(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記列車の画像を撮像し、前記画像から前記列車に付着した雪の量を解析した結果、または画像を前記コントロールセンタへ送信する画像センサと、をさらに含む、請求項2記載の軌道分岐部の異物除去システム。
前記異物除去装置は、リトライ噴射動作モード、予防噴射動作モード、転換前噴射動作モード、間欠噴射動作モード、または前記各動作モードの任意の組合せが切り替え可能である、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の軌道分岐部の異物除去システム。
前記軌道分岐部の異物除去装置は、前記コントロールセンタと通信不能になった場合、最も除去性能が高い動作モードを選択し、自動的に切り替える、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の軌道分岐部の異物除去システム。
請求項1に記載の異物除去システムに含まれ、少なくとも、リトライ噴射動作モード、予防噴射動作モード、転換前噴射動作モード、または間欠噴射動作モードに切り替え可能であることを特徴とする軌道分岐部の異物除去装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1(特開2005−344355号公報)記載の軌道分岐部の異物除去装置は、ポイント切換不良時に行われるリトライ動作時に基本レールとトングレールとの間にある異物を除去することができる。ポイント切換不良が起こる可能性が高い場合にのみ噴射を行うため、省エネルギ化の観点からはこのような制御方式が望ましい。
【0007】
一方で、上記の制御方式では、ポイント切換不良が少なくとも一度は発生するため、トータルのポイント切換の時間が長くなる。よって、異物除去性能の観点からは、軌道分岐部が切り替わるたびに噴射する制御方式のほうが望ましい。
【0008】
以上より、本発明の目的は、異物除去性能を低下させること無く、異物除去装置が配置されている路線全体の省エネルギ化を図ることができる軌道分岐部の異物除去システムおよび軌道分岐部の異物除去装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)
一局面に従う軌道分岐部の異物除去システムは、軌道分岐部に配置され、かつ複数の動作モードを切り替え可能な複数の異物除去装置と、列車の運行状況に基づいて、複数の異物除去装置の動作モードを変更させるコントロールセンタと、を含む。
【0010】
本発明にかかる軌道分岐部の異物除去システムにおいて、コントロールセンタは、列車の運行状況に基づいて、複数の軌道分岐部の異物除去装置の複数の動作モードを切り替えることができる。
【0011】
この場合、異物除去装置の動作モードを個別に又は一斉に切り替えることができるので、列車の運行状況に応じて最適な動作モードを選択することができる。その結果、異物除去性能を低下させることなく、異物除去装置が配置されている路線全体の省エネルギ化を図ることができる。特に個別に異物除去装置の設置場所に応じた動作モードに個別に切り替えれば、その効果は最大化される。
【0012】
(2)
第2の発明にかかる軌道分岐部の異物除去システムは、一局面に従う軌道分岐部の異物除去システムにおいて、列車の運行状況には、少なくとも列車に付着した雪の量の情報が含まれてもよい。
【0013】
この場合、列車に付着した雪は、走行してきた路線の降雪状況または積雪状況を反映する。そのため、当該状況を情報として、走行してきた路線の異物除去装置の制御動作に反映することにより、当該異物除去装置を最適に動作させることができる。
さらに、当該列車がこれから走行しようとする路線については、列車に付着した雪が軌道分岐部に落下する可能性があるため、当該状況を情報として、当該列車が走行する予定の路線に配置されている異物除去装置の制御へフィードフォーワードすることにより、当該異物除去装置を最適に動作させることができる。
【0014】
(3)
第3の発明にかかる異物除去システムは、第2の発明にかかる異物除去システムにおいて、列車に付着した雪の量の情報を入力する通信端末装置をさらに含み、通信端末装置により入力された情報は、コントロールセンタへ送信されてもよい。
【0015】
この場合、列車の駅停車時に、駅員によって確認された雪の量を通信端末装置で入力することにより、特殊なセンサ等を用いることなく、コントロールセンタへ通知できる。
【0016】
(4)
第4の発明にかかる異物除去システムは、第2の発明にかかる異物除去システムにおいて、列車の画像を撮像し、画像から列車に付着した雪の量を解析した結果、または画像をコントロールセンタへ送信する画像センサと、をさらに含んでもよい。
【0017】
この場合、列車が停車しない通過駅または駅間の任意の地点であっても、撮像装置を設置するだけで、当該駅等を通過する列車の着雪状況を撮像し、付着した雪の量の情報を通信センサにより送信して、付着した雪の量を把握することができる。
【0018】
(5)
第5の発明にかかる異物除去システムは、第2乃至第4の発明のいずれかにかかる異物除去システムにおいて、コントロールセンタにより制御される軌道分岐部における融雪装置をさらに含み、列車の運行状況には、融雪装置の作動状況がさらに含まれてもよい。
【0019】
この場合、融雪装置の作動状況にあわせて当該融雪装置と同じ地域に配置されている、又は異なる地域に配置されている異物除去装置の動作モードを変更することができる。さらに、一のコントロールセンタにおける融雪装置の制御を変更することができる。その結果、路線全体の省エネルギ化を図ることができる。
【0020】
(6)
第6の発明にかかる異物除去システムは、一局面乃至第5の発明のいずれかにかかる異物除去システムにおいて、異物除去装置は、リトライ噴射動作モード、予防噴射動作モード、転換前噴射動作モード、間欠噴射動作モード、または各動作モードの任意の組合せが切り替え可能であることが好ましい。
【0021】
この場合、複数の動作モードに基づいて異物除去装置を動作させることができるので、異物除去性能と省エネルギ化とのバランスをよりきめ細やかに取ることができる。なお、リトライ噴射動作モードとは、転換不良が発生した後、再度、転換動作する際に、転換動作前に圧縮空気を噴射する制御モードであり、予防噴射動作モードとは、転換動作に関係なく、列車の通過を検知するたびに、圧縮空気を噴射する制御モードであり、転換前噴射動作モードとは、転換動作前に圧縮空気を噴射する制御モードであり、間欠噴射動作モードとは、転換動作に関係なく、所定の時間間隔で圧縮空気を噴射するモードである。
【0022】
(7)
第7の発明にかかる異物除去システムは、一局面乃至第6の発明のいずれかにかかる異物除去システムにおいて、軌道分岐部の異物除去装置は、コントロールセンタと通信不能になった場合、最も除去性能が高い動作モードを選択し、自動的に切り替えてもよい。
【0023】
この場合、軌道分岐部の異物除去装置は、コントロールセンターと通信不能となった場合であっても、自動的に除去性能が高い動作モードを選択するので、状況が変化し、高い異物除去性能が必要となった場合であっても、異物除去性能を確保することができる。
【0024】
(8)
他の局面に従う異物除去装置は、一局面にかかる異物除去システムに含まれ、少なくとも、リトライ噴射動作モード、予防噴射動作モード、転換前噴射動作モード、または間欠噴射動作モードに切り替え可能である。
【0025】
この場合、複数の動作モードに基づいて異物除去装置を動作させることができるので、異物除去性能と省エネルギ化とのバランスをよりきめ細やかに取ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を用いて説明する。以下の説明では、同一の構成には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0029】
なお、本実施の形態においては、軌道分岐部の異物除去装置用ノズルを鉄道車両用の軌道に適用した態様について説明する。なお、当該軌道分岐部の異物除去装置用ノズルは、鉄道車両用の軌道のみならず、在来線等、他の軌道においても利用することができる。
【0030】
(軌道分岐部の異物除去装置の構成)
図1は、本実施の形態にかかる異物除去システム100の一例を示す模式図である。
【0031】
図1に示す異物除去システム100は、第1鉄道車両、第2鉄道車両の路線に異物除去システム100を適用した場合を示す。
【0032】
図1に示すように、異物除去システム100は、統括コントロールセンタ200を有する。
統括コントロールセンタ200には、分岐器統括機構210、融雪設備統括機構220、その他統括機構230を含む。また、統括コントロールセンタ200は、気象予報500と接続され、気象情報が統括コントロールセンタ200に与えられる。
【0033】
第1鉄道車両の路線には、各種駅に、A駅ローカルコントロールセンタ(以下、単にLCと略記する)400、B駅LC410、C駅LC420、AA駅LC300、D駅LC430、E駅LC440、F駅LC450が設けられる。
また、第2鉄道車両の路線には、各種駅に、G駅LC610、H駅LC620、I駅LC630、J駅LC640、K駅LC650が設けられる。
【0034】
ここで、AA駅LC300を例示して説明する。AA駅LC300には、複数の異物除去装置310、各種センサ360、情報端末370が接続される。更に、融雪装置である、ガスヒータ320、電気ヒータ330、熱風融雪装置340、地熱ヒータ350も接続される。
各種センサ360には、光電センサを用いた降雪センサ、超音波センサを用いた列車通過検知センサ、撮像装置からなる画像センサ、赤外線センサ、その他の任意のセンサ等が含まれる。各駅のLCには、AA駅LCと同様に、各種装置が設けられている。
【0035】
(異物除去装置の構成)
次いで、
図2は、異物除去装置310の構成を説明するための模式図である。
【0036】
図2に示すように、異物除去装置310は、制御装置311、コンプレッサ312、エアタンク313、電磁弁314、噴射ノズル315およびブザー317を含む。
異物除去装置310の制御装置311は、AA駅LC300と通信を行なう。
【0037】
また、制御装置311は、コンプレッサ312に制御指令を行い、コンプレッサ312がエアタンク313に圧縮空気を蓄積する。そして、制御装置311は、電磁弁314に制御指令を与える。電磁弁314は、制御指令に基づいて電磁弁314を開閉し、噴射ノズル315から圧縮空気が噴射される。
【0038】
さらに、制御装置311からブザー317に制御指令を与える。その結果、ブザーが鳴る。
【0039】
(動作モードの説明)
次いで、本発明にかかる異物除去装置310の動作モードとして、以下の主要な4つの動作モードが挙げられる。なお、主要な4つの動作モード以外に、遠隔地のオペレータが手動で噴射する強制噴射等が挙げられる。
【0040】
4つの動作モードの1つ目は、ポイントの転換不良が発生した時に、再度転換動作する際に、転換動作前に圧縮空気を自動噴射するリトライ噴射モードである。これは転換動作が完了するまで、何度でも行われる。2つ目は、ポイントが転換する直前に噴射する転換前噴射モードである。3つ目は、列車通過後、例えば通過して10秒後等に次に来る列車の通過に備えて予防的に自動噴射する予防噴射モードである。4つ目は、所定の時間間隔、例えば1時間毎に自動噴射する間欠噴射モードである。
【0041】
また、本実施の形態においては、これらの動作モードの組合せについて個々に制御ランクを設定する。以下、制御ランクについて説明を行い、その後、各動作モードの説明を行なう。
【0042】
(制御ランクの説明)
図3は、制御ランクを説明するための説明図である。
【0043】
図3に示すように、制御ランクのランク1は、リトライ噴射モードのみであり、制御ランクのランク2は、リトライ噴射モードと転換前噴射モードとの組合せであり、制御ランクのランク3は、リトライ噴射モード、転換前噴射モード、および予防噴射モードの組合せであり、制御ランクのランク4は、リトライ噴射モード、転換前噴射モード、予防噴射モードおよび間欠噴射モードの組合せである。
【0044】
また、ランク1は、消費エネルギが低く設定され、ランク4に近づくにつれて消費エネルギが高く設定される。
すなわち、リトライ噴射モードは、ポイントの転換不良が発生しない限り自動噴射しないので、例えば積雪または列車の持込雪が少ない場合、エネルギ消費を少なく抑えることができる。
【0045】
(リトライ噴射モード)
続いて、リトライ噴射モードの詳細について説明する。
図4は、リトライ噴射モードのフローチャートである。
【0046】
リトライ噴射モードは、基本レールに対してトングレールが移動し、移動開始から8秒経過時に正常にトングレールが駆動されていない場合に不転換であるか否かを判定する(ステップS31)。
【0047】
一方、不転換でないと判定された場合(ステップS31のNo)には、転換が確実に実施されているので、リトライ噴射モードが実施されず、処理が終了される。
【0048】
一方、不転換であると判定された場合(ステップS31のYes)には、リトライ噴射モードが実施され、エアタンク313の残量が所定以上か否かを判定する(ステップS32)。例えば、エアタンク313の残量が0.78MPa以上であるか否かを判定する。
【0049】
エアタンク313の残量が所定未満の場合(ステップS32のNo)、処理が終了される。
エアタンク313の残量が所定以上の場合(ステップS32のYes)には、ポイントのリトライ動作の検知を行なう(ステップS33)。リトライ動作が検知されなかった場合、異物除去装置310は、リトライ動作が検知されるまで、待機する(ステップS33のNo)。
一方、リトライ動作が検知された場合(ステップS33のYes)には、噴射することをブザー317で報知を行なう(ステップS34)。
【0050】
次いで、電磁弁314を開く(ステップS35)。そして、電磁弁314を開いて2.5秒経過したか否かを判定する(ステップS36)。2.5秒経過していないと判定した場合(ステップS36のNo)には、電磁弁314を開き圧縮空気を噴射する。
一方、2.5秒経過したと判定した場合(ステップS36のYes)、電磁弁314を閉じる(ステップS37)。電磁弁314を閉じた後、ステップS31の処理に戻る。
【0051】
(転換前噴射モード)
次いで、転換前噴射モードの詳細について説明を行なう。転換前噴射モードは、軌道分岐部のポイントを切り替える際に、噴射を行なうモードである。
図5は、転換前噴射モードのフローチャートである。
【0052】
転換前噴射モードは、まず、ポイント転換指令の有無を判定する(ステップS41)。ポイント転換指令がないと判定された場合(ステップS41のNo)には、処理を終了する。
【0053】
一方、ポイント転換指令があると判定された場合(ステップS41のYes)には、エアタンク313の残量が所定以上か否かを判定する(ステップS42)。例えば、エアタンク313の残量が0.78MPa以上であるかを判定する。
エアタンク313の残量が所定未満の場合(ステップS42のNo)、処理が終了される。
エアタンク313の残量が所定以上の場合(ステップS42のYes)には、噴射することをブザー317で報知する(ステップS43)。
【0054】
次いで、電磁弁314を開く(ステップS44)。そして、電磁弁314を開いて2.5秒経過したか否かを判定する(ステップS45)。2.5秒経過していないと判定した場合(ステップS45のNo)には、には、電磁弁314を開き圧縮空気を噴射する。
一方、2.5秒経過したと判定した場合(ステップS45のYes)には、電磁弁314を閉じる(ステップS46)。
【0055】
(予防噴射モード)
次いで、予防噴射モードの詳細について説明を行なう。予防噴射モードは、次の列車の通過に先立って、予め噴射しておくモードである。
図6は予防噴射モードのフローチャートである。
【0056】
予防噴射モードは、まず、各種センサ360に含まれる列車通過検知センサがオンしたか否かを判定する(ステップS51)。列車通過検知センサがオンしていないと判定された場合(ステップS51のNo)には、処理を終了する。
一方、列車通過検知センサがオンされたと判定した場合(ステップS51のYes)には、エアタンク313の残量が所定以上か否かを判定する(ステップS52)。例えば、エアタンク313の残量が0.78MPa以上であるかを判定する。
【0057】
エアタンク313の残量が所定未満の場合(ステップS52のNo)、処理が終了される。
エアタンク313の残量が所定以上の場合(ステップS52のYes)には、噴射することをブザー317で報知する(ステップS53)。
【0058】
次いで、電磁弁314を開く(ステップS54)。そして、電磁弁314を開いて2.5秒経過したか否かを判定する(ステップS55)。2.5秒経過していないと判定した場合(ステップS55のNo)には、電磁弁314を開き圧縮空気を噴射する。
一方、2.5秒経過したと判定した場合(ステップS55のYes)、電磁弁314を閉じる(ステップS56)。
【0059】
(間欠噴射モードの概略)
次いで、間欠噴射モードの詳細について説明を行なう。間欠噴射モードは、一定時間ごとに噴射を行なうモードである。
図7は間欠噴射モードのフローチャートである。
【0060】
まず、間欠噴射モードは、前回の噴射から所定時間経過したか否かを判定する(ステップS61)。前回の噴射から所定時間経過していないと判定された場合には、処理を終了する(ステップS61のNo)。
【0061】
一方、所定時間経過したと判定した場合(ステップS61のYes)には、エアタンク313の残量が所定以上か否かを判定する(ステップS62)。例えば、エアタンク313の残量が0.78MPa以上であるかを判定する。
エアタンク313の残量が所定未満の場合(ステップS62のNo)、処理が終了される。
エアタンク313の残量が所定以上の場合(ステップS62のYes)には、噴射することをブザー317で報知する(ステップS63)。
【0062】
次いで、電磁弁314を開く(ステップS64)。そして、電磁弁314を開いて2.5秒経過したか否かを判定する(ステップS65)。2.5秒経過していないと判定した場合(ステップS65のNo)には、には、電磁弁314を開き圧縮空気を噴射する。
一方、2.5秒経過したと判定した場合(ステップS65のYes)には、電磁弁314を閉じる(ステップS66)。
【0063】
このように、異物除去性能の異なる、複数の動作モードを有することにより、消費エネルギの異なる動作モードを効率よく利用することができる。また、それらの利用方法を変更することにより、効率よく軌道分岐部のポイント切り替えを確実にすることができる。
【0064】
(ローカルコントロールセンタ側のフローチャート)
続いて、AA駅LC300側の動作について説明を行なう。
図8は、AA駅LC300の動作の一例を示すフローチャートである。
【0065】
まず、
図8に示すように、AA駅LC300は、制御ランクの初期値を設定する(ステップS1)。
ここで、初期値として、季節または気象情報によって異なるが、例えば、リトライ噴射モードの設定を行なう。
また、気象情報は気象庁などからの発表情報のほか、異物除去装置310が設置されている場所に設けられた降雪計などのセンサからの情報も含まれる。なお、気象情報は、時系列により判定してもよい。
【0066】
例えば、前日の夜に降雪があった場合で、かつ現在(初期設定時)の気温が0度以下の場合は、始発の所定時間前からリトライ噴射モード、転換前噴射モード、予防噴射モード、および間欠噴射モード、の組合せを初期値として設定し、所定時間経過後にリトライ噴射モードのみの設定に切り替える。
【0067】
次いで、列車下部の着雪状況が所定量以上か否かを判定する(ステップS2)。
ここで、所定量とは、着雪が確認された駅等から制御対象となる軌道分岐部まで当該列車が通過してきた所定範囲において付着した着雪の量を意味する。また、当該所定範囲とは、例えば、少なくとも駅3個前までの範囲を示す。
なお、列車の着雪状況の判定の一例については、後述する。
【0068】
ステップS2において、列車下部の着雪状況が所定量であると判定した場合(ステップS2の所定量)、エリア内の制御ランクを所定段階に維持する(ステップS3)。ここで、エリアとは、同じ駅構内またはその駅の近辺を示す。
【0069】
なお、1回の制御につき制御ランクを1ランクずつ変更しても良いし、2ランク以上変更しても良い。後者の場合、情報源、例えば、駅員からの情報、センサの種類、センサの配置情報、または、情報源となるシステムが属する駅の位置に基づいて変更ランク幅を適宜決定することができる。例えば、同じ駅構内の場所か別の県など離れた場所かの違いなどに基づいてランク変更幅に適宜重み付けを付してもよい。
なお、所定量とは、上限と下限とを有する所定の範囲内の量であってもよい。
【0070】
また、ステップS2において列車下部の着雪状況が所定量未満であると判定した場合(ステップS2の所定量未満)、エリア内の制御ランクを所定段階にダウンさせる(ステップS4)。
【0071】
さらに、ステップS2において列車下部の着雪状況が所定量を上回っていると判定した場合(ステップS2の所定量超過)、エリア内の制御ランクを所定段階にアップさせる(ステップS5)。
【0072】
続いて、融雪装置の稼動状況が所定値以上か否かを判定する(ステップS6)。
ここで、融雪装置とは、ガスヒータ320、電気ヒータ330、熱風融雪装置340、地熱ヒータ350などを含む。また、稼動状況は、各種装置の動作回数または稼働時間を含む。
なお、所定値とは、上限と下限とを有する所定の範囲内の値であってもよい。
【0073】
ステップS6において、融雪装置の稼動状況が所定値であると判定した場合(ステップS6の通常)、一つの駅内の異物除去装置310の制御ランクを所定段階に維持する(ステップS7)。
【0074】
ステップS6において、融雪装置の稼動状況が所定値未満であると判定した場合(ステップS6の所定量未満)、一つの駅内の異物除去装置310の制御ランクを所定段階にダウンする(ステップS8)。
【0075】
次いで、ステップS6において、融雪装置の稼動状況が所定値を上回っていると判定した場合(ステップS6の所定量超過)、一つの駅内の異物除去装置310の制御ランクを所定段階にアップする(ステップS9)。
さらに、図示しないが、各種センサ360が所定値以上か否かを判定し、融雪装置の稼動状況の判断フローと同様に、異物除去装置310の制御ランクを変更してもかまわない。
【0076】
最後に、終電後から始発前の時間内か否かを判定する(ステップS10)。
終電後から始発前の時間外であると判定された場合(ステップS10のNo)には、制御ランクを変更すると判定された異物除去装置310の制御ランクを変更し、制御ランクを維持すると判定された異物除去装置310の制御ランクを維持する。そして、ステップS2の処理に戻り、処理を繰り返す。
【0077】
一方、終電後から始発前の時間内であると判定された場合(ステップS10のYes)には、異物除去装置310の制御を停止する(ステップS12)。その後、ステップS1に戻り処理を繰り返す。
【0078】
(駅員による確認、タブレット端末の操作)
次いで、停車駅または終点駅において、駅員が着雪状況を確認する場合について説明する。
図9は、駅員等による目視の確認のフローチャートである。
【0079】
まず、
図9に示すように、当該駅において列車下部の着雪状況を駅員等が目視により確認する(ステップS71)。
次いで、駅員は、列車下部の着雪状況が基準量以上か否かを判定する(ステップS72)。基準量以上であると判定した場合(ステップS72のYes)には、駅員は、情報端末370であるスマートフォンまたはタブレット端末で情報を入力する(ステップS73)。そして、AA駅LC300または統括コントロールセンタ200に情報を送信する(ステップS74)。
一方、基準量未満であると判定した場合(ステップS72のNo)には、処理を終了する。
【0080】
(センサによる確認)
続いて、停車駅、終点駅または通過駅において、各種センサ360に含まれる画像センサにより着雪状況を確認する場合について説明する。
図10は、当該画像センサによる着雪状況の認識の一例を説明するためのフローチャートである。
【0081】
まず、
図10に示すように、停車駅、終点駅または通過駅において、列車下部の着雪状況を当該画像センサで撮像する(ステップS81)。次いで、列車下部の着雪状況が基準量以上か否かを判定する(ステップS82)。
この判定は、当該画像センサで撮像した撮像データの色彩で、白色部分が多い等により判定を行なう。また、可視光領域を対象とした画像センサを用いることとしたが、これに限定されず、赤外線領域を対象とした画像センサであってもよく、また、色彩で判断するのではなく、着雪状況を形状変化として捉えて判断するようにしてもよい。
【0082】
次いで、列車下部の着雪状況が基準量以上か否かを判定する(ステップS82)。基準量以上であると判定した場合(ステップS82のYes)には、AA駅LC300または統括コントロールセンタ200に情報を送信する(ステップS83)。
一方、基準量未満であると判定した場合(ステップS82のNo)には、処理を終了する。
【0083】
これらの、
図9、
図10の処理により、列車の着雪状況をAA駅LC300および統括コントロールセンタ200に送信することができる。
【0084】
(異物除去装置の制御モード)
続いて、AA駅LC300の異物除去装置310の制御ランク変更について説明する。
図11は、異物除去装置310の制御ランク変更の一例を示すフローチャートである。
【0085】
まず、
図11に示すように、制御ランク変更の指示があるか否かを判定する(ステップS21)。制御ランクの変更指示があると判定した場合(ステップS21のYes)には、制御停止の指示があるか否かの判定を行なう(ステップS22)。制御停止の指示がないと判定した場合(ステップS22のNo)には、後述するステップS25の処理に移行する。
【0086】
一方、制御停止の指示があると判定した場合(ステップS22のYes)には、制御の停止を行なう(ステップS23)。
次いで、制御ランクの変更の指示があるか否かを判定する(ステップS24)。制御ランクの変更の指示があると判定した場合(ステップS24のYes)には、制御ランクを変更する(ステップS25)。
制御ランクの変更の指示がないと判定した場合(ステップS24のNo)には、ステップS23に戻り処理を繰り返す。
【0087】
また、制御ランクの変更指示がないと判定された場合(ステップS21のNo)には、通信不能か否かの判定を行なう(ステップS26)。通信不能であると判定された場合(ステップS26のYes)には、制御ランクを最高に設定し(ステップS27)、ステップS28の処理に移行する。
また、通信不能でないと判定された場合(ステップS26のNo)には、ステップS28の処理に移行する。
【0088】
制御ランクを変更した場合(ステップS25)、およびステップS26、27の処理の後、制御ランクに応じて異物除去動作を実施する(ステップS28)。
【0089】
(他の例)
次いで、
図12は、
図1の異物除去システム100の他の例を示す模式図である。
図12に示すように、異物除去システム100aは、各駅のLCではなく、全路線の統括コントロールセンタ200aから直接、制御されていてもよい。
【0090】
以上のように、本実施の形態においては、異物除去装置310の動作モードを複数の制御ランクで切り替えることができるので、列車の運行状況に応じて最適な1または複数の動作モードを選択することができる。その結果、異物除去性能を低下させることなく、異物除去装置310が配置されている路線全体の省エネルギ化を図ることができる。
【0091】
また、列車に付着した雪は、走行してきた路線の降雪状況または積雪状況を反映するため、当該状況を走行してきた路線の異物除去装置310の制御動作に反映することで、当該異物除去装置310を最適に動作させることができる。
例えば、G駅からE駅を通過し、A駅へ走行する列車の場合、J駅LC640、K駅LC650、E駅LC440の情報を取得し、AA駅LC300において着雪状況を予測し、異物除去装置310の動作モードを選択する。
【0092】
さらに、当該列車が走行しようとする路線については、列車に付着した雪が軌道分岐部に落下する可能性があるため、当該状況に基づいて、走行しようとする路線に配置されている異物除去装置310を最適に動作させることができる。
【0093】
また、列車の着雪状況を画像センサにより検出する、または駅員によって確認し、情報端末370で入力することにより確実かつ簡便に情報をAA駅LC300に送信することができる。
【0094】
また、AA駅LC300では、他の駅のLCのガスヒータ320、電気ヒータ330、熱風融雪装置340、地熱ヒータ350等の融雪装置ならびに異物除去装置310の制御ランクおよび動作モード情報にあわせて、AA駅LC300の異物除去装置310の動作モードを変更することができる。さらに、その結果、路線全体の省エネルギ化を図ることができる。
【0095】
さらに、軌道分岐部の異物除去装置310自身は、AA駅LC300または/および統括コントロールセンタ200aと通信不能となった場合であっても、自動的に除去性能が高い動作モードを自動選択するので、異物除去性能を確保することができる。
【0096】
本発明においては、リトライ噴射動作モード、予防噴射動作モード、転換前噴射動作モード、間欠噴射動作モードが複数の動作モードに相当し、軌道分岐部の異物除去装置310が複数の軌道分岐部の異物除去装置に相当し、AA駅LC300または統括コントロールセンタ200,200aがコントロールセンタに相当し、軌道分岐部の異物除去システム100,100aが軌道分岐部の異物除去システム100に相当し、情報端末370が通信端末装置に相当し、各種センサ360に含まれる画像センサが撮像装置に相当し、ガスヒータ320、電気ヒータ330、熱風融雪装置340、地熱ヒータ350が融雪装置に相当する。
【0097】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。