(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記取り付け角度の維持を解除した状態で前記支持部に前記理化学機器が取り付けられた際、前記理化学機器の重みによる前記支持部の下方へ移動速度を緩和する移動速度緩和装置を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の機器収納スタンド。
前記支柱を鉛直方向に立てる脚部ベースを更に備え、該脚部ベースは、板状の本体と、該本体から外側に張り出して設けられた複数の脚部材とを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の機器収納スタンド。
前記脚部ベースは、前記複数の脚部材のそれぞれに対応して回転自在に取り付けられたキャスターを更に備えることを特徴とする請求項9又は10に記載の機器収納スタンド。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、図面を参照して、本発明の第1及び第2の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0009】
又、以下に示す本発明の第1及び第2の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0010】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係る機器収納スタンドは、
図1に示すように、脚部ベース10と、脚部ベース10の上に設けられ、例えば幅15cm〜20cm程度、高さ120cm〜130cm程度、厚さ2mm〜5mm程度の長方形の前面壁を有して鉛直方向に延在する支柱20を備える。支柱20の上部には、
図1の紙面を正面から見て、舟形状(バスタブ状)に表れる上部支持板56が設けられている。上部支持板56は、舟形の左右に接続される領域が水平に表れるように両端が曲げて形成され、この両端の水平面上に、いずれも円柱形状の第1支持部60a及び第2支持部60bが設けられている。
【0011】
第1支持部60a及び第2支持部60bは、例えば鉄、ステンレススチール或いは強化プラスチック等で構成できる。
図1は理化学機器を搭載していない無負荷状態を示す全体図であるが、第1支持部60a及び第2支持部60bに取り付けられる「理化学機器」の具体例としては、例えば輸液ポンプやシリンジポンプ等のポータブルな医療機器が好適であるが、医療機器に限定されるものではなく、種々の電子機器、科学機器や小型の産業用機器等が含まれ得るものである。
【0012】
また
図1中に示すように、支柱20の前面壁上には、上部支持板56の下方において、上下方向に等間隔で同一直線上に揃えて配列された棒状の第3支持部30a〜第8支持部30fが備えられている。第3支持部30a〜第8支持部30fは、それぞれ、理化学機器を、それぞれの操作部や表示部を上にして各段に支持し安全に固定する支持部である。
図1に例示した第1の実施形態に係る機器収納スタンドでは第3支持部30a〜第8支持部30fの6段の支持部を例示したが、6段に限定されるものではない。支持部の段数は3段以上であれば任意に選択できる。理化学機器の大きさと機器収納スタンドを移動する際のドアの高さ等を考慮して支持部の段数を決定すればよい。第3支持部30a〜第8支持部30fの大きさは、例えば直径2.5cm〜3cm、長さ4.5cm〜5cm程度の丸棒に構成できるが、これらの寸法や形状に限定されず、支持する理化学機器の大きさや形状を考慮して適宜決定すればよい。又医療用の現場においては、使用する部屋のベッド数等の使用環境を考慮して、機器収納スタンドの支持部の段数を決定してもよい。
【0013】
支柱20の前面壁は、平坦な平面である必要は必ずしもなく、一部に段差部を備えていても、円弧状の面であっても構わない。更に、第1の実施形態に係る機器収納スタンドは、第3支持部30a〜第8支持部30fのそれぞれに第3理化学機器〜第8理化学機器が取り付けられた状態で、第3支持部30a〜第8支持部30fの支柱20に対する取り付け角度θを、互いに独立に調節可能な角度調整機構を備える。また、第1の実施形態に係る機器収納スタンドが医療用スタンドである場合においては、支柱20の上にはポール70が上方に延びるように立てて設けられると共に、ポール70の上端には点滴バッグ等を吊り下げるためのハンガー80が設けられていてもよい。
【0014】
脚部ベース10は、
図4に示すように、平面パターンで中央に配置された直方体状の本体11と、この本体11の長辺側である側面上からそれぞれの一端が外側に張り出して延びるように、他端が本体11に取り付けられた4本の脚部材12a〜12dを備える。脚部ベース10の本体11及び脚部材12a〜12dは、いずれも鉄、ステンレススチール或いは強化プラスチック等を主材料とし、一定の強度が保持されている。脚部ベース10の耐荷重は、例えば65kg程度に設定できる。
【0015】
4本の脚部材12a〜12dの一端は、平面パターンで、脚部ベース10の本体11の矩形より更に大きな矩形の4隅に位置するように配置され、脚部ベース10は全体としてH形状又はX字状に近似している。4本の脚部材12a〜12dの一端の下側には、それぞれの脚部材12a〜12dに対応して1個ずつ計4個のキャスター40a〜40dが回転自在に設けられている。
【0016】
図3に示すように、キャスター40a〜40dの直径Rは、例えば95mm程度の大径のものが好ましい。キャスター40a〜40dが大径であることにより、溝や段差にキャスター40a〜40dが挟まることを防ぎ、機器収納スタンドの転倒を防止できる。
【0017】
また
図3中の下側に示した脚部ベース10の右側の領域には、脚部ベース10とキャスター40a〜40dとの取り付け軸が破線で例示されている。一方、この破線の右側にはキャスター40a〜40dの円の中心を通って破線に平行な一点鎖線が例示されている。
【0018】
破線及び一点鎖線間の距離dが最小になるように、すなわちキャスター40a〜40d及び脚部ベース10の取り付け位置とキャスター40a〜40d中心とを可能な限り近接させることにより、上側から負荷される荷重がキャスター40a〜40dの回転中心に近い位置に掛かるため、荷重が掛かってもキャスター40a〜40dを回転し易くできる。
【0019】
第1の実施形態に係る機器収納スタンドにおいては、脚部ベース10はキャスターベースをなす。本明細書では、
図4中の状態で支柱20に設けられた支持部が位置する左側を「前」とし、支持部と反対側となる右側を「裏」と定義するが、「前」や「裏」は、単なる便宜上の選択に過ぎず、本発明を限定するものではない。
【0020】
図3に示すように、脚部ベース10の前後方向の幅が脚部ベース10の最大幅W
2をなす。脚部ベース10の最大幅W
2は、ハンガー80の最大幅W
1より長い。そのため第1の実施形態に係る機器収納スタンドは、全体を複数の平面で囲むように、概略の外形を定義すれば、上側から下側に向かって拡がる四角錐形状(ピラミッド状)であり、重心が全体の高さにおける下から約1/4の高さ位置に配置されている。
【0021】
図4中には4本の脚部材12a〜12dのうち、前側の2個のキャスター40a,40bが取り付けられている2本の脚部材12a,12bの方が、裏側の2個のキャスター40c,40dが取り付けられている2本の脚部材12c,12dより長い。すなわち脚部ベース10の本体11は、平面パターンで4本の脚部材12a〜12dのそれぞれの他端によって輪郭が推定される矩形の中心よりも、
図4中の右側に対応する、裏側に偏在配置されている。
【0022】
支柱20は、
図1に示すように、脚部ベース10の本体11の上面上に、この上面と直交するように起立して鉛直方向に設けられている。支柱20は、
図4に示すように、裏側方向に偏在した脚部ベース10の本体11のほぼ中央に設けられている。
図4に示すように、支柱20は断面が長方形の箱状をなす四角筒状である。
図4の断面にハッチングで示した長方形の長辺の長さは例えば、約150mm、短辺の長さは約80mmに設定でき、支柱20は例えば鉄、ステンレススチール或いは強化プラスチック等を主材料にして製造できる。
【0023】
支柱20及び脚部ベース10は、支柱20の矩形の4隅の領域を用いて4点でネジ留めされている。そのため長期間使用しても外れ難いように、支柱20及び脚部ベース10の一体性が高められている。第3支持部30a〜第8支持部30fは、第1支持部60a及び第2支持部60bと同様に、例えば鉄、ステンレススチール或いは強化プラスチック等で構成できる。第3支持部30a〜第8支持部30fに取り付けられる理化学機器としては、第1支持部60a及び第2支持部60bに取り付けられる理化学機器と同様に、ポータブルな医療機器が好適である。しかし、第3支持部30a〜第8支持部30fに取り付けられる理化学機器が医療機器に限定されるものではなく、種々の電子機器等他のポータブルな理化学機器等が含まれ得ることにも留意されたい。第3支持部30a〜第8支持部30fは、本発明の角度調整機構が連結される「支持部」に相当する。
【0024】
支柱20の裏面壁上で上下方向のほぼ中央の高さには、
図2の背面図及び
図3の右側面図に示すように、機器収納スタンドを押したり引いたりして操作するためのハンドル51が設けられている。支柱20の裏面壁も平坦な平面である必要は必ずしもなく、一部に段差部を備えていても、円弧状の面であっても構わない。また支柱20の裏面壁上には、ハンドル51と脚部ベース10の間には、各種のコード類等を引っ掛けるためのフック55が設けられている。支柱20の裏面壁上のフック55の下には、外部接続端子21が設けられている。
図3に示すように、支柱20の右側壁の上部には、機器収納スタンドをオンオフする電源スイッチ27が設けられている。
【0025】
図2に示すように、支柱20の裏面壁の上部には、第1コンセント26a及び第2コンセント26bが左右方向に同じ高さで並んで設けられている。第1コンセント26aは、第1支持部60aに支持される理化学機器が専用の電源コードを介して接続されると共に、第2コンセント26bは、第2支持部60bに支持される理化学機器が専用の電源コードを介して接続される。第1コンセント26a及び第2コンセント26bは、それぞれの本体構造をなす部分が支柱20の角筒の内側に内蔵され、支柱20の内側で外部接続端子21と電気的に接続されている。
【0026】
図3に示すように、支柱20の右側壁上で電源スイッチ27の下には、上下方向に等間隔で同一直線上に揃えて設けられた第3コンセント23a〜第8コンセント23fが設けられている。第3コンセント23a〜第8コンセント23fはそれぞれが、第3支持部30a〜第8支持部30fのそれぞれに1対1で対応しており、対応する支持部とほぼ同じ高さに設けられている。第1コンセント26a及び第2コンセント26bと同様に、それぞれの本体構造をなす部分が支柱20の角筒の内側に配置され、支柱20の内側で外部接続端子21と電気的に接続されている。
【0027】
次に、第1の実施形態に係る機器収納スタンドの第3支持部30a〜第8支持部30fの角度調整機構を、第4支持部30bに着目して具体的に説明する。第4支持部30bの角度調整機構は、
図5に示すように、一端(上端)が、棒状の第4支持部30bの下端に接続された棒状の基部34と、この基部34の他端(下端)に、基部34の軸方向に直交するように水平に貫通して設けられた棒状の回転軸32と、この回転軸32の両端を支持する基台部31を備える。基台部31は支柱20の前面壁に固定されている。
【0028】
基台部31は、上部が開口した凹部を有し、この凹部の内側に回転軸32が設けられている。回転軸3は、基台部31がなす凹部の内側において、凹部を構成する対向する側壁間を架け渡すように設けられている。基部34は回転軸32に対して互いに回転自在に組み合わされている。すなわち第4支持部30bは、回転軸32の位置で支柱20に取り付けられており、基部34と共に回転軸32を中心とした円弧に沿って上下方向に自在に回転移動できる。
【0029】
基部34の他端には、基部34に固着され基部34と共に回転する回転ドラム33が設けられている。回転ドラム33は、円柱状であり、回転軸32と同心で配置されている。回転ドラム33の周面の下側の領域には、6枚の角度調整板36b1,36b2,…36b6が等間隔で設けられている。6枚の角度調整板36b1,36b2,…36b6は、
図5に示すように、厚みが表れる方向から見て、回転ドラム33の底面の円の中心から外側に放射状に延びるように設けられている。
【0030】
6枚の角度調整板は、回転ドラム33の円の中心と、それぞれの角度調整板36b1,36b2,…36b6の板とを結ぶ線を設定したとき、隣り合う角度調整板36b1,36b2,…36b6の板の線同士の間に、約10°の角度が形成される周面上にそれぞれ配置されている。すなわち回転軸32が隣り合う角度調整板36b1,36b2,…36b6間を移動する際の回転角度が約10°毎に固定可能なラッチ機能が実現されている。
【0031】
一方、基台部31の下部には、下側に開口する貫通孔が設けられ、この貫通孔の中には、取り付け角度調整用の調整ボタンをなす摺動部材38が、上下方向に自在に摺動できるように挿入されている。この摺動部材38の上部は基台部31のなす凹部の内側に位置し、
図5に隠れ線で示した帯状のクランクシャフト35の一端にピン結合で連結されている。摺動部材38は、クランクシャフト35のシーソー運動によって、上下方向の揺動移動をする。クランクシャフト35はその中央付近を支点として「第1種てこ運動(シーソー運動)」をする。クランクシャフト35の長手方向の中央に位置する支点は、基台部31にクランクシャフト35が自在にシーソー運動することが可能なように取り付けられている。
【0032】
クランクシャフト35の支点を介した他端は、摺動部材38の前側に並んで配置された従動部材37の下部に連結されている。
図5において従動部材37と摺動部材38の間の位置に第1種てこ運動の支点が示されている。従動部材37は、クランク機構によって上下方向の揺動移動を可能とするようにクランクシャフト35の他端にピン結合されている。従動部材37の上面には、凹部の内側で回転ドラム33側に延びるストッパープレート39が設けられている。
【0033】
図5に示すように、ストッパープレート39の回転ドラム33側の先端と、回転ドラム33から摺動部材38側に延びる角度調整板36b1,36b2,…36b6の先端とが一定の面積を共有して接触するように、ストッパープレート39及び角度調整板36b1,36b2,…36b6のそれぞれの長さが設定されている。ストッパープレート39及び角度調整板36b1,36b2,…36b6が接触することにより、回転ドラム33の回転は停止する。
【0034】
摺動部材38には、図示を省略するが、例えば下側に向かう一定の弾性力を供給するバネ等の力学的エネルギ供給手段が取り付けられている。弾性的なエネルギが供給され摺動部材38が下側に向かって変位して、下側の先端が基台部31の貫通孔から基台部31の下方に向かって突出した状態となると、クランクシャフト35によるシーソー運動を介して従動部材37が上方に向かって大きく変位する。そしてストッパープレート39の先端が、6枚の角度調整板36b1,36b2,…36b6のいずれかと接触し、回転軸32及び回転ドラム33の下方への回転移動が阻止されるように設計されている。
【0035】
一方、ボタンをなす摺動部材38を下側から凹部の中に押し込むと、クランクシャフト35のシーソー運動を介して従動部材37が下側に変位し、ストッパープレート39が角度調整板から離れ、回転軸32及び回転ドラム33は自在に回転できる。
【0036】
回転が阻止された際の、ストッパープレート39が接触している角度調整板36b1,36b2,…36b6により、第4支持部30bの回転角度が定義される。例えば、ストッパープレート39が
図5中の最も右側の角度調整板36b1は、第4支持部30bの軸と平行に延びるように配置されている。そのためストッパープレート39が最も右側の角度調整板36b1に接触している状態では、第4支持部30bの回転角度は0°である。
【0037】
また6枚の角度調整板36b1,36b2,…36b6は、10°ずつの回転角度を刻むように配置されているため、ストッパープレート39が右から2番目の角度調整板36b2に接触している状態では、第4支持部30bの回転角度は10°である。このように6枚の角度調整板36b1,36b2,…36b6の配置によって約50°の回転角度の範囲が構成されていることにより、第4支持部30bは、0°以上50°以下の範囲内で回転移動する。
【0038】
以上、第4支持部30bの角度調整機構に着目して、代表例として説明したが、他の第3支持部30a、第5支持部30c〜第8支持部30fに関しても同様である。第3支持部30a〜第8支持部30fの軸方向の取り付け角度θが50°を超えると、上下方向における理化学機器同士の干渉の可能性が大きくなり、別途、理化学機器の取り付け間隔(クリアランス)を大きくする等の手段が必要になる。理化学機器の取り付け間隔が大きくなり過ぎると、理化学機器スタンド全体の高さが大きくなり、脚部ベース10の寸法の拡大や、理化学機器の取り付け位置が高くなるといった点を招き、作業性や操作性が損なわれる。
【0039】
また取り付け角度θが50°を超えると、理化学機器の使用者の視線の方向を考慮した際、理化学機器の表示部や操作部の位置や面内方向(面に平行な方向)が下側になり過ぎる可能性が大きくなり、作業性や操作性が損なわれる。取り付け角度θは0°以上50°以下の範囲内、特に50°である場合が、機器収納スタンドの全体の高さを抑え、表示部や操作部を見易く配置できる点で好ましい。
【0040】
回転ドラム33、6枚の角度調整板36b1,36b2,…36b6、摺動部材38及びストッパープレート39により、第3支持部30a〜第8支持部30fの軸方向の取り付け角度θを一定値で維持する角度維持装置が構成される。
【0041】
また図示を省略するが、第3支持部30a〜第8支持部30fには、ラッチを外したときに、下方への第3支持部30a〜第8支持部30fの移動速度を緩和する移動速度緩和装置が更に設けられている。移動速度緩和装置は、例えばトルクヒンジ機構を回転軸32又は回転ドラム33に組み合わせて設けることにより実現できる。
【0042】
移動速度緩和装置により、例えば理化学機器を第3支持部30a〜第8支持部30fに取り付けたまま、仮にラッチを外して、取り付け角度θの維持を解除した状態であっても、理化学機器の重みによって第3支持部30a〜第8支持部30fの下方への移動に抗するように上方へのトルクが負荷される。そのため、第3支持部30a〜第8支持部30fの軸方向の取り付け角度θが急激に変動して、理化学機器が第3支持部30a〜第8支持部30fから外れたり、角度調整機構を損傷させたりすることを防止できる。なお、第3支持部30a〜第8支持部30fの形状は棒状に限定されるものではなく、板状やブロック状等の他の形状でもよい。板状やブロック状等の他の形状の第3支持部30a〜第8支持部30fの場合、角度調整機構によって鉛直線に対し角度θが変化する方向が第3支持部30a〜第8支持部30fの「軸方向」として定義される。
【0043】
(角度維持装置の使用方法)
再度、第4支持部30bの角度調整機構を主に着目して説明すると、例えば使用者は一方の手の指で摺動部材38を押すことにより回転角度の維持を解除した状態で、他方の手で第4支持部30bを回転させて所望の回転角度をなすように調整する。そして調整後の回転角度を保持したまま、摺動部材38から一方の手の指を離せば、他方の手を第4支持部30bから離しても調整後の回転角度を維持できる。他の第3支持部30a、第5支持部30c第8支持部30に関しても同様である。
【0044】
図6中には、第3支持部30a〜第8支持部30fの軸方向の鉛直線に対する取り付け角度θを、いずれも50°に調整し、維持した状態が例示されている。このとき、第4支持部30bと第4コンセント間の距離Dは、例えば180mm程度に設定できる。
【0045】
図7中には、取り付け角度θが50°に調整された場合の第3支持部30a〜第8支持部30fに、それぞれ専用の第3取り付けベース91a〜第8取り付けベース91fを介して、対応する第3理化学機器93a〜第8理化学機器93fが取り付けられた状態が例示されている。
【0046】
第3理化学機器93a〜第8理化学機器93fは、それぞれ、専用の第3電源コード95a〜第8電源コード95fによって、対応する第3コンセント23a〜第8コンセント23fに接続されている。第3電源コード95a〜第8電源コード95fの全長は、第3支持部30a〜第8支持部30fと第3コンセント23a〜第8コンセント23f間の距離Dの2倍程度であることが好ましい。
図7に例示したものの場合、全長を360mm程度に設定すれば、第3理化学機器93a〜第8理化学機器93fの移動に必要な長さを確保しつつ、できるだけ短くして取扱い性を向上できる。
【0047】
また第2理化学機器103bも、専用の第2電源コード105bによって、対応する第2コンセント26bに接続されている。
図7に示すように、第3理化学機器93a〜第8理化学機器93fが第3支持部30a〜第8支持部30fに取り付けられた際に、側面から見て、脚部ベース10の内側に収まって配置されるように、第1の実施形態に係る機器収納スタンドの支柱20は脚部ベース10の裏側方向に偏在して取り付けられている。
【0048】
換言すると、脚部ベース10が有する4本の脚部材12a〜12dのうち、第3理化学機器93a〜第8理化学機器93fが吊り下げられる前側の2本の脚部材12a,12bの長さを、裏側の2本の脚部材12c,12dより長くする。そして、平面パターン上の支柱20が脚部ベース10に取り付けられる位置が、支柱20に第3理化学機器93a〜第8理化学機器93fが吊り下げられる側と反対側(裏側)に向かって偏在するように、脚部ベース10に支柱20が設けられている。
【0049】
第3取り付けベース91a〜第8取り付けベース91fを、
図8中に例示した第4取り付けベース91bを参照して説明する。第4取り付けベース91bは、第4理化学機器93bの支柱20側の裏面に取り付けられたブロック状の部材である。第4取り付けベース91bには、バイス(万力)の固定ブロックとして機能するU字状の固定枠部96bが、U字の底部が第4取り付けベース91bの上面に固着した状態で設けられている。固定枠部96bと第4取り付けベース91bとは一体で構成してもよい。固定枠部96bの一対の側壁部は、第4取り付けベース91bの主面とほぼ平行に延びている。
【0050】
固定枠部96bのU字を構成している一対の側壁部のうち一方の側壁部には貫通孔が設けられ、この貫通孔には締め付けネジ98bが差し込まれている。貫通孔の内周面には、例えば雌ネジが形成されており、締め付けネジ98bの外周面には、貫通孔の雌ネジに対応する雄ネジが形成されている。固定枠部96bのU字の内側に位置する締め付けネジ98bの一端には、主面が締め付けネジ98bの長手方向と直交するように配置された移動ブロック97bが設けられている。
【0051】
固定枠部96bのU字の外側に位置する締め付けネジ98bの他端には、締め付けネジ98bを回転させるための調節ノブ99bが設けられている。締め付けネジ98bをU字の内側に送り込む方向に調節ノブ99bを回転させると、V字型の溝が切られたくわえ面を有する移動ブロック97bが、固定枠部96bのU字の貫通孔が形成された側と反対側の側壁部に向かって近接する。
【0052】
図8に示すように、第4支持部30bを、固定枠部96bのU字の内側で、側壁部と移動ブロック97bのくわえ面の間に挟んで固く締め上げることにより、第4理化学機器93bが第4支持部30bに取り付けられる。このとき、第4理化学機器93bの操作部及び表示部の表面の面内方向は、
図7及び
図8に示すように、支柱20の軸線との間に、第4支持部30bの軸方向の支柱20への取り付け角度θに約90°追加した角度を形成して固定され、使用者の視線の方向から見た際に、操作部及び表示部の表面が見やすくなり、第4理化学機器93bの操作性及び視認性が高められている。
【0053】
図7及び
図8では第4取り付けベース91bの形状として、第4理化学機器93bを取り付ける側の取り付け面と、固定枠部96bを取り付ける側のバイス面とがほぼ直交する直角に近いコーナー部を有する場合を例示している。しかし、第4取り付けベース91bの形状が
図7及び
図8に例示した形状に限定されるものではなく、理化学機器を取り付ける側の取り付け面と、固定枠部96bを取り付ける側のバイス面との間の角度が90°より小さくても大きくても構わない。第4理化学機器93bの操作部及び表示部の表面が見やすい面内方向に、第4理化学機器93bが設定できる範囲内であれば、第4取り付けベース91bの取り付け面とバイス面との間の角度は任意に設定できる。しかも、
図5に例示したような第1の実施形態に係る機器収納スタンドの角度調整機構を用いることができるので、第4理化学機器93bの操作部及び表示部の表面の角度を設定する自由度は非常に高い。
【0054】
図9中には、理化学機器を取り付ける側の取り付け面と固定枠部96bを取り付ける側のバイス面との間の角度をそれぞれ約20°とした場合の、
図7及び
図8に例示した構造とは異なる別の第3取り付けベース92a〜第8取り付けベース92fの構造が例示されている。
図9に例示する新たな構造においては、第3支持部30a〜第8支持部30fの取り付け角度θは、いずれも0°である。
【0055】
第3理化学機器93a〜第8理化学機器93fの操作部及び表示部の表面の面内方向は、支柱20の軸線との間に、約20°の角度を形成して固定され、使用者の視線の方向から見た際に、操作性及び視認性が高められている。このように第1の実施形態に係る機器収納スタンドによれば、予め一定の角度が設けられている取り付けベース92a〜92fを備えた理化学機器を取り付ける場合であっても対応可能であるので、汎用性が高い。
【0056】
図10に示すように、第1コンセント26a、第2コンセント26b及び第3コンセント23a〜第8コンセント23fと、外部電源のコンセント120の間には、第1理化学機器〜第8理化学機器(93a〜93f,103b)を保護するサーキットプロテクター110が電気的に接続されて設けられている。
【0057】
サーキットプロテクター110は、例えば定格容量が5A程度のものを採用できる。外部電源は、例えば商用の交流電源(AC100V 50Hz/60Hz)である。サーキットプロテクター110は、第1理化学機器〜第8理化学機器(93a〜93f,103b)が漏電等の故障を起こした場合に作動して、外部電源からの電力を遮断する。
【0058】
第1コンセント26a、第2コンセント26b及び第3コンセント23a〜第8コンセント23fの正極側のライン及び負極側のラインは、いずれも1点で連結され、連結されたラインがサーキットプロテクター110にそれぞれ接続されている。連結された正極側のライン及び負極側のラインは、いずれも外部接続端子21に接続されている。そして機器収納スタンドの専用の電源ケーブル130が外部接続端子21及び外部電源のコンセント120間を接続する。
【0059】
第1の実施形態に係る機器収納スタンドによれば、第3理化学機器93a〜第8理化学機器93fの取り付け角度θを調整する角度調整機構により、それぞれの理化学機器の操作部を見易い角度で取り付け可能であるため、点滴処理に用いる流体の流量値の設定といった操作が容易である。またそれぞれの理化学機器の表示部を見易い角度で取り付け可能であるため、設定値の確認が容易である。よって複数の理化学機器を上下方向に高密度に並べて取り付けても、上下方向に隣接する複数の理化学機器の取り付け位置の干渉が回避でき、且つそれぞれの理化学機器の操作性を損なうことのないコンパクトな機器収納スタンドを提供できる。特に、第3支持部30a〜第8支持部30fの軸方向の支柱20に対する取り付け角度θを、互いに独立に調節することができるので、3台段以上の複数の理化学機器の大きさが互いに異なる場合であっても、支持部のそれぞれの角度を調整することにより対応が可能となる。その結果、より多数の理化学機器を1台の機器収納スタンドに安全且つ確実に、しかも高密度に取り付けることができ、医療現場等の省スペースが可能になる。
【0060】
また第1の実施形態に係る機器収納スタンドの角度調整機構によれば、10°刻みで取り付け角度θを調整可能であるため、調整作業が簡単で、かつ、調整した取り付け角度θの大きさを把握し易い。また調整した取り付け角度θを一定値で維持可能であるため、点滴等の医療業務に滞りが生じない。また第1の実施形態に係る機器収納スタンドの角度調整機構を構成するそれぞれの部材はいずれも簡易な構造であり、市場で流通する既存の安価な部品を用いて実現可能であるので、機器収納スタンド製造に必要な部品を調達するコストを抑えることができる。
【0061】
また第1の実施形態に係る機器収納スタンドによれば、例えば壁等に設けられた1箇所の外部電源のコンセント120から、最大で8台の理化学機器(6台のシリンジポンプ及び2台の輸液ポンプ等)を稼働できる。
【0062】
また第1の実施形態に係る機器収納スタンドによれば、サーキットプロテクター110を用いることにより、第1理化学機器〜第8理化学機器(93a〜93f,103b)が漏電等の故障を起こした場合であっても、コンセント120や故障していない他の理化学機器を漏電等から保護できる。
【0063】
また第1の実施形態に係る機器収納スタンドによれば、外部接続端子21及び外部電源のコンセント120間を接続するに際し、1本の専用の電源ケーブル130を用いるだけで済むので、ケーブルの絡まりや機器収納スタンドの移動の妨げの発生を防止できる。
【0064】
また第1理化学機器〜第8理化学機器(93a〜93f,103b)のそれぞれの専用のコンセント及び電源コードが設けられているので、コード類の絡まりや床面上の散乱等が抑制され、転倒を防止して安全性を高めることができる。また機器収納スタンドと外部電源のコンセント120の間に、8本のコード類及び8個の差し込み口を用意する必要がなく、いわゆる蛸足配線等の状態を回避できる。
【0065】
また第1の実施形態に係る機器収納スタンドによれば、脚部ベース10の本体11の外側に張り出すように4本の脚部材12a〜12dが設けられているので、機器収納スタンドの安定性が高められている。
【0066】
また第1の実施形態に係る機器収納スタンドによれば、全体が四角錐体形状をなすように構成されていることにより、重心を脚部ベース10側に寄せるようにより低く配置する低重心設計がなされており、複数の理化学機器を取り付けて重心位置が変化しても、転倒することがないように、使用時の安定性が高められている。
【0067】
また第1の実施形態に係る機器収納スタンドによれば、支柱20の前面壁で第3理化学機器93a〜第8理化学機器93fが吊り下げられる側と反対側に支柱20の取り付け位置が偏在するように、脚部ベース10の支柱20の取り付け位置を設計することにより、第3理化学機器93a〜第8理化学機器93fの吊り下げにより重心が外側に向くように変化しても、機器収納スタンド全体のバランスが崩れることがない。
【0068】
<第1の実施形態の変形例>
なお、外部接続端子21を設けず、負極側ラインを外部電源のコンセント120から第1コンセント26aに直接接続され、正極側ラインはサーキットプロテクター110を経由して第1コンセント26aが配線されるような回路構成でもよい。この第1の実施形態の変形例に係る機器収納スタンド場合、第2コンセント26bには第1コンセント26aから渡り配線で正極及び負極がそれぞれ供給され、第3コンセント26cには第2コンセント26bから渡り配線で正極及び負極がそれぞれ供給される。さらに、接地ラインも負極側ラインと同様に、外部電源のコンセント120から第1コンセント26aに直接接続し、第2コンセント26bには第1コンセント26aから渡り配線で接地ラインが接続され、第3コンセント26cには第2コンセント26bから渡り配線で接地ラインが接続されるような回路配線としてもよい。このような回路構成でも、漏電等からの保護は可能であり、第1の実施形態の変形例に係る機器収納スタンドによっても、上述した第1の実施形態に係る機器収納スタンドと同様な効果を奏することができる。
【0069】
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態に係る機器収納スタンドは、
図11に示すように、脚部ベース10aと、脚部ベース10aの上に設けられた支柱20と、支柱20の上部に設けられた第1支持部60a及び第2支持部60bと、支柱20の前面壁に上下方向の各段に並べられる理化学機器を支持する第3支持部30a〜第8支持部30fを備える。第1の実施形態に係る機器収納スタンドと同様に、支柱20の前面壁は、平坦な平面であることは必須ではなく、後述するスライド機構の構築に妨げとならない範囲で、一部に段差部を備える構造や円柱状の局面を含んでいることを妨げるものではない。
【0070】
また第2の実施形態に係る機器収納スタンドは、
図12に示すように、第3支持部30a〜第8支持部30fのそれぞれに第3理化学機器93a〜第8理化学機器93fが取り付けられた状態で、上側の理化学機器を支持し固定する支持部又は下側の理化学機器を支持し固定する支持部のうち少なくとも一方の支持部の支柱20に対する取り付け角度θを自在に調節する角度調整機構を備える。
【0071】
また第2の実施形態に係る機器収納スタンドは、第3支持部30a〜第8支持部30fのそれぞれの位置を支柱20の前面壁側に沿って上下方向に調整するように移動させるスライド機構を更に備える。第2の実施形態に係る機器収納スタンドは、脚部ベース10aの形状、及び、第3支持部30a〜第8支持部30fのスライド機構を備える点で、第1の実施形態に係る機器収納スタンドと異なる。
【0072】
脚部ベース10aの構造及び第3支持部30a〜第8支持部30fのスライド機構以外については、第1の実施形態に係る機器収納スタンドにおけるそれぞれ同名の部材と等価な構造であるため、重複説明を省略する。
【0073】
脚部ベース10aは、
図13に示すように、平面パターンで中央に配置された直方体状の本体11aと、この本体11aの長辺側である側面上からそれぞれの一端が外側に張り出して延びるように、他端が本体11aに取り付けられた4本の脚部材13a〜13dを備える。4本の脚部材13a〜13dの一端は、平面パターンで、脚部ベース10aの本体11aの矩形より更に大きな正方形の4隅に位置するように配置され、脚部ベース10aは全体としてX形状に近似している。
【0074】
4本の脚部材13a〜13dの一端の下側には、それぞれの脚部材13a〜13dに対応して1個ずつキャスター40a〜40dが回転自在に設けられている。4本の脚部材13a〜13d及び4個のキャスター40a〜40dは、上下対称、且つ、左右対称に設けられている。脚部ベース10aの本体11aは、
図11及び
図12に示すように、下部がキャスター40a〜40dの中央近傍に位置する。また脚部ベース10aの上面が、
図1及び
図2に示した脚部ベース10aよりも低い。
【0075】
(スライド機構)
図11及び
図12に示すように、支柱20の前面壁には、正面スライド溝20aが設けられている。第3支持部30a〜第8支持部30fの背面には、それぞれ対応する板状の第1スライド板22a〜第6スライド板22fがそれぞれ取り付けられている。第1スライド板22a〜第6スライド板22fは、それぞれ正面スライド溝20aの開口部を覆うように、支柱20の前面壁の上に配置されている。
【0076】
以下、第2の実施形態に係る機器収納スタンドの第3支持部30a〜第8支持部30fのスライド機構を、第4支持部30bに着目して説明する。
図13の上面図に示すように、支柱20の内側の中央には、正四角筒状のスライドパイプ24が設けられている。第2スライド板22bは、
図13及び
図15に示すように、上下方向に貫通する貫通孔52b1を有する直方体状のスライドブロック52bの一方の側面に取り付けられている。
【0077】
図15に示すように、スライドブロック52bの第2スライド板22bと反対側の他方の側面は、支柱20の内面と滑らかに摺動する。スライドブロック52bを上下方向に貫通する貫通孔52b1の内側に正四角筒状のスライドパイプ24が差し込まれて設けられている。貫通孔52b1の内面とスライドパイプ24の外側面とは互いに滑らかに摺動する。
【0078】
図13のE−E方向から見た断面に相当する
図14にはスライドブロック52bの断面がハッチングにより図示されている。
図14に示すように、スライドブロック52bの右側にはスライド枠57bが取り付けられ、スライド枠57bには、上下方向に延びる内部スライド溝58bが設けられている。支柱20の裏面壁には、
図13〜
図15に示すように、スライド枠57bの内部スライド溝58bと重なるように、上下方向に延びる裏面スライド溝20bが設けられている。
図14から分かるように、裏面スライド溝20bの幅は、内部スライド溝58bの幅よりも細い。第1の実施形態に係る機器収納スタンドと同様に、支柱20の前面壁は、平坦な平面であることは必須ではなく、スライド機構の構築に妨げとならない範囲で、一部に段差部を備える構造や円柱状の局面を含んでいるようなトポロジーを妨げるものではない。
【0079】
スライド枠57b及び裏面スライド溝20bの両方には、
図15に示すように一端が支柱20の裏面壁の内側から外側に水平方向に突出するように軸部101bが差し込まれている。外側に突出した側となる軸部101bの一端側で、支柱20の裏面壁の外面との間には、リング状の座金59bを介して、蝶ナット(ウィングナット)型の第2スライドノブ53bが嵌め合わされている。
【0080】
軸部101bの外周面には雄ネジが形成されると共に、第2スライドノブ53bの内周面には雌ネジが形成され、軸部101b及び第2スライドノブ53bはネジ結合している。支柱20の裏面壁の内側に位置する軸部101bの他端には、固定板54bが取り付けられている。
【0081】
第2スライドノブ53bを、支柱20の内側に位置する軸部101bの他端側に向かって進行する方向に回転させることにより、固定板54bと座金59bの間に、スライド枠57b及び支柱20の裏面壁が挟まれて互いに密着し、支柱20の内側におけるスライド枠57bの上下方向の高さが固定される。その結果、第4支持部30bの高さが固定される。
【0082】
一方、第2スライドノブ53bを、支柱20の外側に位置する軸部101bの一端側に向かって進行する方向に回転させることにより、スライド枠57b及び支柱20の裏面壁が、固定板54bと座金59bの間から開放され、支柱20の内側で上下方向に移動可能になる。スライド枠57bの移動の範囲は、軸部101bがスライド溝の中を移動できる範囲、すなわちスライド溝の上下方向の長さ内に限られる。
【0083】
以上、第4支持部30bの角度調整機構に着目して、代表例として説明したが、他の第3支持部30a、第5支持部30c〜第8支持部30fに関しても同様である。
図11及び
図12中には、第4支持部30bのスライド機構の第2スライドノブ53bと同様に、第3支持部30a〜第8支持部30fのそれぞれに設けられた第1スライドノブ53a〜第6スライドノブ53fが例示されている。第2の実施形態に係る機器収納スタンドによれば、
図16に示すように、第3支持部30a〜第8支持部30fごと上下にスライドさせることにより、第3理化学機器194a〜第8理化学機器194fを個別に上下移動可能になる。
【0084】
(スライド機構の使用方法)
例えば使用者は一方の手で第4支持部30bを固定しながら、他方の手で第2スライドノブ53bを回転して、スライド枠57b及び支柱20の裏面壁を、固定板54bと座金59bの間から開放し、第4支持部30bを所望の高さ位置にスライドさせて配置する。そして配置した第4支持部30bの高さを保持したまま、他方の手で第2スライドノブ53bを回転して、固定板54bと座金59bの間に、スライド枠57b及び支柱20の裏面壁を挟んで互いに密着させる。その結果、一方の手を第4支持部30bから離してもスライド後に配置した第4支持部30bの高さを固定できる。
【0085】
なお、
図14及び
図15とは異なるが、裏面スライド溝20b を設けない構造で、スライドブロック52b、スライド枠57b及基台部31の一式を移動させるようにしてもよい。基台部31をスライド移動させる時は、第2スライドノブ53bを緩める方向に回す。スライドブロック52bを移動させるとスライドブロック52bに一体になっている基台部31も移動するようになる。座金59bは支柱20に固定されているのでスライドブロック52bが移動しても第2スライドノブ53b、座金59b、固定板54b、軸部101bは移動しない構造となる。
【0086】
第2の実施形態に係る機器収納スタンドにおいても、第1の実施形態に係る機器収納スタンドと同様に、複数の理化学機器を上下方向に高密度に並べて取り付けても、上下方向に隣接する複数の理化学機器の取り付け位置の干渉が回避でき、且つそれぞれの理化学機器の操作性を損なうことのないコンパクトな機器収納スタンドを提供できる。特に複数の理化学機器の大きさが互いに異なる場合であっても、支持部の相互の間隔や角度を調整できるので、複数の理化学機器の取り付けの汎用性が極めて高められる。その結果、より多数の理化学機器を1台の機器収納スタンドに、安全且つ確実に、しかも高密度に取り付けることができ、医療現場等の省スペースが可能になる。
【0087】
また第2の実施形態に係る機器収納スタンドによれば、脚部ベース10aの本体11aが、更に低重心化されているので、第1の実施形態の場合よりも、安定性を高めることができる。また脚部ベース10aの上面が、第1の実施形態の場合の脚部ベース10aよりも低いので、機器収納スタンド全体の高さを低下させ、小型化することができる。
【0088】
また第2の実施形態に係る機器収納スタンドによれば、第3理化学機器194a〜第8理化学機器194fを個別に上下移動可能になる。そのため、第3理化学機器194a〜第8理化学機器194fが、
図7で示した第3理化学機器93a〜第8理化学機器93fより寸法、特に上下方向の寸法が大きく、第3理化学機器194a〜第8理化学機器194f間のクリアランスを角度調整機構だけでは調整しきれない場合であっても、更に対応可能になる。よって機種・メーカを問わず、取り付けが可能な理化学機器の範囲を拡大できる。第2の実施形態に係る機器収納スタンドのその他の効果については、第1の実施形態に係る機器収納スタンドの場合と同様である。
【0089】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は第1及び第2の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。したがって、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。
【0090】
例えば、第1及び第2の実施形態の場合、
図10に示したように、支柱20には外部接続端子21が設けられていた。しかし外部接続端子21を別途設けることなく、第1コンセント26a、第2コンセント26b及び第3コンセント23a〜第8コンセント23fから延びるラインを直接延長しても電源ケーブルを構成できる。また第1及び第2の実施形態に係る機器収納スタンドのそれぞれの構造を部分的に組み合わせても、本発明に係る機器収納スタンドを構成できる。
【0091】
コンセントからのラインを直接延長して電源ケーブルにする場合、コンセントが8個ある為、かなり太い電源ケーブルになってしまう。そのため、既に第1の実施形態の変形例として述べたように、実際には第1コンセント26aに電源ケーブルの負極・接地ラインを直接接続して第2コンセント26b及び第3コンセント23a〜第8コンセント23fはコンセント間を渡り配線で接続すれば、電源ケーブルが太くなるのを抑制できる。
【0092】
以上のとおり本発明は、本明細書及び図面に記載していない様々な実施形態等を含むとともに、本発明の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【解決手段】機器収納スタンドは、支柱20と、支柱20の前面壁に上下方向の各段に並べられる理化学機器93a〜93fを支持する3段以上複数の支持部30a〜30fと、複数の支持部30a〜30fのそれぞれに理化学機器93a〜93fが取り付けられた状態で、上側の理化学機器93a〜93fを支持する支持部30a〜30f又は下側の理化学機器93a〜93fを支持する支持部30a〜30fのうち少なくとも一方の支持部30a〜30fの軸方向の支柱20に対する取り付け角度θを自在に調節する角度調整機構を備える。