(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6092976
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
F16H 25/24 20060101AFI20170227BHJP
F16C 29/06 20060101ALI20170227BHJP
F16H 25/22 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
F16H25/24 J
F16C29/06
F16H25/24 G
F16H25/22 Z
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-199637(P2015-199637)
(22)【出願日】2015年10月7日
【審査請求日】2016年12月9日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390029805
【氏名又は名称】THK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】特許業務法人 インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(72)【発明者】
【氏名】本間 一人
(72)【発明者】
【氏名】長谷部 賢一
(72)【発明者】
【氏名】前田 稔久
(72)【発明者】
【氏名】坂井 淳一
(72)【発明者】
【氏名】槇 信之
(72)【発明者】
【氏名】星出 薫
【審査官】
瀬川 裕
(56)【参考文献】
【文献】
特開平09−317839(JP,A)
【文献】
特開2001−041305(JP,A)
【文献】
特開2013−100865(JP,A)
【文献】
実開平06−043408(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/24
F16C 29/06
F16H 25/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って延びる基部と、前記基部の幅方向両端から立設すると共に、長手方向に沿って転動体転走溝が形成された一対の壁部を備えた軌道部材と、
前記壁部の間を長手方向に沿って移動可能に組みつけられると共に、前記転動体転走溝に対応する負荷転動体転走溝が形成された移動部材と、
前記移動部材に形成された貫通孔に挿通されると共に、螺旋状のねじ用転動体転走溝が形成されたねじ軸を備えたアクチュエータであって、
前記移動部材は、前記ねじ用転動体転走溝に対応するねじ用負荷転動体転走溝が形成されたナット部材が前記貫通孔に取り付けられ、
前記ナット部材は、鍔部材が組み付けられ、
前記鍔部材は、前記移動部材の長手方向の一端に組み付けられると共に、前記転動体転走溝と前記負荷転動体転走溝の間および前記ねじ用転動体転走溝に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段を備えることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項2】
請求項1に記載のアクチュエータにおいて、
前記潤滑剤供給手段は、前記ナット部材の外周と略同心状に配置されると共に、切欠を有する円環状に形成されることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項3】
請求項2に記載のアクチュエータにおいて、
前記潤滑剤供給手段は、前記切欠を構成するように相対する端部に前記潤滑剤を前記転動体転走溝と前記負荷転動体転走溝の間に供給する第1の供給口と、前記ねじ用転動体転走溝に供給する第2の供給口とが一対ずつ形成され、
前記第1の供給口及び前記第2の供給口は、前記潤滑剤供給手段の径方向に延びる対称軸に対して線対称に配置され、前記対称軸上に前記潤滑剤を補給する潤滑剤導入部を備えることを特徴とするアクチュエータ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のアクチュエータにおいて、
前記移動部材は、前記負荷転動体転走溝が形成された案内部材が取り付けられ、
前記壁部は、前記転動体転走溝が形成された転走溝構成部材が取り付けられ、
少なくとも前記案内部材、前記転走溝構成部材、前記ねじ軸および前記ナット部材は鋼材で形成され、少なくとも前記軌道部材、前記移動部材および前記鍔部材は、前記鋼材より軽量な部材で形成されることを特徴とするアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに関し、特に、基本的な性能を大きく低減させずに全体の軽量化を図ることができると共に、簡便な構造で直動案内部とナット部材の両部材を同時に給脂することができるアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、長手方向に沿って延びる基部と、該基部の幅方向両端から立設すると共に、長手方向に沿って転動体転走溝が形成された一対の壁部を備えた軌道部材と、壁部の間を長手方向に沿って移動可能に組みつけられると共に、前記転動体転走溝に対応する負荷転動体転走溝が形成された移動部材と、移動部材に形成された貫通孔に挿通されると共に、螺旋状のねじ用転動体転走溝が形成されたねじ軸を備えたアクチュエータが知られている。
【0003】
このようなアクチュエータは、軌道部材と移動部材の間及びねじ軸と移動部材に取り付けられたナット部材の間のそれぞれの箇所に転動体が介在しており、これらの転動体の円滑な転走のために潤滑剤を供給する給脂構造が形成されている。
【0004】
このような給脂構造は種々の構造が知られているが、例えば特許文献1に記載されているように、移動部材に潤滑剤を供給する注入口から注入された潤滑剤が通り、ナット部材のねじ溝に通じる第1通路が形成され、第1通路は、移動部材に形成された注入口から連続する第2通路と、ナット部材に形成された第3通路と、移動部材とナット部材の間に形成された第4通路と、第4通路と連通して軌道部材と移動部材の間の転動体に潤滑剤を供給する第5通路とを備えている。
【0005】
このような構造によれば、注入口から供給された潤滑剤を直接軌道部材と移動部材の間の転動体及びねじ軸とナット部材の間の転動体に供給することができ、安定した潤滑剤の供給を行うことができる
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−145037号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載されているように移動部材やナット部材に複数の通路を形成することは、移動部材やナット部材の加工に複雑な工程が必要となることから、加工に手間がかかり製造コストの抑制を図ることが難しいという問題があった。
【0008】
また、軌道部材と移動部材の間の転動体及びねじ軸とナット部材の間の転動体に対して潤滑剤を供給する給脂機構をそれぞれ設ける構造も知られているが、この構造によるとそれぞれの給脂機構が必要となることから潤滑剤の供給作業が煩雑となってしまうという問題があった。
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために成されたものであって、容易に軌道部材と移動部材の間の転動体及びねじ軸とナット部材の間の転動体のそれぞれに潤滑剤を供給することができると共に、製造コストを抑制して安価に製造することができるアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係るアクチュエータは、長手方向に沿って延びる基部と、前記基部の幅方向両端から立設すると共に、長手方向に沿って転動体転走溝が形成された一対の壁部を備えた軌道部材と、前記壁部の間を長手方向に沿って移動可能に組みつけられると共に、前記転動体転走溝に対応する負荷転動体転走溝が形成された移動部材と、前記移動部材に形成された貫通孔に挿通されると共に、螺旋状のねじ用転動体転走溝が形成されたねじ軸を備えたアクチュエータであって、前記移動部材は、前記ねじ用転動体転走溝に対応するねじ用負荷転動体転走溝が形成されたナット部材が前記貫通孔に取り付けられ、前記ナット部材は、前記移動部材の長手方向の一端に組みつけられる鍔部材を介して組みつけられ、前記鍔部材は、前記転動体転走溝と前記負荷転動体転走溝の間および前記ねじ用転動体転走溝に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、鍔部材に転動体転走溝と負荷転動体転走溝の間およびねじ用転動体転走溝に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段を備えるので、容易にそれぞれの箇所に潤滑剤を供給することができると共に、複雑な加工を施すことなく部品点数を抑えて安価にアクチュエータを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係るアクチュエータの斜視図。
【
図2】本発明の実施形態に係るアクチュエータの分解図。
【
図4】本発明の実施形態に係るアクチュエータに用いられる移動部材の構成を説明するための分解図。
【
図5】本発明の実施形態に係るアクチュエータに用いられる潤滑剤供給手段の構成を説明するための斜視図。
【
図6】本発明の実施形態に係るアクチュエータに用いられる潤滑剤供給手段の構成を説明するための一部拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係るアクチュエータの実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
図1は、本発明の実施形態に係るアクチュエータの斜視図であり、
図2は、本発明の実施形態に係るアクチュエータの分解図であり、
図3は、
図2におけるA−A断面図であり、
図4は、本発明の実施形態に係るアクチュエータに用いられる移動部材の構成を説明するための分解図であり、
図5は、本発明の実施形態に係るアクチュエータに用いられる潤滑剤供給手段の構成を説明するための斜視図であり、
図6は、本発明の実施形態に係るアクチュエータに用いられる潤滑剤供給手段の構成を説明するための一部拡大図である。
【0015】
図1に示すように、本実施形態に係るアクチュエータ1は、長手方向に沿って延びる軌道部材10と、軌道部材10に沿って長手方向に移動可能に組み付けられた移動部材20とを備えている。また、軌道部材10の上面には、カバー2が取り付けられておりアクチュエータ1の内部に異物が侵入することを防止することを防止している。なお、移動部材20は、軌道部材10とカバー2の間に形成された隙間から外部に延設しており、案内対象に取り付けられている。
【0016】
図2に示すように、軌道部材10は、長手方向に沿って延びる基部11と、基部11の幅方向両端から立設する一対の壁部12,12を備えている。壁部12の互いに対向する面には、長手方向に沿って転走溝構成部材17,17がそれぞれ取り付けられている。転走溝構成部材17,17には、長手方向に沿った転動体転走溝16,16が形成されている。
【0017】
また、軌道部材10の長手方向の一端には、駆動部材14が取り付けられると共に駆動部材14によって回転力が付与されるねじ軸30を回転自在に保持する駆動部材取付部15が形成されており、長手方向の他端には、後述するねじ軸30を回転自在に保持する端壁13が形成されている。なお、駆動部材14は、電動モータなどが好適に用いられる。なお、転走溝構成部材17は、鋼材などの硬質な金属で構成されており、軌道部材10は鋼材よりも軽量な部材、例えばアルミニウム合金などで構成されると好適である。
【0018】
移動部材20は、軌道部材10に形成された壁部12,12の間を長手方向に沿って移動可能に組み付けられている。移動部材20は、軌道部材10に回転自在に組み付けられたねじ軸30が挿通される貫通孔21が形成されており、該貫通孔21には、ねじ軸30に螺合するナット部材22が鍔部材23を介して組み付けられている。
【0019】
また、
図3に示すように、移動部材20には、軌道部材10に組み付けられた転走溝構成部材17に形成された転動体転走溝16を転走する転動体26が無限循環するように組み付けられた案内部材24を備えている。案内部材24は、壁部12,12に対応するように移動部材20の幅方向に一対取り付けられており、移動部材20に形成された取付面20aに固定されている。さらに、一方の案内部材24は、移動部材20に付勢部材40を介して取付けられている。なお、案内部材24は、転動体転走溝16に対向する負荷転動体転走溝24aと、負荷転動体転走溝24aと平行に貫通孔として形成された転動体戻し通路29aと、転動体転走溝16と負荷転動体転走溝24aとからなる転動体転走路と転動体戻し路29aを互いに連絡する方向転換路29bを備えており、転動体26が転動体転走路を荷重を負荷しながら転走し、転動体転走路の一端に至った転動体26を方向転換路29bを介して転動体戻し路29aを通過することで、転動体転走路の他端に戻される。このように、案内部材24は、転動体26の無限循環を実現している。
【0020】
付勢部材40は、ゴムチューブなどの弾性体で構成されると好適であり、より好適には、中空のゴムチューブを用いることができる。付勢部材40は、弾性力によって案内部材24を壁部12に向かって付勢している。この付勢力は、転動体転走溝16と負荷転動体転走溝24aの間の隙間がこれらの間を転走する転動体26の径に応じて適切な隙間となるように調整されており、当該隙間の調整が容易となる。
【0021】
案内部材24は、移動部材20の付勢部材40の付勢する方向と交差する方向(例えば移動部材20の上面)からボルトなどの締結手段25によって固定されている。このように案内部材24は、移動部材20に対して付勢部材40の付勢する方向と交差する方向から締結手段25によって固定されているので、締結手段25の締結力が付勢部材40の付勢力に影響を与えることがなく上述した付勢部材40による位置決めがなされた状態で案内部材24を固定することができる。なお、案内部材24は、鋼材などの硬質な金属で構成されており、移動部材20は鋼材よりも軽量な部材、例えばアルミニウム合金などで構成されると好適である。
【0022】
図4に示すように、ナット部材22は、移動部材20に形成された貫通孔21に挿入されており、ナット部材22の一端に取り付けられた鍔部材23が移動部材20の一端に締結固定している。
【0023】
鍔部材23の移動部材20と対向する面には、潤滑剤供給手段60が取り付けられている。潤滑剤供給手段60は、鍔部材23の裏面に突出するように補給口61aが取り付けられて該補給口61aから潤滑剤を潤滑剤供給手段60内に供給することができる。
【0024】
図5に示すように、潤滑剤供給手段60は、ナット部材22の外周と略同心円状に配置されると共に、切欠64を有する円環状に形成されている。なお、潤滑剤供給手段60の切欠64を構成するように相対する端部64a,64aには、転動体転走溝16と負荷転動体転走溝24aの間に潤滑剤を供給する第1の供給口62と、ねじ軸30に形成されたねじ用転動体転走溝31に潤滑剤を供給する第2の供給口63が一対ずつ形成されている。さらに、第1の供給口62と第2の供給口63は、潤滑剤供給手段60の径方向に延びる対称軸Lに対して線対称に配置されており、対称軸L上に潤滑剤を補給する潤滑剤導入部61が形成されている。
【0025】
なお、潤滑剤導入部61,第1の供給口62及び第2の供給口63は互いに供給通路65を介して連絡されている。潤滑剤導入部61から第1の供給口62までの距離と潤滑剤導入部61から第2の供給口63までの距離は略等距離に設定されており、転動体転走溝16と負荷転動体転走溝24aの間及びねじ用転動体転走溝31のそれぞれに均等に潤滑剤を供給することができる。
【0026】
図6に示すように、第1の供給口62は、シール部材66を介して案内部材24に形成された供給孔(図示せず)を介して転動体転走溝16と負荷転動体転走溝24aの間を転走する転動体26に潤滑剤を供給している。
【0027】
また、第2の供給口63は、ねじ軸30に形成されたねじ用転動体転走溝31に直接連絡することで、ねじ用転動体転走溝31に潤滑剤を供給している。
【0028】
図2に示すように、ねじ軸30とナット22は、ボールねじ装置を構成している。ボールねじ装置は、外周面に所定のリードで螺旋状のねじ用転動体転走溝31が形成されると共に、軸線方向に沿って延びて形成されたねじ軸30と、該ねじ軸30が貫通する貫通孔を備え円筒形状に形成されると共に、貫通孔の内周面にねじ軸30に形成されたねじ用転動体転走溝31と対向するねじ用負荷転動体転走溝が形成されたナット22と、ねじ用転動体転走溝31とねじ用負荷転動体転走溝との間に複数のボールねじ用転動体を配列してねじ軸30とナット22とが螺合している。なお、ナット22は、円筒形状に限られず、例えば軸方向と直交する断面形状が外形矩形状等の筒状に形成しても構わない。
【0029】
このように構成されたボールねじ装置は、ねじ軸30とナット22との相対的な回転によってナット22がねじ軸30の軸線方向に沿って運動するように構成されている。本実施形態に係る運動案内装置1は、駆動部材14の回転によって回転せしめられたねじ軸30の回転運動がナット22の直進運動に変換される。なお、ねじ軸30及びナット22は、鋼材などの硬質な金属で構成されており、鍔部材23は鋼材よりも軽量な部材例えばアルミニウム合金などで構成されると好適である。
【0030】
このように、本実施形態に係るアクチュエータ1は、ナット部材22は、移動部材20の長手方向の一端に組みつけられる鍔部材23を介して組みつけられ、鍔部材23は、転動体転走溝16と負荷転動体転走溝24aの間およびねじ用転動体転走溝31とねじ用負荷転動体転走溝32の間に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段60を備えるので、簡便な構造で容易に軌道部材と移動部材の間の所謂直動部の転動体及びねじ軸とナット部材の転動体のそれぞれに潤滑剤を供給することができると共に、複雑な加工を必要とせずに製造コストを抑制して安価に製造することができる。
【0031】
また、本実施形態に係るアクチュエータ1は、潤滑剤供給手段60がナット部材22の外周と略同心状に配置されると共に、切欠64を有する円環状に形成されているので、潤滑剤供給手段60を簡便な構成で形成することができる。
【0032】
また、本実施形態に係るアクチュエータ1は、切欠64構成するように相対する端部64a,64aに転動体転走溝16と負荷転動体転走溝24aの間に潤滑剤を供給する第1の供給口62とねじ用転動体転走溝31に潤滑剤を供給する第2の供給口63が形成され、第1の供給口62及び第2の供給口63は、潤滑剤供給手段60の径方向に延びる対称軸Lに対して線対称に配置され、対称軸L上には、潤滑剤導入部61が形成されているので、潤滑剤導入部61から第1の供給口62までの距離と潤滑剤導入部61から第2の供給口63までの距離をそれぞれ略等距離に設定することが可能となり、転動体転走溝16と負荷転動体転走溝24aの間及びねじ用転動体転走溝31のそれぞれに均等に潤滑剤を供給することができる。
【0033】
また、本実施形態に係るアクチュエータ1は、壁部12は、転動体転走溝16が形成された転走溝構成部材17が取り付けられ、少なくとも転走溝構成部材17、案内部材24およびねじ軸30は鋼材で形成され、軌道部材10および移動部材20は、鋼材より軽量な部材で形成されるので、定格荷重の確保と軽量化を同時に実現することができる。
【0034】
なお、本発明は、上記実施形態に限られることはなく、本発明の要旨を変更しない範囲において、種々の変更が可能である。例えば、潤滑剤供給手段60は、如何なる材料で形成しても構わないが、ゴムなどの弾性を有する材料で形成すれば、供給通路65を通過する潤滑剤が鍔部材23から漏出することを防止することができる。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれうることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0035】
1 アクチュエータ, 10 軌道部材, 11 基部, 12 壁部, 16 転動体転走溝, 17 転走溝構成部材, 20 移動部材, 24 案内部材, 24a 負荷転動体転走溝, 25 締結手段, 30 ねじ軸, 31 ねじ用転動体転走溝, 60 潤滑剤供給手段, 61 潤滑剤導入部, 62 第1の供給口, 63 第2の供給口, 64 切欠。
【要約】
【課題】容易に軌道部材と移動部材の間の転動体及びねじ軸とナット部材の間の転動体のそれぞれに潤滑剤を供給することができると共に、製造コストを抑制して安価に製造することができるアクチュエータを提供する。
【解決手段】長手方向に沿って延びる基部と、基部の幅方向両端から立設すると共に、長手方向に沿って転動体転走溝が形成された一対の壁部を備えた軌道部材と、壁部の間を長手方向に沿って移動可能に組みつけられると共に、転動体転走溝に対応する負荷転動体転走溝が形成された移動部材と、移動部材に形成された貫通孔に挿通されると共に、螺旋状のねじ用転動体転走溝が形成されたねじ軸を備えたアクチュエータであって、移動部材は、ねじ用転動体転走溝に対応するねじ用負荷転動体転走溝が形成されたナット部材が貫通孔に取り付けられ、ナット部材は、移動部材の長手方向の一端に組みつけられる鍔部材を介して組みつけられ、鍔部材は、転動体転走溝と負荷転動体転走溝の間およびねじ用転動体転走溝に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段を備える。
【選択図】
図4