点で抽出したピーク面積比である面積トレプロスチニル/面積トルブタミドを用いて、検量線にしたがい、トレプロスチニル含量を計算した。
【0502】
PEG合計含量の分析に対して、血漿サンプルに、25から均一なPEG材料を産生するために、塩基性のプレインキュベートをほどこした。これは、25を注射した後、四つのトレプロスチニルが経時的に担体分子から連続して放出されるため、様々なトレプロスチニル担体種が産生されるという事実に基づくものである。
【0503】
血漿サンプル50μl、及びカニクイザル血漿中の25PEGトレプロスチニルコンジュゲート標準を200mM HEPES溶液(pH7.5) 50μLで希釈し、0.5M LiOH 50μlを加えた。混合物を2時間、室温のシェーカー中でインキュベートした。1M HCl 50μLを加えた後、混合物を、Life Diagnostics Inc. West Chester、PA、米国からの高感度PEG ELISAキットP-0003を用いて、製造元の指示にしたがってアッセイした。
【0504】
検量線を、較正標準のトレプロスチニルの設定濃度に対して、450nmの吸光度値をプロットすることによって得た。結果を、標準のソフトウエアを用いてS字形曲線にあてはめた。
【0505】
定量実験の様々な時間点の450nmの吸光度値を用いて、検量線にしたがい、PEG含量を計算した。
【0506】
結果:
単一投与量の25を皮下注射後のトレプロスチニル合計含量の分析により、サルにおいて2週間を超えて、トレプロスチニルコンジュゲートの循環期間が延長したことが明らかになった(図2)。
【0507】
単一投与量の25の静脈内注射、及びトレプロスチニル合計含量に対する血漿の分析により、同様の循環期間が明らかになった(図3)。標準のソフトウエアを用いることにより、見かけの1次のトレプロスチニル合計の排出半減期2.9日(速度定数k見かけ:0.239日-1)が得られた。
【0508】
これとは対照的に、PEG担体の含量に対する血漿分析により、はるかに遅い排出が明らかになった(図3)。標準のソフトウエアを用いて1次の動態学として適合することによって、PEG担体の排出半減期6.6日(速度定数kPEG排出:0.105日-1)が得られた。
【0509】
一つから四つのトレプロスチニルがPEG担体から連続のリンカー加水分解/放出によって産生されるなど、等しい排出速度定数の様々なトレプロスチニル担体種が想定される。
【0510】
トレプロスチニル合計の排出半減期が、PEG担体に比べて見かけ上早いことは、PEG担体の排出とリンカーの加水分解によるトレプロスチニルの放出との組合せに基づく。決定した速度定数値のk見かけ(0.239日-1)及びkPEG排出(0.105日-1)より、リンカー切断速度定数kリンカーによって1次のトレプロスチニル放出を計算することができる:
exp(-k見かけt)=exp(-kPEG排出)*exp(-kリンカーt)=exp(-t[kPEG排出+kリンカー])
対数化(logmarithizing)及び並び替えの後、kリンカーは以下にしたがって計算することができる:
kリンカー=k見かけ-kPEG排出;kリンカー=0.239d-1-0.105d-1=0.134d-1
t半減期=ln(2)/kの等式の助けによって、リンカー加水分解物によるトレプロスチニルの放出半減期は5.2日と算出され、これは、in vitroで決定したリンカートレプロスチニルの放出半減期の5日とよく一致する。
【0511】
[実施例32]
PEGトレプロスチニルコンジュゲート25及び遊離のトレプロスチニルのラットにおけるPK
25(3mg/mLバッファー(10mM pH7.0リン酸、46g/Lマンニトール))を、5.5mg/kgの投与量レベルで、単一投与量としてWistarオスラットに各々注射した。動物3頭には皮下注射し、3頭には静脈注射した。血液サンプルを、2週間にわたって所与の時間点に採取した。血液サンプル(250μL)を、酸性クエン酸バッファー(0.5Mクエン酸ナトリウム、pH4.0)50μLを含む採血管に直接入れた。血漿を、遊離のトレプロスチニル含量及びトレプロスチニル合計含量(遊離のトレプロスチニルと担体結合したトレプロスチニルとの総量)に対してアッセイした。
【0512】
遊離のトレプロスチニルを分析するために、血漿50μLを氷上で解凍し、酸性クエン酸バッファー5μL及び内部標準(メタノール/水 1/1(v/v)中トルブタミド0.28μg/mL)10μLと混合した。サンプルをOstro 96ウエルプレート(Waters GmbH、Eschborn、ドイツ)に移し、400μLの予め冷却した(0〜5℃)1%ギ酸を含むアセトニトリルを速やかに加えることによって、血漿タンパク質を沈殿させた。陽圧を適用し(4バール、Waters Positive Pressure-96 Processor)、溶出物を採取した。引き続き、ウエルプレートを、ギ酸1vol.%を含む氷冷アセトニトリル100μLで2回すすいだ。溶出物を2mLバイアルに移し、Eppendorfサーモミキサー(10℃)中に配置し、溶出物を45分かけて弱流の窒素下で最終体積60〜80μLに濃縮した。溶媒混合物30μl(ギ酸/アセトニトリル7/3(v/v)でpH4に調節した、10mMギ酸アンモニウム水溶液)を各バイアルに加え、溶液をUHPLC-MS/MSによって分析した。
【0513】
較正標準の調製には、ブランクの血漿サンプルをトレプロスチニルでスパイクし、同様に処理した。
【0514】
遊離のトレプロスチニル含量を決定するためのUHPLC-MS/MS方法
血漿トレプロスチニル濃度の定量を、ES-モードのAgilent Triplequad 6460システム(MassHunter Xcaliburソフトウエア)とカップリングしたAgilent 1290 UHPLCを用いて行った。分析カラムとして、Waters BEH C18を用いた(50×2.1mmI.D.、粒子サイズ1.7μm。移動相A:10mMギ酸アンモニウムpH5.7、移動相B:メタノール。勾配系は、流速0.200mL/分(T=40℃)で、8分で35%Bから99%Bまでの直線勾配、99%B(0.9分)での定組成溶離洗浄段階、及び再調整段階(3分)からなっていた。
【0515】
イオンの検出は、SRMモードで行い、トレプロスチニルに対して、m/z389.1の前駆イオンからm/z331.1のプロダクトイオンへの遷移対を、内部標準(IS)のトルブタミドに対して、m/z269.0の前駆イオンからm/z169.9のプロダクトイオンの遷移対をモニタリングした。
【0516】
検量線を、較正標準のトレプロスチニルの設定濃度に対して、抽出したピーク面積比であるトレプロスチニル面積/トルブタミド面積をプロットすることによって得た。結果を、標準のソフトウエアを用いて直線回帰にあてはめた。
【0517】
定量実験の様々な時間で抽出したピーク面積比であるトレプロスチニル面積/トルブタミド面積を用いて、検量線にしたがい、トレプロスチニル含量を計算した。
【0518】
トレプロスチニルの血漿合計含量を、実施例31に示した通りに決定した。
【0519】
結果:単一投与量の25を皮下注射後、遊離及び合計のトレプロスチニル含量分析により、静脈注射(図4)又は皮下注射(図5)後、ラットにおいてトレプロスチニルコンジュゲートの循環は延長し、遊離のトレプロスチニルは、4日を超えてバーストがなく(burstless)放出されたことが明らかになった。
【0520】
[実施例33]
ラセミ混合物6a/6bのエナンチオ分離による中間体6aの単離
ラセミ混合物6a/6b (107g)を、Chiralpak IAカラム(250×76mm、20μm、流速270mL/分)上、アセトニトリル/酢酸1000/1(v/v)を溶離液として用いて分離した。2番目に溶出された鏡像異性体(6a)の溶出物を合わせ、5vol%の水と混合し、減圧下で蒸発させた。残渣をDCM (500mL)に吸収させ、0.1M HCl (500mL、2×)及びブライン(500mL)で抽出した。有機相をNa2SO4上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。
【0521】
収量: 28.9g(27%)
MS: m/z552.2=[M+Na]+(MW計算値=529.75g/mol)
Chiralpak ICカラム(4.5×250mm、5μm、溶離液アセトニトリル/酢酸1000/1(v/v)、流速1mL/分、230nm)によって決定した6a/6bの鏡像異性体比: 97.5/2.5
[実施例34]
トレプロスチニルリンカーチオール24aの改善された合成
【化128】
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【0522】
Dmob保護したトレプロスチニル8(200mg、0.370mmol)、カルボン酸23(294mg、0.555mmol)、EDC・HCl(248mg、1.295mmol)、及びDMAP(158mg、1.295mmol)を、DCM(2.9mL、無水、モレキュラーシーブ)中に溶解した。混合物を室温で1日撹拌した。酢酸エチルを加え、有機層を0.1N HCl水溶液(3×)及びブラインで洗浄した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、溶媒を減圧下で除去した。
【0523】
残渣をHFIP(8mL)中に溶解した。TFA(200μL)及びTES(200μL)を加えた後、混合物を室温で30分間撹拌した。溶液をヘプタン(16mL、6×)で抽出し、DCM(16mL)で希釈した。溶液を水で抽出した(16mL、3×)。水相を合わせ、DCM(8mL)で逆抽出した。DCM相を合わせ、減圧下で蒸発させた。
【0524】
UPLC分析により、24a及び24bの位置異性体の比率は9/1であることが明らかになった(カラム:Kinetex 100×2.1mm、1.7μm ΧΒ-C18シリカ、孔サイズ100Å、Phenomonex Ltd、Aschaffenburg、ドイツ;流速0.25mL/分;溶媒A:水+0.05% TFA(v/v)、溶媒B:アセトニトリル+0.04% TFA;勾配:30〜58%B(10分)、58%B定組成溶離(10分)、58〜80%B(5分)、80〜99%(5分)、波長280nm)。
【0525】
残渣をアセトニトリル/水に吸収させ、24aをRP-HPLCによって単離した(溶媒A: H2O+0.01% HCl、溶媒B: MeCN+0.01% HCl、勾配:15分かけて57〜62%B)。分画を合わせ、再精製にかけた。純粋な24aを含む分画を合わせ、凍結乾燥した。
【0526】
収量24a: 98mg(39%)
MS: m/z660.3=[M+H]+(MW計算値=659.9g/mol)
略語
AcOH 酢酸
AIB 2-アミノイソ酪酸
BnBr ベンジルブロミド
Boc tert-ブトキシカルボニル-
BSA N,O-ビス-(トリメチルシリル)-アセトアミド
COMU (1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノ-モルホリノ-カルベニウムヘキサフルオロホスフェート
d 日
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
DCM ジクロロメタン
DMAP 4-(ジメチルアミノ)ピリジン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
Dmob 2,4-ジメトキシベンジル
略語
DMSO ジメチルスルホキシド
Dpr 2,3-ジアミノプロピオン酸
EDC N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド
EDTA エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム塩二水和物
EtOAc 酢酸エチル
eq 当量
h 時間
HFIP 1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロパノール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
LC/MS 質量分析法とカップリングした液体クロマトグラフィー
Mal マレイミド
MeOH メタノール
MeCN アセトニトリル
min 分
Mmt 4-メトキシトリフェニルメチル
mol. 分子
m/z 質量/電荷
NaOH 水酸化ナトリウム
NHS N-ヒドロキシスクシンイミド
PEG ポリエチレングリコール
Pfp ペンタフルオロフェニル
PyBOB ベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロリン酸
PP ポリプロピレン
RT 室温
RP 逆相
sat. 飽和
soln. 溶液
T 温度
T3P プロピルホスホン酸無水物
TCP 2-クロロトリチルクロリド樹脂
TES トリエチルシラン
Trt トリチル
略語
Tmob 2,4,6-トリメトキシベンジル
TMS トリメチルシリル
TransCon 一過性コンジュゲート(transiently conjugated)
THF テトラヒドロフラン
TFA トリフルオロ酢酸
UPLC 超高性能液体クロマトグラフィー
UV 紫外線
本発明の実施形態として例えば以下を挙げることができる。
[実施形態1]
式(II)の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ:
【化129】
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[式中、
各Tは、独立に、構造(i)から(v)までから選択され、
【化130】
[この文献は図面を表示できません]
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[式中、点線は分子の残部に対する結合を示す]
yは、1から64までの範囲の、好ましくは1から16までの範囲の整数であり、より好ましくはyは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15及び16から選択され、より一層好ましくはyは8であり、
Ra1は、非置換のアルキル、置換されているアルキル、非置換のフェニル、置換されているフェニル、非置換のナフチル、置換されているナフチル、非置換のインデニル、置換されているインデニル、非置換のインダニル、置換されているインダニル、非置換のテトラリニル、置換されているテトラリニル、非置換のC3〜10シクロアルキル、置換されているC3〜10シクロアルキル、非置換の4員から7員のヘテロシクリル、置換されている4員から7員のヘテロシクリル、非置換の9員から11員のヘテロビシクリル、及び置換されている9員から11員ヘテロビシクリルの群から選択され、
Ra2は、H、非置換のアルキル、及び置換されているアルキルから選択され、
Ra3及びRa4は、独立に、H、非置換のアルキル、及び置換されているアルキルからなる群から選択され、
nは、0又は1であり、
Qは、スペーサー部分であり、
Ra1及びRa3は、これらが結合している原子と一緒になって環Aを形成していてもよく、 Aは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3〜10シクロアルキル、4員から7員の脂肪族ヘテロシクリル、又は9員から11員の脂肪族ヘテロビシクリルから選択され、Aは非置換であるか又は置換されており、
Z1は、共有結合しているポリマー、好ましくは薬学的に許容されるポリマーを含む担体である]
、又は薬学的なその塩。
[実施形態2]
Ra2がHである、実施形態1に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ。
[実施形態3]
Ra4がH、C1〜6アルキル、又は置換されているC1〜6アルキルから選択され、好ましくはRa4がHである、実施形態1又は2に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ。
[実施形態4]
Ra1及びRa3は、これらが結合している原子と一緒になって環Aを形成し、Aは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3〜10シクロアルキル、4員から7員の脂肪族ヘテロシクリル、又は9員から11員の脂肪族ヘテロビシクリルから選択され、Aは非置換であるか又は置換されており、より好ましくは環Aは、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン及びシクロヘプタンからなる群から選択され、より一層好ましくは環Aはシクロヘキサンである、実施形態1から3のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ。
[実施形態5]
Tが構造(III)から選択される、実施形態1から4のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ。
[実施形態6]
yが4、6、8、10又は12、好ましくは4、6又は8であり、より好ましくはyが4である、実施形態1から5のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ。
[実施形態7]
式(II-A)の構造を有する、実施形態1から6のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ:
【化131】
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[式中、
各Tは、独立に、構造(i)から(v)から選択され:
【化132】
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[式中、点線は分子の残部に対する結合を示す]
yは、1から64までの範囲の、好ましくは1から16までの範囲の整数であり、より好ましくはyは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15及び16から選択され、より一層好ましくはyは4、6、8、10又は12であり、最も好ましくは4であり、
Ra2は、H、非置換のアルキル、及び置換されているアルキルから選択され、
Ra4は、H、非置換のアルキル、及び置換されているアルキルからなる群から選択され、 Aは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3〜10シクロアルキル、4員から7員の脂肪族ヘテロシクリル、又は9員から11員の脂肪族ヘテロビシクリルから選択され、Aは非置換であるか又は置換されており、
Qは、スペーサー部分であり、
Z1は、共有結合しているポリマー、好ましくは薬学的に許容されるポリマーを含む担体である]。
[実施形態8]
式(II)におけるQが、COORa9;ORa9;C(O)Ra9;C(O)N(Ra9Ra9a);S(O)2N(Ra9Ra9a);S(O)N(Ra9Ra9a);S(O)2Ra9;S(O)Ra9;N(Ra9)S(O)2N(Ra9aRa9b);SRa9;N(Ra9Ra9a);OC(O)Ra9;N(Ra9)C(O)Ra9a;N(Ra9)S(O)2Ra9a;N(Ra9)S(O)Ra9a;N(Ra9)C(O)ORa9a;N(Ra9)C(O)N(Ra9aRa9b);OC(O)N(Ra9Ra9a);W;C1〜50アルキル;C2〜50アルケニル;及びC2〜50アルキニルから選択され、W、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、同じ又は異なる1個以上のRa10で置換されていてもよく、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、-W-、-C(O)O-;-O-;-C(O)-;-C(O)N(Ra11)-;-S(O)2N(Ra11)-;-S(O)N(Ra11)-;-S(O)2-;-S(O)-;-N(Ra11)S(O)2N(Ra11a)-;-S-;-N(Ra11)-;-OC(O)Ra11;-N(Ra11)C(O)-;-N(Ra11)S(O)2-;-N(Ra11)S(O)-;-N(Ra11)C(O)O-;-N(Ra11)C(O)N(Ra11a)-;及び-OC(O)N(Ra11Ra11a);からなる群から選択される1個以上の基によって中断されていてもよく、
Ra9、Ra9a、Ra9bは、独立に、H、W、並びにC1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルからなる群から選択され、W、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、同じ又は異なる1個以上のRa10で置換されていてもよく、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、W、-C(O)O-;-O-;-C(O)-;-C(O)N(Ra11)-;-S(O)2N(Ra11)-;-S(O)N(Ra11)-;-S(O)2-;-S(O)-;-N(Ra11)S(O)2N(Ra11a)-;-S-;-N(Ra11)-;-OC(O)Ra11;-N(Ra11)C(O)-;-N(Ra11)S(O)2-;-N(Ra11)S(O)-;-N(Ra11)C(O)O-;-N(Ra11)C(O)N(Ra11a)-;及び-OC(O)N(Ra11Ra11a);からなる群から選択される1個以上の基によって中断されていてもよく、
Wは、フェニル、ナフチル、インデニル、インダニル、テトラリニル、C3〜10シクロアルキル、4員から7員のヘテロシクリル、又は9員から11員のヘテロビシクリルからなる群から選択され、Wは、同じ又は異なる1個以上のRa10で置換されていてもよく、
Ra10は、ハロゲン、CN;オキソ(=O);COORa12;ORa12;C(O)Ra12;C(O)N(Ra12Ra12a);S(O)2N(Ra12Ra12a);S(O)N(Ra12Ra12a);S(O)2Ra12;S(O)Ra12;N(Ra12)S(O)2N(Ra12aRa12b);SRa12;N(Ra12Ra12a);NO2;OC(O)Ra12;N(Ra12)C(O)Ra12a;N(Ra12)S(O)2Ra12a;N(Ra12)S(O)Ra12a;N(Ra12)C(O)ORa12a;N(Ra12)C(O)N(Ra12aRa12b);OC(O)N(Ra12Ra12a);又はC1〜6アルキルであり、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで置換されていてもよく、
Ra11、Ra11a、Ra12、Ra12a、Ra12bは、独立に、H及びC1〜6アルキルからなる群から選択され、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで置換されていてもよい、実施形態1から7のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ。
[実施形態9]
各-Q-は、独立に、Q1a-Q1-*であり、アステリスクはZ1に対する接続を示し、
Q1aは、結合、-C(O)O-;-O-;-C(O)-;-C(O)N(Ra9a)-;-S(O)2N(Ra9a)-;-S(O)N(Ra9a)-; S(O)2-;-S(O)-;-N(Ra9a)S(O)2N(Ra9b)-;-S-;-N(Ra9a)-;-OC(O)-;-N(Ra9a)C(O)-;-N(Ra9a)S(O)2-;-N(Ra9a)S(O)-;-N(Ra9a)C(O)O-;-N(Ra9a)C(O)N(Ra9b)-;-OC(O)N(Ra9a)-;又は-W-、好ましくは-C(O)N(Ra9a)-又は-N(Ra9a)C(O)-;であり、
Q1は、1個以上のRa10で置換されていてもよい、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルから選択され、これらは、Q1が少なくともC2である場合、C3〜7シクロアルキル、4員から7員のヘテロシクリル、
【化133】
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[式中、前記各基は個々に1回以上存在してよい]
からなる群から選択される1個以上の基によって中断されていてもよく、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、Z1に接続する終端において、C3〜7シクロアルキル、4員から7員のヘテロシクリル、
【化134】
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から選択される基によって終結していてもよく、
Ra10は、ハロゲン、CN;オキソ(=O);COORa12;ORa12;C(O)Ra12;C(O)N(Ra12Ra12a);S(O)2N(Ra12Ra12a);S(O)N(Ra12Ra12a);S(O)2Ra12;S(O)Ra12;N(Ra12)S(O)2N(Ra12aRa12b);SRa12;N(Ra12Ra12a);NO2;OC(O)Ra12;N(Ra12)C(O)Ra12a;N(Ra12)S(O)2Ra12a;N(Ra12)S(O)Ra12a;N(Ra12)C(O)ORa12a;N(Ra12)C(O)N(Ra12aRa12b);OC(O)N(Ra12Ra12a);又はC1〜6アルキルであり、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで置換されていてもよく、
Ra12、Ra12a、Ra12bは、独立に、H及びC1〜6アルキルからなる群から選択され、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで置換されていてもよく、
R13、及びR13aは、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はC2〜6アルキニルから選択され、好ましくは、R13、及びR13aは、独立に、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はC2〜6アルキニルから選択される、
実施形態8に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ。
[実施形態10]
式(IIaa)である、実施形態1から9のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ:
【化135】
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[式中、
各Tは、独立に、構造(i)又は(iii)から選択され:
【化136】
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[式中、点線は分子の残部に対する結合を意味する]
yは、1から64までの範囲の整数であり、
Ra2は、H、非置換のアルキル、及び置換されているアルキルから選択され、
Ra4は、H、非置換のアルキル、及び置換されているアルキルから選択され、
環A1は、C3〜10シクロアルキル、4員から7員の脂肪族ヘテロシクリル、又は9員から11員の脂肪族ヘテロビシクリルであり、A1は非置換であるか又は置換されており、
Q1は、1個以上のRa10で置換されていてもよいC1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルから選択され、これらは、Q1が少なくともC2である場合、C3〜7シクロアルキル、4員から7員のヘテロシクリル、
【化137】
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[式中、前記各基は各々に1回以上存在してよい]
からなる群から選択される1個以上の基によって中断されていてもよく、C1〜50アルキル、C2〜50アルケニル、及びC2〜50アルキニルは、Z1に連結する終端において、C3〜7シクロアルキル、4員から7員のヘテロシクリル、
【化138】
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から選択される基によって終結していてもよく、
Ra10は、ハロゲン、CN;オキソ(=O);COORa12;ORa12;C(O)Ra12;C(O)N(Ra12Ra12a);S(O)2N(Ra12Ra12a);S(O)N(Ra12Ra12a);S(O)2Ra12;S(O)Ra12;N(Ra12)S(O)2N(Ra12aRa12b);SRa12;N(Ra12Ra12a);NO2;OC(O)Ra12;N(Ra12)C(O)Ra12a;N(Ra12)S(O)2Ra12a;N(Ra12)S(O)Ra12a;N(Ra12)C(O)ORa12a;N(Ra12)C(O)N(Ra12aRa12b);OC(O)N(Ra12Ra12a);又はC1〜6アルキルであり、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで置換されていてもよく、
Ra12、Ra12a、Ra12bは、独立に、H及びC1〜6アルキルからなる群から選択され、C1〜6アルキルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで置換されていてもよく、
R13、及びR13aは、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はC2〜6アルキニルから選択され、好ましくは、R13、及びR13aは、独立に、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はC2〜6アルキニルから選択され、
Z1は、共有結合しているポリマー、好ましくは薬学的に許容されるポリマーを含む担体である]。
[実施形態11]
式(IIab)である、実施形態1から10のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ:
【化139】
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[式中、
T、Ra2、Ra4、A1、Q1、Z1及びyは、実施形態10において規定した通りに用いられる]。
[実施形態12]
式(IIac)又は(IIad)である、実施形態1から11のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ:
【化140】
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[式中、
各Tは、独立に、構造(i)又は(iii)から選択され:
【化141】
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Z1は、共有結合しているポリマー、好ましくは薬学的に許容されるポリマーを含む担体であり、
yは、1から64までの範囲の整数であり、
xは、2、3、4、5、6、7又は8から選択され、
X1は、C1〜15アルキル、C2〜15アルケニル、及びC2〜15アルキニルから選択され、これらは、C3〜7シクロアルキル、4員から7員のヘテロシクリル、
【化142】
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[式中、
R13及びR13aは、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はC2〜6アルキニルから選択される]
からなる群から選択される1個以上の基によって置換されていてもよく又は中断されていてもよい]。
[実施形態13]
式(IIb)である、実施形態1から12のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ:
【化143】
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[式中、
X1は、C1〜15アルキル、C2〜15アルケニル、及びC2〜15アルキニルから選択され、これらは、C3〜7シクロアルキル、4員から7員のヘテロシクリル、
【化144】
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[式中、R13及びR13aは、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はC2〜6アルキニルから選択される]
からなる群から選択される1個以上の基によって置換されていてもよく又は中断されていてもよく、
yは、1から64までの範囲の整数であり、
xは、2、3、4、5、6、7又は8から選択され、
Z1は、共有結合しているポリマー、好ましくは薬学的に許容されるポリマーを含む担体である]。
[実施形態14]
xが6である、実施形態12又は13に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ。
[実施形態15]
式(IIba)の構造を有する、実施形態1から14のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ:
【化145】
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[式中、
yは、1から64までの範囲の整数であり、
Z1は、共有結合しているポリマー、好ましくは薬学的に許容されるポリマーを含む担体である]。
[実施形態16]
担体Z1が式(VII)の構造を有する、実施形態1から15のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ:
B-(-A)n (VII)、
[式中、
Bは、分枝コアであり、
Aは、ポリ(エチレングリコール)ベースのポリマー鎖であり、
nは、3から32までの整数である]。
[実施形態17]
Z1が部分(IIca)を表す、実施形態1から16のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ:
【化146】
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[式中、
tは、80から160までの範囲であり、
wは、2から6までの範囲であり、
点線は担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグの残部に対する結合を示す]。
[実施形態18]
wが2又は3である、実施形態17に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ。
[実施形態19]
式(IIc)の、実施形態1から18のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ、又は薬学的に許容されるその塩:
【化147】
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[式中、yは4であり、Z1は部分(IIca)を表す:
【化148】
[この文献は図面を表示できません]
[式中、点線は式(IIc)の構造の残部に対する結合を示し、tは80から160までの範囲であり、wは2又は3である]]。
[実施形態20]
Ra1が、C1〜6アルキル、又は置換されているC1〜6アルキルである、実施形態1に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ。
[実施形態21]
Ra3が、H、C1〜6アルキル、又は置換されているC1〜6アルキルである、実施形態1から3のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ。
[実施形態22]
式(I)の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ:
Z1-(-X0-T)y (I)
[式中、
各Tは、独立に、構造(i)から(v)までから選択され:
【化149】
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[式中、点線はX0に対する結合を示す]
yは、1から64までの範囲の、好ましくは1から16までの範囲の整数であり、より好ましくはyは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15及び16から選択され、より一層好ましくはyは8であり、
各X0は、独立に、(X0A)m1-(X0B)m2であり、
m1、m2は、独立に、0又は1であり、
X0Aは、T0であり、
X0Bは、非置換であるか又は同じ若しくは異なる1個以上のR3で置換されている、分枝又は非分枝のC1〜15アルキレン基であり、
R3は、ハロゲン、C1〜6アルキル;CN;C(O)R4;C(O)OR4;OR4;C(O)R4;C(O)N(R4R4a);S(O)2N(R4R4a);S(O)N(R4R4a);S(O)2R4;S(O)R4;N(R4)S(O)2N(R4aR4b);SR4;N(R4R4a);NO2;OC(O)R4;N(R4)C(O)R4a;N(R4)SO2R4a;N(R4)S(O)R4a;N(R4)C(O)N(R4aR4b);N(R4)C(O)OR4a;OC(O)N(R4R4a);又はT0;であり、
R4、R4a、R4bは、独立に、H、T0、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、及びC2〜6アルキニルからなる群から選択され、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、及びC2〜6アルキニルは、同じ又は異なる1個以上のR5で置換されていてもよく、
R5は、ハロゲン、CN;C(O)R6;C(O)OR6;OR6;C(O)R6;C(O)N(R6R6a);S(O)2N(R6R6a);S(O)N(R6R6a);S(O)2R6;S(O)R6;N(R6)S(O)2N(R6aR6b);SR6;N(R6R6a);NO2;OC(O)R6;N(R6)C(O)R6a;N(R6)SO2R6a;N(R6)S(O)R6a;N(R6)C(O)N(R6aR6b);N(R6)C(O)OR6a;OC(O)N(R6R6a);であり、 R6、R6a、R6bは、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、及びC2〜6アルキニルからなる群から選択され、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、及びC2〜6アルキニルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで置換されていてもよく、
T0は、フェニル、ナフチル、アズレニル、インデニル、インダニル、C3〜7シクロアルキル、3員から7員のヘテロシクリル、又は8員から11員のヘテロビシクリルであり、T0は、同じ又は異なる1個以上のR7で置換されていてもよく、
R7は、ハロゲン、CN;COOR8;OR8;C(O)R8;C(O)N(R8R8a);S(O)2N(R8R8a);S(O)N(R8R8a);S(O)2R8;S(O)R8;N(R8)S(O)2N(R8aR8b);SR8;N(R8R8a);NO2;OC(O)R8;N(R8)C(O)R8a;N(R8)S(O)2R8a;N(R8)S(O)R8a;N(R8)C(O)OR8a;N(R8)C(O)N(R8aR8b);OC(O)N(R8R8a);オキソ(=O)であり、環は、少なくとも部分的に飽和されており、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、又はC2〜6アルキニルであり、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、及びC2〜6アルキニルは、同じ又は異なる1個以上のR9で置換されていてもよく、
R8、R8a、R8bは、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、及びC2〜6アルキニルからなる群から選択され、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、及びC2〜6アルキニルは、同じ又は異なる1個以上のR10で置換されていてもよく、
R9、R10は、独立に、ハロゲン;CN;C(O)R11;C(O)OR11;OR11;C(O)R11;C(O)N(R11R11a);S(O)2N(R11R11a);S(O)N(R11R11a);S(O)2R11;S(O)R11;N(R11)S(O)2N(R11aR11b);SR11;N(R11R11a);NO2;OC(O)R11;N(R11)C(O)R11a;N(R11)SO2R11a;N(R11)S(O)R11a;N(R11)C(O)N(R11aR11b);N(R11)C(O)OR11a;及びOC(O)N(R11R11a);からなる群から選択され、
R11、R11a、R11bは、独立に、H、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、及びC2〜6アルキニルからなる群から選択され、C1〜6アルキル、C2〜6アルケニル、及びC2〜6アルキニルは、同じ又は異なる1個以上のハロゲンで置換されていてもよく、
Z1は、共有結合しているポリマー、好ましくは薬学的に許容されるポリマーを含む担体であり、
m1、m2の一つが1であれば、担体は部分X0に対して共有結合的に結合しており、m1、m2=0の場合、担体はTに対して共有結合的に結合している]
、又は薬学的に許容されるその塩。
[実施形態23]
Z1がPEGベースのポリマーを含む、実施形態22に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩。
[実施形態24]
Z1が水溶性ポリマーを含む、実施形態22又は23に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩。
[実施形態25]
yが4から16までの整数であり、好ましくはyが18である、実施形態22から24のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩。
[実施形態26]
Z1が式(III)の構造を有する、実施形態1から15及び20から25のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩:
【化150】
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[式中、
m1、m2の一つが1であれば、点線はX0に対する結合を示し、m1、m2=0の場合、担体はTに対して共有結合的に結合しており、
各m、n及びpは、独立に、5から500までの範囲の整数であり、
qは、2から32までの範囲である]。
[実施形態27]
Z1が式(VI)である、実施形態1から15及び20から25のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩:
B-(-A-Hypy)n (VI)、
[式中、
Bは、分枝コアであり、
各Aは、独立に、ポリ(エチレングリコール)ベースのポリマー鎖であり、
各Hypyは、独立に、分枝部分であり、
nは、3から32までの整数である]。
[実施形態28]
Z1が構造(i-y)から(iii-y)から選択される、実施形態27に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩:
【化151】
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[式中、
m1、m2の一つが1であれば、点線は式(I)のX0に対する結合を示し、m1、m2=0の場合、担体はTに対して共有結合的に結合しており、
pは、5から2000までの、好ましくは10から1000までの、より好ましくは10から500までの、最も好ましくは100から1000までの整数であり、
qは、1又は2である]。
[実施形態29]
Z1が式(V)の構造を有する、実施形態1から15及び20から25のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩:
Hyp1mx-POLx-Hyp2 (V)
[式中、
POLxは、0.5kDaから160kDaまでの範囲の分子量を有するポリマー部分であり、
Hyp1及びHyp2は、独立に、超分枝部分であり、
mxは、0又は1である]。
[実施形態30]
mxが0であり、POLx-Hyp2が以下の構造から選択される、実施形態29に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩:
【化152】
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[式中、
m1、m2の一つが1であれば、点線は部分X0に対する結合を示し、m1、m2=0の場合、担体はTに対して共有結合的に結合しており、
pxは、5から2000までの、好ましくは10から1000までの、特に100から1000までの整数であり、
qxは、0から15までの、好ましくは3から7までの整数であり、より好ましくはqxは6である]。
[実施形態31]
Z1が、アミノ酸残基少なくとも100個のアミノ酸配列を含み、
アミノ酸残基少なくとも100個のアミノ酸配列は、ランダムコイル構造であり、
アミノ酸残基少なくとも100個のアミノ酸配列は、アラニン、セリン、及びプロリン残基を含む、
実施形態1から15及び20から25のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩。
[実施形態32]
各X0が非置換である、実施形態22から31のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩。
[実施形態33]
実施形態1から32のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩を、場合により1種以上の薬学的に許容される賦形剤と共に含む医薬組成物。
[実施形態34]
(i)担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグが、1回の適用において少なくとも12時間、治療有効量のトレプロスチニルを提供するように、医薬組成物に十分に添加され、且つ/又は
(ii)単一投与量の医薬組成物が、約2mgから約6mgの、好ましくは約4mgのトレプロスチニルを含む、
実施形態33に記載の医薬組成物。
[実施形態35]
薬物として用いるための、実施形態1から32のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ若しくは薬学的に許容されるその塩又は実施形態33若しくは34に記載の医薬組成物。
[実施形態36]
トレプロスチニルによって処置及び/又は予防することができる疾患又は障害を処置又は予防する方法において使用するための、実施形態1から32のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ若しくは薬学的に許容されるその塩又は実施形態33若しくは34に記載の医薬組成物。
[実施形態37]
疾患又は障害が肺高血圧症である、実施形態36の使用のための、担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ又は薬学的に許容されるその塩又は医薬組成物。
[実施形態38]
一つ以上の状態の処置を必要とする哺乳動物患者における処置、コントロール、遅延又は予防の方法であって、診断上有効な量及び/若しくは治療有効量の、実施形態1から32のいずれか一項に記載の担体連結しているトレプロスチニルプロドラッグ若しくは薬学的に許容されるその塩又は実施形態33若しくは34の医薬組成物を、前記患者に投与することを含む、方法。
[実施形態39]
局所、腸内投与、非経口投与、吸入、注射若しくは注入、動脈内、皮内、皮下、筋肉内、静脈内、骨内及び腹腔内、くも膜下腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、経気管、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、脳室内、又は胸骨内投与のための薬物として用いるための、実施形態1から32のいずれか一項に記載の水溶性の担体連結しているプロドラッグ若しくは薬学的に許容されるその塩又は実施形態33若しくは34に記載の医薬組成物。
図1
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図2
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図3
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図4
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図5
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【配列表】
[この文献には参照ファイルがあります.J-PlatPatにて入手可能です(IP Forceでは現在のところ参照ファイルは掲載していません)]