特許第6093019号(P6093019)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6093019-質量流量制御システム 図000009
  • 特許6093019-質量流量制御システム 図000010
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093019
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】質量流量制御システム
(51)【国際特許分類】
   G05D 7/06 20060101AFI20170227BHJP
   G01F 1/00 20060101ALI20170227BHJP
   G01F 1/34 20060101ALI20170227BHJP
   G01F 1/36 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   G05D7/06 Z
   G01F1/00 X
   G01F1/34 A
   G01F1/36
【請求項の数】14
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-533082(P2015-533082)
(86)(22)【出願日】2013年8月29日
(65)【公表番号】特表2015-530668(P2015-530668A)
(43)【公表日】2015年10月15日
(86)【国際出願番号】US2013057184
(87)【国際公開番号】WO2014051925
(87)【国際公開日】20140403
【審査請求日】2015年5月25日
(31)【優先権主張番号】13/626,432
(32)【優先日】2012年9月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592053963
【氏名又は名称】エム ケー エス インストルメンツ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】MKS INSTRUMENTS,INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】ディング,ジュンファ
【審査官】 稲垣 浩司
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/047361(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 7/06
G01F 1/00
G01F 1/34 − 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理に合わせて流体の流量を制御する際に、その精度をリアルタイムで自己検証可能である質量流量制御システムであって、
所定の圧力の流体を受け入れる入力口と、
所定の圧力の前記流体を配気する出力口と、
所定の圧力の前記流体が流れる導管と、
前記入力口から前記出力口への前記導管内の流体の前記流量を制御可能に制御する制御弁と、
前記導管に接続され、既知容量の流体を貯蔵する貯蔵器と、
前記貯蔵器と前記出力口との間の流量を制御可能に規制する、前記貯蔵器と前記出力口との間の流量規制器と、
前記導管内の前記流体の前記圧力を検知する圧力センサと、
前記導管を通る流体の前記流量が流量設定ポイントに等しくなるように、前記圧力センサからの信号に基づき前記制御弁を制御し、
前記圧力センサからの前記信号に基づき前記貯蔵器内の圧力減衰速度を判断することによって、前記流量制御の前記精度を検証する、制御部と、
を備えることを特徴とする、当該質量流量制御システム。
【請求項2】
前記流量規制器は、前記導管を通る前記流体の流量にチョーク流れの状態を作り出すように制御されることを特徴とする、請求項1に記載の質量流量制御システム。
【請求項3】
前記流量規制器は、断面積を調整可能な孔を有することを特徴とする、請求項2に記載の質量流量制御システム。
【請求項4】
前記流量規制器を規定する調整可能な開口を備える第2制御弁をさらに備えることを特徴とする、請求項2に記載の質量流量制御システム。
【請求項5】
前記導管内の前記流体の測定温度を表す温度測定信号を供給するように構成された温度センサをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の質量流量制御システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記システム内の前記流体の測定圧力および温度に応じて、前記導管を通る前記流体の測定流量Qを下式により決定するように構成されることを特徴とする、請求項5に記載の質量流量制御システム。
【数1】
ただし、C´は前記流量規制器の孔吐出係数であり、Aは前記流量規制器の実効開口面積であり、mは前記流体の分子量であり、γは前記ガスの比熱比であり、Tは前記流体の温度であり、Pは前記導管内の前記流体の前記圧力であり、f(m,γ,T)は、前記流体の分子量、前記流体の比熱比、および前記流体の温度に関連付けられた数学的関数である。
【請求項7】
前記貯蔵器は、零流量設定ポイントが命令されると閉止される前記制御弁よりも下流に位置し、
前記貯蔵器からまだ流体が流出可能であり、かつ、該流体は、チョーク流れの状態に基づいて前記質量流量制御システムによってQが測定され、
別の測定流量であるQが前記貯蔵器からの前記流体の減衰速度によって、下式により生成されることを特徴とする、請求項1に記載の質量流量制御システム。
【数2】
ただし、tは時間を表し、kは変換定数を表し、V、P、およびTは、それぞれ、前記貯蔵器の容量、ならびに前記貯蔵器内の前記流体の圧力および温度を表す。
【請求項8】
前記貯蔵器からの前記流体の前記減衰速度によってなされた測定流量であるQと、チョーク流れの状態に基づいて前記システムによって測定された前記流量Qとの間のいかなる差にも応じて、その流量精度を自己検証することが可能であることを特徴とする、請求項7に記載の質量流量制御システム。
【請求項9】
流量の検証の終了後、零流量設定ポイントの命令を遂行して閉止される第2制御弁をさらに備えることを特徴とする、請求項7に記載の質量流量制御システム。
【請求項10】
流量制御処理の工程間のいずれの間の検証期間でも検証が起こり、前記検証期間は100〜300ミリセカンドであることを特徴とする、請求項7に記載の質量流量制御システム。
【請求項11】
前記貯蔵器は、前記制御弁と前記流量規制器との間に位置することを特徴とする、請求項7に記載の質量流量制御システム。
【請求項12】
からのQの逸脱が所定の精度公差制限よりも大きい場合、前記システムは、ホストコントローラに対して、較正外状態を警告する警報を発することを特徴とする、請求項7に記載の質量流量制御システム。
【請求項13】
前記システムは、QとQとの間の前記流量の誤差が所定の精度公差制限以下で最小となるように、前記測定流量Qに対応する流量算出等式の係数を、検証結果に基づいて調整可能であり、流量検証期間の間、前記公差の制限内で前記システムが再較正されることを特徴とする、請求項7に記載の質量流量制御システム。
【請求項14】
前記圧力センサは、前記流量規制器より上流の前記流体の圧力に応じて信号を生成する第1圧力センサであって、非チョーク流れの状態の間における流体の前記流量の測定のための前記流量規制器より下流の流体の圧力に応じて信号を生成する第2圧力センサをさらに備え、
測定流量Qは以下の等式に基づくことを特徴とする、請求項1に記載の質量流量制御システム。
【数3】
ただし、fは、前記上流の圧力P、下流の圧力P、ガスの温度T、ガスの分子量m、ガスの比熱比γ、および実効開口面積Aの数学的関数である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示内容は、全体として、質量流量制御器に関し、詳細には、圧力式質量流量制御器の自己検証に関する。ここで用いる「ガス」という用語は、ガスまたは蒸気を含むものとする。
【背景技術】
【0002】
一般に質量流量制御器(MFC)は、装置を通過するガスの質量の流量を測定および制御可能となるように、流体(すなわちガスまたは蒸気)の流れの速度を、リアルタイムで制御し監視する。質量流量制御器(MFC)は、半導体製造処理中のガスの流量制御に用いられることが多く、ここでは、半導体製品を高生産率で製造するために、真空容器のような半導体ツールへのガス流を注意深く制御しなければならない。MFCは通常、特定の範囲の流量で特定タイプのガス流量を制御するために設計および較正される。これらの装置は、ユーザまたは半導体ツール自体のような外部装置によって、通常あらかじめ決定される、所与の設定ポイントに基づいて流量を制御する。この設定ポイントは、各工程の所望の流量に依存する処理の各工程に合わせて変更可能である。MFCはアナログ式、デジタル式のいずれでもよい。これらは一般的に、入力ガスの圧力範囲で用いるように設計され、低圧および高圧のMFCが一般的に入手可能である。全てのMFCは、入力口ならびに出力口と、質量流量センサおよび比例制御弁を含む質量流量計とを有する。システム制御部は、設定ポイントによって決まる流量の、質量流量センサによって検知される測定流量との比較に応じて流量制御信号を、制御弁へ供給するフィードバック制御システムの一部として用いられる。このように、設定ポイントによって決定された流量に、測定流量が維持されるように、フィードバック制御システムは弁を操作する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような制御システムは、MFCがある公差内で較正状態を維持することを想定している。MFCが較正公差内であるかどうかをテストするため、MFCは、典型的には質量流量検証器のような装置で、オフラインでテストされる。質量流量検証器は流量テストするのに用いられる。オフライン検査は大変正確であるが、処理運転中(リアルタイムで)は、MFCが較正外となる可能性が有り、また処理が終了するまではMFCが検知されない、という問題が常にある。この結果、半導体製品の歩留まりが低下したり、製品の全生産高が欠損する結果となる完全な失敗にさえなり得る。これは高くつくとともに明らかに望ましくない。必要なのは、処理が行われている間に、MFCの精度をリアルタイムで連続的にテストするシステムおよび方法である。
【0004】
質量流量制御器には、温度式と圧力式の質量流量制御器の2つのタイプがある。出願人Junhua Ding、名称「質量流量制御器を通る流量をリアルタイムで監視するシステムおよび方法」で、2012年1月20日に出願され、本願譲受人に譲渡された米国特許出願第13/354,988号は、質量流量制御器の精度をオフラインで進行することなく検証できるように温度式質量流量制御器をテストする、システムおよび方法を記述する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある実施形態は、処理に合わせて流体の流量を制御する際に、その精度をリアルタイムで自己検証可能である質量流量制御システムに関するものであって、前記システムを通る流体の前記流量を、制御信号に応じて、制御する制御弁と、前記システムを通る流体の測定流量および設定ポイントに応じて、前記制御信号を生成する制御部と、前記システムの前記精度の検証用の、既知の容量の流体を、前記流量制御処理の工程間のいつでも供給する流体源とを備える。ある実施例では、システムはさらに流量測定に対応するチョーク流れの状態を作り出す流量規制器と、システム内で流量規制器より上流の流体の前記測定圧力を表す圧力測定信号を供給する圧力センサと、システム内で流体の前記測定温度を表す温度測定信号を供給する温度センサとを備える。
他の実施例では前記システムは、前記流量を非チョーク流れの状態に対応して測定できるように、前記流量規制器より下流の流体の前記測定圧力を表す圧力測定信号を供給する第2圧力センサをさらに備える。
【0006】
別の実施例によれば、処理に合わせた流量制御時に、質量流量制御システムの前記精度を検証する方法が提供される。この方法は、前記システムを通る流体の前記流量を、制御信号に応じて制御する工程と、前記制御信号を、前記システムを通る流体の測定流量と設定ポイントとに応じて生成する工程と、前記システムの前記精度検証用の既知の容量の流体を前記流量制御処理の工程間のいつでも供給する工程とを備える。
【0007】
図面は、本教示内容による一つまたはそれ以上の実施例を、限定としてはなく単なる例として示す。図中の同じ参照番号は、同一または類似の要素であることを示す。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、オフラインで実行することなくMFCの精度のテストが可能に構成された圧力式MFCの一実施形態の概略模式図である。
図2図2は、オフラインで実行することなくMFCの精度のテストが可能に構成された圧力式MFCの第2の実施形態の概略模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の詳細な説明では、関連教示内容の完全な理解を提供するための例によって、多くの具体的詳細が述べられる。しかしながら当業者には、そのような詳細なしに本教示内容を実施してもよいことはあきらかである。他の例では、本教示内容の態様が不必要にあいまいになることを避けるため、公知の方法、手順、部品、および/または回路を、詳細を伴わずに、比較的高いレベルで説明した。
【0010】
本技術の多様な構成を実例として図示および記述する以下の詳細説明より、本技術の他の構成は当業者に容易に明らかになることがわかる。当然のことながら、本技術を他の異なる構成とすることは可能であり、そのいくつかの詳細を、全て本技術の範囲から逸脱することなく、他の多様な態様において改変することが可能である。したがって図面および詳細説明は、特徴を例示するが限定はしないものとみなす。
【0011】
本開示内容は圧力式MFCに関する。実施形態は2つあり、一方はチョーク流れの状態で用い、他方は非チョーク流れの状態で用いる。当然ながら、ある一つの装置をいずれのモードでも作動するように構成することができる。
【0012】
チョーク流れは圧縮性流れの効果である。「チョークされる」または制限されるパラメータは流体の速度である。このようにチョーク流れは所与の圧力および温度でMFCを流れる流体に関するものであり、(一定の断面積の孔またはノズルのような)制約部を通じて低圧力環境へ流れる際に速度が増加しようとする流体に関する流体力学的状態である。チョーク流れというのは、上流圧力を固定しているにも拘わらず、下流圧力環境の質量流量をさらに減少しても質量流量が増加しようとしないという制限を受けた状態である。チョーク流れの状態下では、上流圧力を増加させることにより、または上流温度を減少させることにより、質量流量を増加させることができる。質量流量が下流圧力には依存せず、制約部の上流側での温度および圧力にのみ依存するので、ガスのチョーク流れは多くの用途で有用である。チョーク流れの状態下では、弁、較正された開口板およびノズルのような流量制約機器を用いて、所望の質量流量を生成することができる。チョーク流れの状態のために、流量制約器への上流圧力Pおよび下流圧力Pは、以下の基準を満たさなければならない。
【0013】
【数1】
ここでγはガスの比熱比である。
【0014】
図1に示すように、新規な圧力式のMFC100の実施形態は、(a)チョーク流れの状態に対応するとともに、(b)MFCの精度の検証を可能にする情報をリアルタイムで供給するように構成される。MFC100は、MFC100の入力口120で流体110を受け入れる。流体は、入力口120から支持ブロック140の導管130を通じて出力口150へと向かう。MFC100のブロック140の上流部は、上流制御弁に適用される流量制御信号に応答し、かつ応じてMFC100の出力口150を通る流体110の流量を規制するように構成された上流制御弁160を支持する。特に、上流制御弁160は、MFCの出力口150からの流体110の流速を制御するために、制御部170からの流量制御信号に応答し、かつ応じて全開位置と全閉位置との間のどの位置でも動作可能である。流量制御信号は、以下の(a)および(b)に応じて、制御部170によって生成される。(a)は、制御部170に示され適用されるとともに、MFCを流れる流体の所望の(流量設定ポイント)流量を表す(ユーザおよび/またはスタンドアローン型のコンピュータまたは処理ツールのような外部装置からの外部プログラムによって設定された)設定流量信号であり、(b)は、MFCを流れる流体の圧力および温度に応じた測定流量を表す測定流量信号である。制御部170は、システムに受信され、検知された温度信号および圧力信号に基づいて、正確な測定流量信号を供給するのに必要な、較正係数を記憶するためのメモリを備える。示された実施形態では、この測定された流量信号は、(図1に圧力変換器の形態で示す)圧力センサ180によって与えられる圧力信号および温度センサ190によってあたえられる温度信号に応じて与えられる。MFC100の出力口150には、あるタイプの流量制約器が設けられており、その流量制約器は、下流制御弁210によって(制約する開口を創出するために弁の位置を制御することによって)得られる、またはチョーク流れの状態下で出力口150から流れる流体の流量および圧力を制限する効果を有する流出ノズル/孔138のような別の装置によってえられる。
【0015】
また、MFCの精度をリアルタイムで検証するために、図1に示す実施形態のMFC100は、出力口150でブロック140に支持される下流制御弁210と、貯蔵器220とをさらに備える。貯蔵器220は上流制御弁160と下流制御弁210との間でブロック140に支持される。貯蔵器は、MFCへ流れる流体を既知の容量で貯蔵するように構成される。温度センサ190は、貯蔵器220内の流体の温度、およびこれによりMFCを流れる流体の温度を近似して貯蔵器の壁の温度を測定するように、貯蔵器220に接続されている。温度センサ190は、測定温度を表す信号を、制御部170へ供給する。測定流量は、圧力センサ180によって測定された圧力同様に、この測定温度に応じて変わる。圧力センサ180も、上流制御弁160および下流制御弁210の間の導管130に接続され、導管130を通って下流制御弁210のノズル/孔138として示される流量制約器へ流れる流体110の圧力を測定するように構成されている。
【0016】
処理操作の間、下流制御弁210が開いており、かつ、流量設定ポイントが非零値に設定されており、制御部170は、測定流量が当該非零設定値に等しくなるように上流制御弁160を通る流れを制御する。MFCを通る流れの測定質量流量を決定するために、検知温度および圧力を表すデータは、温度センサ190および圧力センサ180から制御部170へ、信号の形態で送信される。以下に詳細に説明するように、制御部170は、チョーク流れの状態のための等式(2)に基づいて、測定流量を決定する。
【数2】
ここで、C´はノズル/孔138の孔吐出係数、Aは実効開口面積、mはガスの分子量、γはガスの比熱比、Tはガス温度、Pは上流圧力、f(m、γ、T)は、ガス分子量m、ガスの比熱比γ、およびガス温度Tに関連付けられた数学的関数である。
【0017】
制御部170は、流量設定ポイントによって命令された流量に測定流量Qが追従するように、MFC100へ流入およびここから流出する流量を制御する弁制御信号を、上流制御弁160へ供給する。MFCが適切に較正されている限りは、両者は実質的に(許容公差の範囲内で)等しくなる。下流制御弁210が流量制約器の孔を規定するのに用いられる場合は、チョーク流れの状態の間は、下流制御弁210の位置は不変のままとなる。
【0018】
例えば、ガス供給処理の2工程の間、または処理の完了後の期間であれば、零設定ポイントが命令されればいつでも、流量検証チェックが行なわれる。(MFCの下流よりも高い圧力で)流体は貯蔵器220から連続して流れるので、圧力センサ180によって供給された圧力信号の減衰速度に基づいて、制御部170が流量を検証することを可能とするように、制御部170は、流量検証期間の間、上流制御弁160を自動的に閉鎖する。ある実施形態では、検証期間は100〜300ミリセカンドでもよい。検証期間の間、貯蔵器220からの流体110はMFC100の出力口150の外へ向かわされる。残りの流体110がシステムを出る際の流量を示すQは、減衰速度原理によって決まり、等式(3)によって決めることができる。
【数3】
ここで、tは時間を表し、kは変換定数を表し、V,PおよびTはそれぞれ、貯蔵器220の容量、圧力センサ180によって測定されるガスの圧力、および温度センサ190によって測定されるガスの温度を表す。
【0019】
検証期間が終了するとすぐに、下流制御弁210が完全に閉止されて、いかなる残りの流体110もMFC100の外に出てしまうことを防止する。検証期間の間、MFC100は、等式(3)に従って決定した減衰速度の流量Qと対比して、等式(2)を用いて算出した流量Qを検証する。
【0020】
からのQの逸脱が所定の精度公差制限よりも大きい場合は、MFC100は、較正外状態を警告する警報を、ホストコントローラ(図示なし)へ送信することができる。また、MFC100は、所定の精度公差制限以下でQとQとの間の流量誤差が最小化するように、Qの検証値に基づいて、流量算出等式(2)におけるC´および/またはAのような係数を数学的に調整または更新することができる。それ故、MFC100は、流量検証期間の間、公差の制限内で再較正される。このように、調整されるとすぐに、非零条件が続けて命令されたときに、MFC100は、流量の検証値を用いて、システムから流出する流体を目標流量とする。
【0021】
図2は、非チョーク流れの状態に対応してMFCを操作するための実施形態を示す。特に、MFC200は図1の実施形態と同一または類似の構成要素を備えるが、ノズル/孔138より下流のガスの圧力を検知するために配設した追加の(第2圧力変換器として示した)圧力センサ260を伴う。第2圧力変換器260は支持ブロック140に載置可能、または支持ブロックから離して載置することも可能である。
【0022】
図2の実施形態は、チョーク流れの状態と非チョーク流れの状態の両方で使用可能であることが好ましい。つまり、チョーク流れの状態または非チョーク流れの状態のいずれに対応してMFC20を操作するかによって、図2の実施形態の操作モードが決定される。
【0023】
非チョーク流れの状態のために、測定流量は等式(4)により算出される。
【数4】
ここでfは、上流圧力P,下流圧力P,ガス温度T,ガス分子量m,比熱比γ,および実効開口面積Aの数学的関数である。
【0024】
非チョーク流れの状態下で流出する間、検証のために上流制御弁160が再び閉止されると、貯蔵器220からMFC200の出力口150の外(下流制御弁210より下流)へガスが流出する。検証した流量Qはやはり上記等式(3)によって決定される。
【0025】
およびQの値に関するデータは制御部170内に蓄積可能であり、QおよびQに関連付けられたデータを比較して、MFCがある一定の較正公差外かどうかを判定することができる。さらに、等式(4)の係数を更新して、QとQ間の流量誤差を最小化することができる。それ故、MFC20は流量検証期間の間、再較正される。
【0026】
したがって、上述の内容は、処理が行われている間、MFCの較正設定を連続的にリアルタイムでテストおよび検証するシステムおよび方法である。ある追加の実施例では、制御部170のメモリに記憶された現在の係数と、システムによってなされた測定から決定された係数との間に差異がある場合、システムは、検証結果に基づいて流量算出係数を調整することにより、自己較正を行うとすることも可能である。そのような構成では、流量検証期間の間は、公差の制限内となるように、システムを再較正するために、所定の精度公差制限以下では、QとQとの間の流量誤差が最小化されるように測定流量Qに対応する流量算出等式の係数を、検証結果に基づいて再計算可能である
【0027】
上記の装置及び処理方法においては、ここに含まれる発明の範囲から逸脱することなく、他の変更および改変を行ってもよいため、上記説明に含まれるすべての事項は、限定的な意味ではなく例示的な意味において解釈されるべきことを主旨とする。
図1
図2