特許第6093062号(P6093062)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6093062喫煙品フィルターおよび喫煙品フィルター用の挿入式フィルターユニット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6093062
(24)【登録日】2017年2月17日
(45)【発行日】2017年3月8日
(54)【発明の名称】喫煙品フィルターおよび喫煙品フィルター用の挿入式フィルターユニット
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/04 20060101AFI20170227BHJP
【FI】
   A24D3/04
【請求項の数】18
【外国語出願】
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-44566(P2016-44566)
(22)【出願日】2016年3月8日
(62)【分割の表示】特願2014-517688(P2014-517688)の分割
【原出願日】2012年6月27日
(65)【公開番号】特開2016-127862(P2016-127862A)
(43)【公開日】2016年7月14日
【審査請求日】2016年3月8日
(31)【優先権主張番号】1110863.6
(32)【優先日】2011年6月27日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】1209426.4
(32)【優先日】2012年5月28日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】500252844
【氏名又は名称】ブリティッシュ アメリカン タバコ (インヴェストメンツ) リミテッド
【氏名又は名称原語表記】BRITISH AMERICAN TOBACCO (INVESTMENTS) LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100103285
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 順之
(74)【代理人】
【識別番号】100183782
【弁理士】
【氏名又は名称】轟木 哲
(72)【発明者】
【氏名】ペンローズ、グラハム
(72)【発明者】
【氏名】モルトハウス、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ウェイク、デビッド
(72)【発明者】
【氏名】ファルチャー、ゲイリー
(72)【発明者】
【氏名】シンプソン、マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ブルックバンク、アーロン
(72)【発明者】
【氏名】グリアソン、ゴードン
(72)【発明者】
【氏名】ヒンドリー、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】サンプソン、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】カーン=ダル、ラビア
(72)【発明者】
【氏名】カリューラ、カール
(72)【発明者】
【氏名】オング、ネルソン
(72)【発明者】
【氏名】リチャードソン、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】メイジャー、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ヤング、リチャード
【審査官】 田中 侑以
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/123046(WO,A1)
【文献】 特開平9−187266(JP,A)
【文献】 特開昭61−100180(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 3/04
A24D 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙品フィルター用の挿入式フィルターユニットであって、前記挿入式フィルターユニットは煙変性物質を含み、前記挿入式フィルターユニットは前記挿入式フィルターユニットを前記喫煙品フィルターの中に保持する機械的な保持手段を備える、挿入式フィルターユニット。
【請求項2】
返し、ねじ山またはひだ状領域を備えることを特徴とする請求項に記載の挿入式フィルターユニット。
【請求項3】
前記挿入式フィルターユニットは挿入可能なくぎ状部材であることを特徴とする請求項に記載の挿入式フィルターユニット。
【請求項4】
表面に配置された圧縮可能なひだ状部を備え、ひだ状部は挿入式フィルターユニットの周りに半径方向に配置され、挿入式フィルターユニットの長さの一部に沿って延びた複数の稜で形成され、前記ひだ状部は挿入式フィルターユニットの外側へ突き出るように付勢されることを特徴とする請求項1または2に記載の挿入式フィルターユニット。
【請求項5】
手で圧縮可能な材料で形成されたことを特徴とする請求項1に記載の挿入式フィルターユニット。
【請求項6】
フィルター材で形成され、型押しして隆起した領域を設けたラッパーで周囲が包まれていることを特徴とする請求項1に記載の挿入式フィルターユニット。
【請求項7】
挿入式フィルターユニットの全長にわたって型押しされている、または長さの一部だけが型押しされていることを特徴とする請求項6に記載の挿入式フィルターユニット。
【請求項8】
前記煙変性物質は前記挿入式フィルターユニット内に含まれる壊れやすいカプセルに収容されていることを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項に記載の挿入式フィルターユニット。
【請求項9】
前記壊れやすいカプセルには水が入っていることを特徴とする請求項に記載の挿入式フィルターユニット。
【請求項10】
前記煙変性物質は顆粒状形態または撚り糸状形態であることを特徴とする請求項1乃至7いずれか1項に記載の挿入式フィルターユニット。
【請求項11】
前記煙変性物質は炭素吸着剤を含むことを特徴とする請求項乃至10のいずれか1項に記載の挿入式フィルターユニット。
【請求項12】
前記炭素吸着剤は一体構造体の構造を有していることを特徴とする請求項11に記載の挿入式フィルターユニット。
【請求項13】
着色剤を含むことを特徴とする請求項乃至12のいずれか1項に記載の挿入式フィルターユニット。
【請求項14】
前記煙変性物質は水または風味剤を含むことを特徴とする請求項乃至13のいずれか1項に記載の挿入式フィルターユニット。
【請求項15】
前記風味剤はメンソール、レモン、ミカン、ライム、コーヒー、および/または茶の内の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項14に記載の挿入式フィルターユニット。
【請求項16】
収納部に挿入される挿入部と太い非挿入部とを含むことを特徴とする請求項1乃至15いずれか1項に記載の挿入式フィルターユニット。
【請求項17】
挿入式フィルターユニットを収容するための収納部を備える喫煙品フィルターを備え、前記喫煙品フィルターの前記収納部に挿入される請求項1乃至16のいずれか1項に記載の挿入式フィルターユニットを有する喫煙品。
【請求項18】
請求項乃至16のいずれか1項に記載の挿入式フィルターユニットおよび挿入式フィルターユニットを収容するための収納部を備える喫煙品フィルターを構成する部品一式。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は喫煙品フィルターおよび挿入式フィルターユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
紙巻きタバコや他の喫煙品にはある量のタバコが含まれ、これを燃焼させて煙を発生させることができ、その煙が使用者に吸入される。喫煙品用のフィルターは、タバコの燃焼の結果生じる煙が使用者の口へ到達する前にその煙を改良するために用いられる。この目的で当技術分野において知られているフィルターは、繊維質のセルロースアセテートのプラグまたは類似の物理的特性を備えた他の材料のプラグで形成することができる。セルロースアセテートは特に粒子状の煙成分を吸収することが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特定の煙成分の除去を改良するため、喫煙品フィルターに種々の添加物を加えることができる。そのような例には活性炭のような煙吸着剤がある。これらの煙吸着剤は特定の煙成分を吸着し、フィルターを通過する煙流からそれらを除去する。
【0004】
煙の成分を除去することに加え、フィルター添加物はフィルターを通過する煙に特性を付与することもできる。例えば香料や風味剤を組み込んで、フィルターを通過した煙の香りや味覚の特性を変えてもよい。
【0005】
従来、上記の特徴が組み込まれたフィルターを備える喫煙品はパック入りで販売されており、各パックの中の喫煙品は同じ風味や香りおよび吸着の特性を共有している。したがって、使用者が好みに合わせて喫煙品の煙の特性を変えることはできない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書により詳細に説明される本発明の実施態様では、喫煙品フィルター用の挿入式フィルターユニットが提供される。このフィルターユニットは、挿入式フィルターユニットを喫煙品フィルターの中に保持するための保持手段を備える。
【0007】
保持手段は機械的な保持手段を備えてもよく、または接着剤を備えてもよい。
【0008】
挿入式フィルターユニットは手で圧縮可能な材料で形成されてもよい。
【0009】
挿入式フィルターユニットは、端面から見て、その表面積を増やすように構成された断面形状を有してもよい。
【0010】
本明細書により詳細に説明される本発明の実施態様では、煙変性物質を含む挿入式フィルターユニットが提供される。
【0011】
煙変性物質は、挿入式フィルターユニットの中に含まれる壊れやすいカプセルに収容されてもよい。
【0012】
壊れやすいカプセルには水を入れてもよい。
【0013】
煙変性物質は顆粒状の形態でも、または撚り糸状の形態でもよい。
【0014】
煙変性物質は炭素吸着剤を含んでもよい。
【0015】
炭素吸着剤は一体構造体の構造を有してもよい。
【0016】
煙変性物質は着色剤を含んでもよい。
【0017】
煙変性物質は風味剤を含んでもよい。
【0018】
風味剤は、メンソール、レモン、ミカン、ライム、コーヒー、および/または茶の内の少なくとも1つを含んでもよい。
【0019】
煙変性物質は水を含んでもよい。
【0020】
本明細書により詳細に説明される本発明の実施態様では、挿入式フィルターユニットを収納する収納部を備える喫煙品フィルターが提供される。
【0021】
収納部はフィルター材で形成された壁に少なくとも部分的に取り囲まれていてもよい。
【0022】
収納部は紙で形成された壁に少なくとも部分的に取り囲まれていてもよい。
【0023】
本明細書により詳細に説明される本発明の実施態様では、中にフィルターユニット保持手段が配置された収納部を備える喫煙品フィルターが提供される。
【0024】
フィルターユニット保持手段は機械的な保持手段を備えてもよい。
【0025】
保持手段は吸い口端の蓋を備えてもよい。
【0026】
保持手段は収納部の主表面に塗布された接着剤を含んでもよい。
【0027】
挿入式フィルターユニットおよび喫煙品フィルターを構成する部品一式を提供してもよい。
【0028】
上記の利点および特徴は本発明の理解の助けのために提示された代表的な実施態様のものであり、これらの利点および特徴は全てを網羅するものではなく、または他の利点および特徴を排除するものでもない。当然だが、これらは特許請求の範囲で定義された本発明およびその均等物を限定するものと考えるべきではない。本発明の他の特徴および利点は、以下の説明、添付図面および特許請求の範囲により明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
本発明が容易に理解されるように、その実施態様を以下に添付図面を説明して単に例示目的で説明する。
図1】本発明の第1の実施態様による喫煙品およびフィルター挿入ユニットの側面から見た断面図である。
図2図1に示したフィルターおよびフィルター挿入ユニットの斜視図である。
図3】本発明の第2の実施態様によるフィルターおよびフィルター挿入ユニットの斜視図である。
図4】本発明の第3の実施態様によるフィルターおよびフィルター挿入ユニットの側面図である。
図5】本発明の第4の実施態様によるフィルターおよびフィルター挿入ユニットの斜視図である。
図6】本発明の第5の実施態様によるフィルターおよびフィルター挿入ユニットの側面から見た断面図である。
図7】本発明の第6の実施態様によるフィルターおよびフィルター挿入ユニットの側面から見た断面図である。
図8】本発明の第7の実施態様によるフィルターおよびフィルター挿入ユニットの側面から見た断面図である。
図9】本発明の第8の実施態様によるフィルターおよびフィルター挿入ユニットの側面から見た断面図である。
図10】本発明の第9の実施態様によるフィルターおよびフィルター挿入ユニットの側面から見た断面図である。
図11】本発明の第10の実施態様によるフィルターおよびフィルター挿入ユニットの斜視図である。
図12】本発明の第11の実施態様によるフィルターおよびフィルター挿入ユニットの側面から見た断面図である。
図13】本発明の第12の実施態様によるフィルターおよびフィルター挿入ユニットの側面から見た断面図である。
図14】本発明の第13の実施態様によるフィルターおよびフィルター挿入ユニットの側面から見た断面図である。
図15】本発明の第14の実施態様によるフィルターおよびフィルター挿入ユニットの側面から見た断面図である。
図16】本発明の第15の実施態様によるフィルターおよびフィルター挿入ユニットの側面から見た断面図である。
図17】本発明の第16の実施態様によるフィルターおよびフィルター挿入ユニットの側面から見た断面図である。
図18】本発明の第17の実施態様によるフィルターおよびフィルター挿入ユニットの側面から見た断面図である。
図19】本発明の第18の実施態様によるフィルターおよびフィルター挿入ユニットの側面から見た断面図である。
図20】本発明の第19の実施態様によるフィルターおよびフィルター挿入ユニットの側面から見た断面図である。
図21図1、2、4〜19に示すフィルターのいずれかに挿入された図1〜19のいずれかに示すフィルター挿入ユニットの端面から見た断面図である。
図22】別の断面形状を有し、形状が合うフィルターに挿入されたフィルター挿入ユニットの端面から見た断面図である。
図23】本発明のさらなる実施態様によるフィルターおよびフィルター挿入ユニットの側面から見た断面図である。
図24】本発明のさらなる実施態様によるフィルターおよびフィルター挿入ユニットの側面から見た断面図である。
図25A】本発明の別の実施態様の立体図である。
図25B】本発明の一実施態様によるフィルターの側面から見た断面図である。
図26】本発明の別の実施態様の側面図である。
図27】本発明の別の実施態様の側面図である。
図28A】本発明の複数の実施態様によるフィルターおよび挿入ユニットの端面から見た図である。
図28B】本発明の複数の実施態様によるフィルターおよび挿入ユニットの端面から見た図である。
図28C】本発明の複数の実施態様によるフィルターおよび挿入ユニットの端面から見た図である。
図29A】さらなる実施態様によるフィルターおよびフィルター挿入ユニットの側面図である。
図29B】さらなる実施態様によるフィルター挿入ユニットの端面から見た図である。
図29C】さらなる実施態様によるフィルター挿入ユニットの端面から見た図である。
図30】別の実施態様によるフィルターおよびフィルター挿入ユニットの側面図である。
図31A】さらなる実施態様によるフィルター挿入ユニットの側面図である。
図31B】さらなる実施態様によるフィルター挿入ユニットの側面図である。
図32】本発明の一実施態様によるフィルターの立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1には吸い口端11および遠位端12を有する喫煙品10が示されている。喫煙品10は、タバコロッド15およびそれに取り付けられたフィルター20を備える。タバコロッド15はタバコ包装紙16で包まれている。
【0031】
フィルター20は図2にさらに詳細に示されている。フィルター20は円筒状のろ過領域21およびその下流の管状のろ過領域22を備える。円筒状のろ過領域および管状のろ過領域22は繊維質のセルロースアセテートのようなフィルター材または当技術分野で既知の他の材料で形成されてもよい。
【0032】
円筒状のろ過領域21は長さが約12mmでもよく、管状のろ過領域22は長さが約15mmでもよい。
【0033】
円筒状のろ過領域21のフィルター材には活性炭のような吸着剤材料を含浸させてもよく、それら吸着剤材料の形態はビーズでも、顆粒でも、または撚り糸でもよい。
【0034】
活性炭部分を含むフィルター20の一実施態様が図3に示されている。この実施態様では、円筒部21は二重フィルター部であって、セルロースアセテートのようなフィルター材21Aの領域と、活性炭を含む上流領域21Bとを備える。フィルター材21Aの領域は長さが約5mmでもよく、活性炭を含む領域21Bは長さが約7mmでもよい。あるいは、円筒部21は三重フィルター部として提供されて、活性炭を含まない2つのフィルター材の領域を、活性炭を含む中央の領域の両側に備えてもよい。
【0035】
円筒領域21および管状のろ過領域22はプラグラッパー23で包まれてもよい。フィルター20はタバコロッド15に、フィルター20を取り囲むチッピング紙24を用いて取り付けられてもよい。図1〜3に示すチッピング紙24はフィルター20よりも僅かに長いため、チッピング紙24がフィルター20の周りを包むと重なりが形成される。この重なりに何らかの形態の接着剤を有してもよく、例えば糊がその内面に塗布され、使用時にタバコ包装紙16の外面に付着してもよい。フィルター20をタバコロッド15に取り付ける当技術分野で既知の他の取り付け手段を用いてもよい。
【0036】
一部の実施態様では、プラグラッパー23の内面にふさわしい接着剤を用いて炭素顆粒をパッチ状に付着させて備えてもよい。
【0037】
フィルター20は円筒状のろ過領域21と管状のろ過領域22で定義された収納部25を有する。収納部25は吸い口端11から延びて、円筒状のフィルター挿入ユニット30を収容するように配置されている。収納部25はフィルター20の長さの少なくとも一部に沿って延びている。収納部25の形状はフィルター挿入ユニット30の形状にぴったり合うように作られていてもよい。図1〜3に示す実施態様では、円筒状のフィルター挿入ユニット30は収納部25の中空の円筒形状とぴったり合う。
【0038】
図4には代替フィルター20が示されている。この実施態様では、円筒状のフィルター材21を包むチッピング紙24は硬い厚紙様の材料で形成されており、円筒状のフィルター材21の吸い口端を越えて延びていて、フィルター挿入ユニット30を挿入することができる収納部25を形成している。この実施態様では管状のろ過領域22は用いられていない。
【0039】
図4に示したフィルター20の代替フィルターは図2に示した構造と類似の構造であるが、管状のろ過領域22が厚紙の筒に置換されている点が異なる。この実施態様では、チッピング紙24は、図4を参照して上に説明した厚紙様の材料よりも柔らかい従来の吸い口紙材料で形成されることになる。この代替実施態様では、プラグラッパー23は図2に示したものよりも短く、円筒状のフィルター材21だけを取り囲んでもよい。
【0040】
フィルター挿入ユニット30は長さや直径のような寸法が多様でもよく、多様な寸法の喫煙品と併用してもよい。フィルター20およびフィルター挿入ユニット30は、寸法範囲が当技術分野で既知の「半細(demislim)」から「大型(king size)」までの種々の
喫煙品と併用してもよい。好ましくは、フィルター挿入ユニットは長さが約5mm〜約20mmである。
【0041】
フィルター挿入ユニット30は、セルロースアセテートのようなフィルター材または当技術分野で既知の他の喫煙品フィルター材で形成されてもよく、プラグラッパーまたは他のふさわしい材料で周囲が包まれてもよい。一実施態様によればこのラッパーを型押しして、寸法が約1mmの複数の隆起した領域を設けてもよい。この材料は煙成分の粒子状吸収剤として作用することができる。
【0042】
一実施態様では、フィルター挿入ユニット30は未包装のアセテート繊維を備える。このアセテート繊維は、フィルター挿入ユニット30が包装されている実施態様で用いられる可塑剤の濃度より高い濃度の可塑剤を用いて一つにまとめられている。
【0043】
別の実施態様では、フィルター挿入ユニット30は方向が不揃いで長さが短い不連続のセルロースアセテート繊維を備えてもよく、ハウニマシーネンバウAG(Hauni Maschinenbau AG、ドイツ)から販売されているトルマリン(Turmalin)装置のような製造装置を
用いて作製してもよい。
【0044】
フィルター挿入ユニット30は、再生タバコ紙または圧縮切断タバコ葉を含んでもよく、当技術分野で既知の種類の再生紙またはプラグラッパーで包まれてもよい。フィルター挿入ユニット30は1種以上の風味剤を含んでもよく、風味剤は液体または顆粒、粒子、その他の形態でもよい。
【0045】
従来の方法で形成されたタバコロッドはフィルター挿入ユニット30として用いるのにふさわしい寸法に切断されてもよく、紙巻きタバコ紙またはプラグラッパーのようなふさわしい包装材を用いて包んでもよい。一実施態様によれば、この包装材を型押しして、寸法が約1mm未満の複数の隆起した領域を設けてもよい。
【0046】
型押しされた包装材を有するフィルター挿入ユニット30の実施態様では、フィルター挿入ユニット30の全長にわたって型押しされても、長さの一部だけが型押しされてもよい。フィルター挿入ユニット30は帯状模様に型押しされてもよい。
【0047】
フィルター挿入ユニット30は、当技術分野でダルメシアン効果(Dalmatian effect)として知られている効果が得られるように配置してもよい。ダルメシアン効果は炭素顆粒、完全な葉の形態のタバコ、再生タバコ、または他の植物もしくはそれらの派生物(例えばメンソール)をフィルタートウ(例えばセルロースアセテートトウ)に加えて用いて、効力をまだらに発揮させて実現してもよい。
【0048】
フィルター挿入ユニット30は、セルロースアセテートのようなフィルター材と、再生タバコ紙および/または圧縮切断タバコ葉および/または明白なダルメシアン効果を得るために用いられる材料および/または撚り糸との組み合わせを備えてもよい。その場合、フィルター挿入ユニット30は再生タバコ紙または当技術分野で既知の種類のプラグラッパーで包んでもよい。
【0049】
上記の複数の実施態様のいずれかによるフィルター挿入ユニット30は、単なる例として挙げればメンソール、レモン、ミカン、ライム、コーヒー、または茶のような風味剤を含んでもよい。タバコ、メンソール、茶、その他のような葉を原材料とする風味剤を、フィルター挿入ユニット30に完全な葉の形態で添加しても、および/または抽出物として添加してもよい。
【0050】
一部の実施態様では、フィルター挿入ユニット30は薄い切断タバコ、および/またはハッカ、ボリジ(borage)、茶、種々の香料植物、または任意の他のふさわしい添加剤から選択された1種以上の添加物を含んでもよい。
【0051】
挿入されるフィルター挿入ユニット30は、使用者による喫煙品10の喫煙時に煙の特性を改良するように配置される。
【0052】
当然だが、フィルター挿入ユニット30を収納部25に挿入せずに喫煙品10を同じように喫煙してもよい。円筒状のろ過領域21、管状のろ過領域22の材料は、使用者が喫煙品10の吸い口端11を吸ったときに従来の喫煙品の圧力降下に相当する圧力降下をもたらすようなものでもよい。フィルター挿入ユニット30は、フィルター挿入ユニット30がフィルター20の収納部25に挿入されたときに圧力降下を顕著に変えないように配置してもよい。
【0053】
フィルター20はメンソール、その他の風味剤を含んでもよい。メンソールまたは他の香りが付けられた喫煙品への挿入を目的とするフィルター挿入ユニット30は、喫煙品の喫煙感を補完するように配置された添加物を含んでもよい。
【0054】
フィルター挿入ユニット30は水を含んでもよい。好ましい水含有フィルター挿入ユニット30は、図15を参照して後述されるカプセル42のようなカプセルを複数個含み、それらに水が入れられている。
【0055】
活性炭顆粒、カプセル、または撚り糸のような吸着剤をフィルター挿入ユニット30に組み込んでもよい。
【0056】
一実施態様では、フィルター挿入ユニット30は結合剤を用いて固められた活性炭顆粒を含んでもよい。
【0057】
別の一実施態様では、フィルター挿入ユニット30は、構造が一体構造体である炭素を含んでもよい。一体構造体の炭素構造すなわち炭素一体構造体は炭素の単位であって、顆粒ではないが顆粒状活性炭と同様に表面積が大きい。炭素一体構造体は結合剤の使用を必要としないため、標的である煙成分の吸着に用いられる炭素の表面積を、結合剤を用いる炭素構造に対して増やすことができる。ふさわしい一体構造体炭素構造は押し出しで形成することができ、ふさわしい一体構造体の一実施例およびその製造法は下記特許文献1に記述されている。その内容の全てを参照によって本明細書に援用する。
【0058】
着色剤を組み込んでもよく、例えばフィルター挿入ユニット30の風味剤または吸着剤のような内容物を使用者に表示するための目印としてもよい。例えば、緑色の着色剤を用いてフィルター挿入ユニット30がメンソールで風味付けされていることを示してもよい。
【0059】
フィルター挿入ユニット30を喫煙品10のフィルター20に挿入する場合、中にフィルター挿入ユニットを固定する追加手段があると便利である。図5〜20には、フィルター20、フィルター挿入ユニット30、およびそれらがフィルター20内に保持される方法の種々の実施例が説明されている。当然だが、以下の説明で保持手段とは、実質的に平坦な2つの接触面の間の一般的な摩擦接触によって達成されるものより優れた保持を行う構造のことをいう。
【0060】
単に説明上の理由から以下の図では、図1に示したタバコロッド15のようなタバコロッドは省略されている。以下に掲載した実施例は、場合によって必要とされ当業者には明らかである任意の追加の改良が施された上記の実施例と矛盾しないことを意図している。
【0061】
図5にはフィルター20およびフィルター挿入ユニット30が示されており、これらは図1、2を参照して先に説明されたものと実質的に類似である。しかしこの実施態様は、管状のろ過領域22が図2に示した管状のろ過領域22よりも短い点が上記のものと異なる。管状のろ過領域22と円筒状のろ過領域21の間に間隙26が設けられている。フィルター挿入ユニット30は圧縮可能な材料で形成され、収納部25に挿入されると間隙26の中に少なくとも部分的に広がることができる。そのようにしてフィルター挿入ユニット30は収納部25の中に固定される。
【0062】
図6にはフィルター挿入ユニット30および収納部25を備えるフィルター20の配置が示されている。フィルター挿入ユニット30の主面には小さなかぎ状突起31が複数配置されており、収納部25の内面には相当する数の小さな輪(図示せず)が配置されていて、フィルター挿入ユニット30が挿入されると、その輪がかぎ状突起31と係合してもよい。例えば、フィルター挿入ユニット30および/または収納部25の内部にベルクロ(Velcro、登録商標)を備えてもよい。そのようにすることで、フィルター挿入ユニット30が収納部25に挿入されると、フィルター挿入ユニット30の取り外しに対する抵抗力が強化されるため、フィルター挿入ユニット30の不用意な脱落は生じ難い。
【0063】
図7には、フィルター20および代わりの機械的な係止手段を備えたフィルター挿入ユニット30が示されている。フィルター挿入ユニット30の一端の外面には、隆起した係止部32が設けられている。対応するくぼみ33が収納部25の中に設けられており、隆起した係止部32を補完する形状をしている。対応するくぼみ33はフィルター20の吸い口端11から離れて配置されていてもよい。挿入の際、フィルター挿入ユニット30を回転させて隆起した係止部32を収納部25内のくぼみ33と整列させてフィルター挿入ユニット30をフィルター20の収納部25内に固定することができる。
【0064】
図8には、フィルター20およびさらに別の代わりの機械的な係止機構を備えるフィルター挿入ユニット30が示されている。フィルター挿入ユニット30の表面には、数個の隆起した点34が設けられていて、フィルター20の収納部25とフィルター挿入ユニット30の間の摩擦装着を改善している。この隆起した領域はフィルター挿入ユニット30の外側包装材を外向きに穴を開けて形成してもよい。
【0065】
その代わりにフィルター20とフィルター挿入ユニット30を圧縮性が異なる材料で形成して、フィルター20の収納部25の中にフィルター挿入ユニット30を固定してもよい。
【0066】
図9には内部に収納部25が配置されたフィルター20およびフィルター挿入ユニット30が示されている。この実施態様の場合、フィルター挿入ユニット30はフィルター20の形成に用いられる材料よりも柔らかい材料で形成されている。この実施態様では、フィルター挿入ユニット30の直径D1は収納部25の直径D2よりも大きい。容易に挿入できるように、使用者が使用の際にフィルター挿入ユニット30を圧縮してもよい。フィルター挿入ユニット30が挿入されると、圧縮されていない元の寸法に戻ろうとするフィルター挿入ユニット30の外向きの圧力が収納部25の内壁に作用し、その圧力がフィルター挿入ユニット30を所定の位置に確実に保持する働きをする。
【0067】
図10には代わりの実施態様が示されており、この実施態様もフィルター挿入ユニットの材料の圧縮性に頼っている。内側方向に延びたリップ35がフィルター20の吸い口端11に配置されている。収納部25のリップ35が配置された吸い口端11の直径D3は、収納部25の他の部分の直径D2(図9に示す)ならびにフィルター挿入ユニット30の直径よりも小さい。挿入の際は、フィルター挿入ユニット30を小さな直径まで圧縮することができるため、フィルター挿入ユニット30を収納部25にリップ35を通り越して押し込むことができる。その後フィルター挿入ユニット30は広がって、圧縮されていない実質的に自然の直径まで戻り、フィルター挿入ユニット30とフィルター20の間が確実に装着される。
【0068】
図11には別のフィルター20が示されており、管状のフィルター領域22に上流部22Aおよび下流部22Bが含まれている。この22Aと22Bの2つの直径は同じでも違っていてもよい。一実施態様では、下流部22Bは直径が上流部より小さくてもよく、その場合下流部22Bは図10を参照して上に説明したリップ35と類似の様式のリップ部として機能してもよい。この実施態様では、フィルター挿入ユニット30は手で圧縮可能な材料で形成されてもよい。
【0069】
図12には、その吸い口端11に端部蓋36が取り付けられているフィルター20が示されている。フィルター挿入ユニット30が挿入され、次に端部蓋36が閉じられる。図12に示した端部蓋36はフィルター20の吸い口端11の点37の回りに蝶番で連結されているが、その代わりに、当業者には明らかな端部蓋36をフィルター20に固定する他の手段を用いてもよい。端部蓋36は実質的に煙を通す材料で形成されてもよい。端部蓋36が圧迫なく閉じられるように、フィルター挿入ユニット30の寸法を決めてもよい。あるいは、フィルター挿入ユニット30が圧縮可能な材料で形成されていれば、端部蓋36はフィルター挿入ユニット30を押圧してもよい。
【0070】
図13に示すように、フィルター20の吸い口端11の旋回軸39の回りに、門扉38を取り付けてもよい。門扉38は内側へ開くが(湾曲した矢印で示す)外側には開かないように、門扉38と旋回軸39を配置してもよい。使用時、フィルター挿入ユニット30はフィルター20の収納部25に押し込まれ、その際に門扉38は図13に示したフィルター20の長軸Xに実質的に並行になるように内側へ押される。フィルター挿入ユニット30が圧縮可能な材料で形成されていれば、その後圧力を加えてフィルターユニット30を圧縮して、フィルター20の吸い口端11に一番近い端部が押されて門扉38を通過するようにしてもよい。門扉38を塞ぐものが無くなったら門扉38が長軸Xに対し実質的に垂直な位置に戻るように、門扉38を付勢してもよい。
【0071】
図14には、中に収納部25が配置されたフィルター20およびフィルター挿入ユニット30の代わりの実施態様が示されている。図14に示すように側面から見た断面図では、収納部25およびフィルター挿入ユニット30は台形に見える。手で圧縮可能な材料で形成され、断面が四角形のフィルター挿入ユニット30を、断面が台形の収納部25に挿入して確実に固定してもよい。
【0072】
図15には本発明の別の実施態様が示されており、中に収納部25が配置されたフィルター20および表面に圧縮可能なひだ状部40を配置したフィルター挿入ユニット30が示されている。ひだ状部40は複数の稜で形成されており、これらの稜はフィルター挿入ユニット30の周りに半径方向に配置され、フィルター挿入ユニット30の軸に対し実質的に並行であり、フィルター挿入ユニット30の長さの一部に沿って延びている。フィルター挿入ユニット30のひだ状部40で覆われていない部分は棒状部41を形成している。
【0073】
使用時、棒状部41はフィルター挿入ユニット30を把持し、フィルター挿入ユニット30をフィルター20の収納部25の中に配置するための手段となる。挿入前に、ひだ状部40はフィルター挿入ユニット30の他の部分より外側へ突き出るように付勢されている。フィルター挿入ユニット30が収納部25に完全に挿入されるとひだ状部40は圧縮され、したがって確実に固定される。
【0074】
機械的な係止機構を提供する代わりに、図16に示すような化学的係止機構を提供する。フィルター挿入ユニット30の外面は接着剤Aで覆われており、収納部25の内面は接着剤Bで覆われている。使用の際、フィルター挿入ユニット30が収納部25に挿入されると、接着剤Aは接着剤Bと接触し、化学反応によりフィルター20とフィルター挿入ユニット30の間の固着が形成される。
【0075】
あるいは、フィルター挿入ユニット30は、壊れやすいカプセル42を図17に示すように含んでもよい。フィルター挿入ユニット30が収納部25に挿入されると、フィルター20は図17に示す互いに向き合った矢印の方向に内向きに強く押される。壊れやすいカプセル42は破裂し、その中に貯蔵されている接着剤が放出される。挿入ユニット30は、その接着剤を挿入ユニット30の外面まで移動可能にする材料で形成してもよい。接着剤はフィルター20とフィルター挿入ユニット30を互いに固着する。
【0076】
壊れやすいカプセル42は水ならびに、またはその代わりに接着剤を、本明細書に説明した任意の風味剤、着色剤、または吸着剤と一緒に含んでもよい。
【0077】
フィルター20とフィルター挿入ユニット30の間の接着剤の代わりの配置を図18に示す。この実施態様では、接着剤は挿入ユニット30の外面だけに塗布されている。フィルター挿入ユニット30をフィルター20の収納部25に挿入すると、フィルター20の外面は互いに向き合った矢印で示した方向に強く押される。フィルター挿入ユニット30の外面の接着剤にそのようにして加えられた圧力によって、接着剤がフィルター20とフィルター挿入ユニット30を固着させる。
【0078】
あるいは図19に示すように、接着剤を挿入ユニット30の外面に塗布してもよい。接着剤は、半径方向に配置されフィルター挿入ユニット30の長さだけ延びた1本以上の帯43状に塗布されてもよい。使用前、これらの帯は保護カバーで覆われていてもよく、保護カバーはフィルター挿入ユニット30をフィルター20の収納部25に挿入する直前に除去される。その後接着剤の帯43によって、フィルター挿入ユニット30がフィルター20の収納部25の内側に接着される。
【0079】
上記のフィルター挿入ユニット30はセルロースアセテートのようなフィルター材で形成されてもよいが、他の材料を代わりに用いてもよい。例えば、フィルター挿入ユニット30はろうまたは類似の物質で形成してもよい。挿入されたら、挿入ユニット30は、図1に示した喫煙品10の遠位端12から喫煙中に伝達される熱によってわずかに溶融してもよい。フィルター挿入ユニット30はフィルター20の収納部25の内面にそのように接着されてもよい。ろうがわずかに溶融することによって、フィルター挿入ユニット30内に含まれている風味剤および香料の放出を容易にしてもよい。
【0080】
図20には別のフィルター挿入ユニット44が示されている。このフィルター挿入ユニット44はカプセルの形態で、ゼラチンまたは類似の物理的特徴を有する他の物質で形成されている。そのようなフィルター挿入ユニット44は、収納部25に挿入されると収納部25と同じ形状になるように配置されてもよい。フィルター挿入ユニット44を挿入しフィルター20を強く押すとフィルター挿入ユニット44が破裂してその内容物が放出されるように、カプセルの形態のフィルター挿入ユニット44は壊れ易くてもよい。
【0081】
図1〜20を参照して上に説明したフィルター挿入ユニット30は、端面から見た断面が図21に示すように円形である収納部25への挿入を目的としているが、種々の断面形状の収納部を用いてもよい。
【0082】
図22は喫煙品10のフィルター20の吸い口端11を示す端面から見た図である。収納部25の外形は端面から見ると不規則であり、挿入ユニット30は端面から見ると補完的な形状をして確実な固定を実現している。図22に示すような端面から見て不規則な断面形状は、フィルター挿入ユニット30とフィルター20の間の接触面積が増えるため有利である。
【0083】
図23には、さらなる実施態様によるフィルター20とフィルター挿入ユニット30が示されている。この実施態様では、フィルター挿入ユニット30には尖頭50が設けられている。尖頭50には1つ以上の返し55を設けてもよい。フィルター挿入ユニット30がフィルター20の収納部25に挿入されると、尖頭50と返し55はフィルター20の円筒状のろ過領域21の中に少なくとも部分的に埋め込まれ、フィルター挿入ユニット30をフィルター20に保持する助けとなる。
【0084】
図24に示したさらなる実施態様では、フィルター挿入ユニット30はフィルター挿入ユニット30の外面の周りに配置された雄ねじ60を含む。フィルター20の収納部25は収納部25の内面に沿って配置された雌ねじ61を含んでもよい。挿入時、フィルター挿入ユニット30は捻られて雄ねじ60と雌ねじ61が係合するため、フィルター挿入ユニット30はフィルター20の収納部25内に保持される。
【0085】
これらのねじ山60、61は、型成形されたまたは押し出された充填材料またはプラスチックで提供してもよい。あるいはこのねじ山は、例えば収納部が型押し可能な硬質紙または厚紙様材料で形成される場合、またはフィルター挿入ユニット30を取り囲んでいるプラグラッパーが型押し可能である場合には、収納部25の内面および/またはフィルター挿入ユニット30の外面を型押しして形成してもよい。一部の実施態様では、ねじ山60、61はフィルター挿入ユニット30と収納部25の両方ではなく片方に設け、ねじ山とねじ山の間に使用時に煙が沿って通過する流路を提供してもよい。
【0086】
さらなる実施態様では、図25Aに示すように、フィルター20の側部に沿って配置された開口から収納部25にフィルター挿入ユニット30を挿入してもよい。図25Bに、そのような一実施態様によるフィルター20が示されている。下流の円筒状のろ過領域62、中間部の管状のろ過領域63、および上流の円筒状のろ過領域64が、図25Bに示すように端部を突き合わせて配置されている。中間部の管状のろ過領域63には切り欠き部があって、そこにフィルター挿入ユニット30を挿入することができるようになっている。下流の円筒状のろ過領域62と中間部の管状のろ過領域63と上流の円筒状のろ過領域64とを所定の位置に保持するのに使用可能なプラグラッパー、チッピング紙、または任意の他のふさわしい包装材にも切り欠き部を設けて、フィルター挿入ユニット30を収納部25に挿入できるようにしてもよい。使用時、下流の円筒状のろ過領域62によって、フィルター挿入ユニット30はフィルター20の中の所定の位置に保持される。
【0087】
図26には、フィルター挿入ユニット30がスリーブ70に挿入される一実施態様が示されている。スリーブ70はセルロースアセテートのようなフィルター材の円筒領域71を備える。円筒領域71には収納部72が有り、収納部72は円筒領域71の上流端から円筒領域71の長さの一部に延びる。スリーブ70はスリーブ部73をさらに備え、スリーブ部73は硬い厚紙の外装材で円筒領域71よりも長く構成することができるため、スリーブ部73で定義された中空領域に喫煙品を挿入することができる。使用時は、スリーブ部73が喫煙品の吸い口端を覆うようにスリーブを喫煙品に被せる前に、フィルター挿入ユニット30を収納部72に挿入することができる。このようにしてスリーブ70は使用中にフィルター挿入ユニット30を所定の位置に保持する。
【0088】
図27には、挿入式フィルターユニットが、従来の喫煙品フィルターに挿入可能なくぎ状部材75である実施態様が示されている。くぎ状部材75は、プラスチック、木材、または任意の他のふさわしい材料を含む材料で形成してもよい。くぎ状部材75に風味剤のような添加剤または吸着剤を塗布して、フィルターを通過する煙に感覚刺激性を与えてもよい。
【0089】
図28A、28Bおよび28Cは、フィルター20の端面から見た図であって、フィルター挿入ユニット30がそれぞれの例示的実施態様に従って挿入された吸い口端11を示している。これらの実施態様では、フィルター挿入ユニット30およびフィルター20の収納部25は、後から見ると種々の断面形状を有している。
【0090】
図28Aには三角形断面を有する収納部25に挿入された円形断面を有するフィルター挿入ユニット30が示されている。図28Bには四角形断面を有する収納部25に挿入された円形断面を有するフィルター挿入ユニット30が示されている。図28Cには円形断面を有する収納部25に挿入された四角形断面を有するフィルター挿入ユニット30が示されている。図28A〜28Cからわかるように、種々の形状のフィルター挿入ユニット30と収納部25を用いて流路76を構成することができるようになる。そのような流路76の数と形状は、図28A〜28Cの比較から分かるように、フィルター挿入ユニット30と収納部25の形状の組合せを変えることによって変更できる。また形状がそのように変化すると、フィルター20とフィルター挿入ユニット30は互いに圧入されることにもなり、挿入されたフィルター挿入ユニット30の保持の助けにもなる。留意すべきことは、図28A〜28Cに示したもの以外のフィルター挿入ユニット30と収納部25の形状の組合せを用いてもよいことである。
【0091】
図29Aにはさらなる実施態様によるフィルター挿入ユニット30が示されている。この実施態様によるフィルター挿入ユニット30はセルロースアセテートのようなフィルター材の塊77を含み、フィルター材の塊77には複数の溝78が有り、溝78はフィルター挿入ユニット30の周辺領域にその長さの少なくとも一部に沿って延びている。フィルター挿入ユニット30はプラグラッパーまたは他のふさわしい包装材を用いて包まれている。包装材には複数の穴があってある量の煙を通過させることができる。これらの穴は例えば溝78と一致していてもよい。フィルター挿入ユニット30は第2の包装材79を備えてもよく、第2の包装材79は周辺の溝78の輪郭に倣っていないため、図29Bに示すように第2の包装材とフィルター材の塊の間に複数の流路が定義される。使用時、図29Aのフィルター挿入ユニット30が収納部25に挿入されると、フィルター挿入ユニット30のプラグラッパーの複数の穴を煙が通過し、固有の喫煙感を提供することができる。図29Cには、第2の包装材79が用いられていない一実施態様によるフィルター挿入ユニット30が示されている。
【0092】
図29A〜29Cに示した実施態様の代わりに、上記の溝を螺旋状の周辺溝として設けて、煙供給用の改変された通路を設けてもよい。
【0093】
図30には、フィルター挿入ユニット30が円筒部80および管状部81を備える実施態様が示されている。円筒部80はセルロースアセテートのようなフィルター材で形成してもよい。管状部81は厚紙で形成してもよいが、他の材料を用いてもよい。円筒部80の外面および管状部81の内面と外面に複数の返しを設けて、円筒部80が管状部81の中に保持されるように、かつ管状部81がフィルター20の収納部25の中に保持されるようにしてもよい。
【0094】
図31Aには別の実施態様が示されている。フィルター挿入ユニット82は、収納部25に挿入されるように配置された細い挿入部83、および太い非挿入部84を備える。2つの部分83、84は上記の任意の材料で形成してもよい。
【0095】
図31Bには、図31Bに示したフィルター挿入ユニット82と類似のフィルター挿入ユニット85が示されているが、フィルター挿入ユニット85はフィルター20の外面全体に被さるように配置されたスリーブ86をさらに備える点が異なる。スリーブ86は紙または厚紙のような任意のふさわしい材料で形成してもよい。
【0096】
図32にはさらなる実施態様によるフィルター85が示されている。フィルター90は2つの収納部25を備える。各収納部25はそれらに挿入されるフィルター挿入ユニット30を有してもよい。代わりの実施態様では3つ以上の収納部を設けてもよい。
【0097】
ここまでの説明で用いられているように、「喫煙品」には、タバコ、タバコ派生物、膨張タバコ、再生タバコまたはタバコ代用品、および非燃焼加熱製品を基にしたまたは基にしない紙巻きタバコ、葉巻、および細巻き葉巻のような喫煙製品が含まれる。
【0098】
上記の詳細な説明から、当業者には、本発明の複数の例示的な実施態様によって以下が提供されることが分かる。
【0099】
喫煙品フィルター用の挿入式フィルターユニットであって、このフィルターユニットは、挿入式フィルターユニットを喫煙品フィルターの中に保持する保持手段を備える、挿入式フィルターユニット。
【0100】
保持手段は挿入式フィルターユニットの主面の周りに配置された複数のかぎ状突起を備えていること。
【0101】
保持手段は雌係止部材と係合するように配置された雄係止部材を備えていること。
【0102】
保持手段は複数の隆起した点を備えていること。
【0103】
保持手段はひだ状領域を備えていること。
【0104】
挿入式フィルターユニットは手で圧縮可能な材料で形成されていること。
【0105】
保持手段は挿入式フィルターユニットをフィルターに接着するように配置された接着剤を備えていること。
【0106】
接着剤は挿入式フィルターユニットの主表面に塗布されていること。
【0107】
接着剤は挿入式フィルターユニットの主表面に沿って延びる少なくとも1本の帯状に塗布されていること。
【0108】
カプセルを含む接着剤。
【0109】
挿入式フィルターユニットは、端面から見て、挿入式フィルターユニットの表面積を増やすように構成された断面形状を有すること。
【0110】
挿入式フィルターユニットは煙変性物質を含んでいること。
【0111】
煙変性物質は吸着剤材料を含んでいること。
【0112】
煙変性物質は風味剤を含んでいること。
【0113】
風味剤は、メンソール、レモン、ミカン、ライム、コーヒー、および/または茶の内の少なくとも1つを含んでいること。
【0114】
煙変性物質は着色剤を含んでいること。
【0115】
煙変性物質は水を含んでいること。
【0116】
煙変性物質は挿入式フィルターユニットの中に含まれる壊れやすいカプセルに収容されていること。
【0117】
煙変性物質は撚り糸状の形態であること。
【0118】
煙変性物質は顆粒状の形態であること。
【0119】
喫煙品フィルター用の挿入式フィルターユニットであって、煙変性物質を含む挿入式フィルターユニット。
【0120】
煙変性物質は挿入式フィルターユニットの中に含まれる壊れやすいカプセルに収容されていること。
【0121】
壊れやすいカプセルは水を含んでいること。
【0122】
煙変性物質は顆粒状の形態または撚り糸状の形態であること。
【0123】
煙変性物質は炭素吸着剤を含んでいること。
【0124】
煙変性物質は着色剤を含んでいること。
【0125】
煙変性物質は風味剤を含んでいること。
【0126】
煙変性物質は、メンソール、レモン、ミカン、ライム、コーヒー、および/または茶の内の少なくとも1つを含んでいること。
【0127】
煙変性物質は水を含んでいること。
【0128】
挿入式フィルターユニットを収納するための収納部を備える喫煙品フィルター。
【0129】
収納部はフィルター材で形成された壁で少なくとも部分的に取り囲まれていること。
【0130】
収納部は紙で形成された壁で少なくとも部分的に取り囲まれていること。
【0131】
収納部は厚紙の管で少なくとも部分的に取り囲まれていること。
【0132】
中にフィルターユニット保持手段が配置された収納部を備える喫煙品フィルター。
【0133】
挿入式フィルターユニットの雄係止部材を受けるように配置された雌受け部材を備えている喫煙品フィルター。
【0134】
保持手段は喫煙品フィルターの吸い口端に置かれた点の回りに関節で接続された着脱式蓋を備えていること。
【0135】
喫煙品フィルターの収納部は、その中に配置されたねじ山を有すること。
【0136】
保持手段は内側方向にだけ開くように配置された門扉を備えていること。
【0137】
保持手段は収納部の主表面に塗布された接着剤を備えること。
【0138】
挿入式フィルターユニットと喫煙品フィルターを構成する部品一式。
【0139】
喫煙品フィルターの収納部に挿入される挿入式フィルターユニットを有する喫煙品。
【0140】
本発明の実施態様は、風味、添加剤、放出、成分、および/またはそのようなものに関連する規制等の適用法令および/または規制法(これらは一例であってこれらに限定されない)を順守するように構成されている。例えば本発明は、本発明を実施する喫煙品が使用者による使用/操作の前後も適用規制法に準拠するように構成することができる。
【0141】
種々の問題に対処し本技術を促進するため、本開示の全体は種々の実施態様を一例として示す。その実施態様の中で特許請求の範囲に記載の発明が実践され、優れた喫煙品フィルターおよび挿入式フィルターユニットが提供される。本開示の利点および特徴は、単に実施態様の代表的事例であって全てを包括する事例ではなく、および/またはこれ以外を排除する事例でもない。これらは単に特許請求された特徴の理解を助け、教示するために提示される。当然のことだが、本開示の利点、実施態様、実施例、機能、特徴、構造、および/または他の態様は、特許請求の範囲で規定される本開示またはその均等物を限定するものではなく、本開示の範囲および/または概念から逸脱することなく他の実施態様を利用し改変することができる。種々の実施態様は、開示された要素、構成要素、特徴、部品、工程、手段他の種々の組合せを好適に含んでも、それらで構成されても、または基本的にそれらで構成されてもよい。さらに本開示には、現在特許請求されていないが将来特許請求される可能性がある他の発明も含まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0142】
【特許文献1】米国出願公開第2005/0126395号公報
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25A
図25B
図26
図27
図28A
図28B
図28C
図29A
図29B
図29C
図30
図31A
図31B
図32