(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記カッティング制御装置は、前記第1クロップマークの中心が前記第2クロップマークの中心に対してずれている方向に基づいて、前記媒体の回転状態を判定する回転判定部を有している、請求項5に記載のカッティング装置。
前記カット線補正部は、前記表裏判定部により前記媒体が裏面側を向けて配置されていると判定され、かつ、前記回転判定部により前記媒体が回転状態で配置されていると判定された場合に、前記カット線が反転された位置で、かつ、前記回転状態に対応した位置に設定されるように、前記カット線を補正するように構成されている、請求項6に記載のカッティング装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るカッティング装置1は、透明な材料からなる媒体50に対して印刷およびカッティングが可能なプリント&カット機である。図示は省略するが、本実施形態に係る媒体50は、透明な樹脂製のシートである。ただし、媒体50は印刷およびカッティングが可能な透明媒体であれば足り、特に限定されない。本明細書において媒体50が「透明」とは、完全な無色透明な場合や若干着色された場合を含み、その媒体50の表面に印刷された画像の色彩および表示を裏面側から視認できる程度の透光性を有することをいう。媒体50は、媒体50の一方の面に印刷された後述するクロップマークを、後述するセンサ25によって他方の面から検出可能であるような透光性を有していればよい。なお、媒体50の中に、気泡や着色された微小粒状物が含まれていてもよい。また、本明細書において「カッティング」、「切断」とは、媒体50の厚み方向の全体を切断する場合と、媒体50の厚み方向の一部を切断する場合とが含まれる。
【0015】
図1に示すように、カッティング装置1は、媒体50を支持するプラテン2と、プラテン2に支持された媒体50に対し印刷を行う印刷ヘッド10と、プラテン2に支持された媒体50を切断するカッティングヘッド20とを備えている。詳細は後述するが、印刷ヘッド10およびカッティングヘッド20は、図示Y方向に移動可能に構成されている。以下では、Y方向を主走査方向または左右方向といい、Y方向に対して垂直な方向であるX方向を副走査方向または前後方向という。なお、主走査方向は媒体50の幅方向に対応し、副走査方向は媒体50の長手方向に対応する。
図1の符号F、Rr、L、Rは、それぞれ前、後、左、右を表している。
【0016】
本実施形態では、印刷ヘッド10は、インクを吐出するインクジェットヘッドによって構成されている。しかし、印刷ヘッド10の印刷方式はインクジェット方式に限らず、印刷ヘッド10はインクジェットヘッドに限定されない。印刷ヘッド10は、例えばドットインパクト方式の印刷を行うプリントヘッド等であってもよい。
【0017】
プラテン2には、グリッドローラ3が設けられている。グリッドローラ3は、フィードモータ61(
図1では図示せず。
図3参照)に駆動されることによって回転する。プラテン2の上方には、ガイドレール5が設けられている。ガイドレール5は左右方向に延びている。ガイドレール5の下部には、ピンチローラ4が設けられている。ピンチローラ4は、グリッドローラ3の上方に配置されている。ピンチローラ4は、グリッドローラ3に対し接近および離反が可能なように、上下に揺動自在に構成されている。媒体50がピンチローラ4とグリッドローラ3との間に挟み込まれた状態でグリッドローラ3が回転すると、媒体50は前方または後方に搬送される。なお、
図1では、3つのグリッドローラ3および2つのピンチローラ4しか図示されていないが、実際にはより多くのグリッドローラ3およびピンチローラ4がそれぞれ主走査方向に配列されている。グリッドローラ3およびフィードモータ61は、媒体50を印刷ヘッド10およびカッティングヘッド20に対し副走査方向に相対的に移動させる第1移動機構を構成している。
【0018】
図2Aに示すように、印刷ヘッド10はキャリッジ11を介してガイドレール5に支持されている。カッティングヘッド20は、キャリッジ21を介してガイドレール5に支持されている。キャリッジ11およびキャリッジ21は、ガイドレール5に対し、左右方向に移動自在に係合している。
【0019】
図2Aに示すように、キャリッジ21には、ソレノイド22を介してカッター23が取り付けられている。ソレノイド22は、コントローラ60(
図3参照)によって制御される。ソレノイド22がON/OFFされると、カッター23は上下方向に移動して媒体50に接触し、あるいは媒体50から離反する。カッティングヘッド20には、後述するクロップマークを検出するセンサ25が設けられている。センサ25の種類は特に限定されず、光学式センサ等の従来から用いられている各種のセンサを好適に利用することができる。キャリッジ21の右側には、磁石によって構成される連結部材24が固定されている。
【0020】
キャリッジ21の背面上部には、左右方向に延びるベルト6が固定されている。ベルト6は、スキャンモータ62(
図3参照)に接続されている。スキャンモータ62が回転すると、ベルト6が左右方向に走行する。これにより、キャリッジ21は左右方向に移動する。なお、スキャンモータ62はコントローラ60によって制御される。キャリッジ21、ガイドレール5、およびスキャンモータ62は、印刷ヘッド10およびカッティングヘッド20を主走査方向に移動させる第2移動機構を構成している。
【0021】
印刷ヘッド10のキャリッジ11には、インクを吐出する複数のノズル(図示せず)を有する記録ヘッド12が支持されている。ここでは、5つの記録ヘッド12がキャリッジ11に支持されている。5つの記録ヘッド12は、互いに異なる5つの色、例えば、イエロインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインク、ホワイトインクを吐出する。ただし、記録ヘッド12の個数は5個に限定されない。また、記録ヘッド12が吐出するインクの色も何ら限定されない。
【0022】
キャリッジ11の左側部分には、磁石によって構成される連結部材14が設けられている。この連結部材14は、カッティングヘッド20の連結部材24に対し、着脱自在に連結する。本実施形態では、連結部材14,24は、磁力を利用するものである。ただし、連結部材14,24は磁力を利用するものに限られず、係合部材等の他の構成を備えたものであってもよい。キャリッジ11の右側には、L字状に形成された受け金具15が設けられている。
【0023】
プラテン2の左右両端部には、サイドフレーム7L,7Rが配置されている。ガイドレール5は、両サイドフレーム7L,7Rに支持されている。右側のサイドフレーム7Rには、印刷ヘッド10を待機位置にロックするためのロック装置30が設けられている。ロック装置30は、受け金具15に引っ掛けられる受け金具31と、受け金具31をロック位置(
図2B参照)と非ロック位置(
図2A参照)との間で移動させるロック用ソレノイド32(
図3参照)とを備えている。ロック用ソレノイド32は、コントローラ60によって制御される。
【0024】
図2Aに示すように、印刷ヘッド10による印刷を行う際には、受け金具31が非ロック位置に設定される。カッティングヘッド20のキャリッジ21が右方に移動し、連結部材24と連結部材14とが接触すると、キャリッジ21とキャリッジ11とが連結される。その結果、印刷ヘッド10は、カッティングヘッド20と共に左右方向に移動可能となる。一方、カッティングヘッド20によるカッティングの際には、
図2Bに示すように、印刷ヘッド10が待機位置に位置付けられ、ロック装置30の受け金具31がロック位置に設定される。これにより、印刷ヘッド10の移動が阻止される。キャリッジ21が左方へ移動すると、連結部材24と連結部材14とが離反し、キャリッジ21とキャリッジ11との連結が解除される。その結果、印刷ヘッド10が待機位置に待機した状態で、カッティングヘッド20が左右方向に移動可能となる。
【0025】
図1に示すように、カッティング装置1は、上側の筐体を構成する上カバー8を備えている。サイドフレーム7Lの左側、サイドフレーム7R(
図2A参照)の右側には、サイドカバー9L,9Rがそれぞれ設けられている。右側のサイドカバー9Rの前面には、ボタンおよびディスプレイを有する操作パネル35が配置されている。プラテン2の下方には、キャスター付きのスタンド36が設けられている。
【0026】
図示は省略するが、カッティング装置1は、印刷前の媒体50が巻かれた供給ローラを備えている。供給ローラはプラテン2の後斜め下方に配置されている。印刷時には、供給ローラに巻かれた媒体50は、プラテン2上を経由して前方に搬送される。
【0027】
コントローラ60は、図示しないCPU、ROM、およびRAMなどからなるマイクロコンピュータによって構成されている。
図3に示すように、コントローラ60は、インターフェース63を介して、外部のコンピュータ70に有線または無線による通信が可能に接続されている。コンピュータ70には、印刷およびカッティングのためのデータが保存されている。コントローラ60は、コンピュータ70からデータを受け、フィードモータ61、スキャンモータ62、ロック装置30、カッティングヘッド20、および印刷ヘッド10を制御する。コンピュータ70には、キーボードやマウス等からなる入力装置71と、液晶ディスプレイ等からなる表示装置72とが接続されている。
【0028】
図4は、コントローラ60の機能ブロック図である。すなわち、コントローラ60がコンピュータ70からデータを受信することにより、コントローラ60が果たすようになる機能を表すブロック図である。後述するコントローラ60の各部は、物理的には、1つまたは2つ以上のプロセッサによって構成される。
図4に示すように、コントローラ60は、記憶部75と印刷制御部80とカッティング制御部90とを有している。
【0029】
記憶部75は、画像を印刷するための印刷データと、プラテン2に支持された媒体50が表面側を向けて配置されているときに、当該画像に対するカッティングヘッド20により切断されるカット線を示すカットデータとが記憶する。これらのデータは、例えば、外部のコンピュータ70から送信される。
【0030】
印刷制御部80は、媒体50の表面に印刷ヘッド10を対向させ、印刷ヘッド10により媒体50の表面に画像を印刷する制御を実行する。この実施形態では、印刷制御部80は、スキャンモータ62を駆動することにより印刷ヘッド10を主走査方向に移動させつつ、印刷ヘッド10の各記録ヘッド12からインクを吐出させる。これにより、一走査ラインの印刷が行われる。印刷ヘッド10の主走査方向の移動が済むと、フィードモータ61を駆動することにより、次の走査ラインの位置まで媒体50を副走査方向に搬送する。媒体50の副走査方向の搬送が済むと、再びスキャンモータ62を駆動すると共に印刷ヘッド10を駆動し、次の走査ラインの印刷を行う。以下、印刷の終了まで同様の動作を繰り返す。
【0031】
カッティング制御部90は、媒体50にカッティングヘッド20を対向させ、カッティングヘッド20により媒体50を切断する制御を実行する。この実施形態では、カッティング制御部90は、スキャンモータ62を駆動すると共にフィードモータ61を駆動することにより、媒体50に対しカッティングヘッド20を2次元的に相対移動させる。ソレノイド22をONすると、カッター23を媒体50に押し当てることができる。カッター23を媒体50に押し当てたままカッティングヘッド20を媒体50に対し相対移動させることにより、媒体50を任意のカット線に沿って切断することができる。
【0032】
印刷制御部80は、画像印刷部81と、クロップマーク印刷部82と、を有している。
カッティング制御部90は、表裏判定部91と、カット線補正部92と、位置決め制御部93と、カッティング部94とを有している。上記各部が行う動作については後述する。
【0033】
次に、カッティング装置1の動作の例について説明する。以下では、媒体50の表裏のうち画像が印刷される側の面を「表面」、反対側の面を「裏面」とする。
図5は、画像33およびクロップマーク40が印刷された媒体50を表面52A側から見た平面図である。
図6は、媒体50を裏面52B側から見た平面図である。ここでは
図5に示すように、カッティング装置1が媒体50の表面52Aに画像33を印刷し、更に、画像33の周囲を切断する動作について説明する。符号34Aにより示される破線は、カッティングヘッド20によって切断されるカット線を表している。なお、「画像」とは、印刷ヘッド10によって媒体50上に形成される像のことであり、その内容は特に限定されない。画像には、文字、記号、図形、写真等が含まれる。
【0034】
始めに、コンピュータ70からコントローラ60に画像データが送信される。すると、印刷制御部80が画像33を印刷すると共に、クロップマーク40を印刷する。なお、
図5の上方、下方は、それぞれ前方、後方を表している。カッティング装置1では、媒体50を前方に搬送しながら印刷が行われる。そのため、
図5の上方から下方に向けて印刷が行われる。
【0035】
クロップマーク40は、
図5および
図6に示すように、第1クロップマーク42と第2クロップマーク44とから構成されている。第1クロップマーク42は、媒体50の表面52Aに第1の色で印刷されている。第2クロップマーク44は、第1クロップマーク42を覆うように、第1クロップマーク42よりも大きいサイズに設定され、かつ、第1の色とは異なる色で第1クロップマーク42の上に重ねて印刷されている。その結果、クロップマーク40は、
図5に示すように、媒体50の表面52A側から見ると、第2クロップマーク44として識別される。また、クロップマーク40は、
図6に示すように、媒体50の裏面52B側から見ると、第2クロップマーク44と第1クロップマーク42とが相互に重なったパターンとして識別される。本実施形態では、第1クロップマーク42は、白色の丸によって形成されている。ただし、第1クロップマーク42の形状は丸に限定されず、その色は白色に限定されない。また、第2クロップマーク44は、第1クロップマーク42の白色の丸よりも径が大きい黒色の丸によって形成されている。ただし、第2クロップマーク44の形状は丸に限定されず、その色は黒色に限定されない。
【0036】
この実施形態では、4つのクロップマーク40A、40B、40C、40Dが画像33を含む矩形領域33Wの四隅の外側にそれぞれ印刷されている。ここでは、クロップマーク40A〜40Dは、それぞれ矩形領域33Wの
図5の左斜め上方、右斜め上方、左斜め下方、右斜め下方に印刷されている。クロップマーク40Bは、クロップマーク40Aから主走査方向に離間している。クロップマーク40Cは、クロップマーク40Aから副走査方向に離間している。クロップマーク40Dは、クロップマーク40Bから副走査方向に離間し、クロップマーク40Cから主走査方向に離間している。本実施形態では、クロップマーク40A〜40Dの形状およびサイズはいずれも同じである。すなわち、クロップマーク40A〜40Dは、いずれも同形状および同サイズの第1クロップマーク42A〜42Dと、同形状および同サイズの第2クロップマーク44A〜44Dとから構成されている。しかし、クロップマーク40A〜40Dの一部は、他の一部と形状またはサイズが異なっていてもよい。
【0037】
コントローラ60は、画像33を印刷するときに画像印刷部81として機能し、クロップマーク40A〜40Dを印刷するときにクロップマーク印刷部82として機能する。画像33の印刷は画像印刷部81によって行われ、クロップマーク40A〜40Dの印刷はクロップマーク印刷部82によって行われる。本実施形態では、画像33およびクロップマーク40A〜40Dは、媒体の前方から後方に向かって順に印刷される。
【0038】
画像33およびクロップマーク40A〜40Dの印刷が終了した後、カット線34Aに沿って媒体50を切断する。本実施形態では、印刷後の媒体50を十分に乾燥させるため、印刷が終了した後、媒体50のクロップマーク40Cおよび40Dよりも後方の部分を主走査方向に沿って切断する。そして、媒体50をカッティング装置1から取り出し、カッティング装置1の外部にて乾燥させる。乾燥終了後、媒体50をカッティング装置1のプラテン2上に再配置し、カッティングを開始する。
【0039】
ところで、印刷面に保護シートを貼り付けたりコントロールパネル用ラベルや特殊なラベルを作成したりする場合、媒体50の表面52Aに画像33を印刷した後、媒体50を裏返して、裏面52Bからカッティングを行うことがある。媒体50の裏面52Bからカッティングを行う場合、カット線34Aが反転された位置(典型的には鏡像変換された位置)に設定されるように、記憶部75に記憶されたカット線を補正する必要がある。そこで、カッティング装置1においては、カッティングの際に、カット線の補正が必要であるか判断するために、カット線の切断に先立って媒体50の表裏判定を行う。
【0040】
媒体50の表裏判定は、第1クロップマーク42と、第1クロップマーク42よりも大きいサイズに設定された第2クロップマーク44とが異なる色で重ねて印刷されたクロップマーク40を利用して行われる。すなわち、コントローラ60は、カッティングの際に、センサ25により第2クロップマーク44が検出される場合(
図5参照)、プラテン2に支持された媒体50が表面52A側を向けて配置されていると判定する。また、コントローラ60は、センサ25により第2クロップマーク44と第1クロップマーク42とが相互に重なったパターンが検出される場合(
図6参照)、プラテン2に支持された媒体50が裏面52B側を向けて配置されていると判定する。
【0041】
センサ25によるクロップマーク40のパターンの検出は、従来公知の方法を用いて行うことができる。例えば、赤外線センサを使用する場合、第1クロップマーク42および第2クロップマーク44からの赤外光の反射率の違いを検知することで、クロップマーク40のパターンを検出することができる。具体的には、第1クロップマーク42が白色の丸、第2クロップマーク44が黒色の丸の場合、黒色は赤外光を吸収し(センサ25は「ON」)、白色は赤外光を反射する(センサ25は「OFF」)。そのため、センサ25によりクロップマーク40を走査した際、センサ25の検知信号がOFF(クロップマーク40の外)→ON(クロップマーク40の内:第2クロップマーク44)→OFF(クロップマーク40の外)と変化した場合には、媒体50が表面52A側を向けて配置されていると判定し、センサの検知信号がOFF(クロップマーク40の外)→ON(クロップマーク40の内:第2クロップマーク44)→OFF(クロップマーク40の内:第1クロップマーク42)→ON(クロップマーク40の内:第2クロップマーク44)→OFF(クロップマーク40の外)と変化した場合には、媒体50が裏面52B側を向けて配置されていると判定することができる。
【0042】
この実施形態では、クロップマーク40A〜40Dの検出は、左下のクロップマーク、右下のクロップマーク、左上のクロップマーク、右上のクロップマークの順で行われる。本実施形態では、クロップマーク40A〜40Dのサイズおよび形状はいずれも同一であり、最初の1つ目のクロップマーク(ここでは左下のクロップマーク)の検出で媒体50の表裏を判定することができる。そのため、2つ目以降のクロップマークについては、媒体50の表裏判定(ひいてはセンサ25が第1クロップマーク42を探すステップ)を省略することができる。
【0043】
また、コントローラ60は、カッティングヘッド20に対し媒体50が裏面52B側を向けて配置されていると判定された場合に、画像33に対するカット線が反転された位置(
図6のカット線34Bの位置)に設定されるように、受信したカット線のデータを補正する。そして、補正されたカット線に基づいて、反転された位置に設定されたカット線34Bに沿って媒体50を切断する。
【0044】
この実施形態では、上記カット線34Bの切断に先立ってカッティングヘッド20の位置決めを行う。カッティングヘッド20の位置決めは、4つのクロップマーク40A〜40Dのうちの3つ以上を利用して行われる。すなわち、コントローラ60は、4つのクロップマーク40A〜40Dのうちの3つ以上の位置に基づいて、カッティングヘッド20の位置決めを行い、その後、画像33のカット線34Bを切断する。
【0045】
なお、センサ25によりクロップマーク40A〜40Dの位置を検出し、検出されたクロップマーク40A〜40Dを利用してカッティングヘッド20の位置決めを行う方法は周知であるため、ここではその具体的な説明は省略する。
【0046】
コントローラ60は、媒体50の表裏判定するときに表裏判定部91として機能し、カット線が反転された位置に設定されるようにカット線を補正するときにカット線補正部92として機能し、カッティングヘッド20の位置決めを行うときに位置決め制御部93として機能し、媒体50を切断するときにカッティング部94として機能する。媒体50の表裏判定は表裏判定部91によって行われ、カット線の補正はカット線補正部92によって行われ、カッティングヘッド20の位置決めは位置決め制御部93によって行われ、媒体50の切断はカッティング部94によって行われる。
【0047】
以上のように、本実施形態に係るカッティング装置1によれば、第1クロップマーク42と、第1クロップマーク42よりも大きいサイズに設定された第2クロップマーク44とが異なる色で重ねて印刷されたクロップマーク40を利用して、媒体50の表裏を判定することができる。そして、媒体50が裏面52B側を向けて配置されていると判定された場合に、カット線が反転された位置に設定されるように、カット線を自動的に補正することができる。これにより、媒体50の裏面からでもカッティングを適切に行うことができる。
【0048】
また、本実施形態では、媒体50の表面52Aにおける画像33を含む矩形領域33Wの四隅のそれぞれの外側に計4つのクロップマーク40A〜40Dが印刷され、4つのクロップマーク40A〜40Dのうちの3つ以上の位置に基づいて、カッティングヘッド20の位置決めを行う。これにより、カッティングヘッド20の位置決めを高精度に行うことができ、カッティングの精度を高めることができる。上記構成によれば、位置決め用のクロップマークに表裏判定機能を持たせることができるため、表裏判定用のクロップマークを別途設ける必要がない。そのため、表裏判定用のクロップマークを別途設ける場合に比べて、インク消費量の低減および印刷時間の短縮化を図ることができる。
【0049】
また、本実施形態に係るカッティング装置1によれば、4つのクロップマーク40A〜40Dのサイズおよび形状はいずれも同一である。4つのクロップマーク40A〜40Dについて表裏判定を個別に行うと、センサ25の移動時間が増えて加工時間が長大化する。これに対し、4つのクロップマーク40A〜40Dのサイズおよび形状をいずれも同じにすることで、最初の1つ目のクロップマークの検出で媒体50の表裏を判定することができ、2つ目以降のクロップマークについては、媒体50の表裏判定(ひいてはセンサ25が第1クロップマーク42を探すステップ)を省略できる。そのため、センサ25の移動時間を短縮してカッティング作業を効率よく行うことができる。
【0050】
(第2実施形態)
第2実施形態に係るカッティング装置1は、第1クロップマーク42の中心が第2クロップマーク44の中心に対して一方向にずれた非対称のクロップマーク40を印刷することで、媒体50の表裏だけでなく、媒体50の前後左右の向きも判別できるようにしたものである。
【0051】
本実施形態では、
図7に示すように、クロップマーク40A〜40Dは、媒体50の裏面52B側から見ると、第1クロップマーク42の中心が、第2クロップマーク44の中心に対して一方向にずれている。ここでは、第1クロップマーク42の中心は、第2クロップマーク44の中心に対して
図7の右斜め上方にずれている。なお、
図7では、カッティングヘッド20に対し、媒体50が裏面52B側を向けて、かつ「回転なし」の状態でプラテン2上に配置されているものとする。
【0052】
かかるカッティング装置1では、媒体50の裏面52B側からカッティングを行う際、印刷後にユーザが媒体50をカッティング装置1から取り出し、媒体50を裏返した後、カッティング装置1のプラテン2上に再配置し、カッティングを開始する場合がある。しかし、ユーザが誤って媒体50を回転させて(前後左右の向きを変えて)プラテン2上に載せてしまうと、適切にカッティングできないことが懸念される。そこで、本実施形態においては、カッティングの際に、カット線の切断に先立って媒体50の回転判定を行う。
【0053】
すなわち、本実施形態に係るカッティング装置1では、
図8に示すように、カッティング制御部90は、表裏判定部91、カット線補正部92、位置決め制御部93、カッティング部94に加えて、回転判定部95を更に有している。
【0054】
表裏判定部91は、前述した第1実施形態と同様、センサ25により第2クロップマーク44が検出される場合、プラテン2に支持された媒体50が表面52A側を向けて配置されていると判定し、一方、センサ25により第2クロップマーク44と第1クロップマーク42とが相互に重なったパターンが検出される場合、プラテン2に支持された媒体50が裏面52B側を向けて配置されていると判定する。
【0055】
回転判定部95は、表裏判定部91により媒体50が裏面52B側を向けて配置されていると判定された場合に、クロップマーク40を利用して、媒体50の回転状態(前後左右の向き)を判定する。具体的には、回転判定部95は、第1クロップマーク42の中心が第2クロップマーク44の中心に対して相対的にずれている方向に基づいて、媒体50の回転状態を判定する。例えば、回転判定部95は、
図9に示すように、第1クロップマーク42の中心が第2クロップマーク44の中心に対して左斜め上方にずれている場合、媒体50が「左90度回転(即ち反時計回りに90度回転)」した状態でプラテン2上に配置されていると判定する。また、回転判定部95は、
図10に示すように、第1クロップマーク42の中心が第2クロップマーク44の中心に対して左斜め下方にずれている場合、媒体50が「180度回転(即ち反時計回りに180度回転または時計回りに180度回転)」した状態でプラテン2上に配置されていると判定する。また、回転判定部95は、
図11に示すように、第1クロップマーク42の中心が第2クロップマーク44の中心に対して右斜め下方にずれている場合、媒体50が「右90度回転(即ち時計回りに90度回転)」した状態でプラテン2上に配置されていると判定する。なお、ここでは、第1クロップマーク42の中心が第2クロップマーク44の中心に対して右斜め上方にずれている場合を「回転なし」としたが、第1クロップマーク42の中心と第2クロップマーク44の中心とがずれる方向は特に限定されず、「回転なし」が右斜め上方に限られないことは勿論である。
【0056】
カット線補正部92は、表裏判定部91により媒体50が裏面52B側を向けて配置されていると判定され、かつ、回転判定部95により媒体50が「左90度回転」、「180度回転」および「右90度回転」の何れかの回転状態で配置されていると判定された場合に、カット線が反転された位置で、かつ、媒体50の回転状態に対応した適切な位置に設定されるように、記憶部75に記憶されたカット線を補正する。例えば、カット線補正部92は、表裏判定部91により媒体50が裏面52B側を向けて配置されていると判定され、かつ、回転判定部95により媒体50が「左90度回転」の回転状態で配置されていると判定された場合に、カット線が反転された位置で、かつ、左90度回転した位置(カット線34Cの位置)に設定されるように、カット線を補正する。その結果、カッティングの際には、媒体50の回転状態に対応したカット線34C、34D、34Eに沿って、媒体50が適切にカッティングされる。
【0057】
本実施形態に係るカッティング装置1によれば、第1クロップマーク42の中心が第2クロップマーク44の中心に対して一方向にずれた非対称のクロップマーク40を利用することで、媒体50の表裏だけでなく、媒体50の回転状態を判定することができる。そして、カット線が媒体50の回転状態に対応した適切な位置に設定されるように、カット線を自動的に補正することができる。したがって、裏面52B側から媒体50をカッティングする際、ユーザが誤って媒体50を回転させてプラテン2上に載せた場合でも、正しく置きなおすことなく、カッティングを実行することができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、4つのクロップマーク40A〜40Dのサイズおよび形状はいずれも同一であり、第1クロップマーク42の中心が第2クロップマーク44の中心に対して一方向にずれている。そのため、媒体50がどの回転位置であっても、最初の1つ目のクロップマーク(例えば左下のクロップマーク)を検出することで、媒体50の表裏および回転状態を判定することができる。そのため、2つ目以降のクロップマークについては、媒体50の表裏および回転判定(ひいてはセンサ25が第1クロップマーク42を探すステップ)を省略することができ、センサ25の移動時間を短縮することができる。
【0059】
なお、上記実施形態では、第1クロップマーク42の中心が第2クロップマーク44の中心に対して一方向にずれた非対称のクロップマーク40を利用して、媒体50の表裏および回転状態を判定し、媒体50が裏面52B側を向けて配置されていると判定され、かつ、媒体50が回転状態であると判定された場合に、カット線が裏面および回転状態に対応した適切な位置に設定されるように、カット線を自動的に補正するものであるが、カット線を補正せずに、媒体50が回転状態であることをユーザに報知するように設定してもよい。例えば、回転判定部95は、媒体50が回転状態であると判定された場合に、媒体の向きが正しくないことを示す警告を表示装置72に表示するようにしてもよい。ユーザは、表示装置72に表示された警告を受けて、媒体50を正しい向きにセットしなおすことができる。
【0060】
上述した各実施形態では、第2クロップマーク44は、第1クロップマーク42を覆うように、第1クロップマーク42よりも大きいサイズに設定され、センサにより第2クロップマーク44が検出される場合に、媒体が表面52A側を向いて配置されていると判定するものであるが、第1クロップマーク42および第2クロップマーク44のサイズの大小は逆でもよい。例えば、クロップマーク40は、媒体50の表面52Aに第1の色で印刷された第1クロップマーク42と、第1クロップマーク42の形状内に納まるように、第1クロップマーク42よりも小さいサイズに設定され、かつ、第1の色とは異なる第2の色で第1クロップマーク42の上に重ねて印刷された第2クロップマーク44と、から構成されてもよい。この場合、表裏判定部91は、センサ25により第2クロップマーク44と第1クロップマーク42とが相互に重なったパターンが検出された場合、プラテン2に支持された媒体50が表面52A側を向けて配置されていると判定し、かつ、センサ25により第1クロップマーク42が検出された場合、プラテン2に支持された媒体50が裏面52B側を向けて配置されていると判定するように構成されているとよい。
【0061】
上述した各実施形態では、カッティング装置1はカッティングヘッド20と共に印刷ヘッド10を備えており、印刷機能を有するカッティング装置であった。しかし、本発明に係るカッティング装置は、印刷ヘッド10を備えていないカッティング装置であってもよい。本発明に係るカッティング装置は、印刷機能を有していないカッティング装置であってもよい。この場合、画像およびクロップマークは、カッティング装置とは別の印刷装置によって印刷される。カッティング装置は、上記印刷装置によって印刷が行われた媒体に対し、カッティングを行う。
【0062】
上述した各実施形態では、クロップマーク40A〜40Dは、いずれも第1クロップマーク42と第2クロップマーク44とから構成され、表裏判定機能を有するように構成されていた。しかし、少なくとも一つのクロップマークについて、上記表裏判定機能を有するように構成されていれば足り、例えば、4つのクロップマーク40A〜40Dのうちの一つが、表裏判定機能を有するように構成されていてもよい。また、カッティングヘッド20の位置決めに必要なクロップマークの数は、少なくとも3つあれば足り、例えば、媒体50における画像33を含む矩形領域33Wの四隅の外側に計3つのクロップマークを印刷するように構成されていてもよい。
【0063】
上述した各実施形態では、カッティング装置1は、印刷ヘッド10およびカッティングヘッド20を主走査方向に移動させ、媒体50を副走査方向に搬送するように構成されていた。しかし、カッティング装置1は、印刷ヘッド10およびカッティングヘッド20が媒体50に対して2次元的に相対移動可能に構成されていれば足り、例えば、印刷ヘッド10およびカッティングヘッド20を主走査方向および副走査方向に移動させるように構成されていてもよい。例えば、カッティング装置1は、媒体50を支持するフラットベッドと、印刷ヘッド10およびカッティングヘッド20を主走査方向に移動自在に支持するガイドレールと、印刷ヘッド10およびカッティングヘッド20を主走査方向に駆動するモータ等の駆動装置と、ガイドレールを副走査方向に移動可能に支持するレールと、ガイドレールを副走査方向に駆動するモータ等の駆動装置とを備えていてもよい。
【0064】
上述した各実施形態では、カッティング装置1のコントローラ60は、記憶部75とカッティング制御部90とを備えていた。しかし、コントローラ60は、記憶部75およびカッティング制御部90を備えていなくてもよい。この場合、記憶部75およびカッティング制御部90は、外部のコンピュータ70に設けられ、センサ25によって検出されたクロップマーク40の情報が外部のコンピュータ70に送られ、コンピュータ70において処理が行われる。
【解決手段】カッティング装置は、媒体50の表面に第1クロップマーク42を印刷した後、第1クロップマーク42よりも大きいサイズに設定された第2クロップマーク44を第1クロップマーク42の上に重ねて印刷するクロップマーク印刷部と、クロップマーク検出装置により第2クロップマーク44が検出される場合、媒体50が表面側を向けて配置されていると判定し、クロップマーク検出装置により第2クロップマーク44と第1クロップマーク42とが相互に重なったパターンの場合、媒体50が裏面52B側を向けて配置されていると判定する表裏判定部と、を備えている。