特許第6093025号(P6093025)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6093025ヒューマン・マシン・インタフェースにおける色区別チェックサム計算
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093025
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】ヒューマン・マシン・インタフェースにおける色区別チェックサム計算
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/14 20060101AFI20170227BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20170227BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20170227BHJP
   G09G 5/02 20060101ALI20170227BHJP
   G09G 5/377 20060101ALI20170227BHJP
【FI】
   G06F3/14
   G09G5/00 550H
   G09G5/36 520C
   G09G5/02 B
   G09G5/36 520M
   G09G5/36 520P
【請求項の数】19
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-543407(P2015-543407)
(86)(22)【出願日】2013年11月19日
(65)【公表番号】特表2016-501405(P2016-501405A)
(43)【公表日】2016年1月18日
(86)【国際出願番号】EP2013074130
(87)【国際公開番号】WO2014079826
(87)【国際公開日】20140530
【審査請求日】2015年12月10日
(31)【優先権主張番号】12193869.0
(32)【優先日】2012年11月22日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】501123466
【氏名又は名称】ボンバルディール トランスポーテイション ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Bombardier Transportation GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100140176
【弁理士】
【氏名又は名称】砂川 克
(72)【発明者】
【氏名】ギーレンスベルド、エリク
【審査官】 円子 英紀
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−523918(JP,A)
【文献】 特開2007−108166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/14−3/153
G09G 5/00
G09G 5/02
G09G 5/36
G09G 5/377
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定義された離散的なピクセル値範囲内のピクセル値を備えるディスプレイ駆動信号に基づいて、少なくとも1つの画像フレームのピクセルを表示するように適合されたビジュアル・ディスプレイにおいて、入力信号においてエンコードされた情報を表わす方法であって、
入力信号(S1)に基づいて、前記ビジュアル・ディスプレイを制御するディスプレイ駆動信号(S2)のためのピクセル値のストリームを生成することと、
前記ディスプレイ駆動信号における前記ピクセル値に基づいて、各画像フレームの監督領域(311,312,313,314)のチェックサム(S4)を計算することと、
前記チェックサムまたは前記チェックサムから導出される値を、前記入力信号または前記入力信号から導出される値比較することによって、所与の画像フレーム前記ディスプレイ駆動信号を検証することとを備え、
前記ピクセルによって伝送される前記ピクセル値が、前記ピクセル値範囲内の少なくとも1つの要素に等しいかどうかに基づいて、前記ピクセル値範囲内の前記少なくとも1つの要素を、前記チェックサムへの寄与から除外しながら、前記チェックサムが計算される、方法。
【請求項2】
前記ピクセル値範囲内の前記少なくとも1つの要素を除外することは、前記ピクセル値範囲内の除外された前記少なくとも1つの要素に等しいピクセル値を伝送する前記ピクセルが、前記チェックサムを計算することにおいて、省略されるか、または、ニュートラルな値によって置き換えられるように、前記ディスプレイ駆動信号におけるピクセル値をフィルタすることを備える、請求項1に記載された方法。
【請求項3】
前記ピクセル値範囲内の除外された前記少なくとも1つの要素の各々は、前記ビジュアル・ディスプレイによって表示されるべきピクセル色に対応する、請求項2に記載された方法。
【請求項4】
前記ピクセル値範囲において除外される、少なくとも1つの関連付けられた要素と、監督領域とを特定するデータを最初に受け取るこ
をさらに備える請求項1に記載された方法。
【請求項5】
前記入力信号においてエンコードされた情報は、部分的にオーバラップしている監督領域において表わされるべき少なくとも2つの独立して変動する量を含み、
前記ディスプレイ駆動信号は、前記ピクセル値範囲内の特定の要素を用いて、前記独立して変動する量のおのおのを表わすことによって生成され、この要素は、前記少なくとも2つの独立して変動する量のうちの他方の量を表わすためには使用されず、
前記ピクセルによって伝送される前記ピクセル値が、異なる監督領域の特定の要素に等しいかどうかに基づいて、前記異なる監督領域のうちの前記特定の要素を、寄与から除外しながら、所与の監督領域のチェックサムが計算される、請求項1乃至4のうちの何れか1項に記載された方法。
【請求項6】
異なる監督領域に属する前記特定の要素が、視覚的に判別不能なピクセル色に対応する、請求項5に記載された方法。
【請求項7】
前記ディスプレイ駆動信号は、さらに、前記監督領域のうちの少なくとも2つにおけるピクセル値範囲内の非特定の要素を用いることによって生成され、
前記ピクセルによって伝送される前記ピクセル値が、前記異なる監督領域における前記特定の要素に等しいか、または、前記非特定の要素に等しいかどうかに基づいて、前記非特定の要素および異なる監督領域のうちの特定の要素を、寄与から除外しながら、所与の監督領域のチェックサムが計算される、請求項に記載された方法。
【請求項8】
前記ディスプレイ駆動信号の検証は、予め定義された入力信号値および関連付けられた予め計算された基準チェックサムを記憶するメモリから、データを取得することを含む、請求項1乃至のうち何れか1項に記載された方法。
【請求項9】
さらに、少なくとも1つのピクセル位置を、前記チェックサムへの寄与から除外しながら、前記チェックサムが計算される、請求項1乃至のうち何れか1項に記載された方法。
【請求項10】
前記ピクセル値範囲内の少なくとも2つの要素が、前記チェックサムへの寄与から除外される、請求項1乃至9のうちの何れか1項に記載された方法。
【請求項11】
プログラマブル・コンピュータに対して、請求項1乃至10のうちの何れか1項に記載された方法を実行させるための命令を有するコンピュータ読取可能な記憶
【請求項12】
処理手段(102)に接続可能なビジュアル・ディスプレイ・モジュール(100; 200)であって、前記処理手段は、
入力信号(S1)を受信し、
予め定義された離散的なピクセル値範囲内のピクセル値を備え、ディスプレイ駆動信号(S2)におけるピクセル値に基づいて少なくとも1つの画像フレームのピクセルを表示するように適用されたビジュアル・ディスプレイ(101)を制御する、前記ディスプレイ駆動信号を、前記入力信号に基づいて生成するように適用され、
前記ビジュアル・ディスプレイ・モジュールは、
前記ディスプレイ駆動信号における前記ピクセル値に基づいて、各画像フレームの監督領域(311,312,313,314)のチェックサム(S4)を計算するように適用されたチェックサム抽出器(103)と、
前記チェックサムまたは前記チックサムから導出される値を、前記入力信号または前記入力信号から導出される信号と比較することによって、所与の画像フレームの前記ディスプレイ駆動信号を検証するように適用されたディスプレイ・スーパバイザ(104)とを備え、
前記処理手段と前記チェックサム抽出器との間に配置され、前記ピクセルによって伝送される前記ピクセル値が、前記ピクセル値範囲内の少なくとも1つの要素に等しいかどうかに基づいて、前記ピクセル値範囲内の前記少なくとも1つの要素を、前記チェックサムへの寄与から除外するように構成されたピクセル値選択構成要素(106)によって特徴付けられる、ビジュアル・ディスプレイ・モジュール。
【請求項13】
前記ピクセル値範囲内の除外された前記少なくとも1つの要素の各々は、前記ビジュアル・ディスプレイによって表示されるべきピクセル色に対応し、前記ピクセル値選択構成要素は、カラー・フィルタである、請求項12に記載されたビジュアル・ディスプレイ・モジュール。
【請求項14】
前記カラー・フィルタは、前記予め定義されたピクセル値範囲内の第1の要素を、第1の監督領域のチェックサムへの寄与から除外するように構成され、さらに、前記予め定義されたピクセル値範囲内の、前記第1の要素とは異なる第2の要素を、第2の監督領域のチェックサムへの寄与から除外するように構成された、請求項13に記載されたビジュアル・ディスプレイ・モジュール。
【請求項15】
前記処理手段は、部分的にオーバラップする監督領域において表示されるべき少なくとも2つの独立して変動する量を含む入力信号に基づいて前記ディスプレイ駆動信号を生成するように適用され、
前記ディスプレイ駆動信号は、前記ピクセル値範囲内の特定の要素を用いて、前記独立して変動する量のおのおのを表わすことによって生成され、この要素は、前記少なくとも2つの独立して変動する量のうちの他方の量を表わすためには使用されない、請求項12乃至14のうちの何れか1項に記載されたビジュアル・ディスプレイ・モジュール。
【請求項16】
異なる監督領域に属する前記特定の要素が、視覚的に判別不能なピクセル色に対応する、請求項15に記載されたビジュアル・ディスプレイ・モジュール。
【請求項17】
予め定義された入力信号値および関連付けられた予め計算された基準チェックサムを記憶するメモリ(105; 207)をさらに備える請求項12乃至16のうち何れか1項に記載されたビジュアル・ディスプレイ・モジュール。
【請求項18】
前記処理手段と前記チェックサム抽出器との間に配置され、少なくとも1つのピクセル位置を、前記チェックサムへの寄与から除外するように構成されたビットマスク・フィルタ(106)をさらに備える請求項12乃至17のうち何れか1項に記載されたビジュアル・ディスプレイ・モジュール。
【請求項19】
前記ピクセル値範囲内の少なくとも2つの要素が、前記チェックサムへの寄与から除外される、請求項12乃至18のうちの何れか1項に記載されたビジュアル・ディスプレイ・モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示された発明は、高い安全性要求が適合する環境において使用するためのビジュアル・ディスプレイに関する。より正確には、表示している情報を連続的に検証するように適用されたビジュアル・ディスプレイ・モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
公共交通車両であるオペレータのタクシーのように、電子的なビジュアル・ディスプレイが使用される安全上重要な環境では、このようなディスプレイが、故障した場合、誤った値を表示することによってオペレータをミスリードすることを阻止するための対策が講じられている。鉄道車両である特定のケースでは、オペレータに表示されるべき安全上重要な情報は、車両速度、ブレーキ圧力、エンジン温度、ドアの閉状態、および列車の連結状態を含む。
【0003】
ビジュアル・ディスプレイにおいて、人間が読取可能なフォーマットで表示されるべき(車両内に備えられているセンサによって測定される、測定値から計算される、または、データ・レジスタから読み取られる等の)物理量の値をエンコードする入力信号を考慮されたい。このディスプレイは、動作中、ディスプレイ画像の各ピクセルの値を示すディスプレイ駆動信号によって制御される。当業者に周知であるように、視覚者によって知覚されるディスプレイ画像は、ビジュアル・ディスプレイの最新の周波数において連続的に表示される画像のストリーム(フレーム)である。したがって、本明細書で使用されるように、ディスプレイ駆動信号は、フレーム内のすべてのピクセルの値を、予め定義されたある順序で列挙することによってエンコードし、その後、次のフレームのピクセルについて最初からやり直す。合成ディスプレイ駆動信号では、1つを超えるピクセルの値が、一度に列挙されうる。デジタル制御されたビジュアル・ディスプレイでは、ピクセル値は、有限数の要素を備える、予め定義された離散的なピクセル値範囲から選択される。ピクセル値範囲内の要素は、例えば、ビジュアル・ディスプレイによって生成されるべき特定のピクセル色に対応しうる。
【0004】
故障シナリオでは、入力信号に基づいてディスプレイ駆動信号を生成する処理において、エラー(例えば、ランタイム・エラー、プログラミング・エラー、またはその他の体系的なエラー)が生じる。この処理は、入力信号によってエンコードされた情報を、別の数字フォーマットに変換することと、所望の桁数へ丸めることと、適切な物理量の単位へ変換することと、数をビットマップ・テキスト画像として活字に組むことと、(恐らくは、範囲外の値をオペレータに警告するために、値に依存する手法で、)このテキスト画像に色を付けることと、テキスト画像を揃えることと、単位および量の注釈、ロゴタイプ、フレーム等のような一定のグラフィック要素を加えることと、のようないくつかのステップを含みうる。
【0005】
この種のビジュアル・ディスプレイおよび対応する安全尺度は、従来技術に記載されている。例えば、EP 2254039 A1として公開された出願人自身の出願は、本願の独立項のプリアンブルにしたがうビジュアル・ディスプレイ・モジュールを開示している。EP 2273369 A1およびEP 2353089 A1は、ディプレイ駆動信号が生成される処理ステップで生じたエラーを発見するために適用された検証機能を有するビジュアル・ディスプレイ・モジュールを記載している。
【0006】
US 2007/0046680 A1は、航空機計器フライト・ディスプレイを記載しており、
ここでは、ビデオ・グラフィック・プロセッサが、予め定義されたテスト・ページをレンダリングするためのディスプレイ駆動信号を断続的に生成する。完全性チェック機能は、メモリに記憶されている、テスト・ページのためのディスプレイ駆動信号から、チェックサムを抽出する。そして、これを、テスト・ページについて予期されたチェックサム値と比較する。
【0007】
US 2004/0249522 A1は、情報を送信するための、航空機に搭載されたシステムを記載している。本書で開示された第1の実施では、データ・ソースとして動作するアビオニクス・デバイスから、情報を表示するためのインタフェース手段へと、チェックサムが送信される。インタフェース手段は、受信したチェックサムを、受信した情報に基づいて計算されたチェックサムと比較する。代替実施では、インタフェース手段において計算されたチェックサムが、アビオニクス・デバイスへと返信され、ここで比較がなされる。両実施において、何れかのチェックサムが、表示されるべき情報として、同じデータ・リンクを介して送信される。
【0008】
US 6839055 B1は、ビデオ・データのエラー表示を提供するためのシステムを開示する。ここでは、診断ルーチンが、テスト・ビデオ・データのセットを生成し、生成されたエラー表示を、エラー状態を判定するために、標準的なエラー表示と比較する。エラー状態が存在すると判定されると、この結果に対するメッセージが、ディスプレイ上に表示される。
【0009】
これら周知のデバイスは、等価な検証に到達することを可能にする修正または改良、または、場合に応じては、少ない計算費用での故障表示によって、計算効率の観点から改善されうる。
【0010】
さらに、US 2011/157222 A1は、第1のより安全な領域と、第2のさほど安全ではない領域と、これら領域から生じるデータを表示するように適用されたモニタと、を備えるシステムに関する。領域は、組み込まれた航空機エレクトロニクス・システムとして定義される。異なるセキュリティ・レベルの領域にしたがって、システムは、ディスプレイのアクティブなゾーンまたは非アクティブなゾーンの何れかにおいて、対応するデータを表示するように適用され、ユーザ入力は、アクティブ・ゾーンを介してのみ入力される。システムは、ウィンドウおよび類似の入力手段がモニタ上に表示されると、これらに指示するためのアクティブ・ゾーンの数および範囲を適応させうる。より安全な領域は、各ゾーンについて表示可能な色を制御し、アクティブ・ゾーンではなく、非アクティブ・ゾーンにおいて、視覚的に明瞭な色構成を選択しうる。動作は、融合モジュールを含むディスプレイ管理コンピュータによって制御されうる。ここでは、セキュリティを強化するために、例えば、発生元が許可されていないデータを受信してモニタへ渡すことを融合モジュールに対して禁じることによって、融合モジュールと領域との間に配置された完全性制御が使用されうる。
【発明の概要】
【0011】
入力信号においてエンコードされた安全上重要な情報を、人間が読取可能な形式で表わすのに適したビジュアル・ディスプレイを提案することが本発明の目的である。計算上無駄のない安全性検証を伴うこの種のビジュアル・ディスプレイを提案することが第1の特定の目的である。容易に設定可能であること、および/または、制限された量の予め記憶された基準情報を用いて安全性検証が可能である、この種のビジュアル・ディスプレイを提案することが第2の特定の目的である。
【0012】
入力信号においてエンコードされた情報を、ビジュアル・ディスプレイに表わす方法が提供される。ビジュアル・ディスプレイは、予め定義された離散的なピクセル値範囲内のピクセル値を備えるディスプレイ駆動信号に基づいて、少なくとも1つの画像フレームを表示するように適応される。ピクセル値範囲は、1つのピクセルのために結合することが可能な、可能なピクセル値、または、成分値の有限の列挙であり、ピクセル値範囲は、整数のインタバル、または、このようなインタバルの結合である必要はない。この方法は、
・入力信号に基づいて、ビジュアル・ディスプレイを制御するディスプレイ駆動信号を生成することと、
・ディスプレイ駆動信号に基づいて、各画像フレームの監督領域のチェックサムを計算することと、
・チェックサムまたはチェックサムから導出される値を、入力信号または入力信号から導出される値と比較することによって、所与の画像フレームのためのディスプレイ駆動信号を検証することと、を備える。
この関係では、好適には連続フレーム間で不変である監督領域は、関連付けられたディスプレイ駆動信号値が、本方法による検証を受けるエリアを称する、ことが注目される。本明細書で使用されるように、監督領域は、ピクセル位置の任意の集合であり、関連するセット、または、特定の幾何学形状のセットに限定されないことが強調される。さらに、検証は、チェックサムと入力信号との間の直接的な比較に基づいてなされうるが、これら値のうちの1つまたは両方は、代わりに、チェックサムまたは入力信号から導出される値と交換され、チェックサムまたは入力信号のうちのそれぞれの現在の値とは独立して変動する。
【0013】
第1の態様によれば、検証に使用するチェックサムは、ピクセル値範囲内の少なくとも1つの要素を除外することにしたがって計算され、所与のフレーム内のこの要素に等しい値を伝送する何れのピクセルも、これらのピクセルが、監督領域に位置していない場合であっても、チェックサムに寄与しない。したがって、所与のフレームのチェックサムは、値を区別する方式で計算される。これによって、チェックサムは、ピクセル値範囲内の除外された要素のうちの何れかにディスプレイ駆動信号が割り当てたピクセルに関連するデータとは独立するようになる。
【0014】
第2の態様では、ビジュアル・ディスプレイ・モジュールは、入力信号に基づいてディスプレイ駆動信号を生成するための処理手段に、通信可能に接続されるように適応される。ビジュアル・ディスプレイに提供されるのに適したディスプレイ駆動信号は、予め定義された離散的なピクセル値範囲内のピクセル値を備える。チェックサム抽出器は、各画像フレームの監督領域のチェックサムを計算するように適応される。ディスプレイ・スーパバイザは、既に記載されたように、チェックサムと入力信号を比較することによって、または、等価な比較演算を実行することによって、所与の画像フレームのためのディスプレイ駆動信号を検証するように適応される。何れかの態様によれば、チェックサム抽出器は、ピクセル値範囲内の少なくとも1つの要素に等しいディスプレイ駆動信号のこのような値を除外するように構成されたカラー・フィルタによって先行され、これによって、このような値は、チェックサム抽出器によって計算されるチェックサムに寄与しないようになる。
【0015】
ビジュアル・ディスプレイ・モジュールは、分散方式で実施され、チェックサム抽出器、ディスプレイ・スーパバイザ、およびカラー・フィルタは、単一の1つ、2つ、または3つの物理ユニット内に配置されることが理解される。明らかに、その動作がビジュアル・ディスプレイ・モジュールによって監督されるべきである処理手段、およびビジュアル・ディスプレイのいずれも、本発明の本質的な部分ではない。このため、ビジュアル・ディスプレイ・モジュールは、カラー・フィルタ・チェックサム抽出器およびディスプレイ・スーパバイザを備えうる。処理手段は、ビジュアル・ディスプレイ・モジュールにおけるオプションの構成要素であり、ビジュアル・ディスプレイはさらに、処理手段が含まれていることとは独立して存在または不在しうるオプションの構成要素である。
【0016】
同様に、第1の態様にしたがう方法は、入力信号とディスプレイ駆動信号とを比較するための処理として具体化されうる。ディスプレイ駆動信号は、入力信号に基づいて、比較する処理を実行するエンティティとは異なるエンティティによって生成される。このため、比較する処理は、ディスプレイ駆動信号に基づいて、各画像フレームの監督領域のチェックサムを計算することであって、このチェックサムは、ピクセル値範囲内の少なくとも1つの要素を、チェックサムに寄与することから除外しながら計算される、計算することと、チェックサムまたはチェックサムから導出される値を、入力信号または入力信号から導出される値と比較することによって、所与の画像フレームのためのディスプレイ駆動信号を検証することと、からなる各ステップを含む。
【0017】
第1および第2の態様のおのおのにしたがって、本発明は、ディスプレイ駆動信号の検証(特に、チェックサム・ベースの検証)を提供する。これは、ピクセル値範囲の全体が、チェックサムに寄与することが許容される場合よりも、少ない合計計算量しか必要としない。この利点は、2つある。第1に、チェックサム自身が、より小さな入力データ・セット(または、少なくとも、値の大部分がニュートラルである入力データ・セット。次段落参照)を用いて計算される。第2に、チェックサムから値を導出する処理、あるいは、入力信号から値を導出する処理が、複雑ではなくなるので、比較処理がより単純になる。本発明は、監督されている情報ではない情報からの影響を正しく取り除きうるので、入力信号に基づいて生成された基準ディスプレイ駆動信号から抽出された基準チェックサムに対してチェックサムが検証されるすべての実施形態において、簡素化される可能性がある。なぜなら、適切に構成されたシステムでは、チェックサムは、監督されるべき入力信号におけるその情報によってのみ影響を受けるであろうからである。ベースとして入力信号内の情報を有する基準チェックサムが非ダイレクトな計算によって準備される場合、または基準チェックサムがメモリから取得される場合(以下参照)、同様の利点が得られるであろう。したがって、本発明の実施形態は、前述した第1の特定の目的を達成しうる。
【0018】
低減された合計計算量によって、所与のフレームの全体的なディスプレイ駆動信号を検証することができることに着目することが重要である。これは、ディスプレイ駆動信号におけるデータが(例えば、そのRGB成分にしたがって、または、有限のカラー・パレットにしたがって)分離され、出力されるべき肯定的な総合的な検証決定のために、すべてが肯定的な部分的検証決定をせねばならない並列的な検証処理によって取り扱われる、並列アプローチとは対照的である。これは、速度を高めうるが、計算量の合計量を低減しない。本発明にしたがうビジュアル・ディスプレイ・モジュールは、例えば、ピクセル値範囲内の除外される要素が、安全上重要ではないグラフィック・ユーザ・インタフェースにおけるこのような可変または不変のグラフィック構成部品に対応するように構成されているのであれば、従来技術のデバイスと同様に安全にされうる。
【0019】
値を伝送するピクセルを除外することは、チェックサム計算においてこれらピクセルを無視することによって実現され、これによって、各フレームについて、監督領域の適切なサブセットからの値に基づいてチェックサムが計算されることが注目される。あるいは、除外されるべきピクセルは、監督領域のすべてのピクセルに基づいて、チェックサムが計算される前に、(これらの寄与がチェックサム結果に影響を与えないという観点において)ニュートラルな値を割り当てられる。
【0020】
本発明は、独立項によって定義される。従属項は、有利な例示的な実施形態を定義する。
【0021】
1つの例示的な実施形態では、この方法を実行するセクション(例えば、ディスプレイ・スーパバイザ)はまず、チェックサム計算から除外されるべきピクセル値範囲内の1つまたは複数の要素および少なくとも1つの監督領域を特定するデータを受け取る。長方形状の監督領域は、その角のうちの2つによって特定されうる。好適には、1つの監督領域において除外されるべき要素を、その他任意の監督領域と独立して定義することが可能である。そのようなデータは、製造中、または、ビジュアル・ディスプレイ・モジュールに電源が投入される毎に実行する初期化中、のような設定フェーズにおいて受け取られうる。この実施形態では、監督領域の範囲、位置、サイズ等は、容易に再設定されうる。
【0022】
1つの例示的な実施形態では、入力信号は、ブレーキ圧力、車両速度、ライン電圧、ドア状態のような少なくとも2つの独立した可変量をエンコードする。これら2つの量は、(監督領域が同一的に一致するケースのみならず、1つの監督領域が他の監督領域に含まれるケースを含む)部分的にオーバラップしているフレームの監督領域において表わされる。オーバラップしている監督領域に対するこの表示の局在性は、入力信号においてエンコードされうるか、または、ビジュアル・ディスプレイにおける処理手段またはその他のレンダリング構成要素によってなされる決定にしたがって続きうる。ディスプレイ駆動信号は、ピクセル値範囲内の特定の要素を用いて、少なくとも2つの独立した可変量のおのおのを表わすことによって生成される。ここで、特定の要素は、少なくとも2つの独立した可変量のうちの他の量を表わすために使用される。この設定を用いて、異なる監督領域の特定の要素を寄与から除外しながら、所与の監督領域のチェックサムが計算される。本明細書で使用されるように、少なくとも、シーケンスにおけるいくつかのフレームにおいて、量の関数として変動する少なくとも1つのピクセルが存在するのであれば、特定の要素が、量を表わすために使用される。例えば、特定の要素は、テキストまたはシンボルの色、インジケータ・フィンガの色、および、テキスト、シンボル、またはグラフィック成分が描画される背景色に対応しうる。オーバラップしている他の監督領域における他の量を表わすために特定の要素が使用されていないのであれば、チェックサムは、他の量の変動からの干渉なしで計算されうる。これは、特に、他の監督領域とのオーバラップ・エリアにおける他の量を表わすために特定の要素が使用されていない場合、すなわち、他の量を表わし、ピクセル値範囲内の特定の要素に等しい値を仮定するピクセルが、2つの監督領域の交点にないケースである。オーバラップする監督領域が、検証に含まれる計算量を増加することなく定義される限りにおいては、これは有利である。一方、チェックサム計算の、値を区分するという特性は、入力信号における異なる量を表わすために使用されるこれらピクセルを分離する。例えば、おのおのが長方形状の監督領域に含まれている密にパックされた循環式ダイヤルにおいて、複数の量の現在値を表わすことが可能である。
【0023】
前述した例示的な実施形態に対するバリエーションにおいて、予め定義されたピクセル値範囲内の第1の要素を、第1の監督領域のチェックサムへの寄与から除外するステップと、第1の要素とは異なる、予め定義されたピクセル値範囲内の第2の要素を、第2の監督領域のチェックサムへの寄与から除外するように構成されることとは、独立して実行される。すなわち、2つ以上の独立した可変量が異なって表わされる特定のレイアウトにおいて、部分的にオーバラップする監督領域が、ビジュアル・ディスプレイ・モジュール以外のエンティティによって達成される(例えば、レイアウトが、入力信号においてエンコードされる)のであれば、本発明は、単に、チェックサムへの寄与から、他の量に関連付けられた特定の要素を除外する対策に関連しうる。
【0024】
2つの先行する例示的な実施形態のうちの何れかの有利な更なる発展では、異なる量を表わすために、ピクセル値範囲内の異なる特定の要素が使用される場合、特定の要素は、視覚的に判別不能なピクセル色に対応する。しかしながら、特定の要素は、機械が判別可能な値によってエンコードされるので、それぞれのチェックサムは、分離方式で計算され、これによって、1つの量の変動は、他の量に関連付けられたチェックサムに影響を与えない。例えば、平均的な人間の視覚者は、RGBコード化された色(R,G,B)=(255,0,0)、(R,G,B)=(254,0,0)、および(R,G,B)=(253,0,0)を同じ赤色として知覚するであろう。異なっているが視覚的に判別不能な色によって、すなわちユーザが知ることなく、異なる量を表すオプションであるという点で、これは有利であり、個別のチェックサム制御信号等を提供するために、ディスプレイ駆動信号に、さらなるレイヤを加える必要性を除去する。ダッシュボードにおけるメータ・パネルにおける、視覚的に異なる色の数を低減することは、美学的にも、より好ましいことでありうる。
【0025】
前述した例示的な実施形態のさらなる発展では、ディスプレイ駆動信号生成は、ピクセル値範囲内の非特定の要素が、監督領域のうちの少なくとも2つにおいて使用されるステップを含む。非特定の要素は、例えば、安全上重要ではないシンボルまたは背景のために使用されうる。所与の監督領域のチックサムの計算では、任意の異なる監督領域の特定の要素と、非特定の要素との両方が、寄与から除外される。特に、非特定の要素は、所与の監督領域と少なくとも部分的にオーバラップする監督領域において使用されているのであれば、寄与から除外されうる。
【0026】
1つの例示的な実施形態では、ディスプレイ駆動信号の検証は、予め定義された入力信号値と、関連付けられた予め計算された基準チェックサムとを記憶するメモリ(またはルックアップ・テーブル)からデータを取得することを含む。これは、基準ディスプレイ駆動信号を生成し、ここからチェックサムを抽出することによって、基準チェックサムが生成されるケースと比較して、計算負荷およびハードウェア費用を著しく低減しうる。1つの実施では、入力信号値は、実際のチェックサムと比較される、対応する基準チェックサムを取得するために使用される。別の実施では、チェックサムは、実際の入力信号値と比較される、対応する予め定義された入力信号値を取得するために使用される。何れにせよ、チェックサム計算の、値を区別するという特性は、メモリに記憶されるべきエントリの数を制限する。
【0027】
第1のシナリオでは、N個の個別の状態を有する第1の量が、第1の監督領域において表示されるべきであり、N個の個別の状態を有する第2の量が、第1の監督領域と少なくとも部分的にオーバラップする第2の監督領域において表示されるべきであることが仮定される。従来技術によれば、第2の量のN個の状態のうちのいくつかが、チェックサムが変動しうる方式で、第1の監督領域の外観に影響を与えるのであれば、メモリは、第1の量と第2の量との値の組み合わせの数に対応するN×N個のエントリを記憶する必要がある。しかしながら、現在の例示的な実施形態によれば、第1および第2の量の変動は、その表示のためにピクセル値範囲内の異なる要素を用いることによって分離されうる。さらに、第1の監督領域のチェックサムは、第2の量とは独立しているので、メモリは、単にN個のエントリを記憶するだけでよい。同様に、第2の監督領域に関連するエントリの数は、異なる第2の量の値Nに限定されうる。
【0028】
第2のシナリオでは、チェックサムによって検証されるべき安全上重要な量と、チェックサムに関する限り無視されうる安全上重要ではない量との両方を表すために、所与の監督領域が使用される。従来技術によれば、安全上重要な量のおのおのの個別の値は、安全上重要ではない量によって仮定されるすべての可能な値と結合し、対応する数の異なるチェックサムに至りうる。しかしながら、この例示的な実施形態によれば、安全上重要ではない量は、その監督領域のチェックサムへの寄与から除外されたピクセル値範囲内の要素を用いて表わされうる。例えば、シンボルとその背景との両方のために使用される色は、除外された要素であり、これによって、無視された数のピクセルが、異なるフレーム間で一定に保たれ、直接的または間接的かの何れかによって、チェックサムに影響を与えないようになる。
【0029】
両シナリオでは、それぞれの量が、特定の要素を用いて表わされ、監督領域のチェックサムが、値を区別する方式で計算されるのであれば、(例えば、予備的な設定手順において、)それに従って、メモリに記憶されるべきデータを生成するために必要とされる負荷が減少するであろう。
【0030】
例示的な実施形態では、ピクセル値範囲内の除外された要素は、ビジュアル・ディスプレイによって生成されるべきピクセル色に対応する。色(またはカラー・ポイント)の概念は、広く理解されるべきである。例えば、本発明の例示的な実施形態は、チェックサム計算の目的のために、同じ色相だが異なる彩度を持つ色を、異なる色として取り扱いうる。RGB表現では、そのような色は、例えば、ほとんど同じ色相を有するライト・グレー(R,G,B)=(221,221,221)、ノーマル・グレー(R,G,B)=(204,204,204)、さらにはグリーン・シェード(R,G,B)=(0,255,127)および(R,G,B)=(0,238,118)のように、同じ比率を持つ三原色に対応する。
【0031】
例示的な実施形態では、ピクセル値範囲内の少なくとも2つの要素が、チェックサムへの寄与から除外される。寄与するピクセルの数が、連続した画像フレーム間で一定に保たれる限り、すなわち、ピクセル値範囲内の除外された要素が、可変の前景成分(例えば、監督されるべき量に関連していないテキストまたはシンボル)のために使用され、背景成分のために使用されていないのであれば、この例示的な実施形態は有利である。除外された色を用いてP個のピクセルを占有するこのように無関係のシンボルが、仮説的に、チェックサムに対しておのおの3ユニットまで寄与しているQ個の背景ピクセルをさらに含む監督領域において生成されるのであれば、他の可能な変動が無視される場合、シンボルがもはや生成されないのであれば、後続するフレームにおける同じ監督領域のチェックサムが、3×Pまで増加するであろう。しかしながら、本例示的な実施形態によれば、
背景色とシンボル色との両方が、寄与から除外され、これによって、チェックサムは、シンボルによって表わされる無関係な量における変動と独立するようになる。
【0032】
例示的な実施形態では、ビジュアル・ディスプレイ・モジュールはさらに、1つまたは複数の指定されたピクセル位置を、チェックサムへの寄与から除外するように動作可能なビットマスク機能を有する。ビットマスク機能は、ビットマスク・フィルタにおいて実現されうる。適用されるべきビットマスクは、異なる画像フレームについて独立して、および/または、各監督領域について独立して、構成されうる。1つの実施では、ディスプレイ・ビューにおけるすべての監督領域のために定義され(たとえば、特定のメニューまたは特定の動作モードに関連付けられた)、そのディスプレイ・ビューのために変わらないピクセル位置のセットがビットマスクである。異なる実施では、ビットマスクにおけるピクセルは、使用されている慣例に依存して、寄与しているピクセルであるか、寄与していないピクセルかの何れかでありうる。
【0033】
この機能は、本発明の他の特徴とは独立して実現されうることが注目される。このため、本発明は、
・入力信号に基づいて、ビジュアル・ディスプレイを制御するディスプレイ駆動信号を生成することと、
・ディスプレイ駆動信号に基づいて、各画像フレームの監督領域のチェックサムを計算することであって、チェックサムは、少なくとも1つのピクセル位置をチェックサムへの寄与から除外しながら計算される、計算することと、
・チェックサムまたはチェックサムから導出される値を、入力信号または入力信号から導出される値と比較することによって、所与の画像フレームのディスプレイ駆動信号を検証することと、を備える方法として具体化されうる。
同様に、本発明は、前述したものと同じ機能構成要素を持つが、必ずしもカラー・フィルタを備えている必要は無く、代わりに、処理手段とチェックサム抽出器との間に配置され、少なくとも1つのピクセル位置がチェックサムへの寄与から除外するように構成されたビットマスク・フィルタを備えるビジュアル・ディスプレイ・モジュールとして具体化されうる。
【0034】
このため、本発明のさまざまな実施形態は、次のオプションを提示しうる。値区別のみ、ビットマスクのみ、または、ビットマスクと値区別との組み合わせ。値区別は、
・2つの(部分的に)オーバラップする監督領域における安全性に関連する量が、ピクセル値範囲内の異なる要素を用いて表わされているのであれば、前述したように、これら領域のチェックサム分離を達成するために、および、
・その位置および/または色(例えば、回転インジケータ・フィンガ)に関して変動し、チェックサムによって監督される量を表すグラフィック要素によって交差またはカバーされる安全性に関連するまたは安全性に関連しないシンボルからの影響を除去するために、効果的であることが注目される。シンボルは、安全性に関連しているのであれば、一般的なケースではないが、各監督領域についてビットマスクが独立して定義できない(すなわち、監督領域が任意の形状を有しうる)のであれば、ビットマスクを用いることによって、除外されることはない。
(そのような値区別アプローチは、その色が現在の速度制限の関数として変化する円周状の端部に向かって伸びるインジケータ・フィンガを持つスピードメータ・パネルに適用されうる。この状況では、インジケータ・フィンガを表わすために使用される色が、チェックサムに寄与する一方、端部が仮定しうる色は、好適には除外される。)ビットマスクは、
・監督領域において表わされている安全性に関連していないシンボルからの影響を除去するために効果的である。この状況では、特に、シンボルが、消えたり、再出現することによって変動する場合、値を区別するよりもビットマスクを用いることが好適でありうる。なぜなら、安全性に関連しないシンボルの変動は、チェックサムに寄与するピクセル数の変化をもたらし、その値を変化させるからである。また、ビットマスクは、
・その位置および/または色に関して変動し、チェックサムによって監督される値を表すグラフィック要素(例えば、回転インジケータ・フィンガ)によって交差またはカバーされている安全性に関連しないシンボルからの影響を除去するために効果的である。
【0035】
ビットマスキングと値区別との組み合わせは、1つは安全性に関連しており、他は安全性に関連しておらず、その場所および/または色に関して変動する(さらには、チェックサムによって監督されている量を表す)グラフィック要素によって交差またはカバーされてる、2つのシンボルの影響を除去するために効果的である。
【0036】
本発明はまた、本発明の第1の態様にしたがう方法を、プログラマブル・コンピュータに対して実行させるように動作可能なコンピュータ実行可能な命令群を有するコンピュータ読取可能な媒体を含むコンピュータ・プログラム製品として具体化されうる。コンピュータ読取可能な媒体は、コンピュータ記憶媒体(または非一時的な媒体)および通信媒体(または一時的な媒体)を備えうる。当業者に周知であるように、コンピュータ記憶媒体という用語は、コンピュータ読取可能な命令群、データ命令群、プログラム・モジュール、またはその他のデータのような情報を記憶するための任意の方法または技法において実現される揮発性および不揮発性、リムーバブルおよび非リムーバブルの両方の媒体を含みうる。コンピュータ記憶媒体は、限定される訳ではないが、RAM、ROM、EEPROM(登録商標)、フラッシュ・メモリ、または他のメモリ技術、コンパクト・ディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)またはその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置またはその他の磁気記憶装置、あるいは所望の情報を記憶するために使用され、コンピュータによってアクセスされうるその他任意の媒体を含む。さらに、通信媒体は一般に、コンピュータ読取可能な命令群と、データ命令群と、プログラム・モジュールと、搬送波またはその他の伝送メカニズムのような変調されたデータ信号におけるその他のデータとを具体化しており、任意の情報配信媒体を含むことが当業者に周知である。
【0037】
本発明は、たとえ相互に異なる請求項に記載されていても、すべての機能の組み合わせに関連していることが強調される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
本発明の実施形態は、添付図面を参照して記載されるであろう。
図1図1は、本発明の例示的な実施形態にしたがうビジュアル・ディスプレイ・モジュールの一般化されたブロック図である。
図2図2は、本発明の例示的な実施形態にしたがうビジュアル・ディスプレイ・モジュールの一般化されたブロック図である。
図3図3は、図1または図2にしたがってビジュアル・ディスプレイ・モジュールにおいて生成されたディスプレイ駆動信号によって制御されるディスプレイによって生成されるべき例示的なスクリーン画像を図示する。
【0039】
すべての図面は、概念的であって、一般に、本発明を解明するために必要な部分のみを図示している一方、他の部分は、省略されているか、または単に言及されているに過ぎない。別の方法で示されていないのであれば、同一の参照番号が、別の図面でも同一部位を参照している。
【発明を実施するための形態】
【0040】
本明細書で使用されるように、チェックサム(またはハッシュ・サムまたはダイジェスト)は、ピクセルのセットのデジタル値の非単射決定論的関数(ハッシュ関数)の値である。離散値を伴う非単射関数は、ランク不足として称されうる。チェックサムの値は、チェックサムが実施されるコンピュータ・システムのワード長さと一致することも、しないこともあるビット数を有する数値である。当業者に知られているように、チェックサムは、理想的には宛先において同一のコピーを伝送するデータ送信によってもたらされる誤りを検出するために使用される。これは、データと並行して第1のチェックサムを送信することによって、および、送信されたデータに基づいて計算された第2のチェックサムが第1のチェックサムと一致することをチェックすることによって、達成されうる。チェックサムの非単射性によって、この処理は、送信されるべき情報の2倍未満である総量のデータを送信することを要する。2つチェックサムしか比較されないので、これはさらに比較負荷を軽減する。
【0041】
本発明によれば、特定の値区別方式で計算されたチェックサムは、組み合わされた処理および(内部)送信処理の正しさ、すなわち、ディスプレイ画像の型式で入力信号によってエンコードされた情報の、人間が読取可能な表現を生成するためのディスプレイ駆動信号の生成および取扱いを検証するために利用される。そのような処理は入力信号の同一コピーを生成しないが、その結果は、未だに決定論的ではなく、入力信号が知られると、予測されうる。個々のフレームは、テスト処理中等のみならず、ディスプレイ・モジュールの動作中に連続的に検証されることが強調される。
【0042】
上記定義にしたがって続くように、ディスプレイ駆動信号は、ディスプレイによって生成されるべき、かつ、視覚可能な画像を生成するための、ピクセル値のシーケンスを備える。好適には、ディスプレイは、単一のピクセル値を表わす時間セグメントを構成するディスプレイ駆動信号によって制御される。この信号はその後、信号のさらなる処理が生じないという観点において、「使用準備可能」となる。したがって、ディスプレイ画像とディスプレイ駆動信号との間の不一致を引き起こす処理誤りのリスクが非常に制限される。入力信号とディスプレイ駆動信号との間の相違を引き起こす処理誤りのリスクは、一般に、より高くなる。
【0043】
本発明にしたがうビジュアル・ディスプレイ・モジュールは、陰極線管(CRT)技術に基づいたテレビジョン受信機のような完全に受動式のディスプレイ・スクリーンを含みうる。ここでは、ライン終了のような制御コマンドが、ディスプレイ駆動信号に直接的に含まれる。このようなスクリーンは、存在しないピクセルに対処することによって、その能力を超えて駆動されるのであれば、ディスプレイ駆動信号は、通常、無視され、エラー・メッセージが表示される。ディスプレイ駆動信号のこのシーケンシャルな特性は、薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(TFT LCD)のようなより最近のディスプレイ技術のうちのいくつかによって継承されており、そこでは、個々のピクセルのカラー・ポイントが、それぞれのピクセルに関連付けられたトランジスタ・スイッチによって制御されうる。一般的なTFTは、ディスプレイ駆動信号をデジタル的に受信するか、または、アナログ・ディスプレイ駆動信号からの離散的な値をサンプルし、これによって、CRTディスプレイにおける電子ビームの動きをエミュレートし、各サンプルを、関連するトランジスタ・スイッチに転送するように構成されている。サンプリング構成および転送構成は、ディスプレイ駆動信号によって同期化されるが、そこでエンコードされる情報とは独立している。CRTディスプレイのものに類似した一般的な保護回路によって、そのような構成における欠陥は、LCD全体を動作不能にするバス・エラー(アウト・オブ・レンジ・アドレシング)に等しい状態に導く。したがって、このパラグラフで説明される理由によって、スクリーン上に現れる乱れた情報のリスクが制限される。また、適切な安全規格にしたがって分類されるディスプレイ・ハードウェアを選択することによって、および/または、2つの独立したバックライト・コントローラのような冗長なハードウェアを含めることによって、ディスプレイ・モジュールの設計を通じて抑制されうる。安全性検証のためにしばしば面倒になりうるいくつかのタイプのソフトウェアとは異なり、ディスプレイ・ハードウェアは、一般に、制限された費用で分類されうる。
【0044】
同様に、入力信号をビジュアル・ディスプレイ・モジュールへ送信するための信頼された通信チャネルを設定するために、一般には、比較的制限された費用および労力しか必要としないであろう。
【0045】
ディスプレイ駆動信号は、例えば、低電圧差分シグナリング(LVDS)または遷移最小差分シグナリング(TMDS)によって、処理手段からディスプレイへと送信されうる。これは、少ない電磁的干渉しか生成せずに、高い送信レートを可能にする。並列バス、または、並列的なシングル・エンド・シグナリングのためのその他手段が、代替的に使用されうる。産業界において使用されるディスプレイ駆動信号フォーマットのいくつかの例は、VGA、SVGA、XGA、SXGA、UXGAである。これらは、シングル・エンド並列送信線を介してディスプレイに提供されうる。デジタル・フォーマットはまた、LVDSまたはTMDSシグナリングによっても提供されうる。
【0046】
図1は、本発明にしたがうビジュアル・ディスプレイ・モジュール(ヒューマン・マシン・インタフェース)100を図式的に図示する。入力信号S1は、処理手段102およびチェックサム予測部105の両方に提供される。入力信号S1に基づいて、処理手段102は、ディスプレイ101へ提供されるべきディスプレイ駆動信号S2を生成するように適合されている。LVDS、TMDS、並列またはその他の適切なシグナリング(以下参照)によって送信されうる信号S2は、ピクセル値のストリームをエンコードし、実質的にさらなる処理無しで、ディスプレイ101によって使用されうる。入力信号S1はまた、ディスプレイ・フレームの監督領域の基準チェックサムS5を生成するために、チェックサム予測部105によって使用される。チェックサム予測部105は、予め定義された入力信号値と、関連付けられた予め計算された基準チェックサムとを記憶するメモリ(またはハッシュ・テーブル)として実現されうるか、あるいは、基準チェックサム計算部(図示せず)が後続する処理手段102に並列して、基準ディスプレイ駆動信号を生成するように構成されたプロセッサ(図示せず)として実現されうる。ディスプレイ駆動信号S2の正確さを検証するために、ディスプレイ駆動信号S2に基づいてチェックサム抽出器103によって生成されたチェックサムS4が、ディスプレイ・スーパバイザ104によって、基準チェックサムS5と比較される。ディスプレイ・スーパバイザ104が検出するチェックサムS4と基準チェックサムS5との間の相違は、誤り信号S6を生成する。これは、ユーザに見えるまたは聞きえる信号の起動(例えば、ディスプレイの完全または部分的なブランキング、または電源からの切断)または入力信号S1の受信の中断のような適切な安全性測定をトリガしうる。これは、ビジュアル・ディスプレイ・モジュール100に、周囲の故障しているユニットを通知する。チェックサム抽出器103の上流には、ディスプレイ駆動信号S2におけるピクセル値が、チェックサムS4に寄与することを阻止する値選択(または値区別)構成要素として動作するカラー・フィルタ106が配置されている。この目的のために、カラー・フィルタ106は、ディスプレイ駆動信号S2に基づいて、フィルタされたディスプレイ駆動信号S3を出力する。カラー・フィルタ106では、ピクセル値範囲内の除外された要素に等しいピクセル値(上記参照)が、省略されるか、または、ニュートラルな値によって置き換えられる。あるいは、チェックサム抽出器103内に、値区別機能が統合されうる。
【0047】
図1に図示される実施形態に対するバリエーションでは、フィルタされたディスプレイ駆動信号S3が、ビットマスク機能を有するビットマスク・フィルタ106によって提供される。ビットマスク・フィルタ106は、ディスプレイ駆動信号S2を入力し、設定可能なビットマスクにおけるピクセル位置に対応するピクセル値を特定し、これらピクセル値を省略するか、または、ニュートラルな値によって置き換える。図1におけるカラー・フィルタ106によって完了される動作を置き換えると言われるこの処理の結果は、フィルタされたディスプレイ駆動信号S3であり、これは、前述したものと同様に、チェックサム抽出器103へ提供される。
【0048】
さらなるバリエーションでは、図1のカラー・フィルタ106が、組み合わされたビットマスクおよびカラー・フィルタによって置き換えられる。このような組み合わされたフィルタにおいて、チェックサムは、所与のピクセルについて、以下をチェックすることによって計算されうる。
・ピクセルが、計算されるべきチェックサムに関連付けられた監督領域にあるか否か。
・カラー・フィルタがアクティブであるか否か。
oもしもアクティブであれば、ピクセルは、除外されるべきピクセル範囲内の値を伝送しているか否か。
・ビットマスク・フィルタリングがアクティブであるか否か。
oもしもアクティブであれば、ピクセルは、除外されるべきピクセル位置にあるか否か。
これらのチェックは、上記の順序で好適に実行される。各ステップの結果に依存して、これら処理は、次のステップに進み、(例えば、ピクセルが、関連している領域外にある場合に)ピクセルを除外する決定によって中断されるか、または、ピクセルを含めるという決定(例えば、ピクセルは、監督領域内にあり、除外されていない色を有し、ビットマスク・フィルタリングが、非アクティブである)によって中断される。
【0049】
図2は、代替レイアウトを備えたビジュアル・ディスプレイ・モジュール200を図示する。チェックサムS4に基づいて、ルックアップ・テーブル207(またはメモリ)は、現在のチェックサム値に関連付けられた少なくとも1つの可能な入力信号値S7を返す。この目的のために、ルックアップ・テーブル207は、予め定義された入力信号値および関連付けられた予め計算された基準チェックサムを記憶する。チェックサム関数は典型的には非単射であるので、所与のチェックサム値となる1つよりも多くの個別の入力信号値が存在する。このビジュアル・ディスプレイ・モジュール200では、ディスプレイ・スーパバイザ104は、実際の入力信号値S1を受け取り、これを、各フレームについて、少なくとも1つの対応する可能な入力信号値S7と比較しうる。ディスプレイ・スーパバイザ104は、少なくとも1つの一致を検知すると、ディスプレイ駆動信号S2を、現在のフレームについて検証されたものであると考慮しうる。これは、ディスプレイ・スーパバイザ104から、否定的な誤り信号S6を出力することによってシグナルされ、ビジュアル・ディスプレイ・モジュール200が正常に動作していることが示される。
【0050】
明らかに、前述したビットマスク・フィルタリングを含むバリエーションは、図2に図示されたビジュアル・ディスプレイ・モジュールでも同様に実施されうる。
【0051】
前述したハードウェア構成要素は、マイクロプロセッサまたはマイクロコントローラの一種であり、1つの物理的なハードウェア・ユニットが、2つ以上の処理タスクを担当しうる。しかしながら、所望の安全性保全レベルを保証するために、ディスプレイ駆動信号を生成することを担当するユニットは、ハードウェア故障が両動作に影響を与えることによって無視される誤りのリスクを低減するために、好適には、ディスプレイ駆動信号を検証することに関連するユニットから分離されている。チェックサム抽出器は、好適には、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、特定用途向けIC(ASIC)、システム・オン・チップ等であることが注目される。
【0052】
処理手段102にフレーム・バッファを含めることは有益でありうる。これは、ディスプレイ101がディスプレイ駆動信号S2を受け取るように適合されたレートから時々刻々と変化するレートで、ディスプレイ駆動信号S2の生成がなされることを可能にするであろう。そのような非同期処理をサポートするために、不一致が許容されるスライディング・タイム・ウィンドウを定義することが適切でありうる。より正確には、ディスプレイ・スーパバイザ104は、チェックサムS4および基準チェックサムS5が乖離する孤立した誤りまたは短いエピソードを無視するようにプログラムされうる。なぜなら、このような非同期なエピソードは、表示されるべき量が経時的に変化する場合に、通常の計算遅延およびアルゴリズム遅延の結果として、健全なビジュアル・ディスプレイ・モジュールにおいても生じうるからである。この代わりとして、タイム・スタンプまたはフレーム番号スタンプが、チェックサムに適用されうる。
【0053】
チェックサムの計算およびチェックサムの比較に関連するユニットは、ビジュアル・ディスプレイ・モジュール100の安全規格(例えば、特に、鉄道アプリケーションの場合、EN 50128を参照)にしたがって、信頼されたソフトウェアを実行しうる。図1および図2に図示されるレイアウトの利点は、処理手段102が、安全性を保証される必要がないことである。これは、今後のソフトウェア更新を容易にし、さらに、グラフィック・ライブラリ等のためのソフトウェア・サプライヤを選択する際におけるより大きな自由度を意味する。さらに、それは、ソフトウェア安全性のための産業規格にしたがって製造される必要のあるソフトウェア・コードの数を制限する。
【0054】
1つの例示的な実施形態では、入力信号S1=0110 0010 0000 1101は、車両の速度を時間毎のメートルで表わす整数の2進数表現として解釈される。2進数−デジタル変換器は、この数を、信号S11=24845によってエンコードされたような10進数の型式に変換する。再スケール・セクションは、この数を、所望の単位である、時間毎のキロメートルに変換し、1つの10の位に丸める。この数は、信号S12=24.8によってエンコードされる。タイプセット・ユニットは、18×7ピクセルのパターンの数のピクセル表現を生成するために、フォントを使用する。この情報は、S2=011000001000001100 L 100100011000010010 L 100100101000010010 L 001001001 … で始まるディスプレイ駆動信号によって通信される。ここで、Lは、ライン・ブレークであり、0および1は、ビジュアル・ディスプレイ101によって表示されるべき異なるピクセル色を称する。
【0055】
この例示的な実施形態およびその他の例示的な実施形態では、処理手段102は、以下の動作のうちの1つまたは複数を実行するための機能セクションを備えうる。
・数値を丸め、フォーマットすること。
・ともに車両の燃費を測定するための単位である、ガロン毎のマイルと、100キロメータ毎のリットルとの間のような、線形または非線形の単位変換。
・例えば、選択された言語におけるプレーン・テキストのような数値的なエラー・コードを復号することによる、入力信号によってエンコードされた論理値を表わすテキスト表現の生成。
・ラスタライズ化されたベクトル・コード・フォントを用いることによる、数値または論理値で表現されたピクセルの生成。
・例えば、この値を示すアナログ・ポインタ機器の画像、または、時間進展を示す関数プロットのような、数値のグラフィック・ピクセル表現の生成。
・範囲外の値をユーザに警告するために、入力信号または別の入力信号(例えば、速度制限)の実際の値に依存するカラーリングのようなさらなるフォーマッティング。
・ディスプレイに適合させるための(解像度、カラー・コーディング、リフレッシュ・レート等に関する)さまざまなビデオ・フォーマット間の変換。および
・異なる量の値を表わす、または、情報を導く、ピクセル・ブロックの組み合わせ。
【0056】
以下の議論では、一般的なチェックサムがH(P)として表わされる。ここで、Hは、ハッシュ関数であり、Pは、チェックサムに寄与するすべての値のセットである。
【0057】
モノクロ・ディスプレイ駆動信号S2の場合、単純なチェックサムは、監督領域におけるピクセル値の合計からなり、値1がアクティブなピクセルを示し、値0が非アクティブなピクセルを示すか、合計モジュロが固定数である。
【0058】
ディスプレイ101がカラー・ディスプレイである場合、ディスプレイ駆動信号S2は、予め定義されたパレットによって、カラー・ポイントに関連付けられた色番号として、各ピクセルをエンコードする。例示するために、24ビットの赤−緑−青(RGB)パレットにおける各色は、範囲[0,255]内の整数からなる色の三原色(r,g,b)によって、または、24ビットのバイナリ色番号216r+2g+bによって等価的に特徴付けられる。これは、ピクセル値範囲が、離散的なセットR=[0,255]であることにしたがう。その後、チェックサムは、監督領域におけるピクセルの色番号の合計となりうる。前述したチェックサムの生成は、あまり煩雑にはならないが、色番号の最後のビットのみを総和することによって、または、固定数の色番号モジュロを総和することによって、さらに容易とされうる。一例であって、限定することなく、さらに可能なチェックサムは、
【数1】
【0059】
を含みうる。ここで、P{(r,g,b):i∈I}は、監督領域におけるピクセルによって伝送されるすべての色の三原色(r,g,b)のセットであり、sは、一定の整数であり、ρ,γ,β,qは、一定のゼロではない整数である。チェックサムH(P)およびH(P)は、セットI内のすべてのインデクスiにわたる総和によって計算され、一般的なチェックサムH(P)は、同じ方式で計算されるであろう。IEEE 802.3ネットワーキング規格は、特にCRC−32のような、本発明に関連して使用されるのに適したいくつかのチェックサムを開示する。
【0060】
本発明の実施形態では、パリティ・ビット、モジュロ合計、位置依存モジュロ合計等のような誤り訂正チェックサムもまた使用されうる。本発明の例示的な実施形態では、監督領域におけるいくつかのピクセルが、これらの値に基づいて、チェックサムへの寄与から除外される。したがって、前のパラグラフと同じ表記法を用いて、これらの実施形態は、チェックサムH(P’),H(P’)またはH(P’)として使用しうる。ここで、低減されたピクセル・セット
【数2】
【0061】
であり、ここで、(R,G,B)および(R,G,B)は除外された色である。除外された色は、ピクセル値セットR、すなわち、(R,G,B)∈Rおよび(R,G,B)∈Rである。あるいは、低減されたピクセル・セットは、
【数3】
【0062】
のように、除外されていない色(R11,G11,B11)∈Rおよび(R12,G12,B12)∈Rに関して定義され、対応するチェックサムは、H(P’’),H(P’’),H(P’’)である。ピクセル・セットPが、一定数のピクセル、すなわち、1つの監督領域を含んでいる場合、何れかの表示にしたがって低減されたピクセル・セットP’,P’’の濃度は、ディスプレイ101によって生成されるべきスクリーン画像を決定する入力信号にしたがって、異なる画像フレーム間で変動しうる。注目されるように、基準チェックサムS5の生成と、可能な入力値S7の取得とは、メモリが予め計算されたチェックサムを記憶することによって有利に達成されうる。入力信号によってエンコードされた数値または論理値のピクセル表現は常に同じ手法で生成されるので、これは可能である。表1は、チェックサムを記憶している例示的なルックアップ・テーブルの内容を示している。第1および第2のカラムは、入力信号S1の値を、それぞれ2進数形式および10進数形式で示し、第3のカラムは、対応するチェックサムまたは基準チェックサムを示している。
【表1】
【0063】
この例において、入力信号の10進数表現は、有効数字3桁に丸められ、これによって、24750および24751は、ディスプレイ101上で同一の手法で表わされ、その結果、対応するチェックサムは、同一になるであろう。図2におけるルックアップ・テーブル207が、この情報に基づいて動作する場合、43に等しいチェックサム値は、110 000 010 101 110,110 000 010 101 111等のような複数の可能な入力信号値を返すであろうことが注目される。ディスプレイ・スーパバイザ104が、これらのうちの何れかが、実際の入力信号値S1に一致すると判定すると、ディスプレイ駆動信号は、正しいと考えられるであろう。
【0064】
図3は、ディスプレイ駆動信号S2にしたがってディスプレイ101によって生成されるべき例示的なスクリーン画像300を図示しており、安全上重要な量V,V,V,Vを視覚化するために、密にパックされた非長方形状のメータ・パネル301,302,303,304の外観を持つ複数のピクセル・パターンを含んでいる。メータ・パネル302のうちの1つでは、安全上重要ではない量V,Vに対応するさらなる2つの状態インジケータ305,306がある。メータ・パネル301,302,303,304において表わされる量V,V,V,Vは、安全上重要であるので、それぞれの監督領域311,312,313,314に含まれている。経済的なチェックサム計算のため、および、オーバラップの回避のために、監督領域311,312,313,314は、最小サイズで定義されている。これにも関わらず、隣接する監督領域(例えば、312および314)間、および、監督領域と隣接するメータ・パネル(例えば、311および302)との間にさえもいくつかのオーバラップが存在する。上記で説明したように、第1の量が表わされる所与の監督領域の状態空間は、その監督領域のチェックサムが、第1の量とは独立して変動する第2の量によって影響を受ける場合、相当大きくなりうる。これは、隣接する監督領域とオーバラップする画像300内の監督領域と、状態インジケータ305,306が配置されている特定の監督領域312との両方に当てはまる。各状態インジケータ305,306は、他方とは独立している2つの状態にありうると仮定すると、監督領域312におけるピクセルは、メータ・パネル302上に表わされるべき主要な量の個別の数値の4倍であると仮定しうる。
【0065】
本発明の例示的な実施形態は、監督領域311,312,313,314のおのおののチェックサムは、異なる量V,V,V,V,V,Vのうちの1つによってのみ影響される。この分離は、カラー・パレットPi={Ci1,Ci2,Ci3,…}によってi番目の量Vを表わすことによって取得されうる。ここで、kではないすべてのiについて、P ∩ P=φのように、Cij∈Rであり、パレットは、交わらない。すべてのカラー・パレットが交わらない必要はないが、オーバラップしている監督領域における量を表わすために使用されるパレットは交わらない。さらに、すべての監督領域に共通の1つまたは複数のニュートラルな色が使用されうる。(添付された特許請求の範囲の観点では、パレットにおけるカラーは、ピクセル値範囲内の特定の要素として作用する一方、少なくとも1つのニュートラルな色は、非特定の要素として作用する。)この構成により、量Vの表示を検証するためのチェックサムが、パレットPにおける色に基づき、他の色には基づかない。同じ監督領域において、または、オーバラップしている監督領域において、異なる量を表わすために使用されている色を除外しながら、量Vの表示を検証するためのチェックサムが、ピクセル値範囲Rの全体に基づいているのであれば、同じ効果が達成される。例えば、監督領域312における量Vの表示を検証するためのチェックサムは、セットR/(P ∪ P ∪ P ∪ P)内の色に基づきうる。したがって、所与の画像フレームについて、ディスプレイ駆動信号S2がP ∪ P ∪ P ∪ P内の色を定義しているすべてのピクセルが、チェックサムへの寄与から除外されるであろう。
【0066】
監督している量Vのためのチェックサムにおける状態インジケータ305,306からの影響は、状態インジケータ305,306の位置を覆うビットマスクを定義することによって除外され、これによって、これらは、チェックサム計算において除外される。あるいは、また特に、メータ・パネル302内のインジケータ・フィンガが、量Vのある値を表わしている場合に、状態インジケータ305,306の何れかと交差しているのであれば、状態インジケータは、インジケータ・フィンガが描画され、このチェックサムへの寄与から除外されるピクセル値とは異なるピクセル値を用いて表わされうる。
【0067】
上記に開示されたシステムおよび方法は、ソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、またはこれらの組み合わせとして実現されうる。ハードウェアでの実現では、前述した記載において称される機能ユニット間のタスクの分離は、物理的なユニットへの分離に必ずしも対応していないが、その逆に、1つの物理的な構成要素が、複数の機能を有することができ、1つのタスクが、いくつかの物理的な構成要素によって、協調して実行されうる。当業者によれば、前述した記載を検討した後に、本発明のさらなる実施形態が明らかになるであろう。本記載および図面は、実施形態および例を開示しているが、本発明は、これら特定の例に限定されない。多くの変更およびバリエーションが、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲から逸脱することなくなされうる。特許請求の範囲に示されている何れの参照符号も、そのスコープを限定するものとして理解されるべきではない。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
予め定義された離散的なピクセル値範囲内のピクセル値を備えるディスプレイ駆動信号に基づいて、少なくとも1つの画像フレームを表示するように適合されたビジュアル・ディスプレイにおいて、入力信号においてエンコードされた情報を表わす方法であって、
入力信号(S1)に基づいて、前記ビジュアル・ディスプレイを制御するディスプレイ駆動信号(S2)を生成することと、
前記ディスプレイ駆動信号に基づいて、各画像フレームの監督領域(311,312,313,314)のチェックサム(S4)を計算することと、
前記チェックサムまたは前記チェックサムから導出される値を、前記入力信号または前記入力信号から導出される値を比較することによって、所与の画像のディスプレイ駆動信号を検証することとを備え
前記ピクセル値範囲内の少なくとも1つの要素を、前記チェックサムへの寄与から除外しながら、前記チェックサムが計算される、方法。
[C2]
前記ピクセル値範囲において除外される、少なくとも1つの関連付けられた要素と、監督領域とを特定するデータを最初に受け取ること、をさらに備える[C1]に記載された方法。
[C3]
前記入力信号においてエンコードされた情報は、部分的にオーバラップしている監督領域において表わされるべき少なくとも2つの独立して変動する量を含み、
前記ディスプレイ駆動信号は、前記ピクセル値範囲内の特定の要素を用いて、前記独立して変動する量のおのおのを表わすことによって生成され、この要素は、前記少なくとも2つの独立して変動する量のうちの他方の量を表わすためには使用されず、
別の監督領域のうちの特定の要素を、寄与から除外しながら、所与の監督領域のチェックサムが計算される、[C1]または[C2]に記載された方法。
[C4]
前記ディスプレイ駆動信号は、さらに、前記監督領域のうちの少なくとも2つにおけるピクセル値範囲内の非特定の要素を用いることによって生成され、
前記非特定の要素および別の監督領域のうちの特定の要素を、寄与から除外しながら、所与の監督領域のチェックサムが計算される、[C3]に記載された方法。
[C5]
前記ディスプレイ駆動信号の検証は、予め定義された入力信号値および関連付けられた予め計算された基準チェックサムを記憶するメモリから、データを取得することを含む、[C1]乃至[C4]のうち何れか1項に記載された方法。
[C6]
さらに、少なくとも1つのピクセル位置を、前記チェックサムへの寄与から除外しながら、前記チェックサムが計算される、[C1]乃至[C5]のうち何れか1項に記載された方法。
[C7]
プログラマブル・コンピュータに対して、[C1]乃至[C6]のうちの何れか1項に記載された方法を実行させるための命令を有するコンピュータ読取可能な媒体を備えるコンピュータ・プログラム製品。
[C8]
処理手段(102)に接続可能なビジュアル・ディスプレイ・モジュール(100; 200)であって、前記処理手段は、
入力信号(S1)を受信し、
め定義された離散的なピクセル値範囲内のピクセル値を備え、ディスプレイ駆動信号(S2)に基づいて少なくとも1つの画像フレームを表示するように適用されたビジュアル・ディスプレイ(101)を制御する、前記ディスプレイ駆動信号を、前記入力信号に基づいて生成するように適用され、
前記ビジュアル・ディスプレイ・モジュールは、
前記ディスプレイ駆動信号に基づいて、各画像フレームの監督領域(311,312,313,314)のチェックサム(S4)を計算するように適用されたチェックサム抽出器(103)と、
前記チェックサムまたは前記チックサムから導出される値を、前記入力信号または前記入力信号から導出される信号と比較することによって、所与の画像フレームの前記ディスプレイ駆動信号を検証するように適用されたディスプレイ・スーパバイザ(104)とを備え、
前記処理手段と前記チェックサム抽出器との間に配置され、前記ピクセル値範囲内の少なくとも1つの要素を、前記チェックサムへの寄与から除外するように構成されたカラー・フィルタ(106)によって特徴付けられる、ビジュアル・ディスプレイ・モジュール。
[C9]
前記カラー・フィルタは、前記予め定義されたピクセル値範囲内の第1の要素を、第1の監督領域のチェックサムへの寄与から除外するように構成され、さらに、前記予め定義されたピクセル値範囲内の、前記第1の要素とは異なる第2の要素を、第2の監督領域のチェックサムへの寄与から除外するように構成された、[C8]に記載されたビジュアル・ディスプレイ・モジュール。
[C10]
前記処理手段は、部分的にオーバラップする監督領域において表示されるべき少なくとも2つの独立して変動する量を含む入力信号に基づいて前記ディスプレイ駆動信号を生成するように適用され、前記ディスプレイ駆動信号は、前記ピクセル値範囲内の特定の要素を用いて、前記独立して変動する量のおのおのを表わすことによって生成され、この要素は、前記少なくとも2つの独立して変動する量のうちの他方の量を表わすためには使用されない、[C8]または[C9]に記載されたビジュアル・ディスプレイ・モジュール。
[C11]
予め定義された入力信号値および関連付けられた予め計算された基準チェックサムを記憶するメモリ(105; 207)、をさらに備える[C8]乃至[C10]のうち何れか1項に記載されたビジュアル・ディスプレイ・モジュール。
[C12]
前記処理手段と前記チェックサム抽出器との間に配置され、少なくとも1つのピクセル位置を、前記チェックサムへの寄与から除外するように構成されたビットマスク・フィルタ(106)、をさらに備える[C8]乃至[C11]のうち何れか1項に記載されたビジュアル・ディスプレイ・モジュール。
[C13]
前記ピクセル値範囲内の除外された前記各要素は、前記ビジュアル・ディスプレイによって表示されるべきピクセル色に対応する、[C8]乃至[C12]のうちの何れか1項に記載されたビジュアル・ディスプレイ・モジュール。
[C14]
前記ピクセル値範囲内の少なくとも2つの要素が、前記チェックサムへの寄与から除外される、[C1]乃至[C13]のうちの何れか1項に記載された方法またはビジュアル・ディスプレイ・モジュール。
[C15]
異なる監督領域に属する前記特定の要素が、視覚的に識別不能なピクセル色に対応する、[C3に記載された方法または[C10]に記載されたビジュアル・ディスプレイ・モジュール。
図1
図2
図3