(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6092992
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】繊維加工機械用の針布及びフラットバー
(51)【国際特許分類】
D01G 15/88 20060101AFI20170227BHJP
D01G 15/24 20060101ALI20170227BHJP
D01G 15/92 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
D01G15/88
D01G15/24
D01G15/92
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-234679(P2015-234679)
(22)【出願日】2015年12月1日
(62)【分割の表示】特願2015-500801(P2015-500801)の分割
【原出願日】2013年5月7日
(65)【公開番号】特開2016-47982(P2016-47982A)
(43)【公開日】2016年4月7日
【審査請求日】2015年12月1日
(31)【優先権主張番号】102012010807.9
(32)【優先日】2012年6月1日
(33)【優先権主張国】DE
(31)【優先権主張番号】102013104480.8
(32)【優先日】2013年5月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】590002323
【氏名又は名称】ツリュツラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153084
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 康史
(74)【代理人】
【識別番号】100157211
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 一夫
(72)【発明者】
【氏名】アルミン レダー
【審査官】
新田 亮二
(56)【参考文献】
【文献】
特開2005−068634(JP,A)
【文献】
特開平04−065804(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2012/0030907(US,A1)
【文献】
米国特許第04221023(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D01G 15/88
D01G 15/24
D01G 15/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維加工機械で使用するための針布ストリップであって、
それぞれ複数の歯(13)を備えた多数の歯セグメント(10)を含み、
前記歯(13)はそれぞれ1個の歯頭部(11)と1個の歯基部(12)とを有し、
前記歯セグメント(10)は互いに平行に配置されている、
ものにおいて、
前記歯セグメント(10)は少なくとも一か所の薄板ストリップ(17)との連結(1
9)を有し、
前記針布ストリップ(8)は、フラットバー(1)に設けた凹部(1d)内に、ネオジ
ム−鉄−ボロン合金を含むネオジム磁石、および、サマリウムコバルト合金から成るサマ
リウムコバルト磁石を含む、抗磁力の高い永久磁石のグループから選択される磁石の磁力
によって固定可能であり、
前記薄板ストリップ(17)は、その長手方向に対して直交方向に少なくとも1個のス
リット(18)を有する、 ことを特徴とする針布ストリップ。
【請求項2】
複数の連結(19)が前記針布ストリップ(8)の長手方向に配置されて限定された長
さを有しており、前記連結(19)は幅方向に間隔をあけ長さ方向にずらして配置されている、ことを特徴とする
請求項1に記載の針布ストリップ。
【請求項3】
前記連結(19)は、針布ストリップ(8)の長手方向で少なくとも一部重なり合う、
ことを特徴とする請求項2に記載の針布ストリップ。
【請求項4】
前記スリット(18)は、前記薄板ストリップ(17)の幅の部分領域のみにわたって
延びている、ことを特徴とする請求項1に記載の針布ストリップ。
【請求項5】
少なくとも1個の歯セグメント(10)は、バネ(9)を有する、ことを特徴とする請
求項1から4のいずれか1項に記載の針布ストリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維加工機械用の針布及びフラットバーに関する。
【背景技術】
【0002】
カードの役割はとりわけ繊維塊をスライバにまで解繊し、及びネップを解繊することである。このために繊維塊はシリンダと回転フラットとの間に導入されて、繊維はまっすぐに引き伸ばされて分離される。シリンダはこの目的のために通常は周回する鋸歯状ワイヤを装備しており、個々の歯はフラットワイヤから打ち抜きによって作り出される。回転フラットは通常は弾性針布を有する多くのフラットバーからなり、弾力的な基布に多数の個々のワイヤが固定される。ワイヤの先端はシリンダの鋸歯状ワイヤの先端と非常に狭い間隔を置いて対応しており、それによってカーディング隙間を形成する。
【0003】
カードの長い使用期間にわたり狭いカーディング隙間を確保するために、すべての関連する部材は高い精度を備えていなければならない。特に弾性針布の摩耗と交換のために再研削してフラットバーに再び組み付ける際に、望ましくない精度不良が生じることがある。更に、弾性針布は非常に製造コストがかかる上、再研削の実施は限られているという短所を伴う。更に別の短所は、0.1mm未満の組付け公差を守ることができるように、針布を含むフラットバー全体を取り外して研削盤で加工しなければならない点である。
【0004】
特許文献1には、磁石によってフラットバーに固定可能な、フラットバー用の弾性針布が記載されている。短所は針布の構成が複雑なことであり、針布ストリップを最初に薄板ストリップに張り付け、それからフラットバーの凹部に磁力で固定しなければならない。更に別の短所はフックの使用であり、フックは厄介な手順で織成体に埋め込まれ、再研削の数を制限して面倒にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】ドイツ特許出願DE102009013412A1号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、この従来の技術から出発して廉価で精密に製造可能な針布ストリップを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はこの課題を請求項1及び13の特徴によって解決する。その他の有利な実施形態は従属請求項によって特徴付けられる。
【0008】
請求項1に記載の技術的教示に従い、繊維加工機械で使用するための針布ストリップはそれぞれ複数の歯を備えた多数の歯セグメントを含み、歯はそれぞれ1個の歯頭部と1個の歯基部とを有し、歯セグメントは互いに平行に配置されていて、互いに直接的又は間接的に結合されている。
【0009】
本発明は、歯セグメントの連結が材料結合によって行われることを特徴とし、そうすることによって歯セグメントは相互に完全に遊びがない。
材料結合、例えばレーザ溶接又はイナートガス溶接による連結は、針布ストリップのほぼ自動的な製作を可能にし、フックを織成体に埋め込む針布の製造よりも数倍速く精密に行われる。
【0010】
有利な実施形態において、直接的に連結するための歯セグメントは少なくとも1個の溝を備えており、その内部に材料結合による連結が配置されている。溝により多数の歯セグメントの外側輪郭は変わらない。同時に、この溶接継合は面の上に適用し、その後、一部削り取る溶接継合よりも耐久性が高い。
【0011】
更に少なくとも1個の溝は歯基部の領域の配置されており、そうすることにより焼き入れした歯頭部には僅かな熱負荷しか掛からない。
【0012】
歯セグメント相互の間接的な連結は、薄板ストリップを介して行うことができ、これに歯セグメントが少なくとも1個の溶接継合によって連結される。薄板ストリップは、フラットバー内部における固定手段への柔軟で面状の当接と、針布ストリップの高い公差精度を可能にする。最大可能な柔軟性を達成するために、この間接的連結において歯セグメントは相互に溶接されず、薄板ストリップのみに固定されていることに留意すべきである。
【0013】
この場合、複数の溶接継合は針布ストリップの長手方向に配置されて、限定された長さを有し、溶接継合は互いにずらして配置されている。これにより針布ストリップはフレキシブルとなり、最小限の後加工でフラットバーの内部で面状に当接できる。
【0014】
その際に、歯セグメントが溶接継合の領域でずらして配置された溝を有すると有利であり得る。溝を交互に配置することにより、それぞれ2個目の歯セグメントのみ溶接継合を介して薄板ストリップと連結され、その結果相並んで配置された歯セグメントは同時に同じ溶接継合で薄板ストリップに固定されない。こうすると歯セグメント相互の連結が妨げられる。
薄板ストリップは、少ない後加工の手間で磁石の表面に適合できるように、少なくとも長手方向でフレキシブルである。
【0015】
有利には溶接継合は針布ストリップの長手方向で少なくとも一部重なり合い、それにより針布ストリップはフレキシブルとなる。
【0016】
剛性を更に減らすことは、薄板ストリップがその長手方向に対して直交方向に少なくとも1個のスリットを有することによって達成される。この場合、スリットは薄板ストリップの幅の部分領域のみに延びている。
【0017】
本発明による繊維加工機械用のフラットバーは針布ストリップを受容するための凹部を含んでおり、針布ストリップが磁力によってフラットバーに固定された多数の歯セグメントを有することを特徴とする。これにより針布ストリップをフラットバーに簡単に組み付け又は取り外すことが可能になり、針布ストリップの交換又は再研削の際にフラットバーは紡績機内に留まることができる。針布ストリップとフラットバーとの磁力結合により、最小の公差を守って歯先を高精密に鋭利にできる。針布ストリップの上面はフラットバー内の磁石に面状に当接するので、不正確な組み付けは起こり得ない。更に針布ストリップの上面は研削盤に対する基準点であり、研削盤は弾力的なフック針布とは異なり必要な強度を備えており、研削工程で撓むことはない。
【0018】
少なくとも1個の歯セグメントは、フラットバーとの嵌合による連結を作り出せるバネを有していることにより、カーディング時に力がピークに達しても磁力結合が外れることはない。歯セグメントに組み込まれたバネは、他の機械的部材を用いることなく針布ストリップをフラットバーに正確に組み付けることを可能にする。なぜなら、バネは歯を製造する際に1回の作業工程でフラットワイヤ又は異形断面ワイヤから打ち抜かれるからである。
【0019】
以下に本発明を略示された可能な実施形態に基づき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】従来技術によるフラットバーの側面図を示す。
【
図6】別の実施形態による針布ストリップの上面の平面図を示す。
【
図7】複数の歯セグメントの溶接前の断面図を示す。
【
図8】複数の歯セグメントの溶接後の断面図を示す。
【
図9】針布ストリップのフラットバーへの組み付けを示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
従来技術による公知のフラットバー1が
図1に側面図で示されている。フラットバー1はここでは図示されないフラットヘッドを有しており、フラットヘッドはそのジオメトリによってある程度の剛性を生み出し、ひいてはカード又はストリッパのシリンダの全幅にわたりその鋸歯状ワイヤと共に一定のカーディング隙間を生み出す。フラット基部1aで両側に配置された腹板1b、1cは、少なくとも1個のフラット針布4を受容するのに適した凹部1dを形成する。
この例に従う凹部1dは2段で形成されていて、磁石3が固定手段2を介してフラットバー1と動かないように結合されている。固定手段2は接着結合若しくはその他の材料結合による結合として、又は機械的結合としても実施されてよい。
フラット針布4は実質的にフック7を受容する支持部材6と、この支持部材6と連結された鋼板5とを含んでいる。支持部材6は通常は多数のフックが互いに密に組み込まれた繊維形成体又は織成体から形成されている。鋼板5は磁力によって磁石3に保持されている。フック7はその先端がシリンダに向けられており、図示されない鋸歯状ワイヤの歯と共にカーディング隙間を形成する。
【0022】
本発明により
図2に示す針布ストリップ8は、相前後して列をなす多数の歯セグメント10からなる。各歯セグメント10は、それぞれ歯頭部11と歯基部12を有する複数の歯13からなる。歯頭部11は図示されないシリンダの回転方向とは反対に、くしけずられる繊維の方に向けられている。
図2に示す実施形態に従い、歯基部12の領域では各歯セグメント10に溶接継合15を受容するための、少なくとも1個の溝14若しくは凹所が凹設されている。これにより針布ストリップ8は互いに列をなし相互に溶接された多数の歯セグメント10を有しており、溶接継合15はフラットバー1の長手方向軸心に対して平行に配置されている。歯セグメント10は溶接継合15を介して直接相互に連結されている。
この実施形態では2個の互いに離間した溝14が配置されていて、溶接後は歯セグメント10が互いに歪んだり、回動したりできない。針布ストリップ8の一方の側には、フラットバー1の対応する溝1e内に突入係合するバネ9の形で延長部が配置されている。針布ストリップ8は相前後して配置され相互に連結された多数の歯セグメント10からなる。各歯セグメント10は一体物から打ち抜かれた鋸歯状ワイヤ又は歯頭部11と歯基部12を備えて成形されたワイヤであってよい。
【0023】
図3の実施形態において、歯13、13aをずらして配置した歯セグメントが実施されており、歯13、13aのずれは針布ストリップ8若しくはフラットバー1の全長にわたって繰り返されてよい。この実施形態では少なくとも1個の溶接継合15が歯セグメント10の上側の面に設けられており、そのため針布ストリップ8の上面16を形成する。歯セグメント10は溶接継合15を介して直接相互に連結される。
【0024】
図4の実施形態では針布ストリップ8を製造するために、長さが実質的にフラットバー1の長さと等しい薄板ストリップ17が使用される。この薄板ストリップ17の下に多数の歯セグメント10が配置されており、薄板ストリップ17と材料結合によって連結される。歯セグメント10はそれらの歯基部12で薄板ストリップ17の下に位置決めされる。図示されない装置又はカセット内で歯セグメント10はフラットバー1の長さに応じて1列に並べることができる。薄板ストリップ17は歯基部12に対して位置決めされ、歯セグメント10と材料結合によって連結される。
好適な連結方法として溶接法、例えばレーザ溶接が使用されて、多数の歯セグメント10と薄板ストリップ17との間に材料結合による連結が作り出される。材料結合による連結に基づいて、薄板ストリップ17の歯基部12と反対側が、針布ストリップ8の上面16を形成する。薄板ストリップ17はバネ鋼から製造されてよく、できるだけフレキシブルに磁石3の表面に適合して面一に当接すべきである。歯セグメント10は薄板ストリップ17を介して少なくとも1個の溶接継合19により間接的に相互に連結される。
【0025】
図5には薄板ストリップ17の上面16の平面図が図示されており、ここでは薄板ストリップ17の下で多数の歯セグメント10がフラットバーの長手方向に対して配置されている。図示の理由から薄板ストリップ17の下には5個の歯セグメント10のみ示されている。
図5の実施形態では歯基部12はレーザ溶接によって薄板ストリップ17と連結されており、ここでは記号で略示したのみの溶接継合19は、中断のない単純な実施形態では薄板ストリップ17の全長にわたって延びてよい。
その場合、好適には少なくとも2個の溶接継合19が互いに平行に配置されて、各歯セグメント10を薄板ストリップ17と連結している。溶接法(抵抗溶接法、ミグ溶接法、マグ溶接法、レーザ溶接)によっては、計画された溶接継合19に沿って薄板ストリップ17に狭い長手方向溝(図示されない)を設け、溶接工程中に少なくとも一部溶接材料で充填されるようにすることが必要となり得る。
【0026】
この実施形態では溶接継合19は薄板ストリップ17の特定の長さのみにわたって延び、一部それぞれ2本の他の溶接継合19と重なり合うので、限られた数の歯セグメント10は4本の溶接継合で薄板ストリップ17と連結されているが、それ以外のすべての歯セグメント10は2本の溶接継合19のみで連結されている。これによりフラットバーの長手方向で薄板ストリップ17の柔軟性が生じ、それによって薄板ストリップ17は磁石に適合しやすくなる。その利点は、
図2又は
図3の実施形態とは異なり、上面16は比較的低い精度で加工されてよい。
経済的製造と薄板ストリップ17のできるだけ高い柔軟性との適当な妥協点は、溶接継合がフラットバー1の全長に連続して延びるのではなく、限定された長さを有しながら互いにずらして配置されている場合に達成される。この限定された剛性により上面16の必要な後加工を減らすことができ、針布ストリップ8は磁石3に面一で当接できる。
【0027】
歯セグメントに対する支持材料として薄板ストリップ17の更に大きい柔軟性を達成するために、薄板ストリップ17において歯セグメント10の配列に対して平行に、従ってフラットバーの長手方向に対して横断方向又は直交方向にスリット18が配置されてよい。
図6に従い、スリット18は薄板ストリップ17の幅の部分領域にのみわたって延びているため、一方では支持体としての薄板ストリップ17の必要な安定性が損なわれることなく、しかし他方では充分な柔軟性が生み出され、それによって針布ストリップ8の上面16は最小限の後加工で磁石3の表面に適合できる。
更にスリット18は−溶接継合19と同様に−少なくとも一部は長さが重なり合って延びている。この実施形態ではスリット18は溶接継合19と公差していないが、交差させることも全く可能である。
【0028】
基本的に、針布ストリップ8の長手方向における最大の柔軟性は、歯セグメント10が溶接法によって相互に連結されておらず、薄板ストリップ17とのみ溶接されている場合に達成される。
【0029】
溶接法、装置に応じて、及び歯セグメント10が薄板ストリップ17を用いて、又は用いずに溶接されるかに依存して、
図7と
図8に従い歯セグメント10の互いの位置合わせは平行に行われず、所定の角度aで行われてよい。歯基部12は最も下側のポイントでのみ接触し、歯頭部11に向って開いている。歯セグメント10の上面16に溶接継合15を置いて歯セグメント10を相互に溶接している間若しくは溶接した後で、歯セグメント10は溶接継合15内の歪みに基づいて互いに位置合わせし(
図8)、それから互いに平行に配置されて歯基部12の領域で全面的に接触する。
溶接後に0°となる角度aは、とりわけ溶接法及び溶接継合15の大きさに依存し、各針布ストリップ8について組み付け前に調整できる。正しい角度αの調整は、歯頭部11の間に配置される、装置内の図示されない中間部材によって行うことができる。図示されない装置は湾曲した表面を有しており、その表面上に歯セグメント10はそれらの上面16で相前後して配置される。この表面の湾曲は角度α及び溶接継合15の予想される歪みと対応する。溶接法としてとりわけ自動化された製造を可能にする特にイナートガス溶接法又はレーザ溶接法を使用できる。
【0030】
針布ストリップ8の溶接及び可能なその後の熱処理の後で、針布ストリップ8の上面16は切削及び/又は研削され、磁石3の面に正確に適合される。特に針布ストリップ8の上面16から各歯13の先端までの高さは正確に調整可能であるため、針布ストリップを迅速に交換できることによりフラットバー1は素早く保守することができる。相並んで列をなして溶接された歯セグメント10は、フックと比較して、歯セグメント10が相互に遊びなく連結されているという利点を提供する。
【0031】
本発明に従い針布ストリップ8の効率的で廉価な製造が可能である。更に本発明により針布ストリップ8をフラットバー1に簡単に組み付けることが可能となるので、フラットバー1を取り外すことなく、摩耗した針布ストリップ8の迅速で精密な交換が保証されている。特に重要な利点は、精密な再研削が可能であること、フラットバー1を取り外す必要なく針布ストリップ8を組み付けることができることである。それによりカーディング隙間の非常に小さい公差が守られる。
【0032】
針布ストリップ8をフラット針布4に組み付けることは、例として
図9に示されている。腹板1bと1cの間の凹部1dに固定手段2によって磁石3が配置されている。この固定手段2はフラット基部1aとの機械的連結として、又は材料結合による連結、例えば接着結合として実施されてよい。磁石3として好ましくは摂氏50度を超える使用温度で消磁の危険が少ない、抗磁力の高い永久磁石、例えばネオジム−鉄−ボロン合金を含むネオジム磁石又はサマリウムコバルト合金から成るサマリウムコバルト磁石が用いられる。
【0033】
針布ストリップ8はその上面16で凹部1dに組み付け、最初にバネ9を溝1e内に挿入し、凹部1dの溝1eを中心に針布ストリップ8を反時計方向に回動若しくは傾動させる。歯頭部11は傾いた状態でシリンダの回転方向と反対の方向を指し、カーディングすべき繊維の方に向けられている。カーディング工程の最初の作用点が腹板1bの領域にあるため、このとき針布ストリップ8が誤った位置に傾く危険がある。
針布ストリップ8が磁力結合から誤った位置に傾くことは、溝1eとバネ9との嵌合によって妨げられる。これにより針布ストリップ8は材料結合だけでなく、嵌合によってもフラット基部1aに保持される。溝1eとバネ9の実施形態の代替として、嵌合は別の手段、例えば蟻継ぎ形式、内蔵固定手段手段又は外部カバーによって作られてもよい。
【0034】
針布ストリップ8の取外しは、腹板1cの領域に設けた図示されない溝を介して行われ、この溝に工具を差し込んで、てこの作用で針布ストリップ8を磁石3から外して、時計方向に持ち上げて凹部1dから取り出すことができる。
【符号の説明】
【0035】
1 フラットバー
1a フラット基部
1b 腹板
1c 腹板
1d 凹部
1e 溝
2 固定手段
3 磁石
4 フラット針布
5 鋼板
6 支持部材
7 ワイヤフック
8 針布ストリップ
9 バネ
10 歯セグメント
11 歯頭部
12 歯基部
13 歯
13a 歯
14 溝
15 溶接継合
16 上面
17 薄板ストリップ
18 スリット
19 溶接継合
α 角度