【実施例】
【0017】
以下に実施例、試験例を示し、本発明をさらに説明する。
<ASGの調製例>
発芽玄米糠をヘキサンで脂質成分中の中性脂質を除去後、それぞれの残渣につき、ヘキサン、クロロホルム及びメタノールを用いてASGの粗抽出液を調製した。このASG粗抽出液からクロロホルム:メタノール(2:1)混合液で抽出し、シリカゲル担体カラムクロマト
グラフィーによって、ASGの調製を行った。
試験に用いたASGの抽出は発芽玄米約2,000kgを搗精して得られた糠200kg(搗精度10%)を用いて行った。
米糠(500g)が浸る量のヘキサンを加え十分に撹拌した後ガーゼでろ過を行い、脱脂糠を得た。その後、ヘキサンを揮発させた脱脂糠を1.5kgに対してクロロホルム:メタノール2:1を(3L)加えて総脂質画分を抽出し、抽出液をエバポレーターで乾固させ乾固物を得た。
【0018】
乾固物は300mlのクロロホルム:ヘキサン=1:1に溶解し、クロロホルムで膨潤させた直径10cm×長さ100cm(メルク社製シリカゲル60を80cm充填)のカラムに全溶解液をアプライした。溶液がイアトロビーズに全てしみ込んだ後、クロロホルム:ヘキサン=1:1(7,840ml)、クロロホルム(20,160ml)、クロロホルム:メタノール=9:1(10,080ml)の順でそれぞれを通液した。クロロホルム:メタノール=9:1の通液により分離した暗緑色の溶液だけを全て採取した。
採取した暗緑色の溶液はエバポレーターで乾固させ試験に供した。表1に各ポイントでの収量を示す。
【0019】
【表1】
【0020】
<ASG分析>
抽出したASGの分析は以下の条件で行った。この分析の結果、最終乾固物には、ASGが72.6%含まれていることが判明した。
分析条件
検出器 :CoronaTM CADTM Charged Aerosol Detector
カラム :LiChrospher Si 60(5μm,125×4mm i.d.,Merck)
カラム温度 :40度
流速 :1mL/min.
注入量 :10μL
サンプル溶媒:クロロホルム:メタノール(2:1,vol/vol)
検量線濃度 :10,20,40,60及び80μg/mL
移動相、グラジェント条件(表2参照)
【0021】
【表2】
【0022】
<ディフェンシン誘導試験>
I.材料及び方法
特開2011−78318号公報に開示されているマウス小腸陰窩を用いたパネト細胞からのα−ディフェンシン分泌アッセイ系を用いてASGがパネト細胞から抗菌性ペプチドであるα−ディフェンシンの分泌誘導効果を抗菌活性を指標にして確認した。
1.小腸陰窩材料採取:
ICRマウス(日本チャールズ・リバー社)から、従来法に従ってクリプト(小腸陰窩)を含む小腸の組織を採取し、1mLのPBS(−)に懸濁して、クリプトを含む懸濁液を調製した{Ayabe Tら、Nature Immunol.第1巻、第113-118頁、2000年}。この懸濁液に含まれるクリプト数を血球計算盤(Burker−Turk;サンリード硝子社)を用いて数えたところ、5〜8×10
4個であった。また、位相差顕微鏡(オリンパス社)を用いて弱拡大視野で観察して、この懸濁液に含まれる組織のうちクリプトが占める割合を求めたところ、その割合は70%以上であった。
2. パネト細胞分泌反応およびex vivo殺菌アッセイ:
回収した小腸陰窩と上記のASG含有組成物をex vivo共培養して粗分泌物を回収した。ASG(以下グラフ中ではPSGと標記している)の濃度は生理食塩水を用いて1:10,000、1:1,000または1:100希釈とした。同時に小腸陰窩のASG非曝露のPBS対照上清も回収した。30%酢酸中でペプチドを抽出、透析に引き続いて真空凍結乾燥した。回収した分泌物および非曝露対照上清抽出物を1μLが小腸陰窩100個由来となるように純水に溶かした。
次に、分泌物のSalmonella Typhimurium phoP-に対する殺菌活性を解析した。
パネト細胞分泌物および非曝露対照上清、抽出物を1×10
6colony-forming units (CFU) のS. Typhimurium phoP-と37℃で60分反応させた後、TSAプレート上で一晩培養した。生存CFUをカウントし、殺菌率を
図1に示した。
【0023】
II.結果
ASGのパネト細胞からのα−ディフェンシン等の抗菌性ペプチド分泌誘導による S. Typhimurium phoP-に対するex vivoでの殺菌活性を解析した。ASGをマウス小腸陰窩に反応濃度および小腸陰窩数を変えて検討したところ、
図1に示すように、ASG(1:10,000 〜1:100)に暴露した小腸陰窩50個由来の分泌物はコントロールと比較して99%以上の有意な殺菌率を認めた。また、この殺菌活性はASGの濃度に依存していた。小腸陰窩 100個由来の分泌物はASG(1:100)でさらに強力な殺菌活性を示した。
小腸陰窩200個および500個由来の分泌物では検討したすべてのASG濃度で細菌数が100分の1以下となった。
以上の結果より、ASGはマウス小腸パネト細胞からのα−ディフェンシン等抗菌性ペプチドによるex vivo殺菌活性放出を誘導することが明らかになった。また、その殺菌活性はASG濃度依存性であることが確認できた。
【0024】
以下に本発明のASGを用いた処方例を示す。
処方例1
[カプセル剤]
組成
ASG………………100mg
ミツロウ………………10mg
ぶどう種子オイル…110mg
上記成分を混合し、ゼラチンおよびグリセリンを混合したカプセル基剤中に充填し、軟カプセルを得た。
【0025】
処方例2
[錠剤]
組成
ASG乾固物……………150mg
セルロース…………………80mg
デンプン……………………20mg
ショ糖脂肪酸エステル………2mg
上記成分を混合、打錠し、錠剤を得た。
【0026】
処方例3
[飲料]
組 成 (配合;質量%)
果糖ブトウ糖液糖 5.00
クエン酸 10.4
L−アスコルビン酸 0.20
香料 0.02
色素 0.10
ASG乾固物 1.00
水 82.28