(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】第1の実施の形態に係る光センサの処理内容を概念的に示すグラフであって、(a)(第1のフォトダイオードA1の出力−第3のフォトダイオードA2の出力)を示すグラフ、(b)第2のフォトダイオードB1の出力を示すグラフ、(c)第4のフォトダイオードB2の出力を示すグラフ、(d)(第2のフォトダイオードB1の出力−第4のフォトダイオードB2の出力)を示すグラフ、(e)(第1のフォトダイオードA1の出力−第3のフォトダイオードA2の出力)−(第2のフォトダイオードB1の出力−第4のフォトダイオードB2の出力)を示すグラフ。
【
図2】第1の実施の形態に係る光センサのレイアウト例を示す模式的平面図。
【
図3】第1の実施の形態に係る出力回路の構成例を示す模式的ブロック構成図。
【
図4】第1の実施の形態に係る演算回路の内部構成例を示す模式的回路構成図。
【
図5】第1の実施の形態に係るUV光出力の具体例を説明するための図であって、(a)第1及び第2のUVカットフィルタの特性を示すグラフ、(b)太陽光スペクトラムを示すグラフ。
【
図6】第1の実施の形態に係るUV光出力の具体例を説明するための図であって、(a)第1のフォトダイオードA1の出力と第3のフォトダイオードA2の出力を示すグラフ、(b)(第1のフォトダイオードA1の出力−第3のフォトダイオードA2の出力)を示すグラフ、(c)第2のフォトダイオードB1の出力と第4のフォトダイオードB2の出力を示すグラフ、(d)(第2のフォトダイオードB1の出力−第4のフォトダイオードB2の出力)を示すグラフ、(e)(第1のフォトダイオードA1の出力−第3のフォトダイオードA2の出力)−(第2のフォトダイオードB1の出力−第4のフォトダイオードB2の出力)を示すグラフ。
【
図7】第1の実施の形態に係るフォトダイオードの面積を説明するための図。
【
図8】第1の実施の形態に係るフォトダイオードの模式的断面構造図。
【
図9】第1の実施の形態に係るフォトダイオードの模式的回路構成図。
【
図10】第1の実施の形態に係るフォトダイオードの特性を示すグラフ。
【
図11】第1の実施の形態に係るフィルタ層の模式的断面構造図。
【
図12】第1の実施の形態に係る他のフィルタ層の模式的断面構造図。
【
図13】第2の実施の形態に係る光センサのレイアウト例を示す模式的平面図。
【
図14】第2の実施の形態に係る第1及び第2のUV透過フィルタの特性を示すグラフ。
【
図15】第2の実施の形態に係る出力回路の構成例を示す模式的ブロック構成図。
【
図16】第2の実施の形態に係る演算回路の内部構成例を示す模式的回路構成図。
【
図17】第2の実施の形態に係るUV光出力の具体例を説明するための図であって、(a)第5のフォトダイオードA3の出力を示すグラフ、(b)第6のフォトダイオードB3の出力を示すグラフ、(c)(第5のフォトダイオードA3の出力−第6のフォトダイオードB3の出力)を示すグラフ。
【
図18】第3の実施の形態に係る出力回路の構成例を示す模式的ブロック構成図。
【
図19】第3の実施の形態に係るフォトダイオードの模式的回路構成図であって、電流I
A1+I
B1を取り出す場合を示す図。
【
図20】第3の実施の形態に係るフォトダイオードの模式的回路構成図であって、(a)電流I
B2を取り出す場合を示す図、(b)電流I
A2を取り出す場合を示す図、(c)電流I
A1+I
B1を取り出す場合を示す図、(d)電流I
B1を取り出す場合を示す図。
【
図21】従来の課題を説明するための図であって、(a)太陽光スペクトラムを示すグラフ、(b)UV領域の光を取り出す場合を示すグラフ。
【
図22】従来の課題を説明するための図であって、(a)フィルタなしのフォトダイオードの出力を示すグラフ、(b)フィルタありのフォトダイオードの出力を示すグラフ。
【
図23】従来の課題を説明するための図であって、(a)UVカットフィルタの特性を示すグラフ、(b)リンギングを説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各構成部品の厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0018】
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0019】
[第1の実施の形態]
以下、
図1〜
図12を用いて、第1の実施の形態に係る光センサを説明する。
【0020】
本実施の形態に係る光センサは、第1のフォトダイオードA1と、第1のフォトダイオードA1と特性の異なる第2のフォトダイオードB1と、UV領域R1の光をカットする第1及び第2のUVカットフィルタf1a,f1bと、第1のフォトダイオードA1に第1のUVカットフィルタf1aを用いた場合に生じる感度ズレを第2のフォトダイオードB1に第2のUVカットフィルタf1bを用いた場合に生じる感度ズレに基づいて補正してUV領域R1の光のみを出力する出力回路1とを備える。
【0021】
具体的には、第1のフォトダイオードA1と、第1のフォトダイオードA1と特性の異なる第2のフォトダイオードB1と、UV領域R1の光をカットする第1のUVカットフィルタf1a及び第2のUVカットフィルタf1bと、第1のフォトダイオードA1と同一の構成を備え、受光面上に第1のUVカットフィルタf1aを有する第3のフォトダイオードA2と、第2のフォトダイオードB1と同一の構成を備え、受光面上に第2のUVカットフィルタf1bを有する第4のフォトダイオードB2と、(第1のフォトダイオードA1の出力−第3のフォトダイオードA2の出力)−(第2のフォトダイオードB1の出力−第4のフォトダイオードB2の出力)を演算する出力回路1とを備える。
【0022】
また、(第1のフォトダイオードA1の出力−第3のフォトダイオードA2の出力)−(第2のフォトダイオードB1の出力−第4のフォトダイオードB2の出力)を演算した場合にUV領域R1以外の領域の電流値が0になるように第1から第4のフォトダイオードA1,A2,B1,B2の面積があらかじめ調整されていてもよい。
【0023】
また、(第1のフォトダイオードA1の出力−第3のフォトダイオードA2の出力)−(第2のフォトダイオードB1の出力−第4のフォトダイオードB2の出力)を演算した場合にUV領域R1以外の領域の電流値が0になるように出力回路1における演算方法があらかじめ調整されていてもよい。
【0024】
また、第1のフォトダイオードA1は、UV領域R1の感度が高いフォトダイオードであり、第2のフォトダイオードB1は、UV領域R1の感度が低いフォトダイオードであってもよい。
【0025】
(光センサの処理内容)
図1は、第1の実施の形態に係る光センサの処理内容を概念的に示すグラフである。
図1(a)は、(第1のフォトダイオードA1の出力−第3のフォトダイオードA2の出力)を示している。第1のフォトダイオードA1は、UV領域R1の感度が高いフォトダイオードである。第3のフォトダイオードA2は、第1のフォトダイオードA1と同一の構成を備え、受光面上に第1のUVカットフィルタf1aを有するものである。図中に点線で示すように、取り出したいUV領域R1以外の領域でフィルタに起因する感度ズレが生じている。
図1(b)は、第2のフォトダイオードB1の出力を示している。第2のフォトダイオードB1は、UV領域R1の感度が低いフォトダイオードである。
図1(c)は、第4のフォトダイオードB2の出力を示している。第4のフォトダイオードB2は、第2のフォトダイオードB1と同一の構成を備え、受光面上に第2のUVカットフィルタf1bを有するものである。
図1(d)は、(第2のフォトダイオードB1の出力−第4のフォトダイオードB2の出力)を示している。
図1(e)は、
図1(a)の演算結果から
図1(d)の演算結果を引いたものである。すなわち、(第1のフォトダイオードA1の出力−第3のフォトダイオードA2の出力)−(第2のフォトダイオードB1の出力−第4のフォトダイオードB2の出力)を示している。この
図1(e)に示すように、4つのフォトダイオードA1,A2,B1,B2の出力の足し合わせにより、フィルタの透過率の分光感度のリンギングに起因する感度ズレを低減し、高精度化を図ることが可能となる。
【0026】
(光センサのレイアウト例)
図2は、第1の実施の形態に係る光センサのレイアウト例を示す模式的平面図である。この光センサは、2つのUVカットフィルタf1a,f1bと4つのフォトダイオードA1,A2,B1,B2を用いてUV光のみを取り出す。
【0027】
第1及び第2のUVカットフィルタf1a,f1bは、UV領域R1の光をカットする。第1のUVカットフィルタf1aと第2のUVカットフィルタf1bとは、断面構造は同じであるが、面積は異なる場合がある。
【0028】
既に説明した通り、第1のフォトダイオードA1は、UV領域R1の感度が高いフォトダイオードである。第3のフォトダイオードA2は、第1のフォトダイオードA1と同一の構成を備え、受光面上に第1のUVカットフィルタf1aを有するものである。第2のフォトダイオードB1は、UV領域R1の感度が低いフォトダイオードである。第4のフォトダイオードB2は、第2のフォトダイオードB1と同一の構成を備え、受光面上に第2のUVカットフィルタf1bを有するものである。
【0029】
ここで、第1のフォトダイオードA1と第3のフォトダイオードA2が同一の構成を有するとは、第1のフォトダイオードA1と第3のフォトダイオードA2の接合深さ方向の断面構造が同一の構成を有することをいう。第1のフォトダイオードA1と第3のフォトダイオードA2は、面積は異なる場合がある。
【0030】
ここで、第2のフォトダイオードB1と第4のフォトダイオードB2が同一の構成を有するとは、第2のフォトダイオードB1と第4のフォトダイオードB2の接合深さ方向の断面構造が同一の構成を有することをいう。第2のフォトダイオードB1と第4のフォトダイオードB2は、面積は異なる場合がある。
【0031】
(出力回路の構成例)
図3は、第1の実施の形態に係る出力回路1の構成例を示す模式的ブロック構成図である。この出力回路1は、4つのフォトダイオードA1,A2,B1,B2の出力に所定の処理を施して、I2C(Inter-Integrated Circuit)等の通信方式により出力する回路である。具体的には、
図3に示すように、演算回路10と、ADC20と、ロジック回路30とを備えている。演算回路10は、第1のUVカットフィルタf1aを第1のフォトダイオードA1に用いた場合に生じる感度ズレを第2のUVカットフィルタf1bを第2のフォトダイオードB1に用いた場合に生じる感度ズレに基づいて補正するための演算を行う。具体的には、(第1のフォトダイオードA1の出力−第3のフォトダイオードA2の出力)−(第2のフォトダイオードB1の出力−第4のフォトダイオードB2の出力)を演算する。演算回路10の内部構成例を
図4に示す。もちろん、演算回路10の内部構成はこれに限定されるものではない。ADC20は、演算回路10からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。ロジック回路30は、ADC20からのデジタル信号に所定の演算処理を施して出力する。
【0032】
(UV光出力の具体例)
図5(a)は、第1及び第2のUVカットフィルタf1a,f1bの特性を示すグラフである。第1及び第2のUVカットフィルタf1a,f1bは、UV領域R1の光をカットする多層膜フィルタである。図中に点線で示すように、多層膜フィルタにリンギングがあり、可視光領域にカットできない誤差を含んでしまう。
図5(b)は、太陽光スペクトラムを示している。UV光100〜380〔nm〕よりも可視光380〜780〔nm〕の相対出力の方が遥かに大きく、可視光の影響が大きい。図中に点線で示すように、UV光に対して可視光のピークが高いことが分かる。
【0033】
図6(a)は、第1のフォトダイオードA1の出力と第3のフォトダイオードA2の出力を示している。第1のフォトダイオードA1としては“多層膜フィルタなしNSD/PW”を例示し、第3のフォトダイオードA2としては“多層膜フィルタありNSD/PW”を例示している。
図6(b)は、(第1のフォトダイオードA1の出力−第3のフォトダイオードA2の出力)を示している。
図6(c)は、第2のフォトダイオードB1の出力と第4のフォトダイオードB2の出力を示している。第2のフォトダイオードB1としては“多層膜フィルタなしLI/BL”を例示し、第4のフォトダイオードB2としては“多層膜フィルタありLI/BL”を例示している。
図6(d)は、(第2のフォトダイオードB1の出力−第4のフォトダイオードB2の出力)を示している。
図6(e)は、(第1のフォトダイオードA1の出力−第3のフォトダイオードA2の出力)−(第2のフォトダイオードB1の出力−第4のフォトダイオードB2の出力)を示している。
図6(b)(e)において点線で囲われた領域を比較すると、カットしたい可視光領域R2におけるリンギングが低減されていることが分かる。このように、本実施の形態によれば、UV光のみに感度を持つフォトダイオードの出力を得ることができる。
【0034】
(調整処理)
本実施の形態では、(第1のフォトダイオードA1の出力−第3のフォトダイオードA2の出力)−(第2のフォトダイオードB1の出力−第4のフォトダイオードB2の出力)を演算した場合にUV領域R1以外の領域の電流値が0になるように、あらかじめ調整するようにしている。これにより、太陽光が積分されるために可視光がカットされる。
【0035】
例えば、フォトダイオードA1,A2,B1,B2の面積をあらかじめ調整する。具体的には、
図6(e)に示すように、カットしたい可視光領域R2の積分値が0になるように、各フォトダイオードA1,A2,B1,B2の接合面積をトリミング等の方法により調整する。この調整結果の一例を
図7に示す。ここでは、“フィルタなしNSD/PW”の面積比を1.000としている。この場合、“フィルタありNSD/PW”の面積比は0.957、“フィルタなしLI/BL”の面積比は0.600、“フィルタありLI/BL”の面積比は0.569とするのが適当である。
【0036】
あるいは、出力回路1における演算方法をあらかじめ調整しておいてもよい。例えば、カレントミラーのミラー比を調整することで、フォトダイオードA1,A2,B1,B2から出力される各電流値を調整することができる。ここでいう各電流値とは、具体的には、
図4に示す電流値I
A1,I
A2,I
B1,I
B2である。このように、電流値I
A1,I
A2,I
B1,I
B2を調整すれば、フォトダイオードA1,A2,B1,B2の面積が同じでも、UV領域R1以外の領域の電流値が0になるように調整することができる。
【0037】
(フォトダイオード、フィルタ)
図8は、第1の実施の形態に係るフォトダイオードの模式的断面構造図であり、
図9は、その等価回路図である。この図に示すように、BL/sub、BL/LI(PW)、NSD/PWの3つのPN接合を持ち、それぞれ特性が異なる。すなわち、
図10に示すように、表面にあるほど短い波長の光を吸収しやすい。
図8や
図9では、BL/subをフォトダイオードD1、NSD/PWをフォトダイオードD2、BL/LIをフォトダイオードD3と記載している。本実施の形態では、UV領域R1の感度が高い第1のフォトダイオードA1と、UV領域R1の感度が低い第2のフォトダイオードB1を使用している。第1のフォトダイオードA1はフォトダイオードD2に相当し、第2のフォトダイオードB1はフォトダイオードD3に相当する。
【0038】
図8に示すように、フォトダイオード構造43の上にパッシベーション層42が形成され、更にその上にフィルタ層41が形成されている。例えば、フィルタ層41は、
図11に示すように、SiO
2とTiO
2が順に繰り返し積層された多層膜である。膜厚や層数によりフィルタの特性を変えることができる。あるいは、
図12に示すように、アクリル系樹脂(PMMA)によりフィルタ層41を形成するようにしてもよい。フィルタ層41の構成は様々あり、特に限定されるものではない。
【0039】
以上のように、本実施の形態では、(第1のフォトダイオードA1の出力−第3のフォトダイオードA2の出力)−(第2のフォトダイオードB1の出力−第4のフォトダイオードB2の出力)を演算するようにしている。言い換えると、第1のフォトダイオードA1に第1のUVカットフィルタf1aを用いた場合に生じる感度ズレを第2のフォトダイオードB1に第2のUVカットフィルタf1bを用いた場合に生じる感度ズレに基づいて補正している。これにより、リンギングに起因する感度ズレを低減して高精度化を図ることができるため、波長選択性が向上して特定の波長の光のみに感度を持つフォトダイオードの出力を得ることが可能となる。
【0040】
[第2の実施の形態]
以下、
図13〜
図17を用いて、第2の実施の形態に係る光センサを第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0041】
本実施の形態に係る光センサは、第1のフォトダイオードA1と、第1のフォトダイオードA1と特性の異なる第2のフォトダイオードB1と、UV領域R1の光を透過する第1及び第2のUV透過フィルタf2a,f2bと、第1のフォトダイオードA1に第1のUV透過フィルタf2aを用いた場合に生じる感度ズレを第2のフォトダイオードB1に第2のUV透過フィルタf2bを用いた場合に生じる感度ズレに基づいて補正してUV領域R1の光のみを出力する出力回路1とを備える。
【0042】
具体的には、第1のフォトダイオードA1と、第1のフォトダイオードA1と特性の異なる第2のフォトダイオードB1と、UV領域R1の光を透過する第1のUV透過フィルタf2a及び第2のUV透過フィルタf2bと、第1のフォトダイオードA1と同一の構成を備え、受光面上に第1のUV透過フィルタf2aを有する第5のフォトダイオードA3と、第2のフォトダイオードB1と同一の構成を備え、受光面上に第2のUV透過フィルタf2bを有する第6のフォトダイオードB3と、(第5のフォトダイオードA3の出力−第6のフォトダイオードB3の出力)を演算する出力回路1とを備える。
【0043】
また、(第5のフォトダイオードA3の出力−第6のフォトダイオードB3の出力)を演算した場合にUV領域R1以外の領域の電流値が0になるように第5及び第6のフォトダイオードA3,B3の面積があらかじめ調整されていてもよい。
【0044】
また、(第5のフォトダイオードA3の出力−第6のフォトダイオードB3の出力)を演算した場合にUV領域R1以外の領域の電流値が0になるように出力回路1における演算方法があらかじめ調整されていてもよい。
【0045】
(光センサのレイアウト例)
図13は、第2の実施の形態に係る光センサのレイアウト例を示す模式的平面図である。この光センサは、2つのUV透過フィルタf2a,f2bと2つのフォトダイオードA3,B3を用いてUV光のみを取り出す。第1及び第2のUV透過フィルタf2a,f2bは、
図14に示すように、UV領域R1の光を透過する。第1及び第2のUV透過フィルタf2a,f2bの構成は特に限定されるものではない。第1のUV透過フィルタf2aと第2のUV透過フィルタf2bとは、断面構造は同じであるが、面積は異なる場合がある。第5のフォトダイオードA3は、第1のフォトダイオードA1と同一の構成を備え、受光面上に第1のUV透過フィルタf2aを有するものである。第6のフォトダイオードB3は、第2のフォトダイオードB1と同一の構成を備え、受光面上に第2のUV透過フィルタf2bを有するものである。
【0046】
ここで、第1のフォトダイオードA1と第5のフォトダイオードA3が同一の構成を有するとは、第1のフォトダイオードA1と第5のフォトダイオードA3の接合深さ方向の断面構造が同一の構成を有することをいう。第1のフォトダイオードA1と第5のフォトダイオードA3は、面積は異なる場合がある。
【0047】
ここで、第2のフォトダイオードB1と第6のフォトダイオードB3が同一の構成を有するとは、第2のフォトダイオードB1と第6のフォトダイオードB3の接合深さ方向の断面構造が同一の構成を有することをいう。第2のフォトダイオードB1と第6のフォトダイオードB3は、面積は異なる場合がある。
【0048】
(出力回路の構成例)
図15は、第2の実施の形態に係る出力回路1の構成例を示す模式的ブロック構成図である。処理対象が4つのフォトダイオードA1,A2,B1,B2の出力から2つのフォトダイオードA3,B3の出力になった点を除き、第1の実施の形態と基本的に同じである。すなわち、出力回路1は、2つのフォトダイオードA3,B3の出力に所定の処理を施して、I2C等の通信方式により出力する回路である。具体的には、
図15に示すように、演算回路11と、ADC20と、ロジック回路30とを備えている。演算回路11は、(第5のフォトダイオードA3の出力−第6のフォトダイオードB3の出力)を演算し、その演算結果をADC20に渡す。演算回路11の内部構成例を
図16に示す。その他の構成については、第1の実施の形態と同様であるため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0049】
(UV光出力の具体例)
図17(a)は、第5のフォトダイオードA3の出力を示している。
図17(b)は、第6のフォトダイオードB3の出力を示している。
図17(c)は、(第5のフォトダイオードA3の出力−第6のフォトダイオードB3の出力)を示している。
図17(a)(c)において点線で囲われた領域を比較すると、カットしたい可視光領域R2におけるリンギングが低減されていることが分かる。このように、本実施の形態によれば、UV光のみに感度を持つフォトダイオードの出力を得ることができる。
【0050】
以上のように、本実施の形態では、(第5のフォトダイオードA3の出力−第6のフォトダイオードB3の出力)を演算するようにしている。言い換えると、第1のフォトダイオードA1に第1のUV透過フィルタf2aを用いた場合に生じる感度ズレを第2のフォトダイオードB1に第2のUV透過フィルタf2bを用いた場合に生じる感度ズレに基づいて補正している。このような構成によっても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0051】
[第3の実施の形態]
以下、
図18〜
図20を用いて、第3の実施の形態に係る光センサを第1の実施の形態と異なる点を中心に説明する。
【0052】
本実施の形態に係る出力回路1は、アナログ信号をデジタル信号に変換するADC21と、アナログ信号をデジタル信号に変換するADC22と、ADC21及びADC22からのデジタル信号に所定の演算処理を施すことによって、第1のフォトダイオードA1に第1のUVカットフィルタf1aを用いた場合に生じる感度ズレを第2のフォトダイオードB1に第2のUVカットフィルタf1bを用いた場合に生じる感度ズレに基づいて補正するための演算を行うロジック回路31とを備える。
【0053】
具体的には、第1のフォトダイオードA1と、第1のフォトダイオードA1と特性の異なる第2のフォトダイオードB1と、第1のUVカットフィルタf1a及び第2のUVカットフィルタf1bと、第1のフォトダイオードA1と同一の構成を備え、受光面上に第1のUVカットフィルタf1aを有する第3のフォトダイオードA2と、第2のフォトダイオードB1と同一の構成を備え、受光面上に第2のUVカットフィルタf1bを有する第4のフォトダイオードB2とに接続され、(第1のフォトダイオードA1の出力−第3のフォトダイオードA2の出力)+(第4のフォトダイオードB2の出力+第2のフォトダイオードB1の出力)をアナログ信号からデジタル信号に変換するADC21と、第2のフォトダイオードB1に接続され、(第2のフォトダイオードB1の出力+第2のフォトダイオードB1の出力)をアナログ信号からデジタル信号に変換するADC22と、ADC21及びADC22からのデジタル信号に所定の演算処理を施すことによって、(第1のフォトダイオードA1の出力−第3のフォトダイオードA2の出力)−(第2のフォトダイオードB1の出力−第4のフォトダイオードB2の出力)を演算するロジック回路31とを備える。
【0054】
(出力回路の構成例)
図18は、第3の実施の形態に係る出力回路1の構成例を示す模式的ブロック構成図である。第1の実施の形態(
図3)と異なる点は、演算回路10を使用しない点である。フォトダイオードの組み合わせを二組に分け、それぞれの出力をADC21,22で処理し、そのデジタル信号にロジック回路31で所定の演算処理を施して第1の実施の形態と同様の出力が得られるようになっている。具体的には、
図18に示すように、ADC21には電流値(イ)=(I
A1−I
A2)+(I
B2+I
B1)が入力され、ADC22には電流値(ロ)=I
B1+I
B1が入力される。ロジック回路31は、これら電流値(イ)(ロ)が入力されると、(イ)−(ロ)=(I
A1−I
A2)−(I
B1−I
B2)を演算する。Aは、NSD/PWの出力を示し、Bは、LI/BLの出力を示している。A(NSD/PW)のみの電流を下側に取り出すことができないので、ここでは、
図19に示すように、電流I
A1+I
B1=NSD/PW+LI/BLを取り出すようにしている。
【0055】
以下、
図20を用いて、各電流の取り出し方法について説明する。
図20(a)は、電流I
B2を取り出す場合を示し、フィルタありLI/BLを取り出している。
図20(b)は、電流I
A2を取り出す場合を示し、フィルタありNSD/PWを取り出している。
図20(c)は、電流I
A1+I
B1を取り出す場合を示し、フィルタなしNSD/PW+フィルタなしLI/BLを取り出している。
図20(d)は、電流I
B1を取り出す場合を示し、フィルタなしLI/BLを取り出している。このようにフォトダイオードD1〜D3の接続方法を変えることによって各電流を取り出すことが可能である。
【0056】
以上のように、本実施の形態では、演算回路(アナログ回路)10を使用しないようにしているため、アナログ回路による誤差(リーク電流、カレントミラーの寄生容量による遅延、カレントミラー精度)をなくすことができる。また、同形状のADC21,22を用いれば、製造上のバラツキをキャンセルすることができるため、精度が増す。さらに、各ADC21,22の積分時間を変えれば、最終出力のトリミングを行うことが可能である。しかも、積分時間の変更のみで済むため、調整処理が容易である。ここでは、第1の実施の形態と異なる点を中心に説明したが、第2の実施の形態でも同様、演算回路10を使用しないようにしてもよい。
【0057】
以上説明したように、本発明によれば、リンギングに起因する感度ズレを低減して高精度化を図ることが可能な光センサ及びその出力回路1を提供することができる。
【0058】
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明は第1〜第3の実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0059】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。例えば、第1〜第3の実施の形態では、UV光のみを取り出す光センサを例示して説明したが、UV光以外の波長領域の光を取り出す光センサが本発明に含まれることはもちろんである。